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遠浅海岸における津波の砕波現象の把握とモデル化

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Academic year: 2021

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(1)

主要な研究成果

背 景

津波が遠浅の海岸を伝播する場合に、その波峰が分裂することがあり、波状段波あるいはソリトン分裂と呼 ばれ、1983 年日本海中部地震において初めて確認された。周期数分以上の津波の波峰から前面にかけて、風 波と同程度の周期 10 数秒程度の波が現れる現象である。この分裂波は沿岸に近づくにつれて波高が増幅し、 その後に砕波する。このように波高増幅した波が急激に砕波するために、波力が大きくなることが懸念される。 また、砕波周辺では、底面流速も大きくなり、津波による砂の巻上げが大きくなる.このように分裂波の砕波 条件の把握とそのモデル化は、波力及び砂移動現象を把握する上で重要である。

目 的

ソリトン分裂した津波の砕波近傍の現象を水理実験により把握するとともに、砕波条件について明らかにす る。さらに、ソリトン分裂波の砕波を含む津波の伝播を再現できる数値計算モデルを提案する。

主な成果

1.大型造波水路実験による砕波条件の解明 (1)大型造波水路に大陸棚を模擬した縮尺 1/150 の海底地形を設置し、その海底勾配は 1/200、1/150、 1/100 の 3 種類とした(図 1)。津波は正弦波一波長分の波形を再現するものを用い、造波周期は 20、40、 60 秒、造波振幅は 0.005 ∼ 0.09m の範囲である。図 2 に 1/200 勾配上での津波の浅水変形・ソリトン分 裂・砕波が起こる様子を示す。 (2)砕波条件を検討するために、砕波近傍の水位変動を詳細に計測した(図 3)。次に砕波限界指標である 水表面流速波速比を水位時系列(波高計データ)から算定する方法を提案し、実験データに適用した。 その結果、砕波限界の水表面流速波速比は概ね 0.5 ∼ 1.2 となり、従来の水平床上における砕波限界値 0.59 より大きい傾向となることが明らかになった(図 4)。 2.非線形分散波理論に基づく波動数値解析における砕波モデルの改良 (1)従来の数値計算モデルでは、砕波限界指標値が小さいために砕波波高を過小評価すること、さらに引波 が先行した後に伝播するソリトン分裂波では、砕波が遅れて発生するという課題を抽出した(図 5(a))。 (2)上記の課題に対して、a)ソリトン分裂波の発生を検知する新たなパラメターの提案、b)拡散係数の 改良、c)砕波限界指標値の増加、これらの改良を行った(図 5(b))。この改良モデルにより、全実験 ケースの 80 %以上において、砕波水深及び砕波波高を各々 10 %以下の誤差で推定した(図 6)。 このモデルは、津波による波力及び津波による砂移動の評価精度向上に資するものと考えられる。 なお、本研究は、電力共通研究として実施した成果である。

今後の展開

陸上構造物への津波による破壊力及び沿岸域での砂移動現象の定量的評価に取り組む予定である。 主担当者 地球工学研究所 流体科学領域 主任研究員 松山 昌史 関連報告書 「大陸棚上における津波のソリトン分裂と砕波に関する研究」電力中央研究所報告: N05045(2006 年 3 月) 「模型実験に基づく砕波を伴うソリトン分裂津波の波力評価」電力中央研究所報告: V05009(2006 年 1 月) 108

遠浅海岸における津波の砕波現象の把握とモデル化

(2)

9.電力施設建設・保全/自然災害対策

109 : : : : D= 水位 静水深 波速 水表面流速 2 2 2 2 3 S u S u h h+ h D c D x x c 0 1 2 地形勾配 1/100 1/150 1 /200 造波周期T(s) 20秒 40秒 60秒 従来モデルの砕波限界 γ=0.59 図1 実験水路と模型の概要 図2 大陸棚上における津波の伝播に伴う変形(実験) 図3 地形勾配別の砕波前後の時間波形    0.4m間隔で波高計を砕波点付近に設置 図4 砕波限界の水表面流速波速比uS/c [実験データから図上に示す式で算出] -0.10 0 0.10 水位η (m) 0 50 時間 t( 秒 ) 100 -0.10 0 0.10 -0.10 0 0.10 -0.10 0 0.10 0 50 時間 t( 秒 ) 100 ch4 ch4 x=80m=80m ch4 x=80m ch10 ch10 x=30.8m=30.8m ch10 x=30.8m ch20 ch20 x=20m=20m ch20 x=20m ch23 ch23 x=5m=5m ch23 x=5m 分裂第一波最大水位 分裂第一波最大水位 砕波開始 砕波開始 分裂第一波最大水位 砕波開始 分裂波減衰 分裂波減衰 1/200 1/200斜面先端付近斜面先端付近 1/200斜面先端付近 分裂第一波砕波減衰中 分裂第一波砕波減衰中 分裂第二波砕波前 分裂第二波砕波前 分裂第一波砕波減衰中 分裂第二波砕波前 分裂第二波 分裂第二波 分裂第二波 分裂第三波 分裂第三波 分裂第三波 (b)1/150勾配模型 (c)1/100勾配模型 (a)1/200勾配模型 1/200 1/10 4. 0m 1/ 15 0.45m 90m 160m 0m 35.3m 35.5m 100.81m 29.19m 0.0m -4. 0m 2.0m 大陸棚模型 1/150 4.0m 1/15 91. 6m 160m 0m 35.3m 33.9m 100.81m 29. 19m 0. 0m - 4. 0m 2. 0m 1/100 4. 0m 1/ 15 95m 160m 0m 35.3m30.5m 100.81m 29.19m 0.0m -4. 0m 2.0m 造波板 汀線 大陸棚模型 大陸棚模型 1/10 1/10 0.61m 0.9m x 30 40 50 60 70 80 -0.1 0.0 0.1 ch10 x=30.8m 時間t (s) 実験   計算 実験:砕波限界で最大水位 計算:既に砕波後で波高が減衰 実験:砕波後 計算:未砕波で    波高が高い 水位η (m ) 計算:実験砕波波高を再現 実験・計算共に砕波 水位η (m ) 実験  計算 40 50 60 70 80 90 -0 .1 0.0 0.1 ch10 x=30.8m 時間t (s) 0.0 0.1 0.2 0.3 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 砕波波高の誤差 erη η η η η η 砕波波高 Hb(m):実験 地形勾配 1/200 1/150 1/100 誤差10%以下 (a)従来モデル (b)改良モデル 図6 数値計算における砕波波高に    関する推定誤差分布 er =(実験砕波波高)/(計算砕波波高) (実験砕波波高) 49 50 51 52 時間 t (s) 1/200勾配 1/150勾配 1/100勾配 48 49 50 51 46 47 48 49 50 0 0.05 0.10 0.15 水位η (m ) 0 0.05 0.10 0.15 0 0.05 0.10 0.15 砕波限界近傍 砕波限界近傍 砕波限界近傍 x=12.8m 砕波水深=0.128m x=22.2m 砕波水深=0.148m x=30.8m 砕波水深=0.154m η = - -D ∂ ∂ ∂ ∂

{    }

(  )

[造波周期20秒、片振幅0.03m] [造波周期20秒、片振幅0.03m、地形勾配1/200] u s /c 図5 数値計算と実験結果の比較[造波周期20秒、片振幅0.03m]

参照

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