長崎大学工学部研究報告 第2 9巻 第5 2 号 平成1
1年スクロール レス薄型遠心送風機 の騒音 に関す る研究 ( 面積比 ,熱交換器形状 ,羽根の材質の影響)
23
児 玉 好 雄 * ・林 秀千人 ♯ ・佐 柳 恒 久 = 木 下 歓治郎 = ・荒 牧 栄三郎 = *
NoiseGeneratedbyaThinTypeCentrifugalFan withoutScrollCasing (EffectsoftheArealratio
,
GeometoryoftheheatexchangerandBladematerial)by
YoshioKODAMA
*
,HidechitoHAYASHI*,TsunehisaSANAGI**KanjirouKINOSHITA**andEisaburouARAMAKI***
TherelationbetweenthesoundpI℃SSurelevelofacentrifugalfan withoutscrollcaslngandthenowaroundthe impellerwasinvestigatedinflow rateoperatingregionwithrespecttotheeffectsofthreeparameters:(I)theareal ratio,Ar(Ar=1.25,1
.
0,0.8),(2)thegeometoryoftheheatexchanger,(3)thebladematerial.Itisshownthatthereis littlediferenceamongthrecarearatiosandbetweentheporusmaterialbladeandresinousblade・TherotationalSpeed ofthefanintheappamtuswithrectangularheatexchangermustbeincreasedofabout7%thanthatwithcircularheat exchangertoobtaintheregulationflowrate(Q=1
8m3/min).Thereforethenoiseradiatedfrom theformerishigher thanthelatter・Theagreementbetweenthemeasuredvaluesandthepredictedvaluesofthesoundpressurelevelofthe turbulentnoisewassatisfactry.1
.緒 言最近 ,冷暖房機器用 と してスクロールケーシングを 有 しない送風機 ,すなわちスクロール レスファンの利 用が増 えてお り,店舗やオフ ィス等の天井 に埋め込 ま れている. この送風機 に関 して著者 らは羽根前縁 と口 金壁面間の距離 ,ベルマウス出口形状 および口金す き まの影響 につ いて研究 を行 った
(1).その結果
, (1)口金す きまが狭いほど,す きまを通るもれ流れは減少
し,流体力学的特性 が改善 され る.
(2)羽根の諸元 を変 えずに口金口径のみ を大 きくすれば ,口金口径が 大 きくなるにつれて送風機 の圧 力 と効率 は低下す る.
(3
)著者 らが誘導 した乱流巌音の予測式 を用いれば , スクロール レス遠心送風機の乱流巌音 をかな りの精度
で予測で きる,などの成果が得 られた.
スクロール レス遠心送風機 を有す る冷暖房機器 は前 述 したようにオ フィスや店舗などの天井に設置 され る ので ,出来 るだけ薄 く,かつ軽量の ものが望 まれ る.
しか しなが ら,羽根車 を薄 くすれば ,同圧力 ,同流量 を出すために,回転数や羽根車直径 を大 きくしなけれ ばな らない.このため ,相対速度が高 くな り,引いて は騒音の増加 を招 く恐れがある. また,熱交換器の高 さも当然低 くなるので ,熱交換量の鞍点か ら考えれば , 熱交換器の段数 を増や したり,形状 を変 えたりしなけ ればならず ,これが送風機の性能や額音に及ぼす影響 も考 えられる.一方では ,羽根車の人口面穂 と出口面 積 との比 が
1に近づ くので,羽根車の前面 シュラウ ド
平成1
0年10月22日受理
+ 機械 システム工学科
(DepartmentofMechanicalSystemsEngineering)= ダイキン工業 ( 秩)
(DAIKINCo.,Ltd.)日 暮大学院修士課程機械 システム学専攻
(GraduateStudent,DeparhentofMechamiCalSystemsEngineering)24
児玉 好雄 ・林 男 千人 ・佐柳 恒久 ・木下歓治郎 ・荒牧栄三郎
近傍の巽前縁側での流れが改尊 さ′ れ ∴逆淡や剥離やミ 抑 制 され る. したがって ,送風機効率 は上が り,、 乱流鼻 音の低減 も期待で きる‑ .
以上の理 由 か ら,羽根車 出口 にお ける羽根の高 さ ( 業 スパ ン)が
55mm( 従来の羽根車 は
100mm)の羽 根車 を製作 し,送風嶺 の特性改善の研究 を行 った. こ の羽根車 は従来の羽根車 に比較 して業の スパ ンが
55%しかない.これ を薄型遠心送風機 と名付 ける. この種 の送風機 の特性 に関す る研究 はほ とん ど見 られ ない.
このよ うな背景 に立脚 して ,本研究では羽根車入口 ・ 出口面積比 ,熱交換盛の形状及び羽根の材質が送風機 の流体力学的特性や廉音特性 に及ぼす影響 について実 巌 を行 い ,考察 した.
2.
おもな記号
A
,: 面積比 ( 羽根車人口面稚拙 口面穣)
ao:音速
mJsβ
: 動翼枚数
C :
業弦長
m,mm刀 :
相対座標系における後流の幅
m,… D桝 :口金口径
m,mmp
i: 羽根車内径
m,帆 D。: 羽根車外径
m,mmE :
音響出力
whs
:スパ ン長 さ
m,mmKs(A):A
特性 における比騒音 レベル
dB Ks(L):L特性 における比騒音 レベル
dBL
: 軸動力
wL, m:羽根前縁 と口金壁面間の距離 ( 前縁距離)
mmP
,: 全圧
paQ :
送風機流量
m3/S
,m3/mi n R :半径方向の距離
m Rl. ・ 羽根車人口半径
m,mm R2: 羽根車出口半径
m,mmSPL,(A):A
特性 における音圧 レベル
dB SPL(L):L特性 における音圧 レベル
dBu.:羽根車外縁の周速度
nJsw 2
:羽根車出口の相対速度
nl/s〟 :
羽根車内の任意半径 における相対速度
m/sz :スパ ン方向の距離
mz
:音源 と親潮点間の距離
my . :翼の入口角 o
y 2 :業の出口角 0
77 :送風横効率
A :動力係数 暑 :業の取付角 ○
p ;
空気の磨度
kg/m3¢ :涜主係数 ' ' 1 y : 庄 力廃数
3.
乱 流鼻音の理論
本研究で用い られているスクロール レス遠心送風機 はベルマ ウス入口部 にフィル タなどが設置 されている ため乱流廉音は主 と して某 に流入す る乱れ と巽後縁 か ら放出 され る渦 に基づ く廉音か ら成 り立 っていると考 えられ るが ,業 に流入す る乱れが乱流巌音 に孝ぽす影 響 は無視 出来 るほ ど小 さ い ( 1) . したがって ,この種の 送風機で対象 となるのは業後縁か ら放出 され る渦 によ って発生す る次式で示 され る乱流廉音である
(2).E
=
7EPB DW8dZ/24αお .3(1)
ここで
Eは音響出力
,Bは動業枚数
,pは空気の密度 , β は後流の幅
,Zはスパ ン方向の距離,Wは相対速度 ,
aoは音速で ある. なれ 本研究では相対速度 は巽 入 口か ら出口 まで直線的に変化す ると仮定 して ,式 (
1)中の
Wは
R=
(Rl+R2)/2の位置の相対速度 で代表 させ た.
スクロール レス遠心送風機 では ,吸込口 と吐出口 と が同一面上 に あ るため全音響 出力 が上流 側へ伝播 す る. この場合 ,音響 出力
Eと軸 中心上の ベルマウス 端 か ら Zの距離 にある測定点の音圧 レベル
SPLとは
poを最小可聴音圧 として ,次式で関係付 け られ る
(2).St'L=10loglO(3F
X Z o
E/47EZ2po2) (2) 4.実験装置および方法
図
1は実験装置の概要 を示 した ものである.図
1(a)の熱交換器 は熱交換器の輪郭の形状 が比較的円形 に近 い もの で ,これ を円形熱交換器 と名付 け る.図
1(b)は熱交換器の接触面横 を拡大す るために四角の形状 に
した もの ( 四角形熱交換器)である.空気 はフ ィル タ を通 って羽根車 に流入 し,羽根車 によって加速 された 後 ,高 さ
126mm,奥行 き
36mm( 四角形熱 交換器 は
25mm)の熱交換器へ と導 かれ る.その後 ,熱交換器 と外壁間の幅
70mmの空間へ と流入 し,その外壁 によ り,900転向 して上向 き流れ とな り,吹 き出 し角450で 機外へ流 出す る.なお ,羽根車出口 と熱交換器人口の 最短距離 は前者 が
50mm,後者 が
55mmである.また , 口金す きまはいずれの場合 も
5m で ある.
羽根車 出口における圧力 と速度の測定 は ,羽根車外
縁 よ り
10mm大 きい半 径 上 の
MP1‑MP4の
4断 面
スクロール レス薄型遠心送風機 の鼻音 に関す る研究
[900
間隔 ,図
1(a)参照 ] にお いて
, 5孔球形 ピ トー 管 と熱線流 速計 を用 いて ,スパ ン方向 に約1
0mm間隔で行 った.なお ,羽根車の回転数 はス ライダ ックによ り制御 した.
図
2はスクロール レス遠心 フ ァンの流体力学的特性 と騒音特性 を求め る際 に使用 した装置で ある.供試送 風機 は縦5.
7m,横3.5m,高 さ2.7mの プ レナ ムチ ャン バの 中に設置 されている. この プ レナムチ ャンバの下 流側 には直径400mm の円形 ダク トが接続 されてお り, 管路途 中には補助 用の遠心送風機 が設置 されてい る.
流 量 は補助 送風機 の下流 に設 けたオ リフ ィスで計測 し,流量調整 は管路人口に取 り付 けた コニ カル ダンパ で行 った. また ,圧力はプ レナムチ ャンバの側壁 で計 測 した.軸 出力は トル クメー タで計測 した.
.
835 . /NPlI A肝2宍〇〇
36 ∠.ノ′ l、■一一■●■一一●一一.ゝ I‑‑ 圭3..Jt';'t≡‑‑‑琴 ‑I‑喜≡譲∫
ヾ.ヾ.ー. I .●一..J一一一...㌢.V 50
(a) Apparatuswith circularheatexchanger
(b) ApparatusWith rectangularhealexchanger Fig.1Expenm:talappaJatuS
25
図
3は各供 試 羽 根 車 の概 要 を示 した もの で あ る.
N0.1
か ら
No.3羽根車 はいずれ も羽根高 さ ( スパ ン長 さ) が55mm の二次元巽 を有す る羽根車 で ,外径 は480mm で共通である.No.
1,No.2およびNo.
3羽根串の内径 と 口金 口径 はそれ ぞれ
(367.4mm.380mm),(343.3mm,
360mm),(317.3mm,340mm)で あるか ら,人口/ 出 口面積比
Arはそれ ぞれ1.
2,1 .
0,0.8となる. また ,各羽根車の冥弦長 は1
22.3mm,140.5mm,149.9mmである.No . 4羽根車の諸元 はNo.
2羽根車 と全 く同 じで羽 根の材質が前者 はポー ラスで あ るの に対 し.後者 は樹 脂の違いだけで ある.羽根枚数 はいずれの羽根車 の場 合 も
8枚で あ る. なお ,前縁距離
Linl 図
3(b)参照]
は約
13‑18mmで ある.表
1に各羽根車の主要 諸元 を 示す.
⊂ ⊃
⊂ ⊃
∈
指 Bo o
slertan Oririce\ゝ チ‑
‑‑.‑.‑‑‑.‑,‑.一一.‑‑‑‑.・.ケ‑‑‑:‑‑‑L‑‑1L‑.‑ ‑A‑ . ト
l
l ∠
Damper T IB‑el/lm
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L∫=⊃ = >
?)一ト一トヽノ′■■ヽ
\
Nolor l lmpeー
IⅠ
e r2850
2
850 ▲ ー̲Fig.2Plenumchamber
(b)Schamaticdiagram (a)No.2 Impeller OfiJnpeHer
Fig.3Testimpeller
TablelMaindimensionsoftheimpeller
zl o
Ⅰmpeller No.1 Ⅳ0.2 Ⅳ0.3 No.4 Nunberoft)lades,a 8 8 8 8 Spanlength,A.m血 55.0 55.0 55.0 55.0 MouthpiecediBmeter,LL 皿Ⅲ 380.0 360.0 340.0 360.0
Ⅰmnerdianeter.DLmD 367.4 343.3 317.4 343.3 OuterdiaJneter.D.皿n 480.0 480.0 480.0 480.0 Chordlength.c
m
122.3 140.5 149.9 140.5 Staggerangle.e deg. 48.7 44.8 40.3 44.8 lnletangle.γl deg. 70.9 65.5 59,1 65.5 Outletangle,72 deg. 53.3 53.3 53.3 53.326 児玉
好雄 ・林 秀千人 ・佐柳 恒久 ・木下歓治郎 ・荒牧栄三郎
5.
実験結果 お よび考察
5. 1空 力特性
図
4は羽根車 半休 の流体 力学 的特性 を示 した もの で ,図
4(a)には羽根車の面積比 ( 入口面積/ 出口面積) の影響 が ,図
4(b)には羽根 の材 質の差 異 が特性 に及 ぼす影響 が示 されてい る.図
4中の V は圧 力係数 ,少 は流量係数
,Aは動 力係数
,77は送風機 と電動機 の総 合効率 で あ り,それ ぞれ次式で定義 され る.
V=2P/pUo2,¢=Q/7EDohsUo
A=2LJ7EPDohsUo3, Tl=仲 人
(1) ここで
Pは壁面圧 力 ,pは密度
,Uoは羽根車外縁の 周速度 ,
Qは流量
,Doは羽根車直径
,hsはスパ ン長
さ
,Lは電動機 の軸 出力で ある.
図
4(a)よ りほぼ全 流 量域 にわ た って
No.3羽 根 車 ( □印)の圧 力係数 が他 の羽根車 よ り高 く,最高効率
64っん000T.)U9.3tJJ303JaNLOd一ndu)4'JtJa!0]JJOOO91nSS巴dミbtJatD∈aUdJ 00
0.2 0.3 0.4 Flowcoefficient,¢
(a) EHects of the area ratio.AT
000YJtTa!DTD303)写Od7ndulさJua!3])3903巴nSS巴dF.L3t)9!DTJJ9ut2﹄ ′04つ一00
0.2 0.3 0.4 Flowcoefficient,¢
(b) EffectsoL the blade tnateriaI Fig.4Characteristiccurves
流量 が高流量側 で あ り,高効率の流 量域 が広 い こと, などが分 かる.また ,最高効率点の流量 は面稚比 が小
さくな る順 ,す なわ ち
No.1羽根車
(○印)
,No.2羽 根車 ( △印)
,No.3羽根車 ( □印)の順 に大 きくなる.
これ は本実験 では羽根車外径 を一定 に しているため面 積比 が小 さくなるに従 って業弦長 が長 くな り流れが某 に沿 って流れ るようになったため と思われ る.要求 さ れ る圧 力 と流量 を考慮 すれ ば
,No.3羽根車 では回転 数 を約
10%低減で きる計算 になる.送風機騒音 は相対 速度の
6乗 に比例す ることを勘案すれば ,この ことは 送風機 騒 音 を約
2.5dB低 減 で きる こ とを示 唆 してい
る.
図
4(b)の
No.2羽根車 ( △印) と
No.4羽根車 ( ◇ 印)の比較 か ら,流量係数 中が
0.3以下 では樹脂製の 羽根 を有す る
No.2羽根車 の方 がポーラス羽根の
No.4羽根車 よ り圧 力係数 V が高 い ことが分 か る. これ は 樹 脂製 の羽根 の表面 は比較 的滑 らかで あるの に対 し て ,ポー ラス羽根 は表面 が粗いため羽根表面での摩擦 損失 が大 きくなるため と考 えられ る. また ,最高効率 は
No.2羽根車 では流量係数 が約
0.24の時 に
63% ,No.4
羽根車 で は流量係数 が約
0.27の時 に
61%となってお り,前者 が
2%効率 が高 い.
5.2
羽根車 出口の流動様相
図
5は
No.2送風機 に関 して ,送風機 出口での規定 流量1
8m3/minの ときの
MPl〜MP4断面 における全圧の スパ ン方 向分布 を示 した ものである. この流量 におけ る回転数 〃 は円形熱交換器 を設置 した場合 が
655叩m, 四角形熱交換器の場合 が
700叩mとな る.図
5(a)は円 形熱 交換器 が設置 され てい る場合 を,図
5(b)は四角 形熱交換器の場合で ある.両者の比較 か ら,四角形熱 交換器の場合 は円形熱交換器 に比べて測定断面 による 変化 が大 きい. これは円形 に比べて四角形の場合 は熱 交換 器 に対称性 がない こと,この ため三隅 ( 図
1(b)参照) において循環渦 が発生す る ( 図省略) こと,な
どに因 る もの と推測 され る.なお ,羽根車 出口の
4断
面の算術平均値 で表せば ,四角形熱交換器 を設置 した
方 が円形熱交換器 よ りも全圧 は約
30Pa高
い.この こと
は1
8m3/minの流量 を出す前者 は後者 よ りも圧 力 を
30Pa出す必要 があ り,熱交換器の形状 を四角形 にすれば円
形 よ りも熱交換器の抵抗 が
30Pa増加す ることを意味 し
てい る.静圧 も同様 な傾 向 が見 られ る ( 図省略)
スクロール レス薄型遠心送朋 の鼻音に関す る研究
0 0.5 1
Spanwiscdistance,ZAs
tE1J.巴
n
SS巴dTq
Oト 00006(a)Apparatusyithcircularheatexchanger
eJトd.
巴
nSS巴d一e)0ト 00080 0.5 l
SpaJIWisedistance,ZJhs
(b)ApparatusWith rectangularheatexchanger Fig.5Effectsoflocationonthetotalpressure
図
6(a),(b)はMP1‑MP4 にお ける全圧の
4点平均 値 をスパ ン方向 にプ ロ ッ トした もので あ る.図
6(a)は面積比
Arの影響 を,図
6(b)は熱交換器の形状の影 響 を示 して いる.図
6(a)に示 され るよ うに
No.2羽根 車 と
No.3羽根車では差 はほ とん ど見 られ ないが
,No.1
羽根車 は前二者 に比較 して若干低 い.図
6(b)か ら, 全 スパ ンにわたって四角形熱交換器 は円形熱交換器 よ
りも全圧 が約
30Pa高
い.この ことは前者 が後者 に比べ て圧 力損失 が
30Pa分大 きい ことを意味す る.一方 ,ポ ー ラス羽 根 を持 つ
No.4送 風 機 の 場 合 ,規 定 流 量
18m3/minにお ける羽根車 の 回転数 は
670rpmとなるた め ,羽根車 出口 にお ける全圧 は若干
No.2送風歳 よ り も若干高 いが ,分布の傾向はほ とん ど同 じで ある ( 図 省略).
図
7(a),(b)は
4点 の平均値 を用 いた相対 速度 の ス パ ン方向分布 で あ り,図
7(a)は熱交換器 に よ る差異 を ,図
7(b)は羽根 の材 質 に よ る差 異 を示 して い る.
図
7(a)か ら,熱交換器 にお いて は ,相対速度 は回転 数 の大 きい四角形熱交換 器 ( ▲ 印 ) が円形 熱 交換器 ( △印 )よ りもおお きいが ,図
7(b)に示す よ うに羽根 の材質によ る差異 はほ とん ど見 られ ない.騒音 は相対
dJIJ.aJnSSaJdTt!)01dd
l
d.
巴nSS巴dTqO
卜27
0 0.5 1
Spanwiscdistancc,ZJhs (a)EffectsoEthearearatio,JT
▲・、・・・・^‑・・・・・‑▲一・‑・・・▲一・・・・・・▲‑‑・‑I‑▲
山 一 △
c
c
nbihgalfu No.2lmpeLkr B‑8 Q‑I8rELJ/miJI Re山・Shtoud‑A‑ CiTMT655rpm)
・・▲‑I:Refp‑700TT)m)
FronHhTOud
0 0.5 1
SPanwisedistance,Z爪5
(b)Elfect50rgeometryOftheheatexcbanger Fig.6Distributionsofthetotalpressure
srutAL倉uo
p
^3
^!)。Ta
Y〆 去 二・・一・‑‑・‑‑・・‑‑・‑‑‑‑
CeELbiALBd fArI
No・Zb peLIe† 8‑8 Q‑18mJ/mill
Rev shroud
ーむ.:ciE.p‑6
55
'pm)・‑A.・:Rec.p‑700rpm)
Frontlhroud
0 0.5
Spanwiscdistance,ZJhs
(a)EHectsofgeometryofthebea‑exchanger
SPJJM^.LTT30P^3^!)吋一
a
tJ 0CenbiかpI血I B‑8 H.E∴Cir.
Q‑ISmJ/TTLin 心 :No.2lmPeIJcr(N‑655rprn)
・◇・:No.4lmFKIIerp‑670rpm) Re一r血相ud Front5hTOud
0 0.5
SpanwisedistaJICe,ZJhs
(b)EffectsofthebladeJnaterial Fig.7Distributionsoftherelativeveloclty
28 児玉
好雄 ・林 秀千人 ・佐柳 恒久 ・木下歓治郎 ・荒牧栄三郎
速度の
6乗 に比例す るか ら,相対速度の増加 には十分 配慮 す る必要 がある. また ,羽根車 の面積比
Arが相 対速度 に及ぼす影響 はほ とん ど見 られ なかった ( 図省 略).
送風嶺 鼻 音 にお よぽす重要 な因子 に後流 の幅 が あ る.相対座標系 にお ける後流の幅 を求め る方法 と して 絶対座標系で計測 した速度変動波形 を利 用す る方法 と 相対流 出角 と業の取付 角 を利用す る方法 がある( 3 ) .前 者 は煩雑で あるが精度 が後者 よ りよい と思 われ るので 本研 究 で は前者 か ら後 流 の幅 を予 測 した.図
8(a), (b),(C)は羽根車 出口の速度変動 波形 の スパ ン方 向の 分布 を示 した もので ,それ ぞれ
,No.1,No.2,No.3送風機 の場合 で ある.図 においてスパ ン方向距離
Z/hsの値 が小 さくなるほ ど後面 シュ ラウ ド ( ハ ブ)側 に , 大 きくなるほ ど前面 シュラウ ド側 に近づ くことを示 し てい る.縦軸 は熱線流速計の出力で ,横軸 は時間で あ る. この場合 ,変動波形 は羽根車
100回転の平均値 と して一周期分 を示 してい る. これ らの図か ら,全体的 に後面 シュラウ ドか ら前面 シュラウ ドまで
8つの明瞭 な波形 の ピークが見 られ ,流れは比較 的巽 に沿 ってい ると推測 され る. この ピークの ところが後流 で ある.
この幅 が広いほ ど巽面上の境界層 が発達 してい ること を意味 してい る.後面 シュ ラウ ドか ら
Z/h,が0.
2近傍 まで後流の幅 は狭 く,これ よ り
Z/hsが大 きくな ると
(a) 2/hs;1 1 (Frontshroud)=
Ja一a
t[O
qaud31tAコ冒ー〇三d三〇 ha t a q O q
attd多少増加す る傾 向が見 られ る.羽根車 による後淡の幅 の差 は小 さい ものの ,スパ ン全体 の平均 で比べれ ば ,
No.3羽根車 が多少広 いよ うで ある.
速度変動波形 か ら後流の幅 を定義す るの は非常 に雛 しいが ,図 9に例示 して い る後流の幅
かauを絶 対座標系 にお ける回転方向の後流の幅 と定義 した.
式
(1)における後流の幅 β は相対座標系 における後 流の幅 で あるか ら,これ を
pauか ら図10に示 す羽根 出 口 の 速 度 三 角形 の 関 係 を用 い て算 出 した .̀ 図 中
AE=AF=CDで ある.す なわち ,絶対座標 系の後流の 幅
かauと相対座標系の後流の幅 β との間 には式(2)で 示 され る関係 が ある
(3) : また ,図1
0中の
Daは絶対速度
V2に垂直方 向の後流の幅す なわ ち ,絶対座標系 に おける後流の幅 である.
D=DaucosP2 (2)
ここで 尾 は相対流出角で ある.
図
11は相対座標系 における後流の幅の スパ ン方 向分 布 を示 した ものである.後流の幅 は後面 シュ ラウ ド近 傍 が一番狭 く,前面 シュラウ ド側へ向 か うにつれて増 加す る傾 向は全 ての羽根車 で同 じで ある.以上の こと か ら,流 れは後面 シュラウ ド近傍 が前面 シュ ラウ ド近 傍 よ り異 に沿 って流れてい ると言 える.
(a) Z/hs=1
伊ronlshroud)=
(b)ヱ/hs;0.8
▲:
抽 ill H ̲A TL thlTL 人丸 」
乙 」 しノ Lj 卜tJ
(d)Z/h =
I lt■‑ ln l l l l
̲I.t l I ̲I. I I.[
「 一 一T ーヽ■!(E) Z'■T V/AS=0I l ーt
(A) No.1 IDPeILer (a)No.2 ImpeLIer (C) No.3 1tnpelLer
Fig.8Velocityfluctuationsinthewake
スクロール レス薄型遠心送風機 の騒音 に関す る研究
uJQ.3鴬JVtJOt47
P
!きFig.10 Velocitytriangleatoutletofimpe ller
420000 0 D
0.5 l
Spanwisedist弧Ce,ZJhs Fig.llSpan wisedistributionofthewakewidth
6.
送風機 の単音
6. 1
騒音のスペ ク トル分布
図
12(a),(b),(C)はそれぞれ規 定流量
Q=18m3/min関 して ,L 特性 にお ける騒 音 の スペ ク トル分布 を示
した もの で あ る.図
12(a)は羽根車 の面積比 に よる差 異 を,図
12(b)は羽根 の材質 に よ る差異 を ,図
12(C)は 熱 交換器の形 状 によ る影響 を示 してい る.図
12(a)か ら,周波数
f.に音圧 レベルの ピークが見 られ るが こ れ は回転騒 音の基本周波数で ある. これ は羽根車 人口 あるいは出口において装置の円周方向の非対称の ため 生 じた流れのひずみ と羽根車 との干渉 によって生 じた ものである.
3羽根串 間に関 しては面積比 が一番小 さ
いNo.3羽根車 において
1100Hz近傍 に音圧 レベルの低 い ピークが見 られ る以外 ,差異 はほ とん ど見 られ ない.
この ことは ,図 中の全帯域廉 音の数値 に見 ら一 れ るよ う にその レベルがほ とん ど変わ らない ことか らも推測で きる.羽根 の材質 に関 して は図
12(b)に示 す よ うに回 転数の高 いポーラス羽根の
No.4羽根車 が樹脂製の
No.宅(i)P^ala
J n S
Sedpuno s
gp(i)ra^912nSS巴dpunosE[P(i
)P^at91nSS巴dpunos 05 000432000541一29
10ユ
1 0 3
Frequcncy,f比
(a)Effectsofthe
ar
eara t
io.AT102 103
Frequency
, fH
Z(b) EEEects of the bladea)aterial
102 loョ
Frequency,f
H
z(C)Effect
s
oE
geome
try Oft
heheatexchang
e rFig.12 Spe ctral distributionsofthefan noise
2
羽根車 よ りほぼ全周波数 にわたって音圧 レベルが高 い. この ことはポー ラス羽根の吸音効果がほ とん ど見 られ ない ことを示唆 して い る.図
12(C)で は周波数
flと f Eに音圧 レベルの ピークが見 られ るが ,後者 は電
磁騒音である.後者 は羽根車の不釣 り合 いの ため ,電
源 に不平衡 が生 じたために発生 した と考 えられ る.一
方 ,乱流廉音 を見れば ,四角形熱交換器 が円形交換器
30
児玉 好稚 ・林 秀千人 ・佐柳 恒久 ・木下歓治郎 ・荒牧栄三郎
の場合 よりほぼ全周波数にわたって高い.これは主 と して回転数の差に基づ くものである
.A特性で も同様 の傾向が見 られ る ( 図省略).
6. 2
全帯域鼻音の実験価 と予測価 との比較 図
13は
No.1‑No.4送風横 から放射 される乱流鼻音 の美浜値 と式
(1)と式
(2)か ら得 られ る予測値 とを比較 したものである.ただ し,乱流蘇音の実験値 は全帯域 騒音エネルギーか ら fl ,f Eなどの離散周波数廉音のエ ネルギーを差 し引いた値 を用いてい る.なお,予測値 を算 出す る際 には相対速度 は第
3章 で示 した半径
Rにお ける値 を,後流の幅 は実測値 を用いた.図 中の
450の実線 は実験値 と予測値 とが一致 していることを, 破線 は±
2dBの誤差 を示 してい る.実験値 と予測値
はほぼ±
ZdB以内の精度で一致 してお り,予測式
(1)を用いれば ,スクロール レス遠心送風機の鼻音 をもか なりよい精度で予測出来 ることが分 かる.
55 60
SPL(calcuhtcd)d
B
Fig.13 Comparisonofpredictedvalueofsoundpressure
levelwithmeasuredvalue
7.
比鼻音 レベル
送風横の泉音 を評価す る量 として ,送風機単音に流 量 と圧力 を加味 した式
(4)で示 され る比鼻音 レベル
Ksがある. この レベルが低いほ ど静音送風積 と見な され ている.
Ks=SPL‑
1
0・log..(QP,2
)+2 0 (4)
ここで
Qは流量 (
m3/min),PTは全圧
(Pa)である.
表
2は四種類の羽根車の全帯域音圧 レベル
(SPL)と比騒音 レベル
(Ks)を示 した もので ある.比鼻音 レベルは
No.1送風機 が一番高 く,残 りの三者の間で はほ とんど差 は見 られない.また ,熱交換器に関 して は,円形熱交換器の方が四角形熱交換碁 よりも比騒音 レベルが低 く,静音であると言 える.
Table2Specificnoiselevel
Ⅰmpeller No.1No.2No.3 No.4 No.2(Rec.)
〟 rpm 655 655 655 670 700 A
,
1.25 1.00 0.80 1.00 1.00 SPL(L) dB 56.9 56.9 57.0 57.1 60.3 SPL(A) dB51.4 51.4 50.8 5●2.5 53.7 K.(L) dB26.9 26.3 26.0 26.2 30.1 K.(A) dB21.9 21.5 21.4 21.6 23.58.
結 論
本研究では四種類の薄型遠心送風機 と二種類の熱交 換器 を用いて流休力学的特性 と鼻音特性 について調べ ると共に乱流巌音の予測式について検討 を行った.そ の結果以下の結論 を得 た.
(1
)同 じ流量 を出す ためには ,四角形熱交換器付 き 装置 は円形熱交換器付 き装置よりも回転数 を高 くし なければな らない.このため ,前者は後者より鼻音 が高 くなる.
(2
)四角形熱交換器付 き装置は円形熱交換器付 き装 置 よりも円周の
4断面における全圧のば らつ きが大 きく,同流量にす るためには前者 が後者に比較 して 約
8%回転数 を増や さなければな らない.
(3
)同流量にす るため には ,ポーラス梨の羽根 を有 する送風機 は樹脂製の羽根 を有す る送風機より回転 数 を約
2%増加 させなければならない.回転数の増 加による騒音の増加 とポーラス羽根 による廉音の吸 収 とが相殺 されて両送風横 による全帯域騒音の差は ほ とんど見 られない.
(4
)本報で用いた後流の幅の予測式 と乱流擬音の予 測式 を用いれば ,送風横か ら放射 され る餐音 を
±2dB
以内の精度で予測す ることが出来 る.
(5