文 部 省 科 学 研 究 費(一 般 研 究B)課 題番号:07458027
「中 等 化 学 教 育 に お け る個 人 実 験 を 通 して の 科 学 的 表 現 力 育 成 に 関 す る 調 査 研 究 」 中 間 報 告 書
高 校 化 学 ・中 学 理 科 に お け る 表 現 力 育 成 の た め の
個 人 実 験 教 材 と 実 践 報 告
平 成8年(1996年)3月
研究代表者 松 原 静 郎
(国 立教 育研 究所)
は し が き
本 教 材 集 は 文 部 省 科 学 研 究 費 補 助 金 一 般 研 究(B)「 中 等 化 学 教 育 に お け る個 人 実 験 を 通 して の 科 学 的 表 現 力 育 成 に関 す る調 査 研 究 」 に お け る調 査 実 施 の た め,昨 年5月 に 研 究 資 料 「高 校 化 学 に お け る表 現 力 育 成 の た め の個 人 実 験 教 材 集 」 を 作 成 した が,こ れ に1年 間 にわ た る実 践 と検 討 を 加 え,さ らに,高 等 学 校 の 実 践 報 告 と中 学 校 理 科 の 教 材 も収 め た もの で あ る。
化 学 実 験 研 究 プ ロ ジ ェ ク トで は,1988年 度 よ りお も に高 等 学 校 化 学 に お け る 個 人 実 験 導 入 とそ の影 響 につ い て研 究 して き た 。1993年 度 か らは 国 立 教 育 研 究 所 国 語 教 育 研 究 室 の ご協 力 も い た だ き,化 学 実 験 に お け る表 現 力 を 中 心 に 調 査 研 究 を進 め て き た 。
今 回,科 学 研 究 費 補 助 金 の 交 付 を 受 け る こ と と な り,新 潟,長 野,群 馬 の 各 県 セ ン タ ー に もご協 力 い た だ い て,高 等 学 校 お よ び 中 学 校 で の 調 査 を 進 め られ る こ と にな った 。 特 に 高 等 学 校 で は実 践 を した 結 果 を,い くつ か の 学 校 に お い て 中間 報 告 と して ま とめ る こ とが で き た 。 執 筆 され た 委 員 の方 に は 実 施 す る と
き の参 考 に な る よ うに 心 が けて 書 い て い た だ い た 。
ま た,本 報 告 書 の教 材 は 高 等 学 校 化 学IBと 中 学 校 第2学 年 理 科 を 対 象 と し て い るが,実 験 実 施 の 際 に はA4判 の教 材 をB4判 に 拡 大 し,実 験 プ リン トと
して そ の ま ま 生 徒 に配 布 し,実 験 が 実 施 で き る よ うに な って い る。 さ らに,実 施 した 実 験 プ リ ン トを 回 収 す る場 合,生 徒 に は 復 習 用 の プ リ ン ト(回 答 例 を 示
した もの)を 配 布 で き る よ う,実 験 プ リ ン トと見 開 き で 掲 載 して い る。 な お, 各 実 験 教 材 に 対 す る教 師 用 手 引 き は後 方 の ペ ー ジ に ま とめ て掲 載 し,実 施 の 際 の 便 宜 を は か っ た。
実 験 教 材 に 関 して は これ ま で何 度 も検 討 して き た が,ま だ未 完 成 な 部 分 が 散 見 され る。 よ り良 い もの に して い くた め,先 生 方 の忌 揮 の な い ご意 見,ご 叱 正
を お 願 い す る次 第 で あ る。
最 後 に,こ の報 告 書 を ま とめ る に あ た り,小 川 友 子 さん に は 多 大 の ご協 力 を い た だ い た 。 記 して 感 謝 す る。
平成8年2月 研究代表者
松 原 静 郎
研 究 委 員 一 覧
研究代表者 松原 静郎 国立教育研究所科学教育研究 セ ンター化学教育研究室長
共 同研究者 赤石 定治 阿部 光雄 有元 秀文 石井 哲 彰 石井 良典 石川 朝洋 臼井 豊 和 遠藤 英夫 小俣 あや子 清 田 三郎 久保 博義 後藤 顕一 五 島 政一 古澤 繁喜 増 田 宗夫 堀 哲夫
東京都立晴海総合高等学校 群馬県総合教育 セ ンター
国立教育研究所 教科教育研究部 新潟県立佐渡女子高等学校 東京都新宿区立牛込第一中学校 新潟県立教育 セ ンター
東京都立八王子東高等学校 帝京長岡高等学校
神奈川県茅 ヶ崎市立北陽中学 校 東京都立牛込商業高等学校 東京都立石神井高 等学校 埼玉県立松伏高等学校
神奈川県三浦市立 南下浦中学校 長野県教育 セ ンター
栃木県宇都宮市立教育研究所 山梨大学 教育学部
教 諭 指導主事
国語教育研究室長 教 諭
教 諭 指導主事 教 諭 教 諭 教 諭 教 諭 教 諭 教 諭 教 諭 専門主事 指導主事 教 授
も く じ
は し が き ・ ・ … 。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 。 …
委 員 一 覧 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … ㌦ 第1章 表 現 力 育 成 の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
1.は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ….。...
2.個 人 実 験 の 導 入 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 3.研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
4.調 査 に お け る 留 意 事 項 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 5.化 学 実 験 ・ 理 科 実 験 で の 表 現 に 関 す る 問 題 点 と
定 型 文 利 用 の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 6.実 験 レ ポ ー ト の 書 き 方(生 徒 用)・ ・ ・ ・ ・ …
第2章 高 等 学 校 に お け る 実 践 報 告 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 1.実 験 レ ポ ー ト に お け る 表 現 の 指 導 ・ ・ ・ ・ ・ … 2.成 分 元 素 の 検 出(炎 色 反 応)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 3.化 学 反 応 に お け る 量 的 関 係 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
4.分 子 量 の 測 定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 5.コ ロ イ ド 溶 液 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 6.酸 ・ 塩 基 と ム ラ サ キキャベツ 液 の 色 ・ ・ ・ ・ … 7.金 属 の イ オ ン 化 傾 向 と ボ ル タ 型 電 池 ・ ・ ・ ・ … 8.電 気 分 解 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 9.鉄 イ オ ン の 検 出 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 10.水 溶 液 の 判 別 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
第3章 1.
2.
第4章 1.
2.教 師 用 手 引 き ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 第5章 実 験 に 伴 う ア ン ケ ー ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 1.科 学 観 調 査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 2.実 験 に 関 す る ア ン ケ ー ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … 3.実 施 上 の 問 題 点 に 関 す る 調 査(教 師 質 問 紙)…
1 11 1 2 3 4 5
6 9 11 12 26 30 46 48 64 76 88 94 96
高 等 学 校 化 学 用 実 験 教 材 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …101
実 験 プ リ ン ト 教 材 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …102 教 師 用 手 引 き ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …122 中 学 校 理 科2年 用 実 験 教 材 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …133
実 験 プ リ ン ト 教 材 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …134
・144
・149
・150
・154
・154
第1章 表 現 力育 成 の意 義
1.は じ め に 。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
2.個 人 実 験 の 導 入 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
3.研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
4.調 査 に お け る 留 意 事 項 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … (1)調 査 の 実 施
(2)生 徒 へ の 注 意 事 項 (3)実 験 プ リ ン ト の 特 徴
5.化 学 実 験 ・理 科 実 験 で の 表 現 に 関 す る 問 題 点 と 定 型 文 利 用 の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … (1)教 科 書 で の 問 題 点
(2)定 型 文 の 書 き 方 と そ の 意 義
6.実 験 レ ポ ー ト の 書 き 方(生 徒 用)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …
2
3
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9
1は じ め に
新学習指導要領では酬 の縣 実験の聾 力・うたわれ詣 導要録禰 評価の観点とし
て 表 現 が 加 え られ た 。 理 科 で は 観 察,実 験 の技 能 に 表 現 の 観 点 が 加 わ り,実 験 レ ポ ー ト等 で の 表 現 に焦 点 が あ て られ て い る。 しか し,中 等 理 科 教 育 に お け る 実 験 レ ポ ー トに関 して は,実 験 結 果 の 記 述 に 自 分 の 意 見 が 混 在 した り,結 論 の 記 述 で 主 語 を 入 れ な か った り,単 蒜 しか 書 か な い と い っ た,表 現 の 面 で の 問 題 点 が 多 い こ とが こ れ ま で の 調 査 で 見 い だ さ れ て い る。
IEA国 際 理 科 教 育 調 査 の 中3の 実 験 テ ス トで は ,わ が国 の正 答率 が他 に比 べて30%以 上 低 か っ た3問 は 実 験 計 画 等 を 記 述 す る問 題 で あ った 。 こ の よ う な 説 明 を 必 要 と す る推 論 や 実 験 計 画 に は 思 考 力 や 自 己 学 習 力 が 重 要 で あ る が ,そ れ を高 め る視点 が これ まで は は っ き り して い な か っ た 。 表 現 力 は 思 考 力 と結 び付 い て お り,表 現 の具 体的 な手 立 て が明 確 化 して く る こ と に よ り,思 考 し や す くな り,ま た ,自 分 の考 え に気 づ き 自己学 習 力 も高 め ら れ る と 考 え られ る。 中 ・高 等 学 校 で の 予 備 調 査 で も,具 体 的 な 記 述 の 仕 方 を 指 導 しな い ク ラ ス に 比 べ,指 導 し た ク ラ ス で は適 切 な 回 答 が 大 幅 に 伸 び る の が 見 ら れ た。 た だ し,そ の ま ま 生 徒 に 定 着 す るわ け で は な か っ た 。
一 方,新 課 程 の 中 学 校 理 科 や 高 校 化 学IA,IBの 教 科 書 や 教 師 用 指 導 書 に お い て,考 察 と して 問 題 が 入 って い る例 や,教 師 用 指 導 書 の 考 察 部 分 に結 果 の 解 説 が 書 い て あ る な ど の 混 乱 が 見 られ る。 さ らに ,教 科書 に も実験 レポ ー トの書 き方 は載 って い るが,書 き方 の 手 立 て ま で 記 載 さ れ て い る例 は な く,生 徒 が レポ ー トを 作 成 す る 際,形 式 は わ か る が,結 果 と考 察 を ど う 区 別 す る か な ど は わ か ら な い こ と も多 い と 思 わ れ る 。 ま た,レ ポ ー トに お い て 結 論 を実 験 事 実 か ら導 く際 ,一 般 に法則 や理 論,他 人 の意 見 な どを根 拠 と して 引用 す る が,こ の 点 も教 科 書 に 抜 け て お り,入 れ て い く必 要 が あ る。
ま た,科 学 教 育 に お け る 表 現 力 に 関 して,か つ て 特 定 研 究 「言 語 」 と して 大 規 模 か つ 総 合 的 な 調 査 研 究 が な さ れ た 。 久 田 氏 は これ に 続 く一 連 の 調 査 結 果 に基 づ い て,表 現 を 訓 練 す る に は,観 察,実 験 を 授 業 の 中 に 入 れ,そ の 観 察,実 験 は 生 徒 自 ら が で き る よ うな もの が よ い と,提 言 して い る。 す な わ ち,事 実 と意 見 と の 区 別 を 中 心 と し た 表 現 の 育 成 は,目 の 前 で 起 き る事 実 を 自 ら観 察 す る実 験 を と お して 行 う の が 適 して い る と考 え ら れ る 。 そ の 際,手 順 ど お り操 作 を す る だ け で な く,生 徒 一 人 一 人 が 主 体 的 に 取 り組 あ る実 験 の 機 会 が 必 要 で あ る。 つ ま り,上 記 の 問 題 点 の 解 消 に は,個 人 個 人 に操 作 を 考 え させ た り,結 論 を 考 察 さ せ る 内 容 を 含 ん だ 個 人 実 験 の 導 入 が 適 当 と思 わ れ る 。
これ ま で も我 々 は 個 人 実 験 に つ い て 調 査 研 究Dを 実 施 して ぎ て お り ,個 人実 験 に よ り興 味 ・関 心 が 高 ま る こ とが 認 め ら れ た 。 次 に,個 人 実 験 を と お して の 思 考 力 の 育 成 に つ い て 調 査 を して い く に した が っ て,表 現 に 問 題 の あ る こ とが 浮 か び 上 が っ て き た 。 こ れ を う け
て,平 成5年 度 よ り表 現 力 の 育 成 に っ い て 調 査 研 究 を 続 け て い る 。
1)松 原 静 郎 他(1991)『 高 校 化 学 に お け る生 徒 の 科 学 的 態 度 に 及 ぼ す 個 人 実 験 の 影 響 に 関 す る調 査 研 究 』 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 成 果 報 告 書(課 題 番 号02680244)111P.;松 原 静 郎 他(1993)『 高 校 化 学 に お け る 個 人 実 験 導 入 と そ の 影 響 に関 す る 調 査 研 究 』 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 資 料(課 題 番 号03680256)95p.
2個 人 実 験 の 導 入2)
こ れ ま で 個 人 実 験 を 導 入 実 施 した 経 過 と そ の 結 果 は 次 の とお り で あ る 。
我 が 国 で は グ ル ー プ で の 実 験 が 多 い 。 しか し,グ ル ー プ実 験 で は 手 分 け を して 実 験 操 作 に手 を 出 さ な い 児 童 生 徒 や,手 を 出 せ な い 児 童 生 徒 もい る。
そ こ で,高2を 対 象 と して 個 人 実 験 を 実 施 して み た 。 化 学 実 験 を 自 分 で す る の が 好 き な 生 徒 は6割 で あ っ た が,個 人 実 験 を 楽 し い と した 生 徒 は2割 程 度 と少 な か っ た 。 個 人 実 験 の 悪 い 点 と して は 「結 果 が 不 安 」 や 「ひ と に 聞 け な い 」 な ど を7割 近 くの 生 徒 が 挙 げ て お り,実 験 に お け る結 果 重 視 の 姿 勢 が 認 め られ た 。 一 方,個 人 実 験 の 良 い 点 と して 「マ イ ペ ー ス で や れ る 」 や 「く りか え しで き る」 を3割 の 生 徒 が 挙 げ て い た。 ま た,新 し い 器 具 に 対 して 「進 ん で 使 う」 は3割 で あ っ た 。 この 結 果 を 踏 ま え て,さ らに13の 高 等 学 校 に お い て,個 人 実 験 を 年 に 数 回 導 入 して み た 。
実 験 プ リ ン トで は,操 作 の 説 明 を な る べ く簡 潔 に し,器 具 等 を 自 由 に 使 用 させ る こ と, さ ら に,実 験 方 法 を 限 定 しや す い 図 は な る べ く少 な くす る こ と,実 験 結 果 の 予 想 な ど,生 徒 自 身 で 考 え さ せ る項 目 を 入 れ る こ と,少 量 実 験 を 採 用 し,パ レ ッ ト等 廉 価 な 器 具 を 使 用 す る な ど の 配 慮 を し た 。
実 験 を 少 量 化 す る と,科 学 実 験 で 重 要 な 再 実 験 も容 易 と な っ た 。 実 験 の 失 敗 に よ る再 実 験 は も ち ろ ん,考 察 を した 後 に 再 実 験 す る こ と で,実 験 事 実 の 再 確 認 が で き る。 ま た,類 似 の 実 験 を 行 う な ど,自 らの 考 え を 発 展 させ る こ と も で き る。 そ の ほ か,廃 液 量 も減 少 し, 項 目 に よ っ て は 反 応 時 間 が 短 縮 さ れ,爆 発 な ど の 危 険 性 も軽 減 さ れ る。 た だ し,パ レ ッ ト
は 実 験 用 に で きて い な い の で,一 般 に有 機 物 に は 不 適 当 と い っ た 短 所 も あ る 。
生 徒 に は,失 敗 した ら も う一 度 や り直 せ ば よ い こ と,結 果 に 疑 問 の 点 が あ っ た ら,く り か え し実 験 して 確 か め る こ と,実 験 が 一 通 り終 わ っ た ら,各 自 の 興 味 に よ り進 ん だ 実 験 を して よ い こ と,実 験 結 果 等 は 条 件 に よ り同 一 に は な ら な い こ と も あ り,自 分 の 結 果 や 考 え を 重 視 す る こ と,以 上 の 点 を 強 調 した 。
実 施 後 の,個 人 実 験 に対 す る 生 徒 の 態 度 や 教 師 の 評 価 は,以 下 の よ う で あ っ た 。
化 学 反 応 の 量 的 関 係 に関 す る 実 験 で み る と,上 記 と 同 じ学 校 の 生 徒 の 反 応 は,「 プ リ ン トに 書 い て な い実 験 も した 」 は1割 弱 で あ っ た が,「 実 験 が 面 白 か っ た 」 は7割,「 積 極 的 に 実 験 に 取 り組 ん だ 」 が8割 で あ っ た 。 ま た,そ の 他 の 個 人 実 験 を 含 め て,9割 方 の 教 師 は 消 極 的 な 生 徒 も主 体 的 に 取 り組 ん だ と して い た 。 な お,実 験 内 容 に つ い て は ほ ぼ8割 の 教 師 が 肯 定 的 な 回 答 で あ っ た 。
ま た,器 具 に つ い て は 適 切 で あ り,試 薬 量 は 普 段 と 同 じか よ り少 な く,試 薬 等 の 管 理 ス ペ ー スで も ほ ぼ 普 段 と 同 じ と す る 回 答 が 多 か っ た 。 しか し,実 験準 備 等 の手 間 を グル ー プ 実 験 と比 較 した 結 果 は,7割 程 度 の教 師 が よ り手 間 が か か る と して い た 。 実 験 の 準 備 は2
〜3時 間 で で き た と す る回 答 が6割 近 く と多 か っ た 。 準 備 時 間30分 以 内 も あ った が ,5〜
6時 間 か か っ た とす る回 答 もあ っ た 。 こ れ が 個 人 実 験 を 実 施 す る際 の 最 大 の 障 害 で あ ろ う。
た だ し,溶 液 の 小 分 け方 法 を 工 夫 す る こ と で 短 時 間 に 済 ま せ て い る例 も見 られ た 。
2)松 原 静 郎(1993)「 化 学 実 験 に お け る問 題 点 と個 人 実 験 導 入 の 試 み 」 『理 科 の 教 育 』42 (8),pp.523‑525
3研 究 の 目 的
日 本 語 に お け る 特 徴 と し て,ひ と と 話 を した り文 章 を 書 く際 に,主 語 を 抜 か し た り,1 人 称 を 書 く こ と を 避 け た り,賛 成 反 対 を最 後 に 述 べ た り,自 明 の こ と は あ え て 言 わ な い よ
う に した り,目 上 の 人 の 意 見 に 合 わ せ る よ う に す る な ど の こ とが あ げ られ る。 こ れ らの い ず れ もが 自 分 自 身 の 意 見 を 明 確 に 表 現 す る こ とを 避 け た 言 い 方 と な っ て い る。 こ れ に は, 相 手 の 言 っ た こ と に 異 論 を 差 し挟 む こ と が 相 手 の 人 格 を 否 定 す る こ と に つ な が る との 考 え
が 日本 で は 働 く と の 説 もあ る。
そ の 一 方,ギ リ シ ャか ら発 生 し,ヨ ー ロ ッパ で 育 ま れ て き た 自然 科 学 に お い て は,物 事 を 明 確 に記 述 す る こ とが 必 要 で あ る。 そ して,相 手 の 意 見 に反 論 し論 争 す る こ と は,公 に は そ の 後 の 人 間 関 係 に 悪 影 響 を 及 ぼ す こ とは な い と さ れ て い る。 た だ し,聞 く と こ ろ に よ る と,個 人 的 に は 論 争 に よ る確 執 が や は りで き る よ うで あ り,そ れ も 日 本 人 の 比 で は な い と の 話 も聞 く。
そ れ は と もか く,こ う い っ た 言 語 の 特 徴 は そ の 国 に お け る文 化 的 な 背 景 を示 して お り, 日本 語 の 特 徴 は 日 本 社 会 の 特 徴 を 表 す も の で もあ り,そ れ ら の 特 徴 を 変 え る こ と は,日 本 の 文 化 を 変 え る こ と だ と も い え る。 一 方,日 本 に お い て 自然 科 学 に お け る表 現 を 学 習 す る こ と は ヨ ー ロ ッパ 型 の 人 間 を つ く る の で は な く,2文 化 を 有 す る 人 間 を つ くる こ と で あ る と 木 下 是 雄 が 述 べ て い る こ と も 聞 い て い る。
我 々 も,自 然 科 学 に お け る 表 現 の 学 習 が い わ ゆ る 国 際 人 と し て の 素 養 を 持 ち 合 わ せ た2 文 化 人 の 育 成 に 対 応 す る も の と 考 え て い る 。 す な わ ち,理 科 教 育 に お け る 表 現 の 学 習 は, 自 然 科 学 と い う学 問 を 基 礎 と して い る こ と か ら,生 徒 に と っ て そ れ ま で 日 常 で 触 れ,学 校 で 学 習 し て き た 表 現 形 式 と は 異 な る形 式 を 持 ち,新 た に学 習 して い く こ とで 獲 得 で き る表 現 で あ る と認 識 して い る 。
そ の 表 現 の 一 っ と し て,本 研 究 に お け る 実 験 レポ ー トで の 表 現 の 学 習 を 考 え て い る の で あ る 。 な お,そ の 意 義 に つ い て は,「5.化 学 実 験 ・理 科 実 験 で の 表 現 に 関 す る問 題 点 と 定 型 文 利 用 の 意 義 」 で 述 べ る 。
本 研 究 の 具 体 的 な 目的 は 化 学 実 験 レポ ー トな い し理 科 実 験 レ ポ ー トを 書 く技 術 を 修 得 さ せ る こ と で あ る 。 技 術 の 修 得 に 伴 って 適 確 な 表 現 が 可 能 と な る こ と に よ り,生 徒 自 身 の 思 考 が 整 理 さ れ,よ り適 切 な レ ポ ー トを 作 成 す る こ と が で き る よ う に な る と 予 想 して い る。
こ の 仮 説 を 検 証 す る た め 本 教 材 を 使 用 して 表 現 の 訓 練 を した 後 に 実 験 レポ ー トを 提 出 させ, 記 載 方 法,内 容 等 に つ い て 調 査 分 析 す る 。
高 等 学 校 に お い て は こ れ ま で 開 発 した10の 高 等 学 校 用 個 人 実 験 教 材 を 年 に3〜4回 程 度 導 入 し,生 徒 の 表 現 力 育 成 法 と して,定 型 文 を 与 え,そ れ 以 前 の 自分 自 身 の 記 述 と比 較 す る な ど,こ れ ま で の 調 査 を 基 に適 当 と思 わ れ る い くつ か の 方 法 を 使 って,表 現 力 の 変 容 を 調 べ る。
ま た,中 学 校 に つ い て は これ ま で 開 発 し た5教 材 を 年 に3回 程 度 導 入 し,中 学 校 に お い て も高 等 学 校 と 同 様 の 調 査 を 実 施 す る。
こ れ ら の 調 査 結 果 を も と に,表 現 力 を 育 成 す る た め の 個 人 実 験 教 材 の 改 訂 と開 発 に お け る観 点 を 明 らか に す る と と も に,科 学 実 験 レ ポ ー トに 関 す る具 体 的 な記 述 法 を 記 載 した 生 徒 用 お よ び 教 師 用 手 引 書 を 改 定 作 成 す る。
4調 査 に お け る 留 意 事 項
(1)調 査 の 実 施
次 の 計 画 に 沿 っ て 実 験 を 実 施 して くだ さ い 。
① 高 校 化 学IBま た は 中 学2年 の3ク ラ ス 程 度 を 調 査 対 象 と す る 。
② 事 前 調 査 と して 科 学 観 調 査 を 実 施 す る。 な お,本 調 査 研 究 の 評 価 の た め,可 能 な 限 り対 照(本 実 験 教 材 を 実 施 しな い)群 を2〜3ク ラ ス 設 定 し,同 一 の 事 前 調 査 を 実 施 す る。
③ 調 査 の 後,生 徒 用 「6実 験 レ ポ ー トの 書 き方 」 を 印 刷 配 布 し,説 明 を 付 け加 え て い た だ く。
④ 年 間3〜4回 こ こ に あ る実 験 教 材 を 授 業 の 進 度 に 合 わ せ て 実 施 す る。 そ の 際,原 則 と して 定 型 文 の 記 述 方 法 に つ い て は 毎 回 確 認 す る。 ま た,実 験 終 了 後,生 徒 に ア
ン ケ ー トを 実 施 し,担 当 教 師 に も教 師 用 調 査 に 回 答 い た だ く。
⑤2学 期 の 終 わ り に 適 当 な実 験(本 実 験 教 材 で あ る必 要 は な い)に お い て レポ ー ト を 提 出 させ る 。 ま た,事 後 調 査 を 実 施 す る。 そ の 際,原 則 と して 対 照 群 に も レポ ー
トと事 後 調 査 を 実 施 す る 。 な お,こ の と き は 定 型 文 の 説 明 は 特 別 し な い 。
本 教 材 集 はA4判 で 作 成 して い る の で,実 験 プ リ ン ト等 を 使 用 の 際 はB4判 に 拡 大 し て くだ さ い 。 ま た,実 施 い た だ い た 実 験 プ リ ン トは 回 収 す る の で,生 徒 に は 復 習 用 の プ
リ ン ト(回 答 例 を 示 した も の)を 後 で 配 布 して くだ さ い。
(2)生 徒 へ の 注 意 事 項
生 徒 に は実 験 に 際 して 次 の 点 を 強 調 して くだ さ い 。
① 失 敗 した ら も う一 度 や り直 せ ば よ い 。
② 結 果 に 疑 問 の 点 が あ っ た ら,く り か え し実 験 して 確 か め る。
③ 実 験 が 一 通 り終 わ り考 察 等 の 定 型 文 も書 け た ら,各 自 の 興 味 に よ り進 ん だ 実 験 を し て よ い(参 考 と して 各 実 験 教 材 の 教 師 用 手 引 き に 発 展 実 験 例 を あ げ た)。
④ 実 験 結 果 等 は 条 件 に よ り変 わ り得 る もの で あ り,一 人 一 人 の 結 果 が 重 要 と な る の で,自 分 自 身 の 結 果 や 考 え を 重 視 す る。
⑤ 定 型 文 は 実 験 操 作 と 並 行 して 記 述 す る の で は な く,実 験 観 察 結 果 は一 旦 適 当 な と こ ろ に記 録 して お き,操 作 が 一 段 落 し て か ら定 型 文 を 書 く よ うに す る 。
(3)実 験 教 材 プ リ ン トの 特 徴
実 験 教 材 プ リ ン トで は 次 の こ と に 配 慮 した 。
① 各 生 徒 が 自 分 の ペ ー ス で 実 験 操 作 が 進 め られ る よ う,個 人 実 験 を 原 則 と し た 。
② 実 験 操 作 は な る べ く簡 単 に し,時 間 的 な 余 裕 を 持 た せ る こ とで,科 学 実 験 で 重 要 な 再 実 験 の 時 間 を 確 保 す る よ う に した 。
③ 各 実 験 教 材 プ リ ン トに は 原 則 と して 一 つ ず つ の 結 果 と 考 察 を 記 述 さ せ る箇 所 を 設 け た 。
④ ど の 実 験 教 材 プ リ ン トに も,定 型 文 に よ る 結 果 や 考 察 の 表 現 方 法 を 提 示 し,生 徒 が 確 認 で き る よ う に した 。
⑤ 年 度 当 初 の 実 験 教 材 は,結 果 や 考 察 の 記 述 が や さ し い も の と し,定 型 文 の 訓 練 に な る よ う配 置 した 。
5化 学 実 験 ・理 科 実 験 で の表 現 に 関 す る 問 題 点 と定 型 文 利 用 の 意 義
(1)教 科 書 で の 問 題 点
す で に,は じめ に で 述 べ た とお り,中 ・高 等 学 校 に お け る実 験 レ ポ ー トに は,実 験 結 果 の 記 述 に 自分 の 意 見 が 混 在 した り,結 論 の 記 述 で 主 語 を 入 れ な か っ た り,単 語 しか 書 か な い と い っ た,表 現 の 面 で の 問 題 点 が 多 い こ と が こ れ ま で の 調 査 で 見 い だ され て い る。
ま た 一 方,新 課 程 の 中 学 校 理 科 や 高 校 化 学IA,IBの 教 科 書 や 教 師 用 指 導 書 に お い て,
「考 察 」 と し て 「問 題 」 が 入 っ て い る例 や,教 師 用 指 導 書 の考 察 部 分 に 結 果 の 解 説 が 書 い て あ る な ど の 混 乱 が 見 ら れ る。 す な わ ち,結 果 と考 察(事 実 と意 見)を 意 識 して 分 け て は 書 か れ て い な い もの と思 わ れ る。
さ ら に こ れ らの 問 題 点 は,中 ・高 等 学 校 の 教 科 書 に お け る考 察 を た ず ね る 問 い に,実 験 結 果 を 使 っ て 考 察 す る場 面 が ほ と ん ど 入 って お らず,ま た,考 察 の 多 くは 操 作 上 の 留 意 点
に関 す る事 項 が 多 い と い っ た こ と に も起 因 し て い る と思 わ れ る。
我 々 は 実 験 が 化 学 マ ジ ッ ク の 時 間 に終 わ る こ と な く,講 義 の 流 れ と有 機 的 に結 び 付 く た め に は,レ ポ ー トで ま と め さ せ る こ とが 重 要 と 考 え て い る。
す で に 述 べ た よ う に,教 科 書 に も実 験 レポ ー トの 書 き 方 は 載 って い るが,書 き方 の 手 立 て ま で 記 載 さ れ て い る 例 は な く,生 徒 が レポ ー トを 作 成 す る際,結 果 と考 察 を 書 く必 要 が あ る こ と は わ か って も,結 果 と考 察 を ど う区 別 す れ ば よ い の か は 具 体 的 に わ か って い な い と思 わ れ る 。 ま た,結 論 を 実 験 事 実 か ら導 く際,一 般 に 法 則 や 理 論,他 人 の 意 見 な ど を 根 拠 と して 引 用 す るが,こ の 点 も教 科 書 に 抜 け て お り,入 れ て い く必 要 が あ る。
こ の よ う な考 え か ら,定 型 文 を 作 り そ れ に 合 わ せ て 記 述 させ る訓 練 が 必 要 で あ る と思 わ れ る。 定 型 文 の 書 き 方 を 習 得 す る こ と で 実 験 結 果 が 整 理 さ れ,思 考 が ま と ま り や す くな る と 考 え られ る 。 す で に 実 施 し た 学 校 で は 生 徒 が 自分 自身 で レ ポ ー トを 書 け た こ と に 満 足 し て い る よ うで あ っ た と の 報 告 も も ら っ て い る 。
しか し,そ れ で も次 の よ う な 化 学 実 験 に お け る根 本 的 な 問 題 点 が 残 って い る 。 そ の 第 一 は,た だ 一 種 類 の 実 験 か ら考 察 して よ い の か と い う点 で あ る。 時 間 の 制 約 も あ る こ とか ら 通 常 問 題 に さ れ な い こ と で は あ る が,実 験 結 果 を 一 般 化 す る に至 る ま で に は 多 数 の 実 験 結 果 ま た は 理 論 的 な 根 拠 が 必 要 で あ る 。 さ ら に は,精 度 の 問 題 と して1回 の 実 験 で そ の デ ー タ を"正 し い"結 果 と して 扱 っ て よ い の か と い う問 題 も残 っ て い る。 た だ し,こ れ に 関 し て は 自分 一 人 の デ ー タを 使 う ば か りで な く各 班 各 人 の 実 験 デ ー タを 集 め る こ と で よ り精 度
の 高 い結 果 と す る こ と が で き よ う。
第 二 に 前 の 考 察 を 事 実 と して 考 え,次 の 考 察 に進 む こ と は よ い の か と い う点 で あ る。 こ れ は前 の 実 験 結 果 か ら出 て き た 考 察 を 正 し い 解 釈 と し て 扱 い(も ち ろ ん こ の 段 階 で 間 違 っ た 場 合 は 論 外 と な る),次 の 段 階 で は 前 の 考 察 を 実 験 事 実 と して 次 の 実 験 結 果 を 考 察 して い く こ と が よ く あ る が,本 来 そ の 間 に 前 の 考 察 が"正 し い"と い う保 証 か 仮 の 結 論 で あ る と い う考 え が 必 要 で あ る 。
これ ら二 つ の 問 題 点 は,中 ・高 等 学 校 段 階 で は 教 科 書 を 調 べ る な り参 考 書 を 見 る な り し て 確 認 す べ き こ と と思 え る 。 しか し な が ら,実 験 を 考 察 す る 際 に は そ の よ う な 時 間 的 余 裕 ま た は そ の よ う な 習 慣 が な い の で あ る 。 な お,こ の こ と に つ い て は 次 節 の ② 考 察 と関 連 し て く る 。
(2)定 型 文 の 書 き方 と そ の 意 義
す で に は じめ に で 記 載 した よ う に,表 現 力 は 思 考 力 と結 び 付 い て お り,表 現 の 具 体 的 な 手 立 て が 明 確 化 し て く る こ と に よ り,思 考 しや す く な り,ま た,自 分 の 考 え に 気 づ き 自 己 教 育 力 も高 め ら れ る と考 え ら れ る 。
実 験 レポ ー トを 書 く際 に 必 要 な 結 果 と考 察 の 内 容 と,そ れ ら の 関 係 は 以 下 の よ う に 考 え られ る。
《結 果 の 記 述 》 《考 察 の 記 述 》
実 験 操 作a
↓
実 験 観 察 結 果b一 一→ 実 験 観 察 結 果 や 計 算 結 果c
↓← 一 一 一 一 一 「 自 分 で 考 え た 結 論dl
l
結 論 を 導 く前 提 と な る 知 識 や 理 論 の 引 用e
結 果 と考 察 の 書 き方 と して 次 の よ うな 定 型 文+を 作 った 。
① 結 果 「aを した ら,bに な っ た 」
こ の と き のaは 実 験 操 作 が 入 り,実 際 に 行 っ た 操 作 を 入 れ る こ と が 重 要 で あ る 。 す な わ ち,教 科 書 や 実 験 プ リ ン トに お い て 「2〜3滴 入 れ る」 とあ っ た 場 合,実 際 に は 「2 滴 入 れ た 」 か 「3滴 入 れ た 」 は ず で あ り,そ れ を 記 述 す る こ と で あ る 。
ま た,bに は 自分 自 身 で 実 験 を 観 察 し た 結 果 を 記 入 す る。 自 分 自 身 で の 実 験 観 察 結 果 で あ る か ら 「赤 くな っ た 」 の よ うに 過 去 形 で 記 入 す べ き で あ ろ う。
例 え ば,実 験 プ リ ン トの 「成 分 元 素 の 検 出(炎 色 反 応)」 で は,「 白 金 線 を 未 知 試 料 Aに 浸 して 炎 の 中 に 入 れ た ら(実 験 操 作5で の 実 際 の 操 作 の 記 述),炎 の 色 は 赤 色 に な っ た(実 験 観 察 結 果)。 」 と な る 。
② 考 察 「cか ら,dと 考 え た 。 そ の 理 由 はeだ か らで あ る」
こ の と き のcは 実 験 観 察 結 果 や 計 算 結 果 が 入 る が,ど の 結 果 を 使 っ て 考 察 し よ う と し て い る の か を 明 確 に 認 識 す る た め に 重 要 で あ る。
① の 結 果 に 続 け て 記 載 す る と き は,① の 実 験 観 察 結 果bと 同 じ内 容 が ② で の 実 験 観 察 結 果cと して 入 る こ と に な る。 した が っ て,こ の 文 が 長 く な る よ う な 場 合 に は 「上 記 の 結 果 か ら」 や 「操 作1の 結 果 か ら」 と い った 記 載 で か ま わ な い と思 わ れ る が,ど の 結 果
を 使 うか 明 示 し た 書 き方 が 必 要 で あ る。
ま た,dは 考 察(自 分 で 考 え た 結 論)が 入 り,一 般 的 に は 「dと 考 え られ る 」 の 文 型 +:久 田 基 隆(1990)『 科 学 的 記 述 力 を 育 成 す る た め の カ リ キ
ュ ラ ム 開 発 』 科 学 研 究 費 研 究 成 果 報 告 書(課 題 番 号02680244)pp.6‑35に 示 さ れ た 標 準 文 を 参 考 に し,新 た に定 型 文 と して 作 成 し直 し た もの で あ る 。
で あ る こ と が 多 い が,こ こで は 自 分 自 身 で 考 え た こ と を 認 識 さ せ る た め に 「dと 考 え た 」 の 文 型 と した 。 な お,例 え ば リ トマ ス 紙 を 使 っ た 実 験 で あ る水 溶 液 を 青 色 リ トマ ス 紙 に つ け た と こ ろ赤 く変 化 した と き の 考 察 と して は,「 そ の 水 溶 液 は 酸 性 で あ る 」 や 「そ の 水 溶 液 は 酸 性 で あ る こ と が わ か っ た 」 の よ う に ふ っ う記 述 し,「 そ の 水 溶 液 は 酸 性 で あ る と 考 え た 」 と記 述 す る ま で も な い間 違 い の な い 事 実 と 思 わ れ る 場 合 もあ る が,こ こで は 訓 練 と し て 上 記 の 形 式 で 統 一 した 。 た だ し,生 徒 が 前 者2例 の よ うに 書 い て も間 違 い
とす る も の で は な い 。
と こ ろ で,dを 考 察 す る 際 はcの 実 験 観 察 結 果 や 計 算 結 果 が そ の 理 由 と な る が,eで の 理 由 と は,dを 導 く直 接 的 な 実 験 観 察 結 果 や 計 算 結 果cの こ と で は な く,そ の 前 提 と な る知 識 を 意 味 す る。 す な わ ち,そ こに は 既 に生 徒 自 身 が 知 っ て い る知 識 を 示 した り, 教 科 書 や 参 考 書,資 料 に 書 か れ て い る 事 象 や 理 論,法 則 な ど を 引 用 す る こ と が 入 る。
科 学 で は そ れ ま で の 知 識 を 基 に 新 し い考 え を 積 み 上 げ て い く学 問 で あ り,こ の よ う な 引 用 は 必 要 不 可 欠 な 部 分 で あ り,お よ そ 論 文 と呼 ば れ る もの に は 必 ず 文 献 の 引 用 が あ る 。 教 科 書 な ど に書 か れ て い る実 験 レポ ー トに っ い て の 解 説 で は,こ の 部 分 が 抜 け て お り,
そ の た め 前 提 と な る 知 識 が 示 さ れ て い る教 科 書 や 講 義 で の 内 容 との 結 び付 き が 弱 か っ た と 思 わ れ る 。
例 え ば,実 験 プ リ ン トの 「成 分 元 素 の 検 出(炎 色 反 応)」 で は,「 炎 の 色 は 赤 色 に な っ た こ と か ら(ま た は,上 記 の 結 果 か ら;実 験 結 果),未 知 試 料Aに は リ チ ウ ム 元 素 が 含 ま れ て い た と考 え た(自 分 で 考 え た 考 察)。 そ の 理 由 は,操 作(4)で 調 べ た 炎 色 反 応 の 色 は リ チ ウ ム 元 素 だ け が 赤 色 だ っ た か らで あ る(前 提 と な る知 識;こ の 場 合 は 目 的 の 実 験 の 前 に実 施 し た 操 作4を 前 提 と し て 使 う よ う教 材 が 設 計 さ れ て い る)。 」
な お,上 記 の 例 で,前 提 と な る実 験 操 作4が な い場 合 は,「 そ の理 由 は,教 科 書p.oo に あ る よ うに,炎 色 反 応 の 色 は リチ ウ ム 元 素 だ け が 赤 色 だ か らで あ る 。 」 の よ う に 記 述 す る こ とが で き,こ の 場 合 該 当 箇 所 を 調 べ る こ と に よ り講 義 内 容 と の 結 び付 き もは か り や す く な ろ う。
な お,表 現 の 一 形 態 で あ る 表 や グ ラ フを 使 っ た 場 合,我 々 は 次 の よ うに 考 え て い る 。 ど の 操 作 の 結 果 を ま と め た か を 明 示 し た 表 は そ の ま ま結 果 を 示 して い る と考 え ら れ る 。 一 方,測 定 デ ー タ(結 果)を グ ラ フ に し た と き は 考 察 と考 え て い る。 そ れ は,ど う い った 線 を ひ くか が グ ラ フを 描 い た 生 徒 自身 の 考 え に よ る と 思 わ れ る か らで あ る 。
計 算 に つ い て も,温 度 差 な ど を 求 め る た め の 単 純 な 計 算 以 外 は や は り考 察 の 一 種 と考 え られ る が,そ こ で 算 出 さ れ た 数 値 を 使 っ て さ らに 考 察 を進 め て い く場 合 は,こ れ を 計 算 結 果 と して 扱 う こ と と した 。
ま た,表 や グ ラ フ に 描 か れ た 内 容 を 改 め て 文 章 で 書 く こ と が あ るが,こ れ は考 え を 整 理 して い く上 で 役 に 立 っ も の と 考 え て い る 。 実 験 プ リ ン トで も結 果 の 記 述 内 容 を さ ら に 表 に ま と め て い る例 が あ る が,こ の よ う な 考 え か ら で あ る 。
実 験 プ リ ン トで は,特 に 最 初 の 頃 は わ ざ わ ざ 書 か せ る ま で もな い や さ しい 考 察 な ど が あ り,く ど い と思 わ れ る か も しれ な い が,練 習 と考 え て 進 あ て い た だ き た い 。 知 って い て書 か な い 場 合 と知 ら な い で 書 け な い 場 合 とで は,内 容 の 理 解 と い う点 で 大 き な差 が 出 て く る
もの と考 え られ るか らで あ る。
6.実 験 レ ポ ー トの 書 き 方
み な さん は実 験 レ ポ ー トを 書 い た 経 験 が あ り ま す か 。 経 験 の あ る 人 も な い 人 も,実 験 レ ポ ー トで 最 も重 要 な 結 果 と考 察 に は ど ん な こ と を 書 け ば よ い か,一 緒 に 考 え て み ま し ょ う。
そ の ほ か の 実 験 レポ ー トに 書 く必 要 の あ る こ と(日 時 や 試 薬 な ど の 記 述)は 教 科 書 で 調 べ て お い て くだ さ い 。
で は 本 題 に 戻 っ て,結 果 と考 察 に は 何 を 書 くの で し ょ う。 結 果 と は 実 験 し て 自 分 の 目 で 見 た 事 実 を,考 察 と は そ の 結 果 か ら 考 え た 自 分 の 意 見 を 書 き,他 の 人 に 伝 え る の で す 。
実 験 レポ ー トを 書 く際 に 必 要 な 結 果 と考 察 の 中 身 と書 き 方(定 型 文)を 下 に 示 しま す 。
《結 果 の 記 述 》 《考 察 の 記 述 》 実 験 操 作a
↓
実 験 観 察 結 果b一 一→ 実 験 観 察 結 果 や 計 算 結 果c
↓← 一 一 一 一 一 「 自 分 で 考 え た 結 論dl
l
結 論 を 導 く た め の 知 識 や 理 論e
◎ 結 果 「a(操 作)を し た ら,b(結 果)に な っ た 。」
aに は 教 科 書 や 実 験 プ リ ン トに 書 い て あ る 操 作 を そ の ま ま 写 す の で は な く,例 え ば 実 験 プ リ ン トに 「2〜3滴 入 れ る 」 と あ っ た 場 合,実 際 に 入 れ る の は 「2滴 」 か 「3滴 」 の は ず で す か ら,実 際 に 自 分 自 身 で 行 っ た 操 作 を レ ポ ー ト に は 書 く の で す 。
bに は そ の 操 作 で 観 察 し た 結 果 を,「 赤 く な っ た 」 の よ う に 過 去 形 で 記 入 し ま す 。
◎ 考 察 「c(結 果)か ら,d(結 論)と 考 え た 。 そ の 理 由 はe(根 拠)だ か ら で あ る 。」
cに は 実 験 観 察 結 果 や 計 算 結 果 が 入 り ま す が,こ れ を 書 くわ け は ど の 結 果 か ら結 論 を 導 い て い る か を 確 認 し,明 示 す る こ とが 重 要 だ か らで す 。 ま た,dに は 自分 で 考 え た 結 論 が 入 り,「dと 考 え た 」ま た は 「dと 考 え られ る 」,「dで あ っ た 」 の よ う に記 し ま す 。
さ らに,eで の 根 拠 と は 結 果 と 結 論 を 結 び 付 け る もの で す 。 す な わ ち,cの 結 果 か ら dの 結 論 を 導 くた め に 必 要 な 知 識 や 理 論 を 意 味 し ま す 。 そ こ に は す で に 知 っ て い る こ と を 書 い た り,教 科 書 や 参 考 書 な ど で 調 べ た 事 実 や 理 論 な ど を 入 れ ま す 。 簡 単 な 例 で は,
「リ トマ ス紙 を 溶 液 に 入 れ た ら赤 く な っ た こ と か ら,そ の 溶 液 は酸 性 と考 え た 。 そ の 理 由 は,リ トマ ス 紙 は酸 牲 の と き赤 く変 化 す る 試 験 紙 だ か らで あ る 。」 と な り ま す 。
と こ ろ で,考 察 で は た だ 一 っ の 実 験 か ら結 論 を 導 い て よ い の か と い う問 題 が い つ も出 て き ま す 。 実 は こ の 点 を補 う た め,実 験 事 実 か ら結 論 を 導 く と き に 理 論 や 他 の 事 実 な ど を 根 拠 と して 引 用 す る の で す 。 つ ま り,学 校 で は 教 科 書 を 調 べ る な り参 考 書 を 見 る な り して 自
分 の 考 え を 確 認 した り補 っ た りす る こ と に相 当 す る の で す 。
こ れ か ら は,こ の 結 果 と 考 察 の 書 き 方 を 頭 に 置 い て,実 験 を ま と め て み ま し ょ う 。
第2章 高 等 学校 に お け る実践 報 告
1.実 験 レ ポ ー ト に お け る 表 現 の 指 導(事 例1;石 井 哲 彰)・12 (事 例2;臼 井 豊 和)・20 (事 例3;遠 藤 英 夫)・24 2.成 分 元 素 の 検 出(炎 色 反 応)(遠 藤 英 夫)・ ・ ・ ・ …26 3.化 学 反 応 に お け る 量 的 関 係(事 例1;臼 井 豊 和)・ …30 (事 例2;久 保 博 義)・ …38
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
分 子 量 の 測 定(石 井 哲 彰)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …46 コ ロ イ ド溶 液(事 例1;久 保 博 義)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …48
(事 例2;後 藤 顕 一)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …56 酸 ・塩 基 と ム ラ サ キ キ ャ ベ ツ 液 の 色(臼 井 豊 和)・ …64 金 属 の イ オ ン 化 傾 向 と ボ ル タ 型 電 池(事 例1;石 井 哲 彰)76
(事 例2;後 藤 顕 一)78 電 気 分 解(久 保 博 義)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …88 鉄 イ オ ン の 検 出(石 井 哲 彰)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …94 水 溶 液 の 判 別(遠 藤 英 夫)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …96
実 験 レ ポ ー トに お け る 表 現 の 指 導(1)
石 井 哲 彰 実践校番号25
1は じ め に
本 校 で は,3年 で 化 学 を,2年 で 化 学I Bを 開 講 して い る 。 個 人 実 験 教 材 集 を 用 い た 実 践 対 象 ク ラ ス数 は 表1に 示 す と お り で あ り,3ク ラ ス の 生 徒 数 は 各30名 で あ る 。
表1実 践 対 象 ク ラ ス
化 学
化 学IB
3年 2年
普 通 科1ク ラ ス 普 通 科2ク ラ ス
2個 人 実 験 教 材 を 用 い た 実 践 の 概 要
本 校 で は,個 人 実 験 教 材 を 用 い た実 験 活 動 を 年 間6回 実 施 し た 。 年 間 計 画 に 基 づ く教 材 の 使 用 は 表2の と お り行 っ た 。 本 校 で の 実 験 は 一 人 一 人 が 操 作 や 考 察 を 行 う個 人 実 験 と し て い る。 本 実 践 で は,6回 す べ て 個 人 実 験 で 行 っ た 。
定 型 文 を 用 い た 記 述 指 導 の 理 解 を 図 る た め に,「 成 分 元 素 の 検 出 」 実 験 の 前 に,1校 時 を 用 い て,4ペ ー ジ後 に示 す 自 作 「記 述 資 料 」 を 配 付 し,科 学 的 な記 述 に 必 要 な 事 柄 や 定 型 文 を 用 い た 記 述 指 導 を 行 っ た 。
表2年 間 教 材 実 施 状 況 教 材 集No
(1) (2) (3) (4) (9) (7)
指 導 内 容 報 告 書 の 形 式
1記 述 に 関 す る 事 前 指 導(自 作,「 記 述 資 料 」 使 用) 2成 分 元 素 の 検 出(炎 色 反 応)
3化 学 反 応 の 量 的 関 係 4分 子 量 の 測 定 5コ ロ イ ド溶 液 6鉄 イ オ ン の 検 出
7イ オ ン 化 傾 向 と ボ ル タ 型 の 電 池
実 験 プ リ ン ト 実 験 プ リ ン ト 実 験 プ リ ン ト 実 験 プ リ ン ト 実 験 プ リ ン ト 実 験 プ リ ン ト 自 由 記 述 形 式
実 施 ク ラ ス 3年,2年 3年,2年 3年,2年 3年,2年 3年,2年 3年,2年
3年1ク ラ ス 2年2ク ラ ス
結 果 と考 察 の ま と め は,本 実 験 教 材 集 の 実 験 プ リ ン トに 記 述 させ た 。 各 実 験 の 冒 頭 で, 定 型 文 を 用 い て 実 験 プ リ ン トに記 述 を す る よ う に 口 頭 で 指 導 した 。 ま た,実 験 後 の 授 業 で, 模 範 文 が 記 入 さ れ て い る実 験 プ リ ン トを 配 布 し,定 型 文 の 記 述 指 導 を 行 っ た 。
個 人 実 験 集 の な か で,最 後 に 使 用 した 「イ オ ン化 傾 向 と ボ ル タ型 の 電 池 」 で,2年 生 の 2ク ラ ス に は,自 由 記 述 形 式 の 報 告 書 を 課 した 。 年 間 を 通 した 定 型 文 に よ る 記 述 指 導 の 効 果 を 見 る た め の もの で あ っ た 。
評 価 の た め に 事 前 調 査,事 後 調 査 を 行 っ た 。 年 度 当 初 に,本 実 験 教 材 集 の 中 に あ る科 学 観 な ど を 問 う事 前 調 査 を 行 っ た 。 ま た,実 験 ご と に,本 実 験 教 材 集 の 中 に あ る 事 後 調 査 を 行 っ売 。 さ ら に 上 記 の 六 つ の 実 験 終 了 後,評 定 尺 度 法 に よ る 事 後 調 査,お よ び 記 述 式 ア ン
ケ ー トに よ る事 後 調 査 を 行 った 。
以 下,六 つ の 実 験 終 了 後 に 行 った 事 後 調 査 に つ い て 述 べ る。
3定 型 文 指 導 に つ い て
① 事 後 調 査
全 生 徒 に 評 定 尺 度 法 に よ り,定 型 文 の 効 果 を み る た め の 事 後 調 査 を 行 っ た(表3)。
表3定 型 文 の 効 果n=85
ア 定 型 文 を 使 う と 結 果 を 書 き や す い イ 結 果 の 記 録 を 書 け る よ う に な っ た ウ 定 型 文 を 使 う と 考 察 を 書 き や す い 工 考 察 を 書 け る よ う に な っ た
+2 18 7 10
2
+1 21 28 2121
0 35
29 34 34
一1
8 17
14 20一2
3 4 6 8
書 き に く い 書 け な か っ た 書 き に く い 書 け な か っ た 生 徒 が 結 果 の 記 録 と 考 察 の 謁 述 を す る場 合,定 型 文 指 導 の 効 果 が あ っ た と考 え られ る(表 3)。
定 型 文 を 用 い る と 「書 き や す い(+2と+1の 合 計,以 下 同 じ)」 と考 え て い る 生 徒 が 多 い 。 特 に,結 果 の 記 録 は 「書 き や す い 」(46%)と 同 時 に 「書 け る よ う に な っ た 」(41%)
とす る生 徒 が 多 い 。
一 方 ,考 察 の記 述 で は,定 型 文 を 用 い る と 「書 きや す い 」 と考 え る生 徒 は多 い(36%)が,
「書 き に く い(一2と 一1の 合 計,以 下 同 じ)」 と す る生 徒 も1/4程 度 い る(24%)。 ま た,
「書 け る よ う に な っ た 」(27%)生 徒 よ り も,「 書 け な か っ た 」(33%)と す る生 徒 の 方 が 多 か っ た 。
これ は,結 果 の 記 録 よ り も考 察 の 記 述 が 難 し い こ と に よ る もの と考 え ら れ る 。 考 察 の 記 述 が 難 しい こ と は,他 の 調 査 に お い て も同 様 の 結 果 で あ っ たD。
考 察 の 記 述 が 難 し い 理 由 を 探 る た め に 再 度 事 後 調 査 を 行 った(表4)。 事 後 調 査 は,5 選 択 肢 か ら,1〜3の 順 位 を つ け て 選 択 さ せ た 。 た だ し,「 そ の 他 」 の 選 択 肢 で は,理 由
を 記 述 させ た 。
表4で は,考 え が ま と ま ら な い と す る生 徒 が ど の 順 位 に お い て も多 い 。 ま た,定 型 文 を
表4考 察 の 書 き に く い 理 由n=59
理 由 順 位
定 型 文 の 「根 拠 」 が わ か ら な い 定 型 文 の 「結 論 」 が わ か ら な い 考 え が ま と ま ら な い
定 型 文 の 型 が あ る た め そ の 他
無 回 答
1 20 14 17 3 5*
0
2 18 17 19 3 1**
2
3 9 18 18 8
2***・
4
総 計 47 49 54 14 8 6
*結 果 か ら ど の よ う な こ と が わ か る か わ か ら な い ,書 き方 が わ か ら な い, 書 き 慣 れ て い な い,定 型 文 に 慣 れ て い な い,考 察 が わ か ら な い,料 考 え が ま と ま っ て 定 型 文 で 書 こ う と す る と 大 変 長 く な る か ら,‡ 耕 途 中 で 資 料 や 結 論 の こ と を 持 ち 出 す と 文 章 が あ や ふ や に な る,表 現 が 難 し い か ら 。'
書 く際 に,「 根 拠 」 や 「結 論 」 が わ か ら な い とす る生 徒 も多 い 。
中 で も,書 き に くい 理 由 の 第 一 に 「根 拠 」 が わ か らな い を あ げ て い る生 徒 数 が 特 に 多 い こ と か ら,生 徒 に は 定 型 文 の 「根 拠 」 を 書 く こ と が 難 しい こ と が わ か る。 根 拠 は,今 ま で 学 ん だ 知 識 を 用 い て 記 述 す る部 分 で あ る。 今 後,根 拠 と な る 知 識 の 与 え 方 と そ の 利 用 の 仕 方 を 定 型 文 指 導 に 取 り入 れ,考 察 を 書 く手 だ て を 示 す こ とが 課 題 と思 わ れ る 。
4報 告 書 の 作 成 に お け る 定 型 文 の 効 果
個 人 実 験 集 の 「イ オ ン化 傾 向 と ボ ル タ型 の 電 池 」 で は,2年 生 の2ク ラ ス に 自 由 記 述 形 式 に よ る報 告 書 を 課 した 。 そ の 実 践 結 果 を 示 す 。
① 報 告 書 の 作 成 指 導 に つ い て
対 象 生 徒 は,高 校 理 科 で は1年 次 の 生 物IBお よ び 化 学IBに お い て,実 験 プ リ ン トに よ る実 験 報 告 の 経 験 が あ る。 しか し,自 由 記 述 形 式 の 報 告 書 作 成 は今 回 が 初 め て で あ る 。 そ の た め,報 告 書 作 成 に あ た って は,実 施 ク ラ ス で の 使 用 教 科 書 に記 載 され て い る 「報 告 書 の 作 成 」 を 用 い て 指 導 を お こ な っ た 。 ま た,自 由 記 述 形 式 の 報 告 書 に,結 果 及 び考 察 の 定 型 文 を 用 い る,用 い な い の 判 断 は生 徒 に 任 せ た 。
② 記 述 例
実 験 結 果 お よ び 考 察 の 記 述 例 を 示 す(図1,2)。
図2生 徒Bの 「考 察 」 の 記 述 図1生 徒Aの 「結 果 」 の 記 述
③ 評 定 尺 度 法 に よ る 事 後 調 査
定 型 文 の 効 果 を 調 べ る た め,報 告 書 作 成 と 定 型 文 指 導 と の 関 連 に つ い て 事 後 調 査 を 行 っ た(衰5)。 対 象 は2年 生2ク ラ ス で あ る。
表5報 告 書 作 成 と 定 型 文 指 導 と の 関 連 に つ い てn=56