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学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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ふ り が な

氏 名

まつお のぞみ

松尾 望

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 905 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 3 年 3 月 5 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Hard tissue inducibility of a novel synthetic peptide in rat pulp

(ラット歯髄における新規合成ペプチドの硬組織誘導性)

学 位 論 文 掲 載 誌 World Journal of Advanced Research and Reviews 第 8 巻 第 3 号

令和 2 年 12 月 論 文 調 査 委 員 主 査 前田 博史 教授

副 査 山本 一世 教授 副 査 富永 和也 教授

論文内容要旨

現在,エナメルマトリックスデリバティブを活用して歯周組織の再生治療が行われている.この材 料を基にした基礎研究から新たに合成したペプチド(新規合成ペプチド)が硬組織形成を誘導するこ とが示唆されている.一方で,培養歯髄幹細胞に新規合成ペプチドを作用させたところ,細胞増殖の 促進がみられ,硬組織形成量の有意な増加を認めた.

そこで本研究では,新規合成ペプチドを露髄面に貼付した際の歯髄組織の反応について観察,検討 し,覆髄材としての可能性を探った.

実験には6週齢雄性 Sprague Dawley 系ラットを使用した.腹腔内麻酔後,ラバーダム防湿を行 い,上顎第一臼歯の咬合面に#1/2 ラウンドバーを用いて窩洞形成し,エキスプローラーにて露髄させ た.露髄面を生理食塩水にて洗浄,乾燥後,新規合成ペプチドの貼付を行い,その後,光重合型レジ ン強化グラスアイオノマーセメントにて窩洞を封鎖した.これをペプチド群とした.新規合成ペプチ ドは超純水を加え,アルギン酸プロピレングリコールと混和し,ゲル状にして使用した.また反対側 同名歯に露髄後,露髄面を生理食塩水にて洗浄,乾燥後,新規合成ペプチドを露髄面に置くことな く,光重合型レジン強化グラスアイオノマーセメントにて窩洞を封鎖し,これを対照群とした.処置 14 日後に腹腔内への麻酔薬の過剰投与で安楽死させ,10%中性緩衝ホルマリンにて灌流固定を行っ た.上顎骨を摘出して同固定液にて浸漬固定を行い,マイクロフォーカス CT 撮影を行った.CT 像を 読影後,不透過像と歯冠部の歯髄腔の体積を計測,その割合を算出し,t検定を行った.その後,

10%EDTA 溶液にて摘出試料を脱灰し,組織標本作成後,ヘマトキシリンエオジン(HE)染色を施

し,病理組織学的に観察し検討した.

(2)

マイクロフォーカス CT 像ではペプチド群も対照群にも歯冠部の歯髄腔に不透過像の形成がみられ た.歯髄腔における不透過像の割合はペプチド群の方が有意に高かった(P<0.01).また組織標本で はペプチド群は露髄面直下から歯冠部の歯髄腔の中央部,遠心部に向かうように大きな硬組織の形成 がみられ,硬組織形成部位の近辺に好酸性物質を胞体にもつ細胞の集簇が観察された.対照群では硬 組織は露髄面直下から髄床底の上に一層形成されただけであった.

硬組織形成部位の近辺で認めた酸性物質を胞体にもつ細胞の集簇より,合成ペプチドは HE 染色で は好酸性を示すため,合成ペプチドが硬組織の形成に関与した可能性が考えられる.したがって合成 ペプチドは覆髄材として応用できる可能性が示唆された.

論文審査結果要旨

本論文は、新規合成ペプチドを露髄面に貼付した際の歯髄組織の反応について観察、検討し、覆髄材 としての可能性を探ることを目的とし、研究を行ったものである。

エナメルマトリックスデリバティブを基にした基礎研究から新たに合成したペプチド(新規合成ペ プチド)が硬組織形成を誘導することが示唆されている。しかしながら、これらの研究の多くは歯周組 織を対象としたものであり、歯髄組織に対する作用については不明な点が多い。これまでに、培養歯髄 幹細胞に新規合成ペプチドを作用させたところ細胞増殖の促進がみられ、硬組織形成量の有意な増加 を認めた報告はあるが、 in vivo でその作用を調べた研究は皆無である。本論文の研究内容はまさに、

in vivo で新規合成ペプチドの歯髄組織に対する作用を調べたものであり、新規性を高く評価できる内

容である。

本研究の実験系においては、露髄面に合成ペプチドを貼付した際の歯髄組織の反応について観察、

検討し、覆髄材としての可能性を探っている。実験にはラット 5 匹が使用されており、ラバーダム防 湿後、上顎第一臼歯の咬合面に#1/2 ラウンドバーを用いて窩洞形成し、エキスプローラーにて露髄さ せ、露髄面に新規合成ペプチドの貼付が行われている。新規合成ペプチドは超純水を加え、アルギン酸 プロピレングリコールと混和しゲル状にして使用されている。処置 14 日後に上顎骨を摘出して浸漬固 定を行い、マイクロフォーカス CT 撮影による硬組織形成の観察が行われている。CT 像を読影後、不透 過像と歯冠部の歯髄腔の体積を計測、その割合を算出し、t検定によって合成ペプチドの硬組織形成 誘導能が評価されている。また、10%EDTA 溶液にて摘出試料を脱灰し、組織標本作成後、ヘマトキシ リンエオジン(HE)染色を施し、病理組織学的に観察が実施されている実験内容である。

マイクロフォーカス CT 像ではペプチド群、対照群共に歯冠部歯髄腔に不透過像の形成がみられてい るが、歯髄腔における不透過像の割合はペプチド群の方が有意に高い(P<0.01)ことが明らかとなり、

合成ペプチドが歯髄組織に対しても硬組織形成を誘導する性質を示すことが明らかとなっている。ま た、組織標本では露髄面付近から歯冠部歯髄腔の中央部、遠心部に向かうように大きな硬組織の形成 がみられ、硬組織形成部位の近辺に好酸性物質を胞体にもつ細胞の集簇が観察されており、マイクロ フォーカス CT の結果と同様に、合成ペプチドが硬組織の形成に関与した可能性を示唆する結果となっ ている。

以上、本研究は新規合成ペプチドを in vivo で歯髄組織に初めて用いた新規性の高い研究内容であ

るとともに、新規合成ペプチドが覆髄材として応用できる可能性を示唆する発展性を持った内容であ

ると評価でき、本論文を博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

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