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Academic year: 2021

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一34一 地質ニュース426号,34-41頁,1990年2月 獨楴獵湯㈶䙥特 ウランと先端 一五ム盟 産茉マクロ とミクロの世界 金井豊工) はじめに 「ウランと先端産業」と聞いて,皆さんは何を連想す るでしょうか。数十年前だったら100人中100人,誰もが 原子力産業を連想したに違いありません。いや,今でも おそらく99人までは原子力関連の事を考えるでしょう。 それほどにまでウランは原子力と深い関わりを持ってお り,今後もそれは変わらたいことでしょう。 けれどもここでは,違った先端産業におけるウランの 別の横顔について紹介したいと思います。 今や世の中コンピュータ時代とたりました。研究室や 事務室のあちらこちらにパソコンやワープロが置かれ, 実験室の分析装置や設備までマイコ1/制御で動かすよう たものがあります。身近た生活の場でも,電子手帳,炊 飯器,カメラ等にまでマイコンが使われています。この ようなコンピュータは,半導体の集積回路の集まりなの ですげれども,これらにもウランの話題があるのです。 そろそろ気付いた方もおられるでしょう。でもその前に ウランの紹介から。 かわいいウラン? ウラン(Uranium)は原子番号92番目の元素で,天然 には質量数が238,235,234の3種類が存在しています。 それらの物理化学的性質は第1表に示しましたので,詳 細はそちらを見てもらうことにしましょう。ウランは, 第1表ウランの物理化学的性質 核種 ㈳2言5U23角U 質量 存在比(%) 半減期(年) 主なα線工事ルギー(門ev) 並びにその割合(賄) スピン '磁気二重極モーメント(核磁子) 電気四重極モーメント(ex10-2角㎝2) 原子量 密度(9・㎝13) 比熱(J09一''1く'i) 融点(℃) 沸点(℃) 基底状態の電子配置 酸化状態 第一イオン化電位(ev) 超電導の臨界温度(に) 結晶型 ㈳㈳〴㌹㈲㌴㈰〰〵 4,468x1097,038x1082.蛎x105 4,196±0.OO里(77寛)旦.598±0,002(里.6毘)4.7739±0.0009(械) 4.i47(23寛)里.401±O.002(57毘)4,717(28晃) 4,038(0.23蒐)4,365±O.002(峨)里.600(O.3晃) 皇.219±0,002(5.7駕) 〵干 〰0里.10 ㈳㈸ 0,114(O℃)㌳ ㌸1s22s22P63s23Pら岨s23d{日4P65s2里d一目5P66s24f-45d1コ6P65f36di7s2 [十3コ,十4,[十5],十6 摩朮㈩ 0.68U(α) α斜方く668.℃ β正方668-775℃ γ体心立方775℃く 1)地質調査所地殻化学部 キーワード:ウラン,超徴量分析,地球化学 地質ニュース426号

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ウランと先端産業 一35一 ドイツのM.H.K1aprothが今からちょうど2世紀前の 1789年に,黒色の鉱物から新しい元素として見いだした のが最初で,当時新しく見づけられた天王星(UranuS) からUraniteと命名されたといわれております。単体 としての純粋たウランは,それから50年ほどした1841年 に,フランスのE.M.Piligotが見いだしています。し かし,当時はウランの持つ放射能についてはまだ知られ ておりませんで,それからまた50年ほどした1896年に, 放射能のSI単位として有名たH.Becquere1がウラン の放射能を発見しております。ちなみにウランの命名の 光とたった天王星は,ギリシャ神話では天空の神様であ り,1986年1月24目にアメリカの無人惑星探査機ボイジ ャー2号が,その発見から約2世紀の後に私達の目の前 にその姿を明らかにしてくれました。一方,元素として のウランはどうでしょうね。 さて,ここで皆さん,ウランのイメージを想像してみ て下さい。☆銀白色で反応性が高い金属で……。硬い硬 い,頭がカチンカチンですね。そんたことでは独創的な 研究たどできません。☆ピカッと光ったかと思うときの こ雲がドドドーと天まで上り・…・・。現実的た方ですね。 ちょっとペシミストかも。☆アメリカ大使館にでも売り 込みに行って一儲けを一・・。これはまたオプティミスト ですね。ウラン価格はそれほど高くありませんし,警察 のお世話にたるだげです。☆キュッキュッと足を鳴らし て歩くかわいい女の子で……。ムムッ,危ない危たい。 ロリコン,はたまた連続幼女誘拐犯か。いやいや,アト ムの妹のウランちゃんでした。そうです。今はたき手塚 治虫先生のr鉄腕アトム」はもう30年近くも昔の大ヒッ トアニメですが,そこに出てくるアトムの妹の名前はウ ランでした。その中に描かれている社会は,夢の近代化 社会であり,希望の話でした。当時の原子力開発に先見 の明を持った先生の命名だったと思います。ウランは天 空の神様から名前をとっただけあって,やはり輝く希望 の星だったのかも知れません。 ところでウランちゃんは女性でしたが,ウランは本当 に女性的な元素でしょうか。諸外国ではどうでしょう。 ドイツ語ではdaSUranで中性,フランス語ではUra-niumで男性なのです。ちたみにウランの最初の命名と なったUraniteやウランの酸化物,鉱石だとはフラ:■ ス語で女性です。いろいろだ国々における物の見方・考 え方の違いがそこに現れているのでしょう。 すには,粗製錬として酸やアルカリでウランを溶出さ せ,溶媒抽出・イオン交換等でウランを分離した後,ア ンモニアを加えてイエローケーキ(重ウラン酸アンモニ ウム,ADU,(NH4)・U・O・)とします。ADUの中のウ ランの同位体である235Uは,第1表に示されているよ うに天然比の0.72形しか存在していませんから,このま までは原子炉の燃料としてたかたか使用できません。そ こで,ADUからUF4さらにガス状のUF6に転換する 精製錬または転換といわれる工程を裾た後,ガス拡散 法・遠心分離法やレーザー法で235Uを約3灼こ濃縮し て燃料とするわけです。 皆さん良くご存じのように,ウラン(235U)はその原 子核に中性子が当たると核分裂を起こします。その核分 裂片は,約60-90MeYの運動エネノレギーを持ってお り,原子炉でそのエネルギーを熱エネルギーに変換しま す。この勲エネルギーを利用するのが原子力発電です。 現在目本国内の総電力のおおよそ3割が原子力発電によ ってまかたわれているといわれております。 日本で最初に原子力予算が計上されたのは,昭和29年 (1954年),今から約35年ほど前のことです。戦後の社会 において原子力に対する民衆の統一的認識がまだできて いませんでLたが,当時の自由党・改進党・日本自由党 の保守3党により総額2億5,000万円という巨額な予算 案が突如として国会に出され,それが自然成立してわが 国の原子力開発の幕開けとたりました(原子力開発十年史, 1965)。 さて,当地質調査所においても,調査費として1,500 万円の予算が付けられました。そして日夜ウラン鉱床探 しが始まったわけです。最初に日本でウラン鉱床が見つ かったのは人形峠であ'ります。その峠はそれまで名もた いような峠だったそうです。今では,この発見露頭にそ れを記念して立派た記念碑がたてられています(第1図)。 現在,ウランは西側自由諸国だけで39,200トンの需要 があり(1985年),この量は種々の社会的要因により変動 するでしょうが,0EcD/NEA(経済開発協力機構・原子力1 機関)とIAEA(国際原子力機関)によると,今後さらに 増加していき,2000年には5万トンをこえると見込まれ ております(プロメテウス,1986)。このような原子力産業 に用いられるウランは,鉱床のように濃集状態であるこ とが必要なのですが,もう一つのウランの話は,逆にウ ランを少なく少なくする話たのです。それではウランの 真ん話のはじまりはじまり。 ウランと原子力 ウランと半導体 ウランの原子力産業での用途は,当然のことながら原 子炉の燃料としてです。ウラン鉱石からウランを取り出 1990年2月号 ウラ:■はほとんどあらゆるものに含まれております。

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一36一 金井豊 第1図入彩峠の記念碑。r人形峠,ウラン鉱床露頭発見の地, 昭和30年11月12日発見・通商産業省地質調査所,鉱業 権者動力炉・核燃料開発事業団」と記されている。 このことは,多くの場合極微量であるため特別問題には たらないのですが,現在の先端産業の一つであります半 導体分野においては重大た問題となっているのです。と いうのは,ウランやトリウムの放出する放射線(α線) によってコンピュータにエラーが生じてしまうからで す。 このようなエラーは,ハード面のエラーと異たり“ソ フトエラー"と呼ばれていますが,そのメカニズムは第 2図に模式的に示してあります。2進法では0とユ, OFFとON,帯電のあるたしが情報なのですが,そこ にα線が飛び込むと,その飛跡に沿って原子をイオン化 してしまい,帯電状態を変えてしまうのです。すたわ ち,メモリーは約106個の電子の電荷量の有無で規定さ れているのですが,5MeVのエネルギーを持つα粒子 (ウランやトリウムのα線のエネルギーは,だいたい4.5∼5.4 MeVです)が物質中を通過すると約1.4×106個の電子対 を生成するため,容易にそのメモリーが反転してしまう のです。このようた半導体材料中のα線を減らすには, その中のウランやトリウムの量を低くするしか他に手は ありません。仮りに10-9gの238Uが存在したとします と,単純に考えて統計的にユ個のα線を放出するまでの 時間丁は, ∂w=一刀V・∂τ1=0.693/(4.49x109〃) で6W=1とたる時間dτから求められ,22.4時間, 約1日とたります。わずか10-9gのウランがあるだけ で,一日Lか正常に動かないコンピュータとなってしま います。α線は四方八方36びとの方向にも飛びますし, また・ひとつのコンピュータには半導体チップは数十数 百あることでしょうから,そのα線によるメモリー損傷 の確率はかたり高くなることが推定されます。 その他の回11よリ 炎国より 乕㈹ 米国よリ㈴ 乕 力11閑よ一〕 NU仇 1〃傷 乕日鰯1・ll/ ウラン燃*斗加1工施設 そ〃)他の『];はリ 73体 ■馳翻岬 旦乕 _〆五 鰯(I闘織脇ウラン 囲{NU)天然ウラン ロ(DU)劣化ウラン 萎姜養護窒1轟(Pu)プルトニウム [〕在周雌(昭和62年!2月31日) Pu804k星 乕㌹ ぴ 高速撞醐i 新』1蝦換炉 凸 ㌸ Pu1466k匡 乕 ㈰ 偵 乕米国よリ 4{木立ム「l11よリ 英国よリ HEU1k星27休 4休(1舳) NOユ6t 凸 馳制1820体 発犯炉 ■[EU舳←/ 米国へ英国へ(1.1。〕仏国へ 159体EU127t㌱偵〴 に わが国におけるウラン等の移動(1987年下期:原子力委員会月報vo1.33,no.5,p.9) 地質ニュース426号

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ウランと先端産業 一37一 “o" 月ユ■目「川 ポテンシャル井戸: 崖ユ06電子 “ユ" 葺丁ポテンシャル井戸;空 “o" 粒子号 飛程:宮25μm 亀ユ.4×ユ06e_h “1" 号`一ポ 亘丁電子:ポテンシャル 井戸に集まる “1" 互 「ヨ■ “O" 葺 丁“ユ"→“o} 五 丁エラー発生 第2図 ソフトエラーのメカニズム (工藤ほか,1982) ρ 宮105 掛鞍103 塔 φ・β〃・\ダ 〃ダ〆・〆 ㈱ α粒子束密度(α/cm2h) 第2表各種アルミニウムに含まれるウラン・トリウム盤 (工藤ほか,1982) 各種アルミニウム灰戩周灰戩 〴 〶 高純度A1材 A1線(99,999%)7・2 A1板(99,999%)1100 ㈱㌼㈮ゾ_ンメルトA1インゴット(先端部)3.1 ゾーンメルトA1インゴット1・500 (後端部) 市販アルミナ 国産品㈱〴 U,Th含有量(ppb) 第3図α粒子束密度と故障率の関係(平井,1988) こうしたエラーの率はFITという単位で表されます が,これは109時間に1回故障が生じる率です。α粒子 束密度と故障率との関係を第3図に示しましたが,集積 度が高くたるにつれて故障率が高くたっています。人問 に例えれば,頭の良い人ほどおかした行動を示し易くた るということでしょうか(そういえば…なんて思い当た る節がありますか?)。現在,ソフトエラーの許容限界は 1,000FIT(た,なんと114年に1回の故障率です!!)という のが一つの目安とたっています。o.1α/cm2hrは自然の 大気中の放射性物質のレベルと同じといわれてますか ら(福浦・高見,1981),64Kビットの半導体メモリーで 10-3∼10■4α/cm2hrというのはかたり厳しいものといえ るでLよう。第2表には,半導体材料としても用いられ ている各種アルミニウム材に含まれているウラン・トリ 1990年2月号 輸入品 セラミック用A120茗 〰 ㌰〰 ㌰ 〰住 〰 ㌰〶 ケケ㈰ ㈫ 里.7 ㈰ ㌰ 60土20 ケ 190土40 ケケ㌰㈰㌰ ㌰ 60土20 ㈰ ㌰㈰ ウム量を示しました。実際のパーツではさらに低濃度で す。また,ハンダにもα緑濃度を低くした物もあり,ウ ラン・トリウムいずれも0.2ppb以下ということです(戸 E日}まカ、,1988)。

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一38一 金井豊 第3表ウラン・トリウムの微鏡分析法と検出感度 (平井,1988に加筆) ㈰ 分析方法 検出限界(ppb) [ウランの分析法] 固体蛍光光度法 機器中性子放射化分析法 放射化学中恒子放射化分析法 ICP発光分光法 電熱気化/1CP発光分光法 質量分析法(二重収束型,二次イオン) ICP質量分析法 Y線スペクトロメトリー フィッショントラック法 吸光光度法 シンクロトロ・ン蛍光X線法 陰極溶出ポルタンメトリー [トリウムの分析法] ICP発光分光法 電熱気化/ICP発光分光法 機器中性子放射化分析法 放射化学中値子放射化分析法 吸光光度法 質量分析法て二重以東型,二次イオン) ICP質量分析法 固体蛍光光度津 [α粒子の分析法] α一線スペクトロメトリー α線カウント法 〵細㌰〵 ㌰ 0,002∼0.005 50000∼100000 〰 ㈰㌰ 〵 50-10σ㈭㌰〰〰 ㈰〰 0.02∼0.03(C/c㎡h) >、一ω ⊂ω ⊆① 一〇① u3080・り9 Ex280n冊bondposs5nm9863Filter Embond口。ss5nmY-03Fi1ter 300400500600'ア00800Em 第4図ウラ:■の蛍光スペクトル 〕.…9 超微量分析技術 以上述べてきたような問題に伴い,材料や製品の品質 管理においてもppbレベルの高感度・高精度た分析技 術が重要とたってきております(ppbは10-9の割合をいい, 1OO㎜四方のグラウンドに落ちたダイヤモンドの小さなかげらを 捜すようなものです)。これらの分析技術は,単に半導体 分析のみたらず地球化学的な試料の微量分析にも有効で あるため,そのことに触れておきたいと思います。半導 体中のウランやトリウムだとの徴量分析に用いられてい る分析法を第3表に示しました。 これらの分析法にはそれぞれ一長一短がありますが, ウランの分析法では多少古典的にたりますが,固体蛍光 法で分析する例が多いようです。当所でも,岩石や地下 水だとの地球化学的試料に含まれている徴量のウラン は,イオン交換分離の後フッ化物の溶融物に変え,280 nmの励起光によって生じる556nm付近の蛍光を測定 することによりウランの定量を行っています。第4図に ウランの蛍光スペクトルを示しました。 中性子放射化分析法は,特別た前処理を必要とせず, 8111・ll・1。 ユ:地回紘ポンプ,2:油拡散ポンプエ3イオンレンズ,司:四 双極質最分析言十,5:イオン検出器.6:瑚幅器,7:マルチチャ ンネルアナライザー,8:コンピューター,9:プラズマトーチ、 10:試料,ユエ:ネブライザー,工2:アルゴンガス,13:ガスコ ントロール部,14:ドレイン 第5図ICP-MSのブロックダイアグラム(清水,1987) 顕微鏡 俗 レーザー 四丞趣質量分析計 試料 ノE:・手 コック 第6図レーザー法による試料導入系(清水,1987) 地質ニュース426号

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ウランと先端産業 一39一 畭極流 瑩浯特極 畴桂 Cadmiu耐Cd捩畭 ChromヨumCr潢健 くO.002 く。.01〰 くO.003 〈O.O05 くO.02 くO,01 潮䙥 LithiumLヨ慧畭 慮条捫敬慳極洮 卩汶敲〰 〈0.Ol 估 くO,002住 〈O.005 く0.Ol <o.o工 くO.O02 卯摩畭 Strontiuπl 州その他 卲卮 叩。〈q.O05 くO.02 くO.02 く0,00i また非破壊で分析が可能である等の利点を有しておりま すが,検出感度が固体蛍光法に比べ1桁低くたっていま す。ICP発光分光分析法は,近年特に多元素分析でその威 力を発揮してきておりますが,感度的にはかなり劣って います。しかし,機器の安定性の向上や使用の簡便さも あり,濃縮操作を行えぼある程度のものに対しては利用 価値が高いと思われます。また,マイクロサソプノレシス テムと呼ばれる高温気化装置を接続することで検出感度 は格段に高まり,イオン交換クロマトグラフでウラン・ト リウムを分離後マイクロサンブノレシステムをつけたICP で定量を行い,検出限界U0.05ng,Thα03ngという 報告(飯利・岡田,1984)もたされています。 ICP質量分析法は,本質的には質量分析法ですから, 原子一つ一つ数えるため極めて高感度であります。第5 図に装置のブロックダイアグラムを示しました。ウラン やトリウムのみたらず,他のさまざまな元素についても 定量が可能たため,今後その利用が高まって行くものと 考えられます。また,レーザーを用いて固体試料を直接 分析する手法(第6図)もあり,岩石試料の徴量分析に おいても良好た結果が得られております(今井,1989)。 このよう改超微量分析になってくると,鉱石のレベル では考えも及ぼたいようた,分析に用いる試薬や器具か らのコ:■タミネーショ:■が問題となってきます。例え ば,ウランの抽出に酢酸エチルを用いて抽出を行うこと がよくありますが,その時にかなりの量の硝酸アノレミニ ウムを加えます。アルミニウムにウランが混入している ことは第2表に示した通りですから,当然硝酸アルミニ ウムにもウランが入っています。従って,抽出濃縮を行 うときには硝酸アルミニウムからの汚染に注意をする必 要があります。酸やアルカリにも数十∼数百pg/m1の ウランが混入しており(平井,1988),また,分離に用い らるイオン交換樹脂にもウランが含まれており(川島ほ か).十分にブランク試験を行う必要がありましょう。試 薬の中には,第7図のようにウランやトリウムの混入量 が非常に少ないことを強調している物も市販されてお り,ウランやトリウムの重要性を物語っている一例とい 1990年2月号 ユ02 拙ユ01 遡 第7図 試薬の不純物表示の一例 (先端) 欝U軍 中Th 50ユOO (㎝1)(後端) 第8図ゾーンメルトによるA1棒のU・Th濃度分布 (工藤ほか,1982に加筆) えるでしょう。 ところで,ファイブナインといわれる高純度のアルミ ニウムにもウラソカミ合まれ,第2表に示したようにウラ ン濃度にぼらつきがみられました。アルミニウムは,ボ ーキサイトから精錬されて製造されるのは皆さん良くご 存じでしょうが,精製過程でゾーンメルトがたされま す。その時のウランは,第8図にありますように場所に一 よってかなりの濃度が異なっており,A1インゴットの 後部に濃縮しています。こうした元素の分別は,超徴量 のミクロの世界のみたらず地球内部のマグマでも起こ っていることを考えると面白いものですね。また,硝酸 アルミニウムの試薬に含まれていたウヂソのαスペクト ルを第9図に示しましたが,このようなウラ:■核種2筥8U と23里Uの分別も,地球の内部,地表における風化・続 成,さらに試薬として製晶化されるまでの過程で行われ てきたことを考えると,非常に興味深く感じられます。

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一40一 金井 豊〰 ㈳ 、由、ハ ㈳'1.〃 〃㈳ 㐧第4表 ㌰ 祥牧 各種鉱石・植物・人体に含まれるウラン嚢 (無機化学全書,1953) 各種鉱石中のウラン含有量捨潮 第5表〰 第9図 硝酸アルミニウム試薬中 に含まれるウランのαス ペクトルの一例。 2島8Uと234Uとの問に大き な非平衡がある。 我が国における温泉水中のウラン含有鐘 票名温泉地名 北海道登別温泉明ばん泉 秋田県玉川温泉(咀=4) ふけの湯(ユ号) 後生掛(2号) 赤川温泉 川原毛温泉(1号) 宮城県嶋子温泉滝の湯2 群馬県水上温泉 伊香保 万座温泉(岬=7) 白根山湯釜 草津温泉(咀・5) 香草温泉(咀・2) 万座ラジウム滝の湯 神奈川県湯河原 静岡累修善寺温良 水明屋の湯 山梨県増富鉱泉A8号泉. 増富温泉(田・ユ3) 富山県立山地獄谷(㎜=16) 石川県和食混泉(5号) 岩間温泉 岩間噴泉塔 山中温泉(5号〕 八幡瀬領赤瀬 兵庫県新有馬温泉 有馬炭酸泉 有馬温泉有明湯 鳥取県三朝岩崎山の湯 岩崎ホール下 温泉会館 島根県池田鉱泉(T1) 小林鉱泉 織岡山県浅原鉱泉 大分県別府海脳試 十万地獄。 柴石地獄 血の他地獄 竜巻地獄 御夢想 筋湯 田の湯 弓が派 的が浜 海門寺 竹瓦 梅園楠不老 ウラン濃度(PPl〕) 鉱石 主な泉質兆 p亘*関連地質平文献偐洩 方閃錫 岩蛍鉛 亜鉛鉱(Cumber1and産) 鉱(Wa1es,Denbigh産 石(St.Auste11産) 塩 石(Harz産,淡緑色)〰 ㈮〰〶 (2)各種植物体中のウラン含有量 植灰 分偐洩 新鮮試料 リブブ ジセセ :■ド ドヤロ ロソウ ウ種子果皮 種子ガ芋主根 リ葉ク皮〶 ㈮〰〳 ㈮㈶ ㌸㈸㈹ ㌳〰㈷ ㌰ (3)人体中のウラン含有量 尿大血 爪毛大 腎・こ・ 人体 各都髪(女 便液性) 脳肺臓 1.2×10■119/m1 4x1〇一109/9 10一ユ。g/m1 4.11×1O■7㈷ 1・9×1O-99/9 3.34∼13.1x工O-99/9疒 0.∼2.6 <o、ユ 0.O∼エ8 0.28∼0,72 9.3∼10. 〰 0.01∼2.07 (av虐.O.27) O.O∼38. 〴 〴 〶 ㌮ ㈰ ㌮ ㈴ 0.0ユ6〰 〳 〰 〰 〳 估 噉 I旦 工且 w・工 ユx・m工 ・VH 報 V・V工1I I・Ψ・w ・1I一・工x V・XI Ψ1 XI・I・V V・X v・x V・X Ψ ユv嵶 ユ.2-2.0 ㈮㌮ ㈮ ㈮ 1.盾一3.0 ユ.7-2,O 7.2-8.嗜 宮.2-8,3 5.7一店.直 ㈮㌮ ㈮㈮㈮ 画.8 嗜.9 軌眺映 眺眺㎜ 叫弘 偖呈 田 偃 畑 畑 皿。脳 ㈩㈩㈩ ㈩㈩㈩ ユ)ユ) ㈩㈩㈩ ㈩ ユ) ㌩㌩ ㈩ ㌩ ㌩㌩ 5〕 6〕 6〕 泉質I1単純泉111単純炭酸泉H1:重炭酸土類泉1V:重曹泉V:食塩泉 VI:硫酸塩泉VH1鉄泉VHI:明ばん泉1X:硫黄泉X1酸性泉X11放身機泉 地質O:新生代q:第四紀冊:新第三紀P1古第三紀K:白亜紀p1'先一" ^1窒山岩・アロビラ外O:花闇岩・花陶斑岩・石英閃緑岩・石薬斑岩・花開閃緑岩 ・グフノファイア・石英閃長宕R:流紋岩・石英安山岩V:火山岩 文献1〕鳥居・村上・村井(1958)2〕野口・今橋(1967)3)中西(19期) 4)瀦(㈱)5)鮎・橋本(1964)5)韻(1959〕 7)㎜帖I(1988)兆文献に記載されていないデータは、角情愛(i975)による. 地質ニュース 426号

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ウランと先端産業 一41一 地球における微量ウランの存在 前にも述べましたが,ウランはほとんどあらゆるもの に含まれております。いわゆるNoddackのいうr元素 普遍説』です。すなわち,ウランは地殻を構成する岩石 を始め,草木や私達の体の中にもあるのです。大地を構 成する岩石にウランが比較的多く含まれてい'ることは, 皆さんよくご存じの事と思います。ウランのほとんどを 占める238Uの半減期が約45億年ですから,地球が誕生 したといわれる今から46億年前には,現在の約2倍近い ウランが存在した計算にたります。一方,逆にウラン含 有量の少ないものとして,第4表に鉱石中のウラン含有 量を示しました。鉱石はある元素の濃集物と考えられ, 比較的純粋た化合物と思われるのですが,そんな中にも ウランは隠れているわけです。また,第4表には,私達 が口にする食べ物や,私達の人体に含まれるウラン量も 示しました。このようたデータは,徴量であるが故に余 り報告されてはおらず,精度の高いデータの蓄積が期待 されております。 日本は火山国で温泉が多く,また,放射能泉として有 名た温泉も数多くあります。第5表には,今までに報告 された温泉水中のウラン含有量を示しました。放射能泉 というから放射性物質が多く,ウランもまた多いかと思 うと1意外にもウラン量の少ない温泉が多いのです。放 射能泉の放射能は,別の機会に紹介したいと思います が,多くの場合ラジウムやラドンによるものたのです。 おわりに ウランについての話題から,最近の話題ともいえる半 導体分野から誘発された徴量分析技術を思いつくまま簡 単に述べてきました。筆者は,半導体そのものは研究対 象にしてはおりませんが,そこに応用されている徴量分 析法は,ウランの地球化学の分野での有効た手段とたる ものと考えられます。 地質試料,特に地下水・河川水・湖水・海水のようだ 本試料においては,ウランはいくらでも低濃度で存在す ることが出来ます。その存在形態を明らかにすると同時 に,こうした手法によりその超徴量な濃度を明らかにす る事ができれば,いままで見えたかった低濃度領域(ミ クロの世界)でのウラ:■の溶液挙動が明らかになること でしょう。また,岩石試料でも砂岩やデイサイトのよう なものはウラ:ノ含有量が低く,マクロ量とは異なるミク ロの状態におけるウランの岩石化学的挙動についても, 高感度分析技術の応用で明らかにされることでLよう。 こうした分析技術が,従来“検出されず"“検出限界 1990年2月号 以下"として処理されてきた分野での地球化学,地質現 象の解明に,今後新Lい展望を切り開き,未来にあかり を灯してくれるものと期待されます。 参考文献 福浦雄飛・高見昭雄(1981)ICの高性能化と基板,パッケー ジなど材料の対応策。工業レアメタル,N0.76,p.87-91。 原子力開発十年史編纂委員会(1965)原子力開発十年史,日本 原子力産業会議,p.26-27。 平井昭司(1988)半導体材料中のウラン,トリウム及びα放射 体の分析。ぶんせき,No.9,p.639-646。 飯利茂雄・岡田章(1984)ICPによる半導体材料中の微量U, Thの定量。第45回分析化学討論会講演要旨集,p・29-30。 今井登(1989)レーザーアブレーションICP質量分析法に よる岩石の分析。第38回日本分析化学会年会講演要旨集, p.527。 板倉淳(1968)石川県の温泉および温泉沈殿物中の微量成分 の放射化学的研究。温泉工学会誌,Yol.5,p・41-45。 金井豊(1988)山梨県増富温泉における238U及び娘核種の 挙動。Geochem.J.,yol.22,p.285-292。 川島敏也(1984)超LSI関連材料中の徴量ウランの蛍光定 量。日立テクニカルデータ,No.15。 古賀昭人(1959)別府温泉の徴量成分。日本化学雑誌,Vol. 80,p・369-3700 工藤例他(1982)LSI構成樹料中のウラン,トリウム,α 放射体の評価。Radioisotopes,VO1.31,P・490-499。 無機化学全書(1953)柴田雄次監修XVII-1ウラン。丸善。 中西正城(1948)蛍光法による徴量のウランの定量。日本化学 雑誌,Vol.69,P.4。 野口喜三雄・今橋正征(1967)本邦酸性泉のウラン含量。温泉 科学,yol.18,P.1-7。 阪上正信・橋本哲夫(1964)234U/238U比の測定。日本化学 雑誌,VoL85,p.622-627。 プロメテウス(1988)Vo1.12,p.42。 清水洋(1987)ICP-MSの分析化学への応用。ぶんせき,倮 角清愛(1975)日本温泉・鉱泉一覧。地質調査所。 戸田英二他(1988)低α線鉛およびはんだ中の超徴量ウラ ン,トリウムの定量。第37回日本分析化学会年会講演要旨 集,P.616。 鳥居鉄也他(1958)鉱泉中のウランについ㌔温泉科学, 噯倮 <受付:1989年10月18日>

参照

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