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スギ林の管理につながる環境にやさしいスギの香りを利用したイネと野菜の害虫防除法の開発

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Academic year: 2021

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平成30年度農学部特別研究費研究経過報告書 1.研究者名 米谷 衣代 2.研究課題名 スギ林の管理につながる環境にやさしいスギの香りを利用した イネと野菜の害虫防除法の開発 3.研究目的・内容 スギ林の手入れ過程である間伐や枝落ちで発生する商品価値の低い枝や葉の香りをイネや野菜の害虫管 理に活用する方法を開発する ことを目的し、室内実験及び、野外操作実験によりスギの葉の香りが害虫へ の忌避作用、殺虫作用をもつかを調べた。まず、室内実験により、ナスの重要害虫であるミナミキイロア ザミウマに対する忌避性を調べ、さらに、スギの葉をそのまま使い、スギの葉の香りが野外でのイネの害 虫群集に与える影響を調べた。 4.研究の経過 薬剤抵抗性が発達しやすい重要農業害虫のミナミキイロアザミウマへの樹木エッセンシャルオイルの効 果 【方法】ナスの葉片(直径1.5 cm)を 4 枚用意し、そのうち 2 枚に スギまたはヒノキのエッセンシャルオイル0.01, 0.1, 1%を塗布した。 プラスチックシャーレ(直径90 ㎜×高さ 15 ㎜)に寒天培地を入れ その上に、上記ナス葉片4 枚を中心から 27.5 ㎜の円周上に処理葉と 未処理葉を交互に等間隔で配置した(図1)。シャーレの中心にアザ ミウマ10 匹を放し、1 時間後、1 日後、2 日後、3 日後に各葉上に何 匹アザミウマがいるかを記録した。 【結果】スギ、ヒノキ共に対照と比べてミナミキイロアザミウマを有 意に忌避しているのが確認できた。この事からスギとヒノキはミナミ キイロアザミウマに対しての防除剤として利用の可能性があると考 えられる。また、殺虫率を調べたところスギ、ヒノキ共に高い死亡率であった。次に、本研究費で購入し たガスクロマトグラフを用いてヒノキとスギからヘキサンで抽出した溶液の分析を行った。検出した成分 のリテンションインデックスから仮同定を行った結果、複数のテルペン類が検出された。 野外におけるスギそのものの香りの効果 【方法】野外にワグネルポット30 個それぞれに苗 5 本ずつ 植え、近畿大学農学部のガラス温室内で1 か月半弱育てた 後、6 月中旬に各ポットを1m間隔で近畿大学農学部の圃場 に配置した。粉砕したスギ10gをお茶パック(幅 160mm× 奥行25mm×高さ 210mm)に入れたものを 20 袋用意した。 スギの葉を入れたお茶パック1 袋をポットの周りにつるし たもの(図2)、更に1 袋をポットの水の中に浸したものと、 対照区としてポットの横にスギの葉の入っていないお茶パ ック1袋をつるしたものをそれぞれ10 ポットずつ用意し検 証を行った。異なる処理のポット間は3 m 以上あけてポット を配置した。週に1 回、害虫を目視で調べて種類と個体数を 記録した。また、植物上に水をかけて節足動物のDNA を回収した(特許申請中)。 【結果】害虫があまり発生せず、処理間での違いを調べることはできなかったが、イネ上から節足動物の DNA を回収することはできた。 5.本研究と関連した今後の研究計画 今後はスギの抽出物の抽出方法による成分の違いとスギを採集する季節による香り成分の変化とその抽 出物のアザミウマへの忌避性の変化を調べる。また、植物揮発性物質は植物の生長や防御機能へ影響する ことが知られているため、栽培植物への影響も調べていく。これらの研究の結果、最もアザミウマへの忌 避効果が高く栽培植物への負の影響のない成分を推定し、その成分の実際の忌避性を調べる。イネを使っ た野外実験では、イネ全体のバイオマスが小さかったために害虫が十分に集まらなかったので、今後、広 いイネ圃場での実験を行い検証する必要がある。しかし、そのための十分なスペースがすぐには確保でき ないため、まずは、露地栽培のナスなどで、スギの香りの効果の検証を行う。また、今回のイネの実験で 得られた害虫のDNA データを解析し、処理間で検出した虫の組成に違いがないかを調べる。 図1選択実験の様子 図2 イネとスギを入れたお茶パック

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