グ レアム ・グ リー ンの 「
地下室」 について
On 'The Basement Room'by Graham Greene
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1935年 に発表 された [地下室
」(
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は、 同年 の リベ リア旅行 の帰途、 「航海 の倦怠感か ら逃れ るために貨物船上 で構想を得て(
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制作 された短篇 であ るo グウェソ ・ボー ド- ソ(
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が、「
F地下室 』に 含ま れ るア 7 1)カに関す る記事 の意味 は、 F地図のな い旅』(
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に よって それを解 く鍵が与 え られていない とすれば、明白 にな らないだ ろ う(当 と言 うよ うに、 「地下室」 が F地 図のない旋 』の もつ、空間的移行に時間的遡 行 を重ね ることに よって、人類の原始 と個人の幼 年時代 を探 るとい う二重 のテーマ と構造 を共石す ると考 え ることがで きれ ば、 フ ィ リップ少年 とペ イ ンズ との融合、離反の関係を理解す ることは容 易 にな るだ ろ う。 物語 の中でペイ ンズは未開に対立す る文明の秩 序 の擁護者 であ ると考 え られ る。 ロン ドンのベル グ レイ ヴィアの大邸宅にあ って、午前 11時半 に ジ ンジャー ビアを 1杯飲み干 したあ と、 チ ョップを 食べ る習慣 を信奉す るとい うふ うに、以前 シエ ラ レオネの沿岸植民地 で暮 ら していた ときの白人の 権威を引 きず ってい るか らである。 彼 は何かをな くして残念 が ってい るように、 ジンジ ャー ピアを ぐっと飲 んだ(.3) またペイ ンズは同時に、緑 の ラシ ャ張 りの ドア に よって隔て られた 2階の子 ども部屋に よって表 され る 「原始」 の体系の守護者 で もあ る。彼 はそ の世界 の住 人であ るフ ィ リップにた い して子守唄 の代わ りに沿岸植民地 にいた頃の羽振 りの よい暮岩
崎 正
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Masaya Iwasaki
ら し向 きを黒人の 「文 明」度の低 さを素材に した お伽 噺 に して聞かせ るのであ る。 少年 が- ミーの秘密 を洩 らす ことに よってペイ ンズを無意識 に裏切 った のは、ペイ ンズの もつ、 「原始」社会 の主宰者 と しての役割 と 「文 明」 人 と しての存在 との間に亀裂 を見 出 したか らである。 そ してペイ ンズとの接触 をみずか ら断 ち切 ったた めに 「原始」 の世界か ら閉め出 されて 「死」 に向 か う。 こ こで グ リー ソに よって提 出 され た 「生」 と 「死」 の関係を未開社会 のイ ニシエーシ ョンに見 られ る 「死」 とい う存在 の位相か ら促 えてみ るこ とも、 フ ィリップ少年 を原型 と して無限 に再生 さ れ る幼年 の死 を理解す る有効 な方法 とな るだ ろ う。2
『地 図のない旅 』は、少年期に Fソロモ ン王 の 洞窟』 (
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に よって アフ リカ熟を掻 きたて られた グ リー ンが、 シエ ラ レオネの沿岸植民地 にあ る白人の類廃的 な 「文 明」 体系 の地 域を経 由 して リベ リアの奥地 の 「原始」
秩序 の地 域を通過す ることに よって生- の希望を 呼び醒 され る旅行記であ る。 金持 ちグ リー ン家のい とこのバー/1ラ ・グ リー ンは23歳 の とき、 リベ リアに行かないか とい うグ レア ムの冗談 をシ ャンペ ンを飲 んだ勢い につ られ て承諾 し、約40日にわた る原始 の世界- 旅立つ。 彼女 は後 に旅行記を著 し、 グ 1)-ソにつ いて次の ように語 る。 彼は ど うい うものか上 の空であ った り、実務に向いていない ように見えたが、後にな ってみ ると彼の能率的 な点 と、 どんな細かい ことに も 心 を注 ぐ点 にび っ くりした。本当にお気に入 り の三、四人を除 くと、他 の人たちは彼に とって は、科学岩 が標本を検査す るように冷静に落 ち 着いて検査 した い と思 ってい る昆虫の群れ に似 てい るのではないか と感 じた。彼 はいつ・も丁寧 だ った し、相当に ユーモアの感覚があ るが、厳 粛す ぎて人か ら笑われ るような面 はほ とん どな か った(.4) 一方、 グ 1)- ンほ F脱出路
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1980)の中で、 「23歳 の女性であるい とこのノミ-バ ラを この冒険 の巻 き添えにす ることは少な くと も軽率だった(5J)が、旅行中彼女 が、道中の判断を すべて グ リー ンに任せ、け っ して批判を しない点 で適切 な同伴者だ った と言 う。 1935年 当時のシオラレオネは、沿岸地方がイギ リスの直轄植民地 、内陸部が保護領であ り、 また リベ リアはす でに憲法を もつ共和 国であ る。 グ リーンは旅行 中、 シエ ラ レオネ と リベ リアの 沿岸地域の 「文 明」 の秩序が届かない奥地 に、 ま った く独 自の 「原始」 の秩序が あることを知 る。 (1) フ リー タウンでは ヨー ロッパ風の商店、教会、 官庁、 2軒のホテルが醜悪 なのにた い し、 「原 始」 の秩序に基づ く美は 「果物売 りの小 さな露 店」や 「日曜 日の朝、堂 々と教会か ら家に戻 る 原住民 の女た玉
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1であ る。 また制服を着た ク ・) オール人は 白人 の代役にす ぎず、 白人か ら見 る と滑稽 な存在だ(07) (2)女 の美については 白人 「文明」 の基準に よる 「小 さな丸い未熟 の ヨー ロッパ風の乳房」 よ り も 「平 らなブ ロンズのたた ま りをな して垂れ下 が ってい る乳房(8J)の方 が美 しく感 じられ る。 (3) シエ ラ レオネの白人 「文明」 の光が当た らな い保護領 の地域では、 「たいがい原住民の知 っ てい る事 の方が重要 にな る」 のはた とえは 「医 者 でで もなけれ ば蛇 に巧交まれた傷 を彼 らは ど う ま く治療 で きる可能性は少ない(91か らであ る。 (4) 海岸か ら50マイル以上 の奥地 では 「文明」 は 停止す a(loo) (5) 「文 明」 は 「シエ ラ レオネに関す る限 り、 ペ ソデ ソプ-までの鉄道であ り、 ヤシの実の輸 出 増 であった(lDJ0 (6)奥地 では時間は計測不能にな り、時間のない 世界が現れ る。 「文 明」 の利 器 であ る時 計 も 「原始」 の気候には勝てないか らであ る(!9 (7)奥地 では、 ヴィク トリア女 王の銀貨 は女王 の 死 とともに価 値を失 うO.3) ¢)先を急 がず 、 「自分 をアフ リカ とい っ しょに 漂流 させ る」 よ うにな った(i心 (9)彼 らは子 どもに優 しく、隣 人同士 に礼儀正 し く、一つの礼儀の規準 を守 ってい る(i.9 (10) 警察のない国を一財産 の銀 貨を もって無事 に 通過 で きた ことにグ .)- ンは驚 くuoOそ うい う黒 人を沿岸地 域の 白人は信用 してい ない(i乃臥
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どの村に行 って も原住民 が山の よ うなグ リー ン一行の 日用品を見に好奇心 をま る出 しに して 集 まって釆 たが、 「どんな些細な窃盗で さえ 1 回 も起 こらなか った(LB)0 02) 「1)ベ 1)ア共和 国の奥地 の伝道 団体 は政治に も商業 に も何 の接触 ももたない点 が独特であZ
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的 7'-ズ ィー地域 の原住民は、 シエ ラ レオネの 「ィギ リス化 した教 育のあ#Oj黒 人に比べ尊厳 を感 じさせ る態度で歩 く。 (14) この地域では 「畑 で働 くときの男の持つ 農具 で さk
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当沿岸地域 の トタン小屋に比べ旧い文 明 を持 ってい る。 85) 「大統領が検査 のために拡げて い るブーズ ィ -の布地 ほ ど実 しい ものを見 た ことはなか ったeJa。 それ は 「文 明」社会 の伝統 とは異 な る文化 の体 系か ら出現 した ものだか らであ る。 鯛 ガライ-を出てか らは、時 間の経過 について は、 1日単位 どころか、週、月の単位 で も計測 不能であ ることを思い知 らされ ガ3j。 「文 明」 の秩序 と 「原始」体 系 との最大 の相違 は、 「文 明」社会 にあ る計測可 能な時間 も空間 も 「原始」社会 には存在 しない とい う点であ り、「原 始」 の体系 の根幹は停止 した時間 と地 図のない空 間の存在にあ る。 幼年 の喪失 か ら成 熟 に至 る人類 に共 通 の原始 的体験の原型 は、近代社会 がす でに失 ってい る原 始社会のイ ニシエーシ ョンの中に見 ることがで き るO ミルチ ャ ・エ リア-デ(
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に よれは、未開社会 では、子 どもが成 人に転化す るため の厳 しい過渡儀礼を部族の全少年 に義務づけてい るとい う。儀礼は神話的時間の中で行われ、修練 者 は厳 しい試 練 を通 過 す る こ とに よって幼年 の 「死」 か ら聖 なる 「再生」 に達す る。 なぜ な ら、 儀礼は、超 自然者 が主宰す る万物 の創造、生成、 滅亡 とい う存在様式 を模倣す るか らであ ae.A た とえは、 オー ス トラ リアのあ る部族では、子 どもはその母親や周 囲のすべての女た ちか ら引 き 離 され て聖所 に隔離 され、部族に伝わ る宗教的伝 承 を教 え られ るとともに、新 たな存在 の位相へ移 行す るために身体にあ る種 の手術 を施 され る禦 幼 年 の生 -俗 と再生 -聖 とは非連続 の存在だか ら、 その鼻界を通過す ることは 「死」 の体 験を意味す る。 したが って子 どもに とっては、星や月明か り のあ る闇ではない神秘的な暗黒 と神 々の接近 とい う 「死」 の体 験は恐怖 の事件 であ る空の また、 ガボ ンのパ ッキ ンバ族 の儀礼 の場合、子 どもは試練 の最中に体 験 した ことを他 人に話 さな い ことを誓 う。その秘密を洩 ら した ときは殺 され るとい うC.a 「原始」 の支配す る リベ リアの奥地 で、 グ リー ンは当然の ことなが ら部族の過渡儀礼を見聞 し、 その事例について記 してい る。 原住民 の子 どもは村を離れ て森 の学校 に2年間 入学す る。無事に この 「死」 を通過す ることがで きた子 どもは、体にいれすみを施 されて再生に達 す る。子 どもの2年 間の 「死」 を主宰す る森 の学 校 の校 長 -仮面をつけた悪魔は子 どもに とって恐 怖 の絶対名 である。 旅の途中で グ ])- ソが雇 った ポーターのマー ク 少年に よると、ある日 ミッシ ョン ・スクールにい るとき、突然や って きた 「悪魔」 に よって手足 を 縛 られ 目隠 しを され て、森 の学校-連れ られ、そ こで首、版 の下 と腹に小 さなす じをつけ られ、 2 週 間後 に村-帰 されたが、その間 したのは坐 って 米 を食べ るだけだ った とい う。
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「地 下室」 はフィ リップ少年 が生 を発見す ると ころか ら始 まって、死 を体験す るところで終 り、 「庭 の下」 (`
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は ワイル デ ィッチが死 を通過 して再生 に向か うところで終 る。生 と死、死 と再生の領域 を分け る鍵 は、 ラシ ャ張 りの ドアの持つ両義性にあ ると考 え られ る。 そ の ドアを挟 んで子 ども部屋 と大 人の部屋、原始 と文 明の二種 の世界が対時 し、少年 が ドアを通 し て生 と死 の問 を往復す るか らであ る。 フィリップ ・レインは下-降 り、 ラシ ャ張 りの ドアを押 して、食器室をのぞいたけれ ども、ペ イ ンズはいなか った。生れて始めて地下室へ行 く階段 に足 をかけ ると、 また もこれ が人生なの だ とい う感 じが したoeS 境界 と して の ラシ ャ張 りの ドアの原型 は、 グ リ ー ンが6歳 の ときに一家 が移 り住 んだバ ーカムス テ ッ ド ・パ ブ リック ・スクールの校長公舎 の中に あ り、私 邸 と校舎を隔ててい る。 それについてマ イケル ・トレーシー(
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は次 の よ うに記 してい る。 校長公舎 自体は2つ の区画に分かれ て いた。 私邸側 では ヒューやその兄弟姉妹が両親 と暮 ら していて、 両親 の愛情が どち らか といえは遠 ま まっLで、 ときどきサデ ィステ ィックに な る女 中 がいた に もかかわ らず、少 しは満足を味わ うこ とがで きた。 1階のチ ャール ズ ・グ T)- ソの書 斎を越 えて、狭 くて天井が低 く暗い石 の廊下の 端 にあ る録 の ラシャ張 りの ドアは両方 の世界 を 隔て る国鼻地帯であった。 ヒューほ ドアの私邸 側にい るときほほは安心 してい られた が、そ こ を通過す るといつ も、その気分 がす り抜 けて嫌 悪 を感 じた り、憂勘 こなった りした望
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この文章 の中の 「ヒュー」を6歳年上 の 「グ レ アム」に置 き換 えれば、その まま校長校 舎 の中に は グ 1)- ソの幼年 を彩 る生 と死 の世界 が現れ る. グ リー ンは ドアの国境上 に仔む ときの宙 ぶ ら りん の意識 を F綻 な き道』(The
LawlessRoads,1939) の中で次 の よ うに語 る。父の書斎の脇 の通路にあ る緑 の ラシ ャ張 りの ドアを押 しあけ ると、紛 らわ しいは ど よ く似 て
い るも う1つの通路に 出るのだが、そ うはい う ものの異国の土地 に い るのだ。 寮母の部屋か ら は ヨー ドの匂いがいつ も していて、更衣室か ら は蒸 しタオルの匂いが、 またそ こら中か らイ ン クの匂 いが していた。 再び ドアを背に して閉め ると、世界は書物、果 物 とオーデ コロンの違 っ た匂いが した。 私は 2つの国の住 人であった。土曜 と日曜の 午後には ラシ ャ張 りの ドアの一 方 の側の住 人に な り、平 日は もう片方 の住 人にな る。境界線に いて ど うしてそわ そまっしないでい られ るだろ う かOoo) 上 記 の文は35歳の と きに表 した13歳の グ リー ン 自身 の心象風景であ る。 グ リーンは13歳の ときに セ ン ト ・ジ ョン寮に入 って以来、校長公舎内の ラ シ ャ張 りの ドアを通過 して、寮生活 に不潔 と残酷 さとい う悪 を認識す るこ とに よって永年にわた る 死 の中を潜行 し、22歳 の ときのカ トリック- の改 宗を経 て、31歳の ときに リベ リア旅行 中生-の希 望を確信す るとい う再 生 に達す る。 その20年近 く にjった る生 一死 一再生 の時間 と体 験を重ね合わせ たのが, F綻な き道 』の 「地獄の存在 を信 じたか ら、天 国の存在 を信 じるようにな った当 とい う告 白であ る。 この逆説的な信仰告 白の前段 「地獄の存在 を信 じた」に見 られ る恐怖 と絶望に充た された死の領 域に滞在す る作墓がパ ブ リック ・スクール在学 中 にその悪 の認識 のモチ ーフを詩に蓑 したのが 「賭 博師」 (`TheGamesters,'1923)で あ る。 マ リー -フランソワー ズ ・ア ランとの対談集 Fもう一 人 の男』(TheOtherMan,1983)に よれ ば
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Fパ ブ 1)ック ・スクール詩選』(AnthologyofPublic ISchoolsTre7Se)の中に掲載 された別の物語の中で私は (また して も) 神 に悪魔 と不確定な結末 を も っ チ ェスのゲームを させてみたObJと語 っているが、 これは グ リー ンの記憶違 いで悪魔が神にたい して カー ド ・ゲームの 「戦 争」を挑む作品であ る。 賭 博 師¢3) 地球 は広大な宇宙 の海 にあ る昼 と夜に彩 られ た 1つ の癌 に過 ぎなか った。 そのあた り一面に星た ちが 興奮におののいて、群が って じっと見つめてい た そ して上 の方では神 と悪魔が札をは っていた・ -悪魔が噸笑 して言 う、 「この新 しいお まえの地 球 の運命 をおれに賭け て くれ。 も しお まえが勝てば、おれ は戦争か ら手を引 こ う。 も しおれが勝 った ら、 この何百万 もの星をおれ の玩具に させて くれ、好な きように考 え、振舞 わせて くれ
」
す ると神は果 て しない退屈 な戦いに疲れ きって いた ので、 答 えた、 「そ うしよう」 両名 は トランプをは った。 あ らゆ る星たちがび っしりと近寄 って見 とれて いた。 両者 はあ と1枚だけ札を残 して12組の札を取 っ ていた。 悪魔 の顔にゆ っ くりと 勝 ち誇 った希望 と確 かな勝利 に充 ちた意地悪 い 笑いが浮 んだ。 冷たい身震いがすべての星た ちを通 り抜けた。 悪魔はキ ングの札を出 した、す ると神は - ・結 末 はわか らない。THEGAMES
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S糾 ByH.GrahamGreene,BerkhamstedSchool THEearth wasbutoneknobofcolouredh'ght lnthevasts甲Ofspace・ Allroundthestars h dreadexcitementdustered,watchingdose,
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「当時 カ トリック教徒で もなければ、信者 で も なか っ
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9Jグ .)- ソの関心 は 「戦 争」 ゲームの勝 負にあ るのではな く、 「外 国人であ り、容疑者で あ り、怪 しい共犯者 のい ることがわか ってい る文 字通 りの追 われ る者 であ った国OJOに充 満す る強大 な悪 の実在 を、 カー ド ・ゲームに勝 ち誇 った笑 い を見せ る悪 魔の表情 と して表す ことにあった と考 え られ る。 「戦争」 は単純 な家庭 的 なゲームであ るため、現 実にプ ロの賭博師が利 用す ることはな いだ ろ うが、 「賭博師」は成 人 した グ リー ンの回 想 を通 さず に、少年 の感性 を通 して現実 の悪 を ど う捉えたか とい うことを示す要素 と して採 りあげ る価値を もつだ ろ う。4
リベ リアの沿岸植民地の出身 であ るペイ ンズの 行 動 に は グ 1)- ソが 1)べ 1)7旅行 中に観 察 した 「文 明」地 域の 日常生活が再現 されてい る。往路 の船旅でセネガルの ダカールに寄港 した とき、「中 年 の船会社代理店の男は食事 が始 まるたびに、沿 岸地 域では食事 の ことをチ ョップとい うんです当の と乗客に教 え る。 またそ この船着場 ではセネガル 人の男た ちが 2人ずつ互いに手 をつないだ り、相 手 の首に腕 を まわ した りして、親愛の気持 ちを蓑 してい る。 しか しグ リーンに とって 「それ は愛で はなか った。私た ちに理解す ることので きる何事 を も表 していなか っJ書 と感 じられたO 「地下室」 の始 ま りで、ペイ ンズが フ ィ リップ に向か って チ ョップ と40人の黒人の話をす るとき に、 ペイ ンズもフ ィリップの父 もともにア フ リカ のイギ リス植民地で事業を企てるコースター(a)a
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-er)であ り、ペインズが ドアの向 うにあ る 「文 明」 秩序 の支配者であ ることが示 され るO 同時に グ 1) - ソに よるフ リータウンの腐敗 とモ ンロビアの原 初 の対比を考 え ることに よって、 フ ィ リップの両 親 が休暇 に出かけたあ とベル グ レイ ヴ ィアの大邸 宅 にあ って 2週間だけの支配者 とな ったペイ ンズ の 「文 明」 の秩序 も終 りを告げ よ うと してい るこ とが暗示 され る。 フ ロイ トが言 うように、夢の作業が人を二重の 太古 の時代、つ ま り個体 の幼年時代 と人類 の原始 の時代 に連れ戻す とい う点で、 グ リー ンは7歳に な ってか ら、子 ども部屋- の階段 の上 が り口の と ころ で魔女 に襲 われ る夢 に よって西 7 7 1)カの 「原始」-牽 き寄 せられたのだ。
「スイ スに優先 して西ア フ リカを選 んだのは完全な意識的な精神 に よるものではな潤 か らであ る. ペ イ ンズ と- i-とフィ リップの 3人の会食 の ことを知 った あ と、夜半 に子 ども部屋 の フ ィ リッ プの ところ-や って来た 「グ レーの髪をふ り乱 し、 黒い服の ,ボタンをの ど元の ところで とめ、黒 い手 袋をu=(40jペイ ンズ夫 人は 「夢 の中の魔女 そのま ま」 だ った。 この点、 ペイ ンズ夫人は フ ロイ トを 通 してア フ リカ奥地 の森 の学校 を主宰す る 「悪魔」 の小説的再現 であ り、同時に、 Fソロモ ン王の洞 窟 』のガグールの再生 であ るとい うことができる。 一方、 ドアの こち ら側の子 ども部屋はア フ リカの 「原始」 の秩序 に支配 され てい る。 フ ィ リップは- ミ一に次の ように2回 出会 って い る。 (1)少年 は町 に出て、喫茶店の中にペイ ンズと愛 人 の- ミーがい るのを見 る。 しか し姪 と して紹 介 され る。 (2) ペイ ンズ夫 人が外泊 してい るときに、 少年 は ペ イ ンズとともに楽 しい 1日を過す。 -イ ド ・ パー ク、 「コーナー ・- ウス」 での昼食、動物 園。夕食は3人で食べ る。 ペ イ ンズに よって前記の 2つを秘密 と して守 る ように約束 させ られ ることに よって、 男女 の性 を もた ない フ ィ リップは成人に向か うためのイ -シ ェー シ ョソの試練 の中に突然泣致 され るのだ。 -ミ-の出現 とともにベルグ レイ ヴ ィアの邸宅はア フ リカの非 日常 の 「森 の学校」 に転化 し、 ペイ ン ズは仮面 をつけた超 自然者 を演 じ、両親不在 の 2 週間 は過渡儀礼の聖な る時間 と して経過 す る。 フ ィリップはその秘密 を洩 らしてペイ ンズを無 意識 に裏切 ることに よって、 イ ニシエ ー シ ョンの タブーを犯 したために再生 に失敗す る。 - ミーの 存在 の秘密 - この心象風景は じきに少年 の記憶 か ら忘れ られ て しま うが、その無意識の 中に永遠 に留 まることにな る。 フ ロイ トに従 えば、 幼児期 の重要 な事柄 は凝縮、移動 を通 じて隠蔽記 憶 と し て存在す るか らであ る。 この記憶は60年後 の死 の 床にあ るときに無意識 の中か ら蘇 り、 フ ィ リップは 「あの女 はだれだね(43とかたわ らの秘書に尋ね る。 「原始」 に属す る少年 と超 自然者を演ず る 「文 明」人のペイ ンズとの関係 が崩れ て しまったあ と、 両者は人生に怯 えた 7歳の少年 と 「犬 の ように無 言 で嘆願」す る男に転化 し、 「森 の学校」はベル グ レイ ヴ ィ了の邸宅に変 る。 しか し邸内の世界 は もとの 「文 明」 人のペイ ンズと 「原始」 人フ ィ リ ップ との関係が破壊 された廃嘘 であ る。 こ うして フ ィ リップが秘密 を洩 らす ことに よ り、 ペイ ンズの もつ超 自然著 の役割が剥 ぎ取 られ ると きに、超 自然名 に よって支配 され ていた フィリッ プの属す る 「原始」世界が消滅す る。幼年の世界 か ら閉め出 され た フ ィ リップは 「ラシ ャ張 りの ド ア」 の国境に立 ちす くむ。 国境の最後 の駐屯地か ら信号が明滅 し、懇炉 L欺願 し,記憶を引 き出そ うと した(iカ この ように して13歳 の グ リー ンが寮 と家庭 の両 方か ら逃避 して潜む 「国境」 と しての クロッケー の芝地 の原型である校 長公舎 内の ラシ ャ張 りの ド 7が 「原始」社会 の過渡儀礼にある生 と再生を遮 断す る 「死」に重な る。それ は グ リー ンが言 うよ うに、森 の学校 が 「イギ リスのパブ リック ・スク ールの ように幼年期 と成年期の問に気味悪 く存在 す る讐 か らであ る。 そ して 「死」のイ メ-ジを学 んだ校 長公舎 の ラシ ャ張 りの ドアはベル グ レイ ヴ ィァの邸内の ラシ ャ張 りの ドア として、 また 「橋 の向 う側」 (EAcrosstheBridge,'1938)のキ ャロ ウェイ氏が仔む ア メ リカとメキシ コの国境 と して、 無限に再現 され る。 このバーカムステ ッ ドに形状 が無限に再生 さ れ ることにな る原型 があ った(34 この 「ノミー カムステ ッ ド」 を 「ラシ ャ張 りの ド ア」 に置 き換 えれば、ユ ングの 「魂 こそが意識 の 母胎 であ り、主体 であ り、意識 の成立 を可能にす るものであZ,(49Jとい う世界が現れ るO
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国境 と しての緑の ラシ ャ張 りの ドアに よって示 され る生 と死 の係 わ り合 い の重層的 な意味 は, 「あ る型のモチーフが さまざまの民話や伝説 の中 にはは 同一 の様式で再生 され #OJとい うユ ングに 従 えば、神話の類型を持 ち出す ことに よって一層 明 らかに され るだろ う。 旧約聖書 の創世紀に よれば、 エホバ神英 人に命 じて言た まひけ るは園の各 種 の樹の果 は汝意 のままに食 ふ ことを得 然 ど 善悪 を知 る樹 は汝 その栗 を食 ふべ か らず汝之 を 食 ふ 日には必ず死ぺけ九はな り (2章 16-17) 楽園の創造 の中のこの1節は、生 と死 の係わ り あいを考 え る上 でたいへ ん暗示 的であ る。 これ に よれば、人類 の始祖は誕生の ときに生 の恩恵を約 束 され るとともに、死 の可能性を宣 告 されている。 なぜ な ら、アダムとい う名 は-プル語の 「人」を 示 し、 「土」を示す 7 ダマに由来 してい るか らで あ る。だか ら創世記3章19節 の 「汝 は面 に汗 して 食物 を食 い終に土に帰 らん英 は其 中 よ り汝 は取れ たれはな り汝 は塵 なれ ば塵 に坂 るべ きな りと」 に あ るよ うに,人は生涯 にわた って土 を耕 し、土に 帰 るとい う死を誕生 の瞬間に畢 んだ のである。 し か し、誕生 に際 して選択 の 自由意志 を神か ら与 え られてい るので禁断の木の実 の按 にたい しては、 遵守 と違 反の どち らを とることもで きたはずであ る。
「た の しみ」 を表す エデ ンの園にあ って、蛇 との出会 いが一つの事件で あった のは、 人間が楽 園に作 られた 「善悪を知 る木」 の両義性 を認識で きなか ったために、蛇 の強大 な悪に よってイ ノセ ン トな幼年時代 を喪失 し、 楽園を追放 され、唐罪 の旅に向かわなければな らなか った か らである。 後 日、蛇 は悪魔の象徴 に発展 し、 ヨ-ネの黙示録 では、天使 ミカエルと戦 って敗北す る。 グ リー ンの F自伝』(
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ife, 1971) には、作者 の誕生以彼 の28年にわ た る生 と、 67歳 の作者 の回想に よる再生 との2重 の時間が校長公 舎 を舞台 に して交 錯す る。 フ ロイ トに刺激 された グ 1)- ソほ F喜劇役者』(
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の中でブ ラウンを借 りて 「作家に とって一生の うちの初 めの20年 間が生涯全体 の経 験を 含む、 その 他 は観察だ といつ も言われ てい るが、 それ は私た ちみ んなに 等 しく当ては まると思 う」 と語 り、 ま た ジ ェーム ズ ・バ 1)-(JamesBarrie)は
「2
歳 と い う年 齢 は終 りの始 ま りだ」 と言 う。 この点 で グ リー ンが最 初 の生 を経 験 した校長公舎 内の ラシ ャ 張 りの ド7は、ピーク- ・ガヴニー(PeterCoveney) が言 う、 人間性回復 の手段 とな る子 どもの始原的 イ ノセ ンス と、 エデ ィプ ス ・コンプ レック スや逃 避 感情 に包 まれ た死 を礼賛す るた めの シ ンボル と しての負の イ ノセ ンスとの両名 がせ め ぎ合 う死 の 国境で あ る とい うことがで きる。 註(1)Graham Greene
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(London・.Heinemann,1950),p.151. (2)GwennR.Board工nan,Gy
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(London:Settleand Bendall,1981),pp,6-7. (5)Graham Greene
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- 1)ア-デ F生と再生 』 (堀一郎訳ー東京大学 出版会ー 1971), pp.3-14.幽 I
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., pp.20-21.軸 I
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, p.29. 帥I
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, pp.1521153.餌 Greene
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(London: TheBodleyHead,1983),pp.8-9.帥 Graham Greene
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, p.3.紛 Marie-Fran90iseAllain
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( Lon-don:TheBodleyHead,1983),p.41.的 「戦争」ゲームの概要とこの詩の結末に起 きる勝敗
の可能性 につ いて上 島建書氏か らご教示 をいただいた。
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(London:Heinemann,1923),p.15. 困 Allain
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,p.12.的 CarlG.dung,