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hMPV分離マニュアル

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ライノウイルス検査マニュアル

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目次 1 ライノウイルスの概説 ・・・・・ 3 2 ライノウイルス検査に関する一般的注意 ・・・・・ 4 3 病原学的検査 ・・・・・ 6 4 遺伝子学的検査 ・・・・・12 参考文献 検査依頼先 緊急時 (実験室内暴露)の応急対応と事故対応基準 執筆者一覧 1 ライノウイルスの概説

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ヒトライノウイルス (Human Rhinovirus, HRV)は,1957 年にかぜ症候群の患者から初 めて分離された。HRV はピコルナウイルス科ライノウイルス属に分類され,ゲノムはプラ ス鎖一本鎖 RNA (約 7.1kb)である。現在,HRV は 100 種類以上の血清型が存在し,こ れらの HRV は 3 つの遺伝子群 (genogroup) HRV-A, B 及び C 群に分類されることが 示唆されている。VP1 のシークエンスの結果,75 の血清型が HRV-A に,25 の血清型 が HRV-B に分類されている。HRV-A と B は細胞培養法により分離可能であるが, HRV-C は現在のところ同法では分離が不可能であると考えられる。 HRV は,いわゆる普通感冒 (かぜ)の病因ウイルスで,その名の由来 rhis/rhinos (ギリ シャ語で鼻の意)に由来する。その名のとおり,主な臨床所見は鼻漏,鼻閉,くしゃみなど である。潜伏期は約 1~4 日である。急性の呼吸器系感染症の 50%は HRV によると考 えられるが,症状は軽く一般には数日で軽快する。また,HRV 感染者の約 1/3 が不顕性 感染であると考えられる。このように,HRV 感染症の多くは軽症ではあると考えられる 一方で,児童の喘鳴や喘息の増悪の 60-70%に HRV が関与するといわれている。それ ゆえ,最近の専門雑誌には,Rhinovirus-induced asthma という表現も見られる。この原 因の詳細は不明であるが,新しい知見によれば,HRV による気道過敏性の亢進が起こ っている患者では,鼻腔のみならず下気道で HRV の長期的な増殖を示すデータも得 られている。このようなことから,HRV は単なる“かぜウイルス”ではなく,喘息などの他 の呼吸器疾患と密接に関連している可能性が極めて高く,最近再び着目されつつある。 HRV の感染率は乳幼児,子供に高く,年齢が高くなるにつれて低くなる。HRV 感染 症は温帯地域では 1 年中存在するが,初秋と晩春に多いとされる。伝播様式は飛沫感 染であるが,ライノウイルス患者の手から高頻度でウイルスが分離されること,手の消毒 により感染が阻止されることなどから,接触感染も多いと考えられている。家庭内の伝 播が多く,子供から感染が家庭に持ち込まれ,30-70%で二次感染をおこしている。今の ところ,本ウイルスには有効なワクチン・治療法は開発されていない。院内感染等の感

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染予防策は標準予防策および接触感染予防策が講じられる。 2 ライノウイルス検査に関する一般的注意  検査に際し,感染性ウイルスの取り扱いは,バイオセーフティレベル (BSL)2 施設およ び安全キャビネット (クラス IIA/IIB)内で適切な操作を行うとともに,使用済みの器具等 は高圧蒸気滅菌処理などにより感染性を排除後,実験区域から搬出しなければならな い。また,臨床材料を取り扱うため,universal precaution に留意した操作を行うことが重 要である。HRV のウイルス分離は比較的困難であると考えられ,また診断用抗原/抗体 キットは市販化されていないことなどから特に近年は遺伝子検査法による HRV 検出 法が広く用いられている。 2.1 検査材料の採取・保存  HRV の実験室内診断は,ウイルス分離・同定,ウイルス特異遺伝子断片の増幅・検 出,特異抗体の検出などを行うことが基本となる。このため,鼻腔吸引液 (Nps),咽頭ぬ ぐい液 (Ts),など,検査目的に応じた種々の検査材料が用いられる。採取・保存方法は それぞれの項を参照されたい。 2.2 検査材料の輸送  検査材料は採取容器から内容物が漏出しないような適切な包装をした後,温度管 理下 (一般に-80oC 以下,凍結状態の保持が困難な場合は非凍結状態で 4oC に保持 が望ましい)で検査依頼機関へ送付される。感染症の予防及び感染症の患者に対する 医療に関する法律施行規則 (平成 10 年厚生労働省令第 99 号)第 31 条の 36 第 1 項

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第 2 号ホおよび第 4 号の規定に基づき,特定病原体等の運搬に係る容器等に関する 基準が定められ,平成 19 年 6 月 1 日から適用されている (http://mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/03.html)。検査材料には必要 事項 (個体識別等)を明記するとともに,送付リストを添付する。 2.3 検査の進め方  検査材料を受理した後,直ちに検査が実施されることが望ましい。検査実施までに空 白期間が生じる場合は,あらかじめ検査材料を適切に処理した後,温度管理下 (-80oC 以下が望ましい)で保存する。  病原学的検査,遺伝子学的検査および血清学的検査が並行実施され,実験室内診 断基準に準拠して診断がなされる。 2.4 実験室内診断基準  次のいずれかの結果が得られた場合,HRV 感染とする。 ・HRV が分離・同定される。 ・HRV 特異遺伝子断片が増幅・解析される。 3 病原学的検査 3-1 使用器具  25/75cm2プラスチックフラスコ,24/48/96 ウェルマイクロプレート,マイクロピペット,ピ ペット,保存チューブ,メンブレンフィルター,CO2インキュベーター,高圧蒸気滅菌器,光 学顕微鏡,遠心機 等

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3-2 必要試薬  Eagle’s MEM 培地,細胞剥離用トリプシン (1:250),ウシ胎児血清 (FBS),ペニシリン G カリウム,硫酸ストレプトマイシン,リン酸緩衝生理食塩水[Mg2+, Ca2+不含, PBS(-)] 3-3 培養細胞  HRV の特徴の 1 つが種特異性であり,HRV 感受性細胞としては,原則としてヒトの 細胞 (一部霊長類の細胞)に限られる。多くの HRV の受容体は intercellular adhesion molecule 1 (ICAM-1),一部のウイルスでは low-density lipoprotein (LDL)であることが 判明している。したがって,HRV 分離・同定には,human embryonic kidney, human amnion, diploed fibrobalst line (HEF 細胞,MRC-5 細胞など),HRV に感受性がある HeLa 細胞などが好んで用いられる。特に頻繁に用いられるのは diploid fibroblast で ある WI-38 細胞や MRC-5 細胞である。しかし,細胞の優劣はつけがたく,望ましくは複 数の異なる細胞を併用して HRV の分離をすることがよいと考えられる。これまでの知 見から,HRV の培養条件としてポイントとなるのは,①培養液の pH を 7.0-7.2 とする (pH3 以下で不活化される),② 33oC で培養する,③回転培養である。 [HEF 細胞,WI-38 細胞,MRC-5 細胞の継代培養] (1) 細胞増殖用培養液 (GM)を除去する。 (2) PBS (-)を用いて細胞表面を洗浄した後,終濃度 0.1% Trypsin 液を用いて細胞を 分散する。 (3) GM を用いて所定の細胞濃度の細胞浮遊液を調整し,36-37oC で静置培養する。 なお,継代培養は 4-7 日間隔で行う。 (4) 細胞の維持には細胞維持培養液 (MM)を用いる。

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[GM および MM の調製法 (HEF 細胞,WI-38 細胞,MRC-5 細胞)]

 HEF 細胞では,Eagle’s MEM を,WI-38 細胞や MRC-5 細胞では Dulbecco’s MEM を基礎培地として用いる。GM は FBS を最終濃度 10%,MM は 2%となるように加え調 製する。いずれも雑菌などの増殖を防ぐため抗生物質を所定量添加する。なお,これら の細胞は FBS の性状により増殖に影響を受けるため,あらかじめ Lot チェックにより良 好な細胞増殖性・維持性を示す Lot を使用することが肝要である。また,一部の血清型 の HRV ではウシライノウイルスと共通抗原を有するため MM に添加する FBS の Lot によっては HRV の増殖抑制を生じる場合があるので注意が必要である。 3-4 検体の採取時期  臨床症状 (鼻漏,鼻閉など)出現日を第 0 病日とし,第 3 病日以内に採取された検体 が望ましい。 3-5 臨床ウイルス分離材料の輸送・保存液 Nps からのウイルス分離増殖が一般的である。Nps あるいは Ts は鼻腔から吸引ある いは咽頭部を滅菌スワブ採取棒で拭い,吸引液あるいはスワブを保存液に浸漬した後, 速やかに保存する (吸引液の方が分離率は良い)。綿棒は綿球や軸が天然素材のた め,ある種のウイルスの増殖を阻害する場合や遺伝子検査には不適であるなどの理由 から他の合成素材 (ダクロン等)製のスワブ採取棒が好ましい。 分離材料の輸送・保存液には,抗生剤 (ペニシリン 500 IU/ml,ストレプトマイシン 500μg/ml)を含む Eagle’s MEM などの塩類緩衝液が用いられる。安定剤としてウシ血 清アルブミン (BSA)を終濃度 0.1%添加したものを使用する。なお,市販の輸送・保存 液を用いても良い。検体採取後,1 週間以上保存する場合は-80oC 以下,1 週間以内に 使用する場合は 4oC に保存し,可能な限り凍結融解は避ける。

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3-6 ウイルス分離方法  HRV を分離するためには,感受性のある HEF 細胞,WI-38 細胞あるいは MRC-5 細 胞などの培養細胞を用いて行う。ここでは,96 ウェルマイクロプレートと 48 ウェルプレー トを用いてウイルスを分離する方法を示す。操作は全て BSL2 施設の安全キャビネット 中で行う。なお,プレートで培養を行う際には,当然,回転培養はできず,分離率は低下 するものと考えられる。 3-6-1 検査材料の前処理 検体は,咽頭ぬぐい液などにスワブ採取棒が入っている場合は,保存液中でよく攪 拌し,スワブ採取棒は廃棄する。検査材料を3000rpm,30 分間,冷却 (4oC)遠心沈澱し た上清を出発材料とする。残余液は再接種等に用いるため凍結保存 (-80oC)する。 3-6-2 96 ウェルマイクロプレート法  この方法は多数例の検体を迅速かつ省力的に取り扱う場合,極めて有効な方法で あるが,検体相互間のクロスコンタミネーションの発生を回避するため習熟した実験手 技が要求される。 (1) あらかじめ単層培養 (96 ウェルマイクロプレート)させた HEF 細胞を PBS(-)で洗浄 し,MM100μl を各ウェルに入れる。 (2) 被検検体75μl を 2-4 ウェル接種し,2000rpm,20 分遠心後,33oC の CO 2インキュベ ーターで培養する。 (3) 細胞コントロールと比較観察して CPE 出現の有無を確認する。 3-6-3  48 ウェルプレート法 (1) 48 ウェルプレートに単層培養した培養細胞の GM を捨てる。 (2) 1 ウェルあたり 300μl の PBS(-)を分注し,細胞洗浄を 2 回行う。

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(3) 接種用検体の前処理を行った検体を 1 ウェルあたり 100μl 分注する。33oC,5%CO 2 で 1 時間インキュベートする。 (4) 1 ウェルあたり 400μl の MM を分注する。この際,検体が隣のウェルに入ることが無 いように注意する。 (5) 33oC,5%CO 2で 1 週間以上観察し,CPE の有無を確認する。 (6) CPE の出現が無い場合は,感染培養液を回収し,新しく作成した培養細胞に上記 と同様の手順で接種する。

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ライノウイルスの細胞変性効果(HEF 細胞)

多くの大小不同の丸くなった細胞が観察される。正常HEF 細胞は紡錘状に観察される。

ライノウイルスの細胞変性効果(MRC-5 細胞)

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正常MRC-細胞 柳葉状の単層細胞形成が観察される。 3-7 分離株の同定  従来,分離株の同定は,特徴的な CPE の観察に加えて,①熱安定性(HRV は Mg2+ 存在下,50℃,30 分間加熱では失活しないが,Mg2+非存在下では失活する。同じウイ ルス科のエンテロウイルスはいづれの条件でも失活しない),②リピド溶剤感受性 (HRV はエチルエーテル,クロロフォルム感作で失活しない),③酸感受性(HRV は pH3.0 の感作で失活するが,エンテロウイルスは失活しない)などの物理・化学的性状 の差異で行われていた。しかし,近年は RT-PCR による HRV の特異的遺伝子増幅・検 出および増幅産物の遺伝子解析によって行われることが多い (「4 遺伝子検査」の項 を参照)。血清学的同定(中和法)は,由来がはっきりした抗血清の入手が難しく,現在 はほとんど行われていない。

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3-8 分離株の増殖・保存  分離株の性状解析等の検査・研究には高力価のウイルス浮遊液を用いることが望 ましい。 [ウイルス液の調整方法] (1) 培養細胞にウイルスを感染させ培養する。 (2) CPE が培養細胞の約 70-80%以上観察できるようになったら培養液および培養細 胞をすべて回収し,3,000rpm,15~20 分間遠心沈澱する。 (3) 上清をウイルス液として凍結保存 (-80oC)する。ドライアイス-アセトンなどを用いて, ウイルスの失活を抑制しながら急速凍結を行うこともよい。 4 遺伝子学的検査  HRV の診断には,市販されている試薬がなく,またウイルス分離に時間がかかるため, 特異的遺伝子の増幅・検出によって決定することも可能である。HRV には 100 種類以 上の血清型が存在し,VP1 あるいは VP4-2 遺伝子のシークエンスにより遺伝子群 A と 遺伝子群B に分類されている。また,近年では HRV-A,B のいずれにも属しない遺伝 子群C も報告されている。現在,HRV の遺伝子診断には,種々の方法が用いられてお り,これらの各々について比較検討することは困難であるので,本マニュアルでは,以下 の方法について示す。 4-1 RT-PCR 法によるライノウイルスの同定 4-1-1 材料および試薬 共通:マイクロピペット (10, 20, 200, 1000μl),滅菌微量遠心チューブ (0.2, 0.5, 1.5ml),マイクロ遠心機,RNase-free 滅菌蒸留水 (ニッポンジーン,Cat. No.

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312-90103)

RNA 抽出:99%エタノール,QIAamp Viral RNA Mini Kit (QIAGEN,Cat. No.52904)

RT 反応:PrimeScript® RT reagent Kit (TaKaRa,RR037A)

PCR 反応:Perfect shot EX Taq (TaKaRa,RR005A),プライマー,サーマルサイクラー 電気泳動:電気泳動装置,UV 照射写真撮影装置,電気泳動用アガロース,分子量マ

ーカー,ローディングバッファー,1 × TAE バッファー,エチジウムブロマイド PCR 産物の精製:QIAquick PCR purification kit (QIAGEN,Cat. No. 28104), 99%エタ

ノール

シークエンス:ABI PRISM BigDye Terminator ver. 1.1 Cycle sequencing kit (Applied Biosystems,Cat. No. 4337450),Auto Seq G-50 (Amasham pharmacia biotech,Cat. No. 27-5340-01) 4-1-2 遺伝子検査のための検体の採取と保存  HRV の遺伝子診断の検体は,他のウイルス検査検体と同様に,急性期鼻咽頭およ び気管吸引液などを一般的なウイルス保存・輸送培地 (または生理食塩水)で希釈・保 存する。検体は採取後すみやかに検査に供するか,あるいは温度管理下 (2-2 検査材 料の輸送)で保存する必要がある。 4-1-3 ウイルス RNA の抽出 ウイルス RNA の抽出は,それぞれの施設で一般に用いている方法で良いが,ここで は QIAamp Viral RNA Mini Kit を用いる方法を紹介する。

QIAamp Viral RNA Mini kit による RNA の抽出

 使用前に以下の試薬調整を行う。

培養上清あるいは臨床検体を室温 (15-25oC)に戻す。

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Buffer AW2 (Kit Cat. No.51104)に 96-100%エタノールを 30ml 加える。 Buffer AVL/Carrier RNA をサンプル数にあわせて調整する。

 以下の操作は全て室温 (15-25oC)で行う。

(1) 1.5ml チューブに Buffer AVL/Carrier RNA 560μl を入れる。

(2) 検体140μl と Buffer を充分混合するため 15 秒間ボルテックスミキサーにて振盪 混和後,室温に10 分間静置する。チューブをスピンダウンする。 (3) エタノール (96-100%)560μl をチューブに加え,ボルテックスミキサーにて振盪混和 後,チューブをスピンダウンする。液が混濁した時には再度 9,000 × g (10,000rpm)で 5 分間遠心する。 (4) (3)の液 630μl を QIAamp スピンカラム (キットに添付)に注入し,蓋を閉め,6000 × g (8,000 rpm)で 1 分間遠心する。QIAamp スピンカラムを新しい 2ml のチューブに 移し,残りの (3)の液 630μl を入れ,同様に遠心し,全ての液が無くなるまで行う。

(5) QIAamp スピンカラムを開け,Buffer AW1 を 500μl 入れる。

(6) 蓋を閉め,6,000 × g (8,000 rpm)で 1 分間遠心する。QIAamp スピンカラムを新しい

2ml のチューブに移し,ろ液の入っているチューブは捨てる。

(7) QIAamp スピンカラムに Buffer AW2 を 500μl 加え,20,000 × g (14,000 rpm)で 3 分

間遠心する。

(8) QIAamp スピンカラムを新しい蓋つき 1.5ml チューブに移し,ろ液の入っているチュ

ーブは捨てる。QIAamp スピンカラムの蓋を開け,室温に戻した Buffer AVE 60μl を

加え,蓋を閉めて1 分間置いた後,6,000 × g (8,000 rpm)で 1 分間遠心する。

(9) このろ液が抽出RNA であり,抽出 RNA は-80oC での保存が望ましいが,-20oC 以

下で1 年間は安定である。

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抽出された RNA は,他の気道ウイルス (RS,ヒトメタニューモ,コロナ,パラインフルエ ンザおよびインフルエンザウイルスなど)の検出にも用いることができる。RT 反応は各

実験室で行われている方法で差し支えない。ここでは,反応に必要な試薬がキットの中

に全て含まれるPrimeScript®RT reagent Kit; タカラバイオ社製を用いた方法を述べる。

(1) 下表の RT 反応調整液を作製する。

試薬 20μl 系

DNase 処理 RNA 10 μl

5 × PrimeScript Buffer 4 μl

PrimeScript RT Enzyme Mix I 1 μl

Random 6mers (100 μM) 4 μl RNase Free dH2O 1 μl (2) 反応は 37oC で 15 分行う。 (3) 次いで 85oC で 5 秒間加熱する。 (4) 直ちに 4oC (または on ice)にする。 4-1-5  PCR 反応  RT 反応の産物 (cDNA)を PCR に用い,残りは-20oC 以下で保存する。HRV に対す るPCR では解析方法などは標準化されていないが,ここでは,① Oberste らが報告した VP4-2 遺伝子を遺伝子の一部に対して行う方法と② Savolainen らが報告した HRV の VP4-2 遺伝子の一部 (549bp)に対して行う方法および③ Blomqvist らが報告した HRV 遺伝子の5’非翻訳領域の一部 (120bp)に対して行う方法とを示す。検出感度は③が 優れているが,血清型同定などには不向きである。 ①Obersteらが報告したVP4-2遺伝子を遺伝子の一部に対して行う方法 この方法では,HRV が約 550bp,エンテロウイルスが約 650bp に増幅されるので,こ

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PCRプライマー EVP4 : 5’-CTA CTT TG GTG TCC GTG TT-3’

OL68-1: 5’-GGT AAY TTC CAC CAC CAN CC-3’ 反応液 試薬 50μl系 EVP4 (100μM) 0.5μl OL68-1 (100μM) 0.5μl Distilled water 14.0μl cDNA 10.0μl

Perfect shot Ex Taq 25.0μl

反応条件 94oC     3分 94oC 30秒 50oC 30秒 × 40 cycle 72oC 60秒 72oC     10分 ② Savolainen らが報告した HRV の VP4-2 遺伝子の一部に対して行う方法 PCR プライマー 9565 ; 5’-GCA TCI GGY ARY TTC CAC CAC CAN CC -3’ 9895 ; 5’-GGG ACC AAC TAC TTT GGG TGT CCG TGT -3’

反応液 試薬 50μl系 9565 (10μM) 3.0μl 9895 (10μM) 3.0μl Distilled water 14.0μl cDNA 5.0μl

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反応条件 94oC     1分 94oC 60秒 42oC 60秒 × 35 cycle 72oC 2分30秒 ③ 5’非翻訳領域を増幅する方法

PCR プライマー HRV primer 1 ; 5’-GAA ACA CGG ACA CCC AAA GTA-3’ HRV primer 2 ; 5’-TCC TCC GGC CCC TGA ATG-3’

反応液 試薬 50μl系 HRV primer 1(100μM) 0.5μl HRV primer 2(100μM) 0.5μl Distilled water 19.0μl cDNA 5.0μl

Perfect shot Ex Taq 25.0μl

反応条件 94oC     3分 94oC 60秒 53oC 60秒 × 40 cycle 72oC 2分 72oC     7分 4-1-6  PCR産物のアガロースゲル電気泳動による確認 (1)1.0%アガロースゲルを作成する。 (2)アガロースゲルのウェルにPCR産物5μlを入れる。 (3)1 × TAEバッファーで電気泳動する。 (4)エチジウムブロマイド溶液 (終濃度100ng/ml)で染色する。

(18)

(5)UVライト上でバンドを確認する。 (6) ポラロイドカメラなどで記録する。

4-1-7  PCR産物の精製とシークエンス

(1)電気泳動の結果に基づいてPCR産物をQIAquick PCR Purification Kit (QIAGEN)

などにより精製する。 (2)精製PCR産物を鋳型としたシークエンスPCRを行う。 反応液 試薬 10μl系 Primer (3.2pmol/μl) 1μl 5 × PCR Buffer 2μl Distilled water 4μl

Cycle Sequencing Mix 2μl

Template (3-10ng) 1μl

反応条件

96oC 10秒

50oC 5秒 × 25cycle

60oC 4分

(3) 反応後,Auto Seq G-50 (Amasham pharmacia biotech)などを用いて未反応ダイター ミネーターを除去する。この試料をDNAシークエンサーにより解析し,ウイルス遺伝 子の塩基配列を決定する。

4-1-8 解析

シー クエンスデー タのアラ イメントを行う。ア ライメン トは市販のソ フトウエア (例:Genetyx)あるいは Clustal W を用いるのが一般的である。Clustal W はインターネッ ト上 (URL: http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/clustalw-j.html)に公開されている。Clustal W により,アライメントを行ったシークエンスを基に分子系統樹を作成する。一般に,ウイ

(19)

ルス遺伝子の分子系統樹作成には近隣結合法 (N-J 法)を用いることが多い。なお,系 統樹作成にあたっては,本マニュアルの他の項目 (例:麻疹ウイルス)なども参照された い。系統樹を基に検出されたウイルスのクラスター分類などを行うことが可能である。 HRVi/Yamagata.JPN/51.03 HRVi/Yamagata.JPN/21-2.06 HRVi/Yamagata.JPN/16.03 HRV2(X02316) HRVi/Yamagata.JPN/48.06 HRVi/Yamagata.JPN/45.07 HRV32(AF343584) HRV94(AF343638) HRV100(AF343643) HRV40(AF343641) HRVi/Yamagata.JPN/41-3.03 HRVi/Yamagata.JPN/48-2.06 HRVi/Yamagata.JPN/39.07 HRV34(AF343634) HRVi/Yamagata.JPN/18.03 HRVi/Yamagata.JPN/25.06 HRVi/Yamagata.JPN/42-2.07 HRVi/Yamagata.JPN/19-2.03 HRVi/Yamagata.JPN/4.03 HRV96(AF343604) HRVi/Yamagata.JPN/20.05 HRV39(AY751783) HRVi/Yamagata.JPN/13.03 HRV1a(AF343633) HRVi/Fukushima.JPN/29.07 HRV1B(D00239) HRVi/Yamagata.JPN/20-2.03 HRVi/Yamagata.JPN/19.04 HRVi/Yamagata.JPN/47.07 HRVi/Fukushima.JPN/24.07 HRV16(L24917) HRVi/Yamagata.JPN/35.07 HRVi/Yamagata.JPN/19.03 HRVi/Yamagata.JPN/42.05 HRVi/Yamagata.JPN/23.06 HRVi/Yamagata.JPN/41.07 HRVi/Yamagata.JPN/47-4.03 HRV89(A10937) HRVi/Yamagata.JPN/38.04 HRVi/Yamagata.JPN/27.07 HRVi/Yamagata.JPN/22.07 HRVi/Yamagata.JPN/25.07 HRVi/Yamagata.JPN/23.04 HRVi/Yamagata.JPN/14.04 HRVi/Yamagata.JPN/18.04 HRVi/Yamagata.JPN/43.03 HRVi/Yamagata.JPN/47-2.03 HRV4(AF343655) HRV99(AF343652) HRV42(AY016404) HRV84(AY040240) HRVi/Yamagata.JPN/28.06 HRV3(AY016403) HRV72(AF343650) HRV14(KO2121) HRV83(AF343647) Outgroup simianpicornavirus1(NC 004451) 0.1

Phylogenetic tree of HRV based on VP4/VP2 genes sequences (371nt)

Diversity

Genogroup A

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HRV(EU687526) HRV(EU687524) s-08-232 s-08-278 HRV(EU687528) HRV(EU687521) HRV(EU687519)C s-08-279 HRV(EU687520)C HRV(EU687517)C HRV(EU687527) HRV(EU687522) HRV(EU687516) HRV(EU687515) HRV(EU687523) HRV(EU687518) HRV(EU687525)C s-08-277 s-08-147 s-08-240 HRV65(AF343586) HRV71(AF343587)A HRV81(AF343606) s-08-261 HRV36(AF343588) s-08-315 HRV1a(AF343633)A HRV22(AF343628) s-08-146 HRV34(AF343634) s-08-300 HRV56(AF343601) s-08-233 s-08-316 s-08-317 HRV70(AF343646) HRV52(EF173424) HRV26(AF343653) HRV79(AF343649) HRV42(AY016404) HRV84(AY040240) HRV4(AF343655) HRV35(DQ473487) HRV3(EF173422) HRV86(AF343648) HRV92(AY040238) HRV14(KO2) HRV97(AY040242) 54 100 83 100 100 100 100 100 100 26 43 80 22 6 8 9 2 18 12 36 100 34 36 12 7 9 28 44 99 100 99 100 100 99 99 77 100 94 38 24 14 17 25 24 99 0.05 Genogroup C Genogroup A Genogroup B

Phylogenetic tree of HRV based on VP4/VP2 genes sequences (266nt)

Diversity

参考文献

1. Ronald B. Turner, Robert B. Couch. Rhinoviruses. Field’s Virology

第5 版 p895-909.

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執筆者一覧 水田克巳(山形県衛生研究所) 塚越博之(群馬県衛生環境研究所) 平田明日美(栃木県保健環境センター) 木村博一(国立感染症研究所感染症情報センター) 野田雅博(国立感染症研究所ウイルス第 3 部) 監修 田代眞人(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター) 岡部信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)

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