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移動ロボットの環境地図への意味的情報付加 -3次元ハフ法を用いた平面の検出-
Addition of Semantic Information to The Robot Mapping -Detection of The Plane with 3D Hough method-
中央大学 理工学研究科 経営システム工学専攻 坂根研究室
指導教授 坂根茂幸 教授 早川 隆二
1. 研究背景
近年ロボットは、従来活躍してきた産業の場のみだけでな く、我々人間の生活の場にも進出し、多くの新しい役割を果 たそうとしている。例えば、犬型ロボットのようなペット型 ロボット、介護型ロボット、さらには人間の形をしたロボッ トが開発され、それらのロボットは、今まで以上に人間と深 い関わり合いを持ち始めている。そして、人間と深く関わり を持つためには、ロボットが産業の場という特別に整備され た環境のみではなく、私たち人間の生活する環境へ対応する こと、さらに、非整備環境下で人間の指示にすべて依存する ことなく、自律的行動が必要とされている。近年、自律的な 行動をするために、ロボットの環境地図生成と自己位置決め とを同時に行うSLAMの技術が発展してきた。
しかし従来のSLAMのほとんどは、静的環境を仮定している。
そのため、もしも環境に動的物体が存在し、そのポーズが変 化すると、センサ情報と環境地図との誤対応により、ロボッ トの自己位置決めの信頼性が著しく低下する問題がある。
そこで本研究は、より人間の生活する環境に近い準動的環境
(位置、姿勢などが変化する物体を含む)の状況下でロボッ トが働くことを想定し、センシング行動の信頼性向上および 処理時間の短縮を目指す。また、人間の情報のやり取りの中 で一般的な指差しを用いたヒューマンロボットインタラクシ ョンを実現し、意味情報を環境地図に付加していくシステム の構築を目指す。
2. 研究目的
ロボットが一般的に普及していくためには、ロボットがどの ような非整備的環境下におかれても、環境地図生成および自己 位置推定を、信頼性よくできる事が重要である。ICタグとレー ザ距離スキャンを用いた準動的環境に置ける地図生成のシス テム[1][2]では、準動的物体のポーズを推定するための形状マ
ッチングの処理が、必ずしも一般的な処理になっていなかった。
そのため本研究では、カラー画像処理と、距離画像を併用し て信頼性をあげ、さらにセンサプランニングを行うように改良 する。信頼性の高い環境地図生成、自己位置推定をするために、
人工的な環境に多く存在する「平面」に着目する。その高度な 平面検出法として、Kinect[3]により得られた距離画像から、3 次元Hough変換[4][5][8]を用いて検出された平面候補を、ICタ グの情報とのマッチングによる3次元平面の検出法を統合して 処理する。そして、マッチングの際に複数の候補物体が存在す る場合は、繰り返し作業を行う。その際に従来の研究では、静 的環境(人や物が全く動かない状況)での研究がほとんどだっ た。それでは人間の生活する環境には適応できないので、本研 究では、より人間の生活する環境に近い準動的環境(時々、位 置・姿勢が変化する物体を含む環境)での状況で進めていく。
3.本研究のシステム構成
3.1 システム構成
図3.1に本研究のシステム構成を示す。
図3.1システム構成
*ノートPCと移動ロボットはシリアルポートで接続されてい る。
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*ノートPCと距離画像を得るKinectはUSBで接続されている。
3.2 Kinect
研究では、物体の平面検出を行うための距離画像を Kinect(図3.2.1)から得た。RGBカメラ、深度センサ、マルチア レイマイクロフォンおよび、専用ソフトウェアを動作させるプ ロッセサを内蔵したセンサがあり、人の動き、声、顔を認識す ることも可能である。人の動きを読み取り合成するモーション キャプチャという技術を使用している。しかし、他の一般的な モーションキャプチャ時に着用する特殊なマーカーや、マーカ ー検出時に使用するトラッカーは必要としない。カメラに被写 体と移すことでカメラまでの距離データを検出し、人の骨格の 動きをリアルタイムで表示することができる。また、USB接続 によりコンピュータに繋ぎアプリケーションを実装すること ができる。本研究ではKinectを使用する環境の1つとして、
OpenNI(Software Development Kit)を利用した。また、OSは Windows、プログラム言語はC++およびC#を使用した。
図3.2.1と図3.2.2に、Kinectの仕様を示す。
図3.2.1 Kinect構造
図3.2.2赤外線センサの仕組み
Kinectの詳細を表3.2.3に示す。
表3.2.3 Kinect詳細
4.実験
4.1. 全体の処理の流れ
Kinectにより得られた距離画像から平面候補がいくつかある 状況で、ICタグのU-codeから得た対象物体の幾何モデルの情報 と合致する平面の検出を行う方法について述べる。図4.1に、
本研究のフローチャート、平面検出の流れを示す。
図4.1 フローチャート 4.2 3次元ハフ変換
画像内の平面に属する部分を抽出するためにハフ変換を用 いる。ハフ変換はパラメータ空間への投票結果を評価する多数 決原理に基づくため、直線(曲線、円、平面)の不連続性や、
背景ノイズの影響を受けにくいロバストな手法として知られ ている。
平面のパラメータ表現は以下の通りである。平面から原点へ 下ろした垂線の長さρ、y軸となす角θ、x軸となす角φで表し、
この平面が距離画像上の点(x0、y0、z0)を通るとすると、
ρ=(x0•cos(θ)+y0•sin(θ))cos(φ)+z0•sin(φ) の関係が成り立つ。
平面の抽出をするためには、距離画像上の各点を(ρ、θ、
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φ)平面へ投影し、そのピークを検出すればよい。原理的にこの方法は平面が複数に分かれていても検出可 能であり、また探索範囲を求めて(ρ、θ、φ)の部分空間に 投影することにより、計算コストを大幅に狭めることが可能で あることが特徴である。
図4.2に、3次元ハフ変換の図を示す。
図4.2 3次元ハフ変換 4.3 実験方法
4.1で示したフローチャートの手順で実験を行っていく。今 回の実験では、ICタグを利用できなかったため、プログラムに 物体情報を事前に入力しておいた。
本実験では、距離画像の取得・保存、3次元ハフ変換を実行す る。
また、人間の情報のやり取りの中で一般的に使用される指差 しによる物体認識を行う。
5. 実験結果
3次元Hough変換を用いた物体認識結果を以下に示す。
図5.1に、3次元Hough変換を用いた平面の検出結果を表示する。
図5.1 平面検出 図5.2に、物体の情報を表示する。
図5.2 物体情報の表示 次に、指差しによる平面検出を行う。
図5.3で、教示者の骨格を抽出する。
図5.3 骨格抽出
図5.4 では、教示者が指差した物体の平面を検出する。
図5.4 指差しによる平面の検出
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6.考察
今回は平面を検出する段階までの実験になってしまったが、
平面を検出する事に成功した。
平面を検出する際に、二つの物体が存在した場合に置いてもそ れぞれの物体を認識する事ができた。しかし、今回の物体認識 には3次元ハフ変換を用いた平面検出を利用し、ダウンサンプ リングを行う事で、従来の平面検出法と比べ格段に処理速度は 速くなったが、リアルタイムでの処理には達しなかった。
また、人間の指差しにより指定した物体の平面を検出するこ とも可能である。指差しによる物体認識は、複数ある物体から 一つを選ぶ事ができるため、処理時間も速い。
7. 結論
準動的環境下での自律ロボットの環境地図生成に、意味的情 報を付加していくシステムの構築を目指した。本実験では、
kinectによる平面検出を行い、ICタグ・移動ロボットを使用し た物体認識システムの構築を目指した。しかし、実験は平面を 検出し表示する段階までしか行う事ができなかった。今後は、
平面の検出にかかる速度をリアルタイムに行えるように改善 し、移動ロボットを用いた物体認識システムを構築する必要が ある。
また、平面検出と指差し方向を推定するシステムの構築を行 った。これは、ロボットと人間の共存していく環境で意味的情 報を付加していく際に利用できると考える。
今後の課題としては、物体認識と地図生成を繰り返し行うため に、ICタグを利用した検出物体と幾何モデルの照合システムを 構築する事が挙げられる。
実験を通じで、3次元Hough変換による平面検出はリアルタイ ムではないものの正しく機能することができた。今後の実験に おける基礎を構築する事ができた。
参考文献
[1]周洪釣、坂根茂幸、”準動的環境における移動ロボットの 地図生成と位置決め”、第25回日本ロボット学会学術講演会予 稿集 3D15,2007,9.
[2]V.Pisarevsky,Introduction to OpenCV,
http://sourceforge.net/projects/opencvlibrary/,2007.
[3]OpenNI,nma.web.nitech.ac.jp/fukusima/index.html
[4]中田崇行.[3DHough変換による立体の位置姿勢検出につい て],金沢大学自然科学研究科 機械科学専攻2000年修士論文
[5]出岡大和,新田益大,加藤清敬:「3 次元ハフ変換を用い た距離画像における面検出」 精密工学会秋季大会学術講演会 講演論文集(2011)
[6]Dirk Hahnel,Wolfram Burgrad,Dieter Fox,Ken
Fishkin,Matthai Philipose,[RFIDを用いた地図生成と自己位 置推定の研究]
Proceedings of the 2004 IEEE Int.Conf.on Robotics and Automation New Orleans,pp,1015-1020,2004
[7]openNI
http://nma.web.nitech.ac.jp/fukushima/openni/openni.htm l
[8]中田崇行、”3DHough変換による立体物の位置物の位置姿勢 検出について”、金沢大学自然科学研究科 機械科学専攻 2000年修士論文