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環境科学部における学生主体の環境マネジメントシステムの捷案

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Academic year: 2021

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(1)

環境科学部における学生主体の 環境マネジメントシステムの捷案

長岡諭志* 、松田香穂里* 、鳥井俊輔* 、広石暁子* * 、中村修

***

APr o pos a lo nt heFa c ul t yofEnvi r o nme nt a lS t udi e sofEMSMa i nl y Ma na ge db yS t ude nt s

SatoshiNAGAOK

A

,KaoriMATSUDA,ShunsukeTORI

I

,AkikoHIROISHI andOsamuNAKAMURA

Abstract:FouryearshavepassedsincetheFacultyofEnvironmentalStudiesinNagasaki University initially acquired IS014001 certification,the internationally standardized EnvironmentalManagementsSystem,a洗erastrictinspection・ However,OurEMS consistsofonly teachersandtheofrlCe Staff in thefaculty,excluding studentsas participants.

AlthoughtheEMSisbeingmanagedrathersmoothlyfわrthetimebeing,moststudents lackawarenessofitandthelevelofinterestislow.Consideringthatthefaculty isan educationalinstitution,thestudents'involvementwouldbemoredesirablefrom the viewpolntOfeducationandalsoefficiency.

AnumberofstudentsexaminedhowChibaUniversitywasrunningtheirEMSinten s ofstudents'commitment,andcomparedtheirsystem withNagasaki'sasapartofthe courseworkfortheirEnvironmentalManagementTheorycoursein2005.In2006and 20070nthebasisoftheirinvestigation,Otherstudentsmadeaproposalforachangeinthe system,thatis,toswitchtoanEMSadministeredmainlybystudents.Theyalsoinitiated otherrelatedactivitiestodowithenvironmentalmanagement.

KeyWoyds.ISO14001,EnvironmentalManagementSystems,UniversiO)

はじめに

長崎 大学環境科学部 (以 下、本学部 ) は平成 15 3月 に環境マネ ジメン トシステム (以下EMS)の 国際標 準規格 である ISO14001を認証取得 し、平成 183月、更新審査 を通過 した。本学部 はISO14001

受付年月 日2007年 (平成19年)717 受理年月 日2007年 (平成19年)918

*

長崎大学環境科学部環境科学科

* *

(樵) 日産 自動車

***長崎大学大学院生産科学研究科

の規格要求事項 に従 う形で PDCAサイ クル をまわ し てきてお り、EMSを運用す る体制 は十分整 った、 と 考 え られ る。

しか しなが ら、本学部 にお けるEMSの構成員 には 学生が入 っていない。 それ ゆえに、本学部 のEMSに 対 して、 ほ とん どの学生は知識 が無 く、無関心であ る。大学 とい う教育機 関にお けるEMSであることを 考 えた とき、職員 と教員だけのEMSでいいのか、 と い う疑問があった。

そ こで、EMSを構築 ・運用 してい る他 の大学では、

(2)

長岡諭志 ・松 田香穂里 ・鳥井俊輔 ・広 中暁子 ・中村修

第 1図 学生の知識調査アンケー ト結果

環境科学部の環境方針を知っていますか ? 環境科学部の環境 目的、環境 目標 を知っていますか ?

18%

33%

i.

67%

82% アンケー ト実施対象

長崎大学環境科学部生 1年〜3年 実施 日 :平成 195月末 実施方法 :全数調査 回収率 :87.8% 回答者数 :369

学生がEMSに どのよ うな関わ り方 を しているのか、

本学部のEMSをよ り良 くしてい く参考 にす るために、

本学部 において開講 されている環境マネ ジメン ト論 の講義 を利用 して、他大学のEMSの状況 を調査 した (2005年)。その うえで、本学部 にお ける新 しいEMS のあ りかたについて、学生が主体 になって提言 を考 え、様 々な活動 を開始 した (2006,2007年)。

こ うした提言 と、それ に基づ くい くつかの活動 を 本稿で紹介す る。

1、学生が参加しないEMS

本学部の EMSのサイ トは 「教職員 と教室配属以 上の学生」 と位置づ け られている。環境科学部の構 成人数 を見てみ ると、教職員56名、学部生641名 (平 成185月現在)となっている。す なわち、本学部 は構成員 の9割以上を学部学生が占めてい ることに なる。大学院生 を加 えれば、この割合 はもっ と大 き くなる。

この よ うに、学部 とい う組織において大多数 を占 める学生 を含 まない EMSを構築 して も、学生の教

1表 環境科学部 における構成員数 人数 全体に占める割合 教職員 568.0%

(平成185月現在)

青にはつ なが らないのではないのか。

また、EMSに関す る知識 について本学部学生 に ISO14001に関す る 「環境方針」、 「環境 目的 ・目標

な どの重要な項 目について聞いた ところ、環境 を専 門 とす る学部学生 としては低い レベルの結果であっ た。 これ も教育資源 として ISO14001が活用 されて いない好例 と言 える。

2、千葉大学の先進事例

そ こで、環境マネ ジメン ト論の講義において、各 地の大学 における EMSの取 り組み を調査 し、比較 検討 した (広石 2006)

その結果、学生の参加がない大学の取 り組みは、

総 じて活動は低調であった。また、学生の参加 があ る場合 で も、学生に一定の権限 ・予算 を与 えている 大学ほ ど、活動が活発 であった。その一つ として千 葉大学をあげることができる。

千葉大学はISO14001を認証取得 してお り、学生 が環境 ISO学生委員会 としてEMSの運用 ・推進 に 携 わっている。環境ISO学生委員会 は活動 を通 して、

地域 におおきく貢献 してい る。

ここでの学生の活動 はめざま しい。大学内のEMS 構築に関 しては内部監査の実施 を始 め として、環境

目的 ・実施計画等の原案の作成、大学の各部署 と調 整 を行いその案の作成、学生 ・教職員‑の研修 の講 師の派遣 を行 ってい る。また、地域 に貢献す る活動

(3)

としては環境ISO学生委 員 会 の地 区代表員‑ の参加 、 地 区連絡会 の開催 、地域 交流 イベ ン トの開催 があ る。

2図 は一般 学生 と学生委員会 の省 エネ省 資源 ‑ の協力意 思 を図 るア ンケー トで あ る。 このア ンケー トの結 果 よ り、一 般 学 生 よ り学 生 委 員 会 、 つ ま り

第 2図 千葉大学学生 意識調査 ア ンケー ト Q.千葉大学は今年度中に環境ISOを取得す る予定です。これ を機にあなたは昼休みの消灯や ゴミの分別な どの省エネ ・省 資源 に協 力 しますか。

一般学生 学生委員会

[岡本,2003大学が ISO14001を取得す る意義 と予想 され る問題点の解決策」]

EMSに深 く関 わ る者 ほ ど省 エネ省 資源 ‑ の協力意 思が あ る とい うこ とが分 か る。 したが って、学生 を サイ トの 中に含 め、EMSに深 く関わ らせ る よ うに す る こ とで、学生 の参加 ・協力意識 が生 まれ る。

千葉大学環境 ISO学 生委員会 ではEMSの運用 に 深 く関わ ってい るた め に、活動 を推進 してい く上 で、

あ る程度 の知識 が不 可欠 で あ る。 そのた めに、環境 ISO学生委員会 は有職者 を招 いてのセ ミナー を4回、

既 に ISO14001を認証 取得 した大学‑ の ヒア リング 調査 (武蔵野 工業大学 、早稲 田大学、 山梨 大学 、千 葉商科大 学)、環境 ISO国際規格 自主勉 強会 で、 自 主的 に勉 強 を行 ってい る。

この よ うに、EMSの運営 に学生 を関 わ らせ るこ と に よ り環境意識 の向上 な ど、様 々な教 育効果 が生 ま れ るこ とが分 か る。 これ は教育機 関 と して、学生 に 学習す る場 を提供す るた めには非 常 に有益 な場 であ

る と考 え るこ とがで き る。

2 千葉大学におけるISO14001 キックオフ 2003.10.27

認証取得 日 2005.1.27

学生の位置づけ 学生委員会の正会員のみ構成員 コンサルタント なし

名称 環境lso学生委員会

メンバ一致 西千葉地区145人、松戸.柏の葉地区40人 (185人 )

l 組織方法 環境マネジメント実習 ⅠⅡを履修することで、学生委員会のメン バーとなり、構成員となるo講義を取らなければ協力者o

‑ズに対応し、持続可能な地域社会に開かれたキャンパス作りの大学側だけで作業するのではなく、学生も参加することが多様なニ ために必要であるoまた磯野可‑学長 自らが、学生主体の

so14001を構築すべきとしたO 専用の部屋 あり

活動内容 基礎研修講師、幼稚園りト中学校での環境教育、内部監査、地域

A 交流、削減のための計画立案 .啓発活動等

so運営組織への学生の参加 学生委員会委員長が以下の組織の一員となっているo = > 環境Iso企画委員会

> 西千葉地区環境so実行委員会 委員会継続のための手法 学生委員会の活動の単位化

情報公開 ≪学内≫メールマガジン

≪学外≫HP、環境報告書 内部監査 学生の参加あり

学生委員会による‑ 基礎研修、環境マネジメント実習 Ⅰ、年度始めの学生向けのガイ

[広石 暁子,2006大学におけるISO14001の仕組みについて」]

(4)

長岡諭志 ・松 田香穂里 ・鳥井俊輔 ・広 中暁子 ・中村修

3、環境科学部における有志学生の取組

長崎大学環境科学部では、平成145月にキ ック オフ宣言 を LJSO14001認証取得委員会な どを設置 した。 この段階では知識 を持 った学生が 自主的に参 加 していた。平成153月にISO14001の認証取得 をす る。 この ときに学生は責任や権限のない 「学生 エ コ ・チー ム」 とい う位 置づ けにな るが、平成 164月か ら平成179月までの約一年間、学生活動 の停滞期 が続 く。同年9月に大学にお けるよ り良い

EMS構築 に向けた研 究が講義 (環境マネ ジメン ト 論) を受講 した有志 が 中心 となって始 ま り、他 の ISO14001を取得 した大学を対象 とした調査や、フォ ー ラムを開催 した。10月に学生が一部、環境科学部 の環境報告書の作成 を担った。

平成183月、大学にお けるよ りよいEMSの導 入 を環境科学部 の教職 員‑提案 を行 った。 同年 12 月環境マネ ジメン ト論受講者 な どの希望者 が内部監 査講習 を受講 し、平成 192月に学生による内部監

3表 環境科学部におけるISO14001

環境科学部 の主な動 き 学生の関わ り方

14(2002) 15(2003) 16(2004)

17 (2005) 18 (2006)

19(2007) 534 設置)キ ックオフ宣言S((学生の活動の停滞期)O1so140401001認証取得認 証取得 委 員会 な どを知識 を持 った学生が 自主的に参加基礎調査やマニ ュアル作成 を補助す るな ど、一部の学生が大 き く関与責任や権限のない認証取得後か ら徐々に学生の活動が縮小学生エ コ.1年間近 く続 くチーム」 とい う位置づ け 大学 にお けるよ りよいEMS構築に向環境 マネ ジメン ト論 の講義 を受講 した有志が中

910

312

2

3 4

6 けた研究が始 まる 心 とな りお こな う 開設

学部 のEMS に関す る情報 を普及 させ るために

[広石暁子,2006大学にお けるISO14001の仕組みについてに一部加筆]

(5)

査 を実施 した。平成 193月 に学部 内の情報発信 の た め、EMS学生委員 会 のHPを開設す る。同年4月、

学部 のEMSの情報 を普及 す るた めにEMS勉 強会 を 実施す る。6月 に学生独 自の環境報 告 書 を作成 した。

この よ うに、環境科学部 の EMSが改善 してい くよ うに、学生 が積 極的 に活 動 を行 なって きた。

4、学生 を組 み込 んだEMS

千葉大学 の事例 か らも分 か るよ うに、EMSに学生 が関わ る こ とに よって、様 々な教 育効 果 が期待 で き る。

千葉 大学 にお け る事例 を参考 に長崎 大学環境科学 部 において、学生 をEMSの運用 に組 み込 んだ場合 、 3図の組織 図 が考 え られ る。

4 学生 を組 み込 む メ リッ トとデ メ リッ ト ・実践的な教育の機会を学生に提供できる

・EMSの機能性が向上する

・学生の環境意識の向上 ・安価な労働力の確保

特 に環境科学部 にお ける ISO14001の運用 の 中核 を担 って い るISO14001運営委員会 にEMS学 生委員 会 の委員長 が組 み込 まれ るこ とは非常 に重要 で あ る。

しか しなが ら、学生 を環境科学部 の EMSに組み 込む こ とにはメ リッ トだ けで な く、デ メ リッ トも存 在す る。 これ を整理す る と第 4表 の様 にな る。

メ リッ トと して教育効果 の増大、デ メ リッ トとし て費用 の増大 が挙 げ られてい る。

しか しなが ら、 このデ メ リッ トを克服 す る手段 は あ る。ISO14001において認 め られ てい る 自己宣言 で あ る。 自己宣言 とは外 部 の コンサル タ ン ト、認 証機 関にゆだねず に、 自分 た ちで EMSを構 築 し、 自己 検証 してい く手法で あ る。環境科学部 が 自己宣言 を 行 うこ とに よ り、学生 をサイ トに入れ た場合 で も、

コンサル タン トの費用 が増大す るこ とはない。また、

自己宣言 において問題 点 とされ てい るISO14001守状況 の信頼性 の確保 が難 しい とい うこ とにつ いて は、地域 内でISO14001、も しくはそれ に準ず るEMS を運用 してい る組織 と相互 監査 を実施 す る こ とに よ

り、一 定 の信頼性 が確保 され るもの と考 え られ る。

例 えば、 自己宣言 をす でに実施 してい る組織 との相 互監査 、 とい った もの が想 定で きる。

3 長崎大学環境科学部EMS組織 図 (莱)

SO14001運営委員会メンバー 環境政策講座 ‑‑.‑.‑‑‑‑.1名 文化環境講座 ‑.‑‑‑‑.‑.‑1名 環境設計講座 .‑‑‑‑‑‑‑‑1名 自然環境保全講座 ‑‑‑.‑‑‑ 1 事務部‑‑‑‑‑.‑.‑‑‑‑.1名 EMS学生委員会 ‑.‑‑.‑‑‑1

(教+)

」 =

トップマネジメン ト (学部長) 環境管理責任者 (運営委員会委員長)

ISO14001 運営委員会

学部生

PPO法人 地域循 環研 究祝 2007,大学版EMS構 築マニ ュアル」]

(6)

長岡諭志 ・松 田香穂里 ・鳥井俊輔 ・広 中暁子 ・中村修

自己宣言 によ り、環境科学部でも、EMSにおける活 動の活性化、また地域社会‑の貢献 を今 よ り更に充 実 した ものにす る為に、学生主体で EMSを回 して 行 くことが可能 となる。

おわりに

この原稿 は3年生の学部学生が中心になって執筆 したものに、中村が最小限の加筆修正 した ものであ る。

機会 を与えることで、学生はのびてい く、 とい う ことを感 じた この数年 間であった。

2005年度の環境マネ ジメン ト論の講義では、他大 学の EMS‑の取 り組み状況を調べた。その後、学 生有志は さっそ く、い くつかの先進的 な大学の学生 を招いて交流会 を実現 した。さらに、2006年度 は学 部の環境報告書作成の手伝 いをお こない、マニュア ルの不備 を指摘 した。 また、大学全体の EMSを提 莱 (「や るばい !学生ISO委員会」)し、長崎大学の 準夢大賞 を受賞 してい る。

機会 さえ与えれば、内部監査 を学生 が実施できる よ うに能力 を向上 させ た。

外部の コンサル タン トに依頼 していれ ば、いっま でたって も学生の能力向上につなが らないが、学生 に依頼す ることでコンサル タン トしかできない と思 っていた内部監査が容易 にできて しまった。しか も、

学部が支払 うコス トは下がった。 さらに、 コンサル タン トにはできなかった様 々な活動 も可能 になった。

環境報告書の作成 も、学生独 自に取 り組んでいる。

こ うした取 り組みを定着 させ、 さらに活発化 させ るためにも、教育機 関 としての環境科学部は学部の EMSに学生 を積極 的 に参加 させ る時期 にきてい る

のではないだろ うか。

環境報告書概要

対象者 :学部生及び入学希望者等

作成 日的 :本学部にお ける環境 に関す る教育、研究 等の取 り組み、及び環境負荷の現状 とその低減 の為 の取 り組みについての情報提供、公開。

ページ数 :26ページ

長崎大学環境科学部EMS学生委員会のHPに掲載 し てい る。

URL:httD://env‑na.aSakiisoEakusei.ord

参考文献

・特定非営利活動法人 地域循環研究所,2007, 『大 学版EMS構築』マニュアル」

・岡本咲子,2005「大学がISO14001を取得す る意義 と予想 され る問題点の解決策」千葉大学学位論文

・広石暁子,2006「大学におけるISO14001の仕組み について長崎大学学位論文

参照

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