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環境経営会計と各国の環境法規 ・ルール等に 関す る一考察

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(1)

環境経営会計と各国の環境法規 ・ルール等に 関す る一考察

柳 田 仁

1 9 8 9

7

月のパ リ

・G7

アルシュサ ミッ トでは,環境問題 に焦点 を当てた 画期的な経済宣言が発表 された。宣言だけで終 らない ように,環境保護団体 は

G7

各国が具体的にどの ような行動 しているか を評価す る作業 を共同で行 った。まず,環境問題 を大 きく6項 目に分類 し,すべての項 目につ き,一定 の基準 となる質問を設け採点 した。その結果は, ヒュース トン ・サ ミッ トの 1日前 に,記者会見で発表 されたが,これは環境保護団体が,共同で先進7 カ国の環境政策 と行動 を比較す る作業 を行 った最初の試みである。 この評価 で トップの成績 をとったのは ドイツである。

1 ドイツ政府の環境問題への対応

1 ‑ 1

ドイツ包装廃棄物回避政令の概要

ドイツにおいて

,1 9 9 1

6

2 1

日 「包装廃棄物 回避政令」 (包装廃棄物 回 避に関する政令)が公布 された。同政令の核心 は,廃棄物の大幅な減量化 を 図ると共にリサイクルの強力 な推進,有限な資源のムダづかい を抑 え,環境 の保全 を図る点にある

。9 1

1 2

1

日か ら実施 され,公布か ら発効 までに

5

カ月の猶予期間 しかなかった。同政令 は本質的に販売,二重,輸送包装の リ サイクルに関 しドイツ国内の業者 を対象 としているが, しか し, ドイツ国内 91

(2)

か らの要請 に対応 しなければ,輸入 を拒否 される場合 もある。

ドイツでの調査 の結果,年 間発生総量約3,200万 トンといわれる家庭廃棄 物 と産業廃棄物の うち約3分の1,ポ リュウムか らみると約半分が包装材の 廃棄物であ り,その減量化が緊急の問題 とされた。廃棄物は,最初か らで き るだけ発生 しない ようにすべ きであるが,製品の包装 は流通過程 において破 損防止 ・品質保持のため欠 くことので きない もの もあるので,すべての包装 を禁止することは不可能である。

廃棄物処理活動 に合 う環境 に優 しい資源の再活用 に寄与で きるような包装 材 を生産する必要が生 じるが,何 を基準 にするかに関 して ドイツ連邦参院は, 1991年4月に環境保護 に有害で生態系破壊 につながる疑いのある包装材の リ ス トア ップを要求 した。更 に,環境適性検査の設置, また1991年12月 までに そのような不良包装材の使用禁止項 目を現行の規制 に追加するよう政府 に要 請 している。具体的に,将来, ゴミの絶対量 を少 な くするために容器の繰返 し利用や包装材の再利用 を更 に促進 させ ること,再利用不能な場合 には,秦 材 を利用 して他の用途の材料 に再生す ることである。以上のような措置 をと ることで,廃棄物の焼却 ・投棄処理 を制限 してい く方向性 を明確化 してい る。

この政令の適用対象者 となるのは, ドイツ国内企業で,(a)包装 に直接使用 される資材の包装素材生産者,(b)その包装 された製品の販売業者 (含通信販 売業者),(C)輸入業者,更 にレス トラン, ファース トフー ドチェー ン,屋台

1) 等 も含 んでいる。

同政令第3条では,対象 となる包装材 を販売,二重,輸送の各段階で使用 されるものに区分 して,具体例 を挙 げている。

(2)デュアルシステム ・ドイ ッチェラン ド(DualesSystemDeutchland) 販売 ・二重包装材 もいずれ リサイクル してい くことになるが,それ らの包 装材 をその都度,流通業者か ら生産業者 に返送 していたのでは非効率である。

92 国際経営論集 No.23 2002

(3)

そこで実質的にリサイクルの受け皿 となるDSD社及び同社 と契約関係 にあ るインターゼロ一社 をは じめOrganisationfuerWertstoffensorgungGmbH, ReCartonGmbhといった関連組織が編成 されることになる。

政令施行 にともない,消費材産業,包装材製造業,食品小売業の当該産業 部門では 「デュアルシステム」 (並行 システム) を新 たな制度 として導入 し た。これによると,包装材 は最終消費者の近 くで回収 された後,選別,そ し て再利用へ と振 り分け られる。その目的は,包装廃棄物の徹底的な回避 ・抑 制 ・減量化である。すなわち,生態系上,高い効果 をあげるだけでな く,経 済的にも採算の とれるシステムをつ くりだす ことである。

デュアル システム を特徴づ けてい るのは

,

「グ リューネプ ンク ト (Der GruenePunkt)」 とい うマークである。 このマー クが表示 された包装材 は

「デュアルシステム」 に属 していることを示 している。 このシステムが最 も 重視することは,回収 された包装材 について責任 を持 って リサイクル してい くことを参加会員企業 に保証 してい くことである。 また,消費者が 「グリュ ーネプンク ト」が添付 した商品 を購入す ることは

,

「デュアルシステム」 を 確立 してい くために貢献 していることになる。

包装材 に 「グリューネプンク ト」マークを使用す る際は,DSD社 との使 用許可契約 を結 び,使用料 を支払わなければならない。

1993年10月1日か ら数量 と材質 をもとに新料金が設定 され,実施 された。

しかし,廃棄物の リサイクル上,それを資金面で支 えるためには新 しいライ センス料の改訂が必要 となった。そこで,現在の各要素別の重量 による料金 に加え,個数,容量か面積 による基本料金 を併用 させて1994年10月1日か ら 再度の値上げを実施す ることとした。使用料 の基準 は,図表1‑1の通 りであ る。

マーク使用料 はプラスチ ックを除 き,従来通 り回収 ・分別のコス トである 軒ラスチ ックは汚染の程度や,形状の違いが多様 なため, リサイクルをスム ーズに進めるために洗浄,グラナ‑ ト化 プレス等のための前処理 コス トを

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 93

(4)

図表1‑1 グリューネプンク ト・マーク使用料 (1991年12月)

包装容器の内容量 1(ペニヒ)個当り 50m1以下/3g

0

以下 1

50m1‑200m1 2 200m1‑31 5

出典 :

1994年10月1日 (改訂)

材 料 重量別料金 重量別料金に加算される容量 (マルク/kg)別料金 (ペニヒ/個)

ガラス

紘.厚紙.ダンボ‑ル 00..4105 50mi 以上‑200mi/3g以下 ブリキ 0.56 0.1‑0.6 アルミ 1.50 200m卜31まで 0.7‑0.9

プラスチック

紙パックその他の複合物質自然素材 2?01....61929500 31以上 1.2 重量別料金に加算される 面積別料金

1知cm2以上300cm2/3g以下 0.1‑0.4 300cm2‑1

,

600cm2 0.6

含 んでお り,約3マルクと高 く設定 されている プラスチ ック価格 を高 く設 定することで最 もコス トのかかるその リサイクル技術 開発 を刺激す る ととも に,他 の リサイクルが容易 な材質への転換促進 も図れることになる。しか し,

DS D

社 は,競合他企業が ない ことか ら発生す る高価格 の設定 とい う批判 も ある。ただ し, もしデュアルシステムが崩壊 し,産業界が独 自のネ ッ トワー クを構築すれば今 まで よ りも10倍 の コス ト増 になることがわかっている (林 哲裕 ・在 日 ドイツ商工会議所)。

包装材‑の 「グリューネプンク ト」 の使用 申請人は,通例 ,消費材 メーカ ーであ り,特 に, ビールや洗剤 といった ように容器 を必要 とす る製品メーカ ーである。 なお,輸入品については,メーカーに代 わ り輸入業者がマークの 使用契約 を結ぶ ことがで きる。

94 国際経営論 集 No.23 2002

(5)

ところで, この 「デュアルシステム」導入 にあた り設立 されたDSD社 の 酵立主旨は,包装材 の廃棄 をやめ,で きる限 り再利用及 び再生 をしてい こう

l

tするものである。

「デュアルシステム」 を機能 させ てい くため には,資金面での支援 だけで なく,各個人が同システムに積極的に参加 しようとす る堅固な意思 と多方面 からの精神的な支援が重要であるoす なわち,使用済の包装材 を回収容器 に 投棄することを要求 されている最終消費者,市町村 自治体,労組,業界団体, 政界,企業及びその従業員等 の協力が必要 となる。デュアルシステムは, リ サイクルによって包装材廃棄物 の回避 を行 う広範 なプログラムを世界で最初 に確立 した ものである。1991年6月に公布 された包装材廃棄物 回避政令 を実 現させてい くには同システムは不可欠である0

回収 ・再生 ・再利用 システムの導入法 は包装材 の原材料 によって別個 に規 定 されている。液体飲食品用 のガラス ・ブ リキ缶 ・紙パ ックのすべての包装 材メーカーはこの回収 ・再生 システムの利用が可能である。紙 ・厚紙 ・段 ボ ール類の包装材 は,InterserohAG社が回収 ・再生 を任 され, これ ら紙類 を a)o/.以上含 む包装材 に適用 される。 プラスチ ック及 びその合成包装材 につい て は , プ ラ ス チ ッ ク 加 工 製 造 業 者 と 再 生 資 源 企 業 が 開 設 し た verwertungsgesellschaftgebrauchteKunststoffverpackungenGmbH社 (使 用済プラスチ ック包装再生有 限会社)が多 品種 の プラスチ ック包装材 の回 収 ・再生 を数品種 に分類 して行 う。 アル ミニウム包装材 ・アル ミホイルを含 む包装材は,DeutscheAluminiumVerpackungRecyclingGmbH社 (ドイツ

̲7ルミニウム包装再生有 限会社)が,回収 ・再生 を行 う。

環境保護活動 に何 らかの形で関係 してい く意識 はすべ ての人間が潜在 的に 持っているもので, これ を基礎 にゴミ発生回避 に有効 な手段 をいろいろなキ ャンペーン活動 を通 して情報提供 を してい くのが DSD社 の任務 で もある

1991年5月15日現在 ,同社 の会員企業 は約400社 であった。1998年 には,約 鰍)社 となっている。

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 95

(6)

この ようなデュアルシステムに対 して批判 もあるが,その多 くは同システ ムに関する情報不足 によるものが大半である。同システムは,む しろ中期的 な視野 に立 って,包装材の使用 を最小 限度 まで制限 していこうとす る考 え方 を強 く打 ち出 し, また,すべての分野 において,競争 に中立であ り,経済的 に有意義,そ して参加企業の承認 によって業務 を遂行 してい くことを前提条 件 としているのである。

以上が,爆発的に増加するゴミか ら環境 を保護 し,その減量化 ・再利用 ・ 再生 を促進す るために ドイツで施行 され,各国に影響 を与 えつつある 「包装 廃棄物回避政令」の概要紹介である。

なお,長年 にわた り議論 されていた包装廃棄物政令の改正案が,1998年5 月29日に連邦参議 院で承認 された。 これによって

,DSD

社が運営す るデュ アルシステムの崩壊危機が回避 された。大手小売業Metro社 とRewe社 は, デュアルシステムの未加入者が排出す るサービス包装 に村す る規制が盛 り込 まれた改正案が,98年度国会 において成立 しなければ,同システム との契約 を破棄す る と迫 り,Tengelmann社 もそれ に同調す る動 きを見せ ていた。

Rewe社 は当時, こうした方法で実力行使 を余儀 な くされた同社 の決定 に理 解 を求めている。 システムに参加 してライセ ンス料 を支払 う 「正直者」 は長 い間

,

「明 らかな不公平」 に耐 えて きた。同社 はそれ を規制す る改正案が実 現 しなければ,競争の平等性 と正当性がな くなる と主張 して きた。 しか し,

もう辛抱 も限界 に達 したと契約破棄の理由を語 った。

98年の改正案の承認 によって,従来,便乗者 による年間約6億マルクのラ イセ ンス料 (その内,2億マルクがパ ン屋 と肉屋のサービス包装)が収入増 となるだけでな く,大手小売業の契約破棄 によるシステムの存亡の危機 も回 避 した こ とにな る。 これ に よって

,7 0

億 マ ル クの投 資 が無 駄 にな らず,

1 7 , 0 0 0

人分の職場が確保 されることになった。

連邦参議院の安協点は,あ らゆる販売包装 とサービス包装の製造業者 と販 売業者は,回収,及びリサイクル義務 を負 うとしたことである。 このことに

96 国際経営論集 No.23 2002

(7)

より,政令が規定す る回収 ・分別 は例外 な しに実施 されなければな らな くな った。 しか し,パ ン屋 と肉屋 は使用 したサー ビス包装の資料 の整備 と証明義 務,そのために必要な事務手続 きを免除 されるとい う内容である。その代 わ りに,サー ビス包装の製造業者が

2 0 0 0

年か ら食 品手工業者 (例 えば,パ ン屋 や肉屋)に納品 ・販売量 を証明する義務 を負 うことになった。そ して

,2 0 0 1

年からは, この製造業者が グリューネプンク トのライセ ンス料 を支払 うこと が定め られているo

未加入者への対策 を盛 った改正案が承認 されたことに対 して,大手小売業 は,予定 していたマーク契約のボイコッ トを中止す ることで意見が一致 した。

また,メアケル環境相 (当時) もこの結果 に適切 な合意 を見 たことに満足 し ているとコメン トした。 これに対 して,ノル トライ ン ・ヴェス トファー レン 州のヘ‑ン環境相 は,デュアルシステムの競争敵対 的,高 コス ト,非弾力的

2) な性格 を批判 している。

1̲2 ドイツ循環経済 ・廃棄物法 (1)沿 革

1 9 7 0

年以降の ドイツ廃棄物政策お よび立法史 を観察す る場合,予防主義, 排出者負担主義,協調主義の3原則 の展 開, な らびにEU 法 との関係 ,逮 抑 ・州 ・自治体 レベルでの法規運用状況 を念頭 に置かなければな らない。以

3) 軒にその内容 を示す。

1972年廃棄物処理法の制定 :

これまで ドイツでは,市 町村別 の条例法規 によって廃棄物処理が なされ, 全国統一の法制度が存在 しなか った。 しか し, 自治体,州 を超 える広範囲な 廃棄物処理の必要性が認識 され,基本法 (憲法) を改正す ることになる。す なわち,廃棄物の管理 に関する立法権限 を連邦 に付与 し,その結果,基本法 第74条第1項第24号 に基づいて,1972年6月11日に最初の連邦廃棄物法が制 罷 された。 この法律 は,発生 した廃棄物 を単 に処分 (除去)す ることに重点

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 97

(8)

を置 き,その発生回避 ・抑制,廃棄物の少 ない生産技術 , リサイクル,製品 の長寿化,潜在 的なエネルギーの利用等の技法 には触れていない。

その主 な内容 を挙 げれば,

①廃棄物の回収,運搬,処理,保管及 び埋め立 て (最終処分) に関す る規 則

②公共の福祉 は,廃棄物の処理 によって侵害 されてはな らない とい う原則 の導入

③廃棄物処理 を公法上の処理事業体 (自治体,地方公共団体)の義務 とす ること

④州 に処理場立地 に関す る決定権等 ,計 画上 の手段 を付 与す る こ とであ る。

この法律 のその後の法改正 は,第5次お よび1994年の循環経済 ・廃棄物法 に連 なるのである。す なわち,1974年の改正では,違法 な廃棄物投棄 を阻止 す るため,運搬処理過程 をマニ フェス ト化 し,記録するシステムを導入 した。

次の,1976年の改正では,廃棄物運搬業者資格基準 の厳格化 のため,監視廃 棄物 に関す る規定,事業所 内廃棄物責任者制度 を導入 して,人的信頼性の向 上 を図った。第3次の1982年の改正では,環境保全的な汚泥再利用 の基準の 導入,問題のない運搬 については,許可 を免除す る等緩和措置 を採用 してい る。第4次の1985年の改正では,特 に特別廃棄物の越境移転の監視 を改善す るための措置 を導入 し,国内処分の原則 を確立 した。 また,運搬車 に廃棄物 のマーク "A"を取 り付 ける義務 も導入 している。

第5次の1986年の全面改正 は

,

廃棄物処分」 とい う前近代 的な施策か ら, 廃棄物の発生回避, リサイクルを内容 とす る現代 的な廃棄物管理へ発展 させ

るため に制定 された。廃棄物処分 の代 わ りに,廃 棄物処理 (Entsorgung) とい う用語 を使用 し,法の適用範囲を拡大 した。その主 な内容 は,

(∋廃棄物の再利用 の要請

(む廃油の処理 (廃油政令)/引取 ・利用義務 98 国際経営論集 No.23 2002

(9)

③廃棄物技術指針の制定授受

④廃棄物法の監視 を既存,過去の汚染へ拡大適用

⑤表示 ・返還義務の具体化政策 ・行政規則 の制度授受

⑥廃棄物管理上の施行規則の制度授受

本改正では,廃棄物管理上の優先順位 を①廃棄物の発生回避②再利用③処 4)

分とした。

この全面改正で,取 られた措置の 1つ として,前述の包装廃棄物回避政令 による

DSD

の導入がある。すなわち,従来の公的廃棄物回収 システム と並 列 して法的回収率, リサイクル率 をクリアーすれば

,DSD

社 に廃棄物の処 理を委ねるだけで,個別企業の義務 は免除するとい う

DSD

が導入 されたの である。

( 2

)循環経済 ・廃棄物法 (循環法)の内容

1972年の廃棄物処分法制定 を第‑世代の廃棄物法,1986年のその全面改正 である廃棄物回避 ・処理法 を第二世代の廃棄物法 と呼ぶならば,この1994年 の循環経済 ・廃棄物法 を第三世代 の廃棄物法 と名付 ける人 もいる。

従来の旧廃棄物法 を全面改定 して,循環経済 を促進する法律 を制定 しよう とする運動は,1990年前後か ら始 ま り,杵余 曲折 を経て,1994年7月に連邦 参議院の承認 を得て,9月に制定,10月に公布,2年後の10月7日か ら施行

臣れた。

この法律の主な内容 ・目的は以下の通 りである。

①廃棄物概念の拡大

EU 指令 に適応 させ るため,従来は適応対象外であった有価物 ・資源 化物 も廃棄物 に含めたために,その数量が増加 した。

②廃棄物の発生抑制 ・循環利用お よび有害性低減

この法律の第4条等で,製品の開発 ・設計か ら製造,販売流通,消費, 廃棄 までの ライフサ イクルでの廃棄物 ・残留物 の発生 を回避 ・減量 さ

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 99

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せ,更 に有害性 を低減 させ ること。そのためには,廃棄物の リサイクル を促進 し,また廃棄物のあま り出ない製品設計 をする必要がある。その 廃棄物 を原材料 ・エネルギーとして投入することが技術 的,採算的な面 か ら可能であれば利用 しなければならない。一般消費者 において も廃棄 物や有害性の少 ない製品を購入 しようとする態度 も要請 される。

(参回避不能な廃棄物の適正処理

回避不能な廃棄物の リサイクル ・システムへの混入防止,有害性 ・物 量の低減エネルギーの節約,環境汚染 の少 ない国内処理が要請 される。

同法では,この ような目的を達成するため企業 に製品の設計,製造,販 売流通,消費お よび廃棄 までの仝 プロセスの 「製造物責任」 を課すると ころに特徴がある。 この製造物責任 を補完 ・具体化するために廃車政令 (1998年4月発効),包装廃棄物政令改正案,使用済バ ッテ リー ・蓄電池 政令,情報処理技術機器廃棄物政令,飲料容器 リターナブル政令等があ る。,

(む認定専門処理事業所制度の導入

この法律の第52条で,廃棄物処理業界の信頼性 を高め,廃棄物の不法 投棄 ・不法取引の防止 をするために専門処理事業所の認定制度 を導入 し

5) ている。 この認定 を受けることで,他企業 よ りも競争上有利 になる。

以上の ように,循環経済 ・廃棄物法 は,単 に従来の廃棄物法 を改正 しただ けの ものではな く,新 しく加 えられた条文 も多 く,廃棄物の管理が厳格化 さ れたため,国内企業の反応 はあま りよくない。 この法律 の施行で,廃棄物の 排出 ・処理量の減少や リサイクル率の上昇等 といった多 くのプラスの効果が 生 じたが,その反面でなおEU諸国内の法規 との整合性 も課題 とな り,裁判 問題 も生 じている。

100 国際経営論 集 No.23 2002

(11)

2

日本 における環境法規 ・ルール

2̲1環境基本法

環境 に関心 を持つ人々には,長いこと懸案であった環境基本法が1993年11 月12日に,国会で可決 され,同月19日に公布 ・施行 されたo

環境基本法は,地球規模での環境資源の有限性 を保全 して破壊汚染か ら守 るために,環境政策の根源 となる種 々の事項 を基本的に定めるいわば環境 に 関する憲法 に相当する

環境基本法制定 までの経緯 は, リオ環境サ ミッ ト(1992年6月)級,7月 に法案化のために環境庁 (現環境省)内の中央公害対策審議会 と自然環境保 全審議会 との合同部会で検討が開始 され,10月に 「環境基本法制のあ り方 に っいて」の答 申が発表 された。その後 自民党政府案 として93年3月 「環境基 本法案」 を微調整 したが,衆議院解散でいったん廃案 となる。連立政権誕生 徳,廃案 となったままの法案で国会 に再上程 され,可決成立 した。 この環境 基本法は,三幸46条 ・附則お よび環境基本法の施行 に伴 う関係法律 の整備等

に関する法律か らなる

第 1章の総則では,第 1条でこの法律の 目的を規定する。すなわち,本法 律は

,

「環境 の保全 について,基本理念 を定め,並 びに国,地方公共団体 , 事業者および国民の義務 を明 らかにするとともに,環境の保全 に関する施策 の基本 となる事項 を定めることにより,環境の保全 に関する施策 を総合的か E)計画的に推進 し, もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保 に寄与するとともに人類の福祉 に貢献する」 ことを目的 としている。 また第 2条では

,

「環境‑の負荷」

,

「地球環境保全」

,

「公害」 に関 して定義 してい 藍。第3条以下では,環境の恵沢の享受 と継承等,環境への負荷の少 ない持 笹的発展が可能な社会の構築等,国際的強調 による地球環境保全 の積極的推 艶,国 ・地方公共団体 ・事業者 ・国民の責務,環境の 日,法制上の措置等,

環境経営会計 と各 国の環境法規 ・ルール等 に関す る一考察 101

(12)

年次報告等,放射性物質による大気の汚染等の防止 に関 して規定 している。

第2章の環境の保全 に関する基本的施策では,第 1節 (第14条)で施策の 策定等 に係 る指針,第2節 (第15条)では環境基本計画,第3節 (16条)で は環境基準,第4節 (第17条及び第18条)で特定地域 における公害の防止, 第5節 (第19条か ら第31条)で国が講ず る環境保全のための施策等,第6節

(第32条か ら第35条)で地球環境保全等 に関す る国際協力等,第7節 (第36 条)で地方公共団体の施策,第8節 (第37条か ら第40条)で費用負担及び財 政措置等 に関 して規定 している。

第三章の環境審議会等では,第1節 (第41条か ら第44条)で環境審議会, 第2節 (第45条及び第46条)で公害対策会議 に関 して規定 している。さらに,

6)

附則 でこの法律 の施行 日が定め られている。なお,本基本法 と同時 に

,

「環 境基本法の施行 に伴 う関係法律 の整備」等 に関する法律 も規定 されている

この環境基本法は,環境 に関する法律 の憲法の ようなものであるので,詳 細で,具体的な事項は,下位 の個別的な法律 によって規定 しなければならな

い。

2‑3 環境庁 (現環境省)「環境保全 コス トの把握及び公表 に関するガイ ドラ インー環境会計の確立に向けて

」 (中間 とりまとめ)公表 :

我が国環境庁 (現環境省)では,先進国の 1つである日本が環境負荷の少 ない持続可能な経済社会 を築 き上げるための用具 として環境会計の確立 を目 指す。 これまで環境会計では,その 「情報の提供側 と受入側の双方 に,共通 の枠組み を構築する もの としてガイ ドライ ンが必要 となった。」その ような 観点か ら1999年3月,当時の環境庁か ら環境保全 コス トの把握及び公表に関 するガイ ドライン」 (中間 とりまとめ)が公表 された。

ISO14000シリーズの発行が,一般企業, 自治体等の環境管理実施‑の関 心 を向けさせ る発端 となったのに対 し, この Fガイ ドライン』が環境管理, 環境会計普及のための指針 とな り,企業の環境への関心 を加速化 した。

102 国際経営論集 No.23 2002

(13)

2̲4 環境庁 (現環境省 )「環境会計ガイ ドライン (2000年版 )

」:

平成11年3月 に「環境保全 コス トの把捉お よび公表 に関す るガイ ドライ ン

(中間取 りまとめ) を公 表 し,平成12年3月 には,効果 の把握 についての考 え方 を含 めた 「環境会計 シス テムの確立 に向 けて (2000年版)」 を取 りま と め,公表 した○

平成12年3月 に発刊 された F環境会計 ガイ ドブ ック』では,上述 の2つの 刊行物 を受 けて,環境会計 の意義 ・内容等 を詳細 に解説 し,更 にQ&Aお よ び民 間企業 を中心 と した導入実例 につ いて も挙 げてい る。 Fガ イ ドブ ック』

は,以下 に概説す る ように4編か ら成 っている。

第 1編の環境会計へ の招待 では,最初 に,環境会計 の タイプを (1)マ ク ロ環境会計 (国民経 済計算 レベ ル)(2)ミクロ環境会計 (企業 レベ ル)① 内部管理 ・意思決定支援②外部報告 に分 けているが,将来的 には,環境会計 の中のい くつかの側面 とい う形 になってい く可能性 もある と述べ てい る。 ま た,環境庁 Fガイ ドライ ン』の特徴 に も言及 し,特 に環境会計 の内部 的 な利 用 (内部機能) と外部への報告 (外部機 能)の両方 に触 れてい る点 を挙 げて いる。

次 に,内部管理面での環境会計情報 の利用 では,内部管理 のすすめ,費用 対効果の分析 , アメ リカ環境保護庁 の環境 コス トの範 囲 も説 明 してい る。更 に,隠れた環境 コス トの発見 ,環境 コス トの適切 な配賦 ,関連す る環境保全 コス トを出来 るだけ幅広 く考慮す ることで適切 な意思決定 を導 くこと,社会 的コス トの加味 ,環境 会計 と管理会計 との新 しい関係 につ い て も触 れてい る。

更 に,環境 会計情報 のデ ィス クロジャーで は,外部報告 す る こ との意義, 環境保全 コス トの意義 と読 み方,効果の捉 え方,環境保全効果 の読み方 ,環 境会計 と環境報告書等 との関係 ,環境会計 と財務会計 について論 じてい る。

最後 の環境 会計 の未 来 で は,環境 会計 が ,今 後 更 に発 展 す るため には, 個々の企業の創意工夫 と利用者 か らの フィー ドバ ックが必要であ る と し,広

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 103

(14)

く実務界か ら建設的な意見 を求めている。

第2編環境会計 システムの確立 に向けて (環境庁環境会計 システムの確立 に関す る検討会・2000年報告)は,序文, (Ⅰ)本 ガイ ドラインをまとめる に当たっての基本姿勢 (刀)環境会計 システム導入のためのガイ ドライ ン (2000年版)お よび2つの付録か ら成 っている。

序文では,環境保全 のために環境会計の重要性 を述べ,環境会計 に関する 情報の提供側 と受け手の側の双方にとって,共通の枠組みを構築する ものと

してガイ ドラインの必要性 を論 じている。

(Ⅰ)本 ガイ ドラインをまとめるに当たっての基本姿勢

最初 に,本報告書が,我が国における環境会計 に関する統一的な考 え方 を 集大成 し,企業等の環境保全への取組 を人々が正 しく理解 し,その取組 を評 凧 支援 してい くことを可能にする社会 システムの一つ として環境会計 を発 展させてい くことを主眼 としている。

環境会計の基本的部分 については,共通 に活用で きる原則 を示すなど考え 方の統一 を重視 している。 と同時に,多様 な業種 ・業態 における基本 ガイ ド ラインの運用 にあたっては柔軟性 に配慮することを要請 している。

また,環境会計で用い られる概念 については,企業等の内部利用 にとどま るか外部への情報開示 も行 うかに係 わ らず共通概念 を首尾一貫 して用いるこ とが必要であるとしている。

更に,統一的な考 え方 をまとめてい く立場か ら環境会計 による情報の比較 可能性 を目指す こと,環境会計 システムの発展のためには,企業等の実践活 動の積み重ねが重要であることを基本姿勢 として示唆 している。

(Ⅰ)環境会計 システム導入のためのガイ ドライ ン (2000年版)

1の環境会計の意義 と導入のすすめでは,環境会計 システムを 「企業等が, 持続可能な発展 を目指 して,社会 との良好 な関係 を保 ちつつ環境保全への取

104 国際経営論集 No.23 2(泊2

(15)

組を効率的,かつ効果的に推進 してい くことを目的 として,事業活動 におけ る環境保全のための コス トとその活動 によって得 られた効果 を可能な限 り定 量的 (貨幣単位 または物量単位で表示)に把握 (測定) し,分析 し,公表す

るための仕組み」 と定義 している。

また,環境会計が主 に対象 とする効果 としては,大別 して,①事業活動 に よる環境負荷 を抑制 または回避する 「環境保全効果」 と,②事業収益 に貢献 する 「環境保全対象 に伴 う経済効果」 とを想定 している。

本 ガイ ドラインでは 「環境保全 コス ト」 に加 え,その各項 目と 「環境保全 効果」 とが可能 な限 り対比で きると共 に

,

「環境保全対策 に伴 う経済効果」

の要素 を適切 な形で織 り込むことによ り,全体 として環境保全 コス トとそれ に対応する効果がバ ランス よく表示で きるようなシステムとなることを目指 してお り,積極的に公表することを推奨 している。

1の環境会計 システム導入のすすめでは,その背景 ・必要性 としてつ ぎの 2つを挙 げている。第一に,環境保全のためのコス トや環境保全対策の効果 を把握 (測定) し,それを適切 に管理することが,健全 な事業経営 にとって 必要不可欠の要素 と考 えている。第二 に,環境会計 による環境保全 コス ト等 の公表が環境経営への取組姿勢の現われ として企業等 を評価する尺度の一つ とな りつつあるとい うことである。

2の環境保全 コス トの把握のための基本指針 で,環境保全 コス トを

,

「企 業等の事業活動 に起 因する環境負荷 を抑制すること等 を目的 とした投資額及 び費用額」と定義 している。また,このコス トを,次の6つに分類 している。

①生産 ・サービス活動 により事業エ リア内で生 じる環境負荷 を抑制するため の環境保全 コス ト (略称 :事業エ リア内コス ト)②生産 ・サービス活動 に伴 ってその上流又 は下流で生 じる環境負荷 を抑制す るための環境保全 コス ト (上 ・下流 コス ト)③ 管理活動 における環境保全 コス ト (管理活動 コス ト)

④研究開発活動 における環境保全 コス ト (研究開発 コス ト)⑤社会活動 にお ける環境保全 コス ト (社会活動 コス ト),お よび⑥ 環境損傷 に対応す るコス

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 105

(16)

ト (環境損傷 コス ト)である。更 に,環境保全 コス トの把握 に当たっての基 本的な考 え方では,以下の3つ に関 して述べている。 まず,集計の範囲につ いては,連結決算の対象である全社及び全 グループにおいて集計することが 望 ましいが,集計 しやすい小 さな区分か らで もよい としている。次 に,対象 期 間については,環境報告書又は財務報告書の対象期間 と合わせ ることが望 ましい としている。更 に,環境保全 コス トの具体的な把握 (測定)方法 につ いて,次の2つの方法 を提唱 している。すなわち,環境保全のためのコス ト を直接把握 (測定)で きる場合 は,それを集計する。人件費や減価償却費の ように,それが困難な場合,すなわち環境保全以外の 目的の コス トや通常の 場合のコス トと結合 した 「複合的なコス ト」か ら分離 して環境保全 コス トを 把握 (測定)する場合 には,その把握 (測定)の方法 としては,次のような 優先順位で考慮する。すなわち,①差額の集計②按分集計③簡便法 による集 計④特記つ き全額計上の方法が挙 げ られている。最後 に,環境保全 コス トは 企業等生産 ・サービス活動 により事業エ リア内で直接発生する環境負荷 を抑 制する取組のためのコス トとし,それを①公害防止 コス ト②地球環境保全 コ ス ト③資源循環 コス トの ように具体的に分類 して説明 している。

上 ・下流 コス トはグリーン購入のように,事業エ リアの上流側で発生する 環境負荷 を抑制する取組のためのコス ト,及び企業等が生産 ・販売 した製品, 容器包装等の使用消費 ・廃棄等 に伴い,事業エ リアの下流で発生する環境負 荷 を抑制す る取組のための コス ト並 びにこれに関連 したコス トとしている。

管理活動 コス トは企業等の環境保全のための管理活動であって,事業活動 に 伴い発生する環境負荷 を抑制す ることに間接的に貢献する取組のためのコス トとしている。その具体的な例 として,社員への環境教育等のための コス ト, 環境マネジメン トの構築,運用 ,認証取得 のための コス ト,環境負荷 の監 視 ・測定のための コス ト,環境保全対策組織の人件費及び上記 に係 わる人件 費 を挙げている。

研究開発 コス トには,環境保全 に資する製品等の研究開発 コス ト,製品等 106 国際経営論集 No.23 2002

(17)

の製造段階における環境負荷抑制のための研究開発又 は企画設計 コス ト,そ の他,物流段階や製品等の販売段階等 における環境負荷抑制のための研究開 発コス トが含 まれる。社会活動 コス トとは, 自らの事業活動 に直接的には関 係ない ものの企業等の社会活動 における環境保全 にかかわる取組, または情 報公開など企業等が社会 との コミュニケーシ ョンを図るための, コス トとし ている。公表 に当たっては,具体的な取組内容 を記載することを要請 してい る。環境損傷 コス トは,企業等の事業活動が環境 に与 えた損傷 に関 して生 じ たコス ト,すなわち土壌汚染,自然破壊等修復 のためのコス ト,環境の損傷 に対応する引当金繰入額及び保険料,環境保全 に係 わる和解金,補償金,罰 金,訴訟費用が含 まれる。上記 の もの以外 の コス トについて も言及 してい

3の環境保全対策に係 わる効果 についての基本的考 え方では,その効果 を 最も正確 に把握 (測定)するため

,

「環境保全効果」 については物量単位 に よる把握

,

「環境保全対策 に伴 う経済効果」 については貨幣単位 による把握 を提案 している。前者では,環境保全対策 による環境保全効果 (環境負荷抑 制又は回避,環境の維持 ・改善 を含 む)を明 らかにす る代表的な物量指標 を, 事業エ リア内効果,上 ・下流効果,その他の効果 に分類 して具体的に説明 し ている。後者では,確実 な根拠 に基づいて算定 される経済効果 と仮定的な計 算に基づ く経済効果 とに分 けて説明 している。

4の環境会計情報の把握か ら公表‑では,企業等が外部へ情報開示する場 合には,利用者 (消葉者,投資家,地域住民等)への正確 な情報伝達 を図る 社会システム として可能な限 り統一性,共通性 を備 える必要があるとしてい る。更に,環境会計情報開示 に関連 して,①環境保全 コス ト主体型,②環境 戸仝効果対比型,③総合効果対比型の3つの公表 フォーマ ッ ト例 を提案 して

いる。

更に,付録の1環境会計情報の正 しい理解のために,付録の2環境保全 コ 巨 トの内部集計用 フォーマ ッ トについて例示 を挙げ説明 している

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関す る一考察 107

(18)

第3編のQ&A編では,24の個 々の質問に対する回答 を用意 している。ま た,第4編の事例編では大成建設(秩),キ リンビール(秩),賓酒造(秩), 日本 電気(秩),富士通(秩),松下電器(秩), ソニー(秩), 日本IBM(秩), 日産 自動車 (秩), トヨタ自動車(秩),キヤノン(秩),(秩)リコー,富士ゼ ロックス(秩),凸 版印刷(秩),(秩)イ トー ヨーカ堂, 日本生活協 同組合連合会,大阪 ガス(秩), 東京水道局等37社 (事業所)における環境会計導入の目的,環境会計 システ

ムの構築の経緯,環境会計の基本的枠組み,効果,今後の方向性 と課題等に 7)

関 して紹介 されている。

以上紹介 したように 「環境会計 ガイ ドブック」 は,環境会計の内容 とその 導入 を意図 した啓発書である。 また,詳細 については,今後の研究や実践に 待つ ところも多い。

2‑5 環境省 「環境会計ガイ ドブック Ⅰ一経営管理への更 なる活用に向けた 内部携能の検討

‑」

:

環境省では

,

「ガイ ドライン (2000年版)」公表後 も 「環境会計 に関する企 業実務研究会」を中心 に,環境会計の持つ機能について議論 を深めて きたが, その結果 を 「環境会計 ガイ ドブ ックⅢ一経営管理への更なる活用 に向けた内 部機能の検討

」 として とりまとめ,2001年5月公表 した。本 ガイ ドブック では,環境会計情報の公表の動 きが進んでいる状況 を紹介するとともに,環 境会計の内部機能により焦点 を当てた様 々な考 え方,調査研究事例 を収録 し ている。なお,本 ガイ ドブックは7章,243頁か らなる。

序章では,本 ガイ ドブ ックの目的 として,既 に環境会計 に取 り組んでいる 企業にもそ うでない企業 にも参考 となる有益 な情報 を提供することにあると

し,また,本 ガイ ドブ ックの構成 に関 して も言及 している。

第1章では,最初 に平成12年度の 「環境 にや さしい企業行動調査」 (環境 省) を引用 し,上場企業1,170社 の うち環境会計 を既 に導入 してい る もの 17%,導入検討中の もの34%と,環境会計 に取 り組む企業数が,非常 に増加

108 国際経営論集 No.23 2(氾2

(19)

したことを図表 も示 して紹介 してい る。次 に環境省 の取組 として, (1)環 境会計 にかかわる統一的な枠組み としてのガイ ドラインの提供, (2) 「環境 会計 ガイ ドライン (2000年版)」の概要,(3)環境会計 の普及促進のために 環境省が実施す る支援策,(4)「環境会計 に関す る企業実務研究会」の運営, 業種別 ワーキ ンググループの設置, (5)環境パ フォーマ ンス指標 との リン ケージ, (6)環境報告書 との リンケージに関 して説明 している。三番 目に, 環境省以外 の研究機関等 における様 々な取組 を例示的に挙 げている。四番 目

に,業界 団体や地方公共団体 における取組 に関 してここに説明 している。最 後に,世界 に日を向け,国連貿易会議,欧州会計士連盟, カナ ダ勅許会計士 協会,イギ リス公認会計士勅許協会,スイス環境省 , アメ リカ環境保護庁,

ドイツ環境省 ,オース トリア環境省,欧州委貞会,国連持続可能開発部,ア ジア太平洋環境管理会計 ネ ッ トワーク (仮称),中国環境省等,種 々の国際 機関や各国の様 々な政府機関,研究者,会計 関係者等がいろいろな意味で環 境会計 とい うことばを使 い,様 々なタイプの環境会計 について言及 している

としている。

第2章国連持続可能開発部 (UNDSD)の環境管理会計 (EMA)プロジェ ク トでは,は じめにこのプロジェク トが1998年 に国連 の持続可能 な開発委員 会 (CommissiononSustainableDevelopment:CSD)が決定 した8つの行 動領域の うち途上国‑の技術移転 におけるクリーナープロダクシ ョンの評価 および企業の意思決定 を持続可能な ものに変更す る要因研究の一環であると

している 次 に

,

「環境管理会計 の促進 に関す る政府 の役割 の改善」 に関す る専門家会合の経緯 を紹介 している。3番 目に, この会合で取 り組 まれてい る3つのワークブ ックの タイ トル,執筆者お よびスポンサー国を挙 げている

軒なわち, ワークブ ック 1

タイ トル :EnvironmentalManagementAccountingMetrics‑Procedures andPrinciples(EMAのメ トリクス)

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関す る一考察 109

(20)

執筆者 :ヤ ッシュ (low :環境経済研究所,ウィーン) スポンサー国 :オース トリア

ワークブ ック2

タイ トル :EMA andtheLinksbetweendifferentLevelsofDecision Making (EMA とさまざまな意思決定間の リンク)

執筆者 :S.シャルテ ツガ一,T.ハー ン (リュー ネブルグ大学, ドイツ), R.バ リュ ッ ト (オース トリア国立大学)

スポ ンサー国 :ドイツ ワークブック3

タイ トル :PolicyPathwaysforPromotingEnvironmentalManagement Accounting(環境管理会計 を促進する政策)

執筆者 :D.E.サベージ,L.リゴン (テラス研究所,アメリカ),∫.ロムセ ック (JOINTS,オース トリア)

スポンサー国 :カナダ,オース トリア

以上,

3

ワークブックあるが,環境管理会計の普及 ・促進のためには,そ の全体像 を捉 えることが重要である。その ような観点か ら,以下 ワークブッ ク 1の内容 を中心 に紹介 している。す なわち,4の ワークブ ック1 (EMA のメ トリクス)の内容yd,(1)ワークブ ック 1の構成,(2)環境管理会 計の定義,(3)環境 コス ト概念の拡張, (4)環境 コス ト一覧表,(5)過 用範囲の議論,(6)一歩進んだ環境管理会計lABCとマテ リアルフローコ ス ト会計 に関 して説明 している。 5の環境管理会計の リンクでは,ワークブ ック2に関連 して環境省等政府機関 と企業部門が環境管理会計の具体的な手 法 によって どの程度 リンクさせ られうるかが検討 されている。 6の環境管理 会計 を促進する政策では,ワークブック3に関連 して政府が どの ような役割 を果たすべ きかをテーマ としている。政府が環境管理会計 を促進する理由と して,以下の3つが挙げ られている。①企業 自身が環境保全 とコス トを正当 化する。⑦政策 によって企業 に与 えるコス トを明 らかにすることにより既存

110 国際経営論集 No.23 2002

(21)

の政策の有効性 を高める。③環境会計 データが将来の政策決定 に役立つ。 ま たここでは,政府機関が環境管理会計 を促進す るケースス タディも行 ってい る

。7

UNDS D

専 門家会合 の課題 では,今後 の プロジェク トとして様 々 な基準設定団体 との関係 ,ローカルアジェ ンダ21との関係等のテーマが議論 される予定で,新 しいテーマ として も, ウェブサ イ ト活用 の可能性,中小企 業のための環境管理会計, ワークブ ック 1に基づ くケースス タディ,産業別 の環境管理会計の検討 などが提案 されている

第3章の電気 ・電子 ワーキ ンググループ報告一 環境会計 における効果面 に 関する体系の整理‑ では,環境保全 コス トに対応す る経済効果 について重点 を置いた議論 を行 い,特 に貨幣単位 で表 される効果 に焦点 を当てて検討 して いる。本章は,1その 日的,

2

「貨幣単位 で表 される効果」 の全体像 ,3環 境保全効果の経済評価 ,4環境保全対策 に伴 う経済効果

,

「貨幣単位 で表 さ れる効果」の把握 に関す る課題 (ロー ドマ ップ)か ら構成 されている。

第4章の流通 ワーキ ンググループ報告一 環境保全活動 に着 目した環境会計 へのアプローチー では,流通業界 の企業が環境会計 に取 り組む際 に参考 とな る考 え方 を整理 し

,

「流通業界 における環境会計導入の手引 き」 を示 してい る。その手引 きは,ステ ップ1 :環境会計導入の 目的 を確認す る,ステ ップ 2:流通業 における環境保全活動 を把握す る,ステ ップ3:環境保全活動 の 効果 とコス トを整理す る,ステ ップ4:環境会計 の導入 に向けて実作業 をど のように進めるか,ステ ップ5:環境会計情報 をどの ようにまとめるかの5 つのステ ップか らなっている。

第5章の食品ワーキ ンググループ報告‑ マテ リアル フローに着 目 したセグ メン ト環境会計 の試み‑ では,「環境会計 ガイ ドライ ン (2000年版)の基本 姿勢の もとに,食品製造業 を念頭 において,①環境会計手法 を食品業界 によ

り広 く普及 させ る,(∋環境会計 に関す る議論 を深め, しか も食品以外 にも応 用可能な新 しい切 口を検討す ることを目指 している。本章 は,1食品ワーキ ンググループの検討課題,2環境会計の導入 と課題,3課題解決 を目的 とす

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 111

(22)

るセグメン ト環境会計の導入手順,4まとめ か ら構成 されている。

6

章の環境会計事例編一最近の特徴ある取組 を中心 に して‑ では

,2 0 0 0

年春以降 この

1

年 間に公表 された

2 9

事例 を紹介 している。 これ らをガス業 界 ・建設業界 ・ゴム業界 ・石油業界の4事例,個別企業の21事例,地方公共 団体の3事例お よび日中 (慶応大学,精華大学)エネルギー ・環境 ・経済共 同研究プロジェク トの事例の 4グループに分けている。

最後の第6章では,環境会計の外部機能に関する論点整理 としてアンケー ト,座談会形式 によるヒアリング,学識経験者 に対するヒアリングの実施 ま とめ,更 に内外の環境会計 に関する参考文献 を紹介 している。

本 ガイ ドブ ックの特徴 としては

,

「環境会計 に関する企業実務研究会」の 下 に3つのワーキンググループを設け,電機 ・電子,流通,食品の各業種の

8)

事例 をまとめたことにある が,それ以外 の業種 ・企業 に関 して も最新 の事 例の収集が待 たれるところである。

以上,環境保全 に関連する一般的な法規 ・ルールを紹介 したが,個別的な もの として大気汚染防止法,水質汚濁防止法,騒音規制法,振動規制法,悪 臭防止法,土壌の汚染 にかかわる環境基準 について,廃棄物の処理お よび清 掃 に関する法律 ,PRTR 法等枚挙 にい とまがない。環境問題 を解決 し環境 を 保全するためには,この ような法律 ・ルールだけでな く,国民の環境 に対す

る意識の変革 ・教育 も必要である。更に,企業活動,消費活動 による環境負 荷の公正 な会計 における測定,情報提供が必要不可欠である。

なお

,2 0 0 0

6

月施行の循環型社会形成推進基本法 に関 しては,別稿 に譲 る。

3 アメ リカ合衆国における環境保全のための対応

3‑1 アメ リカ合衆国における初期環境保全のための法規 ・原則

米国における環境保全運動は,1978年のフッカー社の長年 にわたる化学廃 112 国際経営論集 No.23 2002

(23)

乗物投棄 を原因 とす るラブキャナル事件 に端 を発す る。 これはフッカーとい う化学会社が1942年か ら10年間に亘 りラブキヤナ ンとい う運河 に有害物の混 入 した廃棄物 を投棄することで近隣住民 に多大な被害 を及ぼ した とい う事件 である。当時,フッカー社の行為 は合法的であったが,その30年後 にそこに 建設 された住宅や小学校 に有害ガスや悪臭が発生 し,地下水や土壌汚染が問 題 とな り,地域住民の健康 を損 ない社会問題 となった。

この事件の後,廃棄物処理場の調査結果 をもとに 「包括的環境保証責任法」

および 「スーパーファン ド改定 ・再授権法」 (両者 を併せ通称スーパーファ ンド法)が施行 された。 この法律では,汚染者負担原則が規定 され,企業が 環境 を汚染 したならばその責任 を取 らなければならない としている。米国で は,このような法律 を遵守 しているか否かを事前 にチェックする監査が進 ん でいる。スーパーファン ド法下での環境監査 は,罰金 ・訴訟回避の手段等防 衛的 ・対症法的な監査である。 この他 に州 ごとの環境保全 に関する種々の法 規等がある。

更に,1987年のパルディーズ号 とい うエ クソン社の石油 タンカー原油流出 による海洋汚染事故である。 この事件が発端 となって環境 に影響 を与 える立 場にある企業の行動 を評価する基準,お よび企業が環境問題 に関する意思決 定を行 う際の判断材料 を提供する目的でセ リ‑ズ とい う団体か ら以下の よう な10原則が発表 された。①有害物質の削減,(∋自然資源の持続可能な利用,

③廃棄物の削減 と適正処分,④エネルギーの有効利用,⑤環境,健康,安全 上のリスク削減,⑥安全 な製品 ・サービスの提供,⑦充分 な損害賠償,⑧環 境情報等の公開,⑨環境問題担当取締役 ・管理者の設置,⑲以上の各原則の 遵守状況に関する監査報告書の作成 と公表, これ らはタンカーの名称 に因ん 符 「バルディーズ原則」 と呼ばれている.

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 113

(24)

3‑2 アメリカ環境保護庁手引書 (日本公認会計士協会訳)『経営管理手法 と しての環境会計入門』"A )ntroductiontoEnvironmentalAccountingAs BusinessManagementTool:KeyConceptsAndTerms UEPA742lR 95‑0001June1995.

この手引書は同庁汚染予防 ・有害物質局か ら発行 された ものであるが,義 題 にもあるように,国民経済計算,会計等の環境会計の うち特 に,経営管理

9)

手法に重点を置いている。以下では,本手引書 の主な ものを紹介 しよう。

(1)環境会計実施の理由

(∋環境 コス トの多 くは,事業上の意思決定 によって大幅に削減 ・除去で き ること。

②削減可能な環境 コス トが,間接費勘定の中に埋 もれていることがあるこ と。

③従来,廃棄 されていた副産物,譲渡可能な汚染許可証の売却,環境技術 ライセ ンス供与等で収益 を生み出 し,環境 コス トを回収で きる企業が増 加 して きたこと。

(彰環境 コス トをよりよく管理することが,企業の成功,環境パ フォーマン スの改善,人間の健康 に多大 なベネフィッ トをもた らす こと。

(9工程や製品の環境 コス トと環境パ フォーマ ンス を理解することで,製品 のより正確 な原価計算や価格決定が促進 され,将来,環境 によりや さし い工程,製品,サービスが設計で きるようになる。

⑥企業が工程,給付 において も環境 にや さしい故 に,競争上の優位 を確保 で きる。

(う環境会計すなわち環境 コス トと環境パ フォーマ ンスのための会計 は,企 業の環境マネジメン トシステム全体の発展や運営 を支援す ることが可能

とな り,国際的企業に有効 となる。

114 国際経営論集 No.23 2(氾2

(25)

(2)環境会計 とは何 か

環境会計 とい う用語が,以下の3つの領域で異 なる意味で用 い られている としている。

①国民経済計算 における環境会計

その対象 は国家で,利用者 は外部者である。 これはマ クロ経済の尺度 であ り,GDPがその例 として挙 げ られる。 ここで環境会計 は,物量単 位 または貨幣単位 を用 いて,国家の 自然資源 の消費 を示すので 「自然資 源勘定」 と呼ばれて きた。

②財務会計 における環境会計

その対象 は企業であ り,利用者 は投資家,債権者,税務 当局等 の外部 者である。 この意味 における環境会計 は,環境負債 や財務上重要な環境

コス トについての見積お よび外部報告 の ことである

③管理会計 における環境会計

その対象 は,企業特 に,その部 門,施設,製品 ライン,システム等 で, 利用者 は内部者,特 に経営管理者である。管理会計 の主要 目的は,経営 管理 に有用 な情報 を提供 し,経営意思決定 に役立 てることである

(3)環境 コス トとは何か

環境法規 を遵守す るために発生 したコス ト,環境修復 ・汚染 コン トロール 設備のコス トお よび環境法規違反の罰金が環境 コス トに該当す る。その他 に, 環境保護のために発生 した コス トな らば規制値 を上 回るもので も環境 コス ト に属する。

更に,企業で発生す る環境 コス トを表示 し,解説 している。

(4)環境会計の適切 な規模 や範囲は存在す るか

環境会計 は,企業のニーズ,関心, 目的お よび資源 によって個 々の工程 , LUステム,製品,施設,部 門,事業部又 は企業 グループ等,様 々な規模 で適

環境経営会計 と各 国の環境法規 ・ルール等 に関す る一考察 115

(26)

図表3‑1 企業 で発生 する環境 コス トの例 隠れてい る可能性 のあ るコス ト

規制対応 コス ト 事 前 コ ス ト 自主 的対応 コス ト

・通知 .用地研 究 (遵守水準以上)

・報告 .用地準備 .地域 との関係づ くり

・監視/検査 .許可 .監視/検査

・研 究/ モデル化 .研 究開発 .訓練

・修復 .エンジニアリング及 び調達 .監査

・記録保管 .据付 .取引先 の選定

・計画 伝 統 的 コ ス ト .報告書 (年次環境報告書等)

・訓練 妻資本 的設備 .保 険

・マニ フェス ト …材料 .計画

・ラベ リング …労働 .実行可能性調査

・準備 j消耗 品 .修復

・保護設備 圭公共料金 .リサ イクル

・健康管理 再妻造物 .環境調査

・環境保 険 妻残存価 額 .研 究 開発

・財務保障 .生息地 や湿地の保護̲

・汚染 コン トロール 事 後 コ ス ト .風景美化

・漏洩の対応 .閉鎖/撤退 .その他 の環境計画

・雨水管理 .在庫処分 .環境 団体 や研 究者へ の

・廃棄物管理 .閉鎖後 の管理 財 政支援

・税金/手数料 .用地調査

偶発 コス ト

・将来の遵守 コス ト .修復 .法 的費用

・ペナルテ ィ/罰金 .財産 の損害 .自然資源 の損失

・将来の施行へ の対応 .個 人の負傷 に よる損害 .経 済的損失 による損害

・企業 イメー ジ ・専 門職員 との関係 ー債権者 との関係

・顧客 との関係 ・従業員 との関係 ・地域社会 との関係

・投資家 との関係 ・取引先 との関係 ・規制 当局 との関係

出典 :日本公認会計士協会仮訳 r環境保護庁 経営管理手法 としての環境会計入門 : 基本概念及 び用語」14。UnitedStatesEnvironmentalProtectionAgency:EPA An lnstructiontoEnvironmentalAccountingAsA BusinessManagementTool:Key ConceptsAndTen s,Washington,D.C.,1995,p.9

116 国際経営論 集 No.23 2(泊2

(27)

用できる。また,その範囲は,含まれるコストの種類に関連しているO 伝統 的コストから社会的コストへ範囲が拡大するにつれ,企業にとって具体的な 環境コストの評価及び測定が困難になる。

( 5)私的コストと社会的コストの違いは何か

実務的に可能な限り,

r

隠れたコスト

J

r

将来のコスト

J

r

偶発コスト」

及び「イメージ/関係づくりのコスト」を含む全ての私的環境コストを考慮 するよう求めている。また,経営意思決定において私的コストだけでなく社 会的コストを,できる限り質的には考慮することを推奨している。

更に,ライフサイクル的観点は,私的コスト及び社会的コストの識別・体 系化に役立つとしている。

(  6 

)誰が環境会計を実施できるか

組織に環境会計を適用するための積極的姿勢や明確な動機を与えたり,同 じ社内でも一緒に働いたことのない人同志が協業するために,最高経営責任 者の支援や職能横断的なチームが不可欠となる。

( 7 )環境会計でのコストの割当

環境コストが隠されている間接費勘定から区別され,責任ある適切な製品,

工程又は設備に直接割当てられることによって,管理者,コスト分析者,技 術者,設計者等に環境コストが明らかになり,原価管理にも役立つ。

(8 )資本予算への環境会計の適用

従来の投資代替案では,環境コスト,コスト節約及び収益に関してほとん ど考慮してこなかったため,汚染予防及び「クリーン技術

J

への投資に積極 的ではなかった。環境指向への変化に伴い,環境に係る資本投資案評価も,

資本予算へ統合する必要がある。そのために以下の4項を挙げている。

環境経営会計と各国の環境法規‑ルール等に関する一考察 117 

(28)

①環境 コス トの 目録 を作成 して数量化する。

(∋環境 コス ト・ベネフィッ トを配賦 ・予測する。

③適切 な財務指標 を利用する。

(彰環境ベネフィッ トを把握する合理的な時間的範囲を設定する。

(9)工程/製品設計への環境会計の適用

工程 ・製品の設計 は,環境 コス ト及び環境パ フォーマ ンスに重大な影響を 及ぼすので,環境配慮設計のプログラムを作成 している企業が多い。環境 コ ス ト及び環境パ フォーマ ンスの情報 を設計者 に提供することで,環境 をより 配慮 した工程 ・製品の設計が促進 される。そのために,環境問題の設計への 統合が必要であるとす る。

(10)基本用語及び基礎概念

環境会計用語が混乱 しているので,その根底 にある基礎概念 を,次の6項 目に分 けて説明 している。

(∋環境会計 とい う用語の異 なる3つの用法の要約

②環境 コス ト, フルコス ト会計, トータルコス トアセスメン ト及び関連す る用語の検討,その重要な相違点 と用語使用時の意図 される意味の明確 化

(参環境会計関連のライフサイクルに関する用語 ・概念の要約

④環境会計の コス ト配賦,資本予算及び工程/製品設計‑の基本的な適用 形態 を示す用語

(9環境 コス トとして分類 ・記載 されて きた一連の用語 リス ト

(参環境会計関連のその他用語であるABC,マテ リアル会計 ・マテ リアル ノヤランス

118 匡l際経営論集 No.23 2002

(29)

(ll)結論 :今後 に向けて

環境マネジメ ン トシステムの成功 のため には,全 ての私 的環境 コス ト ・収 益の情報 を考慮 した環境 コス ト会計 システム及 び資本予算 プロセス を持 つべ きで あ る と して い る。 また ,最 新 の情 報 は,EPAの汚 染 予 防 セ ン ター (PPIC)に連絡 し,ネ ッ トワー ク会員 に申込 む よう推奨 し,PPICの電話番 号 まで記載 している。

しか し,広大 な領土 を所有す る米 国では,小 国が境 を接 し合 ってい る ヨー ロッパ ほ ど環境問題 に緊急性が ない。それゆえ,環境 マネジメ ン トシス テム 作 りにおいて も遅 れてお り,ISOの環境 マ ネジメ ン トシステム検討作業で も ヨーロ ッパ諸 国に主導権 を とられることに注文 をつけて も自国か ら積極 的 な

10) 方策 を提唱す ることはほ とん どない。

それ どころか ブ ッシュ政権 になってか らは,ジェノバ ・サ ミッ ト(2001.7) の焦点 となった地球温暖化 防止 のための 「京都議定書」署名 に,先 陣 を切 っ て反対 している とい う状況である。 (未完)

1)在 日 ドイツ商工会議所 編 Fドイチ ャー マル ク ト』1991年12月 (臨時増刊 号)。

同 上 Fドイツ包装廃棄物規政令 その後の動向』1994年参照。

2)在 日 ドイツ商工会議所編 『ドイチ ャー マル ク ト』1998年7月 11頁。

DSDAnnualReport̀96

3) 中曽利雄総編訳 F環境先進 国 ドイツ循環経済 ・廃棄物法の実態報告一 最新 主要法令 と実際

』 (栄‑部),10頁以下。(Hrg.)Koschuetzke,Albrecht DiePraxisderKreislaufwirtscha允.ErgebnissedesKreislaufwirtschafts‑und Abfallgesetzes,1998,be主Friedrich‑EberトStifung,Bonn.

4)中曽利雄総編訳 ,前掲書 11‑13頁。

5)同上,15‑16頁,141頁以下。

6)日本環境会議編 F環境基本法 を考 える』1994年,実教 出版,125頁以下

環境経営会計 と各国の環境法規 ・ルール等 に関する一考察 119

(30)

7)  環境庁(現環境省)

I

環境会計ガイドライン (2000年版)J

8)  環境省「環境会計ガイドブックE一経営管理への更なる活用に向けた内部 機能の検討

‑J

9)  アメリカ環境保護庁手引書(日本公認会計士協会訳)

r

経営管理手法とし ての環境会計入門 j A Introduction to Environmental Accounting As  Business Management Tool : Key Concepts And Terms" EPA 742‑R‑95‑0001  June 1995.日本公認会計士協会編 『企業経営のための環境会計j日経BP社, 2000年。

10)  もちろん,米国においても IBM,スミス&ホーケン等,環境先進的企業は 別であり,一般市民の環境意識も高い。

120  国際経営論集 NO.23  2002 

参照

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