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The Life History of Ceramium boydenii Gepp (Ceramiales, Rhodophyceae) in Culture 紅藻アミクサの培養における生活史

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Academic year: 2021

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紅藻 ア ミクサの培養 における生活史 右 田 清 治

The Life History of Ceramium boydenii Gepp (Ceramiales, Rhodophyceae) in Culture

Seiji M1GITA

The life history of the red alga Ceramium boydenii collected from Ariake Bay, Kyushu, was studied in unialgal culture. Tetraspores obtained from field collected plants were globular and dark red in color and averaged 54 gm in diameter. The tetraspores gave rise to mature male and female gameto- phytes after one month in culture. The mature gametophytes were usually less than 2 cm in length. In addition, male plants were thinner and smaller than females. Carpospores from cystocarps of cultured female plants were morphologically similar to tetraspores. The carpospores germinated and grew into tetrasporophytes with short branchlets bearing tetrasporangia. These tetrasporophytes attained to a length of about 10 cm after 2 months. Thus, the life history pattern of C. boydenii was the Polysiphonia-type. However, game- tophytes of this alga were smaller at maturity than tetrasporophytes. The chromosomes of this alga were observed at the late diakinesis of the first nucle- ar division in tetrasporangia, and were found to be about 26 as haploid number.

Key words : Ceramium boydenii ; Rhodophyceae ; life history ; culture ; repro- duction ; chromosome number.

ア ミクサCeramium boydeniiは,イ ギ ス 目 イ ギ ス科 の紅 藻 で,広 く日本 各 地 に 分 布 す る。 本 種 はイ ギ ス や エ ゴ ノ リと共 にイ ギ ス 類 と して,と こ ろて ん の 原 藻,寒 天 の 配合 藻 と して使 用 さ れ る有 用 海 藻 で あ る呂'2) こ の形 態 に っ い て は 岡 村,ウ)Nakafnura4)ら の 詳 細 な 報 告 が あ り,Nakamuraは これ まで知 られ て い な か っ た有 性 体 を 初 めて 記 載 し,そ れ ら は四 分胞 子 体 に 比 べ て 小 さ く1cm以 下 の 体 で あ る と して い る。

著 者 は,1984年 長 崎 県 島原 市 で 採 集 した 藻体 の 四分 胞 子 を 用 い培 養 実 験 を 行 い,生 活 史 を 完 結 させ,ま た 染 色 体数 も調 べ た の で,そ れ らの 結 果 を 報告 す る。

材 料 と 方 法

培 養 実 験 の材 料 に は,1984年4月8日 に有 明 海 の 島 原 市 猛 島海 岸 で採 集 した ア ミクサ の 四 分 胞 子 体 を 用 い た 。藻 体 は研 究 室 に持 ち帰 り殺 菌 海 水 で2,3回 洗 浄 し,四 分 胞 子 を有 す る枝 を 切 り と り シ ャ ー レの 中 で 胞 子 を放 出 さ せ,顕 微 鏡 下 で マ イ ク ロ ピペ ッ トを用 いて, 7×2cmの シ ャー レに 分離 して単 藻 培 養 と し た 。 培 養 は,18〜20℃ の温 度 で,1500〜2000lxの 白色 蛍 光 灯 光12:12時 間 の光 周 期 の も とで 行 った 。

初 期 発 芽 体 は前 記 シ ャー レ(液 量40ml)で,5mm

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右田:紅藻アミクサの培養における生活史

以上に成長後はIOO m4のビーカー内で静置培養し,

またそれらの発生体の一部は100 m2の枝付き平底フ ラスコで通気培養も試みた。培養液にはPES処方の 補強海水を用い,静置培養では約10日おきに,通気培 養では3日おきに換水した。

 染色体数は,材料として室内培養の成熟四分胞子体 を用い,酢酸アルコールで固定後,Wittmann5)の方 法で染色した。

結 果

 天然の馬体より放出された四分胞子は,直径45〜60 μm,平均54μmの球形で暗紅色を呈する(:Fig.1.A)。

基物に着生した胞子は直ちに発芽し, 3日後には

上部に直立部を,下方に仮根を形成し始め(:Fig.1.

B),5日後には直立部は7,8細胞になり長さ400μm に成長した(Fig.1. c)。また,この発生段階から太 さ3μmの透明な細毛を斜め上方に伸出するのがみら れた。発芽体の仮根は分岐した仮盤状で先が吸盤状を しているが,糸状の仮根を出すものや仮根を形成せず 無付着のものもあり,これらは胞子が基質に十分に着 生しない場合によくみられた。発芽体は8日後には上 部が叉状に分岐し(:Fig.1. D),14日後には長さ約1 tnmに達し2回叉状分枝し(Fig.1. E),18日後には

2〜3mmに成長し2〜3回正しく叉状に分枝し先端 の枝は内側に軽く屈曲しているのがみられた(Fig,1.

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 これらの四分胞子発芽体は,20〜25日後には一部の

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Fig. 1. Development of tetraspore germlings of Cercunitun boydenii in culture.

   A. Liberated tetraspore. B. Germinated tetrarpore. C, D. 5 (C)一 and 8 (D)一day−old germling. E, F. 14 (E)一

   and 18 (F)一day−old germling, showing dichotomous branchlcts. G. Mature male gametophyte. H. Maturc    female gametophyte, bearing cystocarps. 1, J. Further developed male (1) and female (J ) gametophyte,

   after 2 months.

   Scale: A−C, 50 pm ; D. 100 pm ; E−H. 400 ptm ; 1, J. 5 mm.

(3)

体で造精器の形成がみられるようになったが,枝の先 端よりやや下部でその形成が始まり(:Fig.2. B),やが て体の各部に及ぶようになった。精子は婚約3.3μm の球形,卵形で,表皮細胞より切り出されてっくられ る。一方,雌性体には先端の曲った枝の外側に太さ約 4μmの受精毛がみられるようになった(Fig.2. A)。

1カ月後には枝の先端に嚢果が形成されたが(Fig.1.

H),それらは5〜9本の包枝に囲まれ(Fig.2. c),

さらに数日後には果胞子が放出された(Fig.2. D)。

 藻体の成長は成熟後はきわめて遅くなり,通気培養 で伸びのよかった2カ月後の体で,雄は1.8cm,雌は 2.5cmに達したにすぎなかった(Fig.1.1, J)。また,

雌雄で体長に相違があり雄が雌より短かかった。さら にまた,1.5〜2cmの体で枝の太さでも雄と雌とでは それぞれ220〜250μm,300〜350μmで,雄が雌より 細い傾向がみられた。なお,この培養で雄は24個体,

雌は28個体出現し,雌雄比はほぼ1=1とみなされた。

 果胞子は,培養の嚢果から放出されたもので,直径 48〜62μm,平均56μmで四分胞子と同様な形態を示

D

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Fig. 2. Mature male and female ganictophyte of Cercunitun    boンdenii in culture.

   A. Apex of female plant, showing trichogync. B.

   Apex of male plant, forming antheridia. C. Female    plant bearing cystocarps. D. Liberated carpospores    from cystocarps.

   Scale; A, B. 100 ptm ; C, D. 200 ptm.

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Fig. 3. Developpee.nt of carpgspore germlings of Ceratnium boydenii in culture.

   A・B・7(A)一・・d14(B)一d・y一。ld g・・mli・g・・C・M・ture t・t・a・p…phyt・with・h・就t・t・a。p_gi。l b,。n,h.

   !cts, a.fte−r oHne rnontb. D; Tet.rasporangia formed on curved branchietk. E. Tetrasporangia  formcH on a main

   branch. F. Further developed tetrasporophyte, after 40 days.

   Scale: A, B. 400 ptm; D, E. 200 ptm;C, F. 1 cm

(4)

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右田:紅藻アミクサの培養における生活史

し,その発生成長の様子も四分胞子のそれと比べ差異 はみられなかった。すなわち発芽7日後には約10細胞 よりなる単列の直立体に成長し(Fig.3. A),14日後 には長さ1〜1.3mmに達し正しく叉状に1〜2回分

枝し(Fig.3. B),30日後には長さ2〜2.5cmになり,

多くの短枝を出し(:Fig.3. c),それらの短枝に四分 胞子嚢が形成された。四分胞子嚢はやや屈曲した枝の 外側の凸面に沿って1列または2列に並んで形成され たが(Fig.3. D),後では普通の枝にもその形成がみ

られた(Fig.3. E)。通気培養では静置したものより 成長が速く,成熟が抑制された体は40日後には4,5 cmに達し(Fig.3. F),さらに50日後には10cm以上 に成長した。

 培養で得られた成熟四分胞子体の枝を酢酸アルコー ルで固定し,1週間後にWittmann5)の核染色法で染 色してみた。その結果では,四分胞子嚢内の減数分裂 でディアキネシス期の後半に25〜28個の染色体が数え られたが,n=26を示すものが多かった(Fig.4. A,

B)o

考 察

 イギス属の生活史については,外国産の数種で培養 実験が行われ,いずれもイトグサ型Pol:ysiphoniα一 typeであることが報告されている。6〜9)本邦産のイ

ギス属についてNakamura4)は14種を記載し,それ らの形態の詳細な報告をしているが,アミクサについ ては従来知られていなかった有性体を観察しそれらが

1cm以下の短い体であると述べている。

 この研究でアミクサの生活史を培養で完結し,四分 胞子体と配偶体が同型世代交代を行うイトグサ型であ ることが判明したが,両世代の大きさにはかなりの相 違があった。すなわち,配偶体が四分胞子体よりはる かに小さい傾向がみられ,これは天然の材料での前述 のNakamura4)の観察を,培養で再確認したものと いえよう。また,雌雄の配偶体間でも雄は雌に比べて 細く短い傾向がみられたが,このような現象は Garbarylo)がイギス属の他の種で報告している。な お,能登谷tl)は近縁のエゴノリの生活史を培養で完 結し,本種と同様に四分胞子体に比べ配偶体が小さい ことを観察している。しかし,イギス属のイギスやエ ゴノリ属のフトイギスなどでは,四分胞子体と配偶体 とは同型同大であるように記載されており,3 4)これ らの属では種によって両世代の大きさが同じものと相 違するものとがあると考えられる。

 イギス属の染色体数については,σrubrumで Grubb12)はn=6〜8, Austinia)はn=34としてい る。この研究でアミクサのnの染色体数は約26のよ うに観察された。

  毒

鶏拶鐙  癒

  審

   撫拶

麟磯鎌馨

   毒 ゆ 番鹸   轡響   藤鍵    童

   犠驚

癖瓢㌘}ド瀞鷲簸

難  癖 藤 讐

鰯爆

Fig. 4. Chromosomes at the first nuclear division in tetrasporangia of Ceramiurn    boydenii. Fixed with aceto−alcohol and stained with Wittmann s solution.

   A, B. Late diakinesis, showing n=ca 26 chromosomes.

   Scale : 10 m.

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   371.

参照

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