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資本予算諭とポートフオ・リオ 選択原理

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(1)

資本予算諭とポートフオ・リオ   選択原理  

井 上 勝 人  

Ⅰ資本予算論の大豊と批判  

既に.述べたように,  ビジネス・エコノミックスを経嘗の階層的機能関係に即   して再構成すると,生産執行の事業部段階において管理不能費として排除され   た固定費は,事業部の上部機関である最高経営層の統制に委ねられて,設備投資  

11)  

紅関する意思決定として経営層固有の職掌となる。この設備投資を含めて広く   資本支出の計画と統制の問題を考える理論が資本予静論である。われわれの見   解では,資本予算論を経営科学的に展開するに当って,ポートフォリオー選択原   理の適用がもっとも妥当であると考え,事業部段階における生産計画の経営科   学的展開であるLP分割原理とこの資本予算に.適用された掛−・トフォリオ選択   原理とほ接合されるぺきことを主張する。以下,これらの問題につき考察す  

る。まず,順序として資本予界論について概観す−る。   

資本予鈴論についての論議は既に汗牛充棟の感があり,今更これについて詳   述することはいたずらに屋上屋を重ねるおそれがあるので,資本予算論の経営   科学的展開に必要なかぎり払おいて,その特質を浮彫りにすることを試みよう   と思うが,それにほ他の投資決定論との対比においていかなる特徴を有するか   を考察するのが近道であろう。そこでまず投資決定論にほいかなる範疇がある   かを大まかに述べると,−・般にいわゆる投資決定論には次の三つの系譜がある  

(21  

と云われる。   

すなわち,第1紅は投資理論派(theor・y Ofinvestmenf),第2に,資本予算論  

(1)拙稿,事業部制におけるLPの役割,中央経済社刊i ̄経営と管理」のうち第5章参   照。  

(2)後藤幸雄著,「企業の投資決定理論」62ぺ一一汐。   

(2)

第47巻 第4・5・6号  

516  

ー・一エヲクー  

派(capitalbudgeting or capitalmanagement),第3に.MAPI派がこれであ   る。第1ほ投資に.阻する経済学的研究であり,ルツツやヴアックーを代表者と  

(3)   (4)  

し,その原型はケインズなどの資本理論に.見ることができる。第2は企業の意   思決定の−・環として投資決定を考えようとするものである。つまり,経営者の   立場から現実にJ遊離していると思かれる条件にそれを考慮し,第1の経済学的   投資決定論を修正しようとするもので,その鼻祖ほ云うまでもなくディーンの  

(5) 資本予鈴論である。第3は固有紅ほ設備の陳腐化に.対する計算手法の考察を中  

心とするものであるが,ここでほそのほかPERTなどいわゆるOR的なもの   を含めて広い意味で,第1と欝2に対する便宜上の区分けとして使用してい   る。   

資本予算論の立場ほ上述のように,経済学的投資決定論を企業の現実に・即し   て現実適応性の観点から改汁するところにその本旨があるから,経済学的投資   決定モデルと現実の大規模企業に.おける投資決定モデルとを対置せしめて前者   から後者への理論の修正という形で論をすすめている。殊に.この派の重鎮であ   るディーンに.おいては,現代の大規模企業に.おける経営者の裁違約決定を経済   学的投資決定モデル紅どの卓うに・組み入れるかの考え方を示したものとして注   目すべきである。かくして資本予界論の特徴はそれが現代大規模企業の最高意   思決定モデルとして項.実適応性の見地から組み立てられているということがで   きよう。はたして然りとすれば,従来の資本予界論においてこ.の現実適応性な   いし実践性ということが,理論のすみずみにまで貫徹し,現代企業の最高意思   決定モデルとして妥当なものたり得たであろうか。結論を年取りするならば,  

それは否なのである。その原因ほ古典的限界分析のもつ非実践性に求められる   のであるが,われわれ鱒かかる経緯を明らかに・し,ついで実践性をたかめるに  は経営科学的展開の必要なこと,ならびにその考え方について考察する。  

(3)Lutz,F.and V,The TheoryofInvestment ofthe Firm,1951 

(4)Keynes,J M。,The GenralTheoryof Employment,Interest a恒IMoney,   

1936,pp135−136 

(5)Dean,.ト,CapitalBudgeting,1951 

(3)

資本予算論とポ・−トフォリオ選択原理   ・−23∂−  

517  

(8)   

最初に.,資本予算論の考え方の枠組をディー・・・ン匿よって明らかにする。ディ   ー・ンによれば,資本予算の問題ほ資本支出の計画と統制に関する経済分析を意   味する。けだし,資本支出とは会計上の慣習や税法からでは.なく,企業の経済   行動の観点から定義づけられ,支出される資金が長期にわたって拘束されるよ  

うな,例えば機械・設備の増設や新設はもちろん,さらに長期的広告や教育・  

訓練あるいは研究・開発などが対象とされるからである。しかし,典型的には   その分析の中心は機械・設備の増設や頭:新,いわゆる設備投資問題に向けられ   る。   

さて,このような資本支出の計画と統制は次の三つの問題軋よって構成され   る。すなわち,(1)資本需要の問題,(2)資本供給の問題,(3)資本需給との   関連における資本割り当て−の問題がそれである。第1の問題は各事業部から提   出される種々の投資提案がどれだけの資金を必要とするかの問題である。この   場合,各提案の採用度は将来の収益性に関連した基準で測定されるから,各投   資提案の予測収益率の高低に・基づいた資本需要表が作成される。第2の問題は  

どれだけの資金が利用可能であるかの問題であり,この源泉としては「内部源   泉」と「外部源泉」との二つが考え.られている。内部源泉には減価償却と内部   留保とがあり,外部源泉には株式・社債などの有価証券ゐ発行紅よるものと長   期債入金などがある。そしてこれらの資金を得る忙はコストが負担されなけれ   ばならないから,資本費の高低軋基づいた資本供給表が作成される 

の資本コストほその資金の機会原価である。第3の問題は以上の資本需要表と   資本供給表とが対置せしめられて,資本支出需要忙対して資金をどの′ように割  

り当てるかの問題であり,通常は資本需要が供給を上廻るから資本支出計画に   おける中心問題となる。そしてこの場合の拠るべき基準が拒否率(rejection   rates,Cut−Off rates)であり,これは資本コストとの関連において−・定の収   益率として,つまり資本の需要表と供給表との交点に.おいて定義されるのであ  

る。  

(6)Ditto,ManagerialEconsmics,Ch.10lditto,M∋aSuringthe Productivityof    Capital,Harvard Bu$iness Review,Vol32,No.1,1954. 

(4)

第47巻 第4・5・6号  

・−−234一   518   

以上が資本予算論の骨組であるが,ディー・ンの考えはさらに・この骨組紅現代   大企業の意思決定の現実紅即して肉づけをするところに.その特徴があるこ・とは  前述した通りであり,したがってこれから先の展開が重要なのである。すなわ   ち,上述の資本配分モデルは投資率案の採否を投資提案者ないし事業部長の説   得と固執など紅よる人為的影響紅代わって経済的基準,当該投資提案の予想収   益率が資本費との関連において定められる拒否率以上であることを要するとい   う基準を示した点ですぐれているのであるが,仮定の単純化のため概念的モデ   ルにとどまり,実践的見地からはさらに修正する必琴があるとしてこいる。すな   わち,ディーソに.よれば,上述の概念的モデルほ考え方においては経済学的投   資理論と異ならないものであり,経済学的分析を経営の現実に.即して修正する   ことに.よって,経営政策の形成に経済分析がいかに.用いられるかを示すことを  

課題の一つとするビジネス・エコノミックスにおいてほ,この資本配分モデル  

は次のような考え方で改訂されねばならないのである。まず,こ.の概念的モデ   ルの仮定は,第1に.経済理論で普通であるように,企業の目的を狭義の計算可   能利潤の極大化に・おいてい卑。欝2紅投資機会についての完全騰報を措定して   いる。第3に・各投資提案に・おける予鱒収益率ほ正確である。第4に各投資提案  の危険は等しいか,等しぐするように収益率ほ調整される。第5に企業は資本   市場に.おいて自由に贋本を調達でき,その場合の資本費は確定的である。これ  

らの五つの仮定は必ずしも現実妥当性を保証するものではないから,ディーン   ほこうした仮定を排除した場合に概念的モデルは・どのように修正されるぺきか   を検討するのである。上述の五つの仮定を考察することは,それぞれに興味あ   る問題ではあるが,ここでは経営科学的展開の必要を明らかにすることが目的   であるので,われわれほそ・れらのうちこの問題に.直接関係のある東3と第4の   仮定に.ついてとりあげよう。   

さて,資本予算論の中心ほこれまでの論述から明らかなように,資本の需要   供給曲線が交わる点で収益率を予想することである。このことほ投資の収益性   や危険の見積りに・おいて,実際には達成できないような予測や正確性の仮定に   基づい■セル、る。そこでディーンはこの間隙を埋めるため紅正確度を若干犠牲紅 

(5)

資本予算論とポーーー・トフオ.リオ選択原理   −2∂5−・  

519  

して,拒否率をさらに次の4種に.区別している。すなわち,第1ほ基本的最低   率(basic minimum rate),第2は振動的実効率(fluctuatingeffective rate),  

第3ほ長期拒否率(longrun Cut−OffIate),第4は例外的拒否率(exception  

r・ate)がこれである。   

第1の基本的最低率は将来における平均資本費の予想に基づいて設定される   ものであって,資本配分に.おける拒否率の下限として機能するものである。第   2の振動的実行率は上記の四つの拒否率のなかでは,もっとも中心的な役割を   はたすもので,これまでの論述に.おける収益拒否率がそのまま,つまり資本に  対する予想需給曲線の交点としで決定されるものであるが,振動的なる意味は   それが最高経営層の判断に.よって上下の幅を移動することが許容されるこ.とで   ある。すなわち,−・般に資本需給図表で拒否率を得るに.は,資本の総需要曲線   と総供給曲線の両者軋ついて総括的な景気動向の予測を必要とするが,こ.の景   気循環の諸局面に㌧応じて拒否率を上下させようとするものである。例えば,現   在の資本需要よりより有利な将来の資本需要が規待されるとき,拒否率は引き  上げられて投資抑制が図られ,逆の場合には拒否率ほ引き下げられて投資促進   が企図せられる。この場合の振動の下限が前述した基本的最低率に.よって規制   されることに.なる。第3の長期拒否率ほ.5〜10年の長期予静に.おける長期め予   想資本需給額軋基づいて決定されるもので,資本需要の低い時に.低収益の投資   に贋金が拘束されることから生ずる資本需要の高∨、時に高収益の投資計画を見   送らねばならないこ.とを避けることを目的として設けられるものである。第4   の列外的拒否率は戦略投資を保護するために設けられる特殊率であり,ここに  戦略投資とはその効果が遅行的間接的不可測的であるために.,収益率競争から   保護される必要のあるもの,例えば厚生福祉投資などを意味する。   

かくして,これらの拒否率は効果的紅組合わされて最高経営層における各投   資提案採否の基準となるのであるが,ここに.至って−・見理論的客観的紅決定さ   れるかに見えた拒否率による選択ほ.,それぞれの拒否率の定め方ならびにそれ   らの組合わせ方法において,次第に経営者の主観によって相当程度左右される   余地が増大することを意味する。すなわち,前述の概念的モデルにおける単純   

(6)

第47巻 第4・5・6弓   520  

−−・236−−  

化のための諸仮定を排除して,企業の意思決定の現実に,より適応を図った結   果,投資計画への資金の配分を説得力の巧拙とか粘り強さなどの人為的影響に   代える軋客観的な指標を導入したと評価された概念的モデルの長所をば捨てる   結果となり,再び経営者の主観という人為的影響の支配にもどってしまったの   である。   

それほ何故であろうか。思うに資本予静論における資本割当理論の考え方の   基本ほ,概念的モデルの論述のところで明らかなように.,投下資本の限界単位   につき投下資本収益率とその資本費とを比較して両者が等しくなるところまで   投資を行うべきである,というものであって,これほ限界原理の考え方に・基づ  

く分析であるということができる。ディ−ンの修正はこの限界分析の枠内に・お   いて拒否率の幅を広げることに.よって行おうとするもので,基本的には何もの   も修正しでほいないのである。   

生産計画における限界分析の問題点ならびに.これが実践上の観点からLPに  

(7)  

発展的移行せざるを得ない事情紅関しては既に言羊細に.論じたのであるが,これ   らの事情は資本予算論の場合でもそのまま当てはまる。すなわち,限界分析ほ   原理的に.は妥当なものであるが適用可能性に難点がある。つまり,限界分析甲   厳密な適用のため隼はプロセスの数は無限大でかつプロセスのタイプの相違ほ   連続的でなければならず,これを資本予算論の場合に即しで云え.ば,資本需要   曲線と資本供給曲線のそれぞれについて等収益率曲線ならびに.等資本費曲線は   滑らかな曲線を画くということであり,このことは収益率の算定関係事項なら   びに.資本費の確定関係事項に.関して完全情報を仮定することを意味している。  

例えば,資本費紅ついて例をあげると,資本供給曲線を形成する資本費の計算   紅おいて,各種の代替可能な資本調達源泉をすべて考慮に入れて,しかもそれ   らが計静可能なことを意味するが,現実に.は.資本市場は完全では.なく,またこ  のような総合的計算方法は開発されてはいないのである。   

かくして,限界分析の範疇にとどまる限り概念的モデルの現実への接近は不  

(7)拙稿,線型計画法の経営経済学的展開,香川大学経済学部研究年報8..   

(7)

ーー2∂7−−−・  

資本予界論とポー・トフォリカ選択原理   

521  

可能というぺく,ここ紅LPをほじめとする各種の経営科学的分析手法の導入   される基盤が求められ,概念的モデルの修正はかかる方向に行われるべきこと   を知るのである。こ.れらの経営科学的手法にほ,確定性の前提紅おけるLPに  よる方法ならび紅不確定性の仮定における2次計画法紅よる方法などが考えら   れるが,現実接近の視点に鑑み,本稿では,不確定性を重視した後者の検討を   行うことにする,そしてその際,考え方としていわゆるポ−トフォリオ選択原   理が参考になるので,この分野での基礎的研究と云われるマーコピッツのポ−  

トフォリオ選択原理を資本予算論に適用することを考察しようと思う。  

ⅠⅠマ−−コピッツ原理の要諦と資本予算論への適用  

われわれは以上において,資本予算論の特徴ないし性格を考察して,それが現   実適応性の見地から経済学的投資理論の修正による実践性にあることを明らか   にし,ついでその修正は伝統的限界分析に.とどまる限り不可能であることを論  

じた。いまやわれわれほ.現代的手法を導入して,資本予算論を経営科学的に.再   構成すべき段階にきたのであるが,その前に論述の順序上,マーコピッツのポ  

(8)  

−トフォリオ・乍レクジョンの考え方の要諦を検討することから始める。   

既にわれわれは前稿においでマ−ビッツのポートフォリオ選択の考え方に.つ  

(9)  

いて\概観してきたのであるが,結局それらをまとめると次のように言うことが   できよう。すなわち,第1に問題の把握方法としては,最適なポートフォリオ   を選択するに当って,従来行われてきた収益の規待値のみ把よる評価では不充   分であるとして,さらに収益の変動性という視点から,分散・共分散の概念を   導入して危険性向を把握し,いわば期待収益と危険との2次元空間に.おける最   適点の選択という形で分析が行われている。第2に問題解法の考え方としては,  

第1と関連して当然のことながら,2次関数の規待効用関数を目的関数とし,  

1次関数を制約条件式とするいわゆる2次計画法の問題として把握され,2次 

(8)Markowitz,H.Mu,Portfolio Selectipn,1959 

(9)拙稿,マ−コピッツ「ポ−トフオ・リオ・セレクション」について,香川大学経済論   叢第45巻第4号。   

(8)

第47巻 第4・ト5・6弓  

522  

−−−2Jヲβ−−−−  

計画法の解法がそのまま採用される。   

さて,われわれの問題ほこのポ−トフォリオ■選択の考え方を資本予算理論に   適用することであり,その理由や方法についてこれから考察するのであるが,  

その前に上述のマ・−コピッツ理論の要諦に関連して前稿においてふれなかった  

問題,すなわち効用関数について若干付言する。前稿に・おける式(5)のノ1■す   なわちノ =入刀〆ズーズ′CXは厳密紅ほ規待効用関数と考えられる。この間題に   っいて,マーーコピッツほ規待効用極大仮設とE−Ⅴ投資基準として詳細に論じ  

て小るが,ここでほ資本予算問題へのポーートフオリオ選択原恕の適用を考える   ことが目的であるので,この問題には立入らず,簡単に次の如く言うこ・とがで   きるであろう。   

いま,ある人の投資可能な総投資残高の価値額をⅣで表わし,この効用関数   を〟(Ⅳ)で示す。規待他を且(Ⅳ)=〝とおき,この阿りで微分可能としてTayloI  展開し,3次以上の項を省略すれば次式となる。   

〝(耶=〝(折〝′(〃1)(Ⅳ−〝)卜㌢(〝)(仲」■)2  

(2−・1)  

式(2−1)の規待値をとれば,次の規待効用関数の近似式を得る。  

β〔〝(Ⅳ)■〕=〟(〝)+〟′(〝)β(W−〝)  

+一書二(〝)β(恥〝)2  

(2 ̄2)  

しかるに,この確率変数Ⅳの規待値ほ〝であるから,〝=β(Ⅳ)より,式(2−− 

2)の第2項は消え,またβ(肝−〝)2はlγの分散であるから,β(坪−〝)2=JⅣ2  

とおき,結局   

β〔α(Ⅳ)二〕=〝(山+一・(〝)グⅣ2  

(2−3)  

を得る。 

一・般に,危険回避者(risk−aVCrterS)つまり一層の期待収益のもとで危険の   増大を回避する人の選好パタ・−ンは,危険の増大につれて期待効用が減少する  

から,  

(2−−4)   

〟′′(〃)<0  

(9)

・−−2∂9−−・  

資本予鈴論とポートフォリオ選択原理   

523  

(10)  

と表現される。また,効用に.対する数値の指定ほ,既に㌧見たよう把・,選択行動   の観測を通じて決定されるが,原点と単位尺度を基本に定めれば−・意に決ま   る。これに.対して,適切な情報のすべてを含む効用関数が存在するとすれば,  

このような任意の原1点と単位を与え.る式ほもとの式の線型変換になるから,こ   のことと式(2−4)によって,式(2一−3)ほ次のように書きかえ.られる。  

β〔〟(Ⅳ)〕=〝−AⅣⅣ2   (2−5)  

ただし、,Al=一(匹)であり,危険回避係数を表わす0   

かくの如くして,ノ=入即′ズーズ′Cズに.おける入ガは,このAlと関係をもつ   恩と解せられるから,この./は規待効用関数を意味すると考えられ,結局ポ」−  

トフカリカ・選択問題とほ2次関数の親待効用関数を目的関数とし,1次関数を   制約式とする2次計画法の問題として把握されることになるのである。かく  

て,九βを∞から0まで変化させるということは,危険を考慮しない人の効用   関数を出発点として?逐次危険回遊性向の高い人の効用関数に対応する効率的  

EV組合わせを求めていくことに.なる。   

以上を要するに,マ−コピッツはポー・トフォリオ選択紅際して採来の不確実   性と資本損失の危険に.対処するために,予想収益の確率分布に関する二つのパ  

ラメ−ター,すなわち1次積率である規待値と2次積率である分散の可能な組   合せのなかから選択が行われるべきことを提唱し,そしてまたこの基準,いわ   ゆるE−Ⅴ投資基準と規待効用極大仮説とを結合して,到達可能な規待効用を   極大にするような組合せの選択を説いたのである。したがって,この理論の目   的ほ金融資産選択に.おける投資行動の科学的解明に・あると云えるが,われわれ   としては更にこれの物的資産選択への拡張,換言すれば,資本予算問題への適   用を考察するこ.とが目的である。それほ乳−・トフオ.リオ選択原理が持つ従来の   投資決定理論に.はない諸特徴,例えば,既存投資や他の投資案との相互依存性   の重視や危険の処理の仕方などを,資本予算理論のなかに生かしてこれを発展   せしめんが為紅はかならない。  

(10)拙稿,機会損失と情報の価値,香川大学経済論遊第43巻第1・2・3号。   

(10)

第47巻 第4い5・6弓  

・−−240−一−  

524  

ⅠⅠⅠポートフオ・リオ選択原理の資本予算問題への適用  

ポートフォリオ・選択原理を資本予算に適用する問題に‥おいて,優れた分析を   展開した労作の一山つとして,われわれほコ−エソとエルトンの論文を挙げるこ  

(11) とができる。そ・こでまず彼らの所論についてその考え方を見ていくことにしよ  

う。   

さて,彼らほポ∬トフォリオ選択原理を資本予算モデルに適用するに当り,  

予算制約の存在しない場合から始めて,予算制約の存在する場合へ・と,逐次条   件を追加して考察を・すすめているが,それらの場合に.共通する基本的考え方は   次のようである。   

現在価値法によって分析をすすめる。つまり,有効フロンf ィア(efficient   ffOntier)の(β,J)型をパラメータ−として投資報酬のキャッシュ.・フロー  の現在価値を求め,これを用いて最適ポ−トフォリカーに接近しようとするので   ある。もう少しかみくだいて言うと,有効フロンティアとほ有効点が形成する   境界部分を意味し,最適ポ一一トフォリオはこのような有効フロンティアゐなか   から選択されるのであるから,まずこ.の有効フロンティアを導くことが先決と   なる。そしてそのために・ほ肇効フロンティアの(且,グ)乳つまり規待値の   極大化を目的配数とし,標準偏差を危険の尺度として,換言すれば規待値と頗   準偏差をパラ.メ−タとして?キャッシュ・フローの現在価値を用いると言うの   である。ま−た,有効点とは前稿で述べたように,より高い危険を招くことなし   により大なる規待報酬紅到達することほ不可能であり,かつより低い期待報酬   を招くことなしにより小なる危険に到達することも不可能なよ\ぅな実行可能な   点である。また,療準偏差グを選ぶのほ,投資報酬の分散は期待値からの偶然的   帝離の範閃を示すものであり,確率分布の拡がり具合を表わサパラメ一夕」−・で   あるから,その平方根である標準偏差も械能的に・ほ分散と異ならず,危険の尺   度とみなされるのである。   

(11)Cohen,KalmanJ.and Elton,EdwinJ..,Inte巨tempOralPortfolioAnalysis   Based on Simulation ofJoint Returns,Managment Science Vol14,No。1,  

September,1967,pp5−18 

(11)

ーーユ〃一一    資本予算論とポ−トフォリオ選択原理  

525  

さて,予算制約のない場合,彼らほこ.れを次のように考える。危険とは,時    間紅対して割引かれた標準偏差の関数として二表わされるから,確実性等価法  

(12)  

(Certainty equivalent)によって,  

P叫ん)=ん/〈(1+少f)(1+γ )£i   (3−1)  

のように.表わせる。  

ただし  

1..Py(ん)………  g期におけるキヤツレユ・プロ−よ−の現在価植    2.動………  ん/(1再√)↓を確実性等価に・斉らす割引率。  

♪iはノ 以(1+㌢・ ) の標準偏差に依存する。   

3.7ム・・…‥・‥・・‥‥‥才期の収益を(仁一1)期の収益に変える割引率   

4. ≠‖・…‥………‥ 

時間   

5. 去……… 

プロ汐.ェク〜ト   

ここで,γェを一雇と仮定すると,式(3−1)ほ次のよう紅簡単化されるo  

Py(ノ㌫)=β宜亡/(1+動)  

ただし,  

五日=ノ 乞 /(ト十γ )′  

である。   

以上に.よって.・,一1つのポL−トフオリオの中味を,既存投資,実物投資,癒券   投資とみなして,マーコピッツのE−Ⅴ投資モデルに・より,危険を最小化する  

ように定式化すると,次のように・なる。  

(12)簡単な確実性等価モデルほ次のよう紅表わされる。すなわら,yニ・/く〝,ケ)で,〝は    投資収益の規待値であり,グはその標準偏差である。つまり,γほ不確実な収益の規    待値を確実な現在価値に換界した値である。   

(12)

−242川−  

完ノ∑鴛・−−ケ沼方形.  

ぶ.才.   

1. 〃.ズ=C  

2..ズ0=1  

J⊥=  

第47巻 第4・5・6弓   526   

ご:了  

ガ0   l●l  

.l●Jl  

.方乃+1  

(3−・2)  

〝乃  

〃明+1  

し拘+m  

3.方f≦1(よ=1,……  ,乃)  

光柁+研 ノ  

4.一方メ≧0(ノ=1,・…‥ ,〝+刑)  

ただし,   

1∴〃.…… ・・l種々な投資プロジェクトの現在価値の1×(搾+∽+1)ベ  

クトルであり,前述の記号で表わせば〝iは∑ 駄である。   

2.添字記号  

0………‥‥‥既存投資。例えば,〝0は既存投資のキャッシュ・フロノー・の   現在価値の規待値である。  

1から〝………  実物投資  

乃+1から〝+刑・‥証券投資   

3..方‥‥‥…‥…・あるプロジェクトの投下資金紅与える(乃+研+1)×1ベ  

クトルである。それは実物投資に対しては0ないし1の制約   条件が,証券投資に対してほ上限制約はない,と仮定する。  

方乞はこのペクレレの要素である。 

4..尤・0=1……… 

既存投資を継続することを意味する。   

5.C・‥・・・… 

…有効フロンティアを導く際のパラメ一夕−   

6.∑・・…………・ 

プロジェクトの現在価値の間の分散・共分散の行列    式(3−2)はもっとも簡単化されたモデルであり,その核心は分散・共分   散行列(∑)をいかに.して求めるかということに.あるが,彼らほこれをシミ.ユ 

レ−ジョンに.よって求めている。したがって,われわれも次紅このレミュレ− 

ションに.ついて彼らの見解を見てみよう。   

彼らによれば,このレミュレ−ションを行うに.当っては,その順序として第   

(13)

資本予算論とポートフォリオ選択原理   ーー24∂・一一  

527  

1に既存ないし予想される投資について企巣全体のいかなる要因が各期におけ   るキヤツレユ・フロ嶋の決定に寄与するかを示す構造モデルを特定しなけれほ   ならない,としている。例えば,設備取替プロ汐クトに層達するキャッシュ・  

フロ−の決定に.は,売上高,賃金,原材料費などが挙げられる如きである。第   2に.これら規定要因の同時確率(joint probability)分布を特定する。この場   合,各規定要因の分布と要因間の相互依存関係の分布とを別々に特定すること   に.よって−,この問題に伴う煩雑さを避けることができる。これらの同時確率分   布の関数の型およびパラメ岬タ」−の値ほ時間の経過に.よって変化するが,その   変化ほ同一・期間あるいほ前期における確率変数を特定することによって予想さ   れる値に依存する。そしてこれらの構造モデルと要因分布の特定ほ,あらゆる   相互依存関係が厳密紅表現できるほど十分に・詳細に・行れれなければならない。  

第3に規定要因の各々の備について各期間ごとのシミユレー・トを行う。この場   合,初めに全社的な既存ないし予想される各投資プロジェクトに対し.第1期   に.おいて生じた各要因の値を使用して,そのキャッシュ.・フロ「・を算定する。  

七.れらの投資プロジェクトの各々のキャッシュ・プロ−・は別々に記憶される。  

次に第2期に.生じた各規定要因の備を用いて,その期の投資プロジェクトのキ   ャッシュ・プロ−を穿定し,γ2で割引いて,第1期に算出されたキャッシュ・  

フロー一に加算する。 このように.前期迄の累積キャッシュ・プロ−紅新しい割引   キャッシュ 

迄続けられる。以上の手続きに従って,試行錯誤的に.何回かのレミュレーショ   ン・ランにおける各投資プロジェクトのキャッシュ・フローの一\連の現在価値   が計鈴され,記憶・保存される。  

第1表 各シミュレーレ  トの現在価値   

(14)

・−244一一・  

第47巻 第4・5・6一弓   528   

以上のシミユレ−・ショソの情報は第1表の如ぐである。坑1ほ1回目のレミ   ュルL−⊥ション・ランの間に計算されたプロ汐工クトよ(すなわち∑£∑れ)の現在   価値である。こうして,一・逮の現在価値を記憶したのであるから,それらの分   散,共分散および平均値は容易に.鈴出することができる。かくて,マトリック  

∑が得られた後,有効フロンティアを導くため式(3−2)で計算したモデルにり  

(13)  

2次計画法の計算法を適用することに.なるのである。   

次に・,予鈴制約の存在する場合について見てみネう。彼らほ式(3・「2)に  よって定式化された基本的モデルに.,予静制約などの相互依存要因を付け加え   た例として,ワインガートナー・モデルを挙げ,それに・ついて考察している。ワイ  

(14〉  

ソガー・トナ・−モデルとは次の如きである。  

.r′三T−−T′∂∫・・・・・一→川わJ.   

ぶ.f.  

1.〝.ガ=¢  

2.仇0.鴛0+飢方*+∫0・−ざ1=0  

3.動0.方0+α£∬*+∫レ1−5£=0,才=2,……  ,r   4.、方乞≦1,ざ=1,……,兜  

5.勘≧0,f=1,……  ,r   方官≧0,よ■=1,……  ,紹十椚  

(3−・3)  

6. To=1  

α班 αf2  

α乞,れ十乱   

α/↓=  

ただし,  

1.〝,.方,C………‥ 

式(3−・2)で定義したとおり, 

2.α …………‥・・…・・ 

f期の新プロジェクトからのキャッレユ・フローを表わ   す1×(〃+鯛)ベクトル。  

(13)前掲拙稿,マ・−コピッツ「ポ一トフカ・リオ・セレクション」について,参照  

(14)Weingartner,H∴M一,CapitalBudgetingofInterrelatedProjects,S11rVeyand  

Synthesis,Management Science,Vol.12,No.7(March,1966),pp.485−516.   

(15)

資本予界論とポー・トフォリオ選択原理  

−24ざ・−−  

529  

〃り・…・‥… …才期の∠投資からのキャッシュ・プロ−  

の0‥……‥‥…・‥≠期の営業活動からのキャッレユ・プロ−   

3..r*………・仙  川…・.机を含まない点を除くと.ズと同じ。   

4.ぶ …  ………  ≠期の現金残高(したがって50ほ期首現金残高を表わ   す。また,期間毎の資金の繰り越しを認めるものとする。   

5.T………・  予鉾制約が考慮される最終期間   

6.β………‥・  ・‥プロジェクトの相互排反性を表わす行列。例えば,よプ   ロジェクトと.タブロジェクトとの相互排反性は」■.グ位置のβ   に.マイナス符号をつけることによって処理することができ   る。この方法でほ,プロジェクトの相互依存性を表わすの   に.,端数プロジェクトの数を増加す・ることなしに,また制   約条件の数も変化させないで表現することができる。   

以上がワインガー・トナーモデルに基づいた予算制約の存在する場合の定式化   であるが,そこに.おいては基本モデルの目的関数を修正することに・よっぐプロ   ジェクト間の相互依存性を組み込むことに要点がおかれていることが分る。  

ⅠⅤ 経営機能と管理機能との統合的考察  

以上において,われわれは資本予鈴論の経営科学的展開紅ついて,マ−・コピ   ッツのポ−トフォリオ選択原理を資本予鈴理論に適用することを考察してき   た。そこにおいてはなお幾多の究明すべき問題が残されているが,劇応考え方   として二資本予鈴論をポ−トフォリオ選択原理に立脚して考え治すことは可能で   あり有笹であることほ首肯せられるところであろう0   

ところで,資本予算論はビジネス・エコノミックスに・おいてはいわゆる経営   機能の中核として中心的役割りを果すものであることほ既に・述べたが,われわ  

れの目的はこの蛮本予静論と事業部生産計画とを結合すること,換言すれば事   業部段階におけるLP分割原理と経営機能におけるボーートフォ選択原理とは理   論的に接合さるべきであることを主張し,ひいては経営学的匿経営機能と管理   機能との統合的考察の必要性つまり集中と分権の一・体的理解を明らかにすると   

(16)

第47巻 第4・5・6号   530  

−246−  

共に,ビジネス・エコノミックスの階層的立体的展開を試み・ることにある0    さて,この目的のためにほ次に式(3−3)の特質を明らかにする必要から,  

このdualを導く。すなわち,最適解.尤・£>0ならば,双対定理によって,  

γ£=〝£−2∑£.方−∑α扉£  

(4−・1)  

を得る。   

ただし,  

1.γ仁l‥…‥ 

……制約式.方£≦1のdual.すなわち,査投資がなされた場   合の純現在価値に及ぼす限界効果を表わす。   

2.仇…‥…………‥ 

才期の予鈴制約のdual.すなわち,それは才期の予算を   1単位増加したときの純現在価値の増加分を表わす0    3.∑i…・‥  …・…行列∑の∠番目の行   

4.裾,方‥……■‥…前に.定義した通り。   

かくして,式(4−1)ほ次のように解することができる。すなわち,〝乞は   投資プロジェクトの現在価値であったから,採用されたプロ汐エクトのγ名ほ・そ   のプロジェクトが企業の危険に及ぼす効果∑と,その期間の資金の機会原価p    とで評価した投入資金の現在価値を越える分を表わす。つまり,あるプロジェ   クトが採用されるか拒否されるかは,それが企業全体の危険を増加させるか減   少させるか,また率要な時期に資金を発生せしめるか否かによって決定され,  

この点が従来の投資決定論鱒見られない特徴である,ということが分るのであ   る。  

さて,そ・れならば(4−1)に.資本予算論の考え方を当てほめて解釈すると   どうなるかと云うに.,制約資金の機会原価である戸上は一層の資本コストを意   味し,したがって収益拒否率に.相当する一ことに注目しなければならない。けだ  

し資本予算論の論理では限界単位の資本を調達するために要する資本費と,限  

界単位の投資が斉らす投資収益率とが等しい点において投資が決定され,その  

点において成立する収益率をそれ以下の収益率しか斉らさない投資計画案は否   決されるという意味に.おいて収益拒否率と称しており,また制約資金が内部資   金の場合に.は拒否率は問界単位の投資収益率と内部留保金の機会原価とが等し   

(17)

資本予算論とポーートフォリオ選択原理  

−247・−  

531  

い点に設定されるからである。つまり,内部留保金の限界収益率がその機会原   価である資本費より高ければ,外部資金を調達してこもさらに投資を続けるこ.と   になる。かくて収益拒否率に.は資本費と収益率との二つの概念が含まれるので   ある。   

かくして,P は∑と共に投資決定の要となるものであり,それは投資総患を   決定すると共に,限界投資単位の収益率を決定するという意味で,限界利潤な   いし限界生産力あるいほ.shadow pI・iceとしての機能を宥すると解するこ.とが   できる。   

ところで,Shadow priceについてはわれわれは既にsimplex multiplier の  

し15\  

とこ畠で考察した。すなわち,シンプレックス乗数ほいわゆる双対価格であり,  

限界利潤ないし限界生産力を意味するものとして,経済学的には一層の計算価   格としてShadowpriceとも呼ばれ 

よる統制を分権管理の本質と理解し,この考え方を的確に表現するものとして   LP分割原理を把握したのである。このよ うな考え方は既に1∈〉40年代に.かの   SchmalenbachがPretiale Wirtshaftslenkungにおいて明確に述べたところ  

(1¢)  

であり,Optimale Geltugszahlという計算価格によって経営を指導すべきこと   を提唱した。ただし,と.の計算価格の合理的決定をめぐってシュマー・レンバッ   ノ\は限界原価基準を主張し,ディ−・ンほ実際的紅その計算の困難性から商議に  よって決定すべきことを唱えたが,LP分割原理ほこのような論争に見事に答   えたと云うぺきである。   

それはさておき,事業部段階におけるLP分割によるこのシンプレックス乗   数ほ,さらに上述した収益拒否率という計界価格によって規制される。換言す  

(15)拙稿,ダンツイ」−・ク,ヴォルフェ「LP分割原理」に.ついて,香川大学経済論ヱ第   44巻第3号,LP分割原理の経営経済学的意義,香川大学経済学部研究年報11 

(16)pretialeはラテン語のPretum(価格)に由来する。したがって,価格による経営   の指導を意味する。  

Schmalenbach,E,Wirtschftslenkung:Bd.1,Die optimale Geltungszahl,   

1947.Bd.2,Pretiale Lenkung des Betriebes,1948 

(17)Dean,,.,DecentralizationandIntracompany Pricing,HazvardBusinessRe−  

View,Vol33,No.4,1955.p68.   

(18)

第47巻 第4・5・6号   532  

−−・2ゼg−・−  

れば,シンプレックス乗数という計静価格は収益拒否率という計算価格と連動   する。何故なら,収益拒否率の上昇又は下降は事業部紅対する資本配分の減少   又ほ増加を意味し,それはまた機械設備に随伴する労働力および原材料などの   最的変化を斉らすから,LPに.おける定数項ならび軋技術係数および目的関数   の係数の変化となって表われ,直接的に・は基底の逆行列と目的関数の係数によ   って決定されるシンプレックス乗数は,これらの変化に伴って変化することに   なるのである。つまり,このことは資本資の決定に・基づいて各事業部の担当す   べき生産品が決定され,究極的に収益拒否率が経営の全過程の統括者となるこ   とを意味している■。このようなことを強調するのは,従来それらが別々の問題   として孤立的に.考察の対象とされてきたからであり,かかる孤立的考察では資  

本予鈴の問題でも事業部制の問題でもその本質ほ把廃し得ないのである 

てその本質とほ,計算イ鵡格という一・筋の糸に・よって連繋され統制される集中と   分権の−・体的理解であり,経営機能と管理機能との接合的把撮である。かぐて,  

投資決定の問題は収益拒否率の側からでも,シンプレックス乗数の側からでも   どちらから接近してもよく,シンプレックス乗数のみでもそれは十分可能なこ  

(18) とは周知の通りであり,それは上方から次第に・接近するか下方から次第に・接近  

するかの違いにすぎないのである。   

以上の考え方は経営学的紅ほ.最高経営機能と管理機能とのいわゆる階層的包  

(19) 摂関係として理解されるとこ.ろのものを,計数的に・その所以を明ちかにしたの  

である。  

(18)有限資源のSIladow pI・iceとその限界を拡張するに要する費用とを比較して,拡    張が有利であるならば,投資を可とすればよい。詳しくは,古瀬大六著「生産の経済   

学」1d7−110ぺ・一汐参照。  

(19)山城牽著「経営政策」51,173,194ぺ・一汐。   

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