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論文の内容の要旨 氏名:遠

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:遠

専攻分野の名称:博士(医学)

論文題名:慢性特発性蕁麻疹患者に対するシクロスポリンの治療効果を評価するバイオマーカーの同定

背景:

慢性特発性蕁麻疹(chronic spontaneous urticaria, CSU)は特定の誘発因子がなく、自発的に誘発され、

6週間以上にわたり膨疹と搔痒を繰り返す蕁麻疹とされている。CSU患者の一部は自己の血清を皮内に注 射する自己血清皮内テスト(autologous serum skin test, ASST) を行うと陽性になり、血清中に誘発因子 が存在すると考えられている。さらにIgEに対する自己抗体(抗IgE自己抗体)もしくはFcεRIα鎖に 対する自己抗体(抗α鎖自己抗体)も患者の一部で存在する。抗ヒスタミン薬の治療抵抗性の患者におい てシクロスポリンやオマリズマブが用いられる。オマリズマブの治療反応性のバイオマーカーとして ASST陰性や血清IgE値が高値であることや末梢血好塩基球のFcεRI発現高いことが報告されている。

しかし、シクロスポリンの治療の効果を予測するバイオマーカーはまだ明らかになっていない。

目的:本研究では、CSUのシクロスポリンの治療効果を予測するためのバイオマーカーを調べることを目 的とした。

方法:抗ヒスタミン薬の2倍量の加療にて効果不十分のCSU患者34 (女性20人、男性14)を対象 とした。シクロスポリンは3mg/kg/dayで約4週間の投与を行った。治療前後の蕁麻疹の重症度はUrticaria Activity Score 7 (UAS7)を用いて評価した。治療後のUAS76以下を効果ありとした。ASSTの陰性群 と陽性群の間の男女比、年齢、重症度 (UAS7)、罹患期間、血清IgE値、末梢血好塩基球数、抗核抗体陽 性率、抗サイログロブリン抗体陽性率、抗マイクロゾーム抗体陽性率を比較した。抗FcεRIα鎖自己抗体 および抗IgE 抗体自己濃度をELISA、これら自己抗体のFcεRI架橋能をIgE crosslinking-induced luciferase expression (EXiLE)法で測定し、比較した。統計学的解析はMann-Whitney-U testまたは Fisher’s exact testを用いた。p < 0.05を統計学的に有意とした。

結果:シクロスポリン投与によってASST陽性群のUAS76になった割合は、ASST陰性群よりも有意 に高値であった (p = 0.0048)ASST陽性群とASST陰性群では臨床的な背景や抗FcεRIα鎖自己抗体お よび抗IgE自己抗体濃度・FcεRI架橋能に有意な差はみられなかった。ASST陰性群およびASST陽性群 の間に血清IgE値に有意な差はみられなかったが、シクロスポリンの治療後UAS76群では治療後UAS7 > 6群と比較し、血清IgEが有意に低値であった (p = 0.0003)ROC曲線から得られた最適なカットオ

フ値は88.5 IU/mLであった。ASST陽性群において血清IgE値のカットオフ値でシクロスポリンの治療

効果を比較したところ、血清IgE値≦88.5群では血清IgE>88.5群と比較してUAS6になる割合が統 計学的に有意に高値であった ( p = 0.024)。血清IgE値≦88.5群と血清IgE>88.5群のASST陽性率を 比較したが、両群において有意な差はみられなかった ( p = 0.727)

結語:CSU患者においてASST陽性と血清IgE値がカットオフ値以下であることがシクロスポリンの治 療効果の予測のバイオマーカーになることが新たに判明した。これらはオマリズマブの治療効果のバイオ マーカーとは正反対の結果であった。シクロスポリンとオマリズマブの作用機序は全くことなり、CSU 治療の観点から2つ群が存在することが示唆された。CSUの治療においてASST陽性・血清IgE低値群 はシクロスポリン、ASST陰性・血清IgE高値群はオマリズマブが勧められる。

参照

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