il est NP 文とc'est NP 文
著者
藤田 康子
雑誌名
年報・フランス研究
号
33
ページ
139-149
発行年
1999-12-25
URL
http://hdl.handle.net/10236/9414
139
il est NP文
とdest NP文
藤 田 康子 0。 は じめに 人称代名詞 ilと指示代名詞ceの
競合 については,「同定文・ 記述文」,「値・ 役割」 な どの概念 を用 いた考察 が行 われ,多
くの指摘 が な され て きた。本稿 で はそれ らの指摘 を受 け,「集合」,「値 レベル にお け る識別 」お よび 「役割 レベル にお け る識別」 とい う概念 を導入 し,n est NP文
とcbst NP文の意味構造 につ いて考察す る。 本稿 で考察す る対象 は次の もの に限定す る。ユ については非人称用法は除外 す る。ceに ついては文 中の不定法・節 を指す用法,強
調構文 は除外す る。なお, il,ceの 指示対象 がNPと
して表 出 され る とき,こ
れ をNPl,etreに続 くNPを
NP2と
「記サこと に う…る (Gustave, ■est claveciniste ノGustave, c.est unclaveci五steに おいて NPl=Gusave,NP2=(unp Claveciniste)。
1.先
行研 究 と問題 点1。
1役
割・ 値 と ユ井元
1991は
,Fau∞
nnier1984の役割・値概念 を援用 した仮説 を提案 している。以下
,仮
説 の妥 当性 を検討す る。井元 はまず
,(la)の
よ うな文のilはson mariの 値 を,(lb)の
ceはson mari の役割 を受 ける と仮 定す るo.120)。(1)a.En ce temps‐ la,son ma●,ノ 6tait linttdste.
b.En ce temps‐ 1),son ma五,ど6tait un linguiste.(井元1991,pon9)
しか し
,(2)に
おいてilはunjugeの
値を受けていない。 (2)A la Cour supreme,un juge a moins de vingt ans.ao En 1936,o″
ノ
`θ
ブ
の
6tait de Californie.
b. En ce moment,〃est de Brooklyn.
co fFest gen6ralement irlandais。 (Fauconnier 1984,p。 79)
井元は un jugeと (2a),(2b),(2c)の ilは同一の役割 を共有 してい るが
,そ
れ ぞれ異なる値を持つ と考えるo。 131)。
ところが ユ は人を指す場合
,先
行詞の役割に照応せずに,男
女の性別に基づいて値のみに照応す ることがある。
(3) Mon dOCteur vient dlagrandir son cabinet de r6ception.腸 avait trop
de clients.(Raeiber 1990 inラ梓づ毛1991,pe127)
この よ うな観察か ら丼元はilは「『 十全 な名詞句』 として存在 してい る要素 を
指示す る」 とい う仮 説 を提案す る。「十全 な名詞句」 とは 「性 0数 の分類化 が可
能 な特性 を持 ち」,「その特性 が.… 値 を 自動 的 に与 える ことにな る名詞句」 で
あ りo.124),ilは必ず値 を もつ名詞句 として定義 され る。 しか し
,次
の例 はilが役割解釈 され,こ
の仮説 に反す る(1)。 (4) Le pr6sident,ノ change tous les sept ans.(り牛元,p.129)(5)Un cheval est un mammittre,etノse ld3Se dOmestiquen(井 元,p.121)
この
2例
では ilは さま ざまな値 を取 りえる変項 を指示す るので,役
割解釈 されるはず である。因み にFauconnier1984にはLe pr6sident change tous les sept ans.が大統領 は
7年
ごとに別 の人 に代わ る と解釈 され る場合,le pr6sidentは役割解釈名詞句 で あ る ことが明記 され てい る ope60‐61)。 ところが井 元の仮説
では この よ うな総称名詞句は値解釈 とみな され る。
その説 明は次 の よ うな矛盾 をは らんでい る。 まず,(4)の le pr6sidentは 時間
il est NP文と c'cst NP文 とい うo.129)。 な らば(5)のun chevalは時間パラメータも空間パ ラメータも固 定 されていないので
,役
割解釈を受けるはずである。ところが,こ
のような「総 称名詞句は『 種』そのもの,あ
るいはプ ロ トタイプ としてある一成員 を『 値』 とする」 とい うo.136)。 すなわち,井
元の仮説では役割0値とい う用語の使い方が一貫 していないのである。Fau∞nnierの 定義を変更 しない限 り
,こ
れ らのilは役割解釈 され ると考えるのが妥当である。 また井元の仮説に従 うな らば
,値
についてのみ属性 を述べ ることができるこ とになるが,こ
の点 も納得 しがたい。役割解釈 され る名詞句について も名詞句 が対応す る変項の属性 を述べることができるはずである。以上より,ilが
値解 釈 され るとい う仮説は問題があると言 える。 1.2 ceの機能 次にceに
ついて考える。井元はceに
ついては名詞句の役割のみを受ける場 合,値
のみを受ける場合,役
割 も値 も受けず,語
用論的関数で結ばれた対応物 を指す場合があることを指摘 し,役
割・値概念に基づいた定義を していない。東郷1993は(6)はle宙Ce_pr6sident des Etats‐Unisが役割解釈 され るとい う
解釈 も
,値
解釈 され るとい う解釈 も可能であると述べている Op.84‐85)。(6)Le vice‐ p“sident des Etats‐Unis,dest un c“tine
東郷は
,前
者の解釈はceヵヽ「役割解釈 される名詞句をさすJ同
定文であ り,後
者は 「値 と役割 を兼ね備 えた名詞句」について 「話者があ らたな観点か らその 役割解釈を問題にす る」再同定文であるとい う仮説を提案 しているop.84‐85)。 これ らはある変項に値 を与える文,あ
る値に別の役割 を与える文 と言い換 える ことができる(2)。4節
で見るようにcbst NP文
にはこの他,あ
る変項にすでに与えられた役割(NPlの
役割)と
は別の役割(NP2の
役割)を
与える文 (4。4)や
ある値 (NPl の値)に
異なるスペースに置かれた別の値(NP2の
値)を
対応 させ る文 (4。5)もある。すなわち
,ceは
役割・値に関係 なく名詞句を受けることができ,NP2
との対応関係 も役割・値概念に基づいて一元的に説明できるものではない。
2.NPの
特性ユ
est NP文
とctst NP文
の競合 の問題 は,ilと ceが何 を指すか とい う問題と して とらえ るだ けではな く
,文
全体が どの よ うな意味構造 を もつか とい う観点か らも考察す る必要があ る。2節ではまず
NPの
特性 について考察す る。2.1属性 とカテ ゴ リーの成員
次の発話 の意味構造 をみ よ う。
(7)Que fait Paul?― n estだι
"naゴ
た。 (8)Qui est‐ce?―
Cbst“
だt6五n血
n est NP文 (7)では
NPに
限定詞がつかず,c℃8t NP文 (8)ではNPに
限定詞がついている。(7)の v6“rin五Ю は属性を表わ し
,指
示対象をもたない。一方,(8)の un v6“ 五naireは あるカテゴリーに属す成員を表わし
,指
示対象をもつ。NPが
定名詞句の場合でも 一般にn est NP文
のNPは
属性 を表わ し,指
示対象をもたない。c℃st NP文の
NPは
カテ ゴリーに属す成員を指す。(9) il est Farヵ Latt db sa raH口″a(,こ九Ep.85)
(10)il est rapttmI″ あ
saめ
競.(,“
可p。1018)(11)il est″
"″
e」era″
二(12) C.est=2θ
"“
(13) C.est Fa b例協θ ごJηus19“θ9口θ ι″as tra口雄 a口χ ′ 口
“ s?
(14)C℃
stんd銘口J″コoddeあ
““6岬
eだ勁arp. 2.2 n est定名詞句文 の限度 n est定名詞句文については 伽 “ 凛夏施 屁Ja Pha"助
″鯛"が
使用 に制il est NP文と c'cst NP文 143
約 があ る ことを指摘 している。n est le meilleurは 性質付与 を,Cbstle meineur
は同定 を表 わ し,Paul,Ⅱ est mon meilleur amiは 性 質付与 を,Paul,c℃ st mon
meinew amiは
同定 を表 わすが,こ
の うち Paul,il est mon menleur amiは 容 認 しない フランス語話者 もある とい う (p。210)。C℃st le meineurが 同定を表 わす とい うことは le meineurが 指示対象 を もつ とい うこ とであ る。n est le menleurは le meilleurが 形容詞 の最上級 なので属 性 だ と解釈 され る。一方,il est mon meilleur amiが 容認 され に くいのは
,属
詞 が定名詞 句 で あ り指示対象 を表 わす こ とがで きるので
,属
性 を表 わす と解 釈す る こ とに抵抗 を感 じる話者 がい るた めであ ろ う。 次 の発話 の よ うに定名 詞句 が指示対象 を もつ と解釈 され る ときは容認 され ない。
(15) 士Ce mOnsieur9 n est Fepeinぬ りg口θノbゴЛttcu"騰6』Cannas.
これ らのことか ら il est定 名詞句文に 「限度がある」 とい うのは
,定
名詞句が指示対象 をもつ とい う解釈の方が優勢になると容認 され に くくなるとい うこ とだ と言 える。
3.」
の指示対象3節
ではilについて考察す る。2節
で見た よ うに,il est NP文 のNPは
属性を表 わ し
,指
示対象 を もつ こ とはなか つたが,反
対 に ユ は属性 を表 わす ことはな く
,必
ず指示対象 を もつ。 この よ うな意味構造 を もつ のはなぜ か。3.1値 と変項
倶6)Ma nttCe,aFFa est 6tudiante。
(17)Situ te manes,ton futur mari,ノ sera ton mettbur ami.
(18) Ce conCOurs quadriennal est leun des plus prestigleux du lnonde.La gagnante,eneest donc la lneineure chanteuse du lnonde.
特定の個体値 である。(17),(18)で は値 が定 まつていない変項 である。 この よ う に ilの 指示対象 の意味特性 は均一ではないが
,こ
れ らに共通す る統一的 な機 能 は何 か ? ilが 用い られ るのは,ilの
指示対象 の意味特性 にかかわ らず,そ
の属性 を述 べ る場合 である。属性 を述べ るには何 についてか (属性 を付 与 しよ うと してい る ものが何 か)が
明確 に され ていなけれ ばな らない。 す なわ ち,指
示対象 がそ れ以外 の もの と識別 され ていなけれ ばな らない。 この こ とか ら,ilは
指示対象 が他者 か ら識別 され てい るものを指す とい うことがで きる。 3。2集
合 では,他
者 か らの識別 とは何 か。先に見た よ うに ilの 指示対象 は個体値 であ る場 合 も変項 で あ る場合 もあ るが,こ
れ らはいずれ も集 合 の要素 だ と考 える こ とが で きる。 た とえば(16)では 「私 の姪 」 とい う一個 の個 体値 に よつて構成 さ れ る集 合,(17)では 「あなたの未 来 の夫」 とい う一個 の値 を取 りえる変項 に よ つて構成 され る集合 であ り,集
合 の要素 の範 囲 は明確 であ る。(18)では コンク ール の たびに異 な る値 を取 る変項 に よつて構成 され る集合 であ り,そ
の意味 で は取 りえる値 の個数 は限定 され ないが,elleが
指す の は毎回 の コンクール の勝 者 で あ り,取
る値 は一個 で あ る。集合の要素 の範 囲はや は り明確 であ る。 この よ うに考 える と,他
者 か らの識別 とは集合外 の要素か らの識別 であ り,ilは
集 合外 の要素 との識 別 が完 了 してい る とき,す
なわ ち範 囲が明確 に規 定 され てい る集 合 に対 して用 い られ る と言 うことがで きる。識 別 が完 了 し,要
素 の範 囲が 明確 にな ってい るた め,集
合外 の要素は視 野 にな く,集
合 内の要素 に視野 が絞 られ てい る。 その結果,NP2で
属性 のみ を記述す るこ とがで きるのであ る。 4。 cbst NP文2節 , 3節
よ り,ユest NP文
は 」が値 または変項 を指 し,NPが
属性 を表わil est NP文と c'cst NP文 145
し指示対象がないとい う構造をもつ ことがわかつた。では
cbst NP文
は どのような構造をもつ文か。
4節
ではまず,ceが
指す対象の意味特性をみる。次にc℃stNP文
の構造の代表的なタイプを取 り上げる。4.l ceの 指す対象
(19) Ce queje pense de lui?C.est un salaud.
(20)L』
物gご腱gaだ
eル″餞 口 “あ 7araθ tt cbst Eliane.
(21)●
2」ia Oubh6 son parapluie?― Cbst ma soeun(22) 1/ma"口rご後Fayatt c'est quoi ca?"C'est une piё ce de boeufseHne ∞mlne un faux‐met al'。s。¨grin6e.
(19)では
ceは
先行文脈 のNPlの
指示対象 であ る値 を指す。(20)でも発話場面 にその人物 が見 えてい るよ うな状況 な らば先行文脈 のNPlの
指示対象 である値 を指す。(21)では取 りえる値 がひ とつ しかない変項 を指す。(22)では さま ざまな 値 を取 りえる変項 を指す。 この よ うに,ceは
,値
も変項 も指す ことができる。 4.2同 定文1:値
付与型(NPl=変
項) では,NPが
指示対象 を もつc℃st NP文は どの よ うな構造 を もつか を見 よ う。 (23)Les aeur8 qublle a ache“es,ce sont les cam61ias dans le vase. (24) J'ai rencOntr6 un peintre a cannese C.est ce lnonSieur qui porte deslunettes. (23),(24)で は
NPlも NP2も
指示対象 をもつ。NPlの
指示対象 は聞 き手に とつ て特定 で きない値 (どれ かはわか らないが一個 の値 を取 りえ るよ うな変項)で
あ り,聞
き手 は集 合 内の要素 と して集 合外 の要素 か ら役割 レベ ル で識別 す るこ とはで きて も,値
レベル で他の要素 と識別す ることはできない。一方NP2は
聞 き手 の 日の前 にある値,値
レベル で識別 可能 な要素 を指す。 す なわ ち,こ
の よ うな文 は聞 き手が値 レベル で他 の要素 と識別 できない要 素 を識別 で きる要素 に 対応 させ る値付与型 の同定文である と言 うことができる。4。3同定文
2:役
割付与型(NPl=値
)しか し
,cbst NP文
はいつ も役割解釈 され る指示対象 に値 を対応 させ るわけ ではない。(25) Cet hOmme,c℃st un ami de Pierre。 (Frana2おa口″ θ″島p。91)
(26) Ce lllm,c.est une r6ussite.(Л ttd,p.91)
(27) (Lui,)c.est le roi des imb6cilese
これ らの発話ではce力`指す対象 は他 の個体か らす でに識別 され た個体 (値
)で
ある。 この よ うな発話 では
NP2は
値 を明 らかにす るのが 目的 ではない。対象 に新たに別 の役割 を付与す るのが 目的であ る。 この ことは否定のス コー プをみ る とよくわか る。
(28) Ce8量eurs,ce ie 80nt pas des pavotse Ce 80nt dOs pivoines.
(29)QuieSt Cet homme?Cbst un phonologue?‐ 一 Non,ctst un m6tricien. 値は
NPl(ces aeurs,ce homme)で
付与 され る。NP2で
はその値に付与される役割 (pavOtsと pivoines,phonologueと m6t五cien)が改めて問題 になつて
いる。否定は値ではなく
,NP2の
役割にかかつている。 このような発話ではNPlの
指す値にNP2の
役割 を付与す ることで,(潜
在的 に)他
の役割 との間に対立が生 じ,他
の役割が排除 され る。すでに値 レベルで 識別 された要素を役割 レベルで識別 しなお しているのである。 4。4同
定文3:役
割付与型(NPl=変
項) さらに,(30),(31)(32)の よ うにNPlが
変項であるとき も,NP2は
変項や値 といつた要素ではなく,役
割 を付与す るために用い られ ることがある。(30)Qui Sera la gagnante cette ann6e?Ce sera une Anglaise,car le
conoours est r6serv6 aux Anglaises。
優勝者 が誰 であるか決定 され てお らず
,NPlも NP2も
どの値 を取 るかが決 まつてい ない変項 であ る。 これ ら二つの変項 は同 じ値 を取 るはず で あ るが
,異
な るil est NP文と c'est NP文 147
役割付 与 の文 であ る と言 えよ う。変項 が役割 レベル で識別 しなお され てい るの であ る。
(31) Les ieurs que tu veux planter9 ce sont desjonquines ou des
narcisses?
NPlが
変項を表わす場合の解釈について考えよ う。話者が黄水仙か水仙の どちらか一方が植 えられ ると思っているとき,des jonquinesと des narcissesで想
定 している値 (変項
)は NPlで
想定 している値 (変項)と
同 じである。その同じ変項にどちらの役割が付与 されるかをたずねている。
NPlが
表わす変項に値を付与 しているのではない。役割 レベルでの識別が行われているのである。
(32)で は
NPlは
さまざまな値 を取 りえる変項である。(32)Une baleine,cbst un mammiぬ re.1l remonte a la surface de lbau toutes les cinquante minutes.
NPlも NP2も
変 項 を表 わす 。baleineに属 す 変 項 が別 の視 点 か ら捉 え る とmammttreと
い う役割 を付与 され ることを述べた役割付与型 の同定文 である。 4.5ス ペース間同定文 :値付与型 発話の 中にはNPlとNP2が
それぞれ異 なるスペ ー スに置 かれ,別
々の値 とし て認識 され ていた ものが,実
は同 じ個 体 であ るこ とを述べ るタイ プの ものが あ る。(33) Ta dentiSte,tu sais,en fait clest ton amie d.enfance Katia。
(3o La comtesse a une vo破 a6rienne.Ce nlest pas Natahe Dessay9
mais Patricia Petibon.
(33)は 掛 りつ けの歯 医者 (値
)を
幼 な じみ (値)に
対応 させ てい る。(34)で は,舞台で伯爵夫人 を演 じる人物 (値
)を
既知 の歌手 (値)に
対応 させ てい る。 このよ うな同定文 は異 な るスペー ス間で値 に値 を対応 させ るスペ ー ス間同定文 と呼 べ る。
4。
6総
称文総称文の中にはil est NP文ではなくcbst NP文が用い られるものがある。
NPl
が さまざまな値 を取 りえる変項タイプの総称文の場合
,ilが
総称名詞句を受けるのは
,取
りえる値のひ とつひ とつについて記述する場合に限 られ る (3節)。たとえば, Le pr68ident,n doit etre 61u conform6ment aux rёgles Шlpos6es。で
はle pr6sidentが さまざまな値を取 りえるとはいえ,le p“sidentを 選出すると
い う行為はひ とりひ とりの le pr6sidentに ついて行われ るので
,集
合は一度にひ とつの要素か ら構成 される閉集合であ り
,そ
の範囲は明確である。このためilを用いることカシできる。 La gagnante,ene est donc la meineure chanteuse du
mondeeの
gagnanteのよ うな名詞句の指す要素 もコンクールにつき一個体なの で,」 が用い られ ると考えられ る。一方,Un hOmme,dest ttagile。 のような発話では
,取
りえる値のひ とつひ とつについて属性 を述べているのではない。集 合は取 りえる値が無限個ある開集合である。 この場合には集合の内 と外を隔て る境界が明確ではないため,ceが
用い られ る。5.仮
説 nと ceの 競合の問題 について主にn est NP文とc℃st NP文
が どの よ うな意 味構造 を もつ か とい う観 点 か ら考察 を行 つた。 以上 の考察 か ら次 の仮説 を立 て ることができる。 ・ il est NP文 は範囲が明確 である閉集合 について要素 (変項 または値)の
属性 を述べ る文 である。 O cbst NP文 は値あるいは役割 レベルで要素を識別す る同定文である。 ■ は変項 で あれ,値
であれ,集
合 の要素 の範 囲が明確 であ る ときに用 い られ る。n est NP文
は この よ うな範囲の安定 した要素 につ いて属性 を述べ る文であ り,NPは
属性 を表 わ し,指
示対象 をもたない。 したが って,集
合が開集合で, 変項が取 り得 る値 が無限にあ るタイプの総称 文 では ユ を用 い ることがで きず,il est NP文とc'cst NP文 149 対象 を直示的 に指す ことのできる ceが 用 い られ る。 一方
,cbst NP文
については, 1)値
が不 明であ る変項 に値 を付与す る, 2) 値 に異 な る役割 を付与す る,3)値
は不 明のまま変項 に異 な る役割 を付 与す る,4)す
でに値 と して認識 され てい る要素 に異 な るスペ ースで値 として認識 され てい る要素 を対応 させ る,とい う操作が行 われ てい ることを観察 した。1)と 4) では値 を付 与す る こ とで他 の値 か らの識別 が行 われ る値 レベル での同定, 2)
と3)で
はあ る役割 を付 与す るこ とで潜在 的 に他 の役割 を排 除す る役割 レベル での同定が認 め られ た。 注 (1)(oは同一人物が7年ごとに変わるとい う解釈も可能であるが,ここでは7年ごとに別の人物に 変わるとい う解釈を取 り上げる。 (2)東郷は後者について 「役割 と値を兼ね備えた名詞句」が 「新たな値を付与する同定文の主語J になつていると述べている。 引用文献DUF(〕
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