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第1章 はじめに

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(1)

量子化学計算ソフト

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Gaussian 98 利用の手引き

利用の手引き

利用の手引き

利用の手引き

2002 年 9 月

上 智 大 学 電 子 計 算 機 セ ン タ ー

(2)

こ の テ キ ス ト は , 上 智 大 学 理 工 学 部 化 学 科 髙 橋 和 夫 先 生 , 久 世 信 彦 先 生 の ご 協 力 に よ り 作 成 さ れ ま し た 。 こ の 場 を お 借 り し て , 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。

(3)

第 1 章 は じ め に ... 1 第 2 章 Gaussian 98 の 概 要 ... 2 2.1. 計 算 原 理 ( ab initio 法 ) ... 2 2.1.1. Born-Oppenheimer 近 似 ... 2 2.1.2. Hartree-Fock 近 似 と SCF 法 ... 3 2.1.3. 電 子 相 関 と Møller-Plesset の 摂 動 論 ... 5 2.1.4. 基 底 関 数 と 基 底 セ ッ ト に つ い て ... 6 2.2. Gaussian 98 を 用 い て 何 が で き る の か ... 7 第 3 章 Gaussian 98 の 基 本 的 な 使 い 方 ... 8 3.1 入 力 フ ァ イ ル の 作 成 ... 8 3.1.1. 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の 具 体 例 ... 8 3.1.2. 構 造 最 適 化 と 振 動 計 算 の 具 体 例 ... 10 3.1.3. 計 算 レ ベ ル ... 11 3.1.4. 基 底 セ ッ ト ... 11 3.1.5. 座 標 の 入 力 ( Z-matrix) ... 12 3.1.6. 分 子 の 対 称 性 ... 14 3.1.7. ダ ミ ー 原 子 ... 15 3.1.8. 構 造 パ ラ メ ー タ の 初 期 値 ... 16 3.1.9. 完 全 最 適 化 と 部 分 最 適 化 ... 16 3.1.10.高 精 度 の 計 算 を 効 率 よ く 行 う た め に ... 17 3.2. Gaussian 98 の 実 行 ... 19 3.2.1. ジ ョ ブ の 投 入 ... 19 3.2.2. ジ ョ ブ の 状 態 表 示 と キ ャ ン セ ル ... 21 3.3. 出 力 フ ァ イ ル の 解 釈 ... 22 3.3.1. Gaussian 98 の リ ン ク 一 覧 ... 22 3.3.2. 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の 結 果 ... 24 3.3.3. 構 造 最 適 化 の 結 果 ... 29 3.3.4. 振 動 計 算 の 結 果 ... 33 3.3.5. 計 算 結 果 の 可 視 化 ... 37 3.3.6. ク イ ッ ク チ ェ ッ ク ... 38

(4)

第 4 章 ト ラ ブ ル シ ュ ー テ ィ ン グ ... 39 Q-1. ジ ョ ブ の 投 入 後 , ま も な く し て エ ラ ー で 計 算 が 停 止 し て し ま い ま す 。 出 力 フ ァ イ ル は 一 応 で き て い る の で す が 。 ... 39 Q-2. 構 造 最 適 化 の 計 算 中 に 点 群 の 定 義 が 変 わ り , 計 算 が ス ト ッ プ し て し ま っ た の で す が 。 ... 40 Q-3. SCF 計 算 が 収 束 せ ず , エ ラ ー と な っ て 停 止 し て し ま う の で す が 。 ... 40 Q-4. 計 算 を 途 中 で キ ャ ン セ ル し て し ま い ま し た 。 計 算 を 続 行 さ せ る こ と は で き ま す か ? ... 41 Q-5. 構 造 最 適 化 の 計 算 に お い て , Non-optimized Parameters の 表 示 が で て , 終 了 し て し ま う の で す が 。 ... 41 Q-6. 構 造 最 適 化 の 計 算 に お い て , L103 内 の 4 つ 収 束 条 件 を 全 て 満 た し て い な い に も か か わ ら ず , Op timized Parameters の 表 示 が で て , 終 了 し て し ま う の で す が 。 ... 42 Q-7. 振 動 計 算 を 行 っ た の で す が , 結 果 と し て 得 ら れ た 振 動 数 の 1 つ が マ イ ナ ス の 値 に な っ て し ま い ま し た 。 ど う い う こ と で し ょ う か ? ... 42 Q-8. 振 動 計 算 中 に 次 の よ う な エ ラ ー が で て , 止 ま っ て し ま っ た の で す が ( メ モ リ ー 不 足 ) 。 ... 42 Q-9. 大 き な 基 底 セ ッ ト を 用 い て 計 算 し て い た ら 次 の よ う な エ ラ ー が で て , 止 ま っ て し ま っ た の で す が ( デ ィ ス ク 容 量 不 足 ) 。 ... 43 Q-10. あ る 分 子 に 関 し て , A さ ん と 同 じ 計 算 レ ベ ル ・ 基 底 セ ッ ト で 計 算 し た に も か か わ ら ず , 違 っ た 結 果 と な り ま し た 。 な ぜ で し ょ う か ? ... 44 Q-11. MaxDisk と は な ん で す か 。 入 力 フ ァ イ ル 中 に 定 義 す る 必 要 が あ り ま す か ? ... 45 Q-12. 入 力 フ ァ イ ル に 作 成 し た 分 子 構 造 の Z-matrix が 正 し い の か を 確 認 し た い の で す が 。 ... 45 参 考 文 献 ... 46 謝 辞 ... 46 付 録 A-1. 基 本 物 理 定 数 お よ び 単 位 の 換 算 ... A-1 A-2. 元 素 の 周 期 表 と 各 元 素 原 子 量 ... A-2

(5)

第 1 章

章 はじめに

はじめに

はじめに

はじめに

Gaussian プ ロ グ ラ ム は , 量 子 化 学 の 理 論 を 土 台 と し た 分 子 軌 道 計 算 を 行 う た め の 代 表 的 ソ フ ト ウ ェ ア で , 物 質 を 構 成 す る 原 子 や 分 子 の 構 造 と 反 応 を 調 べ る 計 算 化 学 の 分 野 で 広 く 用 い ら れ て い ま す 。 Gaussian を 用 い た コ ン ピ ュ ー タ 数 値 計 算 に よ り , 分 子 の エ ネ ル ギ ー や 立 体 構 造 , 双 極 子 モ ー メ ン ト , 分 子 の 振 動 運 動 の 振 動 数 , 熱 力 学 的 諸 量 を 求 め た り , 未 知 の 化 学 反 応 の 経 路 を 予 測 し た り す る こ と が で き ま す 。

Gaussian は John Pople( 1998 年 ノ ー ベ ル 化 学 賞 受 賞 )が 中 心 と な り ,カ ー ネ ギ ー ・ メ ロ ン 大 学 の グ ル ー プ に よ っ て 1970 年 に 最 初 の バ ー ジ ョ ン (Gaussian 70)が 発 表 さ れ ま し た 。 そ の 後 , 多 く の 研 究 者 た ち に よ り 様 々 な 改 良 が 加 え ら れ て き ま し た 。 プ ロ グ ラ ム は 数 年 に 1 度 改 訂 さ れ ,1998 年 に ガ ウ シ ア ン 社 か ら リ リ ー ス さ れ た Gaussian 98 が 現 在 の 最 新 バ ー ジ ョ ン と な っ て い ま す 。 先 に 述 べ た よ う に , Gaussian プ ロ グ ラ ム を 用 い て 色 々 な 種 類 の 量 子 化 学 計 算 を 実 行 す る こ と が で き ま す 。 し か し , 本 手 引 き で は , は じ め て プ ロ グ ラ ム を 利 用 す る 人 向 け に ,原 子 や 分 子 の エ ネ ル ギ ー の 計 算( 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 ),分 子 の 安 定 な 構 造 を 求 め る 計 算( 構 造 最 適 化 ),分 子 内 振 動 の 計 算( 振 動 計 算 )と い う 3 つ の 重 要 か つ 基 本 的 な 計 算 に 限 定 し , 理 解 し や す い よ う で き る だ け 平 易 な 言 葉 を 用 い て 説 明 し て い ま す 。ま ず ,こ の 手 引 き を 十 分 に 活 用 し て ,Gaussian の 基 本 的 な 使 用 法 を マ ス タ ー し て 下 さ い 。 そ の 上 で よ り 高 度 な 使 い 方 を 学 習 し た い 人 に は , ガ ウ シ ア ン 社 発 行 の User ’s Reference マ ニ ュ ア ル [1]お よ び 学 習 書 [2]が 役 立 つ こ と で し ょ う 。 本 手 引 き の 第 2 章 で は , ま ず 計 算 量 子 化 学 の 理 論 の 概 要 と こ の 分 野 で よ く 用 い ら れ る 用 語 に つ い て 述 べ ま す 。理 論 に つ い て は ,Gaussian プ ロ グ ラ ム の 中 核 を な す ab initio 分 子 軌 道 計 算 を 中 心 に 解 説 し ま す 。 Gaussian 98 の 実 践 的 な 使 い 方 の み を 知 り た い 読 者 は , こ の 章 を 飛 ば し て も 差 し 支 え な い で し ょ う 。 第 3 章 で は ,Gaussian 98 で 計 算 を 行 う た め に 必 要 な 入 力 フ ァ イ ル の 作 成 方 法 ,実 行 方 法 , そ し て 計 算 結 果 の 見 方 に つ い て 具 体 例 を あ げ て 解 説 し ま す 。 第 4 章 で は , よ く 生 じ る ト ラ ブ ル に つ い て 事 例 を あ げ て と り 上 げ , そ の 解 決 法 を 述 べ ま す 。 現 在 , 上 智 大 学 電 子 計 算 機 セ ン タ ー の 高 速 演 算 サ ー バ に は , 教 育 研 究 向 け に Gaussian 98 UNIX 版 (Revision A.11.3)が イ ン ス ト ー ル さ れ て い ま す 。本 手 引 き は ,こ こ で の 使 用 を 想 定 し て 作 成 さ れ て い ま す が , ‘3.2. Gaussian 98 の 実 行 ’を 除 い て は 共 通 で あ り , そ の 他 の 環 境 に お い て も 役 立 つ こ と と 思 い ま す 。 こ の 手 引 き が , 学 生 諸 君 の 計 算 量 子 化 学 へ の 興 味 と 好 奇 心 を 奮 い 立 た せ る 一 助 と な っ て く れ る こ と を 願 っ て 止 み ま せ ん 。 2002 年 9 月 髙 橋 和 夫 久 世 信 彦

(6)

第 2 章

章 Gaussian 98 の概要

の概要

の概要

の概要

本 章 で は , 計 算 原 理 と し て 量 子 化 学 の 理 論 の ひ と つ で あ る ab initio 分 子 軌 道 法 に つ い て 解 説 し た 後 , Gaussian 98 プ ロ グ ラ ム パ ッ ケ ー ジ を 簡 単 に 紹 介 し ま す 。 原 子 や 分 子 の エ ネ ル ギ ー の 計 算 を 行 う 際 , 古 典 物 理 学 に 基 づ い た 分 子 力 学 (Molecular Mechanics)シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と 量 子 力 学 に 基 礎 を 置 い た 2 つ の 手 法 が 用 い ら れ ま す 。 量 子 力 学 に 基 づ く 計 算 方 法 は さ ら に 3 つ の 方 法 に 大 別 さ れ ま す 。 ・ 半 経 験 的 方 法 ・ 非 経 験 的 方 法 ( ab initio 法 ) ・ 密 度 汎 関 数 法 こ れ ら 3 つ の 方 法 の 違 い は Schrödinger 方 程 式 ( 次 節 (2-1)式 ) を 解 く 際 の 数 学 的 近 似 の 違 い に よ る も の で す 。Gaussian 98 プ ロ グ ラ ム に は 分 子 力 学 ,半 経 験 的 方 法 ,ab initio 法 ,密 度 汎 関 数 法 各 種 が パ ッ ケ ー ジ さ れ て い て ,簡 便 に そ れ ら の 計 算 を 行 う こ と が で き ま す 。

2.1. 計 算 原 理 (

計 算 原 理 (

計 算 原 理 (

計 算 原 理 ( ab initio 法 )

法 )

法 )

法 )

こ こ で は Gaussian プ ロ グ ラ ム の 中 核 を な す ab initio 分 子 軌 道 法 [3-5]に よ り ,原 子 ま た は 分 子 の エ ネ ル ギ ー を 求 め る 理 論 を 簡 単 に ま と め ま し た 。分 子 力 学 [6],半 経 験 的 方 法 [6,7],そ し て 最 近 よ く 用 い ら れ る 密 度 汎 関 数 法 [2]に つ い て は 参 考 書 を 参 照 し て 下 さ い 。

2.1.1. Born-Oppenheimer 近 似

近 似

近 似

近 似

分 子 の 電 子 状 態 は ,時 間 に 依 存 し な い (time-independent) Schrödinger 方 程 式 を 解 く こ と に よ り 得 ら れ ま す 。 ψ ψ E H = (2-1) n 個 の 電 子 と m 個 の 原 子 核 か ら 成 る 分 子 に 対 す る ハ ミ ル ト ニ ア ン を 原 子 単 位 で あ ら わ す と

∑∑

∑∑

∑∑

∑ ∇

=== = + = > + = > − = m A m A B AB B A n i n i j ij A n i m A iA m A A A n i i R Z Z r Z r M H 1 1 1 1 1 2 1 2 1 2 1 2 1 (2-2) と な り ま す 。 こ こ で MAは 原 子 核 A の 質 量 と 電 子 の 質 量 の 比 で あ り , ZAは 原 子 核 A の 原 子 番 号 で す 。 Born-Oppenheimer 近 似 の も と で は (2-2)式 の 第 2 項 ( 核 の 運 動 エ ネ ル ギ ー ) は 無 視 で き , 最 後 の 項 ( 核 間 反 発 ) は 定 数 と み な せ ま す 。 (2-2)式 の 残 り の 項 は 電 子 ハ ミ ル ト ニ ア ン と 呼 ば れ , m 個 の 原 子 核 の 点 電 荷 か ら な る 場 の n 個 の 電 子 の 運 動 を 記 述 し ま す 。

∑∑

∑∑

∑ ∇

== = + = > − = n i n i j ij n i m A iA A n i i r r Z H 1 1 1 1 2 elec 1 2 1 (2-3)

(7)

電 子 ハ ミ ル ト ニ ア ン に 対 す る Schrödinger 方 程 式 は 次 の よ う に 書 く こ と が で き ま す 。 elec elec elec elecΦ Φ H =ε (2-4) し た が っ て , 固 定 さ れ た 原 子 核 配 置 で の 全 エ ネ ル ギ ー Et o t は (2-5)式 の よ う に な り ま す 。

∑∑

= > + = m A m A B AB B A R Z Z E 1 elec tot ε (2-5)

2.1.2. Hartree-Fock 近 似 と

近 似 と

近 似 と

近 似 と SCF 法

(2-4)式 は 多 電 子 系 の 波 動 関 数 に 対 す る Schrödinger 方 程 式 で あ り , こ れ を 解 く に は 一 般 に は 近 似 解 法 が 用 い ら れ ま す 。 そ の 近 似 解 法 の 一 例 と し て , 変 分 法 を 適 用 し た Hartree-Fock 近 似 に つ い て 述 べ ま す 。 こ れ は 分 子 内 の 一 つ の 電 子 が , 他 の 電 子 の 作 る 平 均 的 電 場 ( 電 子 間 反 発 の ポ テ ン シ ャ ル ) と 原 子 核 の 電 荷 が 作 る 電 場 の 運 動 を 平 均 化 し て 扱 う こ と に よ っ て 1 電 子 問 題 に 置 き 換 え る 方 法 で す 。 電 子 の 波 動 関 数χi を 空 間 軌 道 関 数φi(r)と ス ピ ン 関 数 ( 上 向 き の ス ピ ン をα, 下 向 き の ス ピ ン をβと す る ) の 積 で 表 す と 次 の よ う に な り ま す 。 ) ( ) ( i i i φ α χ = r or χii(r)β(i) (2-6) Pauli の 原 理 を 満 足 す る n 電 子 系 の 波 動 関 数 を Slater 行 列 式 と 呼 び ,次 の よ う に 書 け ま す 。 ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 2 ( ) ( ) 2 ( ) ( ) 2 ( ) ( ) 2 ( ) ( ) 1 ( ) ( ) 1 ( ) ( ) 1 ( ) ( ) 1 ( ) ( ! 1 Ψ 1 2 1 2 2 1 2 2 2 1 1 1 1 1 2 1 1 n n n n n n n n n n n n n n n α φ α φ β φ α φ β φ α φ β φ α φ β φ α φ β φ α φ r r r r r r r r r r r r − − − = L M M M M L L (2-7) 実 際 の 計 算 で は ス ピ ン 関 数 に つ い て 先 に 積 分 し て し ま い , 空 間 軌 道φi(r)だ け に し て 計 算 し ま す 。 (2-3)式 を 水 素 原 子 型 ハ ミ ル ト ニ ア ン ( =− ∇ −

A iA i i r h 1 2 1 2 ) を 用 い て 書 き 換 え る と

∑∑

= > = + = n i n i j ij n i i r h H 1 1 elec 1 (2-8) と な り ,hiは 1 個 の 電 子 の 運 動 エ ネ ル ギ ー と 核 か ら の 引 力 の ポ テ ン シ ャ ル エ ネ ル ギ ー を 表 し ま す 。 ま た (2-8)式 の 第 二 項 を 電 子 i 以 外 の 他 の 電 子 が 作 る 電 場 v と お く こ と に よ っ て 次 の よ う な Fock 演 算 子 f(i)が 得 ら れ ま す 。 ) ( ) (i h vi f = i+ (2-9) 空 間 軌 道 関 数φi(r)は , 次 の Hartree-Fock 方 程 式 を 満 足 し ま す 。 ) ( ) (r i i r i i fφ =εφ (2-10) (2-10)式 は解 析 的 に解 くことができないため ,繰 り 返 し 法 (SCF 法 : Self-Consistent-Field Method)に よ っ て 解 き ま す 。 (2-10)式 で 得 ら れ る 1 電 子 軌 道 エ ネ ル ギ ーεi

(8)

= − + = /2 1 ) 2 ( n j ij ij ii i H J K ε (2-11) と 書 く こ と が で き ま す 。こ こ で Hi i,Ji j,Ki jは そ れ ぞ れ 1 電 子 積 分 ,ク ー ロ ン 積 分 , 交 換 積 分 と 呼 ば れ , 次 の よ う に 定 義 さ れ ま す 。

= 1 *(1) (1) (1)dr i i i ii h H φ φ (2-12) 2 1 12 * *(1) (2) 1 (1) (2)drdr j i j i ij r J =

φ φ φ φ (2-13) 2 1 12 * *(1) (2) 1 (2) (1)drdr j i j i ij r K =

φ φ φ φ (2-14) Ee l e cは Hi iとεiを 用 い て 次 の よ う に 書 け ま す 。 ) ( 2 / 1 elec

= + =n i i ii H E ε (2-15) (2-10)式 の 分 子 軌 道(Molecular Orbital) φi(r)は , 実 際 に は 既 知 の 有 限 個 の 基 底 関 数

(Basis Function)の 線 形 結 合 を 用 い て 次 の よ う に 表 し ま す(Roothaanの SCF 法)。

= ′ = l i i C 1 µ µφµ φ (2-16) 基 底 関 数φµ′ は , 分 子 を 構 成 す る 原 子 の 軌 道 関 数 の 線 形 結 合 か ら 成 り ま す (LCAO: Linear Combination of Atomic Orbitals)。 原 子 の 軌 道 関 数 は , 原 子 中 の 各 電 子 の 軌 道 を 表 現 す る い く つ か の セ ッ ト 関 数 で 表 し ま す 。こ れ を 基 底 セ ッ ト(Basis Set)と い い , 2.1.4 で 詳 し く 解 説 し ま す 。 こ れ ら を す べ て 組 み 合 わ せ る と ,(2-16)式 は 次 の よ う に 書 き 換 え る こ と が で き ま す 。

= = =





=

=

l l m p p p i i i

C

C

d

g

1 1 1 µ µ

φ

µ µ µ µ

φ

(2-17) (2-16)式 を(2-10)式 に 代 入 し , 左 辺 か らφµ′ を か け て 積 分 し ま す 。

∑ ∫

∑ ∫

′ ′ = ′ ′ ν ν µ ν ν φµ φ ε φ φ 1 * 1 *(1) (1) (1)dr (1) (1)dr v i i v i f C C (2-18) こ こ で 重 な り 積 分

′ ′ = (1) (1)dr1 * v Sµν φµ φ (2-19) を 定 義 し て ,(2-18)式 を 行 列 式 の 形 で 表 す と SCe FC= (2-20) と な り , こ れ よ り Hartree-Fock 分 子 軌 道 お よ び 軌 道 エ ネ ル ギ ー を 計 算 す る 問 題 は , (2-20)式 の 展 開 係 数 の 組Cを 求 め る 問 題 と な り ま す 。こ こ でFはFock行 列 と 呼 ば れ , そ の 要 素 は 密 度 行 列

=2n/2 * a a a C C Pµν µ ν (2-21) を 用 い て 次 の よ う に 書 く こ と が で き ま す 。

(9)

] ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( [ ) ( ) ( ) ( ) ( )] ( ) ( )[ ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( * * / * * * / * * *

∑ ∫

∑∫

′ ′ ′ ′ − ′ ′ ′ ′ + ′ ′ = ′ − ′ + ′ ′ = ′ ′ = 2 1 12 2 2 1 12 1 2 1 1 1 d d 2 2 1 1 1 2 1 d d 2 2 1 1 1 d 1 1 1 d 1 1 1 2 1 d 1 1 1 d 1 1 1 r r r r r r r r v n a v a v n a v a a v v r r P h K J h f F φ φ φ φ φ φ φ φ φ φ φ φ φ φ φ φ σ λ µ λ ν µ λ σ µ µ µ µ µν (2-22) こ れ ま で 述 べ た SCF-MO 計 算 の 手 順 を ま と め る と 次 の よ う に な り ま す こ の 一 連 の 手 続 き に お い て , す べ て の 計 算 を 行 う 方 法 を 非 経 験 的 分 子 軌 道 ( ab initio MO) 法 と 呼 び ま す 。 閉 殻 の 基 底 状 態 に あ る 分 子 の 計 算 に は 制 限 つ き (Restricted) Hartree-Fock 法 ( RHF 法 )を 用 い ま す 。こ れ は 2 つ の 電 子 の ス ピ ン 関 数 に 対 し て 同 じ 空 間 関 数 を も ち ま す 。 つ ま り 分 子 が 偶 数 個 (n)の 電 子 を も ち , す べ て の 電 子 が 対 を な し て n/2 個 の 空 間 軌 道 を 占 め て い る こ と に な り ま す 。 一 方 , こ の よ う な 制 限 を も た な い 記 述 法 も あ り , 制 限 な し (Unrestricted) Hartree-Fock 法 ( UHF 法 ) と 呼 ば れ ま す 。 こ の 理 論 は , 開 殻 の 基 底 状 態 お よ び 励 起 状 態 に あ る 分 子 ( イ オ ン , ラ ジ カ ル ) の 計 算 に 適 用 さ れ ま す 。

2.1.3. 電 子 相 関 と

電 子 相 関 と

電 子 相 関 と Møller-Plesset の 摂 動 論

電 子 相 関 と

の 摂 動 論

の 摂 動 論

の 摂 動 論

前 節 で は ,Schrödinger 方 程 式 (2-4)の 近 似 解 法 で あ る Hartree-Fock 法 に つ い て 述 べ ま し た 。し か し Hartree-Fock 法 は ,電 子 間 の 運 動 は 平 均 の 場 と し て 考 え ら れ て い て , 電 子 運 動 の 相 関 ( 電 子 間 の 相 互 作 用 か ら く る エ ネ ル ギ ー ) は 充 分 に 取 り 入 れ ら れ て い ま せ ん 。 こ の 近 似 の 枠 内 に お い て 得 ら れ る Hartree-Fock エ ネ ル ギ ー と 真 の エ ネ ル ギ ー と の 差 を 相 関 エ ネ ル ギ ー (Ec o r r)と 呼 び ま す 。 電 子 相 関 を 考 慮 し た 理 論 は 様 々 な 方 法 が あ り ま す が ,Gaussian 98 プ ロ グ ラ ム で は , 計 算 す べ き 分 子 の 各 原 子 の 原 子 番 号 , 位 置 座 標 , 電 子 数 と 基 底 セ ッ ト を 決 め る 。 (2-20)式 の F, S 行 列 に 必 要 な す べ て の 積 分 を 計 算 す る 。 密 度 行 列 P を 計 算 し , Fock 行 列 の 設 定 を 行 う 。 (2-20)式 を 解 き , 係 数 行 列 C と 軌 道 エ ネ ル ギ ーεを 求 め る 。 C よ り 新 し い 密 度 行 列 P'を つ く る 。 P

P' P=P' 計 算 終 了

(10)

Møller-Plesset の 摂 動 論 , 配 置 間 相 互 作 用 ( Configuration Interaction, CI), Coupled Cluster (CC)法 の 計 算 が 実 行 で き ま す 。 Møller-Plesset の 摂 動 論 で は ハ ミ ル ト ニ ア ン を V H H = 0+λ (2-23) と 分 割 し ま す 。 H0が Hartree-Fock ハ ミ ル ト ニ ア ン で , 波 動 関 数 は L + + + + =ϕ0 λϕ1 λ2ϕ2 λ3ϕ3 ϕ (2-24) と 書 く こ と が で き ま す 。 得 ら れ る エ ネ ル ギ ー は L + + + + = 3 3 2 2 1 0 E E E E E λ λ λ (2-25) と な り ま す 。す な わ ち ,Hartree-Fock エ ネ ル ギ ー は 0 次 と 1 次 の エ ネ ル ギ ー の 和 E0+E1 で あ り ,Ec o r rは 2 次 ,3 次 ・・・ の 摂 動 エ ネ ル ギ ー の 和 と な り ま す 。2 次 の 摂 動 エ ネ ル ギ ー ま で 考 慮 し た 計 算 を MP2 計 算 と 呼 び ま す 。 3 次 , 4 次 , 5 次 ま で の 計 算 は そ れ ぞ れ MP3, MP4, MP5 と な り ま す 。 配 置 間 相 互 作 用 や Coupled Cluster 法 な ど 他 の 高 精 度 エ ネ ル ギ ー 計 算 法 に つ い て は , 参 考 文 献 [1,2]を 参 照 し て 下 さ い 。

2.1.4. 基 底 関 数 と 基 底 セ ッ ト に つ い て

基 底 関 数 と 基 底 セ ッ ト に つ い て

基 底 関 数 と 基 底 セ ッ ト に つ い て

基 底 関 数 と 基 底 セ ッ ト に つ い て

分 子 軌 道 を 組 み 立 て る の に 用 い ら れ る 基 底 関 数 ( (2-17) 式 参 照 ) と し て , 最 初 は Slater 型 軌 道 (STO)に よ る 基 底 セ ッ ト が 用 い ら れ て き ま し た 。し か し ,こ の 関 数 系 で は 積 分 計 算 が 困 難 な の で , 現 在 で は い く つ か の Gauss 関 数 の 和 で 軌 道 を 表 す 方 法 が 一 般 に 採 用 さ れ て い ま す 。 Gaussian プ ロ グ ラ ム で は そ の 名 の と お り , 様 々 な Gauss 型 軌 道 (GTO) に よ る 基 底 セ ッ ト が あ ら か じ め 用 意 さ れ て い ま す 。 そ の 中 か ら 目 的 に あ っ た も の を 選 択 し て 計 算 し ま す 。 例 え ば 1 つ の Slater 型 軌 道 を 3 個 の ガ ウ ス 関 数 の 和 で 表 し て い る 基 底 セ ッ ト が あ り ま す 。 こ れ は STO-3G と 呼 ば れ , 1970 年 代 か ら 広 く 研 究 に 用 い ら れ ま し た 。 現 在 で は ,よ り 関 数 の 数 を 増 や し た 基 底 セ ッ ト [8]が 使 用 さ れ て い ま す 。そ れ ら は 6-31G と か 6-311G と い っ た 名 前 で 呼 ば れ ま す 。6-31G 基 底 は 内 殻 軌 道 が 6 個 の Gauss 型 関 数 か ら な り , 内 側 及 び 外 側 の 原 子 価 軌 道 が そ れ ぞ れ 3 個 と 1 個 の Gauss 型 関 数 か ら な る こ と を 意 味 し て い ま す 。 こ の よ う な 関 数 を ダ ブ ル ゼ ー タ 基 底 セ ッ ト と い い ま す 。同 様 に ,6-311G 基 底 は 原 子 価 軌 道 が 3 種 類 の 関 数 か ら 構 成 さ れ て い る こ と を 意 味 し ま す 。 さ ら に 基 底 セ ッ ト を 改 良 す る 手 段 と し て , 分 極 関 数 (Polarization Function)を 加 え る こ と が で き ま す 。 こ の 関 数 は 原 子 軌 道 を 変 形 さ せ る 効 果 を 与 え ま す 。 例 え ば Li か ら F 原 子 に 対 し d 型 関 数 を 加 え た り (6-31G* ま た は 6-31G(d)), さ ら に 水 素 に p 型 関 数 を 加 え た り (6-31G** ま た は 6-31G(d,p))し ま す 。 ほ か に 軌 道 が 広 が る 効 果 を 与 え る Diffuse 関 数 ( 例 え ば 6-31+G) も 用 意 さ れ て い ま す 。 Gaussian 98 プ ロ グ ラ ム に は , 今 述 べ た よ う な 基 底 セ ッ ト の 他 , Dunning-Hujinaga の 基 底 セ ッ ト [1,2]も 盛 り 込 ま れ て い ま す 。GTO 基 底 セ ッ ト お よ び オ プ シ ョ ン の 詳 細

(11)

は 3.1.4 で 説 明 し ま す 。

2.2. Gaussian 98 を 用 い て 何 が で き る の か

を 用 い て 何 が で き る の か

を 用 い て 何 が で き る の か

を 用 い て 何 が で き る の か

Gaussian 98 プ ロ グ ラ ム で は ,分 子 の 構 造 や 反 応 に 関 わ る 多 く の 性 質 を 計 算 す る こ と が で き ま す 。 本 節 で は , こ の う ち 重 要 か つ 基 本 的 な 3 つ の 機 能 を 説 明 し ま す 。 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 こ の プ ロ グ ラ ム で は , 原 子 や 分 子 の エ ネ ル ギ ー が 計 算 で き ま す 。 対 象 と し て 基 底 状 態 の 分 子・原 子 の 他 ,イ オ ン ,ラ ジ カ ル の 計 算 も で き ま す 。エ ネ ル ギ ー と 同 時 に , 分 子 軌 道 と 軌 道 エ ネ ル ギ ー , 電 荷 分 布 , 双 極 子 モ ー メ ン ト お よ び 多 極 子 モ ー メ ン ト も 得 ら れ ま す 。 分 子 の 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 を 行 う 際 に は , 構 造 パ ラ メ ー タ ( 原 子 間 距 離 , 結 合 角 ) あ る い は 核 の 位 置 座 標 を 定 義 す る 必 要 が あ り ま す 。 定 義 の 仕 方 の 詳 細 は , 3.1.5 で 例 を あ げ て 説 明 し ま す 。 構 造 最 適 化 構 造 最 適 化 構 造 最 適 化 構 造 最 適 化 先 に 述 べ た 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 を 行 う た め に は , あ ら か じ め 分 子 の 構 造 パ ラ メ ー タ が 必 要 に な り ま す が , 実 際 に は 未 知 の 場 合 も 多 い は ず で す 。 そ こ で , 収 斂 計 算 を 行 う こ と に よ っ て 平 衡 構 造 を 決 定 し よ う と い う の が 構 造 最 適 化 で す 。 構 造 パ ラ メ ー タ あ る い は 核 の 位 置 座 標 に よ っ て 分 子 ( ラ ジ カ ル , イ オ ン ) の エ ネ ル ギ ー は 異 な っ て き ま す 。 そ こ で , 分 子 の 構 造 パ ラ メ ー タ を 少 し ず つ 変 化 さ せ て い き な が ら , そ の 都 度 エ ネ ル ギ ー を 求 め て ゆ き ま す 。こ の よ う に し て n 次 元( n: 最 適 化 す る パ ラ メ ー タ の 数 )の ポ テ ン シ ャ ル エ ネ ル ギ ー 曲 面 を 作 成 し ,そ の 極 小 を 探 し 出 す こ と に よ り , 分 子 の 安 定 な 平 衡 構 造 が 得 ら れ ま す 。 振 動 計 算 振 動 計 算 振 動 計 算 振 動 計 算 平 衡 配 置 に お け る ポ テ ン シ ャ ル 曲 面 の 2 次 微 分 か ら 力 の 定 数 を 計 算 し , 赤 外 ・ ラ マ ン ス ペ ク ト ル の 基 準 振 動 数 を 求 め る こ と が で き ま す 。 さ ら に 零 点 エ ネ ル ギ ー や エ ン タ ル ピ ー な ど の 物 理 量 も 求 め ら れ ま す 。振 動 計 算 は , 平 衡 構 造 す な わ ち 最 適 化 を振 動 計 算 は , 平 衡 構 造 す な わ ち 最 適 化 を振 動 計 算 は , 平 衡 構 造 す な わ ち 最 適 化 を振 動 計 算 は , 平 衡 構 造 す な わ ち 最 適 化 を 行 っ た 構 造 の も と で 行 わ れ な く て は 意 味 が あ り ま せ ん 。 行 っ た 構 造 の も と で 行 わ れ な く て は 意 味 が あ り ま せ ん 。 行 っ た 構 造 の も と で 行 わ れ な く て は 意 味 が あ り ま せ ん 。 行 っ た 構 造 の も と で 行 わ れ な く て は 意 味 が あ り ま せ ん 。 Gaussian 98 で は , さ ら に 以 下 の よ う な 計 算 が で き ま す 。 ・ 遷 移 状 態 の エ ネ ル ギ ー と 構 造 ・ 励 起 状 態 の エ ネ ル ギ ー と 構 造 ・ イ オ ン 化 ポ テ ン シ ャ ル な ど の 熱 化 学 的 諸 量 ・ ポ テ ン シ ャ ル エ ネ ル ギ ー 面 の 探 索 に よ る 化 学 反 応 の 反 応 経 路 の 追 跡 ・ NMR 物 性 こ の よ う な 計 算 を 行 う こ と に よ っ て , 実 験 で 見 つ か っ て い な い 新 し い 化 学 種 や 化 学 反 応 過 程 を 予 測 す る こ と が で き ま す 。計 算 の 詳 細 は 参 考 文 献 [1,2]を 参 照 し て 下 さ い 。

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第 3 章

章 Gaussian98 の基本的な使い方

の基本的な使い方

の基本的な使い方

の基本的な使い方

本 章 で は Gaussian 98 の 基 本 的 な 利 用 法 と し て ,一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 ,構 造 最 適 化 , 基 準 振 動 の 計 算 を 中 心 に , 入 力 フ ァ イ ル の 作 成 か ら プ ロ グ ラ ム の 実 行 , 計 算 結 果 の 解 説 に 至 る ま で 説 明 し ま す 。

3.1. 入 力 フ ァ イ ル の 作 成

入 力 フ ァ イ ル の 作 成

入 力 フ ァ イ ル の 作 成

入 力 フ ァ イ ル の 作 成

Gaussian 98 を 実 行 さ せ る に あ た っ て ,ま ず 入 力 フ ァ イ ル を 作 成 す る 必 要 が あ り ま す 。 入 力 フ ァ イ ル は 次 の い ず れ か の 方 法 で 作 成 し ま す 。 1. UNIX 上 で vi や Emacs 等 の 画 面 エ デ ィ タ を 用 い て 作 成 す る 。 2. PC 上 で 秀 丸 ,EmEditor 等 の テ キ ス ト エ デ ィ タ ,MS-WORD 等 の ワ ー プ ロ ,あ る い は Windows 付 属 の ノ ー ト パ ッ ド 等 を 用 い て 作 成 す る 。 Gaussian 98 は UNIX 上 で 実 行 さ せ ま す の で , 2 の 方 法 で 作 成 し た 場 合 に は , FTP 等 に よ り PC か ら UNIX に フ ァ イ ル 転 送 を 行 う 必 要 が あ り ま す 。 こ れ ら 入 力 フ ァ イ ル を 作 成 す る た め の ソ フ ト ウ ェ ア お よ び FT P ク ラ イ ア ン ト ソ フ ト の 使 用 法 に 関 し て は , 関 連 マ ニ ュ ア ル を 参 照 し て 下 さ い 。

3.1.1. 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の 具 体 例

一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の 具 体 例

一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の 具 体 例

一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の 具 体 例

フ ッ 化 水 素 の 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 を 行 う た め の 入 力 フ ァ イ ル の 一 例 を 表 3-1 に 示 し ま す 。 表 3-1. フ ッ 化 水 素 の 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の た め の 入 力 フ ァ イ ル $rungauss ; 01 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/hf ; 02 #P SP HF/6-31G(d) ; 03 ; 04

Single-Point Calculation for HF ; 05

; 06 0 1 ; 07 H1 ; 08 F2 1 0.900 ; 09 こ の 入 力 フ ァ イ ル は 全 部 で 9 行 か ら な り ま す 。 右 の セ ミ コ ロ ン (;)の 後 の 数 字 は 説 明 の た め の 行 番 号 で , 実 際 に 入 力 フ ァ イ ル を 作 成 す る 際 に は セ ミ コ ロ ン も 含 み 無 視 し て 下 さ い 。フ ァ イ ル の 指 定 を 意 味 す る 02 行 目 を 除 い て 大 文 字・小 文 字 の 区 別 は あ り ま せ ん 。ど ち ら を 用 い て も 自 由 で す 。し か し ,空 白 行 に は 意 味 が あ り ま す 。以 下 に , 各 行 の 意 味 を 説 明 し ま す 。

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表 3-2. フ ッ 化 水 素 の 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の た め の 入 力 フ ァ イ ル の 説 明 01 : プ ロ グ ラ ム 実 行 コ マ ン ド ( 全 て の ジ ョ ブ で 共 通 か つ 不 可 欠 ) 02 : チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル の 指 定 。 本 文 参 照 。 03 : ル ー ト セ ク シ ョ ン 。 本 文 参 照 。 04 : 空 白 行 。 05 : タ イ ト ル セ ク シ ョ ン 。ど の よ う な 計 算 を 行 っ た か あ と で わ か る よ う に タ イ ト ル を 任 意 に 入 力 す る ( 計 算 結 果 に は 無 関 係 )。 06 : 空 白 行 。 07 : 分 子 ( 原 子 , ラ ジ カ ル , イ オ ン ) の 電 荷 と ス ピ ン 多 重 度 。 整 数 型 で 表 記 す る 。 08, 09 : 構 成 原 子 の 座 標 設 定 , Z-matrix 形 式 。 こ こ で ,い く つ か の 補 足 説 明 を し て お き ま す 。02 行 目 で は ,チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル を 指 定 し て い ま す 。 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル と は , 分 子 軌 道 , 分 子 構 造 , 力 の 定 数 等 の 主 要 計 算 結 果 を バ イ ナ リ 形 式 で 保 存 し た フ ァ イ ル の こ と で す 。 再 計 算 の 際 に こ れ ら を 読 み 出 す こ と に よ っ て , 入 力 フ ァ イ ル の 簡 略 化 , 計 算 時 間 の 短 縮 化 を 図 る こ と が で き ま す 。一 回 き り の 計 算 で は 読 み 出 す 機 会 が な い た め に ,あ ま り メ リ ッ ト は あ り ま せ ん が , 後 述 す る よ う に 高 精 度 エ ネ ル ギ ー 計 算 を 行 う 際 な ど に 有 効 と な る た め ,定 義 す る 習 慣 を つ け て 下 さ い 。例 で は ,/shome/rikou/sophia/g98 と い う デ ィ レ ク ト リ 内 の hf.chk( 拡 張 子 chk は 自 動 的 に 付 加 さ れ る ) と い う チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル を 指 定 し た こ と に な り ま す 。 デ ィ レ ク ト リ の 指 定 は 必 ず 絶 対 パ ス で 記 述 し て 下 さ い 。 03 行 目 は ル ー ト セ ク シ ョ ン と い い ,Gaussian 98 に ど の よ う な ジ ョ ブ を ど の よ う な 精 度 ( 条 件 ) で 実 行 さ せ る か を 表 記 し た 入 力 フ ァ イ ル の 中 枢 部 で , 一 般 に は 以 下 の フ ォ ー マ ッ ト で 記 述 し ま す 。 #P ( ジ ョ ブ の 種 類ジ ョ ブ の 種 類ジ ョ ブ の 種 類ジ ョ ブ の 種 類 ) ( 計 算 レ ベ ル計 算 レ ベ ル計 算 レ ベ ル )/( 基 底 セ ッ ト計 算 レ ベ ル 基 底 セ ッ ト基 底 セ ッ ト基 底 セ ッ ト ) ル ー ト セ ク シ ョ ン の 各 キ ー ワ ー ド の 記 述 順 序 は 問 い ま せ ん 。 例 で は ジ ョ ブ の 種 類 と し て 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 を 示 す SP, 計 算 レ ベ ル と し て Hartree-Fock 計 算 を 示 す HF の キ ー ワ ー ド が そ れ ぞ れ 入 力 さ れ て い ま す 。 2.1.2 で 説 明 し た よ う に , Hartree-Fock 計 算 に は 制 限 つ き (RHF)と 制 限 な し (UHF)の 2 種 類 が あ り ま す 。HF を 入 力 し た 場 合 , ス ピ ン 多 重 度 が 1 の 閉 殻 系 で は RHF 計 算 を , 2 以 上 の 開 殻 系 で は UHF 計 算 を 行 う よ う に な っ て い ま す 。 な お , ス ピ ン 多 重 度 が 1 で あ っ て も 制 限 な し Hartree-Fock 計 算 を 行 い た い 特 殊 な 場 合 に は ,UHF と 入 力 し ま す 。基 底 セ ッ ト に は 6-31G(d)を 用 い ま す 。 Gaussian 98 で 用 い る こ と が で き る 計 算 レ ベ ル , 基 底 セ ッ ト は , 3.1.3 お よ び 3.1.4 で あ ら た め て 説 明 し ま す 。ま た ,詳 細 は Gaussian 98 User's Reference [1]を 参 照 し て 下 さ い 。

08 と 09 行 目 で は , 分 子 を 構 成 し て い る 原 子 の 座 標 を 設 定 し て い ま す 。 座 標 は , 通 常 Z-matrix と い う 表 記 法 を 用 い ま す 。Z-matrix の ル ー ル に つ い て は ,3.1.5 で 詳 し

(14)

く 説 明 し ま す 。 例 で は , H 原 子 と F 原 子 と が 距 離 0.900 Å だ け 離 れ て 存 在 す る こ と を 示 し て い ま す 。

3.1.2. 構 造 最 適 化 と 振 動 計 算 の 具 体 例

構 造 最 適 化 と 振 動 計 算 の 具 体 例

構 造 最 適 化 と 振 動 計 算 の 具 体 例

構 造 最 適 化 と 振 動 計 算 の 具 体 例

本 節 で は , フ ッ 化 水 素 の 構 造 最 適 化 お よ び 振 動 計 算 を 行 う た め の 入 力 フ ァ イ ル に つ い て 説 明 し ま す 。 表 3-3. フ ッ 化 水 素 の 構 造 最 適 化 お よ び 振 動 計 算 の た め の 入 力 フ ァ イ ル $rungauss ; 01 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/hf ; 02 #P Opt=Z-matrix HF/6-31G(d) ; 03 ; 04

Geometry Optimization for HF ; 05

; 06 0 1 ; 07 H1 ; 08 F2 1 rHF ; 09 ; 10 rHF=0.910 ; 11 ; 12 --Link1-- ; 13 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/hf ; 14 #P Freq HF/6-31G(d) Geom=check ; 15 ; 16

Frequency Calculation for HF ; 17

; 18 0 1 ; 19 こ の 例 に お い て も , チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル の 指 定 行 で あ る 02, 14 行 目 を 除 い て は 大 文 字 ・ 小 文 字 の 区 別 は あ り ま せ ん 。 し か し , 空 白 行 に は 意 味 が あ り ま す 。 表 3-3 を 一 点 計 算 の 入 力 フ ァ イ ル (表 3-1)と 比 較 し て み て 下 さ い 。ま ず ,03 行 目 に 示 し た ル ー ト セ ク シ ョ ン 中 の ジ ョ ブ の 種 類 が 異 な っ て い る の が わ か り ま す 。 構 造 最 適 化 を す る 場 合 に は Opt と い う キ ー ワ ー ド を 用 い ま す 。例 で は Opt=Z-matrix と な っ て い ま す が , こ れ は 後 で 学 ぶ Z-matrix と い う 座 標 系 の も と で 構 造 最 適 化 を 行 う と い う 意 味 で , 計 算 結 果 が 理 解 し や す い の が 特 徴 で す 。 は じ め の う ち は こ の オ プ シ ョ ン を つ け て お い た 方 が よ い で し ょ う 。 09 行 目 で は 0.910 (Å)と い う 数 値 が rHF と い う ( 任 意 の )文 字 列 に 置 き 換 わ っ て い ま す 。こ こ に 文 字 列 を 置 く こ と に よ っ て H 原 子 と F 原 子 と の 距 離 が 変 数 扱 い と な り , エ ネ ル ギ ー が 最 小 と な る よ う に 最 適 化 が 行 わ れ ま す 。 空 白 行 を は さ ん で , 11 行 目 以 降 に 定 義 し た 変 数 の 初 期 値 を 記 述 し ま す 。 こ の 初 期 値 は 実 数 型 で 表 記 さ れ て い な く て は な り ま せ ん 。

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表 3-3 の 01~11 行 目 は 構 造 最 適 化 に 関 す る 部 分 だ と い う こ と が わ か り ま し た 。 そ れ 以 降 は , 最 適 化 を 行 っ た 後 の 分 子 構 造 の も と で 振 動 計 算 を 行 う た め の 記 述 で す 。 量 子 力 学 的 エ ネ ル ギ ー を 古 典 力 学 的 エ ネ ル ギ ー に 変 換 す る た め に は 零 点 振 動 の 補 正 が 必 要 な の で , 構 造 最 適 化 の 後 に 振 動 計 算 を 行 う の が 一 般 的 で す 。 勿 論 , 構 造 最 適 化 と 振 動 計 算 の 入 力 フ ァ イ ル を 別 々 に し て も か ま い ま せ ん が , こ こ で は 一 つ の フ ァ イ ル に 複 数 の ジ ョ ブ を 記 述 す る た め の 方 法 を 説 明 し ま す 。表 3-3 の 13 行 目 に あ る よ う に --Link1-- と い う キ ー ワ ー ド で 個 々 の ジ ョ ブ を 区 切 り ま す 。 さ ら に , そ の 前 行 は 空 白 行 と し ま す 。15 行 目 は 振 動 計 算 の た め の ル ー ト セ ク シ ョ ン で す が ,振 動 計 算 を 表 す キ ー ワ ー ド Freq 以 外 に Geom=check と い う 新 し い 記 述 が 見 ら れ ま す 。 こ れ は , 計 算 に 必 要 な 構 成 原 子 の 座 標 を 入 力 フ ァ イ ル か ら 読 む の で は な く ,14 行 目 で 指 定 し た チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル か ら 読 み 込 む よ う に と い う オ プ シ ョ ン で す 。 2.2 で 述 べ た よ う に , 振 動 計 算 は 最 適 化 さ れ た 分 子 構 造 の も と で の み 意 味 が あ り ま す が , 未 だ 構 造 最 適 化 を 行 っ て い な い 段 階 で 座 標 を 入 力 す る わ け に は い き ま せ ん 。 そ こ で , 構 造 最 適 化 の 結 果 を 02 行 目 で 定 義 し た チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル に 格 納 し て お き , 振 動 計 算 す る と き に 利 用 し よ う と い う わ け で す 。

3.1.3. 計 算 レ ベ ル

計 算 レ ベ ル

計 算 レ ベ ル

計 算 レ ベ ル

2.1.3 で は ,Hartree-Fock 計 算 (HF),お よ び Møller-Plesset の 摂 動 論 に よ っ て 電 子 相 関 の 補 正 を 施 し た MPn 計 算 に つ い て 説 明 し ま し た 。こ こ で は ,ル ー ト セ ク シ ョ ン に 用 い ら れ る ジ ョ ブ の 種 類 と 各 計 算 レ ベ ル と の 組 み 合 わ せ に つ い て に ま と め ま す ( 表 3-4)。 表 3-4. ジ ョ ブ の 種 類 と 計 算 レ ベ ル と の 組 み 合 わ せ 低 ← 計 算 レ ベ ル → 高 種 類 HF MP2 MP3 MP4 MP5 SP ○ ○ ○ ○ ○ Opt ○ ○ ○ × × Freq ○ ○ × × × SP: 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 , Opt: 構 造 最 適 化 , Freq: 振 動 計 算 MPn 法 で は 2 次 か ら 5 次 ま で の 計 算 (MP2∼ MP5)が 可 能 で , 高 次 の 補 正 が 行 わ れ る 方 が よ り 正 確 で す が ,多 く の 計 算 機 の リ ソ ー ス と 計 算 時 間 を 費 や し ま す 。実 際 に は , ア ル ゴ リ ズ ム の 関 係 上 計 算 効 率 の よ い ,偶 数 次 の MP2 と MP4 が よ く 用 い ら れ ま す 。 こ こ で 注 意 し な く て は い け な い の は , 振 動 計 算 は MP2 ま で , 構 造 最 適 化 は MP3 ま で で あ り , こ れ よ り 高 い 計 算 レ ベ ル で は サ ポ ー ト さ れ て い ま せ ん 。

3.1.4. 基 底 セ ッ ト

基 底 セ ッ ト

基 底 セ ッ ト

基 底 セ ッ ト

2.1.4 で 説 明 し た GTO 基 底 セ ッ ト の う ち , Gaussian 98 で 用 い る こ と の で き る も の

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を 表 3-5 に 示 し ま す 。 表 3-5. Gaussian 98 で 利 用 可 能 な GTO 基 底 セ ッ ト 基 底 セ ッ ト 最 大 分 極 関 数 最 大 Diffuse 関 数 適 応 可 能 な 原 子 STO-3G * 付 加 で き な い H – Xe 3-21G * or ** + H – Xe 6-21G (d) 付 加 で き な い H – Cl 4-31G (d) or (d,p) 付 加 で き な い H – Ne 6-31G (3df,3pd) ++ H – Kr 小 ↑ ↓ 大 6-311G (3df,3pd) ++ H – Kr 最 近 の 計 算 機 技 術 の 目 覚 し い 発 展 に よ り , 大 き な 基 底 セ ッ ト を 採 用 す る 傾 向 に あ り ま す 。 実 際 に は 6-31G あ る い は 6-311G を ベ ー ス に し て , 分 極 お よ び Diffuse 関 数 を 付 加 し た 基 底 セ ッ ト を 用 い る こ と が 多 い よ う で す 。 ま た , 予 備 計 算 で は 最 も 小 さ な STO-3G 基 底 セ ッ ト を 用 い る こ と も あ り ま す 。

3.1.5. 座 標 の 入 力 (

座 標 の 入 力 (

座 標 の 入 力 ( Z-matrix)

座 標 の 入 力 (

入 力 フ ァ イ ル に は 分 子 を 構 成 し て い る 原 子 の 座 標 を 指 定 す る こ と が 必 要 で す 。 Gaussian98 に 限 ら ず , 多 く の 量 子 化 学 計 算 ソ フ ト で は 分 子 構 造 を 表 現 す る の に Z-matrix を 用 い ま す 。 本 節 で は Z-matrix の 表 記 法 に つ い て , 具 体 例 を 示 し な が ら 説 明 し ま す 。 単 原 子 分 子 の 単 原 子 分 子 の 単 原 子 分 子 の 単 原 子 分 子 の Z-matrix 表 3-6 は ,単 原 子 分 子( あ る い は ラ ジ カ ル ,イ オ ン )の 例 と し て ア ル ゴ ン の Z-matrix を 示 し た も の で す 。 表 3-6. ア ル ゴ ン の Z-matrix Ar1 ; 01 こ の 場 合 の 構 成 原 子 は ア ル ゴ ン 1 個 だ け で あ り , ど こ へ お い て も よ い の で 座 標 を 入 力 す る 必 要 は あ り ま せ ん 。原 子 の 種 類 だ け を 指 定 し ま す 。Gaussian 98 で は , 原 子 の 指 定 に は 元 素 記 号 を 用 い ま す 。 表 3-6 に お い て , 元 素 記 号 に 続 い て 番 号 が 書 か れ て い ま す が , こ れ は 構 成 原 子 の 通 し 番 号 で す 。 な く て も 問 題 は あ り ま せ ん が , 複 雑 な 分 子 を 表 現 す る 際 に 通 し 番 号 が あ る と 便 利 な の で ,つ け る よ う に 習 慣 づ け ま し ょ う 。 ニ 原 子 分 子 の ニ 原 子 分 子 の ニ 原 子 分 子 の ニ 原 子 分 子 の Z-matrix 表 3-7 は , 二 原 子 分 子 の 例 と し て フ ッ 化 水 素 の Z-matrix を 示 し た も の で す 。 表 3-7.フ ッ 化 水 素 の Z-matrix H1 ; 01

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F2 1 rHF ; 02 ; 03 rHF=0.910 ; 04 フ ッ 化 水 素 は H お よ び F 原 子 が 各 1 個 ず つ で 構 成 さ れ て い ま す 。 最 初 に 定 義 す る 原 子 は H で も F で も か ま い ま せ ん が ,例 で は H 原 子 を 定 義 し て い ま す (01 行 目 )。最 初 に お く 原 子 は ど こ に あ っ て も か ま わ な い の で , そ の 座 標 を 指 定 す る 必 要 は あ り ま せ ん 。 次 に F 原 子 を お き ま す が , こ れ に つ い て は 座 標 入 力 が 必 要 で す 。 一 般 に , 2 番 目 に お く 原 子 は 02 行 の よ う に 表 記 し ま す 。 02 行 目 は , F2 は 原 子 1(H1)か ら rHF だ け 離 れ た と こ ろ に 配 置 す る と い う 意 味 で す 。 非 直 線 三 原 子 分 子 の 非 直 線 三 原 子 分 子 の 非 直 線 三 原 子 分 子 の 非 直 線 三 原 子 分 子 の Z-matrix 非 直 線 の 三 原 子 分 子 の 例 と し て , 水 の Z-matrix を 表 3-8 に 示 し ま す 。 表 3-8. 水 の Z-matrix O1 ; 01 H2 1 rOH1 ; 02 H3 1 rOH2 2 aHOH ; 03 ; 04 rOH1=0.960 ; 05 rOH2=0.961 ; 06 aHOH=100.0 ; 07 01 と 02 行 目 に 関 し て は 表 3-7 と 同 様 で す 。3 番 目 に お く 原 子 (H3)は 二 次 元 の 座 標 を 指 定 す る 必 要 が あ り ま す が ,Z-matrix で は 結 合 距 離 と 結 合 角 と い う 形 で 表 記 し ま す 。 03 行 目 は , H3 は 原 子 1 か ら rOH2 だ け 離 れ て , か つ 原 子 3, 1, 2 の 結 合 角 が aHOH ( 単 位 は 度 )と な る よ う に 配 置 す る と い う 意 味 で す 。Gaussian 98 で は ,結 合 角 a は 0º < a < 180º の 範 囲 で な く て は な り ま せ ん 。 非 直 線 多 原 子 分 子 の 非 直 線 多 原 子 分 子 の 非 直 線 多 原 子 分 子 の 非 直 線 多 原 子 分 子 の Z-matrix 非 直 線 の 多 原 子 分 子 の 例 と し て , ク ロ ロ メ タ ン の Z-matrix を 表 3-9 に 示 し ま す 。 表 3-9. ク ロ ロ メ タ ン の Z-matrix C1 ; 01 Cl2 1 r2 ; 02 H3 1 r3 2 a3 ; 03 H4 1 r4 2 a4 3 d4 ; 04 H5 1 r5 2 a5 3 d5 ; 05 ; 06 r2=1.760 ; 07 r3=1.090 ; 08

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r4=1.091 ; 09 r5=1.092 ; 10 a3=109.5 ; 11 a4=109.6 ; 12 a5=109.7 ; 13 d4=120.1 ; 14 d5=-120.2 ; 15 01 か ら 03 行 目 ま で の 表 記 は こ れ ま で と 変 わ り ま せ ん が ,4 番 目 以 降 に お く 原 子 は 三 次 元 の 座 標 を 指 定 す る 必 要 が あ り ま す 。 結 合 距 離 , 結 合 角 に 加 え て 二 面 角 と い う 形 で 表 記 し ま す 。 04 行 目 は , H4 は 原 子 1 と r4 だ け 離 れ て ,原 子 4, 1, 2 の 結 合 角 が a4, 原 子 4, 1, 2, 3 の 二 面 角 が d4 と な る よ う に 配 置 す る と い う 意 味 で す 。 二 面 角 は 次 の よ う に 定 義 さ れ ま す 。 図 3-1 に 示 す よ う に , 原 子 1, 2, 3 で 構 成 さ れ る 平 面αと 原 子 4, 1, 2 で 構 成 さ れ る 平 面 βと の な す 角 が 二 面 角 と な り ま す 。 図 3-2 は 原 子 1, 2 を 結 ぶ 線 に 垂 直 の 平 面 か ら み た 場 合 で す が , こ の 方 向 か ら み る と 原 子 3, 1, 4 の な す 角 が 二 面 角 と な り ま す 。 Gaussian 98 で は , 二 面 角 d は -360º < d < 360º の 範 囲 で 許 さ れ ま す 。

3.1.6. 分 子 の 対 称 性

分 子 の 対 称 性

分 子 の 対 称 性

分 子 の 対 称 性

表 3-8 に 示 し た 水 の Z-matrix を み て 下 さ い 。3 つ の 分 子 構 造 パ ラ メ ー タ (rOH1, rOH2, aHOH)が 定 義 さ れ て い ま す 。 し か し , 2 つ の OH 結 合 は 等 価 な も の で あ り , そ の 値 は 同 一 に な る と 考 え ら れ ま す 。 こ の よ う な 場 合 に は ,表 3-10 の よ う に 変 数 を 一 つ に ま と め る こ と が で き ま す 。 表 3-10. 水 の Z-matrix ( 対 称 性 を 考 慮 し た 場 合 ) O1 ; 01 H2 1 rOH ; 02 H3 1 rOH 2 aHOH ; 03 ; 04 rOH=0.960 ; 05 aHOH=100.0 ; 06 表 3-10 の よ う に す る と 分 子 パ ラ メ ー タ は 二 つ と な り ,構 造 最 適 化 を 行 う と き に 計 算 時 間 を 短 縮 す る こ と が で き ま す 。 こ の よ う に 対 称 性 を 考 え , 変 数 を 減 ら し て Z-matrix を 記 述 す る こ と は 大 切 な こ と 図 3-1. 二 面 角 1 図 3-2. 二 面 角 2

C

1

Cl

2

H

3

H

4

H

5

α

β

d

C

1

H

3

H

4

d

(19)

で す 。し か し ,万 が 一 誤 っ た 対 称 性 を 仮 定 し て し ま う と ,計 算 エ ラ ー と な っ て し ま っ た り , 間 違 っ た 計 算 結 果 を 得 る こ と に な り ま す の で 十 分 に 注 意 し て 下 さ い 。 対 称 性 に つ い て わ か ら な い と き に は , 表 3-8 の よ う に 対 称 性 を 崩 し て 記 述 し て お く の が 無 難 で し ょ う 。な お ,こ の 場 合 rOH1 と rOH2 の 初 期 値 を 等 し く お い て し ま う と ,Gaussian 98 は rOH1 と rOH2 を 同 一 な も の と 自 動 的 に 判 断 し て し ま い , 表 3-10 の 記 述 と 同 じ も の と し て 計 算 し て し ま い ま す 。 対 称 性 を あ え て 崩 し て 計 算 を 行 い た い 場 合 に は , 異 な る 名 前 の 変 数 を 定 義 す る だ け で な く , 初 期 値 も ( 少 し だ け で 結 構 で す か ら ) 変 え る こ と を 忘 れ な い で く だ さ い 。

3.1.7. ダ ミ ー 原 子

ダ ミ ー 原 子

ダ ミ ー 原 子

ダ ミ ー 原 子

分 子 の 構 成 原 子 の 座 標 を 与 え る 際 , 仮 想 の 原 子 を 利 用 す る と Z-matrix の 表 記 が 簡 単 か つ 理 解 し や す く な る 場 合 が あ り ま す 。 Gaussian 98 で は , こ の 仮 想 の 原 子 を ダ ミ ー 原 子 (X) と し て 入 力 を 認 め て い ま す 。 例 え ば , 四 面 体 構 造 を も つ ア ン モ ニ ア 分 子 の 場 合 ,図 3-3 の よ う に ダ ミ ー 原 子 を お く と 表 3-11 の よ う に 簡 略 化 さ れ ま す 。 表 3-11. ア ン モ ニ ア の Z-matrix ( ダ ミ ー 原 子 を 使 用 し た 場 合 ) N1 ; 01 X2 1 1.0 ; 02 H3 1 rNH 2 aXNH ; 03 H4 1 rNH 2 aXNH 3 120.0 ; 04 H5 1 rNH 2 aXNH 3 -120.0 ; 05 ; 06 rNH=1.000 ; 07 aXNH=70.0 ; 08 た だ し , こ れ を 用 い る と 見 か け 上 の パ ラ メ ー タ の 数 が 増 え て し ま う た め , 実 際 に 最 適 化 す べ き パ ラ メ ー タ が 3N-6 個( 非 直 線 分 子 の 場 合 )を 超 え な い よ う に 注 意 し て 下 さ い 。 ダ ミ ー 原 子 は あ く ま で も Z-matrix の 定 義 に 用 い る だ け で , 分 子 の エ ネ ル ギ ー 計 算 に は 影 響 を 与 え ま せ ん 。 そ の ほ か の 例 と し て , 直 線 分 子 の Z-matrix を 作 成 す る 際 に ダ ミ ー 原 子 は 不 可 欠 で す 。 と い う の は , Gaussian 98 で は , 結 合 角 a は 0º < a < 180º の 範 囲 で な く て は な ら ず , 180º の 入 力 は 認 め ら れ て い な い か ら で す 。 こ の 場 合 の 例 と し て , シ ア ン 化 水 素 の Z-matrix を 表 3-12 に 示 し ま す 。 表 3-12. シ ア ン 化 水 素 の Z-matrix C1 ; 01 N2 1 rCN ; 02 図 3-3. ダ ミ ー 原 子 (NH3)

N

1

X

2

H

3

H

4

H

5

(20)

X2 1 1.0 2 90.0 ; 03 H3 1 rCH 3 90.0 2 180.0 ; 04 ; 05 rCN=1.090 ; 06 rCH=1.450 ; 07

3.1.8. 構 造 パ ラ メ ー タ の 初 期 値

構 造 パ ラ メ ー タ の 初 期 値

構 造 パ ラ メ ー タ の 初 期 値

構 造 パ ラ メ ー タ の 初 期 値

構 造 最 適 化 を 行 う 際 に 必 要 な 構 造 パ ラ メ ー タ の 初 期 値 の う ち , 結 合 距 離 に つ い て は 表 3-13 を 参 考 に し て 下 さ い 。 表 3-13. 標 準 結 合 距 離 表 ( 一 重 結 合 の 値 ) [6] H Li Be B C N O F Na Mg Al Si P S Cl H 0.75 1.64 1.33 1.19 1.09 1.00 0.96 0.91 1.91 1.71 1.58 1.48 1.41 1.33 1.27 Li 2.81 2.47 2.05 2.01 1.75 1.59 1.56 2.88 2.76 2.64 2.52 2.44 2.36 2.33 Be 2.12 1.90 1.70 1.50 1.40 1.37 2.62 2.50 2.38 2.26 2.17 2.09 2.06 B 1.68 1.57 1.39 1.34 1.31 2.35 2.23 2.11 1.99 1.91 1.83 1.80 C 1.54 1.45 1.40 1.36 2.31 2.19 2.07 1.95 1.87 1.79 1.76 N 1.41 1.40 1.39 2.29 2.17 2.05 1.93 1.85 1.77 1.74 O 1.40 1.38 2.27 2.15 2.03 1.91 1.83 1.75 1.72 F 1.34 2.25 2.13 2.01 1.89 1.81 1.73 1.70 Na 3.13 3.00 2.84 2.72 2.64 2.56 2.36 Mg 2.90 2.72 2.60 2.52 2.44 2.23 Al 2.60 2.48 2.40 2.32 2.12 Si 2.35 2.28 2.21 2.07 P 2.21 2.14 2.10 S 2.06 2.03 Cl 1.99 一 方 , 結 合 角 お よ び 二 面 角 に つ い て は , 結 合 に 関 与 す る 軌 道 の 方 向 性 や 対 称 性 を 考 慮 し て 入 力 し て 下 さ い 。 こ れ ら の 構 造 パ ラ メ ー タ は , 実 数 型 で 与 え な け れ ば な り ま せ ん 。

3.1.9. 完 全 最 適 化 と 部 分 最 適 化

完 全 最 適 化 と 部 分 最 適 化

完 全 最 適 化 と 部 分 最 適 化

完 全 最 適 化 と 部 分 最 適 化

構 造 最 適 化 に つ い て は 既 に 3.1.2 で 説 明 し ま し た が ,最 適 化 に は 2 種 類 あ り ま す 。 表 3-14. 水 の Z-matrix ( 完 全 構 造 最 適 化 ) $rungauss ; 01 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/h2o ; 02 #P Opt=z-matrix HF/6-31G(d) ; 03 ; 04

Full Optimization for H2O ; 05

; 06

(21)

O1 ; 08 H2 1 rOH ; 09 H3 1 rOH 2 aHOH ; 10 ; 11 rOH=0.960 ; 12 aHOH=100.0 ; 13 表 3-14 で は 水 分 子 の 全 て の 構 造 パ ラ メ ー タ を 最 適 化 す る の で ,完 全 構 造 最 適 化 と い い ま す 。 こ れ に 対 し て , 構 造 パ ラ メ ー タ の 一 部 の み を 最 適 化 す る こ と も 可 能 で , こ れ を 部 分 構 造 最 適 化 と い い ま す 。 例 え ば , 水 分 子 の OH 結 合 距 離 を 固 定 し て お き , HOH 結 合 角 の み を 最 適 化 す る に は , 表 3-15 の よ う に し ま す 。 表 3-15. 水 の Z-matrix ( 部 分 構 造 最 適 化 ) $rungauss ; 01 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/h2o ; 02 #P Opt=z-matrix HF/6-31G(d) ; 03 ; 04

Partial Optimization for H2O ; 05

; 06 0 1 ; 07 O1 ; 08 H2 1 rOH ; 09 H3 1 rOH 2 aHOH ; 10 ; 11 aHOH=100.0 ; 12 ; 13 rOH=0.960 ; 14 Z-matrix の 入 力 (10 行 目 )後 ,空 行 で 区 切 っ て 最 適 化 し た い パ ラ メ ー タ の 初 期 値( 群 ) を 記 述 し (12 行 目 ), さ ら に 空 行 で 区 切 っ て 固 定 値 ( 群 ) を 記 述 し ま す (14 行 目 )。 別 の 方 法 と し て , 09, 10 行 目 の rOH を 直 接 数 値 ( 0.960) で 置 換 す る こ と も で き ま す 。 部 分 構 造 最 適 化 を 行 う 際 に 注 意 す べ き 点 は , Z-matrix の も と で 最 適 化 を 行 わ な く て は な ら な い と い う こ と で す 。す な わ ち ,Optキ ー ワ ー ド の オ プ シ ョ ン と し てキ ー ワ ー ド の オ プ シ ョ ン と し てキ ー ワ ー ド の オ プ シ ョ ン と し てキ ー ワ ー ド の オ プ シ ョ ン と し て Z-matrix を 必 ず 付 加 し な く て は な り ま せ ん 。 を 必 ず 付 加 し な く て は な り ま せ ん 。 を 必 ず 付 加 し な く て は な り ま せ ん 。 を 必 ず 付 加 し な く て は な り ま せ ん 。

3.1.10. 高 精 度 の 計 算 を 効 率 よ く 行 う た め に

高 精 度 の 計 算 を 効 率 よ く 行 う た め に

高 精 度 の 計 算 を 効 率 よ く 行 う た め に

高 精 度 の 計 算 を 効 率 よ く 行 う た め に

熱 力 学 的 諸 量 を 見 積 も っ た り , 化 学 反 応 を 理 解 す る た め に は エ ネ ル ギ ー を 正 確 に 計 算 す る こ と が 重 要 で す 。 そ の た め に は , よ り 大 き な 基 底 セ ッ ト の も と で , よ り 高 次 の 電 子 相 関 補 正 を 行 え ば よ い わ け で す が , 莫 大 な 計 算 時 間 と 記 憶 容 量 が 必 要 と な り ま す 。 そ こ で , 効 率 よ く 高 精 度 に エ ネ ル ギ ー を 計 算 す る た め に , ま ず 比 較 的 低 い

(22)

計 算 レ ベ ル と 小 さ な 基 底 セ ッ ト を 用 い て 構 造 最 適 化 お よ び 振 動 計 算 を 行 い , 得 ら れ た 構 造 の も と で 高 い 計 算 レ ベ ル と 大 き な 基 底 セ ッ ト を 用 い て 一 点 計 算 を 行 う と い う , 二 段 階 の 計 算 を し ば し ば 用 い ま す 。 ク ロ ロ メ タ ン の 例 を 表 3-16 に 示 し ま す 。 表 3-16. ク ロ ロ メ タ ン の 高 精 度 エ ネ ル ギ ー 計 算 法 $rungauss ; 01 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/ch3cl ; 02 #P Opt=z-matrix HF/6-31G(d) ; 03 ; 04

Geometry Optimization for CH3Cl ; 05

; 06 0 1 ; 07 C1 ; 08 Cl2 1 r2 ; 09 H3 1 r3 2 a3 ; 10 H4 1 r3 2 a3 3 120.0 ; 11 H5 1 r3 2 a3 3 -120.0 ; 12 ; 13 r2=1.760 ; 14 r3=1.090 ; 15 a3=109.5 ; 16 ; 17 --Link1-- ; 18 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/ch3cl ; 19 #P Freq HF/6-31G(d) Geom=check ; 20 ; 21

Frequency Calculation for CH3Cl ; 22

; 23 0 1 ; 24 ; 25 --Link1-- ; 26 %chk=/shome/rikou/sophia/g98/ch3cl ; 27 #P SP MP2/6-311+G(2d,p) Geom=check ; 28 ; 29

High Accuracy Single-Point Calculation for CH3Cl ; 30

; 31

0 1 ; 32

こ の 例 で は 構 造 最 適 化 お よ び 振 動 計 算 を HF/6-31G(d)で 行 い , 得 ら れ た 構 造 の も と MP2/6-311+G(2d,p)で 一 点 計 算 を 行 っ て い ま す 。論 文 で は ,こ の よ う な 二 段 階 計 算 を 行 っ た 場 合

(23)

MP2/6-311+G(2d,p)//HF/6-31G(d) と 書 く よ う に 定 め ら れ て い ま す 。

3.2. Gaussian 98 の 実 行

の 実 行

の 実 行

の 実 行

1),2) 本 章 で は , Gaussian 98 を 実 行 す る た め の 手 順 に つ い て 説 明 し ま す 。 Gaussian 98 を 実 行 す る に あ た っ て , 入 力 フ ァ イ ル を 準 備 す る 必 要 が あ り ま す 。 入 力 フ ァ イ ル の 準 備 が ま だ で き て い な い 方 は , 3.1 を 参 考 に し て 入 力 フ ァ イ ル を 作 成 し て 下 さ い 。 Gaussian 98 は UNIX 上 で 実 行 さ せ ま す の で , 手 許 の PC か ら リ モ ー ト ロ グ イ ン し た り , PC 上 で 作 成 し た 入 力 フ ァ イ ル を 転 送 す る 際 に は , PC 側 に telnet お よ び FT P ク ラ イ ア ン ト ソ フ ト が イ ン ス ト ー ル さ れ て い る 必 要 が あ り ま す 。 こ れ ら ソ フ ト の 使 用 法 に 関 し て は , 関 連 マ ニ ュ ア ル を 参 照 し て 下 さ い 。 ま た , 本 章 で は UNIX コ マ ン ド を 多 用 し ま す 。コ マ ン ド の 詳 細 を 知 り た い 方 は ,UNIX 関 連 の 書 籍 [9,10]を 参 照 し て 下 さ い 。

3.2.1. ジ ョ ブ

ジ ョ ブ

ジ ョ ブ の 投 入

ジ ョ ブ

の 投 入

の 投 入

の 投 入

こ こ で は ,sophia と い う ユ ー ザ ー 名 の も と で ,g98 と い う デ ィ レ ク ト リ が 存 在 し , そ の デ ィ レ ク ト リ に 表 3-14 に 示 し た 水 の 構 造 最 適 化 の た め の 入 力 フ ァ イ ル が h2o.dat と し て 保 存 さ れ て い る も の と し て 説 明 し て ゆ き ま す 。 Gaussian 98 は 既 に 上 智 大 学 電 子 計 算 機 セ ン タ ー の UNIX サ ー バ に イ ン ス ト ー ル さ れ て い ま す の で ,実 行 コ マ ン ド を 送 る だ け で 計 算 を 開 始 し ま す 。し か し ,Gaussian 98 を 実 行 で き る サ ー バ は ,教 育 研 究 用 高 速 演 算 サ ー バ で あ るを 実 行 で き る サ ー バ は ,教 育 研 究 用 高 速 演 算 サ ー バ で あ るを 実 行 で き る サ ー バ は ,教 育 研 究 用 高 速 演 算 サ ー バ で あ る sagami とを 実 行 で き る サ ー バ は ,教 育 研 究 用 高 速 演 算 サ ー バ で あ る ととと biwa の みの みの みの み で す の で 注 意 し て 下 さ い 。 で す の で 注 意 し て 下 さ い 。 で す の で 注 意 し て 下 さ い 。 で す の で 注 意 し て 下 さ い 。 単 一 単 一 単 一 単 一 ジ ョ ブ の 投 入ジ ョ ブ の 投 入ジ ョ ブ の 投 入 ジ ョ ブ の 投 入 単 一 ジ ョ ブ の 投 入 コ マ ン ド に は G98 と い う シ ェ ル・コ マ ン ド を 用 い ま す 。Gは 大 文は 大 文は 大 文は 大 文 字 で な く て は い け ま せ ん 。 字 で な く て は い け ま せ ん 。 字 で な く て は い け ま せ ん 。 字 で な く て は い け ま せ ん 。 こ の コ マ ン ド を 用 い て 水 の 構 造 最 適 化 を 行 う た め に は , 次 の よ う に 記 述 し ま す 。 G98 コ マ ン ド の 後 に ,入 力 フ ァ イ ル 名 ,出 力 フ ァ イ ル 名 を そ れ ぞ れ ス ペ ー ス で 区 切 っ s o p h i a @ s a g a m i [ 1 ] = > n o h u p G 9 8 h 2 o . d a t h 2 o . o u t &  1) 本 節 で は , 上 智 大 学 電 子 計 算 機 セ ン タ ー の 教 育 研 究 用 高 速 演 算 サ ー バ に イ ン ス ト ー ル さ れ て い る Ga us s i a n 9 8 UNIX 版 (Revision A. 11.3) の 実 行 方 法 に つ い て 解 説 し て い ま す 。そ の 他 の 環 境 で は 実 行 方 法 が 異 な り ま す の で , 用 い る プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 関 連 マ ニ ュ ア ル を 参 照 し て 下 さ い 。 2) 上 智 大 学 電 子 計 算 機 セ ン タ ー で は Gaussian 98 の 実 行 に 関 し て ,”負 荷 分 散 処 理 ソ フ ト LSF” と の 関 連 付 け を 近 い 将 来 行 う 予 定 で す 。 LSF と の 関 連 付 け が 行 わ れ た 場 合 , 本 手 引 き に 記 載 し た 実 行 方 法 に 変 更 が 生 じ ま す 。詳 細 は 電 子 計 算 機 セ ン タ ー に 問 い 合 わ せ て 下 さ い 。

(24)

て 指 定 し ま す 。余 談 で す が ,Gaussian 98 の 入 力 お よ び 出 力 フ ァ イ ル に つ け る フ ァ イ ル 名 の 拡 張 子 は , そ れ ぞ れ dat, out と す る の が 一 般 的 で す 。 最 初 の nohup と 最 後 の &は UNIX の コ マ ン ド で あ り , ロ グ ア ウ ト し た 後 も 処 理 を 中 断 さ せ る こ と な く 続 行 さ せ る と い う 意 味 で す ( バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 処 理 )。 Gaussian 98 を 用 い た 計 算 は , 一 部 の 例 外 を 除 い て 多 く の 計 算 時 間 を 費 や す の で , バ ッ ク グ ラ ウ ン ド で 実 行 さ せ る の が 適 当 で す 。nohup お よ び &が な く て も ジ ョ ブ は 投 入 さ れ ま す が ,フ ォ ア グ ラ ウ ン ド 処 理 と し て 扱 わ れ , 計 算 が 終 了 す る ま で 他 の プ ロ セ ス を 実 行 さ せ る こ と が で き な く な っ て し ま い ま す し , ロ グ ア ウ ト す る と 計 算 が 停 止 し て し ま い ま す の で 注 意 し て 下 さ い 。誤 っ て フ ォ ア グ ラ ウ ン ド で ジ ョ ブ を 実 行 し て し ま っ た 場 合 に は ,Ctrl+C に よ っ て キ ャ ン セ ル す る こ と が で き ま す 。ま た ,Ctrl+Z に よ っ て 一 時 退 避 状 態 と な り ,他 の プ ロ セ ス を 実 行 さ せ る こ と が で き ま す が , ロ グ ア ウ ト す る と 全 て キ ャ ン セ ル さ れ て し ま い ま す 。 複 数 ジ ョ ブ ( 並 列 処 理 ) の 投 入 複 数 ジ ョ ブ ( 並 列 処 理 ) の 投 入 複 数 ジ ョ ブ ( 並 列 処 理 ) の 投 入 複 数 ジ ョ ブ ( 並 列 処 理 ) の 投 入 複 数 の ジ ョ ブ を 並 列 し て 流 し た い 場 合 は , 入 力 フ ァ イ ル 名 と 出 力 フ ァ イ ル 名 を 変 え て , 上 記 G98 コ マ ン ド を 繰 り 返 し 実 行 し ま す 。 当 然 の こ と で す が , 複 数 の ジ ョ ブ を 並 行 し て 投 入 す る と , 単 一 の ジ ョ ブ を 実 行 す る の に 比 べ て パ フ ォ ー マ ン ス が 著 し く 低 下 し ま す 。ま た ,他 の 計 算 を し て い る ユ ー ザ ー に 迷 惑 が か か る こ と も あ り ま す 。 大 規 模 ジ ョ ブ の 実 行 中 に は , で き る だ け 他 の ジ ョ ブ を 並 行 し て 流 さ な い よ う に 心 掛 け て く だ さ い 。 複 数 ジ ョ ブ ( 逐 次 処 理 ) の 投 入 複 数 ジ ョ ブ ( 逐 次 処 理 ) の 投 入 複 数 ジ ョ ブ ( 逐 次 処 理 ) の 投 入 複 数 ジ ョ ブ ( 逐 次 処 理 ) の 投 入 複 数 の ジ ョ ブ を 逐 次 的( 直 列 )に 流 し た い 場 合 に は ,次 の 2 つ の 方 法 が あ り ま す 。 1 つ は , 3.2.1 で 説 明 し た よ う に , --Link1--を 利 用 し ま す 。 こ の 方 法 で は 複 数 の ジ ョ ブ を 1 つ の 入 力 フ ァ イ ル に 記 述 す る こ と に な り ま す か ら , ジ ョ ブ の 投 入 方 法 は 単 一 ジ ョ ブ の 場 合 と 同 様 で す 。 も う 1 つ は , バ ッ チ フ ァ イ ル を 実 行 す る 方 法 で す 。 表 3-17. 複 数 ジ ョ ブ を 直 列 処 理 す る 際 の バ ッ チ の 一 例 (go.sh) #!/bin/csh ; 01 G98 h2o.dat h2o.out ; 02 G98 hf.dat hf.out ; 03 G98 ch3cl.dat ch3cl.out ; 04 ま ず , 表 3-17 よ う な バ ッ チ フ ァ イ ル を 作 成 し , 例 え ば go.sh と い う 名 前 で g98 デ ィ レ ク ト リ に 保 存 し ま す 。 chmod コ マ ン ド を 用 い て go.sh に 実 行 権 を 与 え た 後 , 実 行 さ せ ま す 。 s o p h i a @ s a g a m i [ 2 ] = > c h m o d 7 5 5 g o . s h  s o p h i a @ s a g a m i [ 3 ] = > n o h u p . / g o . s h & 

表 3-2.  フ ッ 化 水 素 の 一 点 エ ネ ル ギ ー 計 算 の た め の 入 力 フ ァ イ ル の 説 明   01 :  プ ロ グ ラ ム 実 行 コ マ ン ド ( 全 て の ジ ョ ブ で 共 通 か つ 不 可 欠 )   02 :  チ ェ ッ ク ポ イ ン ト フ ァ イ ル の 指 定 。 本 文 参 照 。   03 :  ル ー ト セ ク シ ョ ン 。 本 文 参 照 。   04 :  空 白 行 。   05 :  タ イ ト ル セ ク シ ョ ン 。ど
表 3-8 に 示 し た 水 の Z-matrix を み て 下 さ い 。3 つ の 分 子 構 造 パ ラ メ ー タ (rOH1, rOH2,  aHOH)が 定 義 さ れ て い ま す 。 し か し , 2 つ の OH 結 合 は 等 価 な も の で あ り , そ の 値 は 同 一 に な る と 考 え ら れ ま す 。 こ の よ う な 場 合 に は ,表 3-10 の よ う に 変 数 を 一 つ に ま と め る こ と が で き ま す 。   表 3-10
表 3-19.  続 き
表 3-19.  続 き
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参照

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