論文内容要旨
論文題名 : 頭部ファントムを使用したCR ポータル画像と
DRR 画像の位置照合プログラムの検証
専攻領域名: 生体機能・形態解析領域
氏名 : 渡邊 裕之
内容要旨
近年,コンピュータの高度化に伴い,画像能向上のため画像の重ね合わせ技術が使用さ れるようになってきた.重ね合わせ技術は観察画像を平行移動や回転により,参照画像に 最も近い位置に自動で合わせることである.
一 方 , 放 射 線 治 療 で は , 計 画 用 CT 画 像 か ら 作 成 さ れ る digitally reconstructed radiography(DRR)画像を参照画像として,照射開始前にリニアックで撮影されるポータル画 像を観察画像として,正しい照射位置の評価のために位置合わせ(位置照合)を行っている.
この位置照合は,自動で行う場合,正しい照射位置に対して大きくずれることが臨床でし ばしば経験するが,その原因は過去の研究においても明確になっていない.
本研究では,頭部ファントムを使用して,我々が開発したDRR画像とポータル画像の位 置照合プログラム(以下,プログラム)の位置照合の正確さとその向上および誤差が大きくな る原因について検討した.
まず,計算機によって模擬的に作成したDRR画像とポータル画像を使用してシミュレー ション画像同士の位置照合を 1815 通り行った.これは,DRR 画像を得るための元となる CT装置と,ポータル画像を撮影するリニアック装置間との幾何学的な差を除外し,プログ ラム自体の正確さを検証するためである.また,臨床に近い状態でのプログラムの正確さ を検証するため,実機を使用して得られた画像で位置照合を60通り行った.
プログラムによる位置照合結果の誤差は,あらかじめ設定した平行移動量および回転に 対して,プログラムによって検出された平行移動量および回転の差とした.位置照合の正 確さが向上するか,DRR画像とポータル画像の照合範囲を限定しない場合(ROI無)と,限定 する場合 (ROI有)の位置照合結果から検証した.
シミュレーション同士の位置照合における誤差は,平行移動量で0.2mm以内,回転で0.1°
以内の正確さでプログラムが動作することを確認した.実機の位置照合における誤差は,
概ね平行移動量で1 mm以内,回転で1°以内であった.シミュレーション同士および実機に よる位置照合結果の違いから,装置間の幾何学的な差や頭部ファントムのセットアップエ ラーが含まれていることが確認できた.
ROI無における実機の位置照合において,ポータル画像の平行移動量および回転の条件に よっては,平行移動量の誤差が8 mmを超えるものや,回転の誤差が2°を超えるものがあ った.誤差が大きくなった原因は,位置照合のためにポータル画像に平行移動および回転 処理を行うことでバックグラウンド領域の画素値が変化し,DRR 画像との画素値の分布が 大きく異なったことが考えられる.ROI無では,画像のバックグラウンドを多く含むため,
バックグラウンドの影響も受けやすくなる.逆にROI 有では,バックグラウンドの領域が 小さくなり,位置照合の正確さがよくなった.
本研究より,プログラムの動作確認と正確さが確認できた.また,自動位置照合の誤差 が大きくなる原因が明らかになり,正確さを向上させることができた.