0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 5 ηj 10 15
yj
α=1.0 α=2.5 α=5.0
図-1 双曲型関数による座標変換
図-2 不等間隔格子(鉛直断面図)
-60 -50 -40 -30 -20 -10 0
55 60 65
双曲型一般座標系による流動モデルの有明・八代海への適用
熊本大学工学部環境システム工学科 学生会員 ○末益 潤 熊本大学沿岸域環境科学教育センター フェロー 滝川 清 熊本大学工学部技術職員 正会員 矢北 孝一 国土交通省国土技術政策総合研究所 正会員 森本剣太郎 株式会社 独立総合研究所 正会員 青山 千春
1. はじめに
有明・八代海には,わが国の干潟総面積の約50%に及 ぶ広大な干潟が発達しており,流動場の数値解析を行う には浅海域の条件を考慮することが不可欠である.これ に対し滝川ら1)は,σ座標系3次元流動モデルの一つであ る POM (Princeton Ocean Model)を改良し,干出・冠水域 の計算を行えるようにした.
しかしσ座標系は,海底地形を滑らかに表現できると いった利点がある反面,座標変換の際に運動方程式中の 水平圧力勾配項で数値誤差が生じるという問題点がある.
これらの数値誤差は,海底勾配の大きさ,密度成層の強 さ,計算格子の粗さにより増幅され,海底地形の平滑化 や表層と底層で格子間隔を密にとることで軽減されると いうことが知られている.浅海域は,水深の低下に伴う 流速の増加や海底地形の変化,さらに河川流入による密 度成層の変化など,数値誤差が生じる要因が揃っており,
このような領域での計算精度を上げるには上記の誤差軽 減手法を適用する必要がある.
そこで本研究では,浅海域での計算精度を上げるべく,
計算格子のとり方による数値誤差の軽減に注目し,その ために鉛直格子幅を表層と底層で密にとることができる 計算格子を採用した.そして,これを渡邊が改良した干 潟域の干出・冠水を再現できるプログラムに組み込み,
その解析結果の検討を行った.
2. 双曲型一般座標系の導入 2.1 プログラムの概要
70 75
X(km)
H(m)
本研究で使用する基本数値モデルは,Princeton 大学が 開発したσ座標系モデルPOM2k(Mellor,2004)である.滝 川らは,干潟域の冠水・干出を再現するために閾値水深 や底面摩擦係数の臨界値を設定し,プログラムを改良し た.今回は,前章で述べた浅海域における数値誤差要因 の影響を軽減するために,双曲型関数による一般座標系 を用いることで表層と底層で格子間隔を密にとった.
2.2 双曲型一般座標系への座標変換
表層,底層で層厚が密となる不等間隔格子への座標変 換を行うために,式(1)に示す双曲型関数を用いた2).
2( 1) tanh 1
1 tanh( )
j
y N
⎡ ⎧⎨ − − ⎫⎬⎤
⎢ ⎥
⎩ ⎭
⎣ ⎦
= −
ηj
α
α (1) ここで,yj:変換後の層厚の比率,ηj:変換前の層厚 の比率,N:層数 を示す.αを調整することで境界付近 への格子を密に配置することができる(図-1).本研究で は,表層及び底層に総格子数の約 1/4 が集まるようにα
=2.5 と設定した.この座標変換を行った場合の格子の切 り方の例は図-2に示すような形となる(断面図は図-3の A-Bライン).
土木学会西部支部研究発表会 (2009.3) II-063
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A B 3. 有明・八代海域への適用
図-3 解析領域
図-5 干潮時の水位分布図 図-4 C地点における水位変動図 -3
-2 -1 0 1 2 3 4
48 60 72 84 96 108 120
time(hour)
elevation(m)
3.1 計算条件
解析領域は図-3 に示す有明・八代海域で,東西方向に 90km,南北方向に140km,水平方向の格子点間隔は400m とし,鉛直方向は14層に分割した.また,潮位に関する 境界条件は領域の西端から振幅2.0m,周期12時間の正弦 波を与えた.なお,諫早湾は締め切った状態で解析を行っ た.
3.2 計算結果・考察
図-4に,有明海湾奥(図 3のC地点:X=48km,Y=120km) における計算開始48時間後から120時間後までの水位変 動図を示す.これより,計算開始36時間後以降は波が定 常状態になっていることが確認でき,また,振幅2.0mの 入射波が上げ潮時に水位が約3.5mにまで達しており,振 幅の増大が再現されていることが分かる.振幅および周 期が安定していることが確認できたため,以下では,図 -3の破線で囲まれた領域に関して計算開始 36時間以降 の計算結果について述べる.
図-5に計算開始84時間後(干潮時)の有明海湾央部お よび八代海湾奥部における水位分布図を示す.図中の白 色部分は完全陸域,沿岸域に分布する黒色部分は潮間帯 を表している.図に示すほとんどの領域で水位が-1~-2m に達しているが,熊本港周辺及び八代海湾奥の一部の領 域において水位が-1m 以内で収まっている領域が見られ る(丸部分).これは,プログラム中に干潟形成時は水位 が-0.3m より低下しないように設定されているためであ り,この領域では干潟が現れていることを示している.
他の干潮時でも同様に確認されたことから,双曲型一般 座標系を適用した流動プログラムにおいても,干潟の再 現が行われたと考えられる.
4. まとめ
本研究では,浅海域での数値計算の精度向上を目的と して双曲型一般座標系を導入し,改良プログラムでも干 潟域の再現が可能であることを確認した.
今後,実測値との比較による精度の確認,河川流入の 影響なども含め,有明・八代海全域および浅海域での流 動場の検討をしていく予定である.
《参考文献》
1)滝川清,秋元和實,平城兼寿,田中正和,西村啓介,島崎英
・
C
(m)
行,渡邊枢(2005):有明海熊本沖の水塊構造と表層堆積物分布 特性, 海岸工学論文集, pp.956-960.
2)林俊一郎,大本照憲,矢北孝一,平川隆一(2000):一般座標系
regular 格子による開水路乱流のDNS,水工学論文集,第44
巻,pp.593-598
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