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日本における歯科麻酔の流れと 歯科麻酔科医育成における医歯連携

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特  集 昭和大学の医療連携における歯学部の役割について

日本における歯科麻酔の流れと  歯科麻酔科医育成における医歯連携

昭和大学歯学部全身管理歯科学講座歯科麻酔科学部門

飯島 毅彦  西村 晶子

歯科麻酔科とは

 「麻酔」とは,侵襲を伴う「手術」において痛み とストレスから患者の体を守ることがその役割であ り,手術が安全に行えるように,手術中の患者の全 身状態を維持することを目的とした医療行為であ る.近年は手術中の麻酔管理ばかりでなく,手術前 後の患者の全身状態を良好に維持・管理することも 重要視され,「周術期管理」という考え方が広く浸 透してきた.歯科麻酔科も医科での麻酔と同様に歯 科・口腔外科領域の全身麻酔・静脈麻酔の周術期管 理を担当している.さらに,外来での継続した処置 が基本となる歯科医療において,さまざまな背景既 往の患者の治療が円滑に進むように支援する診療科 でもある.その診療目標は,全ての患者に「全く痛 くなく,怖くもなく,何ら不安も感じず,そして快 適で,安全に歯科治療を受けてもらうこと」と「顔 や口の中の原因不明の痛みやシビレを取り除き,辛 くて不自由な生活から解放すること」(日本歯科麻 酔学会ホームページ

1)

より)であり,具体的には,

歯科治療に対して過度のストレスを感じる患者や全 身的な既往に対する不安から歯科治療が受けられな い患者,心身の障害などから十分な歯科治療を行え ない患者,口腔内や顔面の難治性の痺れや痛みを持 つ患者など,あらゆる患者が安全で快適に歯科治療 が受けられるようにすることが診療業務となる.

 この役割を担う大前提として,歯科麻酔科医には 麻酔に関する知識や技術だけでなく,全身的な疾患 やその病態に関する知識も求められる.そのうえ で,歯科治療を担当する主治医とは同じ歯科医師と して話し合い,患者にとって最善の治療を選択でき るようにするのが歯科麻酔科医の役割である.しか

し現在の歯学部教育で卒業までに歯科麻酔学や全身 疾患の知識を十分に習得することは難しい.そのた め歯科麻酔科に専従する歯科医師は麻酔を中心とし た全身管理を卒業後から学ぶことになる.

歯科麻酔科医の育成

 歯科麻酔科医を育成するための指針となるのが,

日本歯科麻酔学会が定める認定医および専門医制度

である(図 1).歯科麻酔認定医は歯科麻酔学に関

する基本的な知識と技能を有する歯科医師または医

師であり,地域社会の歯科医療における安全性の向

上に貢献できるものと定められている.この認定医

取得申請のために求められるのは,200 例以上の全

身麻酔症例(歯科症例を 100 例以上含む)と 50 例

以上の鎮静症例を担当した臨床経験であり,筆記試

験では全身的な知識も幅広く問われる.学会認定医

を取得すると,与えられて学ぶ段階が終了し独立し

た歯科麻酔科医として症例を管理する立場となる

が,前述のような歯科医療に貢献できる役割を担う

ためには,さらに継続的な麻酔管理経験を有する歯

科麻酔専門医を目指す必要がある.専門医は,歯科

麻酔学に関する専門的な知識と技能を有する歯科医

師と定められており,安全な歯科医療の推進,学会

認定医や専門医を志望するものの指導,さらに地域

歯科医療における歯科麻酔学の普及と指導の役割を

有している.専門医取得申請には申請時から直近 5

年間で年間 100 例,総計 500 例の全身麻酔症例もし

くは全身管理症例の担当もしくは指導の実績が必要

となる.この 5 年間のうち医科麻酔研修は 2.5 年間

まで認められている.また専門医の資格を更新する

ためには,申請時と同様に更新時から直近 5 年間で

年間 100 例,総計 500 例の全身麻酔症例もしくは全

(2)

身管理症例の担当もしくは指導の業績が必要とな る.つまり歯科医療に貢献できる歯科麻酔科医を育 成し維持するためには,歯科・口腔外科領域の全身 麻酔症例数が重要であるが,日本の現状の歯科麻酔 症例数では十分とは言えない.

日本の歯科麻酔症例数の現状

 日本歯科麻酔学会が認定する研修指導施設は歯学 部附属病院など 31 施設であり,年間約 15,000 件の 全身麻酔症例と約 22,000 件の鎮静症例を扱ってい る.しかし厚生労働省で把握している歯科点数表で の全身麻酔症例数は年間で 79,000 例である.すな わち,歯科全身麻酔症例の 80% 以上は研修指導施 設以外の医療機関で行われていることになる.この 症例数は日本の歯科患者にとって十分な需要を満た しているであろうか?諸外国を見るとその数十倍の 歯科麻酔症例数があることがわかる.人口 1,300 万 人のカナダ・オンタリオ州では年間歯科麻酔症例数 が約 187,000 例と報告されている

2)

(表 1).日本の人 口に当てはめると鎮静を含め約 180 万例となり,現 在の症例数の約 20 倍に相当する.また,米国ピッ ツバーグの人口は 130 万人であるが,約 12,000 例 の歯科麻酔症例を歯科麻酔医が扱っている.この需 要を日本に当てはめると年間 120 万例となる.その 他の報告からも北米では対人口比で日本の 10 倍以 上の歯科麻酔症例数が行われている

3)

 歯科治療に麻酔を併用する主な理由は「歯科治療 への恐怖心」であり,これは日本も海外も共通して

いる(表 2).侵襲的な処置が多い歯科治療には,

本来は多くの全身麻酔・静脈麻酔併用の需要がある ことが予測できる.なぜ日本では歯科の麻酔症例が 少ないのであろうか?それは歯科において全身麻酔 や鎮静を適応するハードルが高いからである.外来 処置が大半を占める歯科医療では,歯科治療に全身 麻酔を適応することへの抵抗が根強い.大半の歯科 医師と患者が埋伏智歯の抜歯は局所麻酔下で行う方 が一般的だと考えているであろう.結果的に全身麻 酔下で歯科治療を実施するのは実施症例数が制限さ れる大学病院が中心である.また医科と比較し歯科 治療の診療報酬点数が低いため,病院における歯科 の優先順位も低くなってしまう.つまり現在の日本 の保険診療制度の中で,歯科・口腔外科領域の全身 麻酔症例数を何倍にも増大することは,たとえ需要 があったとしても困難である.さらに北米では小児 歯科における鎮静や全身麻酔の需要は多いが(表 2),日本では小児歯科の麻酔を行うのは大学病院か 自治体の施設であり年間症例数はさほど多くない.

歯科治療において小児に全身麻酔を適応することは 特に抵抗が強いようである.

歯科麻酔専門医の養成

 歯科麻酔専門医は申請時点で継続して 5 年以上学 会員であることが申請資格であり,専門医試験が例 年 5‑6 月頃に実施されることから,最短で 5.25 年 で取得できる.しかし現実には専門医取得までの平 均会員歴は 7 年以上であり,10 年以上かけて取得

図 1 日本歯科麻酔学会認定医・専門医取得までの流れ

医科麻酔研修を組み入れることで,申請要件を満たし最短で専門医を養成する研修スケ ジュールを設定することができる.

(3)

している受験生もいるようである.これに対し認定 医取得に関しては申請時点で継続して 2 年以上学会 員であることが申請資格の一つであるが,多くが 2‑3 年の間に取得していると言われる.つまり多く の学会員が認定医までは短期間で取得するものの,

その後の継続した麻酔業績を維持できずに専門医の 取得申請に時間がかかっている.歯科麻酔専門医を 過去 10 年間,1 年に 1 名以上継続的に輩出してい る指導施設は 31 施設中 7 施設に過ぎず,歯科麻酔 科医を育成するために十分な全身麻酔症例数をもつ 施設がわずかであるのが現状である.専門医取得申 請および更新のためには 1 人の歯科麻酔科医が年間 100 例の症例を担当もしくは指導する必要がある が,前述の通り日本の研修指導施設における全身麻 酔症例数は年間 37,000 件であり,この件数では 370 人分に過ぎない.実際に日本口腔外科学会の専門医 が約 1,900 名であるのに対し,日本歯科麻酔学会専

門医はわずか 300 名程度である.この現実が歯科麻 酔専門医の取得が困難であることを示している.

日本特有の歯科麻酔科学講座

 日本は唯一歯学部に麻酔専門の講座が設置されて いる国である.他の国の歯学部には歯科麻酔学講座 はない.米国は,世界で初めて全身麻酔を始めた歯 科医師であるトーマス・ウィリアム・モルトン氏と ホールス・ウェルス氏を生んだ国であるが,歯科麻 酔学講座は設置されていなかった.米国の歯科麻酔 は長い歴史を持つが歯科学の一つとしては認められ ていなかった

4)

.昨年,ADA(アメリカ歯科医師会)

は歯学部教育における麻酔学の必要性を認知し,歯 科麻酔学を保存,補綴と並んで必須の習得科目に認 定した

5)

.今後は歯科麻酔学講座も設置されること が期待される.このような状況のため,米国でも歯 科麻酔専門医はまだ数が少なく,歯科麻酔科医以外

表 1  カナダ・オンタリオ州におけるアンケートに基づいた歯科麻酔症例数

(1996 年から 2015 年まで)

麻酔担当 実施症例数 推定症例数 計

歯科麻酔科医 257,957 0 257,957

口腔外科医 1,273,643 1,058,046 2,331,689 医科麻酔科医 292,222 860,200 1,152,422 計 1,823,822 1,918,246 3,742,068 2016 年に行われたオンタリオ州の歯科および医科麻酔科医と口腔外科医に対 して行われたアンケート調査の結果.アンケート回収率から未回答者の推定 症例数を算出している.歯科麻酔科医は 100% の回収率であったため推定症 例数はない.20 年間で約 370 万件,年間約 18 万件の歯科麻酔症例が実施さ れているが,歯科麻酔科医が担当するのは 10% にも満たない.

表 2 麻酔を必要とする歯科患者の背景(アメリカ歯科麻酔学会資料より)

総患者数 麻酔を要する割合 麻酔適応患者数 重度歯科恐怖症 21,000,000 7% 1,470,000

重度障がい児 2,800,000 50% 1,400,000 乳幼児 10,000,000 12.7% 1,270,000 重度知的障がい者 5,500,000 20% 1,100,000

施設入居の高齢者 1,500,000 ? ?

日本と同様に歯科恐怖症患者が多い一方で,米国では小児の歯科治療における麻 酔の需要が高い.

(4)

(口腔外科医や小児歯科医など)が麻酔を実施する ケースが極めて多い.歯科麻酔科医が担当する割合 は,まだ歯科麻酔症例全体の 10% に満たないとい う統計もある.アメリカ歯科麻酔学会(ADSA)は 現在の 400 名の専門医を 6,000 名にまで増やす計画 を ADA に提出していることから,今後米国での歯 科麻酔科医の活動の充実が期待される.日本では歯 科麻酔科あるいは歯科麻酔科学講座が全国 29 歯学 部に設置されており,歯科麻酔専門医を輩出する基 盤が整えられている.今後はさらに多くの歯科患者 へ麻酔管理を提供するために,歯科医療における歯 科麻酔の認識を高める努力が必要である.

歯科麻酔の専門性を認めた歯科麻酔管理料の新設  医科の全身麻酔においては,厚生労働省が認定す る常勤の麻酔科標榜医に対して,術前から患者の全 身状態を評価し,麻酔を安全に行い,術後の患者の 状態をケアする一連の医療行為に対し,麻酔管理料 の算定が認められている.これに対し,歯科の全身 麻酔では歯科麻酔科医が前述のような専門性の高い 麻酔管理を行う技術を身につけても麻酔管理料の算 定が認められていなかった.しかし 2020 年春より 医科の麻酔管理料と同等の技術料が歯科でも認めら れることになった

6)

.その算定要件として,日本歯 科麻酔学会の認定医レベルと同等の 200 例以上の全 身麻酔経験と 50 例以上の鎮静経験を持つ歯科麻酔 専従医が常勤で勤務していることが求められてい る.医科でも歯科でも,専門技術を持つものが行う 医療行為に対して技術料が算定されることは珍し

く,歯科麻酔科としてはその専門性の認知に向けた 一歩を進めたことになる.

昭和大学歯科麻酔科

 このような状況のなか,昭和大学歯科麻酔科はこれ まで多くの認定医・専門医を育成している.毎年 10 名前後の認定医と 3 名前後の歯科麻酔専門医を輩出 しており,2005 年から 2019 年までに行われた歯科麻 酔専門医申請者の調査では,専門医申請者総数 197 名 中,昭和大学は 23 名で 12%を占め第 1 位であった(図 2).昭和大学歯科病院における年間の全身麻酔症例 数は 1,200 件,鎮静症例数は 2,000 件である(図 3).

全国的には年間の全身麻酔症例数が 300‑500 例程度 の研修指導施設が多い中で,この管理症例数は全国 トップレベルであり,麻酔業務を担うために必要な基 礎的な知識や技術,最新の麻酔学を研修するうえで 十分な教育施設である.さらに,同程度の症例数を実 施する他大学と比較しても認定医・専門医の資格申請 者数が圧倒的に多い.この最大の要因が,昭和大学の 各附属病院と連携した医科麻酔研修にある.

 日本歯科麻酔学会の認定医の申請には 200 件以上 の全身麻酔症例を管理した麻酔業績が必要となる

図 3 昭和大学歯科病院における管理症例数 全身麻酔症例は平成 26 年と比較し 6 年間で約 2 倍に増 加している.

図 2 日本歯科麻酔学会研修指導施設ごとの 専門医申請者総数(2005 年 ‑2019 年)

2005 年‑2019 年の専門医申請者総数 197 名中,昭和大 学は 23 名で全体の 12% を占め第 1 位であった.

(5)

が,そのうち半数は医科麻酔研修での管理症例を充 当することができる.また,専門医の申請には申請 時点から直近 5 年間のうち 2 年半以上の歯科麻酔業 務への専従が求められるが,申請する際に必要な 500 件以上の麻酔業績は医科麻酔研修での管理症例 を含めることに制限はない(図 1).もともと医科 麻酔研修は,歯科領域の麻酔管理だけでは全身的な 疾患や病態に関する知識を深めるには不十分である ことから始まった制度である.歯科における管理症 例は主に健康な若年者や既往歴のコントロールが良 好な患者が多く,重症度の高い症例は数が少ない.

また乳児や緊急症例を扱う機会も少なく,どうして も知識や経験に偏りがでる.そのため,認定医もし くは専門医を目指して研修する歯科医師には,医科 での麻酔研修が認められている.この制度を利用し て経験した症例を申請症例に含めることで,歯科・

口腔外科領域の全身麻酔症例数がそれほど多くない 施設に所属する者も認定医・専門医の申請を行うこ とができるという利点もある.しかし実際には,認 定医取得申請の際には医科麻酔研修を利用する申請 者が多いものの,専門医の申請では提出症例におけ る医科麻酔症例の割合はそれほど高くないようであ る.申請者の多くは申請要件を満たす 500‑600 症例 を提出するが,そのうち医科麻酔症例数が 100 例未 満の申請者が大半を占めている.

 昭和大学歯科麻酔科では,手術室で多くの麻酔症 例を管理している昭和大学病院,横浜市北部病院,

藤が丘病院,江東豊洲病院のすべてに,歯科麻酔科 医が 2‑5 名ずつ常勤医として出向している.そして 日本麻酔学会指導医の指導のもと,1 人の歯科麻酔 科医が年間 300‑500 件の全身麻酔症例を担当する.

症例は各付属病院の診療科により特色があるため,

特に認定医取得申請前は 1 年毎に所属する病院を交 代し多様な症例を担当することで,歯科病院での歯 科・口腔外科領域の症例だけでは経験できない知識 や技術を習得している.この潤沢な医科麻酔研修先 があるおかげで,年間の全身麻酔症例が 1,200 件の 昭和大学歯科麻酔科において数多くの認定医および 専門医申請者を育成することができるのである.さ らに,このように歯科麻酔科医が常勤医として研修 することは,同時に麻酔科医不足が問題となる医科 麻酔における医療貢献ともなっている.それぞれの 附属病院で 2‑5 名の歯科麻酔科医がそれぞれ年間

300‑500 件の麻酔管理を担当する.これは年間管理 症例数が 7,000‑9,000 件の各病院において,病院に よって異なるが約 20‑30%の症例を歯科麻酔科医が 担当していることになり,昭和大学全体の麻酔管理 症例数を下支えしている.この医科と歯科の相互連 携により,研修する歯科麻酔科医の生活を保障しな がら資格取得申請に十分な症例数を確保し,同時に 研修受け入れ先の医科麻酔科は人的不足を補うこと ができる.そしてこのような医科麻酔研修を整備す ることで,歯科医療に貢献できる歯科麻酔専門医を 継続的に育成することが可能となるのである.

 米国では歯科麻酔の講座はないが,歯科麻酔専門 医を養成している.専門医試験の受験には日本の経 験症例数より多くの約 800 例の症例経験が求められ ている.米国では歯科症例も全身麻酔は主に医科病 院で行われており,カリフォルニア大学ロサンゼル ス校附属病院での歯科の全身麻酔症例数は年間約 800 例と言われている.そのため米国では歯科麻酔 科医の研修所属先は主に医科病院であり,「麻酔」

を研修するうえで日本のような医科と歯科の境界は ないようである.

生涯学習の場としての医科麻酔研修

 歯科麻酔科医は認定医・専門医取得までは,申請 要件を指針に歯科麻酔および医科麻酔を研修する.

認定医・専門医を取得した後は,大学病院の歯科麻 酔業務や地域歯科保健センターでの障がい者および 有病者歯科診療に携わることが多い.しかし麻酔の 知識や技術は日進月歩で刷新されることから,症例 数の限られた歯科・口腔外科領域での診療だけでは 最新の情報を継続的に得ることは難しい.そのた め,資格取得後の定期的・継続的な医科麻酔研修は 歯科麻酔科医の生涯学習の場としても有用である.

 また昭和大学の各付属病院には歯科麻酔科が設置

され,歯科麻酔専門医が科長を務めている.各付属

病院の歯科麻酔科は専門医の歯科麻酔科医が知識と

臨床経験を活かして,認定医・専門医を目指して医

科麻酔研修を受ける後進を育成するとともに,病院

歯科の歯科医師と連携して診療にあたっている.近

年,歯科麻酔科医が認定医,専門医も含めて常勤す

るようになり,歯科・口腔外科の歯科医師と連携し

て全身麻酔・鎮静の適応症例を管理できるように

なったことで,昭和大学付属病院の歯科・口腔外科

(6)

の全身麻酔・鎮静症例が増加している.平成 26 年は 全身麻酔と鎮静がすべての附属病院の症例を合わせ ても各 100 例ほどであったが,最近では全身麻酔が 400‑500 件,鎮静症例は 600 件を超えている(図 4).

ま と め

 歯科医療は侵襲的な処置を多く含むため医科と同 様に麻酔管理が必要であるが,日本の歯科・口腔外 科全体の麻酔症例数は北米と比較するとはるかに少 ないのが現状である.しかしその少ない症例数に対 しても,現在の歯科麻酔専門医数では十分な数とは 言えない.日本は世界で唯一歯学部に麻酔学を教え る講座が設置されている国である.歯科麻酔専門医 の養成と地域医療における歯科麻酔の活躍の場を広 げることが必要である.昭和大学は各附属病院で多 くの歯科麻酔認定医・専門医を目指す歯科医師を受 け入れており,継続的な歯科麻酔科医の養成に貢献 し,専門医輩出数は本邦でトップレベルを維持して いる.このような医科・歯科の強い連携は昭和大学 ならではのものであり,今後もこの連携を維持して いくことにより歯科麻酔の充実が図られるものと期 待される.

文  献

1) 日本歯科麻酔学会.歯科麻酔とは.(2020 年 8 月 27 日アクセス)http://kokuhoken.net/jdsa/

about/index.html

2) El-Mowafy  A,  Yarascavitch  C,  Haji  H,  .  Mortality and morbidity in office-based general  anesthesia  for  dentistry  in  ontario. 

. 2019;66:141‑150.

3) Jastak JT, Peskin R. Major morbidity or mor- tality  from  office  anesthetic  procedures:  a  closed-claim analysis of 13 cases.  .  1991;38:39‑44.

4) Weaver JM. The history of the specialty of den- tal anesthesiology.  . 2019;66:61‑68.

5) American Dental Association. Anesthesiology  recognized as a dental specialty. (accessed 2020  Aug 27)https://www.ada.org/en/publications/

ada-news/2019-archive/march/anesthesiology- recognized-as-a-dental-specialty

6) 診療報酬点数表.歯科麻酔管理料.(2020 年 8 月 27 日アクセス)http://tensuhyo.html.xdomain.

jp/02/s/K004.html 図 4 昭和大学付属病院における歯科麻酔症例数

常勤の歯科麻酔科医が増え,各附属病院の歯科口腔外科と連携が可能になっ たことで,毎年計 1,000 件前後の歯科麻酔症例が実施されるようになった.

※救命センター口腔ケア件数 2019 年 5 月‑12 月延べ 77 件

※藤が丘病院 SAS 外来 年間延べ約 400 件,新規約 30 件

参照

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