自閉症児の視線に関する研究
ヒトの顔の表情に対する眼球運動の変化及び脳波の分析から
障害児教育専攻 小 谷 怜 奈
1 .問題と目的
ヒトは,相手の顔に浮かぶ謝育や視線の動き を手がかりに,相手の樹克意図,思考を推測 する。更に,こうした寸劇全の状態だけでなく,
他者の顔に対して好悪キ審美判断などの価値評 価を行ったり,他者のパーソナリティ明子動傾 向も推讃~jする。つまり,ヒトの顔は,個人を同 定する為の視覚情報であるだけでなく,コミュ ニケーションの媒体機告も果たしている。こう いった意味で,ヒトの顔を見てそれを認識する ことは,対人関係、を築く為の基材句認知課題の 一つであると言うことができるのかもしれなしL
自閉症児の発達kの問題点を医惚するにあた って,しばしばアイコンタクトヰ模倣瑚の有 無が挙げられるが,このことには,視覚情報の 脳内処掛、持織に関連していると予想される。
自閉症児が,健常児・者とは異なった情報処趨 系により,対人関係に関わる視覚情報を処還し ていることで,担会性の障害,コミュニケーシ ョンの障害,想創生の欠如及び常間的・特難句 な行動を示しているのであればj障害特性とし て潜在的な視覚情報処廻障害が含まれているの ではないかと示唆されている(後藤ら,2005)。
本研究では,自閉症児が円滑な対対湘互反 応に困難を示すことの背景に,どのような視覚 情報処漣過程が関与しているのか,ヒトの相会 性の発達と関車の深い,顔の表情束i搬に対する 眼球運動の変化及て期締支の分析から,健常児と 比較し,検証を行うことを目的とする。
日 研 究 方 法 (1)対象児
指導教員橋本俊顕
本研究では, Con位。1群と Autism群を設け た。内訳は次の通りである。
・ Con位。l群:10名(平均年齢:15.9歳)
• Autism群:18名(平均年齢:13.6
歳)
Autism群の能力は, WISC‑mによって調べ 本研究では,全検査IQ,言語性IQ,動作性IQのいす~かが 70 以上である者を対象とした。
(2)顔京轍画像
予め撮影した未知及て湾政日の人物の顔写真の 中から,基本的情動表情Happy.Surp鵠 ・ Angry. Sad ・Dお郡1st・の5種類と中立無謝育 Neu回 1の計6種類72枚を選出し,京i撒とし て用いた。
(3)
装置
刺激画像の提示と,眼球運動データの収集・
分析にはViewPoint Eye Tracker慨を,脳波の 測定にはブレインモニタ,データの管理・分析 にはEMS.2∞を用いた。電極の配置法には,1 10/20法を採用し, FPl・Fp2・01・02に配置し た。
(4)手続き
対象児には,
r
画面に出てくる人が,どんな顔 をしているか考えながら見ていてねjと指示じ,5移澗隔に1枚ずつ荊鍛画像を呈示したq 京搬 画 像 の 皇 示 頗 序 は , Neu回 l・ 地.ppy•
Surprise • Angry ・ Sad • D時 四tのカテゴリ‑
) 3
JIにランダムであった。‑218‑
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図2 Autism群平均注視パターン (3)顔車轍画像に対する脳波の変化
Control群は,全ての表{静l臓について,有 意に
8
波の発生頻度が高く,対象児本人が意識 しないレベルの思湾活動が行われているのに対 し, Autism群は,An
gry
表情を除いて, α波 と8波の発生頻度に有意な差が認められず,思 考活動レベルもボンヤリとした受動的鶴思状態 で、あった。(4)表情の判別課題
課題の正答率について2 対象児群×表情の2 要因分散分析を行ったところ,表情の主効果は 有意であったが,交互作用は認められなかった。
Co
n
位。1群J Au説
sm群ともに, Neu凶 1・ Happy • Surpriseの各表情と比較して,An
gry
• Sad • D均成の正答率が有意に低かっ た。Sd 州北i蜘平均
Sp A 掘の表情 H
80骨 60¥ 100%
40官 初首
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固有岡事側
また,表情事
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別課題を実施し,計測時に呈示 した窮撒画像が,どの表情に該当するかを問う た。対象児の手元には,表情パターンの線画図 形を配置し,口答又は線画の指差しで由答するよう教示L丸 (5)分析方法
娘球運動のデータ解析は東11激画像の呈示か ら2秒間分を抽出し,顔の各部分に対する視線 の平均停留時間から滋騨を算出して行った。
また,脳波デ}タは,同2秒間に,前頭前野部 より検出されたα波と8波の発生を中心として,
対象児の患湾活動レベノレの検討に用いた
ill.結果
(1)各対象児の 2秒間あたりの注視パターン
Co
n
位。1群, Au出自群ともに,対象児個人間 の顔に対する注視パターンの大きな違いが存在 することが明らかとなった。(2)表情の違いによる注視パターンの分析
Co
n
位。1群(図 1),Au也
m群(図2)とも に,表情の種類を関わず,自・鼻・口の!慣に注 視率が高かった。その際, Con位。1群はAutism 群に比べて, Neu回 1・Happy• Angry ・ Sad の各剥育束l般の自に対する注視時間が有意に長 かった。N.考察
本研究により得られた結果は,自閉症児が,
顔そ唆
f
曹を,健常兜・者とは異なった部分処週 で判断するという報告を支持するものであった 相手の表情を知覚・処濯し,内面的な状態を推?JJIする方略は,乳幼児期の母子関係により形成 されるものであると言われている。発達との問 題点として,アイコンタクトの欠落が指摘され る自閉症児においては,その獲得に困難があっ たのではないかと推測される。
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図1
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Control群平均注視パターン
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