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どのような稀観本(ぎこうぽん一
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所世間に流布されていない珍い 書 物)が収蔵されているかがある。
蔵 ついては専門の立場から本館所蔵 の稀観本を紹介することとした。
西洋服飾稀観書(20)
くつ(靴)の稀観書
教授 石 山 彰服装は,衣服と人体の結合からなる……という認識 は,もう一般にも定着してはいるが,帽子や靴,もしく は結髪や化粧が服装と一体であるという認識は,ややも すると忘れがちになる。服装とは常に人間総体なのだか ら,その意味ではく装身〉であるべきだろう。とりわ け,帽子や靴は,装身の,したがって服装の句とう(読)
点でなければならない,と考えて私はそれを重視するの である。
頭部空間の次元は,人体の構造上ひどく開放されてい るのが特徴で,したがつて帽子やかぶり物の形は無限に 近いほどの可能性をもっている。これに対し,大地立脚 の根元であるはずの足部空間となると極限にまで限定さ れ,次元は閉ざされてひどく狭いのが特徴である。つま り,足先の方向に延びるか,脚の上下方向に延びるかの どちらかで,この意味では1次元的というほかない。装 身としての帽子と靴の性格は,おおざっぱにいって,こ
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のように体質的にかいり(乖離)し,対置している。服 飾そのものの書は別格として,頭飾や帽子の文献に比べ ると,は(履)き物や靴に関する文献が極少であるのも,
一つにはこうした理由からなのだろう。そうした状況下 にありながらも,本学図書館には,靴に関する稀観書と して列挙できるものが少くとも4点ある。これは誇るに 足る事実といってよいかもしれない・以下年代順に・個 別に紹介しよう。
〔589.253G〕Garsault, F. A. de;Der Schuster,1769.
ド・ギャルソール著「靴屋」20.・2cm×24. lcm。発行所は 不明であるが,一見して本書は,この2年前にパリで刊 行された同じ著者のフランス語版Art du cordonnier
「製靴術」のドイツ語訳であることがわかる。この本は,
もともとフランス王立科学アカデミー刊「工芸の書」
Acad. Royale des Sciences;Description des arts et m6tiers, Paris,1767の第12部であり,このドイツ語版
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では第9部に変っている。木版ひげ文字の本文84ページ
(仏版は51ページ),末尾に銅版横長の図版が5枚ついて いるのは仏版と一致している。「工芸の書」はルイ15世 治下の1761年〜1789年にわたってさまざまな分野が刊行 され,その幾つかは有名なディドロの「百科全書」にも 収録されている。編者はN.ランソネットとベルトウル およびF.A.アブランヌの3人で,ド・ギャルソールは 挿図全般を担当している。因みに靴の本で最も古いのは 1667年,アムステルダムで刊行されたパウドインとネグ ローネ共著の「靴と半長靴」で,これはラテン語で書か れている。
〔383.2H〕Hall, J. Sparkes;The Book of the Feet, a history of boots and shoes, Simpkin, Marshall, Lond.,
1846.ホール著「足の書一長靴と短靴の歴史」。10. lcm
×17cmのしょうしゃ(浦酒)な皮装の小型本で,4枚の プレートにはかなり手馴れた手彩色が施されている。
148ページ,補遺3ページを含む本文は,まず2章にわ たっての古代エジプトから18世紀までの通史,続いて諸 外国の近代の靴,靴の商業史,靴の構造の各章が続き,
手軽でしかも適切な概説書となっている。イギリス服装 史のまとまった通史が,プランシェによって始めて刊行 されたのは,このホールの本が発刊されるわずか12年前 のことに過ぎない点を考え合せると,この本がいかに画 期的であったかがわかる。ホールは,ロンドンのリージ ェント・ストリートに店をかまえたイギリス女王,太 后,およびベルギー女王の御用靴屋で,自らエラスティ
ック・ブーツの特許を保持していることを扉にもうたっ ている。そうした点でも得がたい稀観書になっている。
〔383.2L〕Lacroix, Paul, Alphonse Duchesne et Fer−
dinand Ser6;Histoire des cordonniers et des artisans…
…pr6c6d6e de 1 historie de]a chauss町e, L. H. A. S de Ser6, Paris,1852.ラクロア,デュシェヌ,スレ共著
「靴屋とその職人史一靴の歴史から先に」18cm×28.7
㎝。この本は手工業叢書の一巻としてかかれたものであ り,次の4部からなっている。第1部靴の歴史,第2部靴 屋とその職人の歴史,第3部組合の約かん(款)と準則,
第4部往時の同業組合紋章集,である。本文326ページ,
紋章図版24枚,団旗の石版色刷等9枚,他に木口木版に よる豊富な挿図が一大特色にもなっている。ポール・ラ クロアについては,月報35号(1972年6月)でも触れた
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ように,19世後半のフランスで活躍した多作な著述家 で,自らく愛書家〉と号し,八面六び(唇)の活躍ぷり を見せた。
⊂383.2G〕Greig, T. Walson;Ladies Old−fashioned Shoes, D. Douglas, Edinヒurgh,1885.グレイグ著「古式 の婦人靴」。44cm×28cmという横長の石版色刷11枚と解 説からなる見事な図集で,ほとんど実物大に描かれてい る。グレイグは当時スコットランド中部にあるパース州 の文芸・好古家協会の副会長を務めており,彼自らがこ れらの婦人靴の収集家で,大半は着用者もはっきりして いる点でまことに貴重である。時代は17世紀初期から19 世紀初期に及んでおり,これだけ見事な靴の図集は,今 後も期待することはむずかしいと思われる。末尾に記さ れた補遺としての解説も有益で,これらの内容は
1−W.P.レック卿の 靴の今昔 という簡単な前文 2一エディンバラ好古(考古でない)博物館蔵の靴 3−R.ピースによる 1883年,パリのクリュニー美術 館での靴の展覧会について
4一イブリンの日記に記された ウェストミンスター教 会の絵画に現れた靴について
となっている。スペースの関係で写真を掲げられないの
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