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豊平川における砒素の動態と底質環境

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Academic year: 2022

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(1)VII-041. 豊平川における砒素の動態と底質環境 ○辰巳健一*、成田隆広*、石川 一*((株)DOCON) 眞柄泰基**、橘 治国***(北海道大学大学院工学研究科) 1.はじめに 河川の正常な機能と環境を管理するには、水量、水質そして流域 の環境など、総合的な視点での対策が必要である。筆者らは、前報. 5. 6. 1). 1. 2. において豊平川の水質管理を流域の鉱山活動や、温泉利用などの. 7 4 3. 一の沢ダム. ▲. 流域環境と関連させて検討した。本報告では、豊平川の水質管理を. ▲. 温泉水中の砒素(As)の動態を通じて考察した。砒素の流出特性や質 変化機構などの動態解析は、札幌市の水道水源の保全とも関連し、. 藻岩ダム. 砥山ダム. 豊平川の流域管理のための重要な検討課題である。. 凡. 例 水 質 底 質. 豊平川は流域面積 904.8km2、流路延長 72.5km、源流は支笏洞爺国立公園 内の小漁岳(1235m)にあり、豊平峡ダム、定山渓温泉街、その後数箇所のダ ムを通過し札幌市を貫流後、石狩湾に注ぐ。流域の概況を図1に示した。流れ は一ノ沢ダム、砥山ダム、藻岩ダムで発電に利用され、また藻岩ダムからは札 幌市藻岩浄水場に導水され飲料水として利用される。豊平川の水質汚染源は 主に豊羽鉱山と定山渓温泉にあり、特に定山渓温泉排水に含まれる砒素は豊 平川下流部で水道水基準を超えることもあり、その動態が注目されている。2) 本報告では、’96 年 6 月〜’97 年 10 月に実施した月一回の水質調査と、’97 年7月、’98 年 1 月に実施した底質調査に基づき解析を行った。特に一ノ沢ダ ム内の底質調査では多数の地点で採泥し、砒素を中心に水質への流入河川 の影響や底質の組成との関連性について検討した。水質調査は前報3)と同様 に前処理を行い、約 30 成分を定量した。底質成分については溶出試験も実 施した。. 図1 豊平川調査対象水域の概況 0.50. T−As(mg/l). 2. 調査対象地域の概要と調査方法. T‑9. 0.40. T‑3. 0.30 0.20 0.10 0.00 0. 図2. 連も明らかではない。流出量としてみると、T-9 であまり大きな変化がないが、 T-3 では流量と共に流出量が増加する。As の流出がポイント型からノンポイン ト型(流出負荷量増加型)に変化したことがわかる。Asはこの区間中で堆積し、 流量によって底質から洗いだされるタイプに変化したことがわかる。. 30 3. 40. /S). T−As濃度と流量の関係 0. )) 2. (log(g/S/km. T-As流出負荷量. と、定山渓温泉水が流入する白井川合流前(T-9)で最大濃度(平均 0.169mg/l) に達し、その後希釈作用や沈積によってその濃度を減少する。T-9、T-3 につ いて流量と濃度の関係を図2に、流出量との関係を図 3 に示した。T-9 では流 量と共に濃度が減少するが、T-3 では濃度がかなり低濃度となり、流量との関. 20. 流量(m. -1. 3.結果の要約 3.1 砒素の流出特性 豊平川の水質の概況は前報のとおりである。特に砒素(As)についてまとめる. 10. T-9 T-3. -2 -3 -4 -5 -6 -7 -6. -5 -4 -3 -2 -1 0 3 2 比 流 量 ( l o g ( m /S/km )). 図 3 比 流 量 と比 成 分 負 荷 量 の 関 係. キーワード:水質汚濁、流域環境、砒素、流出 連絡先:※ 北海道札幌市厚別区厚別中央 1 条 5 丁目4―1 Tel 011−801−1572 Fax 011−801−1573 ※※ 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目 Tel 011−706−7278、Fax 011−706−7280 ※※※ 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目 Tel(Fax) 011−706−6277. -82-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(2) VII-041. 3.2ダム湖における砒素の堆積 図 4 に底質中の As成分含有量及び溶出試験(底質調査法に基づく)によるAs溶出濃度、表 1 に粒度組成(Atterberg の分 類による) を示す。一ノ沢ダムの底質成分はシルト・粘土の割合が高く、As は温泉水の影響を受ける No.1〜4 に多く含まれ、 また溶出量も多いことが分かった。下流の砥山、藻岩ダムでは成分濃度が均質化され地点間の差が小さくなるが、シルト・粘土 で高濃度という傾向は維持される。また図5に示したようにAs成分含有量とシルト・粘土の間には正の相関関係が認められる。 ただし、藻岩ダムは支川流入の影響を受けるため、As 含有量とシルト・粘土の関連が明らかではない。これらの結果は、表 2 の主成分分析の結果によっても裏付けられる。第一主成分は、砂が正に、シルト、粘土及び重金属等が負に分布したことから、 底質の動態と関連している。一方第二主成分は、他の汚染要因との関連性を示している。藻岩ダムは支川流入の影響を受け、 有機質が多いと解釈できる。なお Asは、シルト・粘土と共に、他の重金属と同じように挙動を示すことがわかる。 4.結論 豊平川流域において平水時の調査を行い、特に As の流出機構について解析した。その結果 As は温泉から流出した後ダ ムの前後で流出機構が変化し、流域環境と流況に左右されることがわかった。また、ダム湖のシルト・粘土分には砒素が多量 に蓄積され、沈積には鉄が関与していること、そして流量安定時には溶出によって、高流量時にはシルト・粘土分の洗い出し によって、As 成分が高濃度になることが分かった。今後は懸濁態と溶存態を区別した動態及び流出解析によって、ダムや流 500. 0.10. →. 400. 底質含有量 2mm以下 底質含有量 シルト・粘土 底質溶出試験. ↓. 300 200. 0.08 0.06 0.04. 100 0. 0.02 0.00. As(mg/l). As(mg/kg). 水制御などの河川管理方法について検討したい。. №1 №2 №3 №4 №5 №6 №7 上流 中流 下流 上流 中流 下流 一ノ沢ダム. 砥山ダム. 藻岩ダム. 図4 Asの地点変化 底質の粒度組成 粒径. mm. 単位:% 一ノ沢ダム. 砥山ダム. 藻岩ダム. №1 №2 №3 №4 №5 №6 №7 上流 中流 下流 上流 中流 下流. 0.02〜2.0(砂). 91. 66. 76. 81. 100. 100. 92. 100. 81. 79. 66. 73. 50. 0.02以下(シルト・粘土). 9. 34. 24. 19. 0. 0. 8. 0. 19. 21. 34. 27. 50. 謝辞:本研究を遂行するのに際し、 北海道開発局石狩川開発建設部に は大変お世話になった。記して謝 意を示します。. (参考文献) 1) 辰巳、橘ら:豊平川の流域環境 と水質特性、第 54 回土木学会 年次学術講演会講演概要集. 表2 主成分分析の結果 (因子負荷量). 300 As含有量(mg/kg). 表1. 一ノ沢ダム 砥山ダム. 200. 藻岩ダム. 100. 0 0. 20. 40. 60. 80. シルト・粘土割合(%). 図5 シルト・粘土分の割合と As含有量との関係. 砂 シルト 粘土 COD T−N As T-Hg T-Cu T-Fe T-Mn 強熱減量. 第1主成分. 第2主成分. 0.72 -0.63 -0.79 -0.79 -0.92 -0.63 -0.64 -0.80 -0.41 0.51 -0.94. 0.59 -0.61 -0.50 0.22 -0.26 0.32 0.54 0.49 0.82 0.55 -0.05. (Ⅶ)p4〜5,1999 2) 青木、佐藤、眞柄ら:豊平川水系におけるヒ素の挙動とその環境リスク評価、第6回衛生工学シンポジウム論文集 p5560,1998 3) 辰巳、橘ら:豊平川における砒素の動態と流域環境、第 55 回土木学会年次学術講演会講演概要集(Ⅶ) ,2000. -83-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

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