Ⅱ- 1 土木用新材料の新体系の検討
研究予算 :研究方針研究 ( 一般勘定) 研究期間 :平
19担 当チーム :新材料チーム 研究担当者 : ~ 西崎 到
【 要旨】
建設材料に関す る研究を推進す るにあた り、材料分類の体系 を見直す ことで、現在の研究対象の位置づけを再 確認す るとともに、未着手の材料分野についても、新たな展開や研究課題の発掘の可能性が期待 できる。本研究 では上記の趣 旨により、材料分類の体系の見直 しを行 ったDその結果、従来の体系では、素材、複合材料、 さら には一定の用途 を考慮 した材料が混同され ていることが多 く、 これ らを分けて考えることで、材料体系が整理で きるとともに、新たな複合材料の可能性 も考えられ ることが分かったC また、い くつかの将来建設分野での活用 が有望な素材 ・複合材料 を兄いだす ことができた。
キー ワー ド:土木、新材料、体系、分類、素材、複合材料、応用
1 .は じめに
建設分野における新材料 に関す る研究の課題の設 定にあたっては、ニーズに対応 した適切な種類の材 料分野の選定に努めているが、現在研究対象 として いる材料分野以外にも、研究対象 として取 り上げる 価値のある新材料が存在す る可能性がある。そ こで 本課題では、研究分野の体系化 を行 うことで、現在 の研究対象の位置づけを再確認す るとともに、未着 手の材料分野についても、新たな展開や研究課題の 発掘の可能性 を検討す る。
2.
研究の方法
建設用途 を含 む材料 を体系的に扱 う 、 4 つ の便 覧 ・事典類
1ト4 )における材料体系を比較検討 し、大 分類 を作 ると共に、各大分頬中の材料の整理 ・体系 化 を行 うこととした。 また、様々な資料
5)r6)などか ら 新 しい素材 に関す る情報 を収集 した0
3.
研究の結果
3. 1材料大分類
参考に した文献の材料大分類 は、概ね、無機系材 料、有機系材料、金属系材料の 3 つに分類 されてお り、それぞれの材料分野で素材か ら複合材料、 さら には用途 を設定 した材料までを扱 っているのが殆 ど であった。材料の大分類 としては、概ね この 3 つに ま とめることができることが分かるが、本研究では 既存の用途にこだわ らず、 土木資材の素材 を見直 し、
新たな可能性 を兄いだす ことが 目的であることか ら、
素材 と用途 を設定 した材料は明確に区別す る必要が ある。そこで、以下の分類方法を導入す ることとし た。
( 1 ) 素材 :化学的 レベルで一体な材料
(2)
複合材料 :複数の素材 を組み合わせた材料
(3)用途材料 :用途の定まった材料
材料には、化学的に純粋 なものはまれであ り、複 数の化学物質か らできているのが通常である。 しか し、化学的 レベルで一体 となっているか否かで、素 材 とそ うでない ものを分類分けす ることができる。
例えば鋼材は鉄 と炭素、 さらにはその他の添加元素 が含 まれているが、化学的 レベルでそれ らが分散 し ていて一体 と見なせ るので、素材 と分類できる。同 様 にセメン トや、 単一層の塗膜 も素材 と考えられ るO 複数の素材か ら成 り立つ材料は、複合材料 と考える
ことができる。代襲的な複合材料である FR Pは、樹 脂 とガラス繊維か ら成 り立っている。 コンク リー ト
な ども複合材料 に分煩できる。
素材、複合材料までは、用途 を特に考慮す る必要 のない材料であるが、特定の用途に合わせて、素材 ・ 複合材料 を活か して開発 された材料 もある。 このよ
うな材料をここでは用途材料 と呼ぶ。例 としては、
舗装用ブロックや塗料な どをあげることができる。
3. 2
素材の体系
複合材料は素材の組み合わせ であ り、用途材料は
用途 を既 に考慮 した材料で あることか ら、新材料の
新 しい適用方法を検討す る上では、素材の体系を検
討す ることが、重要である。そ こで本研究では主要 な素材を列挙 し、 その分類 を行 うこととした。また、
素材 の種類 とともに、複合材料 としての新たな可能 性 を検討す るために、主要な可能形状 ( バル ク、粉 末、繊維、膜) と、主要な物性 ( バインダー或いは マ トリックス としての可能性 ( 接着性能)、 熱可塑性、
その他特徴)についての情報 も調査 した。
3. 2. 1
有機系素材
主要な有機系素材の一覧 を表 - 1に示す。有機系 素材 は、石油、石炭を原料 とす るもの と、動植物 を 原料 とするものに大別 され る。また、物性か らは、
それぞれを熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、 ゴムに分 類できる。
現在 の塗料や接着剤の多 くは石油原料の熱硬化性
樹脂であるO硬化前は液体あるいは熱によって融け るが、化学反応 によ り硬化 し、硬化後は熱によって 融けない.比較的力学性能が優れているが、一方で リサイクルは困難である。従来の熱硬化性樹脂が使 われているものを、熱可塑性樹脂にできれば、 リサ イクルが容易になるもの と期待できる。また、植動 物由来の樹脂の活用が可能 となれば、我が国の石油 資源依存の現状改善につながる。熱硬化性樹脂につ いては、 さらなる高耐久化、高性能化が望まれ る0
3. 2. 2 金属系素材
現状では炭素鋼が多 く利用 されているが、腐食や 疲労が鋼構造物の大きな問題 となっている。 ここで は腐食に絞って、新たな金属系素材 について検討 し た。
義
-1主要な有機 系素材
主要形 状 主要 物 性
バ ノレク 粉末 繊維 膜 ( ム) フイル バインダー ( 接着剤) 熱 可 塑 性 石 油 . 石炭 系有 機材 料
熱 可塑性 樹 脂 ○ ○ ○ ○ ( ⊃ ○
7
ナイ ラミド破蛭、 ロン娘捻
アクリ ル韻社 アクリル岨畦
A ふ っ素 樹 脂 ( P P M\ ES B T 塩 化 ビ エ プロピレン ア ア ア アミ 樹脂 ′ I セター ル クリロニ ミド ド フツ什 エチレンなど) ニト ル ポ リテ トラフル オ ロエ チ レ リ ポ ポ ポ ポ ポ ポ
ポ
ポ ポリ ン、ポリ リ リ リ リ リ リ リ リカー ボネー ト スチ A チ レ レン ン ル
熱 硬化 性 樹 脂 ( つ
(つ〔 ) ⊂ ) ( ⊃
エポキシ樹脂 ビニルエステル 樹脂 フェノール 樹脂 不飽 和ポリエステル樹脂 ポ ウレタン
ユリ リア樹 脂 メラミン樹 脂
ゴム
rつ〔 「 △ A △
合成ゴ ゴム ム
S
ポ リ
天然 N _R B B R クロロプレン
アスファル ト ∩ ( 「 ∩
コ-ノ レターノ レ ∩
∩∩
動植 物 系 材 料 天妖高分子
∩ ( 「 ∩ 「 )
( 「 ∩ ( 「 ( 「
( 「 ( 1
∩ つ 0
∩ r
(
つ
(つ 「 )
(
1
0 ∩ ∩ ∩ ∩ ケナフ にかわ ロ ロ ロ 糸 -ス ス誘 導 体 木材 由来)
木材 棉
竹 貝殻 セ セ セ パル ル ル ル プ
骨 毘由 イド ー アセテー ト( ( 「 ∩ ∩ ∩
(1)特殊鋼の鋼構造物への適用の可能性
土木 で多 く活用 されてい る特殊鋼 に耐候性鋼があ るが、適用方法が難 しい こともあ り、 よ り優れた素 材 の可能性 を検討す る余地がある。ニ ッケル クロム 鋼 あるいは、 さらに耐食性 の高い特殊鋼 の探索は重
ルの場合 は、ボーキサイ トか らの 3 % のエネル ギーで 済む とされ る 8 ) 。耐食性 の高 く、強度特性 の優れた 合金が存在す ることか ら、土木材料 として もっ と利 用 されて よい素材 と考 えられ る。
マ グネ シウムの クラー ク数 は第 8 位である。海水 4
17 .
要 と考 え られ る。 中も多 く存在す る。密度 で軽量であ り比強度は 全金属最高値である。 自動車エ ンジンな どに使われ 2 )非鉄金属
鉄鉱石の埋蔵 量は 1 0 0 兆 トンであるが、年間生産 つつある。土木 では防食材料 に使われ るが、耐食性 量が 、5 3 0 0 億 トンであるので 、1 8 8 年で枯渇す ると はアル ミニ ウム合金やチタンに劣 る。
(
の試算がある
8。 このため、他の金属
用可能性 の検討 も重要 と考 え られ る。 ンとして、地上の比較的広い範 囲に存在す る。埋蔵
)
( 材料)の適 チタンのクラー ク数は第 9 位 である。二酸化チタ 元素の地球上での存在割合 はクラー ク数
7)に よっ
て表 され るが、 クラー ク数がある程度高 くない と建
量 も数十億 トン と比較的多い。金属チ タンの抽出技 術が開発 され、金属材料 として使 われ る様 になった 設分野での利用可能性 は低 くなると考え られ る。 ク のは最近であるのであま りな じみがないのが、まだ
1( 位)以上の非鉄金属 は、アル ミニ
ウム、カル シウム、ナ トリウム、カ リウム、マグネ られ る。耐食性 が極 めて高 く、弾性率は鉄の半分 で シウム、チ タン、マ ンガン、ル ビジウム、バ リウム、 あるがアル ミよ りは商いな ど、土木構造用 として優 ジル コニ ウム、 クロム、ス トロンチ ウム、バナジウ れてお り、今後、 よ り多 く使われて良い素材 のひ と
5 2 00 .
ラー ク数 あま り利用 されていない主た る要因のひ とつ と考 え
シウム、チ タン、マ ンガ ン、ジル コニ ウム、クロム、
バナ ジウム、ニ ッケル 、銅 が残 る。
アル ミニ ウムのクラー ク数 は鉄 よりも多い。ボー キサイ トか ら金属 アル ミニ ウムを得 るのに、多 くの
1
ム、ニ ッケル、銅 の 1 種類である。この うち大気 中 では不安定な ものを除 くと、アル ミニ ウム、マ グネ
t あた り、
5 つ と考え られ る。
3. 2. 3
無機系素材
主要な無機系素材 の一覧を表 - 3 に示す。 スラグ な どには、 リサイクル材 としての適用ニーズが特 に 高い ものがあ り、適切な活用が期待 されてい るもの も多い。基本的には、バル ク状の ものは骨材 として、
粉体のものはフィラー として、繊維状のものは補強 材 として、複合材料 の素材 とな りうるもの と考え ら 電 力 を必 要 とす る。 ( アル ミニ ウム
)しか し、リサイ クル しやす く、リサイ ク h
W k 0 3 , 0 0 1
0 1 1 3 4 2 3 ( 1
1 2 7 23 . 3 82 .
05 , 56 , 0.
1 00 . 0
00 . 0 00 . 0
0
0 0
17 . l3 . 79 .
02 , 73 .
47 .
89 .
89 . 93 . 7.
27 .
1 1
主 要 な 金
義 -2 属とその 主 な 用 途 .
物 性金 属 の種 類 現 状 主 要 用 途 主 要 物 性 等 比 重 地殻にお ける存在 特徴
亜鉛
ト タン等 1 7 防食陽極
アルミニウム( 純アルミ) 航空機、自動車、 缶、サッシ等 3軽量、柔らかい、 食性比較的良好耐 スズ ブリ キ、 ハンダ . 0 0 02 低軌 煮 ℃) タングステン 屯球フィラメント 、耐熱材料 . 0 0 0 5高融点 車 吏い ( ℃) 、
チタン 航空機、化学装置等 7 高い比強度と耐 食性○
秩( 鍋) 構造材料 3 高強度
鍋
屯線、責輸 0 0 5 5 良伝導、柔らかい
鉛
屯池、ハンダ、活字等 l 5 柔らかい
ニッケル ステンレス鋼、耐食材料 5 耐食性. 紘 加工性良
マグネシウム 自動q_ . 航空機材料、防食材料 高比強度
モリブデン 特殊鋼原料、耐熱材料 . 0 0 05 耐食性高い
義 -3 主 要 な 無 機 系 素 材
主要形状 主要物性
バルク 粉末 繊維 膜( ム フイル 1 バインダー ( 寸 書若者日 ー 熱可塑性
天然岩石 ( つ ○ △
天然土壌 ( ⊃
セラミックス △ ○
ケイ酸塩系( 陶磁器など) ゼオライト
アルミナ
炭化ケイ素 ○ ○
○ ○
○ ○ ○
○ ○ ○
ガラス ( ⊃ ⊂ ) 〔 ⊃ △ ( つ ( つ
○ 卜 スラグ
鉄鋼スラグ 銅スラグ
フェロニッケルスラグ 一般焼却灰スラグ
汚泥スラグ ⊂ ) ( つ
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
無機 高分子材
炭素 シリコーン
硫黄固化体 ( ( ⊃ つ ○ ○ ○ ○ ( )
炭酸カルシウム ○
ケイ酸カルシウム ○
石帝 「 ) ( 「
パーライト( 軽 最骨材) ( つ ( つ
バーミキュライト( 軽最骨材) ○ ○ れ る。 また、無機 系高分子樹脂 、ガ ラスな どは複合
材料のバイ ンダ とな りうる可能性がある。
3. 3
複合材料
F R P や コンク リー トは代表的な複合材料であるが、
バイ ンダ としての基本性能 を有す る素材 と、 バル ク、
粉末 ・ 繊維 な どの形状 を取 り得 る素材 の組み合わせ によ り、様 々な複 合材料の可能性があるこ とが分か る。熱硬化性樹脂やセ メン トの他 にも、バイ ンダ と して利用可能性 が期待 できる様 々な素材があること が分かる。 また、表 - 2 には記述 していないが、多 くの金属素材 もバイ ンダ としての基本性能 を有 して い る。 これ らの ことか ら、多 くの、建設分野ではま だあま り利用 されていない複合材料が可能であるこ とが明 らか となったO-方、素材の複合化 は、材料 の再生利用 を しに くくす る可能性 が指摘 されている。
複合材料 の適用検討 にあたっては、 この よ うな点 も 今後配慮すべき と考え られ る。
4.
まとめ
土木用新材料 について、素材、複合材料 、特定の 用途 を考慮 した材料の 3 つの レベル-の体系的 な整
I
理 を行 った。素材の調査が重要であることが明 らか とな り、有機系素材、金属系素材、無機系素材の 3 つの大分類について、土木用途での可能性 のある素 材情報 を調査 した。また これ らの検討の中で、い く つかの有望 な新材料 とその適用可能性 を兄いだ した。
さらには建設分野ではまだあま り利用 されていない 複合材料が多 くあることが分かった。
参考文献
1 )材料大辞典 ( S 5 9 ,産業調査会) 2 ) 新素材ノ、ン ドブ ック ( S 6 3 丸善) 3 ) 新素材便覧 (5 H ,通算資料調査会)
4)