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1 氏名 松

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Academic year: 2021

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1 氏 名 松

マ ツ

モ リ

ヒ ロ

ア キ

所 属 理工学研究科 電気電子工学専攻 学 位 の 種 類 博士(工学)

学 位 記 番 号 理工博 第 268 号 学位授与の日付 平成 30 年 3 月 25 日 課程・論文の別 学位規則第 4 条第 1 項該当

学 位 論 文 題 名 PWM インバータ用フィルタインダクタに関する研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 清水 敏久

委員 教 授 鈴木 敬久 委員 准教授 和田 圭二

委員 教 授 赤津 観 ( 芝浦工業大学 )

【論文の内容の要旨】

環境問題が深刻さを増すなかで,電気エネルギー消費量の増加抑制,あるいは電気エネ ルギーの効率的活用に資する技術開発が強く求められている。なかでも電力用半導体を利 用した半導体電力変換技術(以下,電力変換技術)は,上記課題を解決に資する技術とし て注目を集め,活発な研究開発が行われている。

電気エネルギーの効率的活用のために幅広い分野で電力変換装置を使用するには,小さ な体積で出来るだけ大きな電力変換が行えることが求められる。その指標として 2000 年代 に電力密度(W/L)の概念が提唱され,以来,電力変換装置の高電力密度化手法の研究が世界 的に活発に推進されてきた。電力変換装置は電力用半導体に加えて,コンデンサ,インダ クタ,トランス等の受動部品によって構成されるが,電力密度を高めるためには受動部品 の小型化に加えてそれらを近接配置して実装する必要がある。SiC や GaN 等の次世代半導 体デバイスを用いた高周波スイッチング動作により,インダクタやキャパシタ等の受動部 品の小型化により電力密度(W/L)を向上させる研究が進展した。しかし,インダクタの小型 化は,その放熱係数(すなわち熱抵抗)の増加を招き,インダクタの温度上昇値が高くな る問題がある。さらに,インダクタの温度上昇値が高すぎる場合は冷却装置が必要となる ため,冷却装置の追加による体積の増加率がインダクタの体積削減率を上回る可能性があ る。

すなわち,高いパワー密度を達成するためには,受動部品で生じる損失を正確に把握す ると共に,温度上昇値を抑制する技術が求められる。

インダクタや変圧器などの磁性体を用いた受動部品の損失は,磁性体自体の損失である

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鉄損と,巻線導体に生じる損失である銅損に大別できるが,特に鉄損は磁性体の種類やそ の励磁状態により多様に変化するため,正確に把握するのは容易ではない。また,磁性材 料の分野では正弦波の電圧・電流波励磁条件での鉄損が議論されてきたが,電力変換装置 では非正弦波の電圧・電流励磁となり,従来の条件における鉄損値と大幅に異なる問題が 指摘されている。なかでも,電力変換装置に使用されるフィルタインダクタでは,励磁電 圧波形が矩形波であることに加えて,バイアス励磁磁界成分の影響を受けて,鉄損が極め て複雑に変化することを申請者らは指摘し,鉄損の表記法やそれを用いたインダクタの損 失評価の研究を世界に先駆けて推進してきた。

以上を踏まえ,本研究では電力変換器の高電力密度化に不可欠なフィルタインダクタの 小型化・低損失化技術の確立を目的とする。すなわち,電力変換装置で使用される条件下 でのフィルタインダクタの磁性体に生じる鉄損の計測技術の高度化を図ると共に,単相イ ンバータおよび三相インバータにおけるインダクタ鉄損の高精度な計算法を開発する。さ らに,フィルタインダクタの小型化と低損失化を両立できる新たなインダクタの構成法を 開発し,その有用性を実証する。

本論文では, 7 章から構成となっており,各章の要旨を以下に示す。

第 1 章では,研究背景として電力変換装置に求められる課題を要約し,本研究の目的と 位置づけを明確にした。

第 2 章では, PWM インバータに使用される AC フィルタインダクタの鉄損測定手法につ いて論じる。鉄損の高精度計測手法として知られる 2 コイル法を, PWM インバータで使用 される AC フィルタインダクタの鉄損測定に応用し,インバータの低周波出力電流成分に起 因する低周波鉄損,スイッチングリプルに起因するオープンループ形状のマイナーループ 鉄損 ( 以下,高周波鉄損 ) ,およびスイッチング周期毎の鉄損(以下,瞬時鉄損)のそれぞれ を高精度に測定する手法について論じる。さらに,提案システムで求めた測定値と高精度 パワーメータの測定値と比較し,提案測定法の妥当性を検証する。

第 3 章では, PWM インバータに使用される AC フィルタインダクタの鉄損計算手法につ いて論じる。従来の鉄損表記式であるシュタインメッツ方程式および拡張シュタインメッ

ツ方程式 (iGSE) の特長と適用範囲について考察を行い,これらの手法では直流磁界バイア

ス印加時の鉄損特性を考慮していないことから PWM インバータに使用される AC フィル タインダクタの鉄損計算に対応できないことを指摘する。そこで,直流磁界バイアス印加 時の鉄損計算に対応できるロスマップ法と, Piecewise Linear の原理を併用した AC フィ ルタインダクタの鉄損計算手法について論じる。さらに,ロスマップ法を参考に Prof. Kolar らが提案した i

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GSE 手法とロスマップ法との比較を行い,ロスマップ法が AC フィルタイ ンダクタの鉄損計算に有利であることを示す。

第 4 章では,単相および三相 PWM インバータに使用する AC フィルタインダクタの高

精度な鉄損計算手法について論じる。単相 PWM インバータの AC フィルタインダクタの

瞬時鉄損については Piecewise Linear の原理とロスマップ法を併用した鉄損計算手法 ( 拡張

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ロスマップ法)を用いれば高精度に計算が可能であるが,一方で,三相 PWM インバータの AC フィルタインダクタの瞬時鉄損については拡張ロスマップ法を用いても大きな計算誤 差が生じることを指摘した。そこで,単相 PWM インバータの励磁と三相 PWM インバー タの励磁の違いについて明らかにし,その解決手法として, Brockmeyer らが考案した等価 周波数原理と拡張ロスマップ法を組み合わせた新たな鉄損計算手法(改良ロスマップ法)

を開発した。これにより,計算誤差が従来手法の 21% 程度から 2 %以下に低減できること を立証した。

第 5 章では,三相 PWM インバータの AC フィルタインダクタの小型・低損失化につい て論じる。従来の三相 PWM インバータ用の三相インダクタで多用される EE 形状のコア の鉄損の計算法を開発した。計算結果の分析に基づいて,通常使用される EE コアの形状で は EE コアの三つの磁脚(中心脚と二つの側脚)に生じる鉄損が不均一になり,過剰な鉄損 が発生することを指摘した。その解決手法として,中心脚と側脚の磁路断面積を最適化し,

さらに中心脚には飽和磁束密度の高い電界鉄粉を,側脚には飽和磁束密度が低いが低損失 特性に優れたセンダストを用いた新たな三相インダクタを考案した。出力電力1 kW の三相 インバータを用いて開発したインダクタの評価を行った結果,提案インダクタはインバー タ低出力時の効率改善を 1 %以上改善できることを実証した。

また,従来の EE 形状のコアに代わり,各磁脚の磁気抵抗が均一となる Y 形状の磁性体 を持つ三相インダクタを考案した。開発したインダクタは,単相インダクタを 3 組使用す る場合と比較して体積は 18 %,重量は 37 %,直流抵抗成分は 47 %の低減効果を持ち,小 型低損失化手法として極めて有望であることを実証した。

第 6 章では,新しい鉄損モデルとこれを用いた PWM インバータに使用される AC フィ ルタインダクタの鉄損計算手法について論じる。ロスマップ法は高精度に鉄損計算を行う 事ができるが,鉄損のデータポイントが離散的であるため,任意の当該のデータポイント 以外の損失値は近傍の数値から補間計算する必要があるという問題がある。また,鉄損の 主要成分であるヒステリシス損失,渦電流損失,および浮遊損失の内訳が把握できないと いう問題もある。これは,インバータ動作条件に適した磁性材料を開発するための情報と しては不十分である。そこで,鉄損を構成する各損失成分を分割して表記できる新しい鉄 損モデルと表記式を考案した。提案モデル,ロスマップ法および i

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GSE について三相 PWM インバータのフィルタインダクタについて,鉄損の計算精度を比較し,提案モデルは改良 ロスマップ法と同等の精度で鉄損計算が可能であることを示した。さらに提案モデルを用 いて鉄損の磁界バイアス依存性を評価したところ,ヒステリシス損失は磁界バイアス依存 性を多く受ける一方で,渦電流損失はバイアス依存性が低いことを明らかにした。これら の知見は,今後の低損失磁性体の特性改良に有効に活用できるものと考える。

第 7 章では,本論文を総括し,本研究で得られた成果と今後の課題について述べる。

参照

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