量⼦物理学特論
第9回
1次元調和振動⼦
シュレディンガー⽅程式の厳密解を求められる,数少ない 例のひとつ
古典⼒学において安定なつりあいは,ポテンシャルの最⼩
値に対応する。ポテンシャルの最⼩値付近では,多くの場 合,ポテンシャルを⼆次関数で近似することができる。
これはまさに調和振動⼦(単振動)のポテンシャル
電磁場をはじめとして,無限個の調和振動⼦からなる系と みなせる場合が数多く存在
1次元調和振動⼦
この場合のシュレディンガー⽅程式は
という無次元の変数を定義すると,
ξが⼤きい時,ξ2に⽐べてεを無視すると,
1次元調和振動⼦
ξ→∞で波動関数が有限になるためには,
としてもとの⽅程式に代⼊。
これを満たすHを求める。
として上の式に代⼊し,係数を⽐較
1次元調和振動⼦
ところで,nが⼤きい時には であるが においてこの無限級数は となり φ(ξ)がξ→∞で発散してしまう。
これを防ぐには,Hの級数が有限次で打ち切られなければ ならない。すなわち,あるnに対して,
この時, が0になる。
1次元調和振動⼦
あるnに対して
これを満たすεのみが許される エネルギーの量⼦化
対応するHは で決まる
Hn:n次のエルミート多項式という
演算⼦法
シュレディンガー⽅程式のエレガントな解法として,
演算⼦法という⽅法がある。
1次元調和振動⼦の場合を例に,演算⼦法を紹介する。
2つの演算⼦を定義する。
これらの演算⼦の意味 は後で明らかになる
演算⼦法
エルミート共役の関係
これらは次の交換関係を満たす
これらの演算⼦によって,個数演算⼦を定義
演算⼦法
Nの固有値がわかれば,エネルギー固有値がわかる とする
と の物理的意味を調べてみよう
すなわち, , はそれぞれnを1つ下げる/上げる演算⼦。
演算⼦法
と規格化する
=
よって 同様に
演算⼦法
Nの物理的意味を調べる。
もう⼀度 を作⽤させて
nが の固有値であれば,n–1, n–2, …も全て の固有値 nが0か正の整数でなければ,負の固有値もあり得る。
ところが,
nは正か0!
よって,nは負でない整数
個数のような性質 消滅演算⼦
⽣成演算⼦ とよぶ 対応して
演算⼦法
であるから,
よって, はエネルギーの固有関数であり,
以前求めた結果と⼀致した 固有関数も求めてみよう。
エネルギー固有値
演算⼦法
ここから,励起状態の波動関数を順次求めていける とすると,
演算⼦法
あとはこれを繰り返せばよい。
エルミート多項式(n次の多項式)
調和振動⼦の波動関数
1次元調和振動⼦
異なる固有値の 固有関数は直交
同様に する
つまり基底状態ではxもpも期待値は0 基底状態でのxの固有値を調べる。
1次元調和振動⼦
x2の期待値はどうか?
1次元調和振動⼦
p2の期待値はどうか?
1次元調和振動⼦
この結果,基底状態でxとpの期待値が共に0なの に,エネルギーの期待値が0でなくなる。
1次元調和振動⼦
第n励起状態を考える。
1次元調和振動⼦
以上より,
ビリアル定理
ビリアル定理を満たしている
多粒⼦系で粒⼦の運動範囲が有限な場合,ポテン シャルが中⼼⼒ポテンシャル であ れば,全系の運動エネルギーの時間平均は次を満 たす。