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近藤悟先生のご逝去を悼む(〈特別報告〉近藤悟教授を偲ぶ)

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Academic year: 2021

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冬休みを活かして, この特集号に掲載予定の近藤論文を校正していた時, 先生がおなくなりに なったと知らされ, 「エッどうして」 と絶句しました. 2003 年のご手術の後, 回復に御家族全員 で努力されているとお聞きし, 間もなく職場復帰出来るのではないかと期待していた矢先でした. この予期しない訃報は私にとって大きなショックでした. 近藤先生とは, 情報社会科学部設立以来同じコースに, 大学院情報・経営開発研究科の中, 同 じリサーチグループに所属し, 2002 年 9 月, 私が在外研究としてアメリカに行くまで, 大学院 生の共同指導を続けてきました. 大学院情報・経営開発研究科の設立に伴い, 始めて学部の境を 越え, 経済学部の岩田先生と共同で院生の指導を行いました. 岩田先生が院生の指導をやめられ たあと, 私は近藤先生と組んで, 大学院のリサーチ研究を続けました. こうしたご縁をきっかけに, 私たち 3 人の教員は, 前後 11 人の大学院生 (留学生 6 人) を指 導する中で, 経済発展に対する中小企業の役割の重要性および, 中小企業の創業と発展に関わる 状況が国と社会によって大きく異なっていることを強く感じ, 1999 年秋に中小企業の創業と発 展に関わる学際的な研究プロジェクトをたちあげました. 経済学部の海外提携大学であるマレー シア科学技術大学, 中国の首都経済貿易大学のスタッフの協力を得て, 近藤先生は経営戦略, 岩 田先生は経営学, 私は社会学という異なった視点で国際比較研究を始めたのです. 様々な準備の後, 2000 年度文部科学省の科学研究費に応募しようと考えました. 最初私は自 分が外国人であることから, 研究代表者に成ることを控えた方がいいのではないかと考えたので すが, 近藤先生から 「考えすぎないで, 研究業績が大事」 と励まされました. 研究計画私案につ いて, 3 人で慎重に議論し何回も修正しました. その年は採択されませんでしたが, 開示された 審査意見ではかなり評価されていました. この研究内容の評価に勇気づけられ, 日本福祉大学情 報社会研究所の課題研究費を申請して, とにかく発足しようと決心しました. こうして 2000 年 度は研究所の課題研究費で調査研究を始め, 2001−2002 年度に文部科学省科学研究費の海外調 査研究に採択され, 日本, マレーシアと中国で本格的に調査研究を展開しました. そのとき, 近藤先生は大学評議会委員や大学院の運営委員など管理運営業務に非常にお忙しい なか, このプロジェクトのため, 月一回の研究会で議論と発表に多くの時間を費やし, 夏休み中 125

近藤悟先生のご逝去を悼む

Lixing CHEN

日本福祉大学経済学会・日本福祉大学福祉社会開発研究所 日本福祉大学経済論集     第 30 号 2005 年 2 月

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は現地調査に精力的に取り組まれました. ま た, 先生は SPSS が得意で, アンケート調査 のデータの解析, 最後の報告書の作成にも大 きな役割を果たしてくれました. このプロジェクトの最終年の 2002 年 6 月, マレーシアと中国の共同研究者を招いて, 名 古屋で日本福祉大学主催の国際シンポジュウ ムを開催することができました. 職員, 大学 院生と力を合わせて, このシンポジュウムの ための準備に, 忙しい日々を送りました. と ころが, シンポジウム開催の前日, 研究チー ムの主力メーバーのひとり岩田先生が, 外国 からの客を迎えに出て, 地下鉄の出口で転倒, 足の甲の骨折という思わぬアクシデントに見 舞われたため, シンポジュウムへの出席がで きなくなってしまいました. 近藤先生は, 私 の心配をみて, 「大丈夫」 と慰め, シンポジュウムには冷静に対応してくれました. シンポジュ ウムが成功を収めることができたのは, 近藤先生のお陰と今でも感謝しています. 大学院生に対する厳格な訓練と暖かく優しい指導で, 先生は学生に深く愛されました. また, 先生の研究分野としての環境経営戦略は新しい分野で, 先生の柔軟な考え方と幅広い学際的知識 には驚嘆させられました. 私がアメリカに留学する前, 「調査データの解析にもっと力を入れて, 研究の成果を出版しま しょう」 と言われました. しかし, 私がアメリカから戻る直前, 先生が倒れられました. この特 集でその研究成果を公表することによって, 先生のご遺志を継ぎ, さらに残った調査データの活 用によって, 研究成果を社会に役立つよう努めたいと考えています. この研究プロジェクトの企画から完成までの 3 年間, 私は先生と一緒に大学院生の共同指導と 共同研究を行うという幸運に恵まれました. 先生の学問と人格は, 学生や同僚や知人に広く, ま た深く多大の影響をあたえました. 先生がわれわれの共同研究を大きく支えて下さったことに心 から感謝しております. 心から先生のご冥福をお祈りいたします. 日本福祉大学経済論集 第 30 号 126

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