奈良教育大学学術リポジトリNEAR
幼児における全体的−分析的カテゴリー化様式に及 ぼす認知型の影響
著者 桜井 茂男, 桜井 登世子
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 43
号 1
ページ 225‑234
発行年 1994‑11‑25
その他のタイトル The Effects of Cognitive Style on Holistic and Analytic modes in Young Children
URL http://hdl.handle.net/10105/1676
奈良教育大学紀要 第43巻第1ぢ‑ (人文・社会) T成6年
Bull. NaraUniv. Educ., Vol.43. No,1 (Cult. &Soc. . 1994
幼児における全体的一分析的カテゴリー化様式に 及ぼす認知型の影響
;v I. し リ.I.
(奈良教育大学心理学教室)
桜 井 登世子 (桜井人間科学研究所) (平成6年4月26日受理)
カテゴリー化における知覚的一名義的という観点は、 Brunerら(1966)の研究以降、すでに定 着していると思えるが、近年になって、異なる視点から学習、知覚、認知の発達が再検討される ようになってきた。それはKemler (1983)のいう全体的(Holistic)一分析的(Analytic)、 Shepp
(1983)のいう非分析的一分析的という視点である。
知覚の発達的研究においては、 Werner (1946 やGibson (1969)等の、未分化から分化へ発 達するという分化説が有力であった。この説では、未分化というのは構造化されていないとか混 沌としているという意味であった。これに対して、 Shepp &Swartz (1976)やSmith & Kemler
(1977 は、未分化というのは構造化ないし体制化されていないのではなく、刺激間の全体的な 類似性によって体制化された全体的な知覚であることを示唆した。その後の多くの研究を展望し て、 Kemler (1983)は、知覚と認知の発達が全体的様式(Holistic mode)から分析的様式(Analytic mode)へ進んで行くと主張した。ここで全体的様式というのは、刺激間の全体的類似性によっ て刺激が処理され、体制化されることであり、分析的様式というのは、刺激間に共通する次元(属 性)によって処理され体制化されることである。
Kemlerたちが全体的様式、分析的様式と呼んでいるものの例として、 Smith & Kemler (1977) の研究を紹介する。彼らは3つの刺激(A, B, C を皇示して、同じ仲間のものを2つ選択さ せる。刺激A(1,1)と刺激B(l,4)はX次元に関して同じ価(1)を持っているが、 Y次元に関 しては離れた価(1と4)を持っている。刺激C(2,3)は刺激A、刺激BのいずれともⅩ次元、 Y 次元に関し同じ価を持たないが、刺激Bとは両次元とも1つしか離れていない。そこで、各刺激 間の距離を計算すると、刺激Aと刺激Bの間は3.0、刺激Bと刺激Cの間は1.4、刺激Aと刺激C の間は2.2となり、刺激Bと刺激Cの距離が最も近く、 3つの刺激対の中で全体的類似性が最も 高いことになる。
したがって、もし子供が刺激Bと刺激Cを仲間として認識(分類)したならば、全体的類似性 すなわち全体的様式によって刺激を処理し、分類したと判定される。もし子供が刺激Aと刺激B を仲間として認識(分類)したならば、 X次元の価(1)によって、すなわち分析的様式で刺激 を処理し、分類したと判定される Smith&Kemler (1977)の結果によると、次元に基づいて分 類した者は幼稚園児が34‑40%、 2年生が50‑57%、 5年生が66‑68%であって、年令とともに 分析的様式を用いる者が増加する。
Smith (1979)は、色と大きさの2次元が8価で変化する二等辺三角形を刺激として、カテゴリ一 般化課題 category generalization task)を考案し、カテゴリー化における様式の発達的変化を
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桜 井 茂 男・桜 井 登粒子検討した。この課題ではグループAに属する刺激とグループBに属する刺激をブロック皇示し、
それぞれが仲間であることを教える。そのあとで。別に用意した刺激を1枚ずつ呈示して、それ がグループAに属するか、グループBに属するかを判断させる。
条件SIM+DIM (類似+次元)ではグループAの3刺激はY次元が価6、グループBの3刺 激もY次元が価3でそれぞれ等価である。したがって、 Y次元によって2つのグループにカテゴ リー化できる。またX次元については、 2つのグループは離れているが、各グループ内は接近し ている。したがって、 X次元における類似性によっても2つのグループにカテゴリー化できる。
この条件において、次元に基づいてカテゴリー化した者の割合は幼稚園児が33%、 2年生が56%、
5年生が89%であり、幼児は類似性に基づいてカテゴリー化する者が多く、 5年生は次元に基づ いてカテゴリー化する者が多くみられた。このことから、 Smith (1979)はカテゴリー化様式が 全体的様式から分析的様式へと発達的に変化すると結論している。
Kemler Nelson (1984)は分類学習課題によって全体的様式と分析的様式を査定した。大学生 を被験者とした実験1では、髪形、鼻の形、耳の大きさ、髭の形の4次元がそれぞれ2価で変化 する図式的な顔を刺激として、類似性と基準属性の両方でカテゴリー化できる課題を用い、テス
ト事例の呈示によってカテゴリー化様式を査定した。 Kemler Nelson (1984)は全体的から分析 的へという発達のもとにある要因として、学習への意図の有無を示唆し、学習‑の意図があれば 事例を分析的に処理し、基準属性によってカテゴリー化するが、学習‑の意図がなければ全体的 に処理し、類似性によってカテゴリー化すると主張した。
しかし、 Husaim&Cohen (1981)は、 10カ月児に対して首を左右にまわすという道具反応を用 いて分類訓練を行い、一定の学習基準に達してから転移課題の事例を1枚ずつ呈示し、どちらの カテゴリーに分類するかを調べ、その分類行動を分析した結果、分析的様式によってカテゴリー 化することを明らかにした。また、 2つのカテゴリーの各々のプロトタイプ事例を正しく分類で きたことから、 10カ月児が2つの異なるカテゴリーに分化的に反応できると主張した。これに対
してKemler (1981)は、 10カ月児の乳児に実験者の設定した次元が正しく認識できたかどうか は疑わしいと述べ、 Cohen (1981)は、 Habituationのパラダイムを用いた実験によっても、 loヵ 月児が分析的にカテゴリー化できた、と反論している。
幼児に関する研究においては、全体的一分析的様式のいずれを用いるのかが争点となっており、
全体的様式を用いやすい、という主張が優勢であると思われるが、明白にはされていない。また、
全体的一分析的様式が幼児の日常的認知とどのような関係にあるのかについても、ほとんど述べ られていない。全体的一分析的という視点は日常場面における自然概念の獲得に対する視点と類 似している。したがって、全体的一分析的様式と自然概念の獲得に関与する認知型を取り上げ、
幼児の日常的認知と全体的一分析的様式とがどのような関係にあるのかを検討し、幼児における カテゴリー化の発達様相を調べる必要があると考えられる。本研究では、幼児が全体的一分析的 様式のどちらを用いやすいのかをカテゴリ一般化課題を用いて調べると共に、全体的一分析的と いう視点に関与すると思われる認知型として実験1では知覚塑一概念型、実験2では分析型‑非 分析型を取り上げ両者の関係について検討する。カテゴリ一般化課題において、事例間の類似性 に基づいてカテゴリー化を行うのであれば、全体的様式が用いられ、基準属性に基づいてカテゴ
リー化を行うのであれば、分析的様式が用いられるであろう。
Kemler Nelson (1984)とHusaira & Cohen (1981)が用いた刺激は、次元価の弁別が困難であっ たり、次元が相互に変化してしまったりで全体的一分析的様式のいずれを用いたのかを査定する
全体的一分析的カテゴリー化様式に及ぼす認知型の影響
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のには適当ではない。本研究では、各次元の価が明瞭であって弁別が容易であり、幼児になじみ がある図式的な顔刺激と、従来から使われてきた九と三角からなる図形刺激を用いる。それは、
カテゴリ一般化課題を用いて幼児に対して異なる2刺激を呈示した研究はまだ行われておらず、
刺激の次元価の弁別性を直接的に調べるためである。
実 験1
実験lでは絵カードを用いて知覚型‑概念型に分け、カテゴリー化様式との関係を検討する。
方法
実験計画 認知型(知覚・概念) ×刺激(顔・図形)の要因計画が用いられた。いずれも被験 者間要因であった。
被験者 幼稚園年長児60名であり、図1に例示するような認知型検査を行い、 4群に15名ずつ 割り当てられた。平均年令は概念・図形群、概念・顔群、知覚・顔群は6:2 (5:8‑6:7)であり、
知覚・図形群は6:1 (5:8‑6:7 であった。知覚型、概念型の分類基準にあてはまらない者が15名 いたので、 60名の被験者を得るまでに75名を要した。
図1 認知型検査
認知型検査 図1に例示するような果物(リンゴとバナナ)と野菜(カブとキュウリ)それぞ れを線画で描いた8枚のカード。カードを1枚ずつ皇示し、 B、 Cの2事例のうちどちらがA事 例の仲間であるかを判断させて知覚型と概念型に分けた。 8回の選択のうち7回以上"果物"、
"野菜"といった概念的属性によって判断した者を概念型とし、 "丸い"、 "細長い"といった知 覚的属性によって判断した者を知覚型とした。
刺激 図2に例示するような、耳、口、鼻、目、髪の5次元が2価で変化する顔図形と、大き さ、位置、形、色、数の5次元が2価で変化する図形。
課題 典型価が価1のときをカテゴリー1、価0のときをカテゴリー0としたとき、図3は本 研究で用いた課題のカテゴリー構造を示している。図が示すように、 a次元がカテゴリ‑1では すべて価1、カテゴリー0ではすべて価0であるので、この次元によってカテゴリー化できる。
また、カテゴリ‑1は価1を16、カテゴリー0は価0を16持っているので、類似性によってもカ テゴリー化できる。テスト事例の01111をカテゴリ‑1に、 10000をカテゴリー0に分類したとき は全体的類似性によってカテゴリー化し、全体的様式を用いたと判定する。 01111をカテゴリー
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桜 井 茂 男・桜 井 登世子0に、 10000をカテゴリ‑1に分類したときは基準次元によって カテゴリー化し、分析的様式を用いたと判定する。 2枚のテスト 事例を同一カテゴリーに分類した場合は、分析的様式、全体的様 式のいずれでもないと判定し、不定とする。
手続き 個別実験であり,認知塑検査を実施した後でカテゴ リ一般化課題を行った.図4に示すように、カテゴリ‑1とカテ ゴリー0の4つの標本事例を各々枠で囲み左右に並べ、下の中央 にテスト事例を里示した。実験者は次のような教示を与えた。
"今からお姉さんと仲間集めっていうお遊びをしましょうね。
(枠で囲まれた4つの顔(図形)を指で指しながら)これはね、
みんな仲間なの。それじゃね、これは(下の中央のテスト事例を 指しながら)どっちの仲間か指で指して教えてね。いいかな。じゃ、
これはどっちの仲間かな。"課題は5 (基準次元) ×2 (テスト 事例)の合計10枚を冊子にまとめ、被験者ペースで進められた。
被験者の反応に対して正誤のフィードバックは与えないが、なか なか反応しないときには"さあ、どっちの仲間かな''というよう に、被験者を励ました。
カテゴリ‑1
a h c d e
標本事例
テスト事例
1 1 1 1 0 1 1 1 0 1 1 1 0 1 1 1 0 1 1 1
0 1 1 1 1 1 0000
カテゴリー0
a b c d e
0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0
図3 実験Iで用いたカテゴリー構造
図4 カテゴリ一般化課題
図2 標本事例の例示
全体的丁分析的カテゴリー化様式に及ぼす認知雅の影響
表1 知覚型一概念型とカテゴリー化様式(%) 刺激 概念/知覚 分析的様式 全体的様式 不定 図形 概念 28.0 66.7 5.3 知覚 26.7 45.3 28.0 顔 概念 20.0 42.7 37.3 知覚 21.3 40.0 38.7
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結果
表1は、認知型別にカテゴリー化様式(人数)を示したものである。まず、認知型がカテゴリー 化様式にどのように影響するかをみるために、刺激を込みにして2 (認知型) ×3 (カテゴリー 化様式)のx2検定を行ったところ、 ;r(2)‑7.i7, p<.05で有意であり、知覚型と概念型では 用いるカテゴリー化様式が異なることが示された。そこで、刺激ごとに2 (認知型) ×3 (カテ
ゴリー化様式)のx2検定を行うと、図形刺激においてのみX2(2)‑14.96, /><.OOlで有意差が みられた。したがって、認知型のカテゴリー化様式に及ぼす影響は、刺激のタイプに左右される
ことが示された。
標本値でみると全体的様式者と不定の者について差がみられるので、全体的様式者とそれ以外、
不定の者とそれ以外にわけて2 (認知型) ×2 (様式)のx2検定を行った。全体的様式者につ いてはX2(l)‑5.33, p<.05で全体的様式は知覚型より概念型で有意に多く用いられ、不定の 者については;r(i)‑6.io, ♪<.05で概念型より知覚型の方が多かった。
次に、刺激がカテゴリー化様式にどのように影響するかをみるために、認知型をこみにして2 (刺激) ×3 (カテゴリー化様式)のx2検定を行ったところ、 X2(2)‑16.28, ♪<.001で有意 であり、顔刺激と図形刺激では用いられるカテゴリー化様式が異なることが示された。そこで、
認知型別に2 (刺激) ×3 (カテゴリー化様式)のx2検定を行うと概念型においてのみX2{2)
‑21.64, ♪<.001で有意差が見られた。このことは、顔刺激と図形刺激におけるカテゴリー化 様式の相違は主として概念型の反応によることを示している。
2刺激に対して全体的様式者とそれ以外、不定の者とそれ以外にわけて2 (刺激) × 2 (様式) のx2検定を行った。全体的様式者については;r(D‑6.45, p<.05で全体的様式は顔刺激より 図形刺激において有意に多く用いられ、不定の者についてはX2(l)‑16.25, pく.001で図形刺 激よりも顔刺激において有意に多かった。
認知型と刺激の両方が影響を及ぼしていると思われる全体的様式と不定について角変換法によ る2 (認知型) ×2 (刺激)の分散分析を行った。その結果、全体的様式については認知型の主 効果がZz(l)‑5.55, /><.05, S a>z‑10.9bで有意であり、概念型の方が全体的様式を用いてい る者が多かった。また、刺激の主効果もI2(l)‑6.64, pく.01, ∂a/‑10.95で有意であり、図 形刺激の方が全体的様式が多く用いられた。交互作用も;r(D‑2.74, p<.ioであり、全体的 様式は図形刺激における概念型によって最も多く用いられやすい事が示された。
不定については、刺激の主効果が^2(1)‑20.80, ^<.001, Sa>2‑10.95で有意であり、顔刺 激の方が不定の者が多く、認知型の主効果も2Z(1)‑9.45, ♪<.Olで有意であり、知覚型の方 が不定の者が多かった。また、交互作用も;r(D‑6.66, p<.oiで有意であり、顔刺激におけ る知覚型が最も多く、図形刺激における概念型が最も少なかった。
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桜 井 茂 男・桜 井 登世子考察
本実験の結果を全般的にみると、 Smith (1979)、 KemlerNelson (1984)が主張しているように、
幼児は全体的様式を用いやすいということが示された。認知型とカテゴリー化様式の関係につい てみると、分析的様式については認知型の差は見られなかったが、全体的様式は知覚型より概念 型の者に用いられやすく、不定は概念型より知覚型の者の方が多かった。発達的に見ると、知覚 型から概念型へ進んでいくのであり、概念型の方が言語的概念能力が高い。したがって、言語的 概念能力の高い者の方が全体的様式を用いやすかったということは、日常場面における概念獲得 過程とカテゴリ一般化課題におけるカテゴリー化の過程が類似しているためと考えられる。日常 場面ではRosch (1973)が指摘しているように、カテゴリーを構成する事例間の類似性によって
カテゴリーを形成して行くと考えられる。カテゴリ一般化課題のように複数の事例を同時呈示さ れた場合には、個々の事例を分析していくより類似性によってカテゴリー化した方が心的エネル ギーの負担も少ないと思われる。
刺激とカテゴリー化様式の関係についてみると、全体的様式は図形刺激において用いられやす く、不定は顔刺激の方が多かった。図2に示されたように、図形刺激の方は1つの事例を見ただ けでは次元に分離しにくいが、顔刺激の方は1事例だけでも目、口、鼻、耳、髪といった顔の構 成要素である5次元に分離できる。幼児にとっては上述のように類似性に基づく全体的処理の方 が容易であるため、図形刺激においては全体的様式を用いてカテゴリー化を行ったが、顔刺激に おいては全体的処理がうまく使えないために不定が多かったと考えられる。
認知型別に刺激とカテゴリー化様式との関係を見ると、概念型は図形刺激と顔刺激の各々に対 してそれぞれ異なるカテゴリー化様式を用いていたことが示された。このことは、言語的概念能 力が高い概念型は、刺激の分離可能性が異なる2刺激に対して分化的な処理を行えることを示し ていると思われる。
実 験 2
実験1では認知型として概念型丁知覚型を取り上げてカテゴリー化様式との関係を検討した。
その結果、概念型の方が知覚型よりも全体的様式を有意に多く用いやすく、不定は知覚型の方が 有意に多かった。また、概念型は図形刺激と顔刺激に分化的な反応を示したが、知覚型にはこの ような傾向は見られなかった。認知発達における認知型の方向性は知覚型から概念型‑進んで行 くと思われる。日常場面での概念獲得を考えると、事例の典型性による全体的様式によってカテ ゴリー化が行われる(Rosch, 1973)。したがって、概念型の方が全体的様式を用いた者が多かっ たことは、カテゴリ一般化課題におけるカテゴリー化が日常場面のカテゴリー化と類似の過程を 持つのではないかと思われた。
実験2では認知型として分析型一非分析型を取り上げてカテゴリー化様式との関係を検討し、
実験1で得られた結果と比較する。
方法
実験計画 認知型(分析・非分析) ×刺激(顔・図形)の要因計画が用いられた。いずれも被 験者間要因であった。
被験者 幼稚園年長児48名であり、平均年令は6:2 (5:8‑6:7)であった。
全体的一分析的カテゴリー化様式に及ぼす認知型の影響
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図5 認知型検査(杉原(1977) CSTのテスト2)
認知型検査 杉原(1977)のCSTのうちのテスト2 (分析一非分析)によって分析型一非分析 型に分類した。図5に例示するような絵を見せて3つの絵のうちどれとどれが仲間と思うかを指 で指し示させた。図5においてアとりを仲間にしたら分析型、イとりを仲間にしたら非分析型と 判定される。このような仲間判断を18間行い得点化した。分析得点は分析型60.7 (SD‑3.77)、
非分析型41.8 (SD‑3.86)であった。
刺激、課題および手続きは、実験1と同じである。
md
表2は、認知型別にカテゴリー化様式(人数)を示したものである。まず、認知型がカテゴリー 化様式にどのように影響するかをみるために、刺激を込みにして2 (認知型) ×3 (カテゴリー 化様式)のx2検定を行ったところ、有意差は見られなかったO刺激ごとに2 (認知型) ×3 (カ テゴリー化様式)のx2検定を行うと、図形刺激においてのみXl{2)‑6.81, /><.05で有意差が みられた。そこで、標本値で差がみられる全体的様式者と不定の者について、全体的様式者とそ れ以外、不定の者とそれ以外にわけて2 (認知塑) ×2 (様式)のx2検定を行った。全体的様 式者については;r(i)‑3.37, p <.ioで全体的様式は分析型より非分析型で多く用いられる傾 向が見られ、不定の者についてはZ2(l)‑6.51, /><.05で非分析型より分析型の方が有意に多 かった。
表2 分析‑非分析型とカテゴリー化様式 %) 刺激 分析/非分析 分析的様式 全体的様式 不定 図形 分析 30.0 44.0 26.6 非分析 30.0 64.0 6.0 顔 分析 18.0 40.0 42.0 非分析 18.0 38.0 44.0
次に、刺激がカテゴリー化様式にどのように影響するかをみるために、認知型を込みにして2 (刺激) ×3 (カテゴリー化様式)のx2検定を行ったところ、 ;r(2)‑17.34, ♪<.001で有意 であり、顔刺激と図形刺激では用いられるカテゴリー化様式が異なることが示された。そこで、
認知型別に2 (刺激) ×3 (カテゴリー化様式)のx2検定を行うと、非分析型においてのみx2
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桜 井 茂 男・桜 井 登牡子(2)‑25.48, p<.OOlで有意差が見られた。このことは、顔刺激と図形刺激におけるカテゴリー 化様式の相違は主として非分析型の反応によることを示している。
2刺激に対して全体的様式者とそれ以外、不定の者とそれ以外にわけて2 (刺激) × 2 (様式) のx2検定を行った。全体的様式者についてはZ2(l)‑7.39, p<.01で全体的様式は顔刺激より 図形刺激において有意に多く用いられ、不定の者についてはX2{1)‑17.33, /><.001で図形刺 激よりも顔刺激において有意に多かった。
認知型と刺激の両方が影響を及ぼしていると思われる全体的様式と不定について、角変換法に よる2 (認知型) ×2 (刺激)の分散分析を行った。その結果、全体的様式については刺激の主 効果が;r(i)‑7.40, p<.oi, d <02‑U.68で有意であり、図形刺激の方が全体的様式が多く用 いられた。認知型の主効果は有意ではなかったが、交互作用がX2(D‑7.39,p<.01で有意であっ
>.
不定についても全体的様式と同様に刺激の主効果はX2{1)‑19.95, p<.001, 50.z‑13.f で 有意であったが、認知型の主効果は見られず、交互作用が;r(D‑9.i4, p<.oiで有意であった。
考察
本実験においても全般的には幼児は分析的様式よりも全体的様式を用いやすいということが示 された。認知型とカテゴリー化様式の関係についてみると、分析的様式については差が見られな いが、全体的様式は非分析型の者に用いられやすい傾向が見られ、不定は分析型の方が多かった。
本実験における非分析型は実験1の概念型に相当し、分析型は知覚型に相当するので、本実験の 結果は実験1の結果と一致している。つまり、言語的概念能力の高い者の方がカテゴリ一般化課 題においては全体的様式を用いやすいといえる。
実験1において言語的概念能力の高い者は2刺激に対して分化的な処理を行い、図形刺激にお いて全体的様式を用いやすかった。本実験においても非分析型の者は図形刺激と顔刺激に対して 分化的な処理を行い、図形刺激において全体的様式を用いやすく、刺激特性に敏感であると思わ wm
刺激とカテゴリー化様式との関係については実験1と同様に、図形刺激の方が全体的様式が用 いられやすく、これは刺激の分離可能性に拠るといえる。
ま と め
本研究では、全体的一分析的カテゴリー化様式に及ぼす認知型の影響を調べた。それは、学習 を行わない状態で、幼児は全体的一分析的カテゴリー化様式のいずれを用いやすいのかを調べる とともに、幼児の日常における認知能力の影響を明らかにするためである。従来の研究から、カ テゴリー化様式は全体的様式から分析的様式へ進んでいくという主張が優勢である。しかし、全 体的一分析的カテゴリー化様式のいずれも用いることができない不定の者が黄も低次のレベルに あり、カテゴリー化様式は(不定‑全体的様式‑分析的様式)という発達の方向性を持つことを 示す必要があると思われる。
本研究の結果は、 L.B. Smith (1979)、 Kemler Nelson (1984)が示唆したように、全般的にみ ると幼児は分析的様式よりも全体的様式を用いやすいことが示された。認知能力との関係につい ては、言語的概念能力の高い者は全体的様式を用いやすく、異なる性質をもつ2刺激に対して分
全体的‑分析的カテゴリー化様式に及ぼす認知型の影響
233
化的に反応することが示された。それに対して言語的概念能力の低い者は、不定が多く反応方略 が一定していなかった。
刺激との関係についてみると、図形刺激と顔刺激では用いられるカテゴリー化様式が異なるこ とが示された。図形刺激では全体的様式が用いられやすく、顔刺激では不定が多かった。このこ とは、 Garner (1983)の刺激次元の分離可能性が刺激処理に影響を及ぼすという主張の妥当性を 示唆するものであった。幼児は分析的様式よりも全体的様式を用いやすいので、全体的様式を用
いにくいような事態においては全体的処理も分析的処理も行えなかったのであろう。
HMnmmtu
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The Effects of Cognitive Style on Holistic and Analytic modes in Young Children
Shigeo Sakurai
(Department of Psychology, Nam Unixノersity of Education, Nara 630, Japan)
こuid