ヽ
rISI(D N().38 37‑56.2008 37徒指 導論 Ⅱ
一 生徒指導 と法 律一
鋤 崎 勝 也
は じめ に
九州 ル ー テル 学 院 大学
紀 要
VISIO第 35号 「教 育現場 か ら提 言す る・・ 生徒 指導 の 実態 とこれ か らの生徒 指 導 ・ ・ 」 "(2006年
12月発 行 )の 中で 、生徒 指 導 の歴 史 、意 義 、現 場 の実 態 等 を論 述 した。 今 回 は、「生徒 指 導 と法律 」 につ い て考 察 し、次 回 にお い て は 「危機 管 理 」「生 徒 指 導 の組 織 とマネ ジ メ ン ト」「生 徒 指 導 の新 しい考 え方 と対象 の仕 方 」等 につ い て論 じてみ た い。
さて 、現在 の教 育 界 にお い て は、約 60年 ぶ りの教 育 基 本 法 改正 に伴 う改 革 や 収賄 に よる文 部 科 学省 幹 部 らの処 分 、 大分 県 教 育委 員 会 の教員 採 用 を め ぐる汚職 事 件 な ど、教 育行 政 の根 幹 を揺 る がす よ うな 出来 事 が続 いて い て 、学校 や 教員 に対 す る社 会 の不信 感 は更 に高 ま って い る。 そ の一 方 で は、学校 現 場 が抱 え る問題 や 困難 は増 え るば か りで 、 自殺 、 出会 い系 サ イ ト、校 内暴 力 、不 登校 、 そ して最 近 で はイ ン ターネ ッ トを介 した い じめ な ど、生徒 の 問題 行 動 が社 会 的 に注 目を集 めてい る。
従 来 、生 徒 の 問題 行 動 は、 主 と して家族 と生 徒 個 人 との 関係 か ら と らえ られ て い て 、専 門機 関 にそ の指 導 が ま か され てい た。 例 え ば、不 登 校 は相 談 所 に紹 介 され て 、 そ こで治 療 を うけ、 〃
治 つて 〃
学校 に復 帰 す る こ とが期 待 され て い た。 しか し、近年 で は 、学校 も問題 行 動 にた い して無 関係 の立場 に留 ま って い るわ け に はい か な くな つて きた。 専 門機 関 に全 面 的 に指 導 を委任 す る時 期 は去 り、学校 が主 体 的 に生徒 指 導 ない し学校 教 育相 談 を通 じて直接 にか か わ らな げれ ば な らな くな った。 この結 果 、生徒 指 導 や 学校 教 育相 談 につ い て 、一応 の知識 を持 ち、指 導 で き る力 を待 つ こ とが 、す べ て の教 師 に必 要 とされ る よ うにな った。
学校 内 で大 きな 問題 が発 生 す るた び に、マ ス コ ミも行 政機 関 も、 また学校 関係 者 も、生徒 指 導 の充実 の必 要性 を唱 えてい る。 そ の結 果 、世 間一般 も、生徒 指 導 とは問題 生徒 へ の対応 策 で あ る と と らえ られ る よ うに な って きた。 この よ うな見 方 は 、多 くの高校 を終 えた ば か りの新 入 の大 学 生 に もあ り、加 えて生 徒指 導 とは、 中学や 高校 の生徒 手 帳 に記載 され て い る校 則 や 規則 を力 で遵 守 させ る管 理 主義 的指 導 で あ る と認 識 され て きて い る。
学校 教 育 の現 場 で は 、続 発 す る不 登校 、 い じめ、 自殺 、非行 な どの指 導 をめ ぐって 、管理 主義 的 な抑 えつ けの色 彩 の濃 い生 徒 指 導 と、生徒 を内面 的 に理 解 し、生徒 の 自己指 導 力 を育成 しよ う
とす る本 来 の生徒 指 導 が対 立す る こ とも少 な くない。 管 理 主義 的 な生徒 指 導 をい か に克 服 す るか が大 きな課 題 とな って い るが 、 この課題 は生徒 指 導 の あ るべ き姿 を明 らか にす る こ とに よつて の み解 決 で き る もの で あ る。
今 回及 び次 回 は、生 徒 指 導 の基 本 的諸 問題 につ い て改 めて見つ め直 し、生 徒理解 はい か に あ る
べ きか、豊 か な人格形成 を どの よ うに して実現す るか な ど、生徒指導 の本 来 の意義 と方 法 を考 え
38
てみ た い
鋤 崎 勝 也
生徒指導 をめ ぐる現状
1学枚 にお け る生 徒指 導 上 の 問題 は 、 多岐 にわ た って い る。
各 学校 段 階 に生 起 す る問題 は様 々 だ が 、遅刻 や 早 退 、授 業 中の学 習 態 度 、基本 的 な生活 習慣 、 服 装・ 頭 髪 や 携 行 品 、学級
(ホー ムル ー ム )内 で の係 や 委 員 と して の役 害
Jの遂 行 、人 間 関係 の葛 藤 な どにか か わ る問題 は広 く見 られ る ところで あ る。
こ うした 日常 的 な生徒指 導 上 の 問題 は も とよ り、学級 が うま く機 能 しない状 況 、不登校 や 中途 退 学 、い じめや 暴 力行 為 な ども依 然 と して深 刻 な状 況 で あ り、未 成 年 者 の喫煙・飲 酒 等 の 問題 や 、 学校 外 にお け る少 年 非 行 の多様 化 も広 く見 られ る ところで あ る。 また 、発 達 障 害 、児 童虐 待 や 犯 罪 被 害 の増加 な ど、新 た な課 題 も生 まれ て きて い る。
高度 情 報 化 や 都 市化 の進 展 、少 子化 の進 行 な ど社 会 が急 速 に変化 す る中で 、児 童 生徒 の成 長 ・ 発 達 にか か わ る課題 も生 まれ て きて い る。 例 えば、現 在 の生徒 指 導 は、イ ンターネ ッ トや テ レ ビ
ゲー ム、携 帯 電話 な どに象 徴 され る よ うな高度 情 報化 の 中で の青少 年 の育 ちや 生 き方 の課題 と し て と らえ る こ とも必 要 に な って きて い る。性 の逸 脱 行 動 や 出会 い系 サ イ トに絡 む事件 、薬 物 乱用 の 問題 な ども顕在 化 して きて い る。
さ らに、 これ ま で 問題 行 動 や 非行 歴 の ない少 年 が突 然 重 大 な犯 罪 行 為 を犯 す な ど、新 た な状 況 も生 まれ て い る。 ま た 、非 行 に走 った少 年 の処遇 後 の立 ち直 りに学校 が か か わ る こ とも増 え る と ともに、児 童 生徒 が置 かれ て い る環 境 に働 きか け るな ど、多様 な援 助 の下 で 、 問題 行 動 の対応 を 図 る取組 も進 め られ て い る。 ま さに、生徒 指 導 上 の 問題 につ い て 、様 々 な 内容 とい ろい ろな レベ ル を想 定す る こ とが今 日で は必 要 にな って きて い る。
他 方 、児 童 生徒 の安 全 や命 を脅 か され る事件 が 多発 してお り、児 童 生徒 を取 り巻 く様 々 な社 会 的 リス ク
(危険 )に 目を向 けな が ら、学校 の生徒 指 導 の在 り方 を考 えて い くこ とが今 日求 め られ て い る。 この よ うに生徒 指 導 を め ぐる状 況 は、時代 と ともに変化 して きてい る。
(表1参 照
)表
1戦 後 の 問題 行 動 等 の推 移 や 背 景 とそ の対応
年
度
問題 行 動 等 の動 向 文部 科 学省
(文部省 )等 の対応 社 会 状 況 等
日召不口20
(1945) 21 22 23
24
25 26 27 28高校進 学 率 43%超
少 年 非行 第 1の ピー ク
教 育基 本 法 、新 少 年 法制 定 児童 懲 戒 権 の 限界
(法)体罰 禁 上 の教 師 心得
(法)浮 浪児 問題
新 少 年 法 制 定 冷 戦 時代
テ レ ビ開 局
29 日召不日30 (1955) 31 32 33 34 35 36 37 38 39 日召不日
40
(1965)41
42 43
44
45
46
47
48 49
日召不日50 (1975)
51 52
53
54
5556
少 年 の 自殺 増加
高校進 学 率 52%超
カ ミナ リ族 刃物 事 件 多発
高校進 学 率 60%超
生 徒 に よる非行 増加 少 年 非行 第 2の ピー ク 期 待 され る人 間像
高校進 学 率 70%超
家 出少 年 増加・登校 拒 否
(50日以 上
)1万6000人 超 シ ンナ ー 乱用増加
学 生紛 争 、 高校 生 の反 体 制 暴 走拡 大
少 年 非行 低 年 齢 化
高校 進 学 率 80%超
性 の逸 脱 行 動 、 シ ンナ ー 乱 用 少 年 補 導 増加
高校 進 学 率 90%超
遊 び型 非行 、暴 走族 、対 教 師暴 力 増加
初発 型 非行 の増加 落 ち こばれ 問題
ぐ犯 少 年 増加
校 内暴 力頻 発 登校 拒 否 増加 傾 向
生 徒指導論 Ⅱ
暴 力行 為 根 絶 の通 知
(文)生徒 指 導 の手 び き
(生徒 指 導 資料 第 1集 )発 行
登校 拒 否
(50日以 上 )調 査 開始
学級 担任 の教 師 に よ る生徒 指 導 資 料
中学校 にお け るカ ウンセ リン グの 進 め方 に 関す る資料
生徒 指 導 主事 制 度 化 。生徒 指 導 の 推 進 体制 の諸 問題 に関す る資料
問題 行 動 を もつ 生 徒 の指 導 に関す る資料
生 徒 の 問題 行 動 に関す る基礎 資料
生 徒指 導 の手 引改訂
家庭 内暴力増加
39
高度成 長 都 市人 口集 中
所 得倍 増
東 京 オ リン ピ ック 過 密 、過 疎
中流意識・核 家族
大 阪万博 0三 無 主義
石 油 シ ョック
ロ ッキー ド事件
40
57
58 59
日召不口60 (1985)
61
62 63 平 成 元 (1998)
2
3
4
8 9
平 成 10 (1998) 11
12
13
14
15
5 6 7
登校 拒 否 2万 人超 、生 徒 間
暴 力増 大
少 年 非行 第 3の ピー ク い じめ事 件増加 、登校 拒 否
3万 人超 い じめ事 件 増加
い じめ に よ る 自殺 増加
薬 物 乱 用 増加 登校 拒 否 4万 人超
ダイ ヤル
Q2問題
高校 生 非 行 増加 ・ 登校 拒 否
(30日以 上
)6万6000入 超
い じめ事件 、 自殺 増加
登校 拒 否 8万 人超
少 年 非行 の 凶悪 0粗 暴化 不 登校 10万 人超
中学 生 等 に よる殺 傷 事 件 多 発
学級 崩 壊 の論議
・ 不登校 13万 人超 17歳 の犯 罪
・ 児童虐 待 の問題 ひ き こ も り問題
0安 全確 保 ・管 理 の 問題 出会 い系 サ イ ト等 の 問題 ・ 不 登校 児 童 生徒 数減 少 少 年 の重 大事件発 生
鋤 崎 勝 也
校 内暴 力 、 高校 中退調 査 開始 小学校 生 徒 指 導 資料
出席 停 止 等 措 置 の通 知
い じめ問題 通 知 、調 査 開始
生活 体験 や 人 間 関係 を豊 か な もの とす る生 徒 指 導 資料
校 則 見 直 し
学校 にお け る教 育相 談 の考 え方
0進 め方 に 関す る資 料
登校 拒 否
(30日以 上 )調 査 開始
適 応 指 導 教 室 等 設 置
い じめ問題 通 知 、 ア ピール
ス クール カ ウンセ ラー活 用調 査研 究委 託 事 業 開始
い じめ問題 へ の総合 的取組
問題 行 動 等 報 告 書 ・ 暴 力行 為 不登校 調 査 見 直 し
学級 経 営 の充 実 に関す る調 査研 究 報 告 書
学校 教 育 法 改 正 0問 題 行 動 等 に 関 す る報 告 書
地 域 支 援 シ ステ ム報 告 書 ・ 不 登校 問題 調 査 会議
不 登校 報 告 書 0生 徒 指 導 資料 第 1 集
(国研 )発 行
横 浜浮浪者殺傷事件
臨時教育審議会
バ ブル経 済
ベ ル リンの壁 崩壊
残 虐 ビデ オ等
バ ブル 崩壊
学校 週 5日 制
(月 1回
)児童 の権 利 条約批 准 阪神 淡 路 大震 災
神 戸少年 事件
中教審 「′ いの教育」
ケー タイ普 及 倒 産
同時テ ロ 少 年 法 改正 完 全 学校 週 5日 制
イ ラク戦争
小 学 生 に よ る事 件 多発 ・ ニ ー ト問題
中学 生 、高校 生 に よ る重 大 事 件 多発
い じめ を苦 に した 自殺
不 登校 増加 ・イ ン ター ネ ッ トを介 した い じめ
生徒指導論 Ⅱ
問題 行 動 対 策 重 点 プ ロ グ ラ ム
新 問題 行 動 対 策 重 点 プ ロ グ ラ ム
イ ン ド洋 大 津 波
愛 知 万博 災 害 多発
福 岡飲 酒 運 転 事 故 死
少 年 法 改 正
18平 成 19 (2007)
教育基本 法改正・懲戒・ 体罰 に関 す る考 え方 のま とめ
教育相談 の充実 に関す る と りま と め ・教育三法改正
(注
)本 表 は、 『 生徒 指導 資 料 第 1集 』
(国立教 育政 策研 究所 生 徒指 導研 究 セ ンター /2003年
(平成 15作 成 )の 記 載 資 料 を基 に作 成 した もの で あ る。
又 、現在 、学校 で は一 体 どの よ うな生 徒指 導 上 の課 題 に直 面 して い るの だ ろ うか。 ノ
lヽ・ 中・ 高 等 学校 とい つた学校 段 階 の違 いや 、各 学校 の規模 ・ 立地 条件 等 の違 い とい った もの に起 因 した課 題 か ら、 Aさ んへ の い じめ、 Bさ ん の不 登校 、発 達 障 害 の あ る Cさ んへ の対応 、 Dさ ん の保 護 者 か らの苦情 な ど個 別 的 な課 題 ま で さま ざま な対応 が考 え られ る。 さ らに、生徒 に よ る重 大事 件 や 児 童 生 徒 の安 全 や命 を脅 かす 事件 の発 生 な どは稀 で は あ る もの の 、 いや が うえに も学校 の危機 管 理 体制 を高 め る必 要性 を もた らす な ど、現 実 的課題 に加 え、想 定 上 の課題 まで実 に幅広 い取 り組 み が求 め られ て い る。
生徒 指 導 は、 そ の 内容 か ら見れ ば、児 童 生徒 の人 格 の育成 を 目指 す発 達 的 な生徒 指 導 、現 実 の 問題 等 に対 して適 応 した り回避 した りす るた めの予 防 的 な生徒 指 導 、 さ らに問題 行 動 等 に対 す る 規 制 的 あ るい は対症 療 法 的 な生 徒 指 導 とい った多 面 的 な性 格 を もつて い る。 もち ろん 、学校 段 階 や 児童 生 徒 の発 達 段 階 に よ り、 そ の 内容 や程 度 の差 は あ るが、 どの学校 段 階 にお い て も、 そ うし た広 い視 野 に立 った生徒 指 導 の推 進 が求 め られ て い る。
ところで 、生徒 指 導 上 の 問題 が多様 化 して い る こ とは 、児童 生徒 の成 長 を取 り巻 く環境 や 彼 ら 自身 が抱 えて い る課題 が 、複 雑 化 0多 様 化 して い る こ と と関係 して い る。 児 童 生 徒 は、個 々人 の 持 つ生得 的 な要 因 と、家 庭 ・ 地域 ・ 学校 。社 会 等 の環 境 的 な要 因 な どが相 互 に複 雑 に作 用 しな が
ら、成 長 して い くもので あ る。
特 に、児 童 生徒 が 内面 に ス トレス を抱 え込 みや す く、 なお かつ そ の ス トレス に適 切 に対 処 で き て い な い よ うな場 合 には 、周 囲 の大 人 た ちが特 に注 意 を払 つて 、 当該児童 生 徒 を適 切 に指 導 及 び 支 援 して い か な けれ ばな らな い。
1
児 童 生徒 の規 範意 識 の低 下 に つ いて
2相 手 を 自殺 に まで追 い込 む 、歯 止 め の きか ない児 童 生 徒 の深 刻 ない じめや 、十 代 の少 年 少 女 に よる肉親 殺 害 とい った 凶悪 事 件 な ど、衝 撃 的 でセ ンセ ー シ ョナル な 問題 が後 を絶 た ない。 また 、 そ の よ うな極 めて突発 的 と思 われ る出来 事 だ けで な く、児童 生 徒 の学校 内外 の 日常生活 で よ く見 られ るル ー ルや マ ナ ー を軽 視 ・ 無 視 した か の よ うな行 動 ぶ りは 、 問題 行 動 等 を抑 制 す る要 因 の一 つ で あ る規範 意識 の低 下 が一般 の児童 生徒 に も内在 化 され つつ あ る こ とを物語 つて い る。
NPO法
人全 国万 引犯 罪 防止機 構 の調 査 に よ る と、 「万 引 につ いて あなた の友達 は どの よ うに考
えて い る と思 い ます か」とい う問 い に対 して は 、 「絶 対 にや つて はい けない こ と」と答 えた害
J合が 、
鋤 崎 勝 也
自身 は ど う考 え るか の場 合 と比較 して いず れ の学校 段 階 で も低 くな って い る。 3ま た 、高校 生 に な る と 3割 を超 え る生徒 が周 囲 の万 引 に対 す る犯 罪 意 識 の薄 れ を感 じて い る。 刑 法 に規 定 され た 問 題 行 動 です らこの よ うな実 態 だ か ら、 マ ナ ーや モ ラル 等 に支 え られ る社 会 的行 為 に至 って は価 値 観 の多様 化 や 人 間 関係 の希 薄 化 か進 む 中で 、大 きな揺 らぎが生 じて い る こ とが容 易 に推 測 で き る。
2
生徒 指 導 体 制 の再 構 築 に つ いて
2表
2「新 0児 童 生徒 の問題 行 動 対 策 重 点 プ ログ ラム」
(中
間 ま とめ )抜 粋
【 生徒指導体制 に関す る主なポイ ン ト】
○ 学校 で安心 して学習 出来 る環境作 りの一層 の推進
① 複数 の視点か ら子供 の変化 に対応 できる教育相談体 制 の確 立
② 生徒指導体制の強化
ア 「ゼ ロ・ トレランス」
(毅然 とした対応 )方 式の よ うな取 り組みの調査・研究
イ 生徒指導主事の コーデ ィネー ター機能の強化 を、
通 じた、学校一体化 した指導体制の構築 ウ 外部人材 の活用等、家庭 0地 域 との連携強化 工 小学校 か らの生徒指導体制の強化
これ まで 中央 教育審議 会 の答 申 や 各種 の報 告 書 にお い て も、児 童 生徒 の規範 意 識 の低 下 が指 摘 され てお り、例 えば、重 大 な 問題 行 動 が相 次 い だ こ とか ら 「新 ・児 童 生 徒 の 問題 行 動 対 策 重 点 プ ログ ラム
(中間 ま とめ
)」(2005年
(平成 17)、
表 2参 照 )が ま とめ られ 、「学校 内 規律 の維 持 とこれ を通 じた児 童 生 徒 の規範 意 識 の醸成 とい う観 点 か ら、生徒 指 導 の在 り方 を見 直 して い くこ と」 が指 摘 され て い る。 ま た 、 2006年 5月
(平成 18)の 国立 教 育政 策研 究所 生徒 指 導研 究 セ ン ターの『 生徒指導体制の在 り方についての調査研究』報告書の冒頭では、規範意識の醸成のため には、個々の子 どもの発達段階に個人差があることに配慮 しなが ら「全ての教職員が、指導にか ぶれ ることな く、 『 当た り前にや るべきこと』を『 当た り前のこと』として徹底 して実施す る」必 要があるとしている。
なお 、 同報 告 書 の調 査 で は、高等 学校 に関 して 「教職 員 の指導 内容 に幅 が あ る
(共通理 解 が不 十 分 で あ る )と 思 われ る事 項 は何 か」 とい う質 問
(複数 回答 )に 対 して 「服 装
(62。3%)」 「茶 髪 ・
ピア ス・化粧 な ど (53.7%)」 か ら 「飲 酒 ・ 喫煙 (2.3%)」 「い じめ
(5。2%)」 まで と大 きな 開 き が見 られ 、指 導 項 目に よって は教職 員 間 の共通理解 や 共 通 実践 が 図 られ て い ない実態 が うか が え る。
また 、 2006年
12月 (平成 18)に 教 育 基本 法 が改 正 され 、第 6条 にお い て 、学校 教 育 の実施 に 当 た って は 「教 育 を受 け る者 が 、学校 生活 を営 む 上 で必 要 な規律 を重 んず る」 こ とを重視 しな けれ ば な らな い と され 、 2007年
(平成 19)の 学校 教 育 法 の改 正 で も、第 21条 にお い て規 範 意識 をは ぐ
くむ こ とな どが義 務 教 育 の 目標 と して掲 げ られ て い る。 そ の た め、生徒 指 導 を推進 して い くた め に は、何 よ り児 童 生徒 の人 権 を尊 重 し、個別 的理 解 を重視 す る こ とを前提 と しなが ら、生徒 指 導 の体制や 運 営方針 の見 直 し等 にお い て 、組 織 マネ ジ メ ン トの観 点 を積 極 的 に取 り入 れ る こ とが重 要 にな って きて い る。
3
児 童 生徒 理 解 の 重 要性 に つ いて
2生 徒指 導 は 、学 習 指 導 要領
(総則 )に 記 され て い る こ とか ら分 か る よ うに、す べ て の教 育活 動
に付 随す る教 育機 能 で あ り、 そ の 時 々 の必 要性 に応 じて生徒 指導 の重 点 を指 導 、助 言 、相 談 等 に
生徒指導論 Ⅱ 43
変化 させ る必 要 が あ る。 しか し、学校 で は、 い じめ、暴 力行 為 、不 登校 な ど依 然 と して深 刻 な状 況 に あ る上 に、新 た に携 帯電 話 等 を介 したイ ン ター ネ ッ ト上 の問題 行 動 へ の対応 な ど、学校 は間 題 行 動 の事 後 指 導 に追 われ が ちで あ る。 この よ うな 中、 問題 行 動 の再発 防止 や 未然 防止 に役 立 て るた めに、一 人 ひ と りの児 童 生 徒理 解 を深 め るた めの 、福祉 0医 療 面 の視 点 も加 えた教 育相 談 の 充 実 が求 め られ て い る。
教 育相 談 は、生 徒指 導 を機 能 させ る前提 で あ る教 師 と児 童 生徒 との信 頼 関係 を築 く重 要 な場 面 で あ り、不 登校 や い じめ等 のサ イ ンを察 知 す る機 会 で もあ る。「教 育相 談等 に関す る調 査研 究協 力 者 会議 報 告 書 」 (2007年
(平成 19))で は、近年 の諸 状 況 を考 慮 した上 で 、児 童 生徒 が安 心 して 、 生 き生 き と した学校 生活 が送 れ る よ う提 言 して い る。
Ⅲ
これか らの生徒指導
*
生徒 指 導 と法律
各 国 の 国 内法 は憲 法 を頂 点 と して整備 され てお り 「教 育 」 につ い て も例 外 で はない。 した が っ て法 的 に教 育 を理解 してい く場合 に は憲 法 第 26条 を頂 点 に位 置 づ け る こ とに な る。 第 26条 で は、
第 一項 、第 二項 とも共 通 に 「法 律 の定 め る ところに よ り、」 と表 現 してお り、教 育 に関す る具体 的 事 項 につ い て は、教 育基 本 法 、学校 教 育 法
(「学校 法 」と略 )そ の他 の教 育 関係 法 に委 ね らて い る。
制 定 され た教 育 関係 法 が、 も し憲 法 と内容 的 に明 らか な不整 合 が あ る こ とが判 明 した場合 に は、
憲 法 第 98条 第 一 項 の規 定 に基 づ い て運 用 され る こ とに な る。
教 育 関係 の法律 の うち、最 も根 本 的 な規 範 と して位 置 づ け られ るのが教 育基本 法 で あ る。 基本 法 の 旧法 は、 1947年
(昭和 22)3月
31日に公布 され 、即 日施 行 され て以 来 、 ほぼ 60年 近 く改正 さ れ る こ とが な か った が 、 2006年
(平成 18)12月 の通 常 国会 にお い て 、 旧法 の全 部 を改正す る法案 が可決 され た
(12月22日公 布 法律 第 120号
)。形 式 的 に は全 部 改正
(一部 改正 に対 す る概 念 )と され て い るが 、 内容 的 に は、 旧法 の前 文 を始 め、本 貝
J第1第 〜 H条 の趣 旨を生 か しつ つ 、新 た に必 要 な事項や視 点 を追加 した もの とな って い る。
1
生徒 指 導 の法律 問題
生徒 指 導 は、本 来教 育 の問題 で あ つて法 律 の 問題 で は ない。しか し、近年 の生徒 の問題 行 動 は、
単 に従 来 の ガイ ダ ンスや カ ウンセ リン グな どを 中心 とす る生 徒理 解 型 の生徒 指 導 を強化 す るだ け で は十分 に処理 しきれ ない状 況 に あ り、好 む と好 ま ざる とにかか わ らず 、 しだ い に法律 とのか か わ りを避 けて は通れ な くな って きて い る。
そ の意 味 で 、教員 に は生 徒 指 導 に 関係 す る生 きた実 践 的 な法律 の知識 を身 につ け る こ とが望 ま
れ る。 しか し、一 口に生徒 指 導 に 関係 す る法律 とい って も、生徒 の 問題 行 動 の種類 に応 じて 関係
す る法律 も異 な って くる し、 多岐 にわ た るので 、 関連 法 令 の特色や 内容 を理解 した上 で 、そ の趣
旨を十 分踏 ま えて対応 す る必 要 が あ る。 特 に次 に示す もの につ い て は、十分理解 してお くこ とが
必 要 で あ る。
44 鋤 峙 勝 也
(1)生 徒 の懲 戒 処 分 と体 罰
1生徒 の懲 戒 処 分 と体罰 に 関 して 、学校 教 育 法 は 「校 長 及 び教 員 は 、教 育 上 必要 が あ る と認 め る ときは、監督 庁 の定 め る ところに よ り、学 生 、生徒 及 び 児童 に懲 戒 を加 え る こ とが で き る。 た だ し、体 罰 を加 え る こ とはで きな い」
(第H条 )と 定 めて い る。
この規 定 で生 徒指 導 上 と くに重 要 な こ とは、 まず 第 一 に懲 戒 の行使 を教 育 上 必要 と認 め る時 に のみ 限定 した こ とで あ る。 この こ とは、生徒 の懲 戒 は、大人 の刑 法犯 にお け る刑 罰 の よ うに、被 罰 者 に対 す る制裁 を主 目的 と して行 な われ るの で は な くて 、 あ くまで も教 育 的 な立場 か ら生 徒 の
「′ い身 の発 達 に応 ず る等教 育 上 必 要 な配 慮 」
(学教 法施 規 第 26条 1項 )の 下 に行 なわれ るべ き、一 種 の教 育罰 で な けれ ば な らな い こ とを意 味 して い る。 さ らに、懲 戒 処 分 の うち、生徒 の学 習権 の 剥 奪 を意 味す る停・ 退 学 処 分 に関 して は 、本 人 の意 思 、事 実 の調 査 、職 員会議 等 に よ る専 門的 な 協議 な ど、 い わ ゆ る 「適 正 手続 き」 を経 て処分 を行 な うこ とが必 要 で あ る。
また 、 当該 学校 にお け る生 徒 と して の身 分 を完 全 に剥 奪 す る退 学 処 分 に 関 して は、懲 戒 権 者 の 恣 意 的 。自由裁 量 的 な判 断 を避 け るた め、「学校 の秩 序 を乱 し、そ の他 学 生 又 は生徒 と して の本 分 に反 した者 」 な ど四つ の事 由以 外 に は退 学処 分 を行 な うこ とが で きない こ と と され て い る
(学教 法施 規 第 26条 3項
)。同様 に、懲 戒 処 分 で はない もの の 、義 務 教 育 諸 学校 にお け る出席 停 止 の措 置
(学教 法 第 35条
)も、学 習権 の 関係 か ら慎 重 な取 り扱 い が望 まれ る ところで あ る。
学校 教 育 の懲 戒 に 関す る規 定 の第 二 の重 要 な点 は、懲 戒 処 分 と して体罰 を禁 止 した こ とで あ る。
体罰 とは、懲 戒 の 内容 が身 体 的性 質 を有 す る もの で あ って 、被 罰 者 に 肉体 的苦痛 を与 え る よ うな 懲 戒 を指 して い る。な ぐる、け るの よ うな身 体 に対 す る直接 の侵 害 を内容 とす る もの は もち ろん 、 端座 、直 立 、居 残 りな ども疲 労 、空腹 そ の他 肉体 的苦痛 を与 え る よ うな懲 戒 は体罰 とみ な され る。
しか し、ひ と 口に 肉体 的 苦痛 とい って も、 それ は被 罰 者 の年 齢 、性 別 、健 康 状態 、場 所 的・ 時 間的条件 な ど種 々 の条件 に よつて異 な る もので あ り、 そ の行 為 が体罰 に相 当す るか否 か を機 械 的 に判 断 す る こ とはむ ず か しい。 この点 、「愛 の ムチ 」裁 判 と して話 題 とな った水 戸 五 中体罰 事 件 (1981年 )に お い て は、東 京 高等裁 判 所 は、身 体 的接 触
(スキ ンシ ップ )よ りもや や 強度 の外 的 刺激
(有形 力 の行使 )を 生 徒 に与 え る こ とは法律 上許 され る、 とい う判 断 を示 し、事 実 上 体罰 肯 定 とも とれ る判 決 を下 して い る。
(2)校 貝
Jの法 的性 質
い わ ゆ る校 則 とは、生徒 心得 、生徒 規則 な ど とも通称 され る よ うに、学校 の設 置 の認 可・届 け 出 の際 に添付 す る 「学則 」
(学校 教 育 法施 行 規貝 J3条 )と は異 な り、児 童 0生 徒 と して の生活 の指 針 とな る学 習 上 ・ 生 活 上 心得 るべ き事 項 を定 め、学校 と して の生 徒 指 導 の大 綱 とな る原 則 を示 し た学校 内規 の一 種 で あ る。ま た 、「中・高 等 学校 にお け る校 貝
J、生 徒 心得 等 は 、生徒 が充 実 した楽
しい学校 生活 を送 るた めの もの で あ る と ともに、 そ の学校 の教 育 目標 を達成 す るた めに必 要 な共 通 のル ール で な けれ ば な らな い。 した が って 、生 徒 が校 則 、生 徒 心得 等 を 自分 の もの と して と ら え、 自主 的 ・ 自律 的 に学校 生 活 を送 る態 度 を育 て る とい う観 点 か らの指 導 に努 め る必 要 が あ る」
5と され る意 義 を有 す る もの で あ る。
こ うした校 則 につ い て は 、そ の法 的性 質 をめ ぐって 問題 が あ つた の も事 実 で あ る。 す なわ ち、
学校 に は校 貝
Jを制 定す る権 限 が あ るの か とい う問題 で あ る。 この点 につ い て 、従 来 、国 。公 立 学
校 にお い て は特 別 権 力 関係 論 に よ る営 造 物 の包 括 的 な管理 権 の一 つ と して 、私 立学校 の場合 は在
学 契約 説 に基 づ く在 学 関係 を根 拠 に して説 明 され て きた が 、今 日で は 「自律 的 な法規範 を有す る 特殊 な部 分 社 会 」 6と い う部 分 社 会 論 を基 に論 じられ て い る。 そ こで は、学校 は 国、公 、私 立 を問 わず 、そ の設 置 目的 を達成 す るた め に必 要 な事 項 につ い て は、法令 に格 別 の規 定 が ない場 合 で も、
校 則 等 に よ りこれ を規 定 し、実施 す る こ との で き る 自律 的・包 括 的 な機 能 を有す る とい うもので あ る。 した が つて 、学校
(校長 )は 、「教 育 目的 を達 成 す るた め に必 要 かつ 合 理 的 な範 囲 内」にお い て校 貝
Jを制 定 し、児 童・ 生 徒 の行 動 等 に一 定 の指 針 を示 した り制 限 を課 す こ ともで き る と解 さ れ て い る。
なお 、「児 童 の権利 に関す る条約 」12条 にお け る児童・生徒 の意 見表 明権 と校 則 との 関係 につ い て は、行 政 解 釈 で はそ の対 象 とは な らず 、学校 の判 断 と責任 にお いて制 定等 が行 われ る もの で あ る とされ て い る。 た だ し、学校 にお い て は、生 徒 等 の意 見や考 え を十 分把 握 し、必 要 に応 じて 、 生 徒 会 等 で生徒 に 自 らの課 題 と して討 議 す る場 を設 け るな どの工夫 を行 うこ とは指 導 上 の一 つ の 方 法 と して考 慮 され るべ き課題 だ とい え る。
いず れ に しろ、生 徒規則 の 内容 には生 徒 の権利 や 自由 を制 限す る ものが多 い だ けに、そ の取 り 扱 い と運 用 に は十 分 な配慮 が求 め られ る。 基本 的 に は、児 童・ 生徒 は憲 法 上保 障 され た権利 を学 校 の 内 0外 の 区別 な く享 有 して い るので あ る。
ア メ リカ で は、 1969年 に連 邦最 高裁 判 所 が表 現 や 言 論 の 自由な ど憲 法 上保 障 され た生徒 の権利 を学校 内 にお い て も認 め る とい う画期 的判 断 を下 して以 来 、規則 や 法律 に よる強制 的 な生徒 管理 は生徒 の権利 と義 務
(責任 )と い う観 点 か ら大 幅 な見 直 しを余儀 な くされ る よ うにな って きて い る。 わ が 国 にお い て も、 こ うした点 へ の配 慮 が今 後 ます ます 求 め られ るで あ ろ う。 それ ゆ え、学 校 内で の生徒 の権利 や 自由の制 限 に は、十 分 な合 理 性 と妥 当性 が 必要 とされ る。往 々 に して、多 くの学校 の生徒 規則 に は、そ うした合 理 性 や 妥 当性 を著 しく欠 く項 目が含 まれ てい る もので あ る。
規 貝
Jのた めの規則 、 単 な る管 理 と規 制 の た めの規貝
J、慣 習 に基 づ くだ けの規則 、 そ うい つた批 判 が 聞 かれ るの は、 ま さにそれ が合 理性 や 妥 当性 を欠 いて い るか らに他 な らないか らで あ ろ う。 そ の意 味 で 、学校 の生徒 規則
(校則 )を 生徒 の権利 と義 務
(責任 )と い う観 点 か ら、そ の 内容 お よ び運 用 の両 面 につ い て検討 し直す こ とは生徒 指 導 の上 か らも重 要 とい え るで あ ろ う。
7(3)性 行 不 良 に よ る出席 停 止 措 置
8公 立 の小 学校 お よび 中学校 にお け る出席 停 止 に関 して は、従 来 か ら学校 教 育 法 35条 (49条 )に
基 づ い て 「市 町村 の教 育委 員会 は、
(中略 )性 行 不 良 で あ って他 の児 童
(生徒 )の 教 育 に妨 げ が あ る と認 め る児 童
(生徒 )が あ る ときは、 そ の保 護 者 に対 して 、児 童
(生徒 )の 出席 停 止 を命 ず る こ とが で き る」 旨が規 定 され て い た。 この制 度 は、本 人 に対 す る懲 戒 とい う観 点 か らで はな く、
学校 の秩 序 を維 持 し、他 の児 童 0生 徒 の義務 教 育 を受 け る権 利 を保 障す る とい う観 点 か ら設 け ら れ た制 度 で あ る。この 出席 停 止 に 関す る法 規 定 が 2001年
(平成 13)に 改正 され 、① 要件 の 明確 化 、
② 手続 きに 関す る規 定 の整 備 、③ 出席 停 止期 間 中の学 習 支援 等 の措 置 を講 ず る こ とを内容 とす る 制 度 改 善 が 図 られ 、本 制 度 の一層 の適 切 な運 用 が な され る こ とに な った。
まず 、出席 停 止 の要件 につ い て は、「性 行 不 良」で あ る こ とと 「他 の児童
(生徒 )の 教 育 に妨 げ が あ る」 と認 め られ る こ と とい う 2つ の要件 か らな る とい う点 は従 来 と同様 で あ るが 、法 改 正 で は、法律 上 の要件 を明確 化 す る観 点 か ら、「性 行 不 良」に関 して 4つ の行 為類 型
(対生 徒 暴 力 、対 教 師暴 力 、器 物 損壊 、授 業 妨 害 等 )を それ ぞれ 各 号 に掲 げ、 それ らを 「 1又 は 2以 上 を繰 り返 し
行 う」 こ とを例 示 と して規 定 して い る
(35条1項
)。また 、出席 停 止 を命 ず る事 前 の手続 きにつ い
鋤 崎 勝 也
て は、「保 護 者 の意 見 を聴 取 す る と ともに、理 由及 び期 間 を記載 した文書 を交付 しな けれ ばな らな い」 こ との ほか 「出席 停止 の命 令 の手続 に関 し必 要 な事 項 は、教 育委 員会 規則 で定 め る もの とす る」 と規 定 され る こ とにな った
(同条 2項 、 3項
)。出席 停止 は 、児童・ 生 徒 の教 育 を受 け る権利 に かか わ る措 置 で あ る こ とか ら、慎 重 な手続 きを踏 む こ とを求 めた もので あ る。
さ らに、「市 町村 の教 育 委 員 会 は、出席 停 止 の命 令 に係 る児童 の 出席 停 止 の期 間 にお け る学 習 に 対 す る支 援 そ の他 の教 育 上 必 要 な措 置 を講 ず る もの とす る」と規 定 され
(同条 4項
)、市 町村 教 育 委 員 会 は 出席 停 止 を措 置す る場 合 、 自 らの責任 の 下 、学校 の協 力 を得 なが ら、 当該 児 童・ 生徒 に 関す る個 別 指 導 計 画 を策 定 し、 出席 停 止 期 間 中 に学校 あ るい は学校 外 にお け る指 導 体 制 を整 備 し て 、 当該 児 童 ・ 生徒 の立 ち直 りに努 め る こ とが必 要 だ と され て い る。 学校 と して も、教 育委 員 会
と協力 しな が ら、学級 担任 、生徒指 導 主事等 の教員 が計 画 的 かつ 臨機 に家庭 訪 間 を行 い 、指 導 を 行 うとい った学 習 支 援 に向 けた対 応 が求 め られ る こ とに な る。
(4)い じめ と学校 の安 全確 保 義務
9い じめ は 1975年
(昭和 50)代 末 か ら1985年
(昭和 60)代 にか けて 、 い じめ 自殺 が相 次 ぎ大 きな 社 会 問題 に な った が 、 1994年
(平成
6)末か ら再 び 問題 化 し、 い じめ 自殺 が続 き、 い じめ問題 第 二 の ピー ク と呼 ばれ た。 た だ し、 1996年
(平成
8)度か らはやや 減 少傾 向 に あ り、 2002年
(平成 14)度 は 22,205件 に と どま った。 もつ ともい じめ はわ が 国 固有 の 問題 で はな く、世 界 各 国 で大 き な 問題 に な ってお り、本 来 人 間 に共 通 す る病 理 と して と らえ る こ とが で き る。 そ の意 味 で はい わ ゆ るい じめの 「根 絶 」 は極 めて 困難 で あ るが、 そ のエ ス カ レー トを未 然 に防 ぐこ とは必 ず しも不 可能 で は ない。 む しろい じめ は どの学校 、 どの学級 に も存在 す る とい うつ も りで対応 す る必 要 が あ ろ う。
学校 はす べ て の児 童・生 徒 の教 育 を受 け る権利 を保 障す る こ とを使 命 とす る専 門的機 関で あ り、
そ の役 害
J使命 を果 た してい くた め に は 、前提 と して学校 にお け る教 育活 動 お よび これ と密 接 不 離 な生活 関係 にお い て 、児童 0生 徒 の生命 と身 体 等 の安 全 を保 持 0確 保 す る こ とにつ い て万全 を期 す べ き義 務
(安全確 保 義務 )を 負 って い る。 学校 の安 全確 保 義務 につ い て は、 直接 これ を規 定 し た法律 は な い が 、学校 教 育 法 37条 H項 の 「教諭 は、児 童 の教 育 をつ か さ どる」や 同条 4項 の 「校 長 は校 務 をつ か さ ど り、所 属職 員 を監督 す る」 等 々 との規 定 か ら、条理 上 の義務 を負 って い る と の解釈 が な され てい る。
い じめ は 、「身 体 に対す る物 理 的攻 撃 また は言 動 に よ る脅 し、嫌 が らせ 、仲 間 はずれ 、無視 等 の 心理 的圧 迫 」 の反 復 継 続 とい う特 徴 を持 ってい る と ともに、大部 分 は学校 ・ 学級 の人 間 関係 を基 盤 に発 生 して い る。 こ うした点 か ら、 い じめ は学校 の教 育活 動 ない しこれ に準ず る生活 関係 に密 接 に関連 し、 しか も児 童 ・ 生 徒 の学 習 と生活 を脅 かす もの で あ る とい う点 で 、学校 に課 され た安 全 確 保 義 務 の対 象 とな る問題 だ とい え る。 す な わ ち、学校 は児童 ・ 生徒 の安全 に配 慮す る義務 の 一 環 と して い じめか ら彼 らを守 る責任 が あ り、 い じめの発 生 に対 してそれ を防止 す る法 的義務 が あ る とい うこ とにな る。
実 際 、い じめ を原 因 とす る傷 害 事件 の裁 判 で は 、「
/Jヽ学校 の校 長 な い し教諭 が 、学校 教 育 の場 に
お いて児 童 の生命 ・ 身 体 等 の安 全 につ い て万全 を期 す べ き条理 上 の義務 を負 うこ とは、学校 教 育
法 そ の他 の教 育 法令 に照 ら して 明 らか で あ る」 と した うえで 、 と くに児童 の 日常的指 導 に 当た る
学級 担任 教 師 につ い て は、「児 童 の生命 。身体 等 の保 護 の た め、単 に一般 的 、抽 象 的 な注意 や 指 導
をす るだ けで は足 りな いの で あ って 、学校 にお け る教 育活 動及 び これ と密 接 不離 な生活 関係 に関
生 徒指導論 Ⅱ
す る限 りは 、児童 の一 人一 人 の性 格 や 素行 、学級 にお け る集 団 生 活 の状況 を 日頃 か ら綿 密 に観 察 し、特 に他 の児 童 に対 し危 害 を加 え るお それ の あ る児童 、他 の児童 か ら危 害 を加 え られ るお それ の あ る児童 につ いて は、そ の行 動 に きめ細 か な注意 を払 って、児 童 間 の事 故 に よ りそ の生命 、身 体 等 が害 され る とい う事態 の発 生 を未 然 に防止 す るた め、 万全 の措 置 を講 ず べ き義 務 を負 う」 と
され て い る。
10い じめ を防止 す るた めに、学校 が講 ず べ き措 置 で もつ とも基本 的 な こ とは、い じめの非 人 間性 や それ が他 の人 の人権 を侵 害 す る行 為 で あ り、絶 対 に許 され な い こ とで あ る とい う共通認 識 を全 校 的 に形 成 し、そ の共 通理 解 の も とで 問題 解 決 に取 り組 む 体 制 を確 立 して い くこ とで あ る。 そ の 際 、家庭 や 地域 との連 携 も重 要 な点 で あ る。
(5)不 登校 児 童 ・ 生徒 の進 級 ・ 卒 業認 定
わが 国 の義 務 教 育制 度 にお け る進 級 0卒 業認 定 の制 度 は、学校 教 育 法施 行 規則 58条 (79条 で 中 学校 に準用 )に 基 づ き、「
/Jヽ学校 にお い て 、各 学年 の課 程 の修 了又 は卒 業 を認 め るに 当って は、児 童 の平 素 の成 績 を評 価 して 、 これ を定 め な けれ ば な らな い」 とされ て い る。 つ ま り、学年 制 に よ る進級 が予 定 され てお り、 そ の積 み重 ね に よつて学校 の全 課 程 を修 了 、す なわ ち卒 業 の認 定 を行 うこ とに な って い る。 ここで い う「平 素 の成績 」 とは、「学 習 の成 績 」 と 「授 業 へ の 出席 状 況 」を 意 味 して い る。 これ らの状 況 が劣 悪 で あれ ば、小 学校 で も進 級 や 卒 業 が認 め られ ず 、原 級 留 置 と な る。 しか し、 これ らにつ い て規 定 した 国 レベ ル の法 規 はな く、機 械 的 、形 式 的 に判 断す る こ と は問題 が あ る。
た とえば、 1993年
(平成 5)に 神 戸 地裁 で 出 され た判 決 で は、「小 学校 の各 学年 の課 程 の修 了認 定 は、児 童 の平 素 の成績 を評 価 して行 う
(学校 教 育 法施 行 規 則 57条 )と され て い るが 、 そ の判 断 は、高度 に技術 的 な教 育 的判 断 で あ るか ら、学校 長 の裁 量 に委 ね られ てい る と解せ られ る。 そ し て 、そ の認 定 は、義務 教 育 で あ り、 かつ 心身 の発 達 に応 じた初等 普 通教 育 を施 す小 学校 に あ って は、単純 な学 業成 績 の評価 や 出席 日数 の多少 だ けで な く、児童本 人 の性 格 0資 質 0能 力・ 健 康 状 態 。生活 態 度 ・今 後 の発 展 性 を考 慮 した教 育 的配 慮 の 下 で総 合 的判 断 に よ り決 せ られ な けれ ばな らない J(1993年
(平成
5)8月 30日)と 判 示 して い る。認 定権者 で あ る校 長 が個 々 の事 例 の実 態 に応 じて 、教 育課 程 の履修 状 況 や 学 業成 績 、 出席 状 況等 を総合 的 に判 断評 価 す る こ とが必 要 で あ る。また 、 1992年
(平成 4)に 出 され た 「登校 拒 否 問題 へ の対応 につ い て」
(文部省 初 等 中等 教 育 局長 通 知 )で は、不 登校 児童 0生 徒 が学校 外 の施 設 にお い て相 談・ 指 導 を受 け る とき、 そ の こ と が学校 へ の復 帰 を前提 と し、当該 児 童・生徒 の 自立 を助 け る うえで適切 で あ る と見取 られ る こ と、
保 護 者 と学校 との 間 に十分 な連 携 ・ 協 力 関係 が保 たれ て い る こ と等 、一 定 の要件 の 下 に、校 長 は 指 導 要録 上 出席 扱 い とす る こ とが で き る こ とに な って い る。 不登校 児童 ・ 生徒 の進 級・ 卒 業 につ い て は、総 合 的 な判 断 が必 要 だ とい うこ とで あ る。
なお 、不 登校 が続 き卒業認 定 がむず か しい場 合 な どに は、 中学校 卒 業程 度認 定試 験 の活 用 が考 え られ る。 そ の試 験 は、 1997年
(平成 9)の 法 改正 に よ り
15歳か ら受 験 で き る よ うに な り、合 格 す れ ば高校 に進 学す る こ とが 可能 とな る。 学校 に不適 応 な児 童 ・ 生 徒 に もそれ ぞれ の状 況 に応 じ たふ さわ しい学 習 の場 を用意 す る とい う観 点 か らの取 り組 み が求 め られ る とい え よ う。
(6)児 童 の虐 待 防止 と発 見・通 告 義 務
H児童虐 待 防止 法
(「児童虐 待 の 防止 等 に 関す る法律 」
)2000年
(平成 12)5月
24日に公 布 さ
48 鋤 1晰
勝
也
れ 、 同年 H月
20日か ら施行 され て い る。 この背 景 に は 、児童虐 待 が重 大 な社 会 問題 と して認 識 さ れ る と ともに 、そ の深 亥
J化の度 合 い が高 ま って きた とい う事 情 が あ る。同法 1条 で は、「児 童虐 待 が児童 の心身 の成 長 及 び 人格 の形 成 に重 大 な影 響 を与 え る こ とにか ん がみ 、児 童 に対 す る虐 待 の 禁 止 、児童虐 待 の防止 に関す る国及 び 地 方公 共 団 体 の責 務 、児童 虐 待 を受 けた児 童 の保 護 の た め の措置 等 を定 め る こ とに よ り、児童虐 待 の防止 等 に関す る施 策 を促 進 す る こ と」 と して 、そ の 目 的 を規 定 して い る。
この法律 で 「児 童 」 とは、 18歳 に満 た な い者 をい い (2条
)、「児童虐 待 」 とは、保護 者
(親権 を行 う者 、未 成 年 後 見 人そ の他 の者 で児童 を現 に監護 す る もの をい う )が そ の監護 す る児 童 に対 して 、次 の
(1)〜 (4)のいず れ か に該 当す る行 為 の こ とをい う (2条 1号 〜 4号
)c「(1)児童 の身 体 に外傷 が生 じ、又 は生 じるお それ の あ る暴行 を加 え る こ と
(身体 的虐 待
)。 (2)児童 にわ いせ つ な 行 為 をす る こ と又 は児童 を して わ いせ つ な行 為 を させ る こ と
(性的虐 待
)。 (3)児童 の心身 の正 常 な発 達 を妨 げ る よ うな著 しい減 食又 は長 時 間 の放 置 そ の他 の保護 者 と して の監護 を著 しく怠 る こ と
(養育拒 否・ネ グ レク ト
)。 (4)児童 に著 しい心理 的外 傷 を与 え る言 動 を行 うこ と
(心理 的虐 待
)」。
こ うした児 童虐 待 防止 に 関連 して 、教 育 関係 者 に は児 童虐 待 の発 見 と通 告 に 関す る規 定 が設 け られ て い る。 す なわ ち、学校 の教職 員 、児童 福 祉 施 設 の職 員 、 医師 、保健 師 、弁護 士 そ の他 児 童 の福祉 に職 務 上 関係 あ る者 は、「児 童虐 待 を発 見 しや す い 立場 に あ る こ とを 自覚 し、児 童 虐 待 の早 期 発 見 に努 め な けれ ば な らない」 と早期 発 見 に 向 けた努 力 義 務 が求 め られ て い る点 で あ る
(同法
5条
)。また 、教職 員 が虐 待 を受 けた児 童 等 を発 見 した ときには、速 や か に、福 祉 事 務 所 また は児 童 相 談所 に通 告 しな けれ ば な らな い と され て い る
(同法 6条 1項
)。なお 、公 務 員 と して の教職 員 に は、法律 で職 務 上 知 り得 た秘密 を守 る義務 を課 され て い るが
(地方公 務 員 法34条 1項
)、児 童虐 待 を発 見 した場 合 の通 告義 務 は、守 秘 義 務 に優 先 す る こ と とな つて い る
(児童虐 待 防止 法 6条 2 項
)。こ うした通 告 義 務 優 先 主義 が と られ て い るの は、何 よ りも虐 待 被 害 を受 けてい る児 童 の救 済 を重視 して い る こ とに よる。 児 童虐 待 防止 に 向 けた学校 の取 り組 み につ い て は、法律 施 行 に 当た つて 出 され た通 知
(「児童虐 待 防止 等 に 関す る法律 の施 行 につ い て」 2000年
(平成 12)11月
20日、 文 生参 第 352号 )に お いて法律 の周 知 お よび 児童 虐 待 の早 期発 見・対応 、被 害 を受 けた児 童 の適 切 な保護 を求 めて い た が 、 さ らに 2004年
(平成 16)1月
30日には 「児 童虐 待 防止 に向 けた学校 にお け る適 切 な対応 につ い て
(通知
)」 (初見 生第 18号 )が 出 され 、そ の連 切 な対応 が求 め られ て い る。
また 、 2004年
(平成 16)4月 に は 「児 童虐 待 の防止 等 に 関す る法律 の一部 を改 正す る法律 」 が成 立 し、
10月か ら施 行 され て い る。 そ こで は、児 童虐 待 の 定義 の見 直 しや 児 童虐 待 にか か わ る通告 義 務 の拡 大 な どが盛 り込 まれ て い る。 更 に、 2007年
(平成 19)に も改正 され 、新 た に、児 童 相 談 所 に よ る立 ち入 りや 、児童 相 談 所 等 が児童虐 待 に 関す る情 報提 供 を求 めた場 合 に、地 方 公 共 団体 の期 間 は情 報 を提供 す る こ とが規 定 され た。
2
生徒 指 導 主事
生徒 指 導 主 事 は、 1975年 の学校 教 育 法施 行 規 則 の一 部 改正 に よる主任 制 の法 制化 に よ り、小規
模 学校 な どを除 く小 。中・ 高等 学校 お よび盲 ・ 聾 ・養 護 学校 の 中 0高 等 部 にそ の設 置 が義 務 づ げ
られ た もの で あ る。 従 来 か ら、生徒 指 導 主事 な い しそれ に相 当す る職 位 は、一 定 の規模 以 上 の多
くの学校 の 内部組 職 にみ られ た もの で あ る。 それ を あ えて制 度 化 した意 図 は生 徒指 導 の必 要性 が
強 く認 識 され て くるな か で 、教 育 活 動 の 円滑 かつ 効果 的 な展 開 と調 和 の とれ た学校 運 営 が行 なわ
れ る よ う校 務 分 掌 の仕 組 み を整 え る こ とに あ つた と され る。
また 、小 学校 にお い て は 、 必要 に応 じて置 くこ との で き る主任
(学教 法施 規 第 47条 )の 一つ と
して、今 日広 く全 国 的 に生 徒指 導 主事 の設 置 が 定 め られ て い る。なお 、生 徒 指 導 主 事 は一般 に 中・
高 等学校 にお い て用 い られ る呼称 で あ って 、 小学校 で は通 常生 徒指 導 主任 と呼 ばれ て い る。
生 徒指 導 主 事 の職 務 は、「校 長 の監 督 を受 け、生 徒指 導 に 関す る事 項 をつ か さ ど り、当該 事項 に つ いて連 絡調整 及 び指 導 、助 言 に 当た る」
(学教 法施 規 第 70条 の 4)と され て い る。 具 体 的 に は、
「学校 にお け る生 徒指 導計 画 の立案 。実施 、生 徒指 導 に関す る資料 の整備 、生 徒指 導等 に関す る 連 絡・助 言 等 」の事 項 をつ か さ ど り、当該 事 項 につ い て 、「教職 員 間」の連 絡 調 整 お よび 「関係 教 職 員 」 の指 導 ・助 言 に 当た る もの と され て い る (1976年
(昭和 51)文 部省 事 務 次 官 通 達
)。この点 、生 徒指 導 は本 来全 教職 員 が あ らゆ る機 会 を生 か して そ の任 に 当た る もの で あ り、各 学 校 にお い て も通 常生 徒 指 導 部 等 の校 務 分 掌組 織 をつ く り、全校 的 な指 導 体 制 で生徒 指 導 に臨 ん で い る。 そ のた め、生 徒指導 主事 には、実質 的 に全校 的 な指 導 体制 にお け る連 絡調整 者 と して 、 中 心 的 かつ総 括 的 な役 害
Jが期 待 され て い る とい え よ う。
さ らに、職 務 に 関連 して重 要 な こ とは 「
(生徒 指 導 主事 の )活 動 にお け る態 度 は、他 の教 師 と上 下 の 関係 に立つ ので は な く、組 織 の か な め と して 関係 の教 師 の協 力 を得 てそ の職 責 を果 た し、 ま た指 導・助 言 を行 な うとい う専 門職 と して の 自覚 を もつて行 動 す る こ と」
(文部省 、 1981 生徒 指 導 の手 引〈改訂 版 〉 p99)で あ って 、 い わ ゆ る 中間管理 職 と して の指 揮 監督 を行 な うもの で は な い
とい うこ とで あ る。
ともあれ 、 生徒 指 導 主事 が そ の役 割 と職 責 を十 分 に果 た し うるた め に は、 そ の制 度化 や 本 人 の 資 質 も さる こ となが ら、基 本 的 に は生徒 指 導 主 事 とい う 「専 門職 」 と して の 自覚 と職 務 に見合 う 専 門的 な研 修 が必 要 とされ よ う。 合 わせ て 、生 徒 指 導 にお い て は、生徒 指 導 主事 だ けが学校 内で 浮 き上 が った存 在 とな つた り、他 の教 員 が生 徒指 導 の任 務 か ら解 放 され た よ うな錯 覚 を起 こす こ
との ない よ う、校 長 をは じめ学校 の全 教職 員 が一 丸 とな って取 り組 む 姿勢 が望 まれ る。
(1)生 徒 指 導 主事 の役 割 と専 門性
12学校 にお け る生徒 指 導 は 、全 教職 員 の役 割 分 担 と協 力 に よつて行 われ るべ き もの で あ るが 、そ の 中心 的役 害
Jを担 うものが 、生徒 指 導 主事 で あ る。 生 徒 指 導 主事 につ い て は、学校 教 育 法施 行 規 貝
Jにお い て 中学校 、高等 学校 、 中等 教 育 学校 、盲・ 聾 ・養 護 学校 の高 等部 に は、学校 規模 が小 規 模 で あ る等 の特 別 の事 情 が あ る場 合 を除 き、生徒 指 導 に 関す る事 項 を担 当す る主任 と して生徒 指 導 主事 を置 くもの と して い る (70条 の 1、 他 準 用 規 定
)。また 、生 徒 指 導 主 事 は教諭 を もつて充 て られ る もの で あ り、 そ の役 害
Jは「校長 の監督 を受 け、
生 徒 指 導 に 関す る事 項 をつ か さ ど り、 当該 事 項 につ い て連 絡調 整 及 び指 導 、助 言 に 当た る」
(70条 の 4項 )こ と とされ て い る。
そ の具 体 的 な 内容 と して は、次 の よ うな事 項 が考 え られ る。
①
校 務 分 掌 上 の生 徒指 導 の組 織 の リー ダー と して 、学校 にお け る生 徒 指 導 を組 織 的 、計 画 的 に運 営 して い く責任 を もつ こ と。
②
学校 にお け る生 徒指 導 を計 画 的 かつ継 続 的 に運 営 す るた め、 分担 す る校 務 に 関す る全 校 の 教職 員 間 の連 絡調 整 に 当た る こ と。
③
学校 にお け る生 徒指 導 の専 門的 な知識 や 技 能 を必 要 とす る画 の担 当者 に な る と ともに、生
徒指 導 部 の構 成 員 や 学 級 担 任 ・ ホー ムル ー ム担 任 そ の他 関係 の教職 員 に対 して指 導 ・助 言 を
行 うこ と。
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鋤 崎 勝 也④
必要 に応 じて 、生徒 や 家 庭 、 関係 諸機 関 に直接働 きか け、 問題 解 決 に 当た る こ と。
こ うした生徒 指 導 主事 に期待 され る役 害
1を果 た して い くた め に は、他 の教職 員 の協 力 を得 る と ともに、生 徒 指 導 に 関す る専 門性 を発 揮 す る こ とが不 可欠 で あ る。 そ の た め に、生 徒指 導 主事 と して次 の よ うな資 質 を備 えて い る こ とが求 め られ る。
①
生 徒 指 導 の意 義 や課 題 を十 分理 解 し、教職 員 や 生徒 か ら信 頼 され る人 間性 を持 って い る こ と。
②
学校 教 育 の全 般 を見 渡 す 視 野 や 識 見 を持 ち、生 徒 指 導 に必 要 な知識 ・ 校 能 を身 に付 けて い る と ともに、 向上 を 目指 す 努 力 と研 讃 を怠 らない こ と。
③
生徒 指 導 上必 要 な資料 の提 示 や 情 報 の交換 に よって 、全 教職 員 の意識 を高 め、共通理 解 を 図 り、全 教職 員 が意欲 的 な取 り組 み に向か うよ うにす る指 導 力 を持 ってい る こ と。
④ 学校や地域 の実態 を理解 し、それ らに即 した指導計画 を立て、実際の指導 に当たって創意 工夫 を働 かせ 、 よ り優れ た展 開がで きること。
⑤ 生徒 を取 り巻 く社会環境 の変化や現代青年 の心理 を的確 に把握 し、それ を指導 に生か して い く態度 を持 っているこ と。
⑥ 現在 、生徒指導上の問題 を解決す るためには、保護者 、地域 、関係機 関等 との連携・協力 が不可欠 であることか ら、外部 との折衝や協力体制 を構築 してい く力 を持 ってい ること。
3 生徒指導の指導例
最近 、学校 の危機 管理 、特 に生徒指導 の危機 管理 が多 く議論 され るよ うになって きた。現実 に 様 々な教育 問題 が続発 してい るこ とに加 え、学校 の対応 に社会 の厳 しい 目が注がれ るよ うになっ て きた し、 これ に伴 う学校 0教 師 の危機 意識 の高 ま りが背景 にある。
かつ ては、「学校 の ことには 口出 ししない」雰 囲気 があったが、今 では、教育情報 の開示・公 開 請求や教 育 に関す る訴訟 の増加 に象徴 され るよ うに、そ うした 「聖域論」 は排 され 、教育課程 の 実施や教職員 の服務 0職 務 上 の問題 にまで関心が向け られ るよ うにな り社会 の厳 しい非難 の矢面 に立た され るこ とになった。今 、ま さに生徒指導 の危機 管理の重要性 が叫ばれ てい る理 由が ここ にある。
生徒指導 の講義 の中で、学校運営 のなかで起 きる さま ざまな危機 的な問題 を
(事例 )の かた ち に構成 し、そのなかに含 まれ てい る法規 にかか る
(問題 点 )を 取 り上 げ、
(事例 )に 即 した〈解説〉
を加 えるこ とに した。
(解説 )で は、「法規 の 目」に加 えて、「経営 の 目」、「教育の 目」に も配慮 し
て講義す る事 に してい る。
生徒指導論 Ⅱ
(1)指 導 例 1
九 州 ル ー テ ル 学 院 大 学 教 育 法 規 6
(平
成 19年 H月 8日 本曜 日 第 2限
)年 学科 氏 名
課 題
6危 な く廃 棄 され そ うに な った法 定 表 簿
年 度 末 の大掃 除 の こ とで あ る。 天 草 郡 の E高 校 の教 頭 で あ る A先 生 が 、何 の気 な しに廊 下 に 山の よ うに積 み 上 げ られ た古 い書類 を眺 めて い る と、 下 の方 に ど うも気 にな る文 書 つ づ りが あ つた。引 っ張 り出 してみ る と、 4、 5年 前 の生 徒 の 出席 簿 がひ とま とめ に な って 出て きた。「こ れ は まだ保 存 年 数 が終 わ って な いぞ」 と注意 し、 尚、心配 なので手分 け して書類 の 山 を探 って み る こ とに した。 そ の うち、 B教 諭 も倉 庫 か ら古 い和 綴 じの文 書 を持 ち出 して きた。 見 る と、
明治 の終 わ り頃 の毛筆 の履 歴 書 のつ づ りで あ る。「公 民科 の資料 にで も しよ うか」とい う話 な の で、 これ も A教 頭 が あわ て て止 め に入 つた。 履 歴 書 つ づ りは秘密 文 書 で 、永 久保 存 とい うこ と を以 前 聞 い た こ とが あ るか らだ。
実 は、 A教 頭 は、教務 主任 の 頃 、ふ と した手違 い で 、学校 に きた ス ポー ツ大会 の 出場 申 し込 み の処理 を誤 つて 、大会 に生徒 が参加 で きな か った経 験 が あ り、公 文 書 の取 り扱 い には神 経 質 にな って い た。
1.学 校 で取 り扱 う表 簿 に は どの よ うな もの が あ るか。
2。
表 簿 、公 文 書 の保 存 年 数 は 、 どの よ うに決 め られ て い るか。
3.学
校 にお け る文書 、公 文 書 の取扱 い は、 どの よ うな配慮 が必 要 か。
4。 秘 密 文 書 には どの よ うな もの が あ り、 そ の処理 に は どの よ うな配慮 が必要 か。
〃 ″″
【 1】 学校 で は、多数 の文 書 が作成 され 、保 管 され て い る。 又 、各種 の公 文 書 が発 送 され 、受 理 され て い る。 公 簿 と公 文 書 の管理 は学校 事務 の 中核 的 な もので あ る。
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学校 教 育法施 行 規 則 第 28条 ①
教職 員 関係
0・・・ 職 員名 簿 、履歴 書 、 出勤 簿 、担任 学級 、担任 の教科・ 科 目、時 間 表 、学校 医執務 記録 簿 、学校 歯科 医執務 記 録 簿 、学校 薬剤 師執務 記 録 簿
児童 ・ 生徒 関係 00日 課 票 、教 科 用 図書 配 当表 。 指 導 要録 。そ の写 し・ 抄 本 /健 康 診 断 に 関す る表 簿 、入 学者 の選 抜 に関す る表 簿 、成績 考査 に関す る 表 簿 、 出席 簿
庶 務 ・会 計 関係 ・ ・ 学校 に関係 あ る法令 、学則 、学校 日誌 、資産原 簿 、 出納 簿 、経 費 の予 算 ・決算 につ い て の表 簿 、往 復 文書 処理 簿年 ・機 械 ・器 具
0標 本模 型 な どの教 具 の 目録
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熊 本 県 立学校 管 理 規貝128条
永 久保 存 。・・
0・学校 沿革 史 、卒 業 証 書授 与 台帳 、公 文 書綴 り
5年 間保 存 ・・ 00職 員 の 出張命 令 簿 お よび復 命 書綴 り、諸願 い届 けな どの綴 り、 当 直命 令 簿 当直 日誌 、転 退 学者 名 簿 、学校 経 営案
視 察 簿 、諸会議 録
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