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研 究 ノ ー ト 第 三 十 五 巻 第 二 号

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(1)

わが国の電気事業の  

資本調達に関する一研究  

三 浦 和 夫  

鵬 は し が き   

電気事業はいうまでもなく公衆の日常生活に不可欠な電気の  

サトビスを供給することを目的とする公益事業︵pub−ic uti−i・  

︵1︶  

tie¢︶ である︒そして︑そのサービス供給の性質として﹁地域  

︵︷こ  的自然的独占性﹂を帯有している︒このことは一般の競争的企  

業と異なる電気事其の特殊性であり︑この月常生活に不可欠の  

サービスを供給するという﹁必需性﹂と︑そのサービス供給の  

性質として﹁地域的自然的独占性﹂を帯有していることの二性      ︵ 3︶  質から﹁公共性﹂が現出するのであるが︑上の﹁公共性﹂のゆ  

えに電気事業者はすペての需要に対して公平無差別なサービス  

を提供することを義務ずけられ︑また提供するサービスに対す  

る料金ほ適正なものであることが規制されている︒こ1で注意  

しておくべきことは︑電気事業サービスの需給関係における特  

徴はその生産と消費とが全く即時の関係にあるということであ  

る︒トムプソソとス︑︑︑ス︵C.W.TFOmp筈n an中W一戸SmitF︶  4   研究ノート   第三十五巻 第二号  

︵︶  

各どとく︑鴻ノ   ︵二九八︶ 仙四二  

あり︑かつまた︑電気事業はピーク時とオフ・ピーク時の需要  

量の間には︑大きな差が存在するのであるが︑﹁公共性﹂を帯  

有する電気届業としては︑常︑に年間のピーク時の最大需要に対  

する供給設備・施設を準備しておく必要がある︒このことのゆ 八 

∂︶  えに︑必然的に電気事業における固定資産比率は︑第二表に示  

すごとく︑他産業に比して著しく大なるものとなっている︒す  

なわち︑全産業の固定資産の平均比率が五十二一一%であるのに  

対して︑電力事業のそれは実に九十二・四%という大きい比率  

を示しているのである︒  

第一・表 産業別固定資躊比率表   日本、昭三ニ、上期   

また︑業種別資本係数について︑これをみると︑第二表に示  

へ6︶  

すごとく︑全産業平均の固定資本係数は〇・三六八であるのに  

て︑電・刀   

(2)

数のみに限定すると︑全産業のそれに対し︑電力事業のそ汀ほ  

約八倍の高さになっている︒総合資本係数紅ついてみると︑そ  

の全産業平均が〇・五四七であるの紅対して︑電力事業のそれ  

ほ二・七七八であって︑電力事業のそれは全産業のそれの約五  

倍である︒かように︑電力事巣は極めて資本係数が高いのであ  

る︒換言すれば︑資本回転率はそれだけ低く︑資本の回収期問  

わが国の電気事業の資本調達に関する酬研究 

第二表 業種別資本係数表(単位%)   

(日本、昭二八/上、〜昭二九/上、平均)  

固定資本   係  数   

(A)  

総資本係数  

( 叫格差   0り368】・  

3二……; 一二二 二__  

全   製   食   綿  

業   業   口   ロロ   産造料ス   フ   紡  

毛   筋  

化   繊  

紙・パ ル プ   無機工業薬品   セ メン ト  

︵−︶  くであり︑昭和二十九年上期は〇・二四である︒したがって︑  

岬旦︑投下された資本はそれだけ長期にわたって電気事業の生  

産性に対して影響を及ぼし︑長い将来にわたって規制する要素  

となり︑この意味紅おいて︑電気事業の資本調達が合理的に行  

われるか否かということが︑他の一般産業に比して極めて重要  

な意義をもつに至るのであるり  

︵二九九︶ 血四二一   

建物挽械+  

l  酎  

固定資本係数=   売上高×2   2.在膵係数=  製品商品在垂土星担埜  

売上高×2   3。総資本係数=固定資本係数+在庫係数  

匿投下された資本の回収期聞は約五倍と  

いう長期にわたっている︒これを使用綺  

資本回転率で比較すれ曙︑第三表のどと  

使用総資本回転率比較表(日本)  

(3)

第三十五巻 第二号  

︵1︶ 竹中竜堆著﹁公益企業の経営﹂昭三四︑一貫︒  

︵2︶ 電気事業紅独占性を認めるの吼︑その性質上︑当然の  

ことである︒﹁電気事業に独占性を認めることの方が︑  

より公共の利益に合致する﹂という考え方は公益事業  

論学者の総てについて共通である︒例えば︑ J・F・  

S:eeman︸ 出告tisF Pub−ic亡ti−ities.−誤∽.PP.∽1t↓ 贋V  

︵3︶ 拙稿﹁公益企業の経済的特性﹂六甲台論集︑第七巻第  

一号︑昭三五︑七九頁以下︒  

︵4︶ C.W.TFOmpSOnandW●R●Smith−Pub−ic Uti≡y  

厨cOnOmics.−冨−−Pn彗∽.技術的に全く不可能とい  

うのではない︒例えば︑蓄竃池が存在する︒しかし︑  

これは多額の費用を要する反面︑貯蔵容畠が甚だ小さ  

いので実用的には特殊の例を除いて使用されていな  

い︒この意味で︑竃気は貯蔵性を有していないといっ  

て誤りではないと考える︒  

︵5︶ 第副表は昭和三十二年上期︑興業銀行調査資料疫よ  

る︒  

︵6︶ 策士表は矢森智編集﹁参考資料︑第二十表︑業種別資  

本係数﹂より引用︒︵電力経済研究所報告﹁電気事業  

における設備金融﹂昭三四のうち︶二九頁︒  

︵7︶ 第三表は矢森智編集︑前掲柄︑欝十こ表より引用︒  

︵前掲督のうち︶ 二六頁︒   ︵三〇〇︶ 〟四四   

電気事其の尤大な資本を調達︵例えば︑昭和三十仙年から三  

十五年までの五ケ年間の電気事業の総資本需要高は劇兆七百九  

十三億九千六百万円である︶するための資本源泉として   

1 内部金融  

A 減価償却費   

B 利益留保   

2 外部金融  

A 株式増資  

B 社債募集  

C 銀行借入  

︵1︶  3 エ業負担金  

が考えられるが︑これを昭和二十山年から昭和三十年までの設  ︵2 備資金調達実績でその内容をみると︑第四表のごとくである︒  

この表匿よっても明らかなごとく︑先ず︑内部資本源泉と外部  

資本源泉とに別れる︒︵この表では工事負担金は設備の売却収  

入と共に内部資本源泉の﹁その他﹂ の項目に含まれている︒︶  

第iの内部資本源泉として︑A 利益留保︑B 減価償却費匿  

別れる︒第二の資本源泉として︑ A 株式増資︑B 社債︑  

C 借入金︑た別れる︒借入金の中紅は︑市中銀行借入金︑開  

銀・債権発行銀行・貸付信託による借入金に別れている︒過去  

十ケ年間におけるそれを平均すると︑内部資本源泉によって約  

十六%︑外部資本源泉によって残りの約八十四%が調達されて   

(4)

第四表 昭和21〜30年度設備資金調達実績(単位百万円)  

わが国の電気事業の資本調達に関する仙研究  

.ト;;ト「−ご∴三こ≡−、  

内部留保  

(20・5)l(汎2)  

Iノ︶  

44  

乳531・  

l l  

/..し.︵  

(!6・7)f(19.2)  

ナ」−さ!デーi■1:  

3,502  

(2.2)  

その他  

 ̄ 

−  − 

_ 

_  増  資  

社  債  

∴‡∴さ‡チ.ミご責三−…:  

22,888  

(35.U)  

復  金  

開  銀   32,194−22,  

0  

23,20  

(35い5)  

(20.6)」(12・  

描闇   

債券発行   銀  行   貸付信託   その他  

︵三〇ニー四五  

註)1・増資及社債は手取額。  

2・※印は外資を表し、概数である。  

3・24年以降の復金ほ開銀に肩巷りされた。  

4㊥ ()内数値は構成比率を示す。  

(5)

第三十五巻 第二号  

八十三%が他人資本によって調達され︑約十七%が自己資本に  よって調達されている︒このように過去十ケ年間の電気事業の  資本調達源泉が圧倒的に他人資本に依存しているというととほ  注目すべき特徴である︒この点︑アメリカにおいてほ︑証券取  

引委員会︵旨いuri−1esandE誓han的eC呂misslOn︶・が要求し  

ている社債︑優先株︑普通株の割合は︑五〇−二五1ニ五であ  

︵S︶  る︒このことを例にとれば︑わが国のその構成ほ著しく歪んで  いるといえるであろう︒アメリカの七十九大電気軍楽会社の構  

成は霹γ︵F・戸M︒rrissey︶の調査でほ密着表の︒とく  

である◇また︑ガスマンとドゴール︵H・G・G旨manandH・ ︵5︶  

E.DOuga︶の調査によると堅ハ表のごとくである︒  

衷79大電気寧業会社の平均資本構成  

(アメリカ)  

1946年l1956年  

償(長期)   

充 棟    通 株  

六表 私営電気会社の資本構成   

(アメリカ、1953年)  

(単位 百万ドル)  

先株   益宗余慧)  

合   計  

︵三〇二︶ 山四六   この第五表と第六表からみると︑証券取引委員会の要求ほ劇  

応守られているといえる︒スミス ︵D・T・ざitヱは ﹁義企  業は戦後のインフレ状態のために多くの負債を持つに至ったが  経営者はこれを資本構成の新しい型としてゞほなく高的現象  と考え︑その琴つけとして減債基金を設けているのである﹂と  

述べ︑ついで﹁鉄道並びに公益事業︵railrOadsan−pub−ic 已i−ies︶の場合は別問題である﹂と述でて衰がこれを裏書し  

ているといえる︒  

算七表 資金コスト等一億表  

率i返済  

別l 利  

12%配当率  

19・354%く露人琶…塁要  

7.5% 発行価格    100円につき98・5円   8.63%(発行者利廻り)  

7年(据置2   年を含む)  

社   債  

閃1発銀行  

日歩2銭5厘    9り125%  

債券発行叙行  

日歩2銭6塵   9.49%  

貸倒 信 託  

日歩2銭5厘    9.125%  

生命保険団  

1〜3年   市中銀行l日歩2…0銭〜2り4銭  

外   資l5り5%〜5・75%  

1日現在の借入利率である。   

(6)

るが︑このことに加えて︑なお問題となるのは︑罪七表紅示す  

︵7︶  どとぐ︑わが国の電気事業の社債が七年の短期社債であるとい  

︵8︶  うことであろう︒   

ともかく︑わが国において資本源泉が自己資本ないし内部資  

本源泉によって調達される割合が極めて僅少であるという結果  

は︑当然︑資本構成に対して重要な影響を及ぼしているのであ  

り︑このことは︑つぎにあげる諸理由によって充分考慮されね  

ばならない問題であろう︒   

その筋﹂は︑資本構成の悪化ということは財務上の健全性を  

恥害する︒資本構成の悪化の結果として︑緊急に資金を必要と  

する場合︑株式増資などの手段によって外部資本源泉から資金  

を得ることは困難であろう︒したがって︑必要な時期紅必要な  

資本源泉を得るためには常に健全な資本構造を維持しておくこ  

とが必要である︒   

外資導入の場合にあたっては︑この資本構造の状態が劇つの  

可否の基準となっていることほ周知の事実である︒   

その第二ほ︑資本調達方法が︑ひいて︑資本コストに影響を  

与えるということである︒この観点からは自己資本︑特に株式  

の増資による場合よりほ︑社債ないし借入金による資本コスト  

のカがはるかに低い︒これほ第七表 資金コスト等軍費紅示  

したごとくである︒例えば ︵この節において示す以下の数字  

ほ︑第七表においでも注意したごとく︑昭和三十三年十二月血  

わが国の電気事業の資本調達に関する劇研究   ︵9︶  しいものとなる︒ゆえに︑資本コストの面でいえば︑株式資本  によるよりほ社債・稽入金による方がそのコストは︑はるかに  低い︒この事英をわが国の各企業は盛んに利用しているかに思  われる︒税率が非常に高いことのために︑株式資本コストと他  人資本コストとの間に非常な差をつけていることがその原因に  なっている︒しかしながら︑他面からいうと︑そのために自己  資本に対する他人資本の割合が大になるにしたがって資本構  造が健全性を失ってくるということになれは︑株式資本コスト  自体がそれだけ高くなるという結果をもたらす︒自己資本の割  合が大である場合には配当率は比較的低いが株式資本の全体の  中で占める割合が小になれぼなるはど必要な配当率は大となる  であろう︒   

また︑株式が資産価値未満で売られる場合紅はその新資産紅  

ついてはこれまでより高い収益率の必要が要請される︒他方︑  

負債比率がより高い 

下での株式の発行から生ずる資産および利益の稀薄化を相殺す  

るてとになろう︒このことは︑ス︑︑\スが﹁稀薄化に対する相殺  

︵三〇三︶ 仙四七    であるの忙対して︑﹂社債資本のコス十で  は八・六三%である︒それだけ株式匿よるよりほ社債の方がコ  ストが低い︒さらに︑これ紅組税の要素を加えると︑  

ーーぴ00硬︵辞>深︶   ーN故︵発此閻︶   =−¢︼∽澄竣 となり︑その差は益々著  

(7)

第三十五巻 第二号  

としての負債比率の変化﹂としてfi宕nCiaeくm亘pgeの作用を ︵ 10︶  あげ︑注意を促すところである︒この意味において可能なかぎ  

り︑正しい健全な資本構造を維持しながら尤大な資本需要を低  

い資本コストで調達して行かねばならないということが健全な  

竃気事業に要請される︒このことは鵬般企業についても妥当す  

ることでほあるが︑特に電気事業にとっては必要なことであ  

る︒前述したどとく︑資本係数が非常に高いということはそれ  

だけ料金原価に占める資本コストの割合が大となることな意味  

するものであり︑しかも︑この料金は電気企業が﹁地域的自然  

的独占体﹂であるゆえに︑需要家にとっては選択し得ざるもの  

として現出するのである︒要約すれば︑電気事業の資本調達面  

においては︑特に健全な資本構造を維持しながら︑しかも︑低  

い資本コストで資本調達を行わねばなむないということが電気  

事菜の資本調達の基本命題となる︒   

︵l︶ 電気事業の工事負担金制度については﹁料金収入不足  

補完説﹂﹁資金不足補完説﹂または﹁資金借入説﹂﹁公正  

報酬説﹂﹁原価主義説﹂.など多くの議論の別れるところ  

であるが︑この制度が妥当か否かについての考察は別  

の機会に譲ることとし︑こゝでは現実に工事負担金が  

資本調達の劇源泉をなしていることを指摘しておくに  

とゞめておくこととする︒   

︵2︶ 欝四表は矢森智編集︑前掲柄﹂辟六表より引用︒︵前   ︵三〇四︶一四八  

︵3︶ クレメンズ若 竹中竜雄監訳﹁公益企業経営論 上﹂  

昭二九︑仙九五頁︒  

︵4︶ 第五表は句.P●MOHriss2y−Current Aspec:ftFe  

COSt OfCapita−Uti−itlesV Pub−ic Uti≡y−August  

−鼎−−誤00.P.N−P Tab−e−より引用︒  

︵5︶ 第六表は H・G.Gutbman川音dH・E・DO烏a−−・  

COrpOrate句inaヨia−PO−icy■−誤∽u P・N軍Tab−e  

−¢より引用︒  

︵6︶ D.T.Smi声Effects Of Ta巴ti声 COrp︒rate  

Financ−a−PO−icy.−誤N︸ P小∽㍗  

︵7︶ 第七表は通商産業省公益事業局業務課編﹁電気料金制  

度の概観﹂のうち︑﹁33 資金コスト等一覧表﹂より  

引用︒昭三田︑劇八三頁︒  

︵8︶ アメリカにおいては社債の償還期限は決して一律でほ  なく︑長短様々の社債があることが紹介されている︒  

岡村正人稿﹁公益事業金融論﹂ ︵公益事業学会編﹁公  

益企業経営﹂のうら︶昭二九︑七八頁︒  

︵9︶ 普通株による資本調達に伴う資本コヌーとして︑ス︑\︑  

スは  

現金配当の要求額cashdiくidendrequirementけ  

経営に対する支配権の稀薄化dまi︒nO︷c?  

ntrO−.   

(8)

第八表 電気事業減価償却不足状況  

(単位百万円)  

三 基本目標達成の仙助としての内部金融の問題  

竹中教授は︑わが国の館事柴の資本調達の第云問題は内  

部留保であると述べられる︒たしかに︑過去十年間においで︑  

内部資本源泉が僅かに十五%であったという点から︑矢張り︑  

減価償却及び利益留保をいかにして増大せしめるか︑ということ  

が一つの基本問題となって来るであろう︒  

先ず︑第鵬に︑減価償却で   の五種が考えられると述べている︒D㌧T.SロitF︸ Op.  Cit−u p●会.  

︵10︶ D.T.SmitF Op.Cit.u P∴ご  

わが国の電気事業の資本調達に関する仙研究    5・市場価格への影響 effect Of日ar訂t pric?  

あるが︑電気事業の減価償却  

ごとくであり︑その償却不足   ︵ウニ  の不足状況をみると第八表の   

額は昭和三十三年末において  

三千五十五億四千四百万円で  

︵3︶  ある︒当然のことであるが︑  

アメリカにおいて︑ビアマン  

︵寧BiermaヂJrこ は﹁公  

益事業会社の資産を維持する  

ために︑完全に調整された滅   ない﹂ ことを主張  

ところで︑現在のこのわが国の減価償却不足を将来の料金原  

価紅みることは恐らく許されないであろうが︑ともかく︑いか  

にして適正な減価償却計界を行うかという問題は依然として今  

後の問題として残されている︒この間題について電力料金制皮  

調査会は昭和三十三年十二月の答申において﹁再評価に伴う償  

却不足等に基く内部留保の不足︑増資の困難性等が原因とな  

り︑現在の電力会社の資本構成は悪化の山途を辿っている︒し  

たがって︑何等かの形で内部留保の増大︑資本構成の是正を図  

る必要が認められる︒このためわが国の大部分の企菜が採用し  

ている定率法により料金算定を行えほ︑当面︑内部留保は増大  

し︑金利負担の軽減︑資金ぐりの円滑を図ることができるので  

定率法の採用が望ましい︒しかし︑現在のごとく︑開発が急速  

に行われる場合にほ︑料金原価にかなりの高騰を招く︒︵約八  

%程度と試算される︒︶ か1る点を考慮し︑現状においては︑  

定額法な採用することとするが︑再評価に伴う償却不足等の事  

情に鑑み︑現在︑取替資産の 都について︑現実の会計整理  

上︑実施している取巻法の採用︑設備の耐用年数の短縮化等を  

考慮し︑償却費を若干増大させること紅意見の山致をみた﹂と  

︵6︶  

述べている︒加藤博見氏は﹁技術的進歩が顕著なる理由により  

陳腐化のはげしい資産︵例えば︑火力設備︶を有することから︑  

︵6︶  

電力事業には定率法が望ましい﹂と主張しているのである︒と  

︵三〇五︶ 山四九   

(9)

第三十丑巻 第二号  

もかく︑この答申においては︑償却不足問題については︑根本  

的にほ︑何等解決されていないと思われる︒   

第二は︑利益留保の問題である︒利益留保が過去十年間に  

ほ︑僅かに全体の資本調達額の約五%しか占めていないが︑こ  

こにも問題がある︒電気事業の場合は︑全産業に比較して利益  

留保の率は極めて少い︒この実際の利益留保率は︑一面には配  

当政策によって決定される︒利益を一定とすれほ︑配当率が高  

いはどそれだけ利益留保率が低く︑配当率が低いはど利益留保  

率は高くなるであろう︒他方において︑料金原価の中に占める  

資本報酬と関連する︒従来の料金統制方式によっては︑本来︑  

利益留保はできない形になっていたのである︒というのは︑名  

目的資本のコストだけが︑従来の料金原価におり込まれていた  

ためにハ当然︑利益留保のできない形になっていた︒すなわち︑  

資本報酬は︑実際の社債の利子と実際の株式配当金に別けられ︑  

社債利子については現在の社債利子紅ついて支払うべき実際文  

ほ名目的なコストがおり込まれ︑また︑株式配当金にしても︑  

それは現在の発行株式に対して支払うべき実際の配当金として  

資本報酬の中に含まれるのであるから︑あくまで貸借対照表の  

貸方側の名目資本紅対するコストしか考えられていない︒アメ  

リカ狂おいても︑スミスは﹁課税後の純利益の大きさが利子   

︵interest c訂g蒜︶に等しい状態として公益事業︵reg已ateP  

︵−︶  首ぎ㌢訂︶一を措定しているしがどとくである︒この方法では料   ︵三〇六︶ 劇五〇  

ばならないこととなる︒この意味で︑当然利益留保ほできない  

形となる︒これに対して︑電気事業と同じく公益事業であるガ  

ス事業においては︑近時︑名目的資本コストの方式を改めて︑  

いわゆる︑利益留保の︑できる料金統制方式に変っている︒ガス  

料金算定の最も重要な点は︑従来の料金統制では昏借対照表の  

貸方側の名目資本に対するコスーとして︑資本報酬がおり込ま  

れていたの匿対して︑新方式では事業に投下され運営されてい  

る実体資本に対し︑適正な資本報酬を計上するという方式に変  

っ・たのである︒すなわち︑実体資本とは︑貸借対照表の借方側  

の資産で表わされるものである︒この方式でほ︑必ずしも実体  

資本がすべて株式資本として資本化されていないゆえに︑資本  

報酬は︑榊は配当金として配当される鵬方︑他の山方は利益  

留保として当然内部に留保されることとなる︒ここに大きな意  

義が存在する︒電力料金制皮調査会が﹁ガス事業と同じくレー  

ト・ベース方式を採用し︑フェア・バリー一に対し︑フェア・      ︵ 8︶  リターンを認めるべきである︒﹂と答申したことは芸当でありこ  

れが認められたことは正レい︒この利益留保の資本コストほ︑  

その利益留保部分が株主持分であると解し得るから︑矢張りト  

株式資本コストと同様に理解することが当然であろう︒   

この他︑付言すれは︑最も低いコストで資本を調達するため  

に︑公共団体よりの資本の提供に求める考え方がある︒この極      ︵ 9︶  端な例で畔∵わが国においては多く見られないが諸外国では多   

(10)

﹁最低の利子率で資金を借り入れることほ資本支出の額が大で  

ある公益企業にと?てほ褒ましい﹂と述べ︑公共的所有を主張  

︵10︶  するのである︒またガスマンとドゴール︵H・G・G星旨manand  

寧E.DO亡g邑︶ほ ﹁諸税ほコストの中でも大きな部分を占  

めており︑山九五二年︑私営電気事業ほ︑grOSSOperating  

re諾nueSの二十⊥・四%を支払っているのに対しヾ公営のそ  

れは︵municipa−uti−ity︶は僅かその二・六%しか支払ってい  ︑し ない﹂と述べている︒しかしながら︑これらの意見は資本調達  

の側面からのみの観察であり︑このことに関しては妥当であろ  

うが︑総合的立場に立てほ︑なお討議すべき問題は残されてい  

ると思われる︒︵例えば︑電力事業公営の場合の経営能率低下  

︵21︶  の問題がその一例である︒︶ ここではこの考え方があることを  

指摘するに留めて︑電気事業の企業形態として公営が妥当であ  

るか私営が妥当であるかの問題についてほ別の機会にその考察  

を譲ることとする︒   

︵1︶ 竹中竜堆稿﹁わが国の電気事巣の設備金融の問題点﹂  

︵電力経済研究所報告﹁電気事業における設備金融﹂  

のうち︶昭三四︑四四頁︒   

︵2︶ 第八表ほ矢森智編集︑前掲稿︑第十八表より引用︒  

︵前掲書のうち︶二八頁︒   

︵3︶ 減価償却方法として︑ドイツは定率法を採用してい  

る︒イギリスは定額法であるが︑減価償却不足を補う  

わが国の電気事業の資本調達に関する副研究   ︵4︶  

′ ̄\ ′ ̄\ ′ ̄ヽ 9 8 7  

\J   )    )  

償却準備金︑余剰利益から切積立金等路傍りて琶かな  

っている︒アメリカは定額漆であるが︑ピアマンは物  

価指数で推算した各年度の固定嚢痙増加額匠対して減  

価償却率を乗℃て算出した減価償却費と現在の減価償  

却費を比較して両者の差額を減価償却不足額として穿  

定する方法な主張している︒芦BiermanLrこTFe  

Effect OfHnf−atiOnOn tFe COmp仁tatiOn Of Pub−ic  

Uti−ities﹀ The AccOuting Reまew︸Apri−−−¢岸  

pp.N麻00ーNのN●  

H.望erman︸−r.﹀Capita−iNatiOnOfaPub−ic Uti−ity  

a已tFeMea岩rement OfincOme.TFe AccOunt−ng  

Reまew﹀lanuaryu−欝↓p●N闊  

通商産米省公益事業局兼務課編︑前掲竜一〟八貢︒  

加藤博見稿﹁電気軍楽の料金についヱ公益事業研究  

第十巻第二号︑昭三三 八五−八七頁︒  

PT.S日itアもp.Cit.一p●NP  

通商産米省公益事染局兼務課編 前掲番︑九頁︒  

原始力発電な行うごとき場合︑尤大な資金必要最を考  

慮して公営が妥当であるとする脱がある︒例えば︑植  

村福七稿﹁日本の原子力発電の問題点﹂公益事業研究  

第九巻第二骨︑昭三三︑八芸莞  

︵三〇七︶ ;豊   

(11)

四 む  す  び   

電気事業ほその性質上︑固定資本を多額紅必要とし︑かつ︑  その資本回転率ほ低いという理由から二般企業に比して︑より  低いコス→で資本を調達すること︑しかも︑健全性を阻害しな  い資本構造を維持することが必要であり︑このことが電気事菜  の資本調達の基本目標となる︒この命題により︑あらゆる点か  ら考察されなければならないことほ当然であるが︑現在の電気  事其の資本調達実続からみて減価償却と利益留保という内部金  融の問題が最も大きい問題と考えられる︒その問題解決のため  紅は︑減価償却の問題については充分な償却が行い得る政策が  必要であり︑利益留保の問題については実体資本についての適  正な資本報酬を認めることによりそれを増大せしめることが必  要であろう︒このことにより︑電気事業の資本調達の基本目標  

忙−歩近づかんとするのである︒そして︑このことが当面はと   第三十五巻 第二号  

︵10︶ 北久仙稿﹁イギリス公益企菜の規制と国有化・−チェ  

スター﹃イギリス公益事共論ヒ公益事業研究 第十巻  第二号︑昭三三︑六九頁︒  

︵11︶ H・G・GutF臼anand虻.E.DOuga.〇p.Cit.も.Nの.  

︵12︶ このことを指摘する論者は大変多い︒例えば 1.句.  

S−eeman﹀BritisF Pub−ic⊂−i−1−iesこ誤N︸p.N声  

一局ほ︑電解夢  の滞有する  をよれソ    ︵三〇八︶ 二五二  

満足せしめ︑かつまた︑電気事業の健全なる伸展に寄与するに  至ると思うのである︒  

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