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Polizeipräsidium Berlin. PolitischeAngelegenheiten 1809-1945. SachthematischesInventar. Bearbeitet von Rudolf Knaack und RitaStumper, Landesarchiv Berlin, Berlin 2007, LII,1083 S.

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

Polizeipräsidium Berlin. Politische

Angelegenheiten 1809-1945. Sachthematisches

Inventar. Bearbeitet von Rudolf Knaack und Rita Stumper, Landesarchiv Berlin, Berlin 2007, LII, 1083 S.

熊野, 直樹

九州大学大学院法学研究院 : 教授 : 政治史

https://doi.org/10.15017/15605

出版情報:法政研究. 76 (1/2), pp.125-135, 2009-10-01. Hosei Gakkai (Institute for Law and Politics) Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

書 評

 ℃O出NO号同93ω崔言封じ⇔〇二ぎ●勺O=岳ωOげ①

﹀昌Φqo♂Φq①口げ︒淳︒昌h◎◎8−戸O麟●ω90び荘中

H口餌菖ωOげΦ◎D 一昌くO昌け9目●じd①餌円びO騨卑 くOづ

閑=αo開囚昌餌90犀⊆昌ユ即津Oωε日boひ

ピ㊤昌αoω霞︒霞く切一団Pゆ①二ぎN88ピロ

8Q◎●○ω●

はじめに 熊 野 直 樹

   本書勺︒一一N①首鼠玖α貯ヨ︼Wo島昌.勺︒一三ω9Φ﹀旨αqΦ一①ひq①昌・

  げ①津ΦづH◎oO㊤一H㊤ら伊ω鋤OプけケΦ日9江ωOプ①ωHコ<Φ5け9﹃●ゆΦ9﹃σΦ詳①叶

  く︒昌幻二山︒罵丙口置霧犀虚づ伍田鼠ωε日づΦがい薗昌αo︒︒鋤﹃o匡く

  bdΦ﹃閏差しdΦ﹁=旨b︒OO刈︵ルードルフ・クナーク/リタ・シュ

  トゥムパー編纂﹃ベルリン警視庁一政治的事件一八〇九

評 〜一九四五年︿事項テーマ別目録﹀一﹄ベルリン州立文書

書 館︑ベルリン︑二〇〇七年︶は︑ベルリン州立文書館に所 蔵されているベルリン警視庁文書︵しUΦω鼠巳﹀牢・じd吋・菊8・

OωO勺︒一一NΦ昼﹁9︑ω一9二目しdΦ島昌︶の事項テーマ別の史料目録

   ユ である︒

 ベルリン警視庁文書は︑政治史︑特にドイツ労働運動史

並びに国際労働運動史研究において︑とりわけ高い史料的      価値を有している︒そもそもベルリン警視庁は︑プロイセ

ンの国家機関として政治的権力を具現化しており︑民主主

義諸諸潮流や労働運動との闘争において積極的に国家に貢

献するとともに︑ヴァイマル共和国においては︑共産主義

や急進右翼との闘争において共和国に大いに貢献した︒し

かも︑ベルリン警視庁の活動範囲は︑プロイセンがドイツ

における主要なアクターとして︑さらにはドイツ帝国の成

立に際して指導的な役割を果たすことによって大幅に拡大

し︑ベルリン警視庁は︑ドイツの他のラントにおける諸事

件にも目を向けることになる︒また︑ベルリン警視庁は︑

ドイツ国内における社会主義や社会民主主義者の動向だけ

でなく︑ヨーロッパ諸国︑さらにはヨーロッパ以外のこれ

らの動向にも着目し︑それらについての膨大な文書を残し

ている︒ このようにベルリン警視庁文書は︑一九世紀や二〇世紀

初頭におけるプロイセンやドイツ︑さらにはヨーロッパに

(3)

書評

おける政治運動の歴史の研究にとって︑きわめて重要な史

料を有している︒しかも︑本文書は︑戦災によって消失し

た政党や政党指導者に関する史料も豊富に含んでおり︑そ

の意味でもとても貴重である︒本稿において︑本書を取り

上げる所以の一つである︒

 ベルリン警視庁文書は︑時期的には一八〇九年から一九

四五年までの史料を含んでいるが︑とりわけ一八七一年か

ら一九一八年までのドイツ帝国期に重点が置かれている︒

内容的には︑労働運動や社会民主主義者に重点が置かれて

いる︒また︑ベルリン警視庁文書に所蔵されている史料は︑

地域的意義だけでなく︑国家的な︑それどころか国際的な

意義をも有している︒この文書における政治的事件に関す

る記録史料は︑とりわけドイツ労働運動史研究にとってき

わめて高い価値を有するが︑それは︑プロイセンを始め︑

ドイツの各ラントの中央機関の記録史料に匹敵するほどの      ヨ 史料的価値を有するものである︒

 さらにベルリン警視庁文書の特徴として指摘できるのは︑

その無政府主義関係の史料の豊富さである︒無政府主義の

歴史はここ数十年歴史研究においては︑さほど重点は置か

れてこなかった︒しかし近年︑テロリズムに対する関心が

強まるなかで︑無政府主義者によるテロもまた再検討する 必要があろう︒ベルリン警視庁文書はこのテーマに関しては︑きわめて有意義な史料を含んでいる︒それらの有効活用が望まれるところである︒ こうした歴史研究︑とりわけ政治史研究において重要な史料を含むベルリン警視庁文書の史料目録である本書について︑以下では︑ベルリン警視庁文書の来歴を紹介したうえで︑本書の内容や構成を紹介し︑最後に本書の特徴について述べることにしたい︒それによって︑ベルリン七言視庁文書の概観とともに本史料目録の特徴を紹介することが︑本稿の目的である︒

一 ベルリン警視庁文書の来歴

 ベルリン警視庁の歴史的起源は︑一八〇九年忌までさか

のぼる︒一八〇九年三月二五日前内閣令に基づいて︑プ

リードリヒ・ヴィルヘルム三世︵聞同一Φα﹃一〇ゴノζ一一げΦ一ヨH一H・︶

がユストゥス・グルーナー︵言ω什二ωO≡昌Φ﹃︶をベルリン敬言

視総監に任命した︒この内閣令こそがベルリン警視庁の

﹁出生証明書﹂とされる︵勺︒蔚Φ甘贔獣主調§じu興一旦ψ

××口︶︒それ以降︑ベルリン警視庁は︑その時々の政治的

状況に応じて幾度もの改組改編を経ることになる︒それら

(76−1・2−126) 126

(4)

書評

はベルリン警視庁文書にも反映されており︑そこには一八

〇九年から一九四五年までの史料が所蔵されている︒

 ベルリン警視庁文書は︑そもそもベルリン・ダーレムの

秘密国家文書館︵ΩΦゴΦ一望Φω ω$鉾ω費︒ぼく ぎ bdΦ島亭

U9︒置①日︶に所蔵されていた︒第二次世界大戦中︑戦災を

逃れるために︑その大部分がシェーネベック地方の岩塩鉱

山に一時的に保管された︒戦後︑そこからメルゼブルクの

ドイツ中央文書館︵U①旨ωoげ①ωNo暮円巴霞︒げ客 貯 竃臼・

ωΦび霞ひq︶に一時保管され︑一九五〇年にブランデンブル

ク州立中央文書館︵しd轟民Φ⇒び霞ひq尻9Φω い鋤&oω冨唇$雫

︒ぼく︶に移管された︒その結果︑ベルリン警視庁文書の一

部は︑ベルリン・ダーレムの秘密国家文書館に︑そしてそ

の大部分はブランデンブルク州立中央文書館に所蔵される

ことになったのである︒こうしてベルリン警視庁文書は︑

ドイツ民主共和国︵東ドイツ︶とドイツ連邦共和国︵西ド

イツ︶にそれぞれ分割して所蔵されることになったので

あった︒その後︑ベルリン・ダーレムの秘密国家文書館に

所蔵されていたベルリン警視庁文書は︑ベルリン州立文書

館に移管されることになった︵国び①旨α蝉ω●︶︵︶︵︶︵HH噛●︶︒

 しかし︑一九九〇年に東西ドイツが統一されると︑それ

まで東西に分割して所蔵されていたベルリン警視庁文書の 統合が問題となった︒そうして二〇〇一年置︑ブランデンブルク州立中央文書館とベルリン州立文書館との間で︑ベルリン警視庁文書はベルリン州立文書館で一つに統合されることで合意がなされたのであった︒その結果メートル換算で七〇〇メートルに及ぶ約七六〇〇〇点もの史料からなるベルリン警視庁文書が︑ベルリン州立文書館に所蔵されることになった︒因みに︑ベルリン警視庁文書の一部は︑いまだにモスクワの文書館に所蔵されたままである︵南びΦ昌α四oD・︶︵︶︵︶︵HH一︶︒ こうしてドイツにおいて分割して所蔵されていたベルリン警視庁文書は︑一つに統合されることになったのであるが︑その際︑直ちに問題となったのは︑新たな史料目録の編纂である︒それまで二つの文書館で別々に所蔵されていたため︑史料の分類整理の方法もまた別々であり︑それぞれの文書館の方針に従って史料が分類整理されていた︒統合するにあたって︑膨大な量に及ぶベルリン警視庁文書を︑いかなる方針のもと分類整理し直すかが焦眉の急とされたのである︒こうした状況のなかで生まれたのが︑本書である︒ 戦後︑ベルリン警視庁文書の大部分はブランデンブルク

州立中央文書館に所蔵されていたが︑当時の東ドイツにお

(5)

書評

いては︑可及的速やかな本文書の利用が求められた︒その

結果︑史料の分類整理が不充分で︑利用者にとってはかな

り不便であったという︒史料の分類整理が不充分であった

理由としては︑短期間に分類整理したという時間的な理由

のほかに︑ベルリン警視庁文書の史料的性格がある︒とい

うのは︑本文書は︑一八〇九年から一九四五年までの一三

六年間もの史料が含まれているために︑ベルリン警視庁が

その時代によって収集した史料の内容が異なり︑さらには

内部の部局や組織が再編成されるたびに︑史料の分類その

ものが大幅に変わっていたからである︵<ひq言びΦ民Pψ

××図H<︶︒

 そもそもベルリン警視庁では︑組織ごとにそれぞれ記録

保管庫が置かれていた︒しかし︑組織改編がなされるたび

に︑それに応じて記録保管庫やそこで保管される記録の内

容も変わり︑きわめて不統一な分類がなされてきた︒記録

保管廷内における整理方法もまた︑時代によって変遷し︑

さらなる記録史料の不統一をもたらしたのであった︒しか

も分類のための事項や概念もまたその時代ごとに変わって

おり︑これらの混沌とした記録史料を統一的に整理するこ

とはきわめて困難な課題であった︵国ぴ︒ロαPω・図××一く︶︒

 そのため従来︑本文書の利用者は︑史料目録のタイトル を見ても︑そこにいかなる内容の史料が含まれているかわからないこともあった︒また︑従来の分類方法は︑必ずしもこれまでの文書館学の原則に対応していないケースも見られた︵国び①昌山溝矯ω●×︶︵×<団●︶︒ こうしたベルリン警視庁文書の複雑な分類状況において︑編纂者の一人であるクナーク氏が中心となって或る一つの観点から一元的に分類整理し直したのが︑本史料目録なのである︒そこでは︑徹頭徹尾︑利用者の観点からベルリン警視庁文書が分類整理されている︒そもそもアーキヴィストの最も重要な課題とは︑引き継いだ文書を︑一般的には多種多様な目的や知的関心のために︑個別的には歴史研究のために︑最も有利な条件のもとで︑調査し︑利用できるように︑文書が生じた状況に基づいて︑そしてその内容の独自性に応じて開拓することである︑とされる︵国ぴΦ巳Pω8×<︶︒このような課題のもと︑クナーク氏はベルリン警視庁文書の持つ政治的性格に着目し︑﹁政治的事件﹂という観点から︑事項テーマ別に文書を分類整理したのが︑本史料目録である︒そこで以下では︑本史料目録の内容と構成について紹介していこう︒

(76−1・2−128) 128

(6)

書評  5

  雰囲気︵ω・謡︶  4 一八四八/四九年革命前︑革命中︑革命後の民衆の  3 ブルシェンシャフト︑学生運動︵ω●一ΦIb◎ω︶  2 反対派の動向︒一般︑誹誘文書︑脅迫︵ω・目ω−嵩︶  1 一般的政治状況︵ω●○︒山H︶  政治的事件︵oD●∵㊤に︶ 文書 略号︵ω.口■いHH︶ 序︵ω.××嗣■×﹃一×︶ まえがき︵ω.区HH同−益田×︶ 目次︵ω.<・×HH︶ 構成は以下の通りである︒  ベルリン警視庁文書の史料目録である本書の主な内容と   二 本書の内容と構成

9876

一八四八/四九年革命︵ω・bo隷●︶

警察会議と週報告︵oり●8虞b︒︶

民主運動︵ω眞ω−逡︶

一八四八年後のユートピア的社会主義

共産主義者同盟︵ω.Φ刈IHOO︶ ︵ω●㊤㎝︶

10@初期労働者団体と手工業者団体︵ω●HO一山O︒・︶

11@国際労働運動と会議︵ω︒HO㊤一HωbO︶

12@社会民主主義運動と無政府運動︵oり●一ωQQiαQo刈︶

13@共産主義運動︵oQ・㎝oo㊤1①N㎝︶

14@ストライキ︑デモ︵ω6ミよωω︶

15@社会政策︑労働者の状況︵ω.①ω㎝よ自︶

16@種々の労働者団体︵ω●罐ωよ癖①︶

17@労働組合運動︑支援団体︵ω・①ミよ①O︶

18@同業組合︑手工業組合︵ω.①①刈一①刈α︶

19@宗教団体︑自由思想家運動︵ω・O刈刈−刈O刈︶

20@フリーメーソン︑フリーメーソン団支部︵い︒ひq魯︶

 ︵ω●刈Oり1刈一一︶

21@民族運動︵ω●刈Hω1刈ω刈︶

22@自由主義運動︵ω.刈ω㊤1日①O︶

23@中央党︵ω.刈①一一刈①ω︶

24@キリスト教i社会運動︵O寓一ω島︒ゴーωo風9︒一〇

 しdΦ≦Φひq彗oq︶︵ω・刈①笛−刈①刈︶

25@民族社会運動︵ωら♂O胤.︶

26@雇用者団体︵oり・謡一−ミω︶

27@保守的運動︵ω︒刈込㎝1刈OQ①︶

28@ユダヤ的事項︑反ユダヤ主義的運動︵ω.刈00刈1000ω︶

(7)

書評

 29 平和主義︵ω・o︒8h●︶

 30 スパイ︑叛逆︑分離主義的運動︵ω膠OQO刈;oo一〇︶

 31 極右運動︑NSDAP︵oo●QOHHIOoHω︶

 32 選挙︑人民投票︵ω・o︒嵩1︒︒曽︶

 33 立法︑プロイセン両議院と帝国議会︵ψo︒b︒ω琉.︶

 34 検閲事項と出版事項︵ω●○○卜︒αIQo㊤bO︶

 35 暗殺と暗殺計画︑武器と爆破物の不法使用︵ω.G︒㊤㌣

  8ω︶

 36外務と植民地問題︵Qり・ΦO㎝一㊤目悼︶

 37 第一次世界大戦︵ω●り一ωh︒︶

職務事項︑組織事項と個人事項︵ω︒OHα一㊤卜Q一︶

 1 制度と組織︵ωb一刈︶

 4 官房事項︑記録保管庫事項と事務所事項︵ωb嵩︶

 12 内外における警察︵ω●㊤嵩︶

 13 個人事項︵ω﹁Φ嵩ら母︶

国籍所有者に関する事項と身分関係︑位階事項︵ω●爲㌣

㊤b︒刈︶

 1 国籍所有者に関する事項︵ψり謡︶

 2 身分関係︵○りbま︶  3 位階事項と貴族事項︑称号と勲位︵ω.㊤まh.︶劇場︵ωbb︒㊤−逡O︶

H 検閲︑営業並びに建築監督局による公演と公的行事の

 監視︵ω・⑩ω甲㊤ωΦ︶

m 営業監督局による俳優と劇場経営者の監視︵ω・逡O︶

団体︵ω・り膳H一㊤㎝α︶

12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1

一般︵ω.逡ω︶

種々の世界観団体とプロパガンダ団体︵oo9逡ωh︶

経済団体と社会政策団体︵ω・逡α︶

反コミンテルン団体︵ω●逡①︶

国防団体︵ω.㊤&︶

植民地団体︵ω.Φ&州・︶

東部団体︑郷土同盟と移住者団体︵ω.逡?㊤お︶

西部団体︵ω・㊤お︶

国外団体︵ω︒㊤心Φ1㊤㎝N︶

合唱団体︵ωbαω︶

フリーメーソン団支部︵ω●㊤窃ω︶

ユダヤ団体︵ω・ゆαω1㊤αα︶

(76−1e2−130) 130

(8)

13@人権のためのドイツ連合︵QD●㊤呂︶索引︵ω.HOH㊤1戸OQoω︶

書評

刑事事項と司法事項︵ω・㊤㎝刈1㊤①Φ︶

 1 刑事警察本部︵ω●㊤紹−り①H︶

 2 殺人捜査班︵ω.Φ①一1㊤①①︶

 3風紀警察︵oり︒8①h・︶

 4 警視副総監ベルンハルト・ヴァイス

  輔①蕊︶の手稿文書︵ω●㊤①刈一㊤①㊤︶ ︵Ud興昌鋤a

保安警察︵oQ●㊤刈一一OΦ①︶

 1 一九一九年までの保安警察隊︵ω・⑩刈ω1りooド︶

 2 一九二〇年以降の保安警察︵ω.OO◎一1㊤OO︶

︾勺5じd目・菊808幻︒αq旧藩⊆昌ひqbdΦ島昌

 − 民衆の雰囲気︵ω・り$︶

 2 検閲規則︵ω・⑩O㊤︶ ︵ω・OO八一㊤㊤㊤︶

付録︵QD・HOOHlHOO刈︶

 閑①b︒N︾閑①胤①歪昌ひq勺9巴四日山雪9Z5

史料と文献︵ω﹄08山8Q︒︶ ︵ω.目081一8刈︶  以上が︑本書の内容と構成の概要である︒それでは︑下では本書の特徴について述べていくことにしよう︒

三 本書の特徴

 本書の特徴は︑従来ベルリン州立文書館とブランデンブ

ルク州立中央文書館において別々に所蔵され︑それぞれの

方法によって分類整理されていたベルリン警視庁文書を一

つの観点から一元的に分類整理し直した点である︒その際︑

導入された観点が﹁政治的事件﹂というものであり︑これ

もまた史料目録としての本書の特徴である︒この場合︑

﹁政治﹂という概念自体がとりわけ問題となるが︑編纂者

の一人であるクナーク氏は︑この概念をドイツの代表的な

事典である﹃ブロックハウス︵じU﹁oo評げ雲ω︶﹄における

﹁政治﹂の項から援用し︑そこでの定義に基づいて﹁政治

的事件﹂という観点から︑史料目録を政治的潮流ごとに分

類整理している︒本書で援用されている﹃ブロックハウ

ス﹄での﹁政治﹂の概念は︑具体的には︑﹁政治﹂とは

﹁特に国家の領域において特定の目標の実現を目指し︑公

(9)

書評

的生活の形成を志向した︑諸個人︑諸集団︑諸組織︑諸政

党︑諸階級︑諸議会並びに諸政府の行動﹂である︑と定義

されている︵℃○蔚Φ言贔ω窪ニヨ切︒﹃ぎりψ×××H×︶︒

 しかも従来︑主としてベルリン警視庁内の部門や組織に

沿って分類されていた本文書を︑政治的潮流ごとに分類整

理し直した点もまた︑特徴である︒これまで部門別に所蔵

されてきた文書が︑政治的潮流に沿って分類され直してあ

り︑例えば社会民主主義に関しては︑これまでベルリン警

視庁の各部門や各組織にそれぞれ所蔵されていた社会民主

主義の関連史料を︑本史料目録によって﹁社会民主主義運

動﹂という項目のもと簡単に把握できる点が本書の魅力で

ある︒少なくとも政治史研究者にとっては︑政治的潮流ご

とに関連史料が分類整理されているために︑本書の出版に

よって︑関心のある史料をより簡単に把握できるように

なったといえよう︒

 このようにベルリン警視庁の政治的性格に着目し︑政治

的潮流ごとにベルリン警視庁文書を分類整理し直した点が

本書の長所ではあるが︑しかし︑これが同時に逆の問題を

生じさせているともいえる︒こうした﹁政治的事件﹂を中

心に編纂された史料目録は︑確かに政治史研究にとっては

大変有意義ではあるが︑しかしながら︑ベルリン敬言視庁の 持つ非政治的性格︑特に風俗や犯罪を取り扱う刑事事件が本書では逆に脇に追いやられ︑当時の民衆の様子に関心を抱く社会史研究にとっては︑本書はやや使いづらい面があるのも事実である︒とりわけ最近の研究では︑社会的ミリューに対する関心が政党史研究でも高まっており︑﹁政治的事件﹂を中心として編纂された本史料目録は︑論議を呼ぶことになるかもしれない︒ 次に︑政治的潮流という観点を本書が導入した際に依拠した﹁政治﹂の定義づけについてである︒既に指摘したようにクナーク氏は﹁政治﹂の定義づけを行う際に︑二〇〇三年版の﹃ブロックハウス﹄に依拠している︒﹁政治﹂の定義は︑時代的︑地域的に規定され︑確定することはきわめて困難である︒事実︑氏が依拠した同じ﹃ブロックハウス﹄の﹁政治﹂の定義もまた時代によって変遷しており︑二〇〇三年版の﹃ブロックハウス﹄における﹁政治﹂の定義と東西ドイツが統一する直前の一九八九年版の﹃プロッ      ユ クハウス﹄におけるそれとは︑全く異なっている︒様々な﹁政治﹂の定義づけが可能であるなかで︑何故に﹃ブロックハウス﹄なのか︑という疑問もまた生じる︒﹃ブロックハウス﹄の定義と代表的なドイツ語辞典﹃ドゥーデン       ら ︵U&Φ昌︶﹄の定義とが同じであることをクナーク氏は脚注

(76−1・2−132) 132

(10)

  で指摘している︵℃9冒①号&臨&⊆日 Uご霞一旦 ω・×××一×・

  ︾⇒筥・ωα︶が︑やはり﹁政治﹂の定義づけの根拠としては

  弱いように思われる︒本書がベルリン敬言視庁文書を分類整

  堕する際に依拠した﹁政治﹂の定義については︑賛否両論

  あるだろう︒もっとも︑本定義の採用は本書の史料目録と

  しての価値を減ずるものではない︒

   さらに︑本書の特徴は︑徹頭徹尾利用者の観点から作成

  されており︑利用者に対してきめ細かい配慮がなされてい

  ることである︒例えば︑史料目録で番号が付された各タイ

  トル︵﹁二 本書の内容と構成﹂を参照︶はさらに小項目

  に分かれており︑基本的にはこれに史料の請求番号が付さ

  れているが︑小項目ごとにその史料内容が詳細に記述され

  ている︒そのため利用者は︑その小項目が具体的にいかな

  る史料を含むものかが簡単に把握できるようになっている︒

  さらに︑新しい史料の請求番号の右側には旧い請求番号が

  併記されており︑統合前の先行研究が依拠したベルリン警

  視庁文書の史料を検証しやすいように配慮がなされている︒

  その他︑本書は︑詳細な人名索引と地名索引が付されてお

  り︑関連史料の検索がさらに容易にできるようになってい

評 る︒またベルリン警視庁に関する史料や研究の文献目録も

書 付録として掲載されており︑便利である︒  既に述べたように︑ベルリン警視庁文書は︑メートル換算で七〇〇メートルに及ぶ約七六〇〇〇点もの史料からなる膨大なものである︒これらの史料をすべて閲覧し︑その歴史的性格や特徴を的確に理解し︑一つの統一的な観点から分類整理すること自体︑きわめて困難な課題である︒こうした困難な課題がクナーク氏主導のもと見事に克服されて︑編纂されたのが本書であり︑これこそが︑本書の最大の意義であろう︒クナーク氏は︑ブランデンブルク州立中      央文書館の中心的なアーキヴィストとして活躍し︑ベルリン警視庁文書の研究にその生涯を捧げられた︒定年後も引き続きベルリン警視庁文書の研究や分類整理に従事された︒本書はまさにクナーク氏自身のライフワークでもあり︑氏自身の実績並びに献身的な仕事なしに本書の完成は難しかったに相違ない︒

おわりに

 以上が︑本書の紹介と特徴である︒本書は︑単なる史料

目録ではなく︑ベルリン敬坐視庁の歴史やベルリン警視庁文

書の来歴についても詳しく﹁序﹂で言及されており︑ドイ

ツの警察史に関心のある研究者にとっても有益である︒ま

(11)

書評

た︑ドイツ近現代政治史に関心のある研究者にとっては︑

本書からこれまであまり知られてこなかった多くの関連史

料についての情報を取得することができる︒さらには︑文

書館学の研究者やアーキヴィストにとっても︑本書から文

書の分類整理の仕方やその方法論などについても具体的に

多くの情報を得ることができるであろう︒本書が︑日本に

おける政治史研究者や文書館学の研究者並びにアーキヴィ

ストらによって︑積極的に活用されることを切に望む︒

︵1︶ 本書の書評作成にあたっては︑全般にわたって以下の

書評を参照させていただいた︒原稿段階であるにも拘らず︑

書評を本稿で参照することに対して快く許諾していただい

 たディーター・ブリッケ︵一︶一ΦけΦ﹃﹁﹁凶O閃Φ︶氏に対して︑こ

 の場を借りて厚く御礼申し上げる︒団ユ︒犀ρU一①8昌幻ΦNΦ亭

 ωδ巨 ℃o嵩NΦ言鼠ω置貯ヨbuΦ島嵩・勺9三ωoげ①﹀コαqΦ一①σq①亭

 げ①凶け①昌一Q◎OOIH㊤ら切. ω90げ什げΦヨ9口ωOげOω一口く①昌け餌円︒uご①P賊σ.

 <Oロ園=αO一h国ご餌鋤O評F国搾曽ωけ⊆昌りb①﹁●︵ωOげ臥津①口同①一げ①匙Φω

 い餌昌αΦω胃︒旧くωbu臼嵩F口屋oq●<o昌口零①6Doげ9ΩO①お切9一H

 N⊆σq寄けげ田昌N①守①a津︒耳一凶︒げ⊆旨oqΦ⇒αΦω じd鑓づα①昌ぴ⊆同αq聴

 ωoげΦ昌い鋤づ瓢Φωげ蝉⊆讐胃〇旧くω.出諺σq・<oづ三訂霧Z①律ヨ︒昌員

 bσ仙﹈<︶目簿づ匹①oo霞︒旧くbd①二ぎw切Φ=厳b︒8メい=F一〇〇◎Q◎ωこ

 800︒︵﹈≦ω︶・   なお︑本稿の作成に際しては︑全般的に︑プリッケ氏の

書評の他︑本書におけるクラウス・ナイトマン︵内冨二ω

 Z①詳目窪づ︶氏とウーヴェ・シャーパー︵d≦Φωoげ碧9︶

 氏による﹁まえがき︵<o﹃≦o詳︶﹂並びにクナーク氏によ

 る﹁序︵田巳①騨巷ひq︶﹂をも参照していることをあらかじ

 めお断りしておく︒

︵2︶ ベルリン散言視庁文書が有する高い史料的価値をいち早

 く見出し︑このなかに含まれるベルリン政治警察文書に依

拠してビスマルク期のドイツ労働運動史を新たに開拓した

研究が︑閏ユ︒吋ρ︼︶一ΦけΦ5bd一ω旨⇔﹃o犀ω℃鼠8鼠鋤昌①唇︼︶δ切ΦH−

 嵩昌鶏Oo洋凶ωoげ①℃o目N①一一ヨ閤鋤8冨αq①σq①昌島Φ画Φ暮QDo﹃Φ

 ﹀吾①津臼げΦ≦①ゆq⊆づゆq︵H︒︒刈H−一︒︒Φ︒︒︶矯しUΦ島昌一Φ①Nである︒

︵3︶ こうした史料的価値を有するベルリン警視庁文書の史

料の一部は︑既に公刊されている︒最近でも︑ベルリン警

視庁所属のベルリン政治警察のいわゆる年次概況報告書が︑

 本書の編纂者の一人であるクナーク氏とブリッケ氏によっ

 て公刊されている︒︿oq一UO評¢巨①耳①四二ωひq①げ巴ヨΦづ﹀学

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NOO軽・なお︑この史料集については︑評者による書評があ

 る︒熊野直樹﹁書評UoざB①耳Φ餌⊆ωゆqΦげΦざ窪﹀﹁oぼく魯・

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(76−1・2−134) 134

(12)

書評

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 ﹃西洋史学論集﹄第四三号︑二〇〇五年︑八七〜九一頁︒

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︵5︶ クナーク氏が参照した﹃ドゥーデン﹄は︑一九九六年

版であるが︑一九九九年版においては︑政治の定義は若干

変化している︒そこでは︑特に﹁態度︵ノN①憎げ9一けΦ冨︶﹂とい

う言説が﹁行為︵=p嵩α①ぎ︶﹂という言説に変わっている︒

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︵6︶ クナーク氏は︑ブランデンブルク州立中央文書館にお

 いて︑数々の文書の分類整理や史料編纂に携わり︑多くの

史料目録を作成している︒特にドイツ近現代政治史研究に

とって重要な史料目録は︑ωづΦN凶巴ぎくΦ暮霞α①ωωけ帥彗ω霞−

 Oげ一くω℃Oけωユ帥︻口N⊆同O①ωOげざげけO山Φ﹃び9円αq①二一〇げ①5℃曽詳①凶①ロ

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 幻⊆傷○開内旨鎚︒言℃9ωα餌ヨ一㊤①﹃である︒ ︻附記︼ 本稿受理後︑プリッケ氏の書評︵註︵1︶参照︶は︑若    干修正されて︑N①冨︒鐸洋h93戦○Φωo巨︒洋ω三︒︒︒︒Φ口ωoゲ昧戸    一ぴq●零︵NOO㊤︶℃ψω謡山おに掲載された︒

参照

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