撥水性の評価法
福 山 紅 陽a
a協和界面科学㈱(〒 352︲0011 埼玉県新座市野火止 5︲4︲41)
Characterization of Water Repellency
Koyo FUKUYAMA
aa Kyowa Interface Scienese Co., Ltd. (5-4-41, Nobitome, Niiza-shi, Saitama 352-0011)
Keywords : Wettability, Water Repellency, Contact Angle, Sliding Angle, Sliding Acceleration
小特集:撥水性と表面処理
1 .緒 言
撥水性は,ぬれ性の一つの側面であり,液体と固体表面と の相互作用に関わる基本的で直感的な特性の一つである。
近年目覚ましく発展している超撥水化などの表面改質技術 においては,固体表面に対する水のはじきやすさ,ぬれにく さそのものがテーマとなっており,撥水性評価は不可欠である。
本稿では,撥水性の直感的かつ定量的な評価手法として,
接触角に関連する評価方法について概説する。
2 .ぬれと接触角 2.1 接触角
買ってきたばかりの,あるいは,よく洗浄されたきれいな ガラスコップの表面は,水でよくぬれる。しかし,何度も使っ たコップの表面は,ぬれが悪くなっている。またフッ素コー ティングされたフライパンや傘,レインコートなど各種撥水 加工された表面は,水をはじく。このような現象は日常生活 のなかでしばしば経験することである。
このようなぬれの状態に対して,一般的には,「ぬれがよ い(はじきが悪い)」,「ぬれが悪い(はじきがよい)」というよ うな表現が用いられる。しかし,これらはあくまでも感覚的 な表現であって,問題を科学的に定義,分析するためには,
客観的・定量的な表現方法が求められる。
この要求にこたえ,ぬれ(逆に言えば,はじき)の程度を定 量化するものが「接触角」であり,理化学辞典1)によれば,「静 止液体の自由表面が,固体壁に接する場所で,液面と固体面 とのなす角(液の内部にある角をとる)」と定義されている。
液滴の輪郭曲線と固体表面との交点を「端点」とよぶと,接 触角のより厳密な定義は,「端点において,液滴輪郭曲線の 接線と固体表面とのなす角」ということになる。接触角とい う概念を導入すれば,ぬれの良否を具体的な数値で客観的・
定量的に表現できるようになる(図 1)。しかも直感的にもわ かりやすい。
ぬれの現象は,固体と液体それぞれの表面張力(表面自由 エネルギー)γS,γL,および固体/液体間の界面張力(界面自 由エネルギー)γSLのバランスによって決まる。この関係は,
次のYoungの式で表されることがよく知られている。
γS=γL cosθ+γSL ………(1)
ここで,θは接触角であり,0°から 180°までの値を取り うる。たとえば,清浄なガラス表面を水がぬらす場合は,θ は 10°以下である。一方,超撥水材料の表面におかれた水滴 の場合には,θは 170°以上になることが報告されている2)。 ぬれ性,すなわち接触角は,所与の液体表面と固体表面の もつエネルギーの結果として決まるものであり,Youngの式 を次のように変形したほうがわかりやすい。
䛼䜜䛜䜘䛔 䛿䛨䛝䛜ᝏ䛔
ぶỈᛶ
䛼䜜䛜ᝏ䛔 䛿䛨䛝䛜䜘䛔 ᧕Ỉᛶ ᥋ゐゅ30°
᥋ゐゅ150°
᥋ゐゅ90°
図 1 ぬれ性と接触角
・ 固体表面に液体を 1 滴落として,真横から液滴の形を見る。こ のとき,固体表面と液体表面とのなす角を接触角という。
解 説
cosθ=γ─S-γγLSL ………(2)
この式は,熱力学的平衡に到達した状態でのぬれ性を表現 するものであり,厳密な意味で静的接触角というべきもので ある。
2.2 静的接触角と動的接触角
通常,単に「接触角」という場合には,まず,固体表面上 にゆっくりと液滴を滴下・着滴させ,固体表面上で液滴が「ほ ぼ静止」した状態での接触角を測定する。ここでいう「静的 な」状態とは,液滴輪郭の左右端点が静止しており,かつ,
液滴輪郭の形状が安定していることを意味する。しかし,現 実には,液体の蒸発や粘性などの影響により,液滴輪郭の形 状は刻々と変化している。
一般的な撥水材料であるPTFE(ポリテトラフルオロエチ レン)の表面に水を滴下した場合について,接触角や輪郭形 状の経時変化を追跡した例を図 2に示す。この例では,約 8 分後に接触角が安定したかにみえるが,液滴高さや接触半径 に着目すると,やはりゆっくりと変化しているのであって,
液滴形状が安定しているわけではない。このように,輪郭形 状が完全に安定化した状態は実現しえない場合が多いので,
通常は,着滴してから 1 秒後~数秒後の接触角を「静的な接 触角」とみなしてしまう場合が多い。ぬれ性評価においては,
この状態での測定が最も基本的な測定となる。
一方,固体表面に液滴を滴下させた後に,固体表面を傾斜 させていくと,液滴が表面を滑り始める。このとき,液滴が 滑り始めた瞬間の傾斜角を滑落角(または転落角)という(図 3)。液体と固体との付着力が大きければ,傾斜角を大きくす る必要がある。したがって,滑落角は液体と固体との付着力 の評価指標となる。この滑落角の測定において,液滴が滑落 していく方向を「液滴が前進する方向」とみなして,液滴の 前進側端点の接触角を前進接触角,その反対側の接触角を後 退接触角という。これら前進接触角,後退接触角は,液滴形 状や,試料表面に対する液滴の位置が変化している状態での 接触角であり,動的接触角という。なお,滑落角は液体/固 体間の付着力の評価指標ではあるが,接触角という概念とは 全く異なることに注意されたい。
このほか,固体試料の平面上に細管を鉛直に立て,この細 管の先端から連続的に液体を吐出(拡張)したり,吸引(収縮)
したりすることによっても,液滴端点が前進する状態,後退
する状態を作り出すことができる(拡張収縮法)。この場合の 接触角も前進接触角,後退接触角といい,やはり動的接触角 である。
2.3 静的撥水性と動的撥水性
撥水性は,文字通りの解釈としては,固体表面に対する水 滴のはじき具合ということになる。この観点では,撥水性の 評価指標として,接触角が用いられてきた。例えばJIS K 2396 では「撥水持続性は接触角によって表し,洗浄往復回 数 50 回後の接触角は 85°以上とする。」と規定されている3)。 一方,実用材料にまつわる問題解決について考える場合,
単にはじく,はじかないということよりも,むしろ材料表面 からいかに水滴が除去されやすいかということが要求される 場合が多い。たとえば,衣服表面の撥水加工や,自動車のフ ロントガラスにおける雨滴除去性などである。この観点によ る撥水性評価法としては,前述の滑落角が評価指標の一つと して用いられてきた。つまり,一定量の液滴が,どのくらい の傾斜角で滑り始めるかという概念によって,液体と固体と の間にはたらく付着力の大小が定量化されてきた。
しかし,この方法でも十分ではない場合がある。たとえば,
自動車のフロントガラスにおける雨滴の除去性能の評価とい う問題では,フロントガラスの傾斜角はあらかじめ決まって いるため,その与えられた傾斜角において,いかに「速やか に」液滴が除去できるかということのほうが重要になる。
この目的のためには,所与傾斜角で液滴が滑落させ,その 際の滑落速度や滑落加速度を評価することが必要である。こ のように,撥水性を時間の関数としてとらえる方法として,
動的撥水性の概念が提唱されている4)。
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0 2 4 6 8 10
╔ᚋ䛾⤒㐣㛫䠄min䠅 ᾮ㔞䠄μL䠅
80 90 100 110 120 130 140
0 2 4 6 8 10
╔ᚋ䛾⤒㐣㛫䠄min䠅
᥋ゐゅ䠄deg䠅
0 200 400 600 800 1000 1200
0 2 4 6 8 10
╔ᚋ䛾⤒㐣㛫䠄min䠅
᥋ゐ༙ᚄ䜎䛯䛿ᾮ㧗䛥䠄μm䠅
༙ᚄ 㧗䛥
L R
T r θ h
図 2 接触角,接触半径,液滴高さの経時変化の例(水/PTFE)
図 3 滑落法(転落法)による動的接触角測定 ๓㐍᥋ゐゅθa
ᚋ㏥᥋ゐゅθr
㌿ⴠゅ䠄ⴠゅ䠅α
撥水性の評価法 これに対し,従来の滑落角評価は,ある傾斜角において,
液体と固体とが付着している状態が安定か,付着していない 状態が安定かという問題であり,いわば静的撥水性というべ きものである。
3 .接触角の算出方法
接触角の測定方法にはいくつかの種類があるが,静的,前 進,後退を問わず,接触角そのものを数値化する方法として は,近年,コンピュータを利用した画像解析による方法が一 般的になっている。
前述のとおり,接触角とは,液滴輪郭曲線と固体表面との 交点(すなわち,端点)において,液滴輪郭曲線の接線と固体 表面とのなす角のことであるから,この定義に基づき,接触 角を幾何学的形状としてとらえることによって測定するとい うのが最も基本的な考え方である。
具体的な手順は以下のとおりである。
₁ ) 液滴輪郭曲線の座標を実測する。
₂ ) 液滴輪郭形状が,ある曲線(真円,楕円,多項式,
Young-Laplace理論曲線,……)で表されると仮定す
る。
₃ ) 輪郭形状の座標から,曲線のパラメータを算出し,
曲線を表す関数を具体的に決める。
・例えば真円では,半径と中心座標が決まる。
₄ )関数を端点座標で微分して,接線を求める。
₅ ) 接線の勾配から,接触角を求める(θ=arctan(-dy/
dx))。
液滴の輪郭曲線(液面形状)は,液体の表面張力,密度,液 量により変わり,Young-Laplace理論曲線とよばれる物理的 根拠に基づいて近似することができる。一方,物理的根拠に は一切とらわれず,純粋に幾何学形状にのみ着目して近似す ることもできる。この場合さらに,真円で近似するのか,楕 円で近似するのか,……という問題が出てくる。
一方,Youngの式によれば,接触角は,液体の表面張力ベ クトルの向きとしてとらえられることがわかる。表面張力測 定法の一つとして,Wilhelmy法があるが,この方法を逆用 すれば,表面張力既知の液体に対する接触角を算出すること ができる。
ここでは,輪郭の幾何学形状に着目する方法のうち,いく つかの方法について説明する。
まず,最も簡便な方法としてθ/2 法(half angle method)とい われる方法がある。θ/2 法は,輪郭形状を真円と仮定すれば,
接触角θと,接触半径r,着滴高さh(図 4)との間に次の関 係があることを利用したものである。
tan
(
θ─2)
=─hr ………(3)この式から,
θ=2 arctan
(
─hr)
………(4)により接触角θを求める。液滴輪郭の左端点,右端点,頂点 の座標がわかれば,r,hはすぐに求まるから,非常に簡単 に接触角を求めることができる。
一方,輪郭形状を真円や楕円で近似する方法は,真円の方 程式(中心座標(X0,Y0),半径r)
(x-X0)2+(y-Y0)2=r2………(5)
や楕円の方程式(中心座標(X0,Y0),x方向径がa,y方向径 がb)
(x-X─0)2
a2 +(y-Y─0)2
b2 =1………(6)
を利用する。輪郭曲線上の多数の座標を実測し,これらの式 で最小二乗法フィッティングを行えば,X0,Y0,rなどの曲 線のパラメータを求めることができ,具体的な関数型が決ま る。この関数を端点で微分して,
θ=arctan
(
-─dydx)
………(7)によりθを求めることができる。
また,真円によるフィッティングの特殊なケースとして,
左端点,または右端点のいずれか 1 点を含む 3 点の座標を 使ってフィッティングする接線法(tangent method)といわれ る方法もある。θ/2 法は,フィッティング区間を全域に拡げ たときの接線法と考えることもできる。
従来は,比較的簡便な方法であるθ/2 法や接線法が主流で あった。しかし,θ/2 法では,輪郭形状として真円が仮定さ れているため,液滴が自重により潰れている場合には,かた よりが大きくなるという問題がある。この場合の対応策とし て,できるだけ真円で近似できるようフィッティング区間を 狭くする接線法が使われてきたが,輪郭曲線上のわずか 3 点 の座標しか利用しないため,座標計測の誤差の影響を受けや すいという問題があった。最近はソフトウェア技術が進歩し ていることも相俟って,これらの問題を解決すべく,真円 フィッティングや楕円フィッティングなどによる解析も利用 されるようになってきている。
4 .接触角の各種測定方法 4.1 液滴法
液滴法は,静的な接触角を測定するための最も基本的な手 法である。この方法では,まず,ディスペンサを使って固体 表面上に数μL以下の微小な液滴を滴下,これを真横から CCDカメラで撮影して画像を取得する(図 5)。この画像から,
液滴の輪郭形状を解析して接触角を算出する。液量が小さけ れば,自重による潰れの影響が比較的小さいため,θ/2 法や,
輪郭全域をフィッティング区間とした真円フィッティングや 楕円フィッティングが利用できる。液量を大きくした場合は,
ある程度の潰れまでは楕円フィッティングで対応できるが,
限界はある。この場合は,フィッティング区間を狭くして,
近似精度を上げる工夫が必要となる。表 1にPTFEについて,
R L
T
r h θ
図 4 θ/2 法
解 説 水との接触角を測定した例を示す。
4.2 拡張収縮法
拡張収縮法は,前述のとおり,液体を吐出(拡張),吸引(収 縮)しながら,刻々と(たとえば 33ms間隔で)画像を取得,
解析していく方法である。この方法では,動的接触角として,
前進接触角,後退接触角が得られる。測定の再現性の観点か らは,液体の吐出・吸引速度などの条件を統一する必要があ る。このため,吐出・吸引のためのディスペンサは自動制御 タイプのものが必須である。
接触角を数値化する手法としては,やはり画像解析を利用 することになるが,液滴の中央に細管が差し込まれているた
め,θ/2 法は使えない。液滴輪郭の一部の区間を使って,接
線法,真円フィッティング,楕円フィッティングを利用する ことになる。
4.3 滑落法(転落法)
滑落法は,まず,液滴法の場合と同様に,平面上におかれ た固体試料表面に液体を着滴させた後,試料ステージごと固 体試料を傾斜させる方法である(図 5)。試料を傾斜させてい る最中も,刻々と画像を取得,解析していく。この方法も,
動的接触角として,前進接触角,後退接触角が得られる。試 料表面が水平な状態では,静的接触角が得られる。
試料を傾斜させていくと,輪郭形状が真円からはかなり逸 脱してくるため,輪郭全体を使って解析することは現実的で はない。接線法,真円フィッティング,楕円フィッティング
などの方法を使って,輪郭の一部区間のデータから接触角を 算出することになる。滑落法によって得られた滑落角をαと すれば,同一液滴量の比較では,αが大きいほど液滴が固体 表面に強く付着しているといえよう。
表面張力の考え方にならって,付着力(以下,Eと表記する)
を固液界面の周縁部に沿って単位長さにはたらく力と仮定す ると,次式が成り立つことが提案されている5), 6)。
2πrE=mg sinα ………(8)
ここで,rは着滴半径(固液界面の半径),mは液滴の質量,
gは重力加速度である。Eは表面張力と同じく「単位長さあ たりの力」または「単位面積あたりのエネルギー」の次元を もつ量である。Eの値が大きいほど,液体と固体との付着力 が大きいということになる。
液体密度をρ,液滴体積をVとすれば,m=ρVであるから,
mを消去すると
E=ρ─Vg sin2πrα………(9)
となる。したがって,ρが既知であれば,V,α,rを実測 してEを求めることができる。
一方,この式を変形すれば
sinα=─2πρgE・─Vr ……… (10)
と書ける。固体と液体の種類を固定すればEは一定と考え られ,またρ,gは定数であるから,種々の大きさの液滴に
䝕䜱䝇䝨䞁䝃
ග※
ヨᩱ䝇䝔䞊䝆
CCD䜹䝯䝷 ⴠ䝴䝙䝑䝖╔
図 5 接触角計
表 1 水/PTFEの接触角測定例
単位:deg
試料No. 日間平均(5 日間) 日間標準偏差(5 日間) 日内標準偏差(20 滴)
θ/2 楕円CF θ/2 楕円CF θ/2 楕円CF
1 114.5 115.7 0.3 0.5 1.9 2.4
2 116.3 117.3 0.8 1.1 2.0 2.8
3 116.2 117.4 0.4 0.9 1.4 2.6
4 116.1 117.0 0.3 1.0 1.1 2.6
5 119.9 120.8 1.0 0.9 2.7 3.9
試料間平均 116.60 117.63 0.60 0.90 1.92 2.91
試料間標準偏差 1.98 1.89 - - - -
・同等試料を各 5 枚ずつ準備し,測定前にIPAによる超音波洗浄と乾燥を行った。
・接触角測定は,液量約 1μLとし,各試料 1 枚につき 20 滴ずつ,5 日間測定した。
撥水性の評価法 ついて滑落角測定を行い,sinαをr/Vに対してプロットすれば,
原点を通る直線となるはずである。この直線の傾きをkとす ると次式からEを求めることもできる。
E=k ρ─2πg ……… (11)
このような考え方に基づき,PTFEとフロントガラス用市 販コーティング剤(シリコーン系)に関して,sinαをr/Vに対 してプロットした結果を図 6に示す。
接触角に極端な違いはないが,付着力Eを計算してみると,
大きく異なっている。このことは,液体と固体との付着力の 大小は,接触角ではじき具合を数値化しただけでは判断でき ないことを示唆している。
4.4 動的滑落法
動的滑落法は,固体表面からいかに「速やかに」液滴を除 去するかという動的撥水性の評価を目的とする方法である。
滑落法と類似したハードウェアを用い,画像解析を行うが,
傾斜角を固定した状態で滑落させることが特徴である。この 際,液滴端点の変位を刻々と追跡し,そのデータから液滴端
点移動距離,移動速度,移動加速度,液滴高さ,液滴接触半 径などを計測することができる。基本技術については,酒井 ら7)によって開発されており,現在は測定装置も市販されて いる。
超撥水材料においては,液滴が瞬時に滑落していくため,
1 秒間に 200 フレーム以上の画像が取得可能な高速度カメラ を組み合わせることが必要となる場合もある。
一方,滑落速度が比較的小さい系については,水平状態か ら試料面を傾斜させてまず滑落角を検出し,続いて,その角 度に固定して滑落速度等を計測するモードも実装されている。
図 7に超撥水材料(NTTアドバンステクロノロジ(株)製
HIREC1450),およびPTFEに関する水滴滑落性の評価結果
を示す。この例では,200ms以下の領域でほぼ等速で滑落し ていると仮定して滑落速度を算出した。その結果,HIREC はPTFEの 20 倍以上の速度で滑落しており,水滴除去性が 優れていることを示唆している。
Ỉ/PTFE Ỉ/ᕷ㈍䝁䞊䝔䜱䞁䜾
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 㼞㻛㼂䠄㼙㼙㻙㻞䠅
㼟㼕㼚䃐
θ
=103.2±0.5°䠄α
=0°䠅 E=1.4±0.2mJ/m20.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 㼞㻛㼂䠄㼙㼙㻙㻞䠅
㼟㼕㼚䃐
θ
=109.2±0.8°䠄α
=0°䠅 E=6.6±1.3mJ/m2図 6 滑落法による撥水性の評価例
80 100 120 140 160 180
0 50 100 150 200
ⴠ㛤ጞᚋ䛾⤒㐣㛫䠄㼙㼟䠅
᥋ゐゅ䠄㼐㼑㼓䠅
HIREC๓㐍᥋ゐゅ HIRECᚋ㏥᥋ゐゅ PTFE๓㐍᥋ゐゅ PTFEᚋ㏥᥋ゐゅ
0 1 2 3 4 5
0 50 100 150 200
ⴠ㛤ጞᚋ䛾⤒㐣㛫䠄㼙㼟䠅
ᕥ➃Ⅼ⛣ື㊥㞳䠄㼙㼙䠅
HIREC PTFE
ⴠ㏿ᗘ䠖100mm/s
ⴠ㏿ᗘ䠖4.6mm/s
図 7 動的撥水性の評価例(試料面の傾斜角:約 20°)
解 説
5 .結 言
本稿では,各種材料の撥水性の評価手法の一つとして,接 触角測定,および,その関連手法に着目し,概説した。
接触角測定は,比較的簡便でありながら,表面特性に対し ては非常に敏感であり,材料の撥水性評価には強力な手法と なる。さらに,動的撥水性という新しい概念に基づいた滑落 速度,滑落加速度などに着目することにより,液滴除去性な どをより直接的に評価できるようになった。これらの手法は,
撥水材料に関わる現場の問題解決に大きく貢献すると期待し ている。
(受理:2008︲10︲1)
文 献
₁ )久保亮五, 長倉三郎, 井口洋夫, 江沢 洋(編) ; 岩波理化学辞典 第 ₄ 版 (岩波書店, 1987).
₂ )E.Hosono ; AIST Today, 6, 26 (2006)(in Japanese).
₃ )JIS K2396 : 1994. 自動車用つや出しコーティング剤, 日本規格協 会.
₄ )中島 章 ; 中島ナノウェッティングプロジェクト研究概要集, p.1 (神奈川科学技術アカデミー, 2007).
₅ )V.A. Buzagh, E.Wolfram ; Kolloid-Z., 149, 125 (1956).
₆ )村瀬平八 ; 日本学術会議第 ₅ 回界面シンポジウム資料, 9 (1998).
₇ )酒井宗寿 ; 中島ナノウェッティングプロジェクト研究概要集,
p.63 (神奈川科学技術アカデミー, 2007).