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人工知能のそれぞれの分野について,研究を始めたば かりの学生も,この道数十年のベテランも,応用で一山 当てようと考えている人も,基礎理論の探求だけを考え ている人も,皆が対等な立場で喧々諤々の議論を行える 場が研究会である.つまり,研究会活動は学会の一番大 切な部分を下支えするコアである. 人工知能学会の創設 30 周年にあたり,学会活動の大 きな柱の一つである研究会活動について,現状とこれま での活動内容,そしてこれからの活動の抱負をまとめる. なお,過去の活動のまとめについては,2010 年の学会 誌「研究会総覧」特集号 [津本 10] や 2011 年の 25 周年 記念特集号の解説記事 [栗原 11] を参考にした.また, これからの各研究会の活動の抱負については,各研究会 の主査・幹事の方々に執筆をお願いした.

1.研究会活動の現在

現在,人工知能学会(以下,本学会)では表 1 と表 2 にある 21 の研究会が活動を行っている*1 本学会の研究会は,「人工知能の特定の研究分野に関 して,研究発表を行い,相互の研さんに役立てること」 を目的としている.3 000 人以上の会員がいる本学会で は,会員の興味ある分野は広範である.さらに,人工知 能という分野自体が基盤技術や基礎学理について,認知 科学や情報科学,神経科学,計算科学,心理学,言語学, あるいは哲学まで多くの領域の知見に関わる総合科学的 側面をもつ.また,人工知能技術の応用先は,工業生産 分野や Web・IT 分野だけでなく,医療・介護分野,経

研究会活動の現在・過去・未来

あれから30年,これから30年

The Past, the Present, and the Future of Special Interest Groups of JSAI

和泉  潔

東京大学

Kiyoshi Izumi The University of Tokyo. [email protected]

中臺 一博

(株)ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン

Kazuhiro Nakadai Honda Research Institute Japan Co., Ltd. [email protected]

栗原  聡

電気通信大学

Satoshi Kurihara The University of Electro-Communications. [email protected] 「創設 30 周年記念特集─研究会の変遷─」 *1 http://www.ai-gakkai.or.jp/sig/ より.2016 年 5 月 時点. 表 1 各研究会の発足・終了時期と改名時の対応 (網掛けは,改名や解散により現存しない研究会) 第 1 種研究会 名 称 発足∼終了 FAI:人工知能基礎論研究会 1987∼ 2003 FPAI:人工知能基本問題研究会 2004∼現在 HICG:ヒューマンインターフェースと認知モデ ル研究会 1987∼ 1995 HIDSN:ヒューマンインターフェースデザイン 研究会 1996∼ 1997 KBS:1987 年「人工知能ツールと知識システム 研究会」として発足,1988 年「知識ベースシ ステム研究会」に名称変更 1987∼現在 IES:知的教育システム研究会 1992∼ 2003 ALST:先進的学習科学と工学研究会 2004∼現在 SLUD:言語・音声理解と対話処理研究会 1992∼現在 第 2 種研究会 PPAI:並列人工知能研究会 1993∼ 1995 HOT/PPAI:ホットトピックスと並列人工知能研 究会 1996∼ 1997 Challenge:AI チャレンジ研究会 1998∼現在 CII:情報統合研究会 1996∼ 2000 MBI:分子生物情報研究会 1998∼ 2003 BMK:生命知識研究会 2004∼ 2005 MBI:分子生物情報研究会 2006∼現在 LSE:ことば工学研究会 1998∼現在 SWO:セマンティックウェブとオントロジー研究会 2002 ∼現在 SAI:社会における AI 研究会 2006∼現在 DMSM:データマイニングと統計数理研究会 2006∼ 2009 ICK:幼児のコモンセンス知識研究会 2006∼ 2010 CCK:こどものコモンセンス知識研究会 2011∼ 2012 CKE:コモンセンス知識と情動研究会 2013∼現在 KST:知識・技術・技能の伝承支援研究会 2007∼現在 NAC:ナチュラルコンピューティング研究会 2007∼現在 (表 2 に続く)

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済金融分野,教育分野,バイオ分野など,社会のあらゆ る分野に広がっている.このような膨大な領域について, 最新研究の成果や動向を議論するには,やはり学会全体 で行うことは無理であり,特定分野ごとに分けたグルー プによる継続的な活動が必要となってくる.そのために 研究会が存在している. 各研究会の主な活動は,年 3 ∼ 4 回の通常の研究発 表会と年 1 回の人工知能学会全国大会での企画セッショ ン,そして年 1 回の人工知能学会合同研究会になる. 1·1 研究会種別と通常の研究発表会活動 現在,人工知能学会の研究会には三つの研究会種別が ある.表 1 と表 2 にある研究会の名称を見ると,第 1 種 研究会が人工知能の基盤技術や基礎理論に深く関連し たより一般的な課題についての研究会であることがわか る.それに比べて,第 2 種研究会はより個別の分野に特 化した技術や応用に関する研究会である.言い換えると, 第 1 種研究会は「人工知能の根源的な課題への挑戦」,「長 期的な課題への挑戦」という指向が見られ,第 2 種研究 会のほうが「先進的な課題への挑戦」,「社会的な課題へ の挑戦」という意味合いが強い.それぞれの研究会種別 の通常の活動の傾向を解説する [津本 10]. § 1 第 1 種研究会 第 1 種研究会は,本学会創設時からある伝統的な研究 会である.それぞれの研究内容は時代とともに大きく変 わってきてはいるが,常に人工知能研究の意義,最も根 源的な問題を問い続ける場である.年に数回行われる通 常の研究発表会では,幅広い立場の研究者の成果に触れ ることができる.また,一般の研究発表だけではなく, 各分野の最新動向を紹介したり入門者が分野の概要を学 ぶことを支援したりするために,その分野の第一線で活 躍している研究者や実務者を招待して研究紹介の招待講 演を行ったり,討論形式のパネルディスカッションなど も企画されることがある.このような形で,第 1 種研 究会は,各分野の情報交換・議論などを行うサロン的な 場を,流行に左右されずに継続して運営していく役割を 担っている. 第 1 種研究会は本学会の予算をもって運営されてお り,研究会抄録は本学会から出版配布され,有償の登録 会員には研究会抄録が送付される.本抄録は現在電子化 され,本学会 AI 書庫(アイショコ,旧未来メディア実 験館)*2で,過去の発表論文の電子ファイルを無償(研 究会登録会員,および発行から 1 年以上経った論文)ま たは有償(非登録会員と非学会員,発行から 1 年以内の 論文)で入手できる. § 2 第 2 種研究会 第 2 種研究会は人工知能の研究分野の急速な進歩に柔 軟に対応できるように,第 1 種研究会に比べ,より特定 されたトピックに焦点を当て,そのトピックについて深 く議論することを目的としている.そのため,研究会の 設立と終了は比較的自由裁量の部分が多い.各研究会の 運営も独立性が高い.例えば,各研究会の活動予算は, 研究会設立時の支援以外では,本学会からは切り離され 基本的に独自採算で行っている.この自由裁量な形式が うまく活用され,本学会の中核的な役割を果たしつつあ る. 第 2 種研究会の通常の研究発表会は,トピックが特定 されている以外は,ほぼ第 1 種研究会と同様の構成(一 般発表,招待講演,パネル討論など)である.また,年 数回のうちいくつかを,トピックが共通する他学会の研 究会と共催で研究発表会を行うところも多い.第 1 種研 究会も他学会の研究会との共催の回があるが,トピック が特定されている分,第 2 種研究会のほうが共催を行い やすい.そういった意味でも,他学会との交流の一部を 担っているといえる.第 2 種研究会の一部の研究会は, 第 1 種研究会と同様に上述の AI 書庫で過去の発表論文 を公開している.AI 書庫で公開していない研究会でも, 独自の Web サイトなどで発表論文を公開している. § 3 第 3 種研究会(旧プロジェクト指向研究会) 第 3 種研究会は 2009 年度からスタートした期限付き, プロジェクトベースでの研究会であり,「人工知能の研 究分野の技術を社会的基盤にまで高めていく活動母体を インキュベートするためのフォーラム的な研究会」とし ての位置付けを有している.具体的には,人工知能の萌 芽的な特定分野について,書籍の出版などを目指して, その最新成果を学界に広めていく活動を行う.そのため に,オープンなシンポジウムや研究発表会を企画したり, 書籍出版のための作業部会を開催する.これらの活動を *2 https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ 表 2 表 1 の続き 第 2 種研究会 名 称 発足∼終了 KSN:知識流通ネットワーク研究会 2007∼現在 FIN:ファイナンスにおける人工知能応用研究会 2008 ∼ 2012 FIN:金融情報学研究会 2013∼現在 SKL:身体知研究会 2008∼現在 ECF:進化計算フロンティア研究会 2009∼ 2011 DOCMAS:データ指向構成マイニングとシミュ レーション研究会 2010∼現在 BI:ビジネス・インフォマティクス研究会 2014∼現在 WebSci:ウェブサイエンス研究会 2015∼現在 AIMED:医用人工知能研究会 2015∼現在 AM:インタラクティブ情報アクセスと可視化マ イニング研究会 2016∼現在 第 3 種研究会 IC:情報編纂研究会 2009∼ 2011 AM:インタラクティブ情報アクセスと可視化マ イニング研究会 2012∼ 2015 AGI:汎用人工知能研究会 2015∼現在

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当初の目的が達成されるまで行っていく. 第 3 種研究会は期限付きであり,目的達成後は基本的 に研究会を終了する.しかし,継続的な研究会の開催に 対するニーズが高かった場合は,第 2 種研究会へ種別を 変更して研究会を存続することもできる.2016 年度に 第 3 種研究会から第 2 種研究会に変更した,インタラ クティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会(SIG-AM)がその最初の例である. 1·2 全国大会での企画セッション 毎年,全国大会のプログラム内容を決める時期にな ると,学会から各研究会の主査・幹事に対して企画セッ ションの提案の依頼が来る.全国大会のセッションは, 個人やグループから個別に申し込まれた研究発表を近い 内容でまとめた一般セッションだけでなく,最初からト ピックを決めて研究発表や招待講演を集める企画セッ ションがある.多くの研究会では,自分達のトピックに 関してセッションを企画し,発表者や招待講演者を自分 達でアレンジする.それにより,普段各研究会が単独で 開催する研究発表会に参加していないような他の学会員 に対して,自分達の分野を喧伝することを目指している. 学会にとっても,全国大会の発表数や参加者数を増やす ことができ,お互いの目的が合致したようである.聞く ところによると,約 20 年前に参加者数が減ってきてい たときに研究会による企画セッションを開始して,全国 大会の発表者数や参加者数を増やすことができたそうで ある. 1·3 合 同 研 究 会 本学会では,2011 年より毎年秋に,慶應義塾大学日 吉キャンパスの來往舎にて 10 程度の研究会が参加して 合同で研究発表会や招待講演などの企画を行う合同研究 会を行っている*3.合同で研究発表会を行うことで,普 段の自分の研究会参加者だけでなく,他の研究会の参加 者にも研究成果やお互いの分野の研究動向を紹介するこ とができ,研究会同士の交流の場にもなっている.また, 春の全国大会は地方で開催されることが多いので学会員 が中心であるが,合同研究会は首都圏での開催でしかも 発表聴講が無料であるので,非学会員の参加の割合が比 較的高い. 参加者数は毎年かなりのハイペースで増え続け,特に ここ数年では2013年の約250名から2014年の約400名, 2015年の約 550 名と毎年 150 名ずつの増加を示してい る [和泉 16].各研究会では,通常の単独開催の研究発 表会よりもかなり大勢の人達に参加してもらうことがで き,時間帯によっては立ち見や部屋に聴講者が入りきれ ないことが生じるほど盛況であった. 合同研究会での研究発表会は,通常のサロン的な雰囲 気で議論を行う研究発表のほかに,初めて研究会に参加 する聴講者へのイベント的な企画もいくつか行われる. 特に,各研究会の中で招待講演やパネルディスカッショ ンなどの大変魅力ある企画が行われ,参加者からも人工 知能研究分野の最新動向を知るうえでも大変役に立った と好評である.研究発表のほかにも,合同研究会全体で の共同企画として,人工知能に関連する企業の展示も用 意されている.さらに,前年度に各研究会から研究会優 秀賞を授賞した人々に,その研究内容をコンパクトに講 演してもらう企画(研究会優秀賞記念講演)を連日行っ ている.時間の都合上,1 件当たりの発表時間があまり 長くとれなかったので,聴講者からもっと詳しく発表を 聞きたいという要望もあったが,異なる研究会の活動を 互いに知ることができる合同研究会の特徴を生かしたこ の企画に対しては,アンケート結果でも概ね好評を得て いる.2015 年の研究会優秀賞記念講演では,200 名近 く収容できるシンポジウムスペースが満員になってしま うほど,多くの人々の聴講があった. 1·4 研 究 会 優 秀 賞 本学会では毎年,研究分野の研究活動を奨励し,併せ て研究会への研究発表を促進するために,各研究会で発 表された研究のうち,特に優秀なものを選び研究会優秀 賞として表彰している*4.選定の基準は,独創性,学術・ 技術上の寄与と波及効果,表現のわかりやすさを考慮し, 特に独創性を重視している. 受賞者は本学会の総会のときに表彰される.また,合 同研究会で記念講演を行うことができ,その成果を各研 究会の特色ある研究として大勢の聴衆の前でアピールす ることができる.論文賞や全国大会優秀賞と並び,学会 員の研究活動を奨励・促進することを目指している.

2.研究会活動の過去

本学会創設の翌年から現存する第 1 種研究会のいくつ かが設立された.研究会の歴史はほぼ学会の歴史である といってもよいだろう.今までの約 30 年間の研究会活 動の歩みを簡単に振り返り,各研究会の主査・幹事メン バや発表件数・参加者数(図 1)のデータから,研究会 間の関係や研究会活動を支えてきた人々のことを解説す る. 2·1 黎明期:第 1 種研究会の誕生 本学会が設立された 1986 年の総会資料ですでに,特 に企業などの賛助会員を獲得し産業界との連携を強くす るための施策として,研究会の必要性が指摘されている *3 合同研究会の詳細な内容は,http://www.ai-gakkai.or.

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0 10 20 30 40 50 AM 0 200 138 163 123 FPAI HIDSN KBS ALST SLUD Challenge CII MBI LSE SWO CKE DMSM SAI KST NAC KSN FIN SKL ECF DOCMAS AIMED BI WEBSCI AGI AM ’87 ’90 ’95 ’00 ’05 ’10 ’15 1種研 2種研 3種研 ※ ’16より2種研に変更 0 10 20 30 40 50 FAI FPAI 0 200 25th 100th 0 10 20 30 40 50 HICG HIDSN 0 200 0 10 20 30 40 50 KBS 0 200 0 10 20 30 40 50 IES ALST 0 200 0 10 20 30 40 50 SLUD 0 200 0 10 20 30 40

50 PPAI HOT/PPAI Challenge

0 200 0 10 20 30 40 50 0 200 0 10 20 30 40 50 MBI BMK MBI 0 200 0 10 20 30 40 50 LSE 0 200 0 10 20 30 40 50 SAI 0 200 0 10 20 30 40 50 SWO 0 200 0 10 20 30 40 50 DMSM 0 200 0 10 20 30 40 50 ICK CKE 0 200 0 10 20 30 40 50 KST 0 200 0 10 20 30 40 50 NAC 0 200 0 10 20 30 40 50 KSN 0 200 0 10 20 30 40 50 FIN 0 200 0 10 20 30 40 50 ECF 0 200 0 10 20 30 40 50 SKL 0 200 0 10 20 30 40 50 DOCMAS 0 200 0 10 20 30 40 50 BI 0 200 0 10 20 30 40 50 WEBSCI 0 200 0 10 20 30 40 50 AIMED 0 200 0 10 20 30 40 50 0 200 400 CCK CCK IC AM AGI WEBSCI BI DOCMAS ECF SKL FIN FIN KSN NAC KST ICK CKE DMSM SAI SWO LSE MBI BMK MBI CII

PPAI HOT/PPAI Challenge SLUD IES ALST KBS HICG HIDSN FPAI FAI 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 25th 50th 50th 50th 50th 50th 50th 50th 50th 50th 50th 50th 50th 75th 75th 75th 75th 75th 75th 75th 75th 100th 100th 100th IC 参加者数(右軸) 一般発表数(左軸) 招待講演・チュートリアル・ポスター(左軸) 図 1 各研究会の発表件数および参加者数の推移

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[栗原 11].創設翌年の 1987 年には,研究会運営規程が 策定され,「人工知能基礎論研究会(FAI)」,「ヒューマン・ インタフェースと認知モデル研究会(HICG)」,「人工知 能ツールと知識システム研究会(KBS)」の 3 研究会が 発足した. 1988年には第 1 回全国大会が開催され,それに合わ せて,研究会では各研究会個別の研究会開催に加え,第 1回合同研究会も開催されている.特徴的なのは発表者 の所属であり,当時は企業からの発表が多く見られた. 図 1 で 1980 年代後半のデータを見ると,発表件数に対 して聴講者数の比率が高かったことからも,この時期は 自ら研究成果を発表する研究者だけでなく,人工知能の 最新成果を知りたいという参加者が多かったことがうか がえる.それだけ,産業界からの期待が高かったことを 示している. その後 1990 年初頭までの学会全体の規模拡大に合わ せて,研究会も順調に高い水準で発表件数と参加者数を 維持していた [栗原 11].研究会では,各回の研究会で の発表件数は 10 ∼ 20 件,参加者は 50 ∼ 100 名といっ た状況で,各研究会が年 4 回程度のペースにて運営され ていた.1990 年には,学会が関連する国際会議である ALT’90,PRICAI’90 が開催され,研究会とは異なる研 究コミュニティである「研究部会」が三つ発足した.そ れぞれ「知的ソフトウェア開発研究部会」,「知的データ ベース研究部会」,「知的コミュニケーションネットワー ク研究部会」という名称であり,研究部会主催ワーク ショップと研究会がそれぞれ開催されている.また,共 催イベントにおいても,日本航空宇宙学会,日本ロボッ ト学会,宇宙開発事業団,バイオメカニズム学会,セン シング技術応用研究会,日本原子力研究所などとの共催 と実に学際的な活動がされており,人工知能研究が産業 界からも大いに注目されていたことをうかがうことがで きる. 2·2 発展期:第 2 種研究会の発足 1992年には,当時の学会員数がピークを迎えること になり,人工知能研究分野における世界最大の国際会議 である IJCAI-97 の日本開催も決定されている.そして, 研究会活動においては,二つの新しい研究会である「知 的教育システム研究会(IES)」と「言語・音声理解と対 話処理研究会(SLUD)」がこの年に発足するのに合わ せて,90 年に設立された三つの研究部会は廃止となった. 1993年には,それまで設立されていた五つの研究会 を第 1 種研究会として人工知能研究における基礎的な テーマと扱う研究会とし,人工知能の基礎理論や基盤技 術に関する成果発表および議論,そして研究資料の発行 を担う役割を継続していった.これに対し,学際的な研 究分野を研究対象とする研究トレンドの流動性に即応で きる研究会として第 2 種研究会という新しい研究会種別 が設けられ,その第 1 弾として「並列人工知能研究会 (PPAI)」が発足した.研究会運営にも高い自由度をも たせることが重要であるとの観点から,独立採算制の運 営形態となっている. 2·3 停滞期:参加者数の減少 図 1 に示すように,1990 年代半ばから学会全体の会 員数の減少に合わせて,研究会の参加者数も全体的に減 少傾向に転じることとなった.人工知能研究に対する注 目度が低下する時代を迎え,徐々に大学と産業との乖離 が大きくなったことが大きな要因である.当時のこの傾 向は,情報系の他学会の会員数でも同様であり,情報科 学全体への産業界からの注目度が大きく減少してしまっ ていたことを示している.しかし言い換えると,学会創 設当初の人工知能に対する期待が大きすぎた,もしくは 性急すぎたのかもしれない.別の見方をすれば,1995 年以降において過度の熱が冷めて「人工知能と付いてい れば何でも注目される」ような状態が終わり,きちんと 研究の中身を吟味してから評価される環境のもとで,人 工知能研究が推進されることとなったのである. 2·4 復興前夜:第 2 種研究会の新設ブーム 参加者数としては停滞していたが,実は 1990 年代後 半から研究会での発表件数は増加傾向にあった.図 1 が 示すように,既存の研究会では 1990 年台後半から発表 件数を順調に増やしていった.さらに,2000 年以降に 多くの第 2 種研究会が新設された.そして設置研究回数 の増加は研究会における全発表件数の増加にもつながっ た.ただし,1980 年代後半の創設時の盛上がりと大き く異なるのは,2000 年前後に急増している第 2 種研究 会では,「セマンティックウェブとオントロジー研究会 (SWO)」や「分子生物情報研究会(MBI)」,「ことば工 学研究会(LSE)」といった具体的な研究テーマが研究 会の名称となっているものがほとんどであり,すべてが 学際的なテーマを扱う研究会である. これらの 2000 年前後に新設された第 2 種研究会の成 功をもとに,2006 ∼ 2008 年にかけてさらに多くの第 2 種研究会を新設することになった.「社会における AI 研 究会(SAI)」,「幼児のコモンセンス知識研究会(ICK)」, 「知識・技術・技能の伝承支援研究会(KST)」,「ナチュ ラルコンピューティング研究会(NAC)」,「知識流通 ネットワーク研究会(KSN)」,「ファイナンスにおける 人工知能応用研究会(FIN)」,「身体知研究会(SKL)」, 「データ指向構成マイニングとシミュレーション研究会 (DOCMAS)」など,現在の第 2 種研究会の活動の中核 をなす研究会が多くこの時期に設立された.停滞期の産 業界または実社会からの乖離に対する反省からか,こ れらの研究会は,より学際的または実応用指向の研究ト ピックを取り扱う傾向が強まっている.また,人工知能 技術の実応用を指向すればするほど対象領域が拡大し, 人工知能分野が細分化されてしまうことも反映してい

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る.学会全体ではなく特定の分野の研究者の集まりでし か,詳細な議論を行いにくくなってしまう状況に変わっ てしまったのである.そのような場として研究会が必要 とされた. また,2009 年には,基本的運営形態は第 2 種研究会 と同様であるものの,期限付きのプロジェクトベースで の研究会として第 3 種研究会という区分が新設され,そ の第一弾として「情報編纂研究会(IC)」が発足している. 2·5 復興期:参加者数の回復とさらなる第 2 種研究会 の新設 そして,2014 年以降からご存じのとおり第 3 次 AI ブームを背景とした本学会の会員数の V 字回復に合わせ て,さらに第 2 種研究会が新設された.「ビジネス・イ ンフォマティクス研究会(BI)」,「ウェブサイエンス研 究会(WebSCI)」,「医用人工知能研究会(AIMED)」な どがそれに当たる.さらに前述のように,「インタラク ティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会(AM)」 が第 2 種研究会へ種別変更を行い,継続されることと なった. これらの新設の研究会だけでなく,既存の第 1 種と第 2種の研究会に対しても,産業界や世間一般からの関心 が高まりつつある.図 1 が示すように,各研究会の発表 件数だけでなく聴講参加者数も増加傾向にある.人工知 能に対する期待が回復している手応えを,多くの研究会 で感じていることだろう. 特筆すべきは,特定分野での産業応用という関心だけ でなく,人工知能研究の根源的な問題である「知能とは 何か」という問題に関しても,非常に高い関心を集めて いることである.2015 年に設立された「汎用人工知能 研究会(AGI)」のように,まさにそういった基本問題 に挑戦するための研究会も着目されていることは,学会 の原点を失わないためにも重要な活動の一つであると考 える. 2·6 研究会活動を支えてきた面々 さて,こうした約 30 年間の研究会活動の歴史は,ど のような人達によって支えられてきたのであろうか.図 2は 1987 年から 2015 年までに各研究会の主査,主幹事, 幹事を経験した 299 名の関係を示した図である*5.図中 のリンクは,同じ年に同じ研究会の幹事団を務めたこと を示している,また,各人の円の大きさは主査・幹事を 務めた年数に対応している.また,太い線ほど共起関係 が強いことを示している. この図の中には,終了または名称変更した研究会を含 めて 34 個の研究会のデータが含まれている.予想され たことだが,このネットワークはけっして 34 個の独立 したグループには分かれておらず,かなり密接な大きな 塊となっていることに気付くであろう.これは,何人も の学会員が,一つの研究会だけでなく複数の研究会で主 査や幹事を努めてくれているからである.このような複 数研究会をつなぐブリッジとなるような研究者の存在が この図から見て取れる. また,この図に出てくる各人の名前を見ると,今ま でまたは現在の本学会の会長や理事となった人達も多く 登場している.研究会の主査・幹事となった時期を調べ ると,最初は各研究会の活動を支えることを何年か行っ てから,今度は学会の理事や会長となって学会全体の活 動を支えている.このような人々のステップアップ(も しくは長年の奉仕活動)によって,本学会の活動が成り 立っていることがよくわかる. 2·7 人から見た研究会間の関係 図 3 は先ほどと同じデータを用いて,今度は各研究会 をノードして,同じ人が主査・幹事を務めた人数をもと に研究会間のリンクで表したネットワーク図である.こ の図を見てわかるように,研究会間にかなり密接な関係 が存在する.さらに詳細に見ると次のようなことがわか る. 第 1 種研究会(KBS,FPAI,ALST,SLUD)がネッ トワークの中で他の研究会をつなぐ役目を担っている. これは人工知能基礎寄りのテーマを扱う研究会から新し い学際的なテーマを扱う研究会が生み出されたことを示 している.例えば,第 1 種研究会「言語・音声理解と対 話処理研究会(SLUD)」と,「ことば工学研究会(LSE)」 や「インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング *5 図は,KH Coder 2.00f を使用して作成した共起ネットワーク [樋口 04, 樋口 14]. 図 2 30 年間の主査,主幹事,幹事情報の共起ネットワーク (各人が各研究会の幹事団を務めた回数を基にリンクを 作成.出現回数 4 回以上 140 名,リンク数 600)

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研究会(AM)」の第 2 種研究会との関係が該当する.第 1種研究会の継続的な活動から,新たな研究分野を創出 する役目を十分に果たしているといえる.

次にわかることは,研究会がその対象分野からいく つかのカテゴリーに分類可能なことである.例えば, 「AI と生命科学(MBI, NAC)」や「AI と社会経済応用 (DOCMAS, FIN, BI)」,「AI と知識表現(KBS, FPAI,

ALST, SWO, AIMED, SKL)」,「AI とコモンセンス知識 (CKE, CCK, ICK)」,「AI と言語(SLUD, LSE, AM)」, 「AI と社会実践(Challenge, SAI, KSN)」のように分け

ることができる.特に,この分類から,AI と社会との 関わりに関するトピックが多く,学際的な特徴を強めて いることがよくわかる.「知能とは何か」という人間に 深く関わる根源的な問いかけから発展した人工知能研究 が,人間社会のあらゆる場面に関わる工学的応用を通し て,もともとの人文科学的な分野との関わりを取り戻し てきたように考える.

3.研究会活動の未来:各研究会のこれからの抱負

ここ数年の人工知能分野の進歩はめざましいものがあ り,本当に世の中を変える原動力になれるのではないか と感じている.ある分野が大きく発展するときは,大小 さまざまな関わりの中で無数の人達の力が合わさって, 一つの方向に前進していくものだと思っている.今まで の閉塞感を打ち破り,それまで乗り超えることは無理だ と思われていた大きな壁が崩される瞬間には,有名無名 の大勢の力が壁に向かっている.今我々は,まさに世の 中が変わる大きなうねりが始まるときに立ち会っている のではないだろうか. 革新的な手法を開発して新しい分野のトレンドを切り 開く人,新しい技術トレンドの目利きができてこれから 伸びそうな技術をコミュニティに紹介していく人,新し い技術を理解し実応用に向けて改良して発展させていく 人,技術トレンドがかなり盛り上がってからその技術に 関わる開発競争に参加する人,開発競争から少し離れた 立場で技術の本質を眺めて 2 段階・3 段階目の発展に貢 献する人.世の中を変える動きへの関わり方には,人そ れぞれであってよいように思う.研究者であるからには, 自分が世界で一番初めに開発した技術が世の中を変えて いくことを目指す人がほとんどだろう.しかし,どんな に才能をもっていても一人の人だけでできることは,最 初にきっかけをつくることだけだ.それから大きなうね りになるかどうかは,いかにそれ以外の人達を巻き込め るかにかかっている. 人工知能研究の各分野で大きなうねりを生み出すこと を目指して,各研究会の主査・幹事の方々に,今までど のような思いで研究会活動を歩んできたか,そしてこれ からの研究会活動の抱負について書いていただいた.各 執筆者の方々に多忙ながら,原稿をまとめていただいた ことにここで謝意を表したい. 以下の節で,全研究会がそれぞれ発足してから現在ま での主査,主幹事,幹事のリスト(敬称略)をまとめて いる.多くの資料でできるだけ確認したが,もし誤りな どがあったら今後の学会創設 35 周年や 50 周年,100 周 年記念の解説記事で修正いただけると思うので,ご容赦 いただきたい. 3·1 人工知能基本問題研究会(SIG-FPAI) 人工知能基本問題研究会(略称:SIG-FPAI)は,人 工知能学会と同時に設立された人工知能基礎論研究会 (略称 SIG-FAI)が 2004 年に改称した研究会で,人工 知能の基礎・基本に関わる話題を軸に活動を行ってい る.年に 3 回の通常の研究会に加え,本学会が主催で 行う合同研究会,または国際ワークショップ JSAI-isAI のいずれかへの参加を行っている.昨年度は,数人の 現・旧幹事を中心に,国際ワークショップ Advanced Methodologies for Bayesian Networks(AMBN)をJSAI- isAIの一環として開催し,国内外から多くの講演者,参 加者を集めた.また昨年度には第 100 回の節目を迎え, 今年度からは次の節目に向け,新たなメンバで動き出し た. 昨今では AI ブームが叫ばれ,AI 研究は従来よりさら に加速度的に多様化し横断的になってきている.しかし これら取組みの中で生じる課題には,人工知能で根幹と なるメカニズムに関わるものが依然多く含まれることは 想像に難くない.根幹となるメカニズムに関わる課題に 対し一般的視点からアプローチしていくためには,人工 知能の基礎・基本に関わる理論的・哲学的,あるいは認 図 3 主査・幹事の共有関係から見た各研究会間の関係図 (リンクは今までの主査・幹事の共有関係から計算した. 各ノードの大きさは研究会間の幹事団の共有度合いを表す)

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知科学的問題に対する議論は不可欠であり,これが人工 知能のさらなる発展へとつながっていくであろう.SIG-FPAIでは設立当時からのこのような考えに基づいて, 人工知能の基礎・基本に関わる課題を広く議論する研究会 として,これからも活動を行っていきたいと考えている. 〔SIG-FPAI:河原 吉伸〕 3·2 ヒューマンインタフェースデザイン研究会 (SIG-HIDSN) 3·3 知識ベースシステム研究会(SIG-KBS) 知識ベースシステム研究会は,1987 年に人工知能ツー ルと知識システム研究会(SIG-KBS)として発足し,翌 1988年に現在の知識ベースシステム研究会(SIG-KBS) に名称を変更し,現在に至っている.2015 年度までで 107回の研究会を開催しており,2013 年 11 月に開催し た記念すべき第 100 回研究会では,慶應義塾大学日吉 キャンパス來往舎にて,8 名の歴代主査の先生方による 記念パネルディスカッションを開催した.初代主査の上 野晴樹先生を始め,小山照夫先生,寺野隆雄先生,新田 克己先生,津本周作先生,鷲尾 隆先生,栗原 聡先生, さらには当時の学会長でもあった山口高平先生という非 常に豪華な顔ぶれであり,往時を知る大変貴重な機会で もあった.そのような長い歴史の中で研究会における発 表内容も時代の潮流とともに変化しており,ここ数年で は,ソーシャルメディア分析,Deep Learning をはじ めとする最新の機械学習手法に関する研究など,“知識” に関わる幅広い研究成果が報告されている.それらの先 端的な発表内容と近頃の人工知能ブーム再来のおかげも あり,最近の首都圏開催の研究会では参加者が増加傾向 にあるものの,その一方で,近年は発表件数がやや低調 な傾向にあることは否めない.この学会創設 30 周年を 機に,若手研究者に対する研究会独自の奨励賞の導入, 研究会メーリングリストの整備,他研究会との共同開催 などに積極的に取り組み,人工知能の基盤に関わる歴史あ る研究会として,その活性化への道筋をつけたいと思う. 〔SIG-KBS:大原 剛三〕 表 3 SIG-FPAI の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1987 人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)として発足 有川節夫 後藤滋樹 佐藤泰介 原口 誠 1988 有川節夫 後藤滋樹 佐藤泰介 原口 誠 1989 有川節夫 後藤滋樹 佐藤泰介 原口 誠 1990 佐藤泰介 元田 浩 横森 貴 久野 巧 1991 佐藤泰介 元田 浩 横森 貴 久野 巧 1992 西田豊明 櫻井彰人 西野哲朗 三浦欽也 1993 西田豊明 櫻井彰人 西野哲朗 三浦欽也 1994 石田 亨 大沢英一 赤埴淳一 麻生英樹 1995 石田 亨 大沢英一 赤埴淳一 麻生英樹 1996 國藤 進 西野哲朗 山田誠二 鷲尾 隆 1997 國藤 進 西野哲朗 山田誠二 鷲尾 隆 1998 元田 浩 榊原康文 櫻井彰人 鷲尾 隆 1999 元田 浩 榊原康文 櫻井彰人 鷲尾 隆 2000 櫻井彰人 松原 仁 大澤幸生 月本 洋 榊原康文 2001 櫻井彰人 松原 仁 大澤幸生 月本 洋 榊原康文 2002 松原 仁 大澤幸生 小野哲雄 有村博紀 2003 松原 仁 大澤幸生 小野哲雄 有村博紀 2004 人工知能基本問題研究会(SIG-FPAI)に名称変更 佐藤 健 鈴木 譲 庄司裕子 平田耕一 吉岡真治 市瀬龍太郎 2005 佐藤 健 鈴木 譲 平田耕一 吉岡真治 市瀬龍太郎 赤石美奈 2006 有村博紀 佐藤 健 山本章博 赤石美奈 喜田拓也 村上知子 坂本比呂志 2007 有村博紀 山本章博 相原健郎 伊藤公人 喜田拓也 坂本比呂志 村上知子 2008 山本章博 平田耕一 相原健郎 伊藤公人 植野真臣 久保山哲二 2009 山本章博 平田耕一 伊藤公人 植野真臣 久保山哲二 2010 平田耕一 久保山哲二 赤石美奈 磯崎隆司 伊藤公人 鍋島英知 2011 平田耕一 久保山哲二 赤石美奈 磯崎隆司 中村篤祥 鍋島英知 2012 久保山哲二 坂本比呂志 中村篤祥 川前憲章 河原吉伸 B.Chakraborty 2013 久保山哲二 坂本比呂志 大久保好章 川前憲章 河原吉伸 B.Chakraborty 鍛治伸裕 2014 坂本比呂志 河原吉伸 大久保好章 鍛治伸裕 越村三幸 田部井靖生 2015 坂本比呂志 河原吉伸 越村三幸 瀧川一学 田部井靖生 表 4 SIG-HIDSN の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1987 ヒューマンインタフェースと認知モデル研究会 (SIG-HICG)として発足 諏訪 基 石川真澄 安西祐一郎 1988 諏訪 基 石川真澄 安西祐一郎 1989 諏訪 基 石川真澄 安西祐一郎 1990 大槻説乎 石川真澄 安西祐一郎 1991 大槻説乎 石川真澄 田中 稔 土井美和子 1992 土井美和子 田中 稔 伊東幸宏 野島久雄 1993 土井美和子 田中 稔 田中 譲 伊東幸宏 1994 田中 譲 野々垣旦 伊東幸宏 吉田敦也 野口孝文 1995 田中 譲 野々垣旦 伊東幸宏 吉田敦也 野口孝文 1996 ヒューマンインタフェースデザイン研究会に変更 (SIG-HIDSN) 野々垣旦 吉田敦也 伊東幸宏 木村晋太 野口孝文 1997 野々垣旦 吉田敦也 伊東幸宏 木村晋太 野口孝文

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含めて四半世紀近い歴史をもっているが,ますます活発 な活動を続けている.最近では「学習科学と工学のフロ ンティア」と題して本学会誌上で特集が組まれ,また全 国大会のオーガナイズドセッションとしても企画され た.それらにおいては,近年の技術的・理論的な発展に よって生じた新たな学習場の可能性を検討することとと もに,記憶や思考・問題解決の促進や支援といった古く からの基本的問題に対し,新しい技術や理論を背景・基 盤としてアプローチしていくことの重要性が再認識され た.最新技術・理論の成果を踏まえつつも本質的問題を 見据え,科学・工学双方の方法を駆使してその解決を図 る,有意義かつ魅力的な研究活動の場にしたいと考えて いる. 〔SIG-ALST:堀口 知也〕 3·5 言語・音声理解と対話処理研究会(SIG-SLUD) SLUD研究会は,1992 年に第 1 種研究会として設立 された,4 番目に長い歴史をもつ研究会である.音声・ 言語・対話に関する基礎から応用まで多岐にわたる研究 テーマを扱っている.本研究会には大きな特徴が二つあ る.一つは対話システムを大々的に扱っている点,もう 一つは情報学と人文社会科学との交流の場を提供してい る点である. 第 1 の対話システムについては,年 3 回開催の研究会 のうちの 1 回を「対話システムシンポジウム」と銘打っ 3·4 先進的学習科学と工学研究会(SIG-ALST) 先進的学習科学と工学研究会では,人の最も知的な活 動である「学習」を対象として,その促進・支援のモデ ル化とシステム化に関するさまざまな研究課題に取り組 んでいる.中心となる方法は「学習科学」と「学習工学」 で,前者は,認知科学などの成果をもとに学習プロセス とその促進に関する仮説を立て,実験的・実践的にその 妥当性・有効性を検証しようとする.後者は,知識工学 などの成果を基に学習プロセスを促進・支援するための 道具をつくり出そうとするものある.両者が互いに知見 を提供し合い,融合的に発展していくことが,ALST 研 究会の目標であるといえる. 本研究会は,前身の「知的教育システム研究会」を 表 5 SIG-KBS の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1987 人工知能ツールと知識システム研究会(SIG-KBS)と して発足 上野晴樹 小山照夫 原田 実 溝口理一郎 1988 知識ベースシステム研究会(SIG-KBS)に名称変更 上野晴樹 小山照夫 原田 実 溝口理一郎 1989 上野晴樹 小山照夫 原田 実 溝口理一郎 1990 溝口理一郎 小山照夫 原田 実 1991 溝口理一郎 小山照夫 原田 実 1992 小山照夫 山口高平 古関喜幸 篠原靖志 1993 小山照夫 山口高平 古関喜幸 篠原靖志 1994 元田 浩 寺野隆雄 末田直道 堀 雅洋 1995 元田 浩 寺野隆雄 末田直道 堀 雅洋 1996 寺野隆雄 伊東 潔 石川 孝 堀 雅洋 1997 寺野隆雄 伊東 潔 石川 孝 堀 雅洋 1998 山口高平 津本周作 吉川昌澄 北村泰彦 1999 山口高平 津本周作 吉川昌澄 北村泰彦 2000 新田克己 津本周作 瀧 寛和 山田誠二 2001 新田克己 津本周作 瀧 寛和 山田誠二 2002 津本周作 瀧 寛和 山田誠二 和泉憲明 2003 津本周作 瀧 寛和 山田誠二 和泉憲明 2004 鷲尾 隆 和泉憲明 角所 考 村田剛志 平野章二 2005 鷲尾 隆 和泉憲明 角所 考 村田剛志 平野章二 2006 栗原 聡 村田剛志 角所 考 風間一洋 秋山英三 森山甲一 2007 栗原 聡 村田剛志 角所 考 風間一洋 秋山英三 森山甲一 2008 栗原 聡 風間一洋 秋山英三 森山甲一 小松孝徳 川村秀憲 2009 栗原 聡 風間一洋 秋山英三 森山甲一 小松孝徳 川村秀憲 2010 村田剛志 小林一郎 小松孝徳 川村秀憲 阿部秀尚 2011 村田剛志 小林一郎 小松孝徳 川村秀憲 阿部秀尚 2012 村田剛志 大原剛三 阿部秀尚 山本雅人 2013 村田剛志 大原剛三 阿部秀尚 山本雅人 2014 大原剛三 尾崎知伸 猪口明博 山本雅人 2015 大原剛三 尾崎知伸 猪口明博 山本雅人 表 6 SIG-ALST の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1992 知的教育システム研究会(SIG-IES)として発足 大槻説乎 溝口理一郎 渡辺成良 竹内 章 1993 大槻説乎 溝口理一郎 渡辺成良 竹内 章 1994 溝口理一郎 渡辺成良 池田 満 1995 溝口理一郎 渡辺成良 池田 満 1996 竹内 章 池田 満 横田 毅 吉川 厚 1997 竹内 章 池田 満 横田 毅 吉川 厚 1998 伊藤紘二 吉川 厚 横田 毅 平嶋 宗 1999 伊藤紘二 吉川 厚 横田 毅 平嶋 宗 2000 岡本敏雄 平嶋 宗 松居辰則 高岡良行 2001 岡本敏雄 平嶋 宗 松居辰則 高岡良行 2002 渡邊成良 松居辰則 高岡良行 2003 渡邊成良 松居辰則 高岡良行 2004 先進的学習科学と工学研究会(SIG-ALST)に名称変更 伊東幸宏 高岡良行 柏原昭博 小西達裕 2005 伊東幸宏 高岡良行 柏原昭博 小西達裕 2006 池田 満 柏原昭博 加藤泰久 小西達裕 2007 池田 満 柏原昭博 加藤泰久 小西達裕 2008 平嶋 宗 加藤泰久 舟生日出男 小尻智子 2009 平嶋 宗 小尻智子 長谷川忍 舟生日出男 2010 柏原昭博 小尻智子 長谷川忍 舟生日出男 2011 柏原昭博 小尻智子 長谷川忍 舟生日出男 2012 松居辰則 長谷川忍 小島一晃 2013 松居辰則 長谷川忍 小島一晃 嶺 竜治 2014 松原行宏 小島一晃 笠井俊信 嶺 竜治 2015 松原行宏 笠井俊信 岡本 勝 東本崇仁 嶺 竜治

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ている.2015 年のシンポジウムでは大学や企業から 180名あまりもの参加者があり,近年のこの分野への関 心の高さを物語っている.このような隆盛を受けて,本 研究会では,対話システム評価のためのデータを収集し, 広く一般に公開し,利用してもらっている.また,次の チャレンジとして,視聴覚情報を統合したマルチモーダ ル対話システムのためのコーパスを収集するワーキング グループを 2016 年度に設立した.スマホやロボットな どの新たな利用環境を得て,対話システムのブームは今 後も続くと予想される中,上記のような活動を通じて, 対話システム研究を牽引する研究会としての役割を今後 とも果たしていきたい. 第 2 の情報学と人文社会科学の交流も本研究会の顕著 な特徴である.言語学・心理学・社会学などの人文系研 究者による一般発表に加え,特別セッションとして福祉・ 法・フィールドワークなどを取り上げ,情報学との異分 野交流を積極的に進めている.同時に,これらの企画で は,対話研究の実践的・社会的な貢献も見据えている. このような人文社会科学との交流のため,ここ数年は主 査・幹事のうち半数程度はつねに人文系の研究者が務め ている.今後もこのような体制を維持し,周辺領域を巻 き込みながら,人工知能研究のすそ野を広げることに注 力していきたい. 〔SIG-SLUD:伝 康晴〕 3·6 AI チャレンジ研究会(SIG-Challenge) AIチャレンジ研究会では,実環境・実時間での動作 を可能とする人工知能技術の確立を目指し,現在はロボ カップ,ロボット聴覚・音環境理解の二つのテーマを中 心に議論している.ロボカップをテーマとした回では ロボカップの競技に関連した人工知能に関する発表が多 い.ロボカップはロボットによるサッカーを題材として 始まったが,現在はレスキュー,家庭内(@ ホームリー グ),工場内(ロジスティクスリーグ)と幅が広がって いる.研究会ではシミュレーションリーグ,小型ロボッ トリーグを題材とした戦略に関する発表と人型ロボット の動作獲得に関した発表が多い.戦略は対戦相手によっ て適したものが異なり,人型ロボットは環境や機構など の完全なモデル化が困難なため,いずれも探索空間が大 きく奥の深い研究課題である. ロボット聴覚・音環境理解をテーマとした回では,ロ ボットが自らの耳で音を聞き分ける技術を確立すること を目的に基礎から応用まで幅広い研究発表がある.また 音源定位・分離といった直接関連する話題や,パターン 認識,データ解析といった周辺の話題として招待講演を 企画している.この他,ロボット聴覚のオープンソース ソフトウェアの無料講習会やハッカソンを主催してい る.こうした活動が,最近,UAV やホース型ロボット を用いたレスキュー領域への適用,屋外環境における蛙 の合唱の時空間構造の可視化,野鳥の行動研究を目的 とした鳴き声の分析といった新しい分野の研究につなが り,分野全体の活性化・ロボット以外への音環境理解の 利用といった広がりを見せつつある. 〔SIG-Challenge:光永 法明〕 表 7 SIG-SLUD の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1992 飯田 仁 小林哲則 速水 悟 奥村学 加藤恒昭 1993 飯田 仁 小林哲則 速水 悟 奥村学 加藤恒昭 1994 飯田 仁 小林哲則 速水 悟 奥村学 加藤恒昭 1995 飯田 仁 加藤恒昭 速水 悟 徳永健伸 竹沢寿幸 1996 市川 熹 河原達也 竹沢寿幸 徳永健伸 山本幹雄 1997 板橋秀一 河原達也 山本幹雄 伝康 晴 石川 泰 1998 板橋秀一 伝康 晴 石川 泰 岡田美智男 山本幹雄 1999 島津 明 石川 泰 岡田美智男 高木一幸 石崎雅人 2000 島津 明 石川 泰 岡田美智男 高木一幸 石崎雅人 2001 榑松 明 石崎雅人 綿貫啓子 菊池英明 高梨克也 2002 榑松 明 荒木雅弘 綿貫啓子 菊池英明 高梨克也 2003 榑松 明 荒木雅弘 綿貫啓子 菊池英明 高梨克也 2004 土屋 俊 荒木雅弘 宮崎 昇 堀内靖雄 矢野博之 2005 土屋 俊 宮崎 昇 堀内靖雄 矢野博之 駒谷和範 2006 片桐恭弘 堀内靖雄 矢野博之 駒谷和範 徳久良子 2007 片桐恭弘 駒谷和範 徳久良子 小磯花絵 森本郁代 2008 片桐恭弘 小磯花絵 森本郁代 藤江真也 大塚和弘 2009 片桐恭弘 小磯花絵 森本郁代 藤江真也 東中竜一郎 2010 石崎雅人 藤江真也 東中竜一郎 高木一広 小倉加奈代 2011 石崎雅人 東中竜一郎 高木一広 小倉加奈代 2012 石崎雅人 東中竜一郎 高木一広 小倉加奈代 岡田将吾 2013 石崎雅人 高木一広 小倉加奈代 岡田将吾 水上悦雄 2014 石崎雅人 小倉加奈代 岡田将吾 水上悦雄 増田将伸 2015 伝康 晴 水上悦雄 増田将伸 大塚裕子 鈴木佳奈 船越孝太郎

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3·7 情報統合研究会(SIG-CII) 3·8 分子生物情報研究会(SIG-MBI) 分子生物情報研究会(SIG-MBI)は 1998 年にバイオ インフォマティクスの研究を推進するために発足した第 2種研究会である.4 月に第 1 回の研究会を東京大学で 開催した後,年 3 ∼ 4 回のペースで研究会を重ね,2016 年 3 月に JAIST で開催した研究会は第 60 回を数えるま でに至っている.SIG-MBI の最大の特徴は,第 2 種研 究会であることのメリットを生かして本学会以外の研究 グループとの交流を積極的に図っている点にある.分子 生物情報のような境界領域研究においては,方法論だけ でなく,対象となる領域のドメイン知識をもつ研究者(ほ とんどは本学会員ではない)との交流が不可欠である. 実際,2015 年度に開催した研究会のうち,第 58 回は 数理モデル関係の話題,第 59 回は新学術領域「分子ロ ボティクス」との共同開催,第 60 回はオープンバイオ 研究会および情報処理学会バイオ情報学研究会との連続 開催となっている.最近の AI ブームの時流に乗じて, インシリコ創薬の研究者も自然言語処理や深層学習に興 味をもち出している.異分野の研究者が学会の枠を超え て集うことが可能な第 2 種研究会が真の AI 技術の発展 を育む「場」になることを切に望むしだいである. 〔SIG-MBI:小長谷 明彦〕 表 8 SIG-Challenge の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1993 並列人工知能研究会(SIG-PPAI)として発足 北野宏明 奥乃 博 佐藤理史 丸山文宏 1994 北野宏明 奥乃 博 佐藤理史 丸山文宏 1995 ホットトピックスと並列人工知能研究会(SIG-HOT/ PPAI)に名称変更 北野宏明 奥乃 博 佐藤理史 丸山文宏 1996 北野宏明 浅田 稔 國吉康夫 武田英明 樋口哲也 松原 仁 1997 北野宏明 浅田 稔 國吉康夫 武田英明 樋口哲也 松原 仁 1998 AIチャレンジ研究会(SIG-Challenge)に名称変更 北野宏明 浅田 稔 國吉康夫 武田英明 樋口哲也 松原 仁 1999 奥乃 博 浅田 稔 武田英明 樋口哲也 松原 仁 2000 奥乃 博 浅田 稔 武田英明 樋口哲也 田所 諭 2001 奥乃 博 浅田 稔 武田英明 樋口哲也 田所 諭 2002 奥乃 博 浅田 稔 武田英明 樋口哲也 田所 諭 2003 奥乃 博 浅田 稔 武田英明 樋口哲也 田所 諭 2004 奥乃 博 浅田 稔 中薹一博 光永法明 2005 奥乃 博 浅田 稔 中薹一博 光永法明 2006 奥乃 博 浅田 稔 中薹一博 光永法明 2007 奥乃 博 浅田 稔 中薹一博 光永法明 2008 中臺一博 光永法明 戸嶋巌樹 上田隆一 2009 中臺一博 光永法明 戸嶋巌樹 上田隆一 2010 中臺一博 光永法明 戸嶋巌樹 植村 渉 2011 光永法明 中臺一博 戸嶋巌樹 植村 渉 公文 誠 2012 光永法明 中臺一博 戸嶋巌樹 植村 渉 公文 誠 2013 中臺一博 光永法明 戸嶋巌樹 植村 渉 公文 誠 2014 中臺一博 光永法明 植村 渉 公文 誠 中村圭佑 2015 光永法明 中臺一博 植村 渉 公文 誠 中村圭佑 表 9 SIG-CII の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1996 岡 隆一 麻生英樹 伊庭幸一 中島秀之 長屋茂喜 1997 岡 隆一 麻生英樹 伊庭幸一 中島秀之 長屋茂喜 1998 岡 隆一 麻生英樹 伊庭幸一 中島秀之 西村拓一 1999 岡 隆一 麻生英樹 伊庭幸一 中島秀之 西村拓一 2000 岡 隆一 麻生英樹 伊庭幸一 中島秀之 西村拓一 2001 岡 隆一 麻生英樹 伊庭幸一 中島秀之 西村拓一 表 10 SIG-MBI の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 1998 分子生物情報研究会(SIG-MBI)として発足 小長谷明彦 阿久津達也 麻生川稔 1999 小長谷明彦 阿久津達也 麻生川稔 2000 小長谷明彦 阿久津達也 麻生川稔 2001 小長谷明彦 山村雅幸 有田正規 2002 小長谷明彦 山本知幸 有田正規 2003 小長谷明彦 山本知幸 有田正規 2004 生命知識研究会(SIG-MBK)に名称変更 小長谷明彦 佐藤賢二 吉川澄美 福田賢一郎 2005 小長谷明彦 佐藤賢二 吉川澄美 福田賢一郎 2006 分子生物情報研究会(SIG-MBI)に名称変更 佐藤賢二 矢田哲士 Paul Horton 太田元規 片山俊明 長嶋剛史 建石由佳 吉川澄美 2007 佐藤賢二 矢田哲士 Paul Horton 太田元規 片山俊明 長嶋剛史 建石由佳 吉川澄美 2008 佐藤賢二 矢田哲士 Paul Horton 太田元規 片山俊明 長嶋剛史 建石由佳 吉川澄美 五斗 進 2009 佐藤賢二 矢田哲士 Paul Horton 太田元規 片山俊明 長嶋剛史 建石由佳 吉川澄美 2010 小長谷明彦 佐藤賢二 2011 小長谷明彦 澤井秀文 佐藤賢二 伊藤宗平 2012 小長谷明彦 澤井秀文 佐藤賢二 瀧ノ上正浩 2013 小長谷明彦 澤井秀文 佐藤賢二 2014 小長谷明彦 澤井秀文 2015 小長谷明彦 澤井秀文

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3·9 ことば工学研究会(SIG-LSE) ことば工学研究会は 1998 年から始まった第 2 種研究 会である.第 2 種という形態をとったのは,比較的自 由に研究会を運営できるという理由であった.したがっ て,さまざまな分野の人を誘うことができた.実際,こ とば工学研究会は,研究会の提言の中で,「……こうし た言葉の意味や感覚感性といった側面を扱うには,従来 の工学的な発想だけでは限界があり,非工学分野との連 携,それも心理学や社会学など,今まで AI が連携を深 めてきた分野だけでなく,文学や芸術など,比較的疎遠 だった分野をも巻き込んだ検討が実りある発展をもたら すと考えます」と言っていたし,そのような研究会を行っ てきた.今でこそ,このような多分野横断的研究会は多 くなってきたが,当時は恐らく,ことば工学だけであっ たと思う.現在もこの姿勢を変えず,さまざまな分野の 方と議論を行っている.「ことば」という軸を一つもち, それに関わっていれば,どの方面からも議論するという 姿勢を保っているので,毎回面白い議論ができていると 思う.最近では,他研究会との合同も定期的に行ってお り,さらには,国際会議(IJCAI-2016)のワークショッ プでの議論も行う予定である.このようにさらに広がり を進めている研究会です.ことば工学の詳細について は,[阿部 11, 阿部 16, 松澤 00] などで紹介しているので それを参照してほしい.また,研究会の活動に関しては, http://ultimaVI.arc.net.my/banana/Workshop/を参照 してほしい. 〔SIG-LSE:阿部 明典〕 3·10 セマンティックウェブとオントロジー研究会 (SIG-SWO) 本研究会は 2002 年に設立され今年で 14 年目を迎え る第 2 種研究会で,「セマンティック Web」または(=と) 「オントロジー」を対象としている.これらに共通する のは,知識の意味(セマンティクス)を計算機で適切 に処理ができるよう構造化・体系化することを目指し ている点にある.近年はセマンティック Web 研究技術 をもとに構造化されたデータを Web で公開する Linked Dataが広く普及し,さまざまな領域のデータが Linked Open Data(LOD)として公開されている.それらのセ マンティクスを支える知識基盤としてのオントロジーの 重要性も高まっており,今後,両者を連携させた技術の 活用が期待されている. 毎年 3 回開催している研究会には,これらに関連する 技術的な発表に加え,さまざまな領域での Linked Data やオントロジー構築に関する実践的な発表も多くなされ ている.そのうち,毎年 2 ∼ 3 月にはじっくりと議論が 楽しめる合宿形式を「島」で開催することを恒例にして おり(これまでの開催実績は大島,小豆島,宮古島),毎回, 活発な議論がなされている.さらに今年の 10 月には, セマンティック Web 分野のトップカンファレンスであ る ISWC 2016(The 15th International Semantic Web Conference)が 12 年ぶりに日本(神戸)にて開催され ることもあり,コミュニティ全体で ISWC を盛り上げて いくさまざまな企画を進めている.これを機に,セマン ティック技術を用いたさまざまな研究のさらなる発展に 貢献する研究会としたい. 〔SIG-SWO:古崎 晃司〕 3·11 社会における AI 研究会(SIG-SAI) 社会には知的な処理で解かれるべき問題が山積してい る.例えばサービスがそうである.機械化・自動化が進 んでいる製造業に比べ,人の判断や振舞いが大きな構成 表 11 SIG-LSE の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 1998 堀 浩一 阿部明典 松澤和光 1999 堀 浩一 阿部明典 松澤和光 2000 堀 浩一 阿部明典 松澤和光 2001 堀 浩一 松澤和光 阿部明典 2002 堀 浩一 松澤和光 阿部明典 2003 堀 浩一 松澤和光 阿部明典 2004 阿部明典 大塚裕子 2005 阿部明典 大塚裕子 笠原 要 2006 阿部明典 緒方典裕 笠原 要 2007 阿部明典 緒方典裕 笠原 要 2008 阿部明典 緒方典裕 笠原 要 2009 阿部明典 緒方典裕 笠原 要 2010 阿部明典 笠原 要 2011 阿部明典 笠原 要 2012 阿部明典 笠原 要 2013 阿部明典 笠原 要 2014 阿部明典 笠原 要 2015 阿部明典 笠原 要 表 12 SIG-SWO の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 2002 溝口理一郎 山口高平 池田 満 赤埴淳一 益岡竜介 2003 溝口理一郎 山口高平 武田英明 池田 満 平松 薫 益岡竜介 2004 溝口理一郎 山口高平 武田英明 池田 満 平松 薫 益岡竜介 2005 山口高平 池田 満 武田英明 津田宏 平松 薫 堀 雅洋 2006 山口高平 池田 満 武田英明 川村懽蕈浩 平松 薫 堀 雅洋 2007 武田英明 川村隆浩 堀 雅洋 來村徳信 大向一輝 2008 武田英明 川村隆浩 堀 雅洋 來村徳信 大向一輝 2009 武田英明 川村隆浩 堀 雅洋 來村徳信 大向一輝 2010 來村徳信 川村隆浩 大向一輝 古崎晃司 2011 來村徳信 川村隆浩 大向一輝 古崎晃司 2012 川村隆浩 市瀬龍太郎 古崎晃司 大向一輝 2013 川村隆浩 市瀬龍太郎 古崎晃司 大向一輝 2014 市瀬龍太郎 古崎晃司 大向一輝 長野伸一 2015 市瀬龍太郎 古崎晃司 大向一輝 長野伸一

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要素となるサービスは,やっと情報化に手が付けられた ところであり,今後,いかに知能化していくか,という フェーズにある.また,群衆や交通など,人の振舞いが 構成要素となる社会現象も,知能化が待たれる分野であ る.この分野では,社会の振舞いを捉えるため,人の知 的な振舞いをいかに計算機上にモデル化するかが問われ る. 社会における AI 研究会は,このような社会における さまざまな問題に対して,人工知能による知的処理を活 用して取り組む研究について,交流の場を提供すること を目的としている.特に,観光や農業,災害救助,社会 シミュレーション,交通,サービス学など,地域活性化 や安全・安心なスマート社会実現に関するテーマを取り 上げてきている.一見,バラバラのテーマに見えるが, いずれも人間の知的な活動という共通項をもち,分析手 法やシミュレーション手法が近いところが面白いところ である.ビッグデータや IoT の先にある技術分野として, 幅広いテーマをこれからも扱っていく予定である. 〔SIG-SAI:野田 五十樹〕 3·12 データマイニングと統計数理研究会 (SIG-DMSM) 3·13 コモンセンス知識と情動研究会(SIG-CKE) 本研究会は,人間の根源的で複雑なコモンセンス(常 識)について,異分野研究者や実務家が互いに学び自由 に意見交換できる場の提供を目的に,2006 年 10 月に発 足した. 当初は,人間中心の視点で複雑で膨大なコモンセンス 知識を計算機で扱う仕組みの実現に向け,人間の発達や 問題解決で重要な役割を担う幼児期の自然知能に注目し たテーマが中心であったが,その後,いじめや発達障害, 育児の悩みなど子供を取り巻く社会問題にも視野を広げ てきた.近年では,子供に限らず成人の ADHD やアス ペルガー症候群,高齢認知症者の行動・心理症状などの 分野横断の問題もクローズアップされ,育児・介護の現 場では,人間同士の感情的トラブル,育児ノイローゼ, 虐待,介護うつ,高齢者の自己喪失感などの問題が深刻 化している.このような背景のもと,二度の名称変更を 経て,人間の根源的コモンセンスを基軸に情動という切 り口で社会的な問題解決を目指す研究会へと進化してき た. 情動(感情)は「喜怒哀楽」や「感情と理性」という「括り」 では十分に表現できないので,現場主義とコモンセンス の観点から情動研究に取り組んでいる.発達障害や認知 症の人の意図感情理解をはじめ人工知能技術を基盤に少 子高齢化社会の諸問題に向き合い,生きがい,賞賛,プ ライド,自己有用感など,実世界指向の広義の情動研究 を開拓し,実務家の参画を促して社会貢献を目指す.会 員数は 2016 年 5 月現在で 314 名に達している.会員登 録は無料で,研究会 Web サイトhttp://sig-cke.jpか ら手軽にできるので,多くの方の参加をお待ちしている. 〔SIG-CKE:竹林 洋一〕 表 13 SIG-SAI の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 2006 神成淳司 松原 仁 桑田喜隆 田所 諭 2007 神成淳司 松原 仁 桑田喜隆 田所 諭 2008 神成淳司 松原 仁 野田五十樹 篠田孝祐 伊藤暢浩 香山健太郎 2009 神成淳司 松原 仁 野田五十樹 篠田孝祐 伊藤暢浩 香山健太郎 2010 神成淳司 松原 仁 伊藤暢浩 香山健太郎 篠田孝祐 野田五十樹 2011 神成淳司 松原 仁 伊藤暢浩 香山健太郎 篠田孝祐 野田五十樹 2012 野田五十樹 篠田孝祐 伊藤暢浩 香山健太郎 神成淳司 松原 仁 2013 野田五十樹 篠田孝祐 伊藤暢浩 香山健太郎 神成淳司 松原 仁 2014 野田五十樹 篠田孝祐 伊藤暢浩 香山健太郎 諏訪博彦 小柴 等 2015 野田五十樹 篠田孝祐 伊藤暢浩 香山健太郎 諏訪博彦 小柴 等 表 15 SIG-CKE の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 2006 幼児のコモンセンス知識研究会(SIG-ICK)として発足 竹林洋一 桐山伸也 2007 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 2008 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 2009 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 2010 こどものコモンセンス知識研究会(SIG-CCK)に 名称変更 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 2011 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 2012 コモンセンス知識と情動研究会(SIG-CKE)に名称変更 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 沢井佳子 2013 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 沢井佳子 石川翔吾 2014 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 沢井佳子 石川翔吾 2015 竹林洋一 桐山伸也 佐藤久美子 沢井佳子 石川翔吾 表 14 SIG-DMSM の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 2006 鷲尾 隆 樋口知之 猪口明博 平野章二 南 弘征 山口類 2007 鷲尾 隆 樋口知之 猪口明博 平野章二 南 弘征 山口類 2008 鷲尾 隆 樋口知之 猪口明博 神嶌敏弘 杉山 将 南 弘征 2009 鷲尾 隆 樋口知之 猪口明博 神嶌敏弘 杉山 将 南 弘征

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3·14 知識・技術・技能の伝承支援研究会(SIG-KST) 知識・技術・技能の伝承支援研究会(SIG-KST)は平 成 18 年度に設立し,単独開催,共催を含めて 27 回の研 究会を行ってきた.設立当時の趣旨に基づいて研究者と 実務家が出会う場所としての役割を果たしつつ,この数 年は同時に知識や技能の伝承のための方法論をまとめる ためにインタラクティブなセッションも設けている.幸 いアカデミア以外のさまざまな分野から参加していただ いて,趣旨に沿った活動を長期にわたって継続してきた. 研究会の方向性や動向としては,設立当初は世の中で 2007年問題が話題となっており,技術者の高齢化に伴っ て今できていることができなくなるという危機感が研究 会の興味の中心にあった.現在は熟練した技術者の知識・ 技術を伝承するというところから,過去の蓄積をどのよ うにシステム化し,活用していくべきかについて検討す ることが中心となっている.このような時流の変化を捉 えつつ,今後も知識・技術・技能の計算機における蓄積 手法の構築と,その後の活用のための知見を収集するこ とを目指して活動することを考えている. 〔SIG-KST:稗方 和夫〕 3·15 ナチュラルコンピューティング研究会 (SIG-NAC) ナチュラルコンピューティング研究会は,国際ワーク ショップ(InternationalWorkshop on Natural Computing: IWNC),合同研究会のシンポジウム(美容計算・計算 美学)そして萌芽的研究醸成(膜研究会,SOMA ワー クショップ)を軸に活動してきた.

IWNCは第 1 回を Andrew Adamatzky 教授(University of West of England)をチェアとして英国のブリストル で行ったのが端緒であった.思い返せば,2011 年の東 日本大震災の直後にも公立はこだて未来大学で中垣俊之 教授(現 北海道大学)をチェアとして,福島原子力災

害が深刻化するなかワークショップを行い全国から 7 名 の参加があった(Springer Verlag から刊行した post-ceedingsの preface では中垣さんとの緊迫したメールを 紹介した).震災時に筆者は情報処理学会研究会でお台 場にいて,避難先の体育館で中垣さんと「予定どおり行 いましょう」とメールしたことを思い出す. IWNCは紆余曲折があり開催を諦めたこともあった が,萩谷昌己教授(東京大学)のご助力,新学術領域「分 子ロボティクス」のご支援などに支えていただき,国際 教養大学の Marcin Schroeder 教授をチェアとして今年 で 10 回目のワークショップとなる.「自然計算とは自 然のアルゴリズム的理解である」との旗頭のもと(歴史 的にも数千年のアルゴリズムの歴史のうち,コンピュー タが関わったのはほんのここ数十年に過ぎない),美の アルゴリズム的理解(計算美学)についても活動を展開 してきた.これまでのアートデザインに加え,近年では NTT 基礎研究所,エステサロン((株)ファセテラピー) などの協力を受け「美容計算」としての活動も模索して いる. 〔SIG-NAC:鈴木 泰博〕 3·16 知識流通ネットワーク研究会(SIG-KSN) 組織の競争力の源泉は,ハードウェアからソフトウェ ア,サービスという変遷を経て,現在は「データの分析 と活用」へと推移している.当研究会の発足時,上記ト レンドの推移では,ソフトウェアとサービスに該当する 期間にあった.企業などの組織が SNS や,ファイル共 有システム,電子メール,シンクライアントなどを利用 し,知識を流通させる課題に対し活発な議論がされた. 近年では,当研究会の発表内容も「データの分析と活用」 に向けたトレンドの影響を受け,変化している. 具体的なデータの分析と活用の発表の例は,安全性に 対するデータを活用した分析である.事故などの発生を 未然に防ぐために,社会とシステムの関係を分析しその 安全性を分析することが求められている.安全性の分析 には,分析結果に加え第三者が理解可能な説明が要求さ れる.この説明に対しては,事故の発生要因となったシ ステム仕様や事故発生時の運用データなどを有効に分析 するフレームワークの適用が重要である.また,ヘルプ 表 16 SIG-KST の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 2007 稗方和夫 古川慈之 青島大悟 坂口憲一 2008 稗方和夫 古川慈之 青島大悟 坂口憲一 2009 稗方和夫 古川慈之 青島大悟 坂口憲一 佐久間正剛 2010 稗方和夫 古川慈之 坂口憲一 佐久間正剛 平方 勝 青島大悟 2011 稗方和夫 古川慈之 坂口憲一 佐久間正剛 平方 勝 青島大悟 2012 稗方和夫 古川慈之 坂口憲一 佐久間正剛 平方 勝 青島大悟 2013 稗方和夫 古川慈之 坂口憲一 佐久間正剛 平方 勝 青島大悟 2014 稗方和夫 古川慈之 坂口憲一 佐久間正剛 松尾宏平 青島大悟 2015 稗方和夫 古川慈之 坂口憲一 佐久間正剛 松尾宏平 青島大悟 表 17 SIG-NAC の主査,主幹事,幹事のリスト 年 度 主 査 主幹事 幹 事 幹 事 2007 鈴木泰博 山村雅幸 萩谷昌巳 2008 鈴木泰博 萩谷昌巳 山村雅幸 2009 鈴木泰博 萩谷昌巳 山村雅幸 2010 鈴木泰博 萩谷昌巳 山村雅幸 堀江亮太 2011 鈴木泰博 秋庭史典 萩谷昌巳 山村雅幸 堀江亮太 2012 鈴木泰博 萩谷昌巳 山村雅幸 堀江亮太 富永和人 2013 鈴木泰博 秋庭史典 萩谷昌巳 堀江亮太 2014 鈴木泰博 萩谷昌巳 2015 鈴木泰博 萩谷昌巳

参照

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○片谷審議会会長 ありがとうございました。.