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コンクリートの表層強度と耐凍害性に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 菅 原    隆

学 位 論 文 題 名

コンクリートの表層強度と耐凍害性に関する研究 学位論文内容の要旨

  コン クリート の表層部 は大気中 ,地中, 水中などの 環境条件 によって 劣化作 用を直 接的に受 け、コンクリートのフロントとしての役割を担い,美観,景観,

耐久 性あるい は自然と の調和を 保ちなが ら、長期間 に渡って コンクリ ートの安 定性を 保持する 役目を担 っている 。

  本 論 文 はコ ン クリ ー ト 表層 部 の強度特 性にっいて 非破壊試 験の1っで ある引 抜き 法によっ て、材料 、配合条 件、施工 条件などの 違いによ る性状お よび表層 部の 強化方法 について 明らかに している 。さらに、 表層部の 耐久性に っいて凍 結 融解 作 用 によ る 劣化 挙 動 およ び 耐凍 害 性 の評 価 に っい て も研究し ている。

  第1章の 序 論 では 、 本研 究 の目的 、コンク リート表眉 部の重要 性や耐久 性と の 関 係 に っ い て 述 べ 、2章 か ら 6章 ま で の 構 成 を 明 ら か に し て い る 。   第2章の コ ン クリ ー ト表 層 部の強 度試験方 法では、古 くからあ る釘抜き 試験 方法 やこれま での試験 方法、現 場で簡便 に行える方 法にっい てまとめ 、本研究 で用 いた試験 方法の特 徴を述べ ながらよ り簡便で精 度の高い 表層強度 試験法を 提案 している 。

  コン クリート 表層部の 強度特性 は試験法 の違いによ って表層 部の評価 算定が 違う ことより 、それら との強度 特性の相 関性にっい て述べて いる。本 研究で用 いた 引抜き法 が簡便で あり、凍 結融解な どの劣化作 用を受け たコンク リート表 層 部 の 強 度 特 性 を 評 価 す る 上 で 有 効 な 方 法 で あ る こ と を 示 し て い る 。   第3章で は コ ンク リ ート の 表層強 度に及ば す内的要因 にっいて 実験的検 討を 行っ ている。 この結果 以下の特 性を明ら かにしてい る。

  コン クリート 表層部の 強度特性 に及ばす 内的要因と してセメ ント、骨 材など の使 用材料、 配合、養 生を取り 上げ、表 層強度はセ メント種 類によっ てあまり 変化 がないこ と、養生 の日数や 乾湿の違 いによって 表層強度 は変化す ること、

混和 材料とし てシリカ フューム を用いた 場合は混入 率が高く なるにっ れて表層 強度 が高くな ること、 粗骨材の 有無の影 響を受ける こと、ま た最大寸 法によっ て差 異がある こと、材 齢の違い によって 表層強度は 変化する ことなど 、通常の

(2)

施工で用いられる範囲内の実験を行い、

要因の影響にっいて明らかにしている。

さと半径の違いによる表層強度の変化、

の 相 関 性 を 明 ら か に し て い る 。

コンクリートの表層強度に及ばす各種 さらに、引抜き法での埋込み鋼片の深 圧縮強度、引張強度などと表層強度と

  第4章ではコンクリート表層部の強化方法にっいて、表層部の水セメント比 を低下させる透水シートの使用、また表面被覆により水分の出入りを制御し、

表層部を緻密化する手法を用いた結果、次のようなことが判った。不織布のシ ートを用いた透水型枠工法によってコンクリート表層部を緻密化させることに より表層部を強化でき、これらの強度の向上にっいて明らかにしている。シー ト種類によって排出される水量が違うことから、シート使用による水セメント 比の変化と強度向上、また表面被覆による強度変化にっいても明らかにしてい る。さらに透水型枠工法によって強化した大型供試体を海岸部と内陸部に暴露 し、長期材齢による表層強度の変化およびシート使用によるコンクリート表面 強度 の変化率に っいて調べ 、透水型枠 工法の有効性を明らかにしている。

  第5章では、3章と4章で取り上げた要因にっいて凍結融解試験を実施し、

凍害を受けたコンクリートの表層強度および表層強度による耐凍害性評価につ いて明らかにしている。

  AEコンクリートとしたものでは使用材料の種類による耐凍害性に対する大 きな変化はみられないがシリカフュームを多く混入したときには耐久性が劣る こと、透水型枠工法によって表層部を強化した表層強度は強度が大きく向上し、

耐凍害性の向上に有効であること、凍結融解作用によるコンクリート表面から の深さによる強度低下率は表面に近いほど大きくおよそ7 mm深さまで及ぶこ とを明らかにしている。表面を被覆して水の浸入を制御する`ことによってプレ ーンコンクリートでも十分な耐久性を保持することも明らかにしている。耐久 性指数と表層強度低下率および相対動弾性係数と凍結融解を受ける前の表層強 度の関係から耐凍害性にっいて検討し、凍結融解作用によるコンクリート表層 部の凍害劣化にっいて埋込の鋼片直径10mm、深さ7mmの引抜き試験では、7MPa 以上であれば凍害によるスケーリング損傷は少ないこと、4 MPa以下になると 被害が大きくなることを明らかにしている。

  第6章は、2章から5章まで行った研究の成果にっいてまとめ、結論を述べ るとともに今後の課題も含めて総括している。

(3)

学位論文審査の要旨

主 査   教 授   佐 伯   昇

学 位 論 文 題 名

コンクリートの表層強度と耐凍害性に関する研究

  近年、コンクリートの耐久性が大きな社会問題となっている。特に、コンクリート の表層部は大気中、地中、水中などの環境条件によって劣化作用を直接的に受けるた め、コンクリート構造体のフロントとして、美観、景観、耐久性あるいは自然との調 和を保つ役目を担っている。

  本論文は、表層部のコンクリートを取り挙げ、表層強度特性および耐久性評価につ いて明らかにしている。コンクリート表層部の強度試験法について非破壊試験の1つ である簡便な引抜き法を提案し、材料、配合条件、施工条件などの違いによる表層強 度特性および表層部の強化方法について明らかにしている。さらに、表層部の耐久性 について凍結融解作用による劣化挙動および表層強度による耐凍害性の評価について 明らかにしている。

  第1章は、本論文の研究の背景と目的について述べている。

  第2章は、コンクリート表層部の強度を調べる試験方法について、古くからある釘 抜き試験方法やこれまでの試験方法についての変遷を述べ、表層部の強度を調べる破 壊力学的な試験方法を参考にし、改良ミハエリス試験機による引抜き試験、現場で簡 便に行えるように開発したPull−out試験によってコンクリート表層部の強度を測定 している。コンクリート表層部の強度特性は試験方法の違いによる強度差はあまりな いことを明らかにしている。提案した引抜き試験方法の特徴を述べ、凍結融解作用な どの劣化作用を受けたコンクリート表層部の強度特性を評価する上で有効な方法であ ることを示している。

  第3章は、コンクリートの表層強度に及ばす内的要因を取り上げ、広範囲にわたっ て実験的検討を行い、コンクリート表層部の強度特性について明らかにしている。

  コンクリート表層部の強度に及ばす内的要因としてセメント、骨材などの使用材料、

配合、養生を取り上げ、表層強度はセメント種類によってあまり変化がないこと、養 生の日数や乾湿の違いによって表層強度は変化すること、混和材料としてシリカフュ ームを15%程度まで混入した場合は混入率が高くなるにっれて表層強度が高くなるこ と、粗骨材の有無の影響を受けること、また粗骨材最大寸法によっても差異があるこ と、材齢によって表層強度は増加するなど、通常の施工で用いられる配合範囲での実 験を行い、コンクリートの表層強度に及ぼす各種要因の影響について明らかにしてい る。さらに、引抜き法での埋込み鋼片の深さと半径の違いによる表層強度の変化、表

紀 志

吏 障

澤 沼

友 大

授 授

教 教

査 査

副 副

(4)

層強度と圧縮強度、引張強度の相関性を明らかにしている。

  第4章は、コンクリート表層部の強化、向上方法について、不織布の透水性シート を用いた透水型枠によって、コンクリート表層部を緻密化させる工法を用いて表層強 度を向上させることができることを明らかにしている。

  透水型枠工法のーっである透水性シートの使用によって、コンクリート表層部の余 剰水を排出させ、表層部の水セメント比が低下することによって強度増加にっながる ことを明らかにしている。透水性シートの種類によって排出される水量が違うことか ら、各種透水性シートを使用し、フレッシュコンクリートにおける水セメント比の変 化挙動と硬化コンクリートの強度増加についても明らかにしている。さらに透水型枠 工法によって強化した大型供試体を海岸部と内陸部に曝露し、長期材齢による表層強 度の変化および透水性シート使用によるコンクリート表面の反発硬度や粗面の変化率 について調べ、コンクリート表層部を強化する方法として透水性シートを用いた透水 型枠工法が有効であることを明らかにしている。

  第5章は、3章と4章で取り上げた要因について凍結融解試験を実施し、凍結融解 作用を受けたコンクリートの表層強度およぴ表層強度による耐凍害性評価について明 らかにしている。

  AEコンクリートとしたものでは使用材料の種類による耐凍害性に対する大きな変 化はみられないこと、シリカフュームをあまり多く混入すると耐久性が劣ること、透 水型枠工法によって表層部を強化すると表層強度が大きく向上し、耐凍害性の向上に 有効であること、凍結融解作用によるコンクリート表面からの深さによる強度低下率 は表面に近いほど大きくおよそ深さ7 mmまで及ぶことを明らかにしている。表面を被 覆して水の浸入を制御することによってプレーンコンクリートでも十分な耐久性を保 持することも明らかにしている。耐久性指数と表層強度低下率、相対動弾性係数と凍 結融解を受ける前の表層強度および凍害によるスケーリングと表層強度の関係から耐 凍害性について検討し、凍結融解作用によるAEコンクリートを主体とした表眉部の 凍害劣化について埋込み鋼片の直径20mm、深さ7mmの引抜き試験では、7MPa以上で あれば凍害によるスケーリング損傷は少ないこと、4 MPa以下になると被害が大きく なることを明らかにしている。

  第6章は、本論文でえられた結果をまとめている。

  これを要するに、著者はコンクリート表層部における強度の測定方法を提案し、表 層強度特性および耐凍害性評価について明らかにし、多くの新知見を得たものでコン クリート工学に寄与するところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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