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プレキャストユニットをPC鋼棒で緊結した自己復原型骨組の開発に関する実験研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)プレキャストユニットを P C 鋼棒で緊結した 自己復原型骨組の開発に関する実験研究 塩田 浩旦 はじめに L形ユニット. L形ユニット. 鋼製接合. 鋼製接合 十形ユニット. 鉄筋の配筋. ト形ユニット. 後施工コンクリート. H形鋼梁. 鋼管. ボルト接合. 鋼管. ( a ) 柱 S C - 梁 RC 骨組. ト形ユニット. ( b ) 柱 S C - 梁 S 骨組. 図 1 提案骨組の概要図 200. A. ト形ユニット. 4D19 D6@50 後施工コンクリート. 300. 30Φ みがき鋼棒. A'. 鋼製円筒ロードセル □-200×200×6. PL6mm 200 A-A'断面 B. □-200×200×6. D19. B' 十形ユニット. H-200×200×8×12. PL19mm D6@50 PC-13Φ 主筋定着用鋼板 PL19mm. 23Φダクト 無筋コンクリート. 300. 2 . 試験体  ここでは,本研究において行った,柱 S C - 梁 R C 骨組についてのみ示す.試験体は,2 0 0 5 年度と 2 0 0 6 年度に実験を行った 3 体で,この一覧を表 1 に 示す.  図 2 に S 0 6 試験体の立面図および配筋図を示す. この図では,左側半分が立面図,右側半分が配筋 図を示している.試験体のスパンは,柱の芯−芯 間距離で 1 6 0 0 m m とした.また,2 層とも梁の芯− 芯間距離を 1 1 0 0 m m としている.試験体は,柱梁接 合部にあたるト形,十形の 2 種類のユニットをプ レキャスト工法により製作し,これらを組み立て て完成させる.各ユニットは,幅 200mm,せい 300mm の R C 梁に,□ 2 0 0 × 2 0 0 × 6 の鋼管で横補強した 無筋コンクリート柱をとりつけることで作製して いる.鋼管と R C 梁の間は,1 0 m m のクリアランスを 設けており,鋼管は軸力を負担せず,柱の横補強 にのみ有効となるようにしている.上記のユニッ トを H - 2 0 0 × 2 0 0 × 8 × 1 2 の形鋼を介して径 1 3 m m の P C 鋼棒で緊結することにより柱を乾式接合す る . 接 合 用 の H 形 鋼 ユ ニ ッ ト に は , 面 外 補 剛の 鉛 直スチフナを設けている.P C 鋼棒は,柱に設置し た 4 本の管径約 2 3 m m のダクトを通して設置してお り,付着応力が作用しないようにしている.梁に は,8 本の D 1 9 を主筋として 2 段配筋し,D 6 をせん 断補強筋として 5 0 m m ピッチで配筋している.骨組 の端となる梁端部には,主筋を溶接して定着する ための 1 9 m m 厚の 鋼板 を 配置 している.梁は ,ユ. PC鋼棒. 十形ユニット. 1100.  鉄筋コンクリート構造(R C 構造)においては,ひ び割れ等の損傷や残留変形を制御することを目的 として,柱材の主筋をアンボンド化して,これら を 弾 性 に 留 め る 手 法 が 提 案 さ れ て い る 1 ). 当 研 究 室では,上記の柱を 用いた架 構の実用化 を目指し , 1 / 3 縮小 モデルの 骨組試験体 を作 製 し,地震時の 挙動について実験的に調べている.図 1 に提案す る骨組の概要図を示す.全ての柱は P C 鋼棒をアン ボンド配置した鋼管横補強無筋部材(S C 部材)で あり,セルフセンタリング機能を有する.図 1 ( a ) の梁は,鉄筋コンクリート造(R C 造),( b ) の梁は, 鉄骨造(S 造)となっている .  これらの提案骨組において,2 0 0 5 年度には 2 層 1 スパンの柱 S C - 梁 R C 骨組を 2 体,2 0 0 6 年度には 2 層 3 スパンの柱 S C - 梁 R C 骨組を 1 体作製し実験 を行った.さらに,2 0 0 8 年度には,柱 S C - 梁 S 骨 組の 十 形 試 験 体 3 体 を 作 製 し 実 験 を 行 っ た .. 1100. 1.. PC鋼棒. B-B'断面. 800. 1600. 1600. 図 2 S 0 6 試験体の立面図および配筋図 表 1 試験体一覧 実施年 2005 2006. 試験体 S05- 1 S05- 2 S06. 層数 2 2 2. スパン 1 1 3. T形ユニット 十形ユニット 接合部補強 梁の打ち継ぎ 0 0 ○ × 4 2 × ○ 8 4 × ○. 表 2 鋼材の機械的性質 鋼材の種類 □200×200×6 (S05) □200×200×6 (S06) D19 (S05) D19 (S06) D6 (S05) D6 (S06) H200×200×8×12 13φ. 降伏強度 引張強度 ヤング係数 降伏比 (MPa) ( MPa) (GPa). 規格. 伸び (%). 405. 479. 192. 0.846. 29.1. 397. 474. 205. 0.838. 34.3. 381 394 317 333 325 306 1243. 566 548 527 503 458 464 1288. 178 173 184 177 207 204 192. 0.673 0.719 0.602 0.661 0.667 0.701 0.965. 17.1 16.8 13.6 15.1 41.8 37.3 11.0. STKR400. SD345 SD295 flange web. SS400 PC. ニットから出した主筋を溶接接合した後に後施工 コンクリートを流し込み湿式接合する.S 0 5 - 1 試験 体は,各層の梁を一体的に作製し,柱・梁接合部 パネル部分を 2 枚の鋼板と 4 本の P C 鋼棒で外部拘 束した試験体である.一方,S 0 5 - 2 試験体は,梁ユ ニットを湿式接合した試験体で,提案する工法に より作製した試験体である.なお,後述するよう に,柱・梁接合パネル部分の外部拘束補強の影響 は殆ど無かったことから,補強詳細については省 略する.S 0 6 試験体は,S 0 5 - 2 試験体のプレキャス トユニットを増やすことで,スパン数を 1 スパン. 60-1.

(2) 表3. コンクリートの強度および調合一覧. シリンダー 水セメント 強度 呼び強度 比 細骨材率 (MPa) (MPa) (%) (%) S05 ユニット製作用 S05  梁の接合用 S06 ユニット製作用 S06  梁の接合用. 32.9 45.8 38.4 32.1. 27 27 24 30. 54 54 57 49. スランプ (cm). エアー (%). 20 20 18.5 19. 2.9 2.9 4.5 3.2. 48 48 46 46. 単位重量 (kg/ m3) 水 189 189 189 190. セメント 350 ※ 350 332 388. 細骨材 804 804 828 758. 粗骨材 923 923 915 937. 混和材 3.5 3.5 3.32 3.88. ※ 早強コンクリートを使用. から 3 スパンにした試験体である.S 0 5 - 2 試験体と と S 0 6 試験体は,ユニットのプレキャスト化と柱 の乾式接合法を採用していることから,施工,解 体のコストを下げることが可能である.また,ユ ニットを増やすことで容易に層数とスパン数を増 やすことができる.  使用した鋼材の機械的性質を表 2 に示す.鋼管と H 形鋼は , それぞれ市販の STKR400 と SS400 である. D 1 9 と D 6 は,それぞれ S D 3 4 5 と S D 2 9 5 である.ま た,P C 鋼棒の降伏強度は 1 2 4 3 M P a であり,普通鋼 のそれの3倍以上のものを使用した.コンクリー トの強度および調合の一覧を表 3 に示す.2 0 0 5 年 度の実験では,ユニット製作用のコンクリートの シリンダー強度は 3 2 . 9 M P a であった.なお,ユニッ ト接合用の後打ちコンクリートはユニット製作用 と同じ調合で,セメントのみを普通から早強に変 更したものであり,シリンダー強度は 4 5 . 8 M P a で あった.2 0 0 6 年度の実験のシリンダー強度は,ユ ニットの製作用で 3 8 . 4 M P a ,梁の接合用で 3 2 . 1 M P a となった.後者のほうが富調合にもかかわらず前 者の強度を下回った理由は,前者のほうが 6 週間程 材 齢 が 長 か っ た た め と 考 え ら れ る. 3 . 実験概要  加力は,柱頭部に圧縮力を導入し,これを一定 に保持した状態で,正負交番繰返し水平力を載荷 した.骨組に作用させる水平力は 2 層の梁のみと している.S 0 5 試験体は,導入軸力 4 3 8 k N で,2 本 の柱に同じ軸力を載荷している.一方で,S 0 6 試験 体は,より現実的な建物を模擬するために,導入 600kN. ball. S. N. roller Iビーム 28.9kN. A pin-roller. H鋼 2.55kN 3 : 2. 127kN. pin pin 190kN. 190kN. B H鋼 2.55kN 2 : 3. pin-roller 127kN. 107kN. 92.4kN. 105kN. 107kN. 100kN. 106kN. 99.7kN. 106kN. 101kN. 101kN. 108kN. B D PC4本の軸力 111kN. A C ・ ball   面内面外回転可. ・ pin-roller        . ・ roller  面内水平移動可. ・ pin      面内面外回転可. 図3. 面内回転 面内水平移動可. トーナメント載荷の概要. 軸力 6 0 0 k N を 3 つの加力ビームを用いて,図 3 のよ うなトーナント形式で載荷した.図 3 の装置の接 合点は,図に示すような 4 通りの支持条件を組み 合わせることで,加力ビームと試験体相互の拘束 を解消している.試験体直上の加力梁は,試験体 スパンを 3 : 2 に分割する点で,上部の加力梁を支 持しており,側柱と中柱の軸力の違いを模擬して いる.また,この図には,柱の接合に使用した 4 本 の P C 鋼棒に導入した初期張力の合計も示してい る.図中の記号 A , B , C , D は,次節の実験結果の考 察の際に参照 する P C 鋼棒の位置を 示している. 4 . 実験結果  図 4 に,実験より得られた荷重−変形関係を示 す.これらの図の横軸は,層間変形角 R で,縦軸は 水平力 Q である.図中に破線で示しているのは,骨 組が R = 2 / 1 0 0 r a d 時に達したときの耐力であり, S05-1 試験体では 174kN ,S05-2 試験体では 165kN , S06 試験体では 320kN となった.S05-1 試験体と S052 試験体を比較すると,実験挙動に大きな差は見ら れない.即ち,S 0 5 - 2 試験体の,梁の湿式接合によ る打ち継ぎ部や,補強をしていない柱・梁接合部パ ネルは健全であったことが分かる.S 0 6 試験体はス パン数が多いため,S 0 5 試験体よりも大きな耐力を 発揮している.各サイクルにおける最大耐力は層 間変形角の増加に合わせて漸増している.水平変 形が大きくなると柱端部のひび割れ幅が大きくな り,P C 鋼棒の引張力が大きくなる.その結果,コ ンクリートの軸力が増えて最大水平耐力が増すと いう現象が見てとれる.S 0 6 試験体は,耐力時の変 形も S 0 5 試験体に比して大きい.これは,S 0 6 試験 体の方が試験機と P C 鋼棒によって導入した柱の初 期軸力が小さいためである.水平耐力を早期に発 揮させるためには,柱の初期軸力を大きくするこ とが有効であることが分かる.  図 4 より,全ての試験体において,耐力低下のな い安定した挙動が得られていることが分かる.ま た,原点指向型の履歴特性を示し,Q が 0 となった 時の残留変形角 Rr は経験層間変形角 R0 よりも小さ い値に留まっており,計画したとおりのセルフセ ンタリング効果が期待できる.セルフセンタリン グ効果をより詳しく検討するために,Rr − R0 関係を 図 5 に示す.図中の○は S 0 5 - 1 ,△は S 0 5 - 2 ,■は S 0 6 試験体 の実験結果 である.点線および 実線は. 60-2.

(3) 200. 200. 200. 100 0 -100 -200 -300. 100 0 -100 -200 -300. -4. -3. -2. -1. 0. 1. 2. 3. 4. 残留変形角 Rr (1/100rad). 300. 水平力 Q (kN). 300. 水平力 Q (kN). 水平力 Q (kN). 0.40 300. 100 0 -100 -200 -300. -4. -3. -2. 層間変形角 R (1/100rad). -1. 0. 1. 2. 3. 4. -4. -3. 層間変形角 R (1/100rad). (a) S05-1. -2. -1. 0. 1. 2. 3. 4. S05-1 S05-2 S06. 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00 0.0. 0.50. (b) S05-2. 1.0. 1.5. (c) S06. 60. 60. 張力 (kN). 張力 (kN). 80. 40 20 0. 4. 水 平 耐 力の 簡 易 算 定 法  水平耐力を推定するための力学モデルを図 7 に 示す.図に示すように,柱には P C 鋼棒が貫通して N0 N0 TT0. TT1. TC0. 柱 梁. H=H. PC 0 C 0. PC鋼棒. 中立軸. εTT. εTC. 引張側PCの位置. 20. PC -40. A. -3. -2. -20. B. -1. 0. 1. 層間変形角 R (1/100rad). 2. 3. -40. C. -3. D. -2. Xn. 圧縮側PCの位置. 40. 0. -20. l. コンクリート断面せい -1. 0. 1. 2. 3.5. これは,R が正の変形の場合は,梁からのせん断力 によって柱に引張力が作用するが,R が負の変形の 場合は,梁からのせん断力によって柱に圧縮力が 作用するためである.これと同じ理由で,B と D に お い て R が 正 の 変 形 時 の 方 が , 負 の 変 形 時よ り も 張力が大きい.A の場合の,張力の最大値は 8 4 . 0 k N であり,降伏強度のおよそ 5 0 %に収まっている. 一方で,B と D における引張力の最大値はそれぞれ 5 8 . 7 k N と 6 0 . 3 k N であり,降伏強度との比は,それ ぞれ 3 4 %と 3 5 %となった.このようにして張力を 調べた結果,全ての P C 鋼棒は実験終了時まで弾性 を維持していることが確認できた.最大変形時に おける B と D の PC 鋼棒の張力は,鉛直加重時の 25kN から 6 0 k N に増加しており,柱の軸力比は 0 . 1 8 か ら 0 . 2 8 となる.このように,水平変形に伴う柱軸 力の増加によってコンクリートの曲げ抵抗力を増 すメカニズムとなっている.A , B , C , D 全ての P C 鋼 棒についての挙動を見ると,繰り返し回数の増加 に伴い張力が漸減するものの,R = 2 / 1 0 0 r a d 時まで P C 鋼棒は張力を保持し,当初計画していたセルフ センタリング効果が実験終了時まで有効に機能し たと考えられる. . (a) 変形図 80. 3.0. 経験層間変形角 R 0 関係. ○,△,■の回帰曲線を示している.S 0 5 - 1 ,S 0 5 2 試験体については,R = 2 / 1 0 0 r a d 時までは,Rr の平 均は R0 の平均の 1 割以下になっており,想定した とおりの骨組の構造性能を得ることができた.一 方で,R = 2 / 1 0 0 r a d を超えると残留変形は増加傾向 となり,大変形時にはセルフセンタリング効果が やや減少することが分かった.実線と点線を比較 すると実線は点線を若干下回っている.これは,軸 力比が小さくかつ軸力変動の少ない中柱を有する S 0 6 試験体の方が,セルフセンタリング効果がより 有効に機能したものと推察できる.  P C 鋼棒の張力の遷移状況を図 6 に示す.図の記 号 A , B , C , D は,図 3 において処女載荷時に引張と なる側柱に配置された P C 鋼棒の位置で,当該部分 に配置された1本の P C 鋼棒の張力と層間変形角 R との関係が図 6 に示されている.A と B は,柱の左 側に配置された下層部,中層部の P C 鋼棒の挙動を 表している.C と D は,柱の右側に配置された下層 部,中層部の P C 鋼棒の挙動を表している.A は,処 女載荷時においては張力が増すが,逆の変形にお いては張力が減少する.C は,A と逆の傾向となる. これは,A が断面における引張側に,C が断面にお ける圧縮側 に配置されているためである .従って, 両者の張力 の差分が 柱の曲げ耐 力に寄与 している. 一方で,中層に配置された,B と D は,正側と負側 でほぼ対称な挙動が得られている.これは,中層 の P C 鋼棒は,1 層柱の上部と 2 層柱の下部を貫通 しているためで,柱全体の伸びによって負担引張 力が増加している.本試験体では,1 層と 2 層の柱 がほぼ同様の変形をするため,B と D の張力はほぼ 等しい.即ち,中層部においては,P C 鋼棒は曲げ モーメントを負担せず,柱の軸力を増加させる働 きによって,コンクリート部分の曲げ耐力に寄与 している.  A と C を比較すると,A の方が最大張力が大きい. 100. 2.5. 図 5 残留変形角 R r −. 図 4 荷重−変形関係. 100. 2.0. 経験層間変形角 R0 (1/100rad). 層間変形角 R (1/100rad). 3. ( b ) 断面のひずみ分布. 層間変形角 R (1/100rad). 図 6 P C 軸力の変遷. 図 7 モデル図. 60-3. TC1.

(4) 始め 入力 TT0,TC0,N0. 220kN Qb (kN) 49.7. 初期状態 PCH0,CH0 Mc. 中心軸ひずみPCεgの仮定. 127kN. 220kN. 167kN. 断面重心での引張軸力Tgを求め, 引張側のPC軸力TT1を求める TT1=Tg+(TT-TC)/2. 190kN Qb (kN) 48.1. 190kN Qb (kN) 49.8. 127kN Qb (kN) 49.6. Mc. 334kN Qc (kN)Qb (kN) Qc (kN) Nc 87.2 75.8 Nc 88.6 Mc Mc Mc Mc. Qc (kN) 82.9. 332kN Qc (kN) Nc 89.6 Mc. Qc (kN) 76.5. 164kN. 圧縮側のPC鋼棒の引張軸力を求める TT1-TC1=APC×SE×PCl×R/PCH0. Qc (kN) Nc 83.8 Mc. 中立軸を計算する Xn=CN/b/CσCB. (a) S05. Qb (kN) 73.1. Qc (kN) 88.4. Qb (kN) 77.2. Qc (kN) 88.1. Qc (kN) 88.5. Qc (kN) 88.4. Qb (kN) 77.7. Qc (kN) 87.1. Qc (kN) 91.7. (c) S06 図 9 骨組の耐力. 断面の重心における伸び⊿gを求める ⊿g=(D/2-Xn)×R. いる.この構造体は 柱端部の曲げモー 中心軸ひずみ ε を求める ε =⊿g / H メントを算定する ことで架構の水平 NO | ε - ε |≦e (e>0) 耐力を得ることが YES できるが,通常の R C 終り 柱と異なり,P C 鋼棒 図 8 フローチャート に付着力が作用し ないため,コンクリートと P C 鋼棒の応力負担を独 立に考える必要がある.図 7 の部材の水平耐力の 算定 フ ロ ーを 図 8 に示 す.  まず,鉛直軸力 N 0 と P C 鋼棒の初期張力 TT 0 ,TC 0 が作用している状態での P C 鋼棒の長さ PC H 0 とコン ク リ ー ト要 素 の 長 さ C H 0 を 求 め る . 次 に 層 間 変 形 角 R が発生した 時における 中心軸ひずみ PC ε g を仮 定し,TT 1 を求める.これにより TC1 の値を求め,中 立軸深さ X n とコンクリート断面の重心における鉛 直方向変位 Δg が得られる.Δg を考慮した上で,重 心位置での鉛直ひずみ PC ε g1 を求め, PC ε g1 − PC ε g ≤ e ( e ≥ 0 ,e は収束判定値)を満たすように 収束計算 を行う.このようにして,層間変形角 R に対応する 水平力を求めることができる.  図 6 ,図 7 中の記号の意味は,以下の通りである. TT : 引張側の P C 張力 TC : 圧縮側の P C 張力 APC : P C 鋼棒の断面積 : P C 鋼棒のヤング係数 SE l : P C 間距離 PC : コンクリート耐力 CN σ 鋼管で横補強されたコンクリート強度 C CB : : 断面のコンクリート幅 b : 断面のコンクリートせい D ε TT : 引張側 P C 鋼棒のひずみ ε TC : 圧縮側 P C 鋼棒のひずみ PC. PC. PC. g1 PC. g1. g1. 1 PC 0. g.  上記の計算を架構に拡張した場合の水平耐力の 算定結果を図 9 に示す.( a ) に S 0 5 試験体の R = 2 / 1 0 0 r a d 時の耐力の算定結果を示す.N c ⋅ Qc ⋅ M c は, 柱の軸力・せん断力・曲げモーメントで,Qb は梁の せん断力である.図の Qc より,軸力 N と変形角 R. 1 層は 1 6 4 k N ,2 層は 1 6 7 k N となった.実際に載荷 した水平力は,S 0 5 - 1 試験体で 1 7 4 k N ,S 0 5 - 2 試験 体で 1 6 5 k N であり,S 0 5 - 1 試験体においては誤差 6% 未満,S 0 5 - 2 試験体においては誤差 2 % 未満で評価 できることが分かった.  図 9(b)は,S06 試験体の R =2/100rad 時の耐力の 算 定 結 果 で あ る . こ の 図 に は Qc ⋅ Qb の み 示 し て い る.各層の水平耐力は,上記と同様 の計算により, 1 層は 332kN,2 層は 334kN という値が得られた.こ れらの計算結果は,載荷した水平力 3 2 0 k N に比し て 5 % 未満の誤差となった.S 0 5 ,S 0 6 試験体ともに 実験結果と計算結果の対応は良好で,ここで示し た簡易な計算方法により,提案骨組の水平耐力を 精度よく評価できることが分かった. 5 . 結論  本研究において得 られた知見 を以下に 列挙する. 1 ) プレキャスト部材の柱を P C 鋼棒で乾式接合し, 梁を 後 施 工 コ ン ク リ ー ト で 湿 式 接 合 す る 施工法 によって,骨組試験体を 計 画 し た と お り に 製 作 することができた. 2 ) 一定軸力下に お け る 繰 り 返 し 水 平 加 力 実 験 の結 果,提案骨組は ,耐力低下の な い 安 定 し た 挙 動 を示 し た .また ,復元力特性は ,原点指向型と なり,残留変形が小さいレベルに留まった. 3 ) 層間変形角が 2 / 1 0 0 r a d 以下の場合,残留変形 は最大変形の 1 割未満に収まる結果となった. これは,当初計画し た セ ル フ セ ン タ リ ン グ 効 果 が有効に機能したといえる. 4 ) 柱の 変 形 性 状 を 幾 何 的 に 模 式 化 す る こ と で ,高 強度主筋に 発 生 す る 引 張 力 を 算 定 し ,骨組 の 水 平耐力を精度よく計算することができる.即 ち,簡便 な 方 法 で 本 骨 組 の 保 有 水 平 耐 力 の 算 定 が可能なことが分かった.  《 参 考 文 献 》 1)江崎文也,田中睦,小野正行,河本裕行:塑性 時での残留変形を少なくする R C 柱の履歴性状に 関する研究(その 1 ∼その 2 ),日本建築学会大 会学術講演梗概集,pp.337-340,2004.8.. の効果を差 し引いて ,各層の水平耐力を求 めると,. 60-4.

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