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Academic year: 2021

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日本語指導が必要な外国人児童への教育支援 一専任教員の役割と課題を中心に一

学校教育専攻 総合学習開発コース

藤 本 容 子

1.はじめにー問題の所在と研究目的一 近年、学校における学習者の属性が多様化す る傾向にある。その最も顕著な例が「日本語指 導が必要な外国人児童生徒J(以下「外国人児童 生徒J)と呼ばれている子どもたちの増加である。

しかし、日本の学校は「日本文化J とは異なる 文化をもっ子どもたちに対応する教育のプログ ラムをほとんどもっていないといってよい。「外 国人児童生徒Jに関する研究は、様々な角度か らされ、事例報告も多くされている。しかし、

「外国人児童生徒j教育の専任教員に関しては、

現状や指導方法を論じる中で触れられることは あるが、専任教員の役割を「外国人児童生徒j、 その保護者、担任との関係、から研究したものは あまり見られない。

本論文では、「外国人児童Jへの教育支援と して外国人児童対応学級(以下 f対応学級J)が ある A小学校と専任教員はいるが「対応学級J のないB小学校の支援について、教員、「外国人 児童Jならびにその保護者からの開き取りをも とに小学校における「外国人児童jへの教育支 援のあり方と専任教員の役割を浮き彫りにする ことを試みた。そして、専任教員の役割と今後 の課題を考察するとともに、日本の学校教育に おける学習者の多様化への対応の課題の一端に ついても触れている。

2.学習者の多様化と教育

日本の公教育において、個性が重視されるの

指導教員 小 西 正 雄

は、外国との関わりで日本社会が大きく変動す る時期である。戦後の高度経済成長は、日本の 企業の海外進出や多くの外国人の流入による日 本の多文化化を促し、教育においても日本の「国 際化Jへの対応の必要を高めることになった。

しかし、画一的な指導の傾向の強い日本の学校 教育は、異質な者に対して同化を促し、学習者 の多様化に十分対応しているとは言い難い。例 えば、在日朝鮮人児童生徒の民族性や帰国児童 生徒のもつ文化に配慮する教育が十分で、きてい るとは言えないのが現状である白

3. 

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外国人児童生徒jの教育

1990年の「入出国管理及び難民認定法Jの改 訂による外国人の滞日の増加によって、「外国人 児童生徒jの教育が問題となってきた。在日外 国人の国籍、来日目的、在留資格はさまざまで、

それに応じて住む地域にも特徴がある白これが、

「外国人児童生徒jの多様性に繋がり、問題を ひとくくりにできにくくしている。

これに対して、行政は、専任教員の配置や各 種教材・資料の作成によって対応しようとして いるが、教育現場では、多様な「外国人児童生 徒Jの教育支援に追われている。

教育現場においてまず問題になるのは、「外 国人児童生徒Jが、日本語を理解できないこと である。しかし、「外国人児童生徒Jが日本の学 校に「適応」するために最も必要なのは、当該 児童のもつ文化に配慮、することである。

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4.  A小学校と B小学校における「外国人児 童jへの教育支援

A小学校とB小学校では4年ほど前から「外 国人児童jの在籍が多くなり、その保護者のほ とんどが大学関係者のため、 5年以内に帰国す る。両校とも「外国人児童」の在籍の増加にと もなって当該児童の教育支援が、担任でない教 員の兼務から専任教員の担当になっているD

「外国人児童Jが在籍する学級の担任は、当 該児童の日本語指導や教科指導のほかに、保護 者への連絡や宗教的な習慣、母国と日本の学校 の文化の違いへの配慮、をしている。

一方、専任教員は、主に日本語指導や教科指 導を支援しているが、英語による保護者への連 絡の支援も行っている。また、 A小学校では、

「対応学級Jが、在籍している「外国人児童J 同士の交流や、息抜きの場としての役割を果た

している。

教員は、「外国人児童jが日本の学校に在籍 することが、当該児童だけでなく、日本人児童 の視野を広げ、国際理解にも繋がると考えてい る。また、専任教員の教育支援に対して、必要 を感じながらも、日本語習得や教科学習の理解 と、学級集団への「適応jというこつの目標か ら「取り出しJ とT Tという支援の方法につい て長所と短所を感じている。さらに、専任教員 が教育支援している時は、「外国人児童jを専任 教員に任せてしまうという傾向がみられる。

「外国人児童Jにとって専任教員による教育 支援は、楽しみと感じている者が多い。しかし、

支援の方法では学年が高くなるとT Tを好まな くなる傾向がみられる。また、支援に対する「外 国人児童Jの意識は、家庭環境や保護者の教育 に対する意識にも大きく影響されている。

「外国人児童jの保護者は、子どもたちが日

本の学校で勉強することに協力的である。しか し、ほとんどの者が、帰国を前提としているた めに、自分たちの責任で母国の教育を子どもた ちに受けさせなければならないと考えている。

また、専任教員による日本語指導や教科指導は、

日本語が十分理解できないために一斉指導では 学習が難しい子どもたちに必要だと考えている。

それとともに、慣れない日本の学校や生活につ いての説明やアドバイスを求めているD

5. 

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外国人児童jへの教育支援の考察と今後 の課題

A小学校や B小学校では日本語指導におい ても「適応J指導においても無意識のうちに「外 国人児童Jを日本人児童と同様に指導する傾向 がある。そのため、「外国人児童Jのもつ文化へ の配慮を常に意識する必要がある。

また、専任教員の教育支援は日本語指導や教 科指導において効果を上げているが、在籍学級 の同化傾向を強める傾向がある。それを避ける ためには、すべての教員が文化への対応につい て共通理解する必要がある。

今日、民族運動の活性化や国際的な人の移動 にともなう問題から 多文化教育の実践が提唱 されている。その点から言えば、「外国人児童生 徒Jの教育支援は、専任教員を置くことだけに 留まらず、学校全体さらに日本の学校教育全体 の異文化に対する考え方を問い直す必要がある。

日本はさまざまな分野における多文化化が 進み、その対応が迫られている。教育において 多文化の視点から考えることは「外国人児童生 徒Jだけでなく、「日本人児童生徒jの多様化に 対して画一的になりがちな日本の学校教育に変 革をもたらす可能性をもっている。

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参照

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