周手術期患者への褥瘡予防教育の実態
The Actual Educational Situation of Prevent Pressure Ulcers for Perioperative Patients
高野 茜
1),深沢 泉
1),古屋 塩美
1),石川眞里子
2) TAKANO Akane, FUKASAWA Izumi, FURUYA Shiomi, ISHIKAWA Mariko要 旨
本研究は,術前に褥瘡予防パンフレットを用いた患者教育を実施し,患者の意識や行動の変化の実態を明 らかにすることを目的とした。 開腹手術 11 名(45.8%),心血管系手術 13 名(54.2%)の計 24 名を対象とした。 褥瘡リスクアセスメントの評価としてブレーデンスケールを使用し,術後は褥瘡発生リスクが高くなって いたが,褥瘡発生は 0 件であった。 患者教育後の意識と行動の実態調査をした。回答は,とても思った 4 点〜思わなかった 1 点の 4 段階とし て各項目の平均± SD で評価した。褥瘡予防のためになにかしていきたいと思う(意識)3.42 ± 0.88,2-3 時間 ごとに体位変換ができた(行動)3.21 ± 0.78 であった。 患者教育により褥瘡予防行動の必要性を意識づけた。さらに,看護師の一方的な関わりではなく,患者が 不足している所を補いながら患者の努力や協力のもと予防行動を一緒にとることができた。 キーワード 周手術期患者,褥瘡予防,患者教育Key Words Perioperative Period,Pressure Ulcers Prevention,Patient Education
受理日:2013 年 12 月 11 日
1) 山梨大学医学部附属病院看護部:University of Yamanashi Hospital
2) 山 梨 大 学 大 学 院 工 学 部 総 合 研 究 部( 母 子 看 護 学 講 座 ): Interdisciplonary Graduate School of Medicion and Engineering, University of Yamanashi
Ⅰ.はじめに
当病棟の特徴は,循環器・呼吸器・消化器外科の手術 を目的とした急性期看護および,終末期の患者などの慢 性期看護を展開する臨床である。また,入院患者の中で 高齢者の割合が多く褥瘡発生リスクが高いため予防策を 常に検討し,対応することが求められている。 日本褥瘡学会実態調査委員1)によると H23 年の大学病 院の褥瘡推定発生率は 0.78% である。当病院では H24 年の褥瘡発生率は 0.42% で,当病棟は 0.61% と高いこと が課題であった。そのため,当病棟では看護師の褥瘡予 防知識技術を高めるため,院内研修で,スキンケア,ポ ジショニングや体位変換の方法などを学び,以前より看 護師の褥瘡予防に対する意識は向上してきている。しか し,褥瘡発生リスクが高い患者たちに,褥瘡予防の必要 性を説明し体位変換を奨めても,実際には患者自身で体 位保持用の枕を外していたり,体位変換を自己でほとん どしていないことが多かった。また,今までは褥瘡予防 に関する説明は口頭での簡易な説明のみであり,褥瘡の 予防をどのように患者が理解しているのかなどを把握し ていなかった。それには,患者は褥瘡予防に関する知識 や,予防に対する認識が不十分なために協力を得られ難 いことが影響しているのではないかと考えた。 褥瘡予防において,スタッフを対象とした教育により 看護の質を向上する報告は多くあるが,患者を対象とし た褥瘡予防の教育や意識調査をおこなったものは殆どな い。唯一,今井らの研究2)によると,褥瘡予防の指導説 明やパンフレットを用いた自己体位変換の指導は褥瘡予 防への関心や意識を高めることができたことを報告して いる。この報告から,褥瘡予防における患者教育の視点 を取り入れる必要性を感じた。 そこで,周手術期患者に対し,手術前(以下,術前と する)からの褥瘡予防教育を行うことで,患者からの協 力が得られれば,褥瘡発生の減少に繋がり予防ができる と考えた。Ⅱ.研究目的
褥瘡予防パンフレットを用いた患者教育を術前に実施 し,患者の意識や行動の変化の実態を明らかにすること を目的とする。Ⅲ.用語の操作的定義
褥瘡予防意識とは,褥瘡好発部位や体位変換の必要性 を患者が理解することとする。 褥瘡予防行動とは,体のズレを正しい位置に戻して, 頭部,仙骨部,踵部に集中する体圧を軽減する体位変換 を自身でおこなうこととする。Ⅳ.研究方法
1. 対象者 開腹(消化器系)手術,心血管系手術を受ける患者 24 名を対象とした。 小児,呼吸器装着,認知症,術後不穏,判断能力が低 下していると判断できる患者は,意思疎通やコミュニ ケーションがとれない可能性があるため対象から除外し た。また,緊急手術,ICU や救急外来から転棟した場 合も除くこととする。 2. 調査期間 平成 24 年 3 月〜平成 24 年 7 月までを調査期間とした。 3. 調査内容と患者教育 1) 患者属性 年齢,性別,術式,BMI,Alb 値などを電子カルテよ り情報を得た。 2) 調査項目 (1) 褥瘡知識調査 患者における褥瘡の知識を知るために,褥瘡知識アン ケートを術前に調査した。内容は,褥瘡を見たり聞いた ことがあるか,褥瘡の発生条件や予防方法を知っている かであり,“はい・いいえ”で聞き取り調査をした。“はい” と答えた患者のみ,具体的な発生条件や対処方法を複数 回答で選択した。さらに,患者教育を行った直後に,自 分に褥瘡ができると思うかについて調査し,患者が述べ た言葉をアンケート中に記録した。 (2) 褥瘡リスクアセスメントの評価 患者の褥瘡リスクアセスメントとして,ブレーデンス ケール(以下,BS とする)を使用し術前後の変化を明ら かにするため調査した。院内では厚生労働省危険因子評 価を使用しているが,BS は点数化により変化が捕らえ 易いため使用した。BS の知覚の認知,湿潤,活動性, 可動性,栄養状態,摩擦の 6 項目を 4 段階評価で看護師 が採点した。文献より3)急性期では,48 時間毎の評価 のため手術後(以下,術後とする)2 日目毎,または ICU より転棟日に評価した。14 点以上でリスクが減少し, 活動できると判断した時点で調査終了とした。また,14 点未満の場合は,褥瘡ハイリスクのため継続とした。 (3) 褥瘡予防意識と行動調査 患者における褥瘡予防の意識と行動の変化を知るため に,褥瘡予防意識・行動アンケートを術後に調査した。内 容は,褥瘡予防意識として,説明の理解,予防のための行 動の意志,体位変換の必要性の 3 項目である。さらに,褥 瘡予防行動として,体位変換実施状況,具体的な方法など の 9 項目について調査した。また各項目について,「思わな かった 1 点〜とても思った 4 点」の 4 段階評価でおこなった。 (4) 褥瘡発生状況 褥瘡好発部位の観察や褥瘡発生の有無,離床の程度に ついて,記載された看護記録を電子カルテより情報とし て得た。 3) 患者教育 スタッフ内で統一した患者教育をするために 3 年目以 上の看護師 10 名を研究協力者として,体圧測定の方法, BS の説明,パンフレット内容や患者教育について事前 に勉強会を実施した。 患者教育パンフレットは,文献4)や院内の皮膚排泄認定 看護師の助言をもとに独自に作成した。パンフレットの内 容は,褥瘡の定義,褥瘡発生要因,褥瘡好発部位,ベッ ドアップによる体位のズレ,体位変換の具体的な方法であ る。術前にパンフレットを用いて説明した。実際にベッド 上で臥床する患者の褥瘡好発部位の体圧を測定し,数値 を一緒に確認しながら体位変換やベッドアップの仕方を練 習して,ベッド上での身体のズレなどを体験できるように した。また,術後には体位変換の実施を促進するために 体位変換自己記録表を用いて記録した。日中の時間帯の 記録については患者自身が記入することとし,患者が記入 できない場合は看護師が確認して記入した。また,夜間の 時間帯は看護師が声をかけ体位変換を実施した。体位変 換が出来ているときにはねぎらいの言葉をかけ,十分でな いときには看護師と共に体位変換を実施するようにした。 4) 調査手順(表 1) 術前には褥瘡知識アンケート(表 3)の①〜④項目を調 査し,BS を採点,パンフレットを用いて患者教育を実 施する際に,褥瘡知識アンケートの項目⑤を調査した。 術後 2 日目または ICU より転棟日には BS を採点し, 14 点以上で患者が動けることを確認し,褥瘡予防意識・ 行動アンケートを調査した。また,褥瘡発生状況の観察 は毎日看護として行われた記録で確認した。4. 分析方法 Excel を使用し単純集計にて記述統計を行った。 5. 倫理的配慮 対象者に文章および口頭による説明を行った上で,参 加についての同意を文書で得た。個人のデータに関して は,個人が特定できないよう配慮した。本調査は,山梨 大学医学部倫理委員会の承認を受け実施した。
Ⅴ.結果
1. 対象者の概要(表 2) 対象者は 24 名で男性 17 名(70.8%),女性 7 名(29.2%) であった。平均年齢は 69.0 ± 11.1 歳であった。BMI(kg/ ㎡)は 23.1 ± 3.7,Alb(g/dl)は 3.9 ± 0.4 であった。 対 象 患 者 の 術 式 は, 開 腹 手 術 を 受 け た 患 者 11 名 (45.8%),心血管系手術を受けた患者 13 名(54.2%)であっ た。 2. 術前における患者の褥瘡知識(表 3) 「①褥瘡という言葉が聞いたことがありますか」では, はい 22 名(91.7%),いいえ 2 名(8.3%)であり,「②褥瘡を 見たことがありますか」では,はい 13 名(54.2%),いいえ 11 名(45.8%)であった。「③褥瘡の発生条件を知っていま すか」では,はい 16 名(66.7%),いいえ 8 名(33.3%)であり, そのうち自分で動けないと回答したのが 15 名であった。 「④褥瘡の予防方法を知っていますか」では,はい 15 名 (62.5%),いいえ 9 名(37.5%)であり,そのうち体の向き を変えると回答したのが 14 名であった。アンケート時の 患者の言葉として,「介護していたから見たことがある」 「自分は寝たきりではないので褥瘡はできない」「寝たき りの人が褥瘡ができる」との言葉が聞かれた。 また,患者教育後の質問項目「⑤自分に褥瘡が発生す ると思いますか」では,はい 16 名(66.7%),いいえ 8 名 (33.3%)であった。アンケート時の患者の言葉として,「自 分にもできる可能性がある」「そんな簡単にできてしま う」などの言葉が聞かれた。 3. 術後の褥瘡予防意識と行動の変化(表 4) アンケートの各項目の平均では,「褥瘡についての説 明が理解できましたか」「褥瘡予防には体位変換が必要 であると思いましたか」さらに,「頭の向きを 2-3 時間ご とに変えることができましたか」「かかとを 2-3 時間ご とに変えることができましたか」の項目が Mean3.5 点以 表 1 患者教育内容と調査項目の概略 術前 ①褥瘡知識アンケートおよび面接 ② BS 採点 ③褥瘡予防に関する患者教育 (褥瘡好発部位の説明,体位変換の方法,体圧測定) 術後 2 日目 または ICU 転棟日 ①褥瘡予防意識,行動不要アンケート ② BS 採点(14 点以上で調査終了) ③看護記録(離床の程度,ペインスケール,褥瘡発生の有無) ④体位変換時の自己記録 BS:ブレーデンスケール n=24 項目 人数(%) 性別 男性 17(70.8) 女性 7(29.2) mean ± SD 年齢(歳) 69.0 11.1 BMI(㎏ / ㎡) 23.1 3.7 Alb(g/dl) 3.9 0.4BMI:body mass index Alb:アルブミン n=24 人数 術式 開腹 心血管 膵体尾部切除 3 肝切除 2 幽門輪温存膵頭 1 十二指腸切除 腹腔内腫瘤切除 1 腸切除 3 肝外胆管切除 1 冠動脈バイパス 3 弓部・上行置換 3 弁置換・弁形成 3 腹部大動脈瘤 血管置換 2 下肢の動脈バイパス 2 表 2 対象者の概要と術式
上であった。「褥瘡予防のためになにかしていきたいと 思いましたか」「体位変換ができましたか」「自分で体位 変換できないときは,看護師を呼ぶことができましたか」 「最低でも 2-3 時間ごとに体位変換できましたか」「おし りの向きを 2-3 時間ごとに変えたり,あげることができ ましたか」の項目は Mean3.0 点以上 3.5 点未満であった。 また,「ベッドの頭側をあげた・座った時に身体がずれ ることがありましたか」「ベッドの頭側をあげたとき, 足側からあげることができましたか」「体がずれた時看 護師を呼ぶ事ができましたか」は Mean2.5 点以上 3.0 点 未満であり,ズレの項目が低かった。 4. BS の手術前後の変化(表 5) 開腹手術を受けた 11 名は,術前の BS の平均点が 22.6 ± 1.2 であった。その内 9 名は術直後より病棟に帰 室しており,2 日目の平均点は 16.5 ± 2.3 であった。他 の 1 名は,術後 1 日目に ICU から帰室し,その際の BS は 12.0 点であり,術後 3 日には 17.0 点となっていた。 一方,心血管系手術を受けた 13 名は,術前の BS の 平均点が 22.7 ± 0.4 であり,術後 2 日目の 6 名の平均点 は 18.8 ± 0.7 であった。他の 8 名は ICU からの帰室日 にばらつきがあった。その内 1 名は,術後 1 日目に ICU から帰室し,その際の BS は 11.0 点であり,術後 8 日目 に 21.0 点となっていた。 また,開腹手術において術後 2 日目の BS の栄養状態 の項目が 1 〜 2 点であった。一方で心血管系手術は,安 静を強いられるため BS の活動性の項目が 2 〜 3 点の患 者が 13 名中 12 名であった。 5. 離床の程度,褥瘡発生の有無 対象患者が調査期間中に 2 〜 3 時間毎の 5 〜 7 回体位 変換をおこない,自己記録体位変換表に記録した。 23 名の患者は,術後または ICU より病棟へ転棟した 2 日以内でトイレ歩行可能となっていた。残りの 1 名は, 術後 5 日目で歩行可能となっていた。 褥瘡発生については 0 件であった。 表 3 術前の患者の褥瘡知識 n=24 はい いいえ 項目 人数(%) 人数(%) ① 褥瘡という言葉を聞いたことがありますか 22(91.7) 2(8.3) ② 褥瘡を見たことがありますか 13(54.2) 11(45.8) ③ 褥瘡の発生条件を知っていますか 16(66.7) 8(33.3) 複数回答可: 自分で動けない 15 痩せている 5 骨が出ている 6 ご飯が食べれない 1 その他(同じ姿勢,寝たきり) 1 ④ 褥瘡の予防方法を知っていますか 15(62.5) 9(37.5) 複数回答可: 圧迫を取り除く 7 ズレを取り除く 3 体の向きを変える 14 その他(あたたかいタオルで押す) 1 ⑤ 自分に褥瘡が発生すると思いますか 16(66.7) 8(33.3) 注)質問項目の①〜④は患者教育前,⑤は患者教育後に調査を実施した。 表 4 術後の患者の予防意識と行動 n=24 項目 Mean ± SD ①褥瘡についての説明が理解できましたか 3.71 0.46 ②褥瘡予防のためになにかしていきたいと思いましたか 3.42 0.88 ③褥瘡予防には体位変換が必要であると思いましたか 3.88 0.34 ④体位変換ができましたか 3.25 0.94 ⑤自分で体位変換できないときは,看護師を呼ぶことができましたか 3.25 1.11 ⑥最低でも 2-3 時間程度で体位変換できましたか 3.21 0.78 ⑦おしりの向きを 2-3 時間ごとに変えたり,あげることができましたか 3.29 0.81 ⑧頭の向きを 2-3 時間ごとに変えることができましたか 3.50 0.66 ⑨かかとを 2-3 時間ごとに変えることができましたか 3.54 0.66 ⑩ベッドの頭側をあげた・座った時に身体がずれることがありましたか 2.58 1.06 ⑪ベッドの頭側をあげたとき,足側からあげることができましたか 2.88 0.99 ⑫体がずれた時看護師を呼ぶ事ができましたか 2.50 1.50
Ⅵ.考察
1. 患者の褥瘡知識 術前には 9 割以上の患者が褥瘡という言葉を知ってい た。また,予防方法や褥瘡の発生条件について 6 割が知っ ていると回答していた。自分で動けないことが発生条件で あると 9 割の患者が回答し,さらに予防には体の向きを変 えると 9 割の患者が回答していた。しかし,褥瘡は寝たき りで動けない人がなるというイメージを強くもっており, 自分は褥瘡ができないと考えていた。患者は,早期離床に ついては聞いているが,術直後の安静により褥瘡が発生し やすくなることまではイメージできていないともいえる。 BS を使用することにより,術後はリスクが高くなってい ることが示されたので,手術に関して褥瘡発生リスクが高 まることを患者に伝えていく必要がある。 2. 褥瘡予防意識や行動 患者教育の実施後には自分にも褥瘡が発生すると思う と 6 割の患者が答えていた。術後には「褥瘡予防のために 何かしていきたいと思う」が Mean3.4 点であり,患者教 育によって褥瘡予防行動の必要性を意識づけることがで きたと考える。さらに,頭や身体のズレの 3 項目すべて は Mean2 点台であり,身体のズレが生じていることを患 者自身に十分に認識されていない可能性が考えられる。 さらに,術後 1 日目にはベッドアップした体位を取って 過ごすようになるが,半座位になることが患者にとって 苦痛であるために,身体がズレやすいことも考えられる。 一方,体位変換の項目では Mean3 点台であり,ほぼ すべての患者が褥瘡予防行動をとることができていた。 患者が事前にどのような予防行動をとるのかを知ってお くことで調査中では積極的な協力が得られたと考える。 表 5 BS の手術前後の変化 術前 術後1日目 術後2日目 術後3日目 術後4〜8日目 終了時 知覚の認知 湿潤 活動性 可動性 栄養 摩擦 合計 知覚の認知 湿潤 活動性 可動性 栄養 摩擦 合計 知覚の認知 湿潤 活動性 可動性 栄養 摩擦 合計 知覚の認知 湿潤 活動性 可動性 栄養 摩擦 合計 知覚の認知 湿潤 活動性 可動性 栄養 摩擦 合計 開腹手術 4 4 4 4 4 3 23 3 3 2 3 1 2 14 23 4 4 4 4 4 3 23 3 4 4 4 2 3 20 20 4 4 4 4 4 3 23 3 3 3 2 1 2 14 14 4 4 4 4 4 3 23 3 3 3 4 1 2 16 16 4 4 4 4 4 3 23 3 3 3 2 1 2 14 14 4 4 4 4 4 3 23 3 3 1 3 1 1 12 3 3 4 4 1 2 17 17 4 4 4 4 4 3 23 3 4 4 4 2 3 20 20 4 4 4 4 4 3 23 3 4 3 3 1 2 16 16 n=11 4 4 4 4 4 3 23 4 3 2 3 1 2 15 15 4 4 4 3 1 3 19 4 4 3 3 2 2 18 18 4 4 4 4 4 3 23 3 4 3 4 1 3 18 18 Mean 22.6 12 3.2 3.4 3 3.1 1.3 2.2 16.5 17 17.3 SD 1.2 2.3 2.9 心血管系手術 4 4 4 4 4 3 23 4 4 3 4 3 3 21 21 4 4 4 4 4 3 23 4 3 3 4 3 2 19 19 4 4 4 4 4 3 23 3 4 4 4 4 3 22 22 4 4 4 4 4 3 23 3 3 1 2 1 1 11 3 3 2 3 1 1 13 4 3 4 4 3 3 21 21 4 4 4 4 4 3 23 4 4 3 3 2 3 19 19 4 4 4 4 4 3 23 4 4 2 2 3 2 17 17 4 4 3 4 4 3 22 4 4 2 3 1 1 15 15 4 4 4 4 4 3 23 4 1 2 4 1 3 15 15 4 4 4 4 4 3 23 3 3 3 3 3 2 17 17 4 4 4 4 4 3 23 4 4 3 4 4 3 22 22 4 3 4 4 4 3 22 4 2 2 3 3 3 17 17 n=13 4 3 4 4 4 3 22 4 3 2 3 2 2 16 16 4 4 4 4 4 3 23 4 4 3 3 4 3 21 21 Mean 22.7 11 3.6 3.2 3.0 3.4 2.8 2.8 18.8 3.8 3.5 2.2 3.2 1.5 16 4.0 3.2 2.8 3.6 3 2.8 19.4 18.6 SD 0.4 0 0.7 2.5 2.7 2.5 n=24 Mean 22.7 18.0 SD 0.8 2.7その中でも頭やかかとの向きを変える事は,患者が苦痛 を感じないために比較的良く実施できていたともいえ る。患者教育で実施したのと同じ体位変換の方法で行い, さらに患者自身で体位変換表への記録を行ったことは, 患者の理解度も深める機会となったとも考えられる。看 護師と共に実施の振り返りをする際に,できていること の承認や十分でない時の励ましをしたことで,患者の努 力や協力のもと予防行動を一緒にとることができた。看 護師の一方的な関わりではなく,患者が不足していると ころを補いながら患者と共に,褥瘡予防行動をとること の大切さが分かった。 3. 周手術期の褥瘡予防アセスメントスケール 先行研究では,BS を使用して周手術期患者のアセス メントをおこなったものはない。今回 BS を使用し,術 後 1 日目は BS の点数の減少があり,周手術期の患者は 褥瘡発生リスクが高くなっていた。山田5)は,「術後 1 〜 3 日目は急性期で,アクシデントが発生しやすい時期 で,行動意欲も低い。この時期に褥瘡ができやすいこと から術後 1 〜 3 日目のリスクアセスメントが最も重要と なる」と述べている。当病棟では術後合併症予防のため に早期離床を推奨しているため臥床時間は比較的短い が,術後 1 日で BS の変化が大きいことを予測した予防 策をとる必要がある。さらに,開腹手術と心血管系手術 の術式によりリスクの要因が違う事が明らかになった。 術後 2 日以降に BS が 14 点以上になるのは,早期離床 を推奨していることから活動性と可動性の項目が上昇し たことや,開腹手術に伴う食事量の低下からの栄養状態 の項目の低下,心血管系手術での活動性の項目が低下し ているという特徴が BS に現れ,依然として褥瘡リスク があることを認識する必要がある。 心血管系手術では術後に ICU に入室したため BS の評 価日にバラつきがみられた。今回は,ICU 管理中の術 直後のリスクアセスメントができていない。今後,ICU とも連携をはかり,リスクアセスメントを継続していく 必要があると考える。 4. 患者教育と課題 氏家6) は「指導的活動の対象が個人・集団を問わず, 話をするだけでなく教材や媒体を有効に使って視覚や聴 覚に訴え理解しやすいように工夫する。実際に手順や技 法を見せるデモンストレーションなどの患者が実習する 機会をつくる」と述べている。そのため今回は,パンフ レットにイラストや具体的な体位変換の方法の写真を入 れるなどの工夫をおこなった。また,教育の際には体圧 測定の数値を一緒に確認し,ベッド上で身体のズレが生 じる体験や体位変換の方法を具体的に行うことによっ て,イメージがつきやすくなったと考える。宮地ら7)は, 「患者は褥瘡ケアチームの一員であり,褥瘡を予防する ためには褥瘡を理解してもらう必要がある。患者が自分 たちにもできると思えるようなケアの方法や内容で行う ことが必要である」としている。今回は患者教育方法の 工夫だけではなく,患者自身ができると思えるように なったのは,体位変換の自己記録表を自記にしたことや, その都度正しい方法の説明を補足したことが反復学習の 機会につながったと考える。 一方で患者教育を実施する前に行ったスタッフの勉強 会では,スタッフ間には患者への指導方法や BS の採点 などによる理解度の差がみられていた。しかし,看護実 践の中で患者教育を繰り返し,患者の体位変換に常に関 わったことで,看護師が熱心な関わりを展開するように なっていた。このような関わりは患者の努力や協力にも つながり,患者との相互作用として,褥瘡の予防行動を とることができたとも考える。今後は,どのような患者 を対象に患者教育をしていくのか,さらには患者教育の 内容や方法についても検討し,継続していきたいと考え ている。