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看護基礎教育 におけ る地域看護実習の検討 一実習記銀 に よる分析一

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(1)

同大医短紀要, 5:9‑15,1994 Bull.Sch.HealthS°i.OkayamaUniv.

(原 著)

看護基礎教育 におけ る地域看護実習の検討 一実習記銀 に よる分析一

小野ツル コ 太 田武夫 前 田真紀子 高畑晴美

要 約

地域看護実習は,地域 におけ る看護 の役割 を理解す るこ とを主 なね らい として,保健所 で実 習 を行 っ ているが,保健所実 習が地域看護実 習の 目標 を達成 してい るか否か を,学生 の実習記録 を分析 し検討 し た。

8 0%

以上 の学生が体験 している実習 内容 は,家庭訪 問,集 団検 診,共 同作業所,健康相談等 である。

実習 目標 の記載状況 は 「実習項 目別実 習記録」及 び実習全体 の ま とめ 「絵括」 の記載 内容 か ら抽 出 し分 析 した。

目標記載率

7 0%

以上 あった実 習項 目は,実 習 目標① (地域 の人々の生活及 び健康 問題 の理解) は共 同 作業所, グループ指導,家庭訪問であ り, 目標② (保健 サー ビスの実 態の理解) では家庭訪 問であった。

また 「総括」 では 目標② の記載率 が高 く, 目標③ (地域 の看護活動 の実態 を学ぶ) の記載率 は

6 7%

と予 測 に反 して高 くなか った。

今後地域看護,継続看護 に関す る講義 のあ り方 を含めて,地域看護実 習の位 置づ け を再検討す る必要 があ る。

キー ワー ド :地域看護実習,保健所実 習,実 習 目標,看護基礎教育課程

は じ め に

平成2年 に看護婦等学校養成所指定規則の教育 課程が改正 され, これに よ り看護婦教育課程 のな かの保健所実習の規定が な くなった。 それに変 わ るもの として,看護婦養成所 の運営 に関す る教 育 実施上 の留意事項 として,保健,福祉 との連携並 びに継続看護 を理解 させ るため 「臨床実 習」の場 として,保健所,保育所,乳幼児施設,母子健康 センター,学校,事業所及び社会福祉施設等 を適 宜含め るこ とが望 ま しいこ と1)が規定 され た。

この こ とは看護 の視点が,従来の健康 障害者の 看護か ら,健康者 も含め た看護‑ シフ トした結果 であ るといえるoす なわち看護 の概 念の拡大 とと もに,対象者 を地域 で生活 してい る人間 を前提 に した構 えに変化 させ たこ とを意味 してい る。

岡山大学医療技術短期大学部看護学科

当校 では, カ リキュ ラム改正前か ら地域看護実 習は45時間 (1週 間) を岡山県下の保健所 におい て実 習 を行 ってお り, カ リキュ ラム改正後 も同 じ ように継続 してい る。 この地域看護実習の 目的は,

「地域社会 の人々の健康状態,生活の しか た,坐 活環境 を観察す る と共 に,地域保健 の仕組 み を学 び,健康 のあ らゆ るレベ ルの人々 に対 して果 たす 看護 の役割 を考 える能力 を学習す る」 2)3)こ とであ り,更 に実 習 目標 を表1の ようにあげてい る。 し か し,高齢化社会 の到来 に向けて,地域 におけ る 保健 ・福祉体制 の再編成が行 われてい るなか,改 正 カ リキュラムのね らい とす る継続看護 の学習が, 保健所 の実習 で十分 か どうか再検討す るこ とが必 要 となって きた。

そこで基礎看護教育課程 におけ る地域看護実 習

(2)

1 地域看護実習の目標

① 地域の人々の健康状況,生活のしかた生活環境を 理解するo

② 地域の人々への保健サービスの実態を保健所の磯 能を通して理解する○

③ 保健サービスの中で行われている看護活動の実態 を学ぶo

④ 保健医療関係者の施設及び従事者の役割を理解し,

のあ り方 を見直す資料 として, カ リキュラム改正 後 の地域看護実 習内容 が,地域看護実習の 目的 ・

目標 に合致 してい るのか どうか, につ いて検討 し たい と以下 の研究 を行 った。

対 象 と 方 法

平成4年度 (以下 4期生 と呼称)・5年度 (以下

5

期生 と呼称) に行 った地域看護実 習の,学生の 実習記録 の記述 内容 を分・析対象 とした0分析方法 は,学生 の実 習記録 に記載 されてい る内容 の中か ら,実 習 目標 の①②(卦④各項に関す る記載 の有無 を,教員

3

人が別々に判読 した。 そ して読み とっ た ものの うち,教員の2人 あるいは 3人が一致 し た もの を記載 あ りとカウン トした。 なお検討材料 に した実習記雀剥ま, 「実 習項 目別実習記録」と 「総 括記額」 である。

地域看護 実習の概要

実習に行 く保健所が決 まるまでには, まず各看 護学校が実習保健所希望調べ を県 (環境保健部)

‑提 出す る。 当校 は希望調べ を出す時点で,学生 の出身地 をみて県内出身者 は 自宅か ら通 える保健 所 を,県外学生 は岡山か ら通学可能範囲 (片道

1

時間程度)の保健所 に行 け るように希望 してい る。

県の方では岡山県下

2 2

校 の看護学校 の希望 を とり まとめて,県下17保健所1支所へ の学生配置計画 を立て る。

実 習は岡山県環境保健部監修, 岡山県看護学校 教務主任会編集の 「岡山県看護学生保健所実習 テ キス ト」4)に沿 ってすすめ られ るが,学校 固有 の実 習 目的 ・目標 も堤示 してい る。実習期 間は

1

週 間 で,実習に行 く前 にそれ ぞれの保健所 で,集 中オ

リエ ンテ‑ シ ョンが行 われ る。集 中オ リエ ンンテ

‑ シ ョンはそこの保健所 で実 習す る学生 に対 して, 保健所全体 の機能 を説明す るもので, 4月 9月の

2

回実施 されてい る。

当校 は前述のテキス トをふ まえた上 に, 当校 の 実 習 目的 ・目標 を説明 して,学生 を

2 0

人ずつ

4

回 に分 けて保健所 に出 している

。 4

期生

, 5

期生 の 実 習保健所,実 習時期,学生数 は表

2, 3

の通 り であ る。

2 保健所別の実習学生数

保健所名 保健所型 4期生 5期生 計 岡山環境保健所 UR1 19人 15人 34人 西大寺地域保健所 R4 16 8 24 瀬戸地域保健所 L5 6 3 9 東備環境保健所 R5 2 6 8

玉野地域保健所 R4 2 2

倉敷環境保健所 U1 12 18 30 稔社地域保健所 R4 8 10 18 倉敷西地域保健所 R4 4 3 7 井笠環境保健所 R3 9 9 18 高梁環境保健所 L5 2 1 3

阿新環境保健所 L5 2 2

津山環境保健所 R3 1 1

3 保健所美智の実施時期

1 2 3 4 4期生5月18‑22日7月6‑ lo員 9月7‑11日 12月7‑11日 5期生5月17‑21日5月3ト6月25日6月21‑25日11月22‑26日

結 果

分析 した実習記銀 は4期生78人(97.5% ), 5期 生74人 (97.4% )で,保健所 の型別 の実 習学生数 をみ る と,半数 が農村型

( R

型)保健所 で

,4 0%

が都 市型 (U型)・中間型 (UR塾)保健所 で実 習 を行 ってお り, ほ とん どが 岡山市,倉敷市 を中心 とした県南部 で実習 をしてい る事 になる。

保健所 におけ る実 習体験項 目は表4の通 りで, 最 も多いのは家庭訪 問で, 4期生・5期生合 わせ

‑ 1 0‑

(3)

地域看護実 習 の検 討

表4 保健所 実習 におけ る体験 実 習項 目 4期 生(78人)5期生(74人) 計(152人) 集 団検 診 75人(113回) 66人(103回) 141人(216回) 健康相談 64 (98) 48 (65) 112 (163) 家庭訪 問 77 (77) 67 (67) 144 (144) 共 同作業所 67 (67) 56 (56) 123 (123) グルー70指導 37 (43) 24 (24) 61 (67) 学級活動 24 (24) 27 (36) 51 (60) 衛 生教育 21 (21) 26 (29) 47 (50) 地 区組織 20 (20) 6 (6) 26 (26) その他 10 (10) 20 (20) 30 (30)

( ) は延べ 回数

てて152人中144人 (94.7% )が保健婦の家庭訪問 に同行 させ て もらっている。家庭訪問の対象は, 精神障害者 (73件),新生児訪問等小児 (59件), 結核患者 (17件),要介護老人 (12件),難病等そ の他 (5件)延べ166件 である。

次に多いのが乳幼児

, 3

才児

, 1

6

ヶ月児等 の健康診査 をは じめ とす る住民検診 など集団検診 で, 141人の学生が延べ216回体験 している。 3番 目が,地域の精神障害者が作業療法 として行 って いる作業 を一緒に しなが ら,精神 障害者の方の生 活の一端にふれ る共同作業所 での実習である。 こ れは123人 (80.9%)が体験 している。

4

番 目が保健所 におけ る一般叉は乳幼児の ク リ ニ ックであ り, 73.3%の学生が実習 している。以 下精神障害者の患者会 ・家族会等のグループ指導

‑の参加,母親学級,成人病予防の為 の肥満教室 等継続 した学級活動‑の参加,健康づ くりを目的 とした衛生教育の見学,地域の保健活動 をしてい る愛育委員会の総会行事‑の参加, その他保健所 管内の保健婦会,連絡会 の見学等の実習 をしてい

る。

4

期生 と

5

期生間の違 い,及び実習時期 による 大 きな違いはないが,体験 した1人平均 の実習体 験回数が

4

期生は6.1回であるのに対 して

,5

期生 は5.5回 とやや少 ない。実習時期別 では5期生の

1 1

いるこ とは注 目したい。

実習 目標の記載状況 を実習項 目別実習記録か ら 見 たが,実習項 目別記轟用紙は 「実習項 目」,「実 習概要」,「実習場面」,「実施 したこと ・見学 した こと」 と, それ らを通 して 「考 えたこと ・学習 し たこと」 を記載 で きるようになっている。 この中 の 「考 えたこ と ・学習 したこ と」の中の実習 目標 に関連 した記載の有無 を読み とった。 その記載状 況は表

5

の通 りである。

表5 実習項 目別 且榛 の記載状況

実 習項 目 目標G) 目標② 目標③ 目標④ 集団検診N‑216 120(55.6)116(53.7)1(0.5)ll(5.1) 健康相談N=163 68(41.7) 64(39.3)1(0.6) 5(3.1) 家庭訪問N‑144 110(76.4)103(71.5)8(5.6)14(9.7) 共同作業所N=123 107(87.0) 53(43.1)0 16(13.0) グループ指導N=67 53(79.1) 32(47.8)0 2(3.0) 学級活動N‑60 38(63,3) 41(68.3)1(1.7) 2(3,3) 衛 生教 育N‑50 17(34.0) 23(46.0)1(2.0) 0 地 区組織N‑26 6(23.1) ll(42.3)0 12(46.2)

N‑実 習体 験 回数 (%)

「地域 の人々 を理解す る」とい う目標(むの記載率 が高いのは,共同作業所(87.0% ), グループ指導 (79.1%),家庭訪問(76.4% )であ り, 目標(卦「保 健所の機能 を通 して保健サー ビスを理解す る」の 記載率 は家庭訪問,学級活動 で高い。 目標③ 「看 護活動の実態 を学ぶ」は, どの実習場面で も記載 率 は低 い。 目標④ 「保健医療関係者 との連絡協調 の重要性 を学ぶ」は,愛育委具合 など地区組織育 成 (46.2%), その他管内保健婦研究会 (40.0%) 等の見学や参加時の記載の中に,他 の実習体験に 比較 して多 く見 られ る。

実習体験者の最 も多い集団検診の 目標記載率 は 目標①が55.6%,目標②53.7%,目標④5̲1%,目 標(卦0.5%で 目標(卦・④ はほ とん ど記載がないに等

しい。 2番 目に多い健康相談の 目標記載率 は 目標 (丑が41.7%, 目標②39.3%,で集団検診 よ りも低 い

0 3

番 目の家庭訪問の 目標の記載率 は 目標①が

(4)

表6 総括欄 の 且標記載状況

学生数 口倍Lfl 目標② 目標③ 目標④ 4期 生 78人 45(57.7) 75(96.2) 53(67.9)31(39.7) 5期 生 74人 34(45.9) 51(68.9) 49(66.2)20(27.0)

人数 (%)

1

週間の地域看護実習の 「総括記録」用紙は 自 由記載 である。総括記録の 目標記載状況は表6の 通 りで, 目標② (保健サー ビスの理解)の記載率 が一番高い.二番 目が 目標③, (看護活動の実態) であ り

, 3

番 目が 目標① (地域の人々の理解)で,

4番 目が 目標④ (関係職種 の連絡協調)である。

これ を実習の時期別 に実習の前期 と後期 にわけて 見 ると表7の通 りで,看護実習のすすんだ実習後 期 の方の学生が,全体 に 目標の記載率が高い。 ま た実習保健所の型別 に も目標記載率 を見たが大 き な差はなかった。

表7 前期後期別 の 目標 記載状況

目標1 目標2 目標3 H惇 寸 前期N‑113 54(47.8) 91(90.5) 75(66.4) 31(27.4) 後期N‑ 39 25(64.1) 35(89.7) 27(69.2) 20(51.3)

N‑人数 (%)

考 察

1)岡山県におけ る保健所実習の概況

看護婦養成所の教育課程改正のね らいは保健 医 療 に対す る社会のニー ズに応えるものであ り,ゆ とりのある教育が強調 されている。 また高齢化社 会に対応 して継続看護,在宅看護に も目が向け ら れ る事が期待 されているとともに,健康教育,疾 病予防, リ‑ ビ リテ‑ ション, ター ミナルケアな ど包括医療 も重視 され,チーム医療が進め られ る ような教育 を志向 している5)0

改正 カ リキュラムの地域看護学は継続看護,衣 宅看護 を中心に個人,家族,社会 の広が りの中で 看護が とらえられ ることが求め られてお り, これ らの学習が可能 であれば,地域看護実習は必ず し も保健所 で行 な う必要はない。すなわち継続看護,

在宅看護の学習は, それぞれの学校 の 自由裁量 と されている。

岡山県には看護婦養成課程が24校 (平成5年現 衣)あ り, その うち22校 (約1060人)が保健所で 実習 を行 っている。看護婦養成所が県南部 に集中 しているこ とか ら,学校独 自で実習場所 を開拓 し ようとす ると,県南部 で競合す る事が予測 され, 県の調整 に頼 らざるを得 ないo 岡山県看護学校教 務主任会資料 によると,保健所 で実習 している22 校 の実習科 目名 は 「保健所実習」 としている学校

1 4

校,「地域看護実習

」 3

校,「老人 ・成人看護 実習

」 2

校,「基礎看護実習

」 1

校 である。

今後

4

年制看護教育機関の増設,新 たな看護婦 養成所の設置が見込 まれてお り看護学生が増加す る。一方平成

5

年度 よ り岡山市が政令市になった 事か ら, 岡山市独 自の保健活動が予測 され る。 ま た訪問看護 ステー ションな ど,民間の在宅ケアの 活動 も活発化 してお り,新 たな保健福祉 の枠組み をふ まえて,将来的に地域看護実習の進め方の工 夫が求め られ る。

2.

実習 目標記載率か らみた実習内容

地域看護実習が 目的 ・目標 に沿 っているのか否 か, またその 目標か らみて実習内容が妥当な もの と言えるか どうか を検討 した。 その方法 として学 生の書 いた実習記銀 の分析 を試みた。

実習記錦 は実習の成果 として記録 され るもので あ り,強 く印象づ け られた ものが記載 され る。記 載 内容 に実習 目標 に関連 した記轟がある事 は,実 習 目標がそれだけ意識化 され,体験内容 が意味 を もった もの として認識 された結果 と解釈 され る。

1)実習項 目別 の 目標記載状況

保健所実習で多 くの学生が体験 している実習は 集団検診,家庭訪 問で,90%以上の学生が体験 し ている。集団検診は体験者

1

人平均延べ

1. 5

回で, 体験 している実習 としては最 も多いが, 目標の記 載率 は家庭訪問の方が 目標①②③④のいずれ も高 い。 この ことは集団検診 よ りも,家庭訪 問の方が, 実習内容 として学生の学習意欲 の強い事 を表 して いる。他県の保健所側か らの保健所実習評価 で も, 学生のいちばん関心が高いのは,家庭訪 問である

‑ 12‑

(5)

地域看護実習の検討

と報告 されている6)。科 目担当者 として も,家庭訪 問は継続看護 を学ぶ場 として,学生全員 に体験 し て欲 しい実習内容 である。 しか し保健所保健婦の 家庭訪問回数 は年毎に減少 している7),8)なか,学生 の家庭訪問体験率が高い事 は,保健婦 さんの努力 の賜 であろう。 しか し地域保健法の制定 で,住民 直接サー ビスが市町村に移管 され ることか ら,煤 健所保健婦の家庭訪問はさらに減少す ることが推 測 され る。学生が

1 0 0%

家庭訪問できる実習場が求 め られ る。

実習 目標の記載が多い実習項 目を実習 目標毎 に 見 ると, 目標(彰の記載率 の高い実習は,共 同作業 顔, グループ指導等で

8 7%,8 6. 9%

と高率 である。

これは地域 における精神 障害者の作業療法や,精 神障害者の患者会,家族会‑の参加 であ り,精神 障害者の社会復帰の困難 さや,生活芙態の厳 しさ が,学生達 に強いインパ ク トを与 えている事 が伺 える。

愛育委月会等の地区組織に関連 した会合や催 し, 管内保健婦研究会の参加等の実習は, 目標④の関 係職種の連携,調整に関す るものの記載率が高い。

そこでは学生はほ とん どオブザーバー的に参加 し, 話 し合 いの内容や,討論の成 りゆ きを見ているだ けであると思われ るが,保健活動が多 くの職種 の 人の関わ りによって,運営 されていることを学習

しているようである。

目標③の保健サー ビスの中で行 われている看護 活動の実態に関す る記載 は どの実習項 目も低 い。

これは保健所事業 として行事 に参加す る事 になる ので,保健活動や それ を利用す る一般 の人々の方 に注意が向け られ,保健婦活動 に関心が向いてい ないか, あるいは看護職 としてその一部 に とけ込 んでいるか らではないか と考 えられ る。 いずれに して も地域看護の役割,意義が十分理解 されてい ないことは問題 である。

2

)実習捻括の 目標記載状況

1

週間の実習のまとめ として総括 を書 いている が, この中で最 も記載率が高いのは, 目標② の保 健サー ビスの実態の理解 である。家庭訪問に始 ま り,対象別 の集団検診,保健所 内外の健康相談,

訓練,健康増進車による衛生教育 など,新生児か ら,精神障害者,難病患者,老人 まで,幅広 い対 象に対す る多様 な対人保健サー ビス事業 に参加す ることによって, 多 くの ことを学んでいる。 そ し て,一般の人の健康への関心の浅 いこと,保健サ ー ビスの地味 さな ど,医療機関 とは異なる保健所 の機能に注 目している。

しか し最 も学習 して欲 しい 目標③の 「看護活動 の実態 を学ぶ」が

4

期生

, 5

期生 ともに低 い

( 6 7. 9

%

,6 6. 2%)

ことは,地域実習で学んで欲 しい継 続看護の重要性が,十分動機づ け されていない と 反省 させ られ る。当校 では地域看護学 あるいは継 続看護 としての講義は まとまって行 ってお らず, これ らの講義 は,公衆衛生,看護概論,成人看護 学総論,母性看護学総論,小児看護学級論,老人 看護学総論等, それぞれの担当教官に依存 してい

る。

実習前に学生が地域看護や,継続看護 をどの よ うに理解 しているか把握 していないが,学生 はそ れぞれの講義 で学んだ地域看護,継続看護,保健 の知識 を保健所の実習 を通 して統合す ることにな る。地域看護 に関す る目標記載率 の低 さは基礎 的 知識の不足に由来 しているのではないか と考 えら れ る。今後 は地域看護学 として科 目の開講が必要 であろう。

目標④ の関係職種 の連絡調整 を学ぶは,全体 に 記載率が低 いが,後期 に実習 した学生は前期 に実 習 した学生 に比較 して記載が多い。 これは看護実 習の進行 と共 に, また看護特論 な ど授業の成果 と

して,問題意識が深 くなった もの と解釈 され る。

3.

基礎看護教育課程 におけ る地域看護実習 当校 におけ る地域看護実習は,保健所 におけ る 保健活動 を通 して,地域の人々 を対象に した看護 の役割 を学習す る事 をね らいに している。 しか し 学生の保健所活動 に対す る認識 は薄 く,保健所 オ リエ ンテー シ ョンの感想文 には, ほ とん どの学生 が保健所 とは野犬狩 りを行 う所 と思 っていたが, 実 に多 くの仕事 をしている事 を知 って驚いた と書 いている。 これは公衆衛生や保健 に関す る授業 を 受けているのに, その知識 と保健所 の もつ機能が

(6)

結びついていないことを意味 している。

また実習記録 の中の 目標(丑②に関す る内容の記 載率 の高 さか ら,学生の関心は域看護実習のね ら い とす る看護の継続性の認観 よ りも,保健サー ビ スの実態や,地域で生活 している人々の理解 に向 け られてお り, まずは保健所の対人サー ビスをは じめ,環境保健 も含めて,人々の健康支援 システ ム等 を学ぶ ことが出来ていることは一つの成果 と 言えよう。

しか し高齢化社会 を迎 えて,地域看護の量 と質 の需要の増大が予測 されているところか ら,地域 看護実習の 目標 を,地域の人々の健康 問題や保健 活動の理解 に留 まらせ てはいけない。基礎看護教 育 として施設中心ではな く,人間に適応 させ るよ

うな,病気 中心 よ りも健康 を強調す るような教育 を主眼9)とす ることが必要であ るo

地域看護 の必要性が指摘 されなが ら,改正 カ リ キュラムでは地域看護学 を独立 させ ていない。 こ れは松野が看護基礎教育課程 に地域看護 を専攻す る教員の少 ないことを指摘 してい るように

1 0 )

,吹 正 カ リキュラムで地域看護学が立て られなかった のは,地域看護学 を教授す る専 門家の不足, ある いは実習場所の未開拓 な ど諸般の事情によるので はないか と考 えられ る

すでに基礎看護教育課程のい くつかの学校 は, カ リキュラム改正前か ら地域看護学教育に意欲的 に取 り組んでいる11)14)0

これ らの学校 はいずれ も保健所 におけ る実習の 他 に,独 自の実習の場 を開拓 し,入院患者の退院 後の家庭訪問,医療施設外 での実践能力の基礎づ りり,寝たき り老人の訪問, 自宅療養患者の訪問 看護 を行 っている。

ともあれ地 域看護学は学校 の 自由裁量に任せ ら れているが,地域看護,継続看護 に対す る基本的 考 え方は,学校 としての教育方針 に関わって くる。

当校 の地域看護実習は従来の実習の枠 を越 えてお らず,継続看護,地域看護実習 として検討の余地 がある。 まずは講義の位 置づ け を明確 に し,地域 看護 に対す る問題意識 を喚起す るこ と, そ して実 習 目的 目標 を再検討 し,可能 な限 り実習場所の開 拓が課題 であるO

ま ぅと め

保健所 で行 っている地域看護実習の実習記録 を 分析 して,実習内容 について検討 した。 その結果 以下の ことが了解 された。

1)学生が体験 している実習項 目は家庭訪問,集 団検診,共同作業所,健康相談,学級活動等であ る。

2) 目標① 「地域 の人々の理解」の 目標記載率 の 高い実習項 目は,共 同作業所, グループ指導,莱 庭訪 問であ り, E]標② 「保健サー ビスの理解」の 記載率 の高いのは家庭訪問である。

3

)集団検診は体験頻度が他 の実習項 目に比 して 多い割 には, 目標記載率が全体 に低 い。

4)

実習絵括におけ る実習 目標の記載率 の高いの は 目標② であ り, 「地域看護の役割 を学ぶ」目標③ の記載率 は予想に反 して

67%

とそれほ ど高 くなか った。

文 献

1)厚生省健康政策局看護課 (編):看護教育 カ リキュラム ー21世紀に期待 され る看護職者 のために.第一 出版法 KK,東京.137,1989

2) 岡山大学医療技術短期大学部 :看護実習の手引 き.辛 成4年度 (1992年)26

3) 岡山大学医療技術短期大学部 :看護実習の手引 き.平 成5年度 (1993年)26

4) 岡山県環境保健部環境保健課 (監), 岡山県看護学校教 務主任会 (編):岡山県看護学生保健所実習テキス ト.

1992年度

5)青木康子,伊須 田栄子両氏に聞 く:新 しい看護婦教育 カ リキュラム.看護教育30:322‑343,1989.

6)山田悦子,千葉真 弓,篠原浄 :看護学生の保健所実習 につ いての考察.第17回 日本看護学会看護教育82‑84, 1986.

7)厚生統計協会 :国民衛生の動 向,厚生の指標39:18, 1992.

8)厚生統計協会 :B]民衛生の動 向,厚生の指標40:18, 1993.

9)松野かほ る :わが軌 こおけ る地域看護 の現状 と今後の 方向.看護教 育29:326‑333,1988.

10)松野かほ る :看護教育 に求め る もの 国試の改善 とカ リキュラムの方向.看護教育30:373‑377,1989.

ll)西村真実子,金 川克子 :継続看護実習の学習効果 と実 習方法 の妥当性 の検討.第15回 日本看護学会集録看護 教育41‑45,1984.

12)矢本美子,松本比佐江,川西千恵美,川畑摩紀枝,祖 父江育子,河井泉,野崎菅野 :施設外で の実践能力向

‑ 14‑

(7)

地域看護実 習の検討

上 を目標 とした地域看護学教育の現状.看護教育29:

334‑339,1988.

13)鈴木美江子 :弘前大学医療技術短大 におけ る地域看護

学実 習の展開.看護教育29:340‑349,1988. 14)大竹芳子 :訪 問看護 を中心 とした地域看護学教育の展

開.看護教育29:350‑356,1988.

A St udyofc ommuni t ynur s i ng

Pr ac t i c eo fbas i cnur s i nge duc ai t i onc ur r i c ul um

‑ Anal ys i so fpr ac t i c er e po r dbys t ude ntnur s e s‑

Ts ur ukoONO,Take oOHTA

,

Maki koMAEDA,Har umiTAKABATAKE

Abs t r ac t

Pr a c t i c er e por t sa tt hehe al t hc e nt e rf o r1we e kwr i t t e nby1 5 2s t ude ntnur s e swe r ea nal ys e dt o kno wwe t he rt he yac hi e ve dt he i rgoaloft hec o ur s ef o rc ommuni t ynur s i ngo rnot .Mo r et ha n8 0 % s t ude nt sa t t e nde da tho mevi s i t s ,ma s she al t h e xami nat i o n,C ommo n wo r ks ho psf o rme nt al l y di s o r de r e dpe r s o nsandhe al t hc o uns c l l i ng.

Pr ac t i c ef o runde r s t a ndi ng pe opl e s ' l i ve sand he al t h pr o bl e msi n t hec o mmuni t y we r ewe l l ac hi e ve di npr ac t i c e a tt hec o mmo nwo r ks ho p,gr o upgui danc eandhomevi s i t .The yunde r s t ood a bo uthe al t hc ar ea nds e r vi c e s i nt hec o mmuni t yt hr oughho mevi s i t s .

The i rc o mpr e he ns i o no fr ol eoft hec ommuni t ynur s i ngwasnots os uf f i c i e nta se xpe c t e df o rma r k o fc ur r i c ul um.

Ke ywor d s:c o mmuni t ynur s i ngpr ac t i c e,pr ac t i c eatpubl i che al t hc e nt e r

,

goalo ft hec o ur s ef o rco mmuni t ynur s i ng,ba s i cna r s i nge duc at i o nc ur r i c ul u m

Sc ho o lo fHe a l t hSc i n c e sOka y a maUni ve r s i t y

参照

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