日本小児循環器学会雑誌 3巻3号 354〜366頁(1988年)
〈研究会抄録〉
第7回小児心機能血行動態談話会抄録
日 時 昭和62年10月17日
場所東京女子医科大学
1.タリウム心筋血流機能マップー小児期冠動脈疾 患への応用
東京女子医大放射線科核医学部
近藤 千里,廣江 道昭 東京女子医大
日本心臓血圧研究所循環器小児科 中西 敏雄,高尾 篤良 東京女子医大第二病院小児科
多田羅勝義,草川 三治 タリウム心筋SPECT(single photon emission computed tomography)の定量的評価法として心筋血 流機能マップを作製し,小児期冠動脈疾患における有
用性を検討した.SPECTには回転型ガンマカメラ
ーミニコソピューターシステム(島津LFOV−ZLC,シ ンチパック2400)を用い,180°収集30方向で1方向30秒 収集とした.身長120cm以下の場合は1.25倍の拡大を 掛け35秒収集とした.吸収補正は行わなかった.心筋 短軸断層像の心尖部から心基部の各スライスについて circumferential pro創e解析を行いその結果を心尖部 が中心に心基部が外縁になるように同心円状に表示し
(図),負荷直後のタリウム摂取,4時間後再分布時の
.↑江山の
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I/tt/,XYL・i
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「〉↓°
Tl−201 Two−dimensional Polar Map 図 1
タリウム摂取,洗い出し率のそれぞれにつきマップを 作製した.また小児の年齢層別のコントP一ルから求 めた標準マップを作製し,このm−2SD以下を異常部 位とした.異常部位の広がりをextent map,心筋全体 に占める割合をextent scoreとして,またタリウム摂 取の少なさ,あるいは洗い出し率の低さをseverity mapとseverity scoreを用いて表現した. extent scoreの0.10以上を陽性の基準とするとジピリダモー ル負荷心筋SPECTによる川崎病冠動脈狭窄30例,非 狭窄5例の検討ではsensitivity 93%(28/30),
specificity 100%(5/5), accuracy 94%(33/35)であっ
た.結論として本法によるタリウム心筋SPECTの定 量的評価法は,検者間の変動を無くししかも高い精度 で冠血流異常を指摘しうる優れた方法であることが示
された.
2.先天性心疾患における超音波断層法による房室 弁輪径の検討一正常例における検討一
大阪大学小児科
松下 享,小川 實,佐野 哲也 中島 徹,萱谷 太
同 第1外科
谷口 和博,島崎靖久,中埜 粛 同 放射線科 有沢 淳 超音波断層法(2−DE)により,房室弁輪径の正常予 測値を求めた.
対象:心雑音,胸痛を主訴に当院受診し,胸部レン トゲン写真,心電図,2−DEにて心内に異常を認めな かった49例である.検査時年齢は,生後17日一15歳(平 均4歳6ヵ月)男女比は1:1.23であった.また検査 時体表面積は,0.18〜1.77m2(平均0.69m2)であった.
方法:弁輪径の測定は,胸骨左縁からの右室流出路 長軸断層像,左室長軸断層像,心尖部からの四腔断層 像にて行った.各断面で房室弁の開閉が最も大きく観 察できるところをビデオテープに録画した.この再生 画面より拡張早期の急速流入期に房室弁が充分に開口
図1 方 法
したところで画面を停止させ,弁の可動部と非可動部 の間を房室弁輪径として測定した(図1).計測にあ たっては,各断面で3回以上測定しその平均値をとっ た.用いた機種は,Hewlett Packard社77020A ultra−
sound imaging systemであった.また,対象例の超音 波断層は複数検者によって行われたが,録画からの弁 輪径測定は著者が行った.
結果:各断面での房室弁輪径と体表面積の関係を図 2に示す.僧帽弁に関しては,MAD(long axis)=
20.4×BSAo・54 MAD(4・chamber)=22.3×BSAo・48,
三尖弁に関しては,TAD(outflow)=24.5×BSA°・52 TAD(4−chamber)=22.3×BSA°・49であった.これら は岸本ら*のangiographyから求めた房室弁輪径の正
常予測値MAD=24.3×BSA°・44 TAD=31.1×
BSA°・56に比較して小さい傾向を示したが,これはan・
︶
剛
0
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35・
30
0 2
3︒三9︶0<↑
IO
0,5 1.0
BSA
MAD=20.4×BSAO54 r=095(p<0001)
n=44
1.5
0 0.5 1.O
BSA
TAD=24.5×8SAos7 r=0.93{P<e.OOI)
1.5 2晶り
⇒30
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(」 Φ
』ε●工O︐マ︶O<5一
10
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㎞30
0 2
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(」
OOε硲O︐寸︶∩一く﹂.
●
滉
O.5 1.O
BSA
MAD=22.3XBSAo4日 30.95(ρく0.oo 1)
n=45
15 2.0
(m2)
0 0.5 1.0
BSA
TAD=22.3 X BSAOAg r= O.93(p 〈0.001}
n= 35
1.5 2.0
(m)
図2 成 績
giographyでの弁輪径は透亮像であり,その最大径を 測定していることによるためと考えられる.
次に心室容量と弁輪径の関係をみるために対象例の 左室長軸断面像での僧帽弁輪径と左室拡張末期径
(LVDd)の関係を検討した.両者には正の直線関係を 認め(LVDd=0.50×MAD−O.38, r=0.94),左室の 拡大とともに僧帽弁輪径も発育していることが示唆さ れた.さらに心室容量負荷のVSD 13例, ASD 15例で は,それぞれMAD, TADは正常対象に比して増大し ており,特にVSDでは心室容量の増大にともなって 僧帽弁輪径の拡大を認めた.
岸本英文:心臓,17:711,1985.
3.Rastelli術後における運動負荷時の左心機能に ついて一核医学検査による評価一
国立循環器病セソター小児科
岩谷 一,佐藤 誠一,矢沢 健司 吉林 宗夫,小野 安生,木幡 達 神岩 哲郎
対象および方法
対象はRastelli術後,10例.そのうちわけは, TF・
PA 3例, DORV・PS 6例, AVD・DORV・PS 1例 で,年齢は9歳から22歳,術後3年から11年である.
対照群として,MCLS既往など,心パフォーマンスに 異常を認めないと思われる5例を用いた.99mTc心 プールイメージングは,安静時および自転車エルゴ メーター運動負荷時に,左前斜位より撮像した.運動 負荷は20Wより開始し,2分毎に負荷量を漸増し最大 負荷の80%負荷量で3分間List modeにて, Dataを
1.0
出
i°・5 1一
oPD(一)
●PD(+)
O
Rst Ex Rst Ex Rastelli Control 図1 Rastelli群とControl群における安静時および 運動負荷時のLVEF
0.7
5
0」 山
〉
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0.3
1
♂
10
6
1 / ﹈
15
了
8:B{;;
20 (y)
Age
図2 年齢と安静時および運動負荷時のLVEFの関 係
Tl−201 Myocardial lmaging
Patient No1
2 3 4 5 6 ア 8 9 10
曼
1−一一ぺ⊃
●−dD
OPD(一}
●PDC+)
−Rastet川OP
l Conduit replace
ヨ5・o ○⊥一●一●
畢ニー一〇 ○ ●1−一・一
峠一一つ_○一●..●L
●毛_一_●_
●
曼∴一〇 一一〇 ○
P=二曼
●一一一一…一一一 曼一イ主○_○_●_●_」L{i)_、
O−一一一一一一一一一一
0 5 10 15 20 (y}
Age
図3 2°iTl心筋イメージングの年齢推移
収集し,background subtraction法にて, LVEFを求 めた.また,2°1Tl心筋イメージングは,安静時に正面・
左前斜位45°・70◇で撮像し,隣接部位より,85%以下の T1摂取をもって異常と判定した.
結果および考案
Rastelli群は,安静時, LVEFが対照群に比べ有意に 低値を示し,運動負荷時では,LVEFの上昇を認めな かった(Fig.1).還流欠損の認められる症例[PD(+)]
は,認められない症例[PD(一)]に比べ年齢の高い傾 向があり,安静時のLVEFは,高年齢症例で低い傾向 が見られた.また運動負荷時のLVEFの変化では,高 年齢症例で反応の低い傾向があった(Fig.2).心筋イ メージングの年齢推移では,Rastelli術前に, PDを認 めたのは,19歳で手術を受けたNo.4のみで他は認め ない.しかし,10歳頃からPDを認め,15歳頃にはほと んどすべての症例でPDを認める.
以上のことより,Rastelli術後において, LVEFは,
安静時低く,運動負荷時上昇を認めない症例が多いこ と,この原因として,心筋障害の術後の進行が示唆さ
れた.
4.心房心室不一致の心内修復術後の運動負荷時心 挙動
東京女子医大放射線科核医学部
近藤 千里,廣江 道昭 東京女子医大
日本心臓血圧研究所循環器小児外科 山岸 正明,黒沢 博身,今井 康晴 同 循環器小児科
中沢 誠,高尾 篤良 心房心室不一致(以下AVDと略)の心内修復術後12 例(12〜26歳,平均18.3歳,手術年齢平均12.3歳,術 後年数平均5.3年)について,Tc 99m心プールイメー ジングを用いて運動時の心挙動を検討した.運動負荷 は仰臥位自転車=ルゴメーターによる多段階漸増法の 最大負荷量を決定し,この50%量と75%量の2段階負 荷にて心プールイメージングを実施しage matched control(以下Cと略)9名の結果と比較した.結果:
①最大負荷量はAVDで有意に低値であったが,この 時の血圧,心拍数ともCと差がなかった.②AVDの 解剖学的右室駆出率(EF)は安静時(以下Rと略)
52.4±10.5(SD)%,負荷時(以下EXと略)51.3±
12.4%と上昇反応が認められずRのEFも低値で
表 1
Control A−V discordance
Peak work load ﹀
Peak heart Rate ↑ ↑
Peak blood pressure ↑ ↑ EDV(R→EX) = ↓
ESV
↓ ↓SV
↑ ↓CO
↑ ↑EF
↑ =〜↓70
50
(ま︶⊂O=O恒﹂﹂⊂O=OΦ一山
30
王 ー
Rest ExerCtse 70
50
30
A−Vdiscordance
「一一一一一N$一
<\
三
\
Rest Exercise
あった(Cの左室,R62.1±6.4%, EX 70.3±6.4%).
またRのEFが50%以下, RからEXでEFが低下す
る例は検査時の年齢の大きい者ほど多くなる傾向が認 められた.③CではRからEXで左室の拡張終期容積(EDV)は変化なく収縮終期容積(ESV)は減少した.
AVDでは解剖学的右室のEDVが減少した. ESVは
減少したがその変化の程度はCよりも少なかった(R からEXのEDVの変化率:1.5±5%(C),−12.6±6%(AVD), ESVの変化率:−21.1±8,6%(C),−
11±10.9%(AVD)). RのEDV, ESVともAVDが Cに比べて大であった.④一回拍出量(SV)はCでは RからEXで上昇したのに対し, AVDでは逆に減少
した(RからEXのSVの変化率:15.4±9.4%
(C),−15±9.4%(AVD)).心拍出量はC, AVDいず
れでもRからEXで増大したが後者の方が増加率は 少なかった.⑤EDVのRからEXの変化率とSVの 変化率の間にはAVDとCの全体を対象とするとr=
0.91,AVDのみではr=0.6の正の相関がありSVの 反応の規定因子としてEDVの関与が大であることが 示唆された.ESVとSVの間に相関は認められなかっ
た.
5.運動負荷中の酸素吸入が脂質代謝に及ぼす影響 一末梢筋組織の相対的hypoxia?一
福岡市立こども病院内科
砂川 博史,大嶋 昭雄i,総崎 直樹 清原 剛二,福田 省史,溝口 康弘 本田 恵
目的:運動時に,極僅かではあるが,確かに生じる 動脈血酸素分圧の低下が活動筋代謝にどの様に影響し ているかを調べるため,運動負荷中に酸素吸入を行な い,各種血清脂質成分の変動態度を測定した.
対象と方法:対象は12〜41歳の,健康男女8名で,
昼食後4時間以上経った時点で実験をおこなった.運 動負荷はトレッドミルを用い,プルースプロトコール,
ステージ3又は4で15分間の一段階負荷を,20分の休 みを挟んで2回行なった.吸入気は,始めに空気,次 いで35%酸素を用いた.肘静脈に針を留置し,二回の 運動負荷の前と,終了直前に採血し,血糖,総コレス テロール,中性脂肪,HDL一コレステロール,総脂質,
遊離脂肪酸(FFA)などを分析した.一部の例では,
グリセロールも測定した.負荷中は呼気ガス分析を30 秒毎に行ない,安静時,負荷終了前の,それぞれ2分 間を平均して測定値とした.
結果:35%酸素呼吸下運動負荷で,VO2は空気呼吸 下のそれと変わらなかったが,VCO2は有意に低下し,
従って呼吸商は低下し,安静時のそれに近付いた.
空気呼吸では,血糖は低下したが,総コレステロー ル,中性脂肪,HDLコレステロール,総脂質, FFAは,
共に運動負荷により明らかに増加した.これに対し,
35%酸素呼吸では,いずれの成分も変化幅が空気呼吸 時よりも明らかに狭かった(表).
考案と結論:一部の症例で計測したグリセP一ルは 影響される事なく変化した.グリセロールが脂肪組織 からのFFA放出量の指標となるとすれぽ(井川),呼 吸商の増加と脂質成分の増加は,脂質利用の停滞を意
表 1
負荷による変化量
空気呼吸 35%酸素呼吸 P値 総コレステロール 18.9±4.4 6.4±6.6 p<0.01
中性脂肪 22.7±17 6。0±8.5 p<0.02
HDL一コレステロール 4.50±3.3 1.5±2.2 p〈0.05
総脂質 91.0±40.5 19.9±20.3 p<0.01
遊離脂胞酸 70.7±76 2.37±107 p〈0.02
血 糖 一23.6±16.8 一4.75±8.75 p<0.05
味し,更に酸素呼吸でこれが解消されたことは,利用 組織のhypoxiaがその理由である事を強く示唆する.
6.小児左室のstress/Vcf一とくに川崎病におけ る検討一
静岡県立こども病院循環器科
中野 博行,上田 憲,斉藤 彰博 福本 信子
左室収縮能の評価法には心室駆出期の種々の指標が 提唱されているが,いずれも負荷状態の影響を受ける ため,血行動態負荷による機械的影響と一義的な心筋 機能との区別が困難である.最近Colanらによって提 唱された収縮末期における左室壁ストレス(ρes)と 心筋短縮速度(Vcf)関係は,後負荷があらかじめ組み 込まれており,前負荷に依存せずinotropic stateを鋭 敏に表現する新しい指標として注目されている.そこ で,この方法が小児の左室収縮能の評価においても適 応できるかどうか川崎病患児を対象に検討した.
対象を冠動脈病変のない0度(38例),冠動脈最大径
が4mm以下の1度病変(38例),4〜8mmの2度(32
例),8mm以上の3度(12例)および閉塞性病変(OL)(14例)の5群に分けて検討した.全例心カテ中に左室 エコー図とカテ先血圧計による大動脈圧とを同時記録 し,以下の指標を計測した.①駆出時間(ET),② ETc=ET/V「R:IT,③左室拡張末期径(Ded),④左室 収縮末期径(Des),⑤左室径短縮率(FS),⑥心筋短 縮速度(Vcf)=FS/ET,⑦R−R時間で補正した心筋短 縮速度(Vcfc)=FS/ETc,⑧左室収縮末期後壁厚
(ψ
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> O﹈トO﹈匡㏄OO ﹈ト<α 2.0
1る
1.
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0.2
N=38
Y=−0.007X+1.37 r=−0.50
Medn
0
0 20 40 60 80 100 120 LV END−SYSI「OLIC WALL S丁RESS (g/cm2)図1 正常群における左室心筋短縮速度と収縮末期左 室壁ストレスの関係
表1 川崎病の冠動脈病変重症度と血行動態指標の 関係
中等度 巨 大 閉塞性
冠動脈瘤 冠動脈瘤 冠動脈病変
ET
Ded ↑↑
Des → ↑↑
FS ←
Vcf ←
hes
Pes →
Des/Pes → ↑↑
σes
→
↑↑
Stress/Vcf ← →
↑:増大,↑↑:著明に増大,↓:低下空欄は正常との間 に有意差がみられない
(hes),⑨大動脈切痕部圧(Pes),⑩Des/Pes,⑪左室 収縮末期meridional wall stress(ρes).
正常群におけるVcfc/ρes関係は,図1のように逆 相関を示した.±2SDの95%信頼限界より上にあれぽ inotropic stateは増大し,逆に下にあれぽ低下してい
ると考えられる.
今回の結果は,Colanらの結果と比べてVcfcのバ ラッキが大きく,相関係数も低下していた.冠動脈病 変の重症度と各指標の動向を表1に示した.中等度以 下の症例ではすべての指標について正常群との間に有 意差は認めなかったが,巨大冠動脈瘤(3度病変)群 ではDes,ρesが増大し, FS, Vcf, Vcf/ρesが低下 していた.閉塞性病変群では,ρesの上昇があるにも
かかわらずVcfは低下していなかったため, Vcf/ρes は増大を示す結果となった.これは,OL群では左室壁 運動に異常があり,左室Mモードエコーから得られた Vcfは左室全体の心筋短縮速度を表現していないため と思われ,ここで用いた方法論は局所壁運動の異常を 認める症例には適応できないことに注意が必要であ
る.
7.単心室症の心室機能一特に拡張機能について一 大阪大学小児科
佐野哲也,小川實,中島徹
松下 享,萱谷 太 同 第1外科
谷口 和博,三浦 拓也,島崎 靖久 松田 暉,中埜 粛,広瀬 一 川島 康生
単心室症(SV)38例(1歳〜28歳)について心臓カ テーテル検査を行い,圧測定および心室造影から本症 心室の拡張機能につき検討した.心室レベルでの拡張 期特性の指標としての心室弾性特性指数〔Kv〕および 拡張末期コンプライアンス〔(dv/dp)ed〕をGaaschら の方法により,心筋レベルでの拡張期特性の指標とし て心筋弾性特性指数〔Ks〕および拡張末期壁応力を Mirskyらの方法により算出した.心疾患を認めない 正常児18例(2歳〜16歳)の左室を対照(N)とした.
結果および考察二1)KvはSV(0.020±0.011)がN
(0.041±0.022)に比し有意(p<0.01)に低値であっ
O.08
O.06
O.04
O.02
Kv
rP<.011
︸
O O◎
● § §ΩUOOO
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20
10
SV N
(dV/dP)ed
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雷゜・● ●⇔●8
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SV N
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・∞∞ OO O
°●
°
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SV N
OLV type
●RV type
図 1
20
235
10
\二
わ ee
°・二R.,:°2・
\
OO6 OO5
O.04
OO3 OO2 OO1 o
Kv 一P<05−「
ー 逐ロ
5
ESS/ESV1 図 220
18
16 14 12 10
preop postop N 図 3
10
Ks
preop postop N
た.(dv/dp)edはSV(8.70±6.11)とN(6.18±4.08)
の間に有意差を認めなかった.またKsはSV(14.6±
1.7)とN(14.8±1.9)の間に有意差を認めなかった
(図1).このように根治術前の単心室症の心室拡張期 特性は,慢性の容量負荷を受けている左心室のそれと 類似していた.
2)Ksと心筋重量一拡張末期容積比(VM/EDV)と の間には有意な正の相関がみられ,心室容積に対する 相対的な心筋重量の増加は心筋stiffnessの増大(心筋 進展性の低下)をともなうことが示唆された.
3)Ksと心筋レベルでの収縮特性を示す収縮末期壁 応カー容積比(ESS/ESVI)との間には有意(p<0.06)
な負の相関がみられ,心筋stiffnessの増大は
contractilityの低下をともなうことが示唆された(図2).
4)根治手術(Fontan型手術:9例, TCPS手術:
2例)後においてKvは,術前に比し有意(p〈0.05)
に増大したが,術後もなおNに比し有意(p<0.05)に
低値であった.一方Ksは術前後において有意の変動 を示さなかった(図3).
6)拡張末期壁応力は,術前からの房室弁逆流が増悪 あるいは残存した3例では術後も高値が持続したが,
他の8例では有意に低下した.術後Kvの低下で示さ れる拡張期特性の変動の原因として,前負荷の低下が 一因と推察された.
まとめ二1)単心室症の心室は慢性容量負荷心と類 似の心室拡張期特性を示した.
2)単心室症における心筋レベルの拡張期特性(Ks)
は収縮期特性(ESS/ESVI)と有意の逆相関を示した.
3)術前低値を示した心室stiffnessは右心バイパス 手術後増大し,正常に復する傾向を認めた.心筋 stiffnessは術前後で変化を認めなかった.
8.肺動脈弁狭窄にたいする経皮的Balloon
Valvuloplasty前後の血行動態の変化 国立循環器病センター小児科
越後 茂之,前野 敏也,矢沢 健司 小野 安生,山田 修,神谷 哲郎 目的・対象:右室・肺動脈圧較差が39から110mmHg の先天性肺動脈弁狭窄の小児6例(4から15歳)に対 して,Balloon Valvuloplasty(以下BV)を施行し,
前後の圧および右室容積を比較して,血行動態の変化 を検討した.
方法:全例心臓カテーテル検査を行い,心内圧はカ テ先圧マノメタあるいは7Fバーマンにて測定し,右室 容積は2方向シネアンジオから積分法にて算出した.
術前のカテーテル検査結果によって,後日アトロピン 静注後にBVを施行した.術後の圧測定ならびに右室 造影は,BV施行直後に行った.
結果:右室・肺動脈間の収縮期圧較差は,術前の 79.5±26.OmmHgからBV後は32.8±15.5mmHgへ
と減少した(p<0.01).しかし,2例ではBV後も50 mmHg以上の圧較差が残存したが,いずれも大部分の 圧較差は右室洞部と流出路間にみられた.これらは,
BV 1ヵ月後のカテーテル検査時には20mmHg程度
に減少していた(図1).右室拡張末期容積は,術前 93.5±12.1%(of normal)で, BV後は80.2±12.4%に減少した(p<0.05).右室駆出率は,術前が63.9±
8.6%,BV後が68.4±6.7%で有意の差はなかった.右 室流出路の収縮末期平均断面積は,BV後に術前の 51.7±26.9%に減少するが,右室洞部と流出路間に圧
RELATtON between RVin−PA&RVin−RVout Pres. Grad.
(mmHg) (PSvaD lOO
50
SO>匡ー三﹀庄
O
0 50 100 150 (mmHg)
RVin−PA
図1 横軸に右室洞部・肺動脈間の圧較差,縦軸に右 室流出路・肺動脈間の圧較差を示す.
山匡
⊃ の の山庄
P−VRELATION of RVout with PS (modeD
Vd
VOLUME
較差が出現した2例では,とりわけ術前に比して著明 な低値を示した.
考案:BV後の血行動態の変化のなかで注目される ものは,術前にはなかった右室洞部と流出路との間に 圧較差が出現することである.
ところで,Suga Hらは,イヌの摘出心の左室を可変 弾性体模型としてとらえ,前負荷・後負荷の変動にも かかわらず収縮期間中の一定時点の圧・容積点はほぼ 一直線上にあり,収縮期間中時間とともにその直線の 勾配は急になり,直線が左方へ回転するように移動す るとしている1).Maughan WLらは,同様の関係が右 室についても成り立つとしている2).ここで,肺動脈狭 窄例の右室を洞部と流出路に分け,別個の並んだ心室 としてとらえると,それぞれの心室の圧・容積曲線が 描かれる.右室流出路の圧・容積曲線に着目してBV 前後を比較すると,BV後は右室流出路と肺動脈間の 圧較差が著明に減少するため,BV前に比して低い心 内圧でもって駆出が開始される.したがって,図2に 示すように収縮期間中の一定時点の圧・容積点がほぼ 一直線上にあるとすると,BV後は収縮期間中の早い 時点で右室流出路の容積が小さくなると考えられる.
また,流出路の長軸径はBV前後でほとんど変動しな いので,容積が小さくなることは,断面積が小さくな ることと同じと考えてよい.すなわち,BV後収縮期間 中の早期に,この右室流出路の断面積が減少すること により,右室洞部・流出路間に圧較差が出現するもの と考える.BVの1ヵ月後に圧較差が減少したのは,右 室流出路の収縮期圧が低下したため心筋の肥厚が軽減
し,それゆえ収縮末期圧容積直線の傾き自体が減少し て,流出路の断面積がBV直後ほど小さくならなく
山 江
⊃ のの山〜﹂︵﹂
P−VRELATION of RVin with PS(modet)
Vd
VOLUME
図2 上図は右室流出路のBV前後に予想される圧・
容積曲線.下図は右室洞部のBV前後に予想される 圧・容積曲線上下図で,横軸(volume)のscaleは 異なっている.
なったためと考える.
References
1)Surga H. and Sagawa, K.:Instantaneous pressure−volume relationships and their ratio in the excised, supPorted canine left ventricle.
Circ. Res.,35:117−125,1974.
2)Maughan, WL., et a1.:Instantaneous
pressure・volume relationship of the canine right ventricle. Circ. Res.,44:309−315,1979.
9.肺動脈弁狭窄PTA中の左室流入血流のドプ
ラーエコーによる観察東京女子医大附属
日本心臓血圧研究所小児科
神田 進,里見 元義,青墳 裕之 片山 博視,小山耕太郎,中沢 誠 高尾 篤良
肺動脈弁狭窄症の治療として実施しているPer−
cutaneous Transluminal Angioplasty(PTA)術中の 左室流入血流のパターンをパルスドプラー法を用いて 検討した.
目的:①PTA術中,バルンを拡張させた間は右室 駆出血流がほぼ完全に遮断されるので,左室流入血流 は減少ないし途絶すると予想される.これを実際に確 認する.②バルソ拡張時,もし継続的に急速流入血流 が観察されれぽ,その存在をもって左室のsucking effectが証明される可能性がある.③ASD合併例では バルソ拡張時,ASDを介して右左短絡を生じ結果とし
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図 1
INFLTAION DEFLAT工ON
繊蛭凛㌶=▲絃遠4
図 3
て左室流入血流は保たれると予想されるので実際に確
認する.
方法:対象は当科でPTAを実施した肺動脈弁狭窄 症の13例中エコー検査を同時に行い得た6例.年齢2
〜10歳.・ミルン径は肺動脈弁輪径の100〜130%.エコー 装置はAloka SSD−730, YHP−72020AC.
結果:図1;バルン拡張後1〜2秒で左室流入血流 はほぼ消失し,拡張中止後2〜3秒で前のレベルに復 した.頻脈のためE波,A波の区別は困難であった.
図2;四腔断面像の観察によりバルン拡張時の左心の 縮小が認められた.左室の面積は前を100%とすると3 秒後45%,5秒後31%で以後はほぼ30%を維持し,バ ルン拡張中止後2〜3秒で100%に復した.バルン拡張 時,右心は拡張していた.図3;ASD合併例では左室 流入血流は有意な変化を認めなかった.
結論:①PTA術中,バルン拡張時左室流入血流は ほぼ途絶し,左心は縮小した.②左室のsucking effect は証明されなかった.③ASD合併例では左室流入血 流の有意な変化を認めなかった.
before infla七ion
during infla七ion
図 2
10.超音波パルスドップラー法による肥大型心筋症 の左室流入様式の検討
山形大学小児科
芳川 正流,秋場 伴晴,大滝 晋介 小林代喜夫,中里 満,鈴木 浩 佐藤 哲雄
目的:小児の肥大型心筋症における左室の拡張動態 を評価するために,パルスドップラー法を用いて左室 流入様式について検討した.
方法:生後11ヵ月から14歳9ヵ月までの肥大型心筋 症7例を対象とした(表1).対照群として,生後3カ 月から15歳までの器質的心疾患のない小児57人を用い た,被検者を左側臥位とし,心尖部四腔断面を用いて 僧帽弁弁口部中央で左室流入血流を検出した.流入血 流とカーサーラインは可及的に平行になるようにし,
角度補正は行なわなかった.得られた僧帽弁口血流波 形から急速流入期の最大流速Eと心房収縮期の最大 流速Aを求め,さらに両者の比であるA/E比を算出
表1 対 象
Patient Age Sex HR(/min) Dd
(㎜)
Ds
(mm) FS IVST
(mm)
PWT
(mm) IVST/PWT
MR SAM
1.A. S.
5ylm M
110 10 3 0.70 22 21 1.05 十 十2.M. Y. 10y 9m F 73 19 6 0.68 24 27 0.89 十 十
3.H.T.
14ygm M
60 36 21 0.42 17 15 1.13 一 一4.Y.M. 11m
M
106 16 8 0.50 11 5 2.20 一 一5.H. E.
10ygm M
71 34 18 0.47 13 7 1.86 十 一6.S.U. 2y 3m
M
91 28 16 0.43 15 5 3.00 十 十7.T. T. 1y 5m
M
106 22 11 0.50 14 5 2.80 一 一した.対照群57例に関して,A, E, A/E比について,
年齢さらに心拍数との相関を検討した.有意差の検定 はStudent s tテストを用い,危険率p<0.05以下を有 意とした.
結果二(1)まず対照群における結果を示す.Eは年 齢,心拍数のいずれとも有意の相関がなかった.Aと 年齢はr=−0.42,回帰式Y=−1.354X+51の負の相 関を示した.Aと心拍数はr=0.69,回帰式Y=0.505
X−3の正の相関を示した.A/E比と年齢はr=−
O.54,回帰式Y=−0.0216X+0.75の負の相関を示し た.A/E比と心拍数はr=0,85,回帰式Y=0.0076X−
0.07の正の相関を示した.したがって各症例について の計測値の表示は,Eは計測値をそのまま用い, Aと A/E比は,心拍数との回帰式から求められる予測値に 対する百分率で表わした.
(2)次に対照群と疾患群についての比較を示す.A は,対照群(平均±標準誤差=100±3%),疾患群
(123±9%)で有意差はなかった.Eは,対照群(70±
1cm/s),疾患群(56±4cm/s)で疾患群で有意に低かっ た(p〈O.OOI). A/E比は,対照群(100±2%),疾患 群(164±12%)で,疾患群で有意に高かった(p<
0.001).
考案:以上のように本症では,Aは対照群と有意差 がなかったが,Eは低値で,その結果A/E比は高値と なる左室流入様式の異常を示した.しかし症例によっ てはEおよびA/E比とも正常域にあるものもあり,
本症の左室流入様式は多様性を示すことから,心筋肥 大の程度,僧帽弁逆流の有無,流出路狭窄の有無さら に左室弛緩動態等と左室流入様式の関係について症例 数を増やして詳細に検討する必要があると思われる
た.
11.僧帽弁血流流入時間からみた拡張型心筋症の拡 張期特性
国立循環器病センター小児科
前野 敏也,土屋 恵司,山田 修 新垣 義夫,神谷 哲郎
拡張型心筋症(DCM)患児の重症度を非侵襲的に評 価する手段として,超音波パルスドップラより僧帽弁 血流流入時間(TMV)を計測し,その有用性を検討し
た.
検討の対象は,心臓カテーテル検査をおこなった DCMの小児12例で,年齢は7ヵ月から13歳である.対 照として,心臓カテーテル検査で冠動脈障害を認めな かった川崎病既往児6例(1〜4歳)を用いた.
僧帽弁血流流入時間(TMV)は超音波パルスドップ ラで僧帽弁流入血流をStrip chart recorderに記録 し,記録波形からContron Cardio 200を用いてTMV を計測し,最低3心拍の平均値を用いた.また,対照 群全例とDCMの2例については,右房ペーシングに
よりTMVに与えうる心拍数の影響を検討した.
対照群で右房ペーシング時のRR間隔とTMVと
の関係を示す(Fig.1).両者の間にはy=0.68x−0.12 の有為な関係が認められた.以下の検討は,この回帰 式から求めた予測値に対する比率(%TMV)を用いて 行なった.対照群の%TMVは100±13%に比して,
DCM群では86±15%と有意(p<0.05)に低値であっ
た.
次にDCM群で心カテで得られた指標と%TMVと
の関係を検討した.EF, CIそしてBSAから得られたLVEDVに対する患児の%LVEDVの各々と,%
TMVとの間には有意の関係を認めなかった.
しかし,LVEDPと%TMVとの間にはy=0.01x+
1.07の有意な相関を認めた(Fig.2).すなわち,
LVEDPが高くなるにつれて,%TMVが低下し,
当=ト 8e茸
03
02
01
03 04 05 06 07 RR sec Fig.1RR vs TMV in Control Group(MCLS)(xlOO)
12 11 10 竃。9
巨
O.8
07 06
0 iO 20 30 40
LVEDp rnmHg
Fig.2 LVEDP vs%TMV in DCM Group
13
1.2
1 1
0 1 当Σ↑腕
09
0.8
07
03 04 05 06
RR
Fig.3 RR vs%TMV in a Case with DCM
LVEDPと%TMVとの逆相関が示唆された.
ところで,対照群のペーシング時及び,生理的状態 のDCM群では, RR間隔が短くなると,TMVも減少 してくる.ところが,DCMのペーシング例では, RR
の減少に伴いTMVは減少してこない. DCMの1例 でRRと%TMVとの関係をみると, RRの減少にと
もない%TMVはむしろ増加している(Fig.3).これ は,ペーシングによるRR減少に伴い, TMVの低下が悪くなっていることを示す.すなわち,ペーシング時 にはRRの減少に伴い, LVへの流入障害が増加し,流 入時間の延長が起こると考える.したがって,DCM例 のペーシング時には,生理的状態と異なって,%TMV の上昇はむしろ流入障害を反映していると思われる.
以上,DCM例で,%TMVとLVEDPとの間に逆相 関が示唆された.%TMVがDCMの重症度を反映す
るか,更に検討を重ねたい.
12.ドップラー心エコー図による新生児動脈管の閉 鎖機転の検討
北里大学小児科
平石 聰,藤野 宣之,縣 陽太郎 斉藤 幸一,八代 公夫
動脈管の閉鎖は,出生後の循環系のadaptationにお いて重要な役割をはたす.その閉鎖機転に関して多く の知見が報告されているが,正常新生児,未熟児につ いての研究は少ない,我々は,ドップラー心エコー法 を用い,新生児動脈管の形態および血流波型の変化を 検討し,その閉鎖機転について若干の知見を得たので 報告する.
方法:正常新生児50例,未熟児30例を対象とし,超 音波パルスドップラー装置(YHP社製,5MHz shal−
low focus transducer)を用い動脈管を描出し,出生 後早期より継時的にその形態と血流波型を記録した.
また,出生後2時間以内の新生児5例において高濃度 酸素を20分間吸入させ,その前後および大気下15〜20 分後の動脈管の形態と血流波型を観察した.
結果:1.動脈管の形態変化;正常新生児,未熟児の いずれにおいても,閉鎖過程の初期変化として動脈管 の一部(真中,肺動脈端側に多いが大動脈端例にもあ り)で内腔にむかう突出性変化(以下IPと略す)を認 めた(図1上段).IPの進展に伴ないその近位,遠位側 の間に最高流速の明らかな差が出現した(図1下段).
出生後1時間以内にIPの出現を認めない正常新生児 35例において,1〜4,4〜8時間後に動脈管の長径
と最大内径を計測した.動脈管内の最大流速の比が2 倍以上を示したIII群(10例)は,1〜4時間後にIPの 出現を認めない1群(10例),速度差を認めるも2倍以 下を示したII群(15例)に比し長径,最大内径の有意 な短縮を認めた(図2).2.IPと動脈管内血流波型の 関連性;管内血流波型は3型に大別された.type Aは 両方向短絡,type Cは連続性左一右短絡, type Bはそ
の中間波型を示す.IPの出現進展は左一右短絡血流 の減少,消失と有意な関連性を示した(表1).3.酸 素吸入後の変化;吸入後IPの進展,右 左短絡血流
1×:
76543210
(∈∈︶缶ト﹈Σ≦△巴ZZ一トω﹈O一≧
8
GROUP II
(N=15)
ト*
1 MEAN±SD
図 1
GROUP IH
(N=10)
**
(E∈︶エトOZ山﹂
0−1 1−4
ト
〇−1 1−4 4−8
**
}MEAN±SD
oτ_一一一一一→一→トー一一一一一一→−
0−1 1−4 0−1 1−4 4−8
HOURS AFTER BIRTH
N NUMBER OF SUB」ECTS ;「:P O O5 **P・「o.oo1
図 2
Table Relationship between ductal morphology and ductal flow pattems
Ductal How patterns Ductal morphology
type A Types B&C
no IP mild IP Prominent IP
40(85.1%)
13(23.6%)
2(4.1%)
7(14.9%)
41(74.5%)
47(95.9%)
IP:Intralumenal Protrusion 2×3table(df 2), p<0.001
の消失を認めた.かかる変化は,酸素中止後20分以内 にほぼ吸入前の形態,波型に復した.
結論:正常新生児,未熟児において動脈管内に突出 する限局性変化が閉鎖の初期機転として重要な変化と 思われた.かかる変化は,酸素の吸入後増強されるが,
その本態および進展に関与するメカニズムについて更 に検討が必要であろう.
13.肺動脈流速波形に基づく肺動脈圧の推定 北里大学胸部外科
半谷 静雄,石原 昭 非観血的に肺動脈圧が推定出来れぽ,その臨床的意 義は大きい.そこで,超音波ドプラ法で得られる流速 波形から肺動脈圧を推定する試みが最近盛んである.
しかし,これらの研究はいずれも超音波法によるもの で,肺動脈内で同時に実測した流速と圧波形からこれ
らを検討した報告はない.そこで,multisensor cath−
eterで同時測定した主肺動脈内同一部位の流速と圧
(。ρ
エEεΦ﹂⊃器ω﹂o>㌔⊂︒EヨαエmΦ巳↑の誘
一60 −50 −4D−30 −20 −|O O 10 20 30 40 50 50 70 80 90 }00
Tlme between peak of pulmonary pressure and peak of pulmonary veloclty(△Tlms)
図1 dT plotted against systolic PAP
0
(。。
エE∈︶ΦS器Φ這ご時⊂︒Eラα=m8ぢ﹀の ●
●
一「 一
●
一
「一 一 一「
●
●.● ● ■ ●
●
8
●
●
●
● ● ●
●
n=33 r=0851 y=O DI|x十11 446
1000 2000 3000 400D 5000 6000 ]OOO 8000 9000 |0000
PA peak du/dt(cm/sec2)
図2 PA peak du/dt plotted against syst. PAP
波形の関係から,velocimetryに基づく圧推定法につ き検討を加えた.
方法:健常例4例を含む33例の心疾患症例(肺動脈 弁異常例は除く)を対象に,その主肺動脈内流速波形 から,◎preejection time(PEP),◎activation time
(AcT),◎右室駆出時間(RVET),◎駆出最大血流加 速度(peak du/dt)及び◎AT(流速波形のピークと 圧波形のピークの時間差)を計測した.そして各パラ
メータとピーク肺動脈圧との相関を検討した.
結果:得られたピーク肺動脈圧(PAP)と各パラ メータ間の相関係数を下に一括して示した.
◎PEP:r=0.118(n.s) ◎AT:r=0.846(p<
0.05)
◎PEP/RVET:r=0.176(n.s) ◎AT/RVET:
r=0.824 (p〈0.05)
◎AcT:r=−0.689(p<0.1) ◎peak du/dt:
r=0.851 (p<0.05)
◎AcT/RVET:r=−0.639(p<0.1)
PAPとAT及びpeak du/dt
間に,特に有意な正の相関を認めた.そして,図1,
図2で示すようにPAP≧40mmHgの症例のATは全
例10ms以上で, peak du/dt≒3,000cm/sec2前後が
PAP≧40mmHgとPAP<40mmHgの症例の境界値
であった.
考案:今回の検討ではPEP及びPEP/RVETと
PAP間には従来いわれている有意な相関はみられな かった.また現在肺動脈圧の推定によく用いられているAcT及びAcT/RVETとPAP間には有意な負の
相関をみたが,従来の報告にあるほど良好な相関では なかった.
結論:Velocimetryによる肺動脈圧の推定には,主 肺動脈内流速波形から得られるAT及びpeak du/dt がより有用な指標になり得ると思われる.