Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
口腔癌患者に対する周術期緩和ケアの1例
Author(s)
縣, 秀栄; 石丸, 理恵; 西澤, 秀哉; 宮地, 建次; 大内,
貴志; 芹田, 良平; 小板橋, 俊哉
Journal
歯科学報, 111(4): 434-434
URL
http://hdl.handle.net/10130/2603
Right
目的:東京歯科大学市川総合病院では,2008年に緩 和ケアチームが発足し,各科の緩和ケアが必要な患 者に対し,集学的な治療を行っている。従来の緩和 ケアは終末期医療やターミナルケアといった最期の 看取りの医療のイメージが強かったが,近年では, 緩和ケアは病気の時期や治療の場所を問わず,治療 早期からいつでもどこでも提供されるべきものとか わってきている。今回,緩和ケアチームとして悪性 腫瘍手術予定患者に対し,術前から術後まで周術期 緩和ケアを行った症例を経験したので,報告する。 症例:患者は62歳男性。左側舌癌に対し,腫瘍切除 術,頸部郭清術,経皮的気管切開術を予定した。術 前の病巣痛に対しアセトアミノフェン900mg,オキ シコドン徐放剤20mg,レスキューとしてオキシコ ドン速放剤でコントロールされていた。術前に緩和 ケアチームに周術期の疼痛コントロールが依頼され た。術前は術当日朝まで当該処方を継続し,術中の 鎮痛はレミフェンタニルを主体に全静脈麻酔で管理 した。手術終了後より塩酸モルヒネ20mg/日を持続 静注し,レスキューとして1時間量を急速静注し た。ICU 入室中はデクスメデトミジンも持続静注 した。塩酸モルヒネの持続静注は術後16日間継続し た。術7日後より前腕皮弁採取部位の痛みに対して 処方したプレガバリンの効果により塩酸モルヒネを 漸減終了した。 考察:オピオイド製剤は急激な休薬により,退薬症 状が出現する可能性があるために,長期のオピオイ ド製剤服用患者はオピオイドを徐々に漸減終了する 必要がある。本症例では術後数日間経口摂取が不可 能になるため,術前に使用していた粉砕投与不可能 なオキシコドン徐放剤は,胃管からは投与不可能に なる。そのため,術後は塩酸モルヒネの持続静注で 対応した。前腕皮弁採取部位の痛みの性質が神経障 害性疼痛であったため,脱カプセル可能なプレガバ リンを胃管から投与することで,塩酸モルヒネを漸 減終了した。口腔癌に対する周術期緩和ケアでは, 痛みの種類の的確な診断,投与経路の十分な考慮の もと,緩和ケアの5原則やラダーにとらわれない管 理を行うことが重要である。さらに根治手術におい ても早期から緩和ケアを行うことで,より高度の疼 痛コントロールが可能なことから,周術期緩和ケア を積極的に推進すべきと考える。 目的:東京歯科大学口腔外科は昭和56年9月,千葉 市への大学の移転を機に開設され,地域歯科医師会 の協力のもと,医療連携を重視しながら高次医療機 関として診療を行ってきた。また,口腔外科業務の 一環として夜間の救急歯科診療を目的に当直業務を 行ってきた。開設当初は当直医1名であったが,来 院患者数増加と医療安全面を考慮し現在は2名体制 で業務にあたっている。今後の当直業務における医 療提供の内容と質の向上を目指すために過去5年間 の当直時間帯の来院患者の臨床統計を行った。 方法:今回は平成18年1月1日から平成22年12月31 日までの5年間における東京歯科大学千葉病院の当 直業務時間に来院もしくは電話対応を行った患者を 対象とし,臨床統計を行った。 成績:期間中に受診した患者数は4,368名,電話対 応のみの患者数は1,551名であり,併せて5,919例で あった。年齢は生後1カ月から94歳までで平均年齢 は33.0歳であった。また性別では,男性が52.5%, 女性が47.5%と,特に有意な差は認められなかっ た。 疾患の内訳は,来院患者では骨折や口唇裂傷など の外傷が1,069名と最も多く,次いで歯の疾患956 名,炎症620名,顎関節脱臼423名と多岐にわたる。 来院患者数を年別に比較すると,平成18年が904 名,平 成19年858名,平 成20年784名,平 成21年990 名,平 成22年832名 で あ っ た。ま た 電 話 対 応 患 者 は,平 成18年211名,平 成19年268名,平 成20年303 名,平成21年386名,平成22年383名であった。当直 業務時間に来院し緊急入院となった患者は平成18年 10名,平 成19年18名,平 成20年15名,平 成21年13 名,平成22年15名であり,疾患として最も多かった のが炎症で44%,次いで外傷32%,術後出血8%で あった。 考察:今回近年5年間における当直業務の臨床統計 を行った。開設当初より院内患者だけでなく近隣住 民や救急隊の要請を積極的に受け入れており,地域 に根付く医療を行っていると考えられる。今後も東 京歯科大学の水道橋移転にあたり,地域医療との医 療連携をさらに密なものとし,当直業務の向上に努 めていきたいと考えている。