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目次 Ⅰ J リーグ市場のビジネスモデルについて Ⅱ 日本サッカー界の現状 Ⅲ ファイブフォーシーズ分析による業界分析 Ⅳ J リーグはどのような戦略ポジショニングをとるべきか Ⅴ ~ 政策提言 ~ファンと地域に根ざしたチーム作り Ⅵ 参考文献

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Academic year: 2021

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日本サッカー界はどのようにして

持続的競争優位を獲得できるか

中央大学総合政策学部

政策化学科四年

古川浩一ゼミナール

小幡 将吾

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目次

Ⅰ、J リーグ市場のビジネスモデルについて

Ⅱ、日本サッカー界の現状

Ⅲ、ファイブフォーシーズ分析による業界分析

Ⅳ、J リーグはどのような戦略ポジショニングをとるべきか

Ⅴ、~政策提言~ファンと地域に根ざしたチーム作り

Ⅵ、参考文献

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はじめに

J リーグが 1993 年に発足し今年で 15 年目を迎えた。当時は数少ないクラブ間だけでの試 合が行われていたが、現在では Division1(J1)では、18 チーム、Division2(J2)では 15 チーム加盟している。6 年前には、韓国と共催でワールドカップが行われ、海外のみならず、 日本国内においてもサッカーの認知度は徐々に広まってきている。こうした中、日本サッ カーはヨーロッパや南米と比べると発展途上である。J リーグ開幕当初は満員だった観客席 も観客動員数も減り始めてきた。近年になり J リーグのクラブがアジア主催の国際大会に 出場し観客数も増えてきた。 ヨーロッパのクラブ経営と比べてしまうと利益や観客数においても大きな開きがある。 本論においては、このようなヨーロッパのクラブと比べるのではなく、国内プロスポーツ において、J リーグというものがどのようにして持続的競争優位を保持していけるかを論じ ていくこととする。 第一章では、J リーグのビジネスモデルについて述べる。第二章、三章ではゼミで使用し ている戦略の経済学の理論を説明するとともに、その理論を用いて分析していく。その分 析をふまえて、第四章では、それまでの分析をもとに、今後どのような政策を行っていた らよいかを具体的に提案していく。

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Ⅰ)J リーグクラブのビジネスモデルについて この章においては、J リーグクラブの収入と支出のシステムを論じるにあたり、図を用い ながら記していく。 はじめに、主な収入項目として、以下が挙げられる。 ・入場料収入 ・ 広告収入(ユニホームスポンサーなど) ・ J リーグからの分配金(放映権・賞金) ・ 他に選手移籍に伴う移籍金、ファンクラブ会員からの年間会員料 入場料収入はプロスポーツにおける基本的な収入である。しかし、全体的な収入として みると約全体の 2 割と少ない。最も多いのは、広告収入であり、全体収入の 5 割を占める。 各クラブはスポンサーのサポートなしには運営できないと言える。分配金に関しては、放 映権料や賞金であるが、放映権料に関しては、J リーグによる一元管理されており、各クラ ブに均等に配分される仕組みがある。賞金に関しては、シーズンごとの順位によって配分 される。 図 1)引用;J リーグ公式ホームページ「収益構造図」 次に、支出面である。監督、コーチ、選手に払う人件費が全体の多くを占める。サッカ ー選手の場合、毎年安定したパホーマンスを出すということには、不確実性が伴うので、 単年契約されることが多い。その他に、試合運営費として遠征費、広告宣伝費、チーム運 営費として合宿管理費、練習場管理費などがある。

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Ⅱ)理論的枠組みー5つの競争要因分析の解説 政策提言を行うにあたり、市場を分析する際の理論であるマイケル・E・ポーター が提唱した5つの競争要因分析を説明する。この経済理論の基本はなぜ、競争環境ができ るのかが原点にあり、業界環境を中心とした外部環境の分析である。その結果サッカー界 において何が脅威であるかを論じていくこととする。また、ポーター氏は競争環境を作る 要因には、5つの要因があると著書で指摘している。それは以下の5つである。 図 2 5 つの競争要因分析の枠組み 引用)デイビット・ベサンコ『戦略の経済学』pp391 東京;ダイヤモンド社 2003 年 (1)【市場内競争】 (2)【新規参入の脅威】 (3)【代替品・補完品の脅威】 (4)【買い手の交渉力】 (5)【売り手の交渉力】 の5つである。これらの要因が競争環境を促すものである。以下、5つの要因分析を記す。 (1) 【市場内競争】 市場内競争とは、同業者がシェアをめぐって立ち回ることをいう。それゆえ市場 内競争分析は競争を行っている市場を定義することである。お互いの戦略的意思決定に影 響を与えるすべての企業を分析に組み入れる必要がある。さらに市場を定義する上で商品 市場と地理的市場に注意しなければならない。本論において地理的市場においては、深く 分析する。競争者が多い環境においては、競合者間でのコスト、品質、納期などの差別化 が強化され、競合関係が作られる。競合関係は競合環境としての結果として生じるもので あり、この環境を作り上げる要因が他に存在する。 新規参入 買い手 売り手 代替品・補完品 市場内競争

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(2) 【新規参入の脅威】 新規参入は、二種類の方法で既存市場参加者の利益を奪う。一点目は、供給が増 加すると市場の需要が参入者によって奪われ、二点目は、新規参入によって、市場の集中 度が下がり、それによって競争が激化し、利益が減少してしまう。これらの参入による脅 威はあるものの、参加する側も容易には参入できないなぜなら以下のような理由があげら れるからである。 (ⅰ)生産プロセスにおける規模の経済の存在 (ⅱ)学習曲線の傾きが急である場合、新規参入者はコスト面において不利である。 (ⅲ)消費者が評判の良さを高く評価する/消費者がブランドを信奉している。 (ⅳ)ネットワーク外部性の存在 (ⅴ)参入後の競争の予想 (3)【代替品と補完品の脅威について】 代替品と補完品は需要において影響を与える重要な要素である。代替品とは新規 参入者と同様の方法で利益を奪い、市場内競争を激しくするものである。補完品は、商品 への需要を増やし、業界全体の利益を増やす役割を果たしている。これらが間接的に及ぼ す影響について考える必要性がある。 ・ 緊密な大体や補完品の入手可能性 ・ 代替品や補完品の費用対価値 ・ 業界レベルでの需要の価格弾力性 (4)【買い手の交渉力】 供給者過剰の業界であれば、顧客によって販売価格が低く抑えられてしまい、利 益が上がらず競争においては、厳しい環境となることが予想される。 (5)【売り手の交渉力】 売り手の交渉力とは、下流業者の観点から、売り手が業界の利益を抜き取る価格 交渉力を評価したものである。 ※『売り手と買い手の交渉力において注意すべきこと』 ・業界および下流と上流の集中度 ・ 代替の有無 ・ 下流企業の購入規模 ・ 業界と売り手による関係特殊資産 ・ 売り手による前方統合の脅威 ・ 売り手の価格差別化

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理論的フレームワークの事例への当てはめ 本論は、J リーグクラブの観客数増加への政策提言が趣旨であるが、ここでは、国内プ ロスポーツ市場という定義に基づき分析をしていくこととする。 a)市場内競争 国内において、プロスポーツとは多数存在する。ここでは、サッカー、野球、バスケッ トボールの三競技に絞り進めていく。国内プロスポーツにおいて、本論の研究テーマであ るサッカーはもちろんのことプロ野球や国内初のプロ化を行った BJ リーグといわれるバス ケットボールなどがある。この市場内競争において注目するのは、冒頭のファイブフォー シーズ分析の箇所で触れた地理的要因の部分において記していく。 競争が激しい地域として、関東地方には J リーグチームが 6 チームプロ野球チーム 3 チ ーム存在している。J リーグ発足時代黄金期を作った東京ヴェルディ、スポンサーに読売グ ループを持つ巨人がある。また、関西地方には J リーグチーム 2 チーム、プロ野球チーム 2 チームが存在する。先日行われたクラブワールドカップで世界三位に輝いたガンバ大阪や 地元大阪の象徴でもある甲子園球場を本拠地とする阪神タイガースがある。 一方では、競争が比較的弱い地域に、東北地方が挙げられ、新潟に本拠地を構えるアル ビレックス新潟がある。近隣にサッカークラブが存在しないため、東北地方のサッカーフ ァンなどが多く集まり、平均観客総動員数 4 万人を集客するクラブである。野球では三木 谷社長である東北楽天ゴールデンイーグルスがある。 市場内の競争を考察する上で価格という側面からも触れたい。チケットの価格において サッカーにおいては、1000 円から 5000 円の間で価格設定が行われている。バスケットボー ルにおいても同様である。野球においては一部の VIP 席を除いて同様の価格帯に落ち着い ている。1国内プロスポーツにおいて、観客動員数に差が生じる。消費者によって自分が応 援したいクラブというのはさまざまであり、弱いクラブよりも毎年優勝争いをしているク ラブを応援しようとする。クラブが持つ価値によって収益は大きく違い、同一地域内でプ ロクラブが多数存在する場所では、収益に対しての脅威が大きい。一方で、同一地域内で クラブが少ない地域は収益に対して脅威が小さい。 b)新規参入 国内スポーツ市場とは、国内だけではなく世界的にもメジャーなスポーツが多く存在す る。プロ化がされていないスポーツが市場に参入してくることは、高いハードルが伴う。 例えば、消費者への認知である。多くの人を巻き込み、市場としてのビジネスを発展させ ていかなければならない。プロ化されていないスポーツといえば、ハンドバールがその事 例で、北京オリンピック予選において『中東の笛』という誤審で一時注目を集めたがそれ 1 ここでは、国際大会やインターネット販売によるチケット価格は考えないものとし、あく までも一般チケット価格のことを指す。

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以降はあまりマスコミにも登場しない。サッカーや野球と比較すると、消費者に認知して もらうには多くの時間を割き、一大スポーツとして確立するには困難を極める。よって参 入の利益に対する脅威は低い。 c)代替品と補完品の脅威について まず、代替品について述べていくこととするが、スポーツ専用チャンネル2が挙げ られる。消費者がスタジアムに観戦に行くのには、時間的コストや金銭的コストを伴う。 遠方の消費者が、自分が好むクラブを応援する際には特にこのコストを大きく伴う。スポ ーツチャンネルは、このようなトータルコストを軽減する。月額 3000 円ぐらいで自分の好 きな時間に好きなだけ見ることができるからである。このような代替品の存在は、プロ選 手を持つクラブチームにとってクラブの収入を減少させる要因となる。このような理由か ら代替品の脅威は強いと言える。 補完品については、消費者が観戦に訪れる際、使用する応援グッズなどがあたる。 実際に選手と同じユニホームなどを身にまとうことにより、選手との一体感が生まれ、よ り応援したい気持ちにさせる。また、これらの補完品は、クラブの収入面に影響を及ぼす。 収益に対する補完品の脅威は大きいと言える。 d)買い手と売り手の交渉力 プロスポーツ市場内において、買い手にあたるのは、観客、スポンサーなどがあ げられ、売り手は選手、監督などである。 ⅰ)買い手の交渉力 観客といっても二つに分類される。一つは、ファンクラブ会員である。年会費を支払い、 さまざまなグッズを揃えて応援に行く。このような消費者は取引先を変えるスイッチグコ ストは高いといえる。地元に根付く地域性などから、自身が応援するチームの強弱関わら ず、応援する傾向がある。一方で応援するチームを持たない消費者はドームやスタジアム に観戦に行く頻度は少なくなる。このような消費者は製品すなわちチームの差別化を図っ ていないので、チームにとってこのような消費者をいかに多く巻き込むことができるかが 課題である。次にスポンサーであるが、自分の会社を宣伝してもらう機会を増やすために、 ユニホームやスタジアムの看板などに名前を載せてもらう。その対価として契約金を支払 う仕組みになっている。それぞれのリーグ内において戦力的に強いチームには規模が多き スポーツメーカーなどがスポンサーとしてつくことが多い。以上のことからファンやスポ ンサーの脅威は大きい。 2 ここでは、放映する TV 局ではなく、スポーツ放送という「商品」として定義する

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ⅱ)売り手の交渉力 売り手にあたるのは、選手や監督である。プロスポーツにおいてチーム内でスーパース ターと言われる選手や実力を伴う選手はチームにとって関係特殊的であるため、その力は 強い。そのような選手は他の選手と比べ、多くの年俸をもらっている。あまり特徴のない 選手はいわば代わりがきき、代替可能である。 e)5 つの競争要因のまとめ Ⅲ)J リーグはどのような戦略ポジショニングをとるべきか。 この章では、前章の理論分析をふまえて、今後 J リーグがどのような戦略ポジシ ョニングをとっていけば持続的競争優位を保っていけるかを記していく。 1) コスト優位と便益優位 競争優位を獲得するには、2 通りのアプローチの仕方が存在する。一つは、競合他社と同 等もしくは少し低い知覚便益で、低いコストを追求しコスト優位を得ることである。二つ 目に、競合他社と同等もしくは少し高いコストで高い知覚便益を提供することを追及し便 益優位を得ることである。以下 2 つのアプローチを記す。 ⅰ)コスト優位の経済理論 コスト優位を持つ企業は、競合他社より低い費用 C と、同等あるいは低い知覚便 益の製品を提供することにより、競合他社よりも多くの価値を創出する。コスト優位のあ る企業の B が競合他社より低いなら B-C が市場における競合他社を上回るためには、B の 劣位は C の優位より、小さくならなくてはならない。 ⅱ)便益優位の経済理論 便益に基づいて競争優位を確立する企業は、高い B を持つ製品を、同等、あるい は少し高い C で提供することにより価値を創出する。企業は競合他社よりも高い消費者余 剰を提供できる価格を設定して、便益優位を追及し、同時に高い利益率を確保するもので ハンドバールなど スポーツチャンネル、観戦 グッズ 国内プロスポーツ市場 選手・監督 観客、スポンサー、TV 局

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ある。 ⅰa)コスト優位の分析 市場内では、非価格競争が行われていて、チケット販売価格を下げて優位戦略を 行うと、チーム経営に大きな損失をもたらし、健全な経営が行えなくなる。 また、買い手によるスポーツチャンネルで国内・海外の試合を見るコストに勝ることが できない。なぜなら、一定料金内でたくさんの試合を見ることができるからである。よっ てコスト優位の戦略を選択し、競争優位を図ることはできない。 ⅱa)便益優位の分析 多くの観客を魅了するために、高額年俸の選手を雇うと多額のコストが生じる。 試合のクオリティーを上げることも必要であるが、実際にスタジアムに足を運び観戦する ことで味わえる臨場感を経験させることが重要である。多くの人に大好きなチーム・選手 を応援に行きたいと想う気持ちをもってもらう人を増やし、チケットの価格以上の価値を 生産できる雰囲気づくりが必要である。 3)コスト・便益優位戦略からのまとめ ・ チケット価格は非価格競争が行われ、価格破壊が行われるとクラブの収入は激減し、ク ラブ経営を行うには困難が生ずる。 ・ メディアに対抗し、一人でも多くの観客にスタジアムへ観戦に来てもらうには、行われ る試合以上に買い手を満足させられる試合づくりが大切である。 以上二つの理由から便益優位戦略を選択するのがベストである。 Ⅳ)政策提言 日本にはたくさんのプロスポーツが存在する。一人でも多くの観客を増やすこと がさまざまなクラブの至上命題でもある。また、三章でも述べたが、月額低コストでたく さんの試合を見てしまう代替品に多くの消費者が惹きつけられてしまう。この代替品によ るクラブに利益への脅威に対して、具体的政策に取り組んでいく必要がある。 コスト優位戦略を用いて経営することは果たして健全であろうか。チケット価格 を下げることは容易ではない。なぜなら、クラブにとってチケット収入とは、クラブ収入 の柱でもある。収入が減ることによって、チームの存続はもちろん経営することもままな らない。よってここでは、コスト優位を推進していくことは困難である。 では、一人でも多くの観客にスタジアムに足を運んでもらうにはどのような方法 が最適であろうか。それは便益優位の戦略である。選手が生み出す試合の質をあげる方法

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もあるが、時間的にもコスト的にも多くの時間を要する。しかし、実際にスタジアムに足 を運んでみたい自分の好きなチームを応援しに行きたいと思わせるような観戦することで 得られる楽しさ、つまり知覚便益を増やすことを、今後クラブが追及していかなければな らない。 そこで、私が政策として打ち出していきたいのが、地元住民やファンクラブ会員 との連携で生まれる新たな価値の創造である。このように考えるのは、サポーターあって のクラブだからであり、サポーターの目線での経営が多くの観客を惹きつけることに繋が るからである。 具体的な方法として、経営者に対して会員、地元住民の声を反映することができ る事業部を設けることである。現在サッカークラブの経営は、創設した親会社からの経営 者やスポンサーが経営者として就く場合がほとんどである。クラブの経営者とはクラブの 利益を優先させ、存続させる努力をする。サポーターの意見を聞かずに選手を解雇するこ とさえある。この事業部を作ることによって生まれるメリットは、サポーターと経営者が 多くのコミュニケーションをとる機会が増えることである。具体的にどのような組織体制 にするかということ。また、サポーター達がどこに重点をおいて仕掛けづくりを行うのか 表にする。 図 3 (著者作) 引用)2006 トップスポーツマネジメントの最前線「成功のサイクル」東京;講談社 pp,26 人気・動 員アップ 感動 チーム強化 売り上げ アップ 経営者 事業部B 事業部C 事業部A 事業部D 提案組織 図4

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このようにサポーター組織を組み込むことによって、サポーターや地域住民との コミュニケーションを取れることは先ほども述べたが、経営者が近くでニーズを拾うこと ができるようになる。こうすることによりよいスタジアムの雰囲気作りテレビ観戦では味 合うことのできない、楽しさを生むことができ、消費者の知覚便益を増やすことができる。 この知覚便益を獲得することにより、サポーターの数は増え、このようなクラブ を取り上げるメディアも増える。クラブの買い手の一要因でもあるスポンサーの獲得にも 繋がる。多くのファンの獲得により、試合そのものの質も向上する。このような状況にな れば、買い手のスイッチングコストも低く抑えられる。 【政策提言の際の懸念】 この政策提言の際、懸念されるのがクラブ経営者とサポーター達のそれぞれが抱 くベクトルが少し異なるということである。経営者は自クラブの利益を最優先させ、コス トのかかるイベントなどは差し控える可能性がある。一方で、サポーターは一人でも多く の観客が楽しめるような工夫をする。サポーターや観客が各々の目線でのクラブ運営をす ることは、図 4 でもあったように、人々に楽しいという感覚や感動を多くの人に植え付け ることによって、観客やグッズの売り上げが上がり、その利益がチームの強化費とつなが るので、経営者が目指すベクトルと方向性は同じ向きになるので、この懸念は解消される。 おわりに このような政策プランを実現することにより、知覚便益の獲得につながる。このような知 覚便益の獲得はもちろんのこと、クラブ経営とはサポーターや地元の人たちの応援があっ てこそだということである。しっかりとしたクラブの基盤を作り、他のプロスポーツより も持続的競争優位を保っていけるのではないか。

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参考文献 2003 デイビット・ベサンコ『戦略の経済学』「第 11 章業界分析」「第 12 章戦略的ポジシ ョニング」東京;ダイヤモンド社 2003 年 2006 平田竹男「トップスポーツビジネスマネジメント」pp26 東京;講談社 2004 広瀬一郎「J リーグのマネジメント」東京;東洋経済新報社 2008 浦和レッドダイヤモンズ公式ホームページhttp://www.urawa-reds.co.jp/ 2008 J リーグオフィシャルサイトhttp://www.j-league.or.jp/ 2007 財団法人日本サッカー協会http://www.jfa.or.jp/ 1999 工藤建築「J リーグ崩壊」東京;総合法令出版 2000 島崎英純「ビッグクラブー浦和レッズができるまで」東京;講談社 2005 堀 繁 「スポーツで地域をつくる」東京;東京大学出版会

参照

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