翻刻『武家不断枕』(下)
著者 山田 和人, 三宅 宏幸, 由留木 安奈, 早川 広子
雑誌名 同志社国文学
号 85
ページ 125‑167
発行年 2016‑12‑20
権利 同志社大学国文学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000016846
︿ 資 料 紹 介 ﹀ 翻 刻
﹃ 武 家 不 断 枕
﹄ ︵ 下 ︶
山 田 和 人
・ 三 宅 宏 幸 由 留 木 安 奈 ・ 早 川 広 子
︻凡 例︼ 翻 刻本 文の 表記 は現 在通 行の 字体 を基 本と した
︒ 割 注形 式は その まま 翻字 した
︒ 虫 喰い によ る判 読不 能箇 所は
□で 示し た︒ 「 㕝﹂ は﹁ 事﹂
︑﹁ 〻﹂ は﹁ 々﹂
︑﹁ ゟ﹂ は﹁ より
﹂と した
︒ 旧 漢字 は基 本的 に現 行の 字体 に改 めた
︒た だし
︑固 有名 詞に 関し ては その まま とし た︒
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﹃武 家不 断枕
﹄︵ 下︶
一二 五
︻翻 刻︼ 武家 不断 枕巻 之下 目録 内蔵 助訪 浅野 後室 事 義士 泉岳 寺江
参詣 手并
配之 事 義士 夜討 之事 上野 介最 期并
義士 立退 事 上野 介首 備廟 所并
四拾 六人 被預 事 吉良 左兵 衛註 進并
家内 被改 事 上野 介首 送并
落首 之事 夜討 之者 切腹 義付
士之 子共 被所 遠流 事 吉良 左兵 衛被 預付
四拾 六人 法名 之事
︵目 録オ
︶
︵目 録ウ
︶ 武家 不断 枕下 内蔵 助訪 浅野 後室 事 内匠 頭奥 方は 浅野 式部 妹に てな ん有 ける され は長 矩生 害の 已後 式部 方江
引取 彼館 に寡 住し てま しま すに 大石 内蔵 助機 嫌伺 ひ とし て罷 出申 入候 は私 儀近 々遠 国江
行越 申候 しか れは 五三 年も 田舎 に住 居仕 へし さも あら は御 様体 を承 り申 事も 難成 候間 御 暇乞 に参 上仕 由越 申す 後室 にも 久し くま みへ 給は すな つか しく おほ しめ され 大名 に対 面あ りて 昔今 の事 とも 物語 せさ せ給 へ り内 蔵助 退出 し次 の間 にお ゐて 附属 の︵
ઃ
オ︶侍 に向 て申 ける はか さね て草 紙の こと くな る物 を指 上け 可申 候各 寄各 封を 切
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﹃武 家不 断枕
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一二 六
られ 御内 見有 て御 披見 に入 られ 給り 候へ とこ とは り申 けれ はい つれ も是 を聞 れ定 て後 室の 徒然 をな くさ め申 さむ とて 面白 き 類書 にて も近 〳〵 申も のを 思ひ けれ は何 時に ても 勝手 にさ し越 さる へし と返 答す れは 内蔵 助暇 申て 帰り ぬ﹂ しか るに 十二 月 十五 日の 朝未 明に 上野 介殿 へ夜 討あ ると 沙汰 もな き内
﹂偖 約束 の一 封を 遣し ける 何れ も先 日大 石か 申せ し通 りに 封を 切て み れば 覚悟 の外 なる 書付 なり 去年 の赤 穂離 散の 時用 金の 内七 千両 を携 退き ける 其︵
ઃ
ウ︶金 子を 同志 の浪 人へ 合力 いた し又 は 大義 の企 に付 東西 飛脚 通用 道并
具し たゝ めゝ 入目 に遣 ける 委細 御払 の牒 面に てそ 有し 但差 引残 る所 の金 子は 京都 の呉 服所 何 某か 方よ り為 替に いた し指 上け 可申 由書 送り けり 奥方 をは しめ いつ れも 手を 拍て 内蔵 助丁 寧の 志し を感 し給 へる とか や 義士 泉岳 寺参 詣并
手配 の事 赤穂 の家 臣数 百人 の内 僅に 四十 七人 只一 人の 倡ひ に依 て始 終盟 約不 変の 義士 十一 月の 末よ り忍 ひ〳 〵に 用意 して 町宅 を引 払 ひ︵
オ︶各 手寄 の方 にそ 集り ける 抑吉 良上 総介 屋敷 は本 庄回 向院 の東 隣り 北の 方は 土屋 主税 本田 孫四 郎下 屋敷 東南 折廻 し て方 角表 門東 にあ り前 は鳥 居左 兵衛 牧野 長門 守屋 敷な り裏 門は 西に あり 前は 町屋 なり 折廻 して 平長 屋両 門と もに ひく しさ れ は上 野介 ある 時は 上杉 弾正 大弼 か白 銀原 の屋 敷に いた り五 六日 居宿 し又 或時 は従 弟酒 井主 馬屋 敷へ 来り て逗 留せ しま ゝ極 て 在宿 の程 はか り難 し然 るに 十二 月十 四日 上野 介宿 に居 て茶 湯を 催さ るゝ に客 は大 友近 江守 との を招 かる ゝ事 必定 なり と聞 す まし 是く つ︵
ウ︶き やう の時 節し かも 亡君 の銘 日に 当れ は願 ふと ころ の幸 なり とて 一味 の衆 中喜 悦し て其 覚悟 をそ した り ける 此比 度々 雪降 て十 三日 は早 朝よ り寒 風烈 しく 吹降 雪道 を埋 みけ れは 明夜 の働 に足 場を 気遣 厳寒 に指 を堕 し猛 き心 は頻 り に遁 めと も手 足の 働き いか なら んと さし もの 勇士 各案 し居 たり ける 折か ら十 三日 の夜 堀部 弥兵 衛金 友か 夢に 雪は れて 心に かな ふあ した かな とい ふ句 を夢 想に 得た り堀 部行 年七 十二 にし て武 道に は達 した りと いへ とも 歌道 連誹 の︵
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オ︶玩 びは 馬耳 の東 風猶 おも ひ よら ぬこ とな るに かゝ る奇 特の ある 事偏 に天 の告 け我 々運 を開 へき 時い たれ りと 感涙 し不 斜悦 ひい さみ て支 度を そし たり け る明 れは 十四 日の 早朝 四十 七人 麻上 下を 着し 五人 三人 つゝ つれ たつ 泉岳 寺に 参り 亡君 の廟 所に 詣拝 礼終 りて 客殿 に通 り和 尚
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一二 七
へ申 入け るは 我々 共儀 当地 に滞 留仕 候て も諸 事不 勝手 に候 へは 近日 おも ひ〳 〵他 国遠 境へ 引篭 可申 覚悟 に御 座候 就夫 何も 申 合只 今霊 魂へ 暇乞 に参 詣仕 候し かれ は中 絶つ いた しい つ又 可参 も難 斗候 へは 今日 は是 にて 傍輩 共と 緩々 と語 り合 たか ひ︵
અ
ウ︶ に名 残を 惜み 度存 候仍 て無 心の 所望 なか らか け合 の肴 をふ るま ひ被 下候 へと 申香 奠と して 白銀 三十 枚各 志し 迄の 由に て 指出 し扨 手仕 法師 に向 て昼 の間 何事 も御 構ひ 有ま しく 候茶 も望 に候 はゝ 此方 より 案内 致す へき 由申 て座 敷を 閉廻 し密 談を 遂 相図 約束 手組 手配 の内 試を 極め 今夜 丑ノ 刻に 本荘 の茶 屋へ 出合 へし 月夜 なれ とも 家内 暗か るへ し是 非な く暗 きに 切込 て同 士 打な とあ らは みく るし かる へし 蛍燭 は失 火の 恐れ あり 勝負 は夜 明て 明朝 に決 すへ し吉 良殿 屋敷 へは 明六 か前 に取 懸へ し︵આ
オ︶ とい ひ合 ける され 共勇 みす ゝむ 義士 なれ は各 先を 心か け夜 半に 約束 の場 へそ 集り ける こゝ に内 蔵助 兼て 相図 の制 詞五 ヶ 條を 示す○一 三寸 程宛 の笛 に細 き糸 を付 人々 の襟 に結 付誰 れに ても 上野 介殿 を打 取た る者 此笛 を可 吹事
○一 玄関 広間 に有 之鑓 の穂 先并
弓の 弦を 可切 事
○一 山の 問川 の答 の事
○一 布の 小袋 に薬 を入 れ息 の切 申時 舐可 申事
○一 白布 を面 々両 袖に 縫付 味方 の相 印に 可仕 事 義士 夜討 に入 事 さる 程に 四十 七人 皆一 やう に出 立け り先 板金 入の
︵
આ
ウ︶ 鎖り 着篭 之九 枚割 の鉢 金の 小手 をさ し黒 小袖 紅裏 袖の 上白 の腰 当 の上 に火 事羽 織を 着し 白ね りの たす き金 銀の 紙符 に名 字を 各書 付月 代を 剃立 髪を 四方 へ乱 して 長範 頭巾 をか ぶり 浅黄 の股 引 をか け三 人つ ゝ組 合せ 各得 道具 を持 て山 か川 かと 合詞 を定 め喚 子鳥 の合 図を 極め 十二 月十 四日 の夜 丑刻 に吉 良氏 の表 裏門 ノ 東西 へ懸 りけ る先 表門 へは 内蔵 助を始と し
大将 にて 順相
ふ士 二十 四人 裏門 へ片 岡源 五右 衛門 を頭 とし てつ ゝく 輩二 十三 人や ねに 梯を かけ て長 屋を 乗越 馳廻 んと すれ は上 野介 家中 俄に 騒動 して こは いか なる 事そ と︵
ઇ
オ︶う ろた へ迷 ふ隣 屋敷 門前 の町 人共 驚
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一二 八
き火 事そ と仰 天す る所 に兼 而屋 敷の 外に 検見 を両 人残 し置 けれ は此 者共 申や う是 は全 く失 火に あら す上 野介 殿屋 敷へ 敵打 有 之候 毛頭 外へ 障申 義無 之候 間努 々何 れも 騒き 申さ るゝ 事あ るへ から すと 制し 申偖 内蔵 助謀 を以 て大 勢の 如く に見 せん と思 ひ て二 三百 人ば かり も手 分を した るや うに 呼は りけ れは 内に は大 勢に 取懸 られ しと 周章 ふた めく 所を やね の上 より 半弓 を以 て 矢比 に引 詰射 立け るに ぞ家 中に おゐ て面 をむ かふ る者 一人 もな しゆ へに やす 〳〵 と長 屋を 乗越 へ先 門番 人を 切殺 し︵
ઇ
ウ︶ 其ま ゝか けや 槌を 以て 玄関 の戸 を鴨 居共 に打 放す 時に 大高 源五 大音 揚て 浅野 内匠 頭家 来武 恩を 泉下 に報 んた め只 今寄 来り 候 我と 思は ん人 々出 合や つと 呼は り四 十七 人の 輩兼 て相 図の 笛を ふき 立呼 喚て 乱入 る上 野介 家中 には すは や敵 の入 たる と上 を 下に 混乱 して 駈出 んと すれ は小 屋の 口々 には 鎗衾 を作 て待 懸た り然 共義 を思 ふ士 有て 狼籍 者を 打留 んと 走り 出る 所を 大石 主 税弓 勢の 達者 にて よつ 引放 矢戸 壁二 三枚 ぐつ と射 通し けれ は此 矢に おそ れて 其後 はあ へて 進む もの もな かり し所 に四 十余 の 大男 いて 物み せ︵
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オ︶ん と踊 出す んの 延た る刀 を以 てま いり 候ふ と打 てか ゝる 近松 勘六 得た りや 応と 一文 字に 切立 れは か の男 か□
□ふ つて 逃ゆ くを 余り に強 く追 ける に本 より 勘六 案内 知さ れは 足も とに 蹶て 泉水 に落 たり ける 大男 は逃 るに 勢を 入 て跡 を顧 すあ われ 取て 帰し なは 勘六 は忽 打る へか りし をお もへ は運 の強 さよ と独 り笑 ふて 近松 は泉 水よ りお とり 上る 爰に 小 林平 八と て三 十は かり の男 戸田 流の 剣術 の達 者に て甲 斐〳 〵し き者 なれ は内 々上 野杉
方よ り上 野介 に附 置れ ける か折 ふし 長屋 に有 けれ は夜 打の 者共 小屋 の口 々を さゝ ゑて 鑓半 弓に て固 めけ れは いか ゝせ んと
︵
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ウ︶ 思ひ ける に寄 手の 方よ り下 知し て 逃る 者は 其ま ゝに して 女おんな 童わらんへ 小者 杯は 扶よ と呼 はる 声を 聞て 平八 則小 者の 逃る に紛 れて 小屋 口よ り匍 出彼 是と 渡し 合秘 術 を尽 して 働き けれ 共横 川勘 平矢 頭右 衛門 七に 両方 より 挟れ 数ヶ 所手 負て 立所 に倒 れけ り偖 玄関 より 切入 輩一 間〳 〵の 戸を 破 り座 敷へ 乱れ 入け れと も家 内暗 くて 物の 色見 へさ れは かね て用 意し て後 先を 削中 に鍔 をは めて つね のこ とく に拵 たる 物に 蝋 燭を 燃し 壁一 間に 二ヶ 所三 ヶ所 つゝ 指け れは 座敷 は恰 も昼 のこ とし かゝ る所 に年 比二 十計 の男 白柄 の長 刀杖 につ き︵ઉ
オ︶ さも 優々 と出 にけ る武 林唯 七是 をみ てあ つは れ器 量骨 から 尋常 の人 なら すい かさ ま上 野介 の子 息左 兵衛 なら んと よろ こひ は しり かゝ つて 丁と うつ 太刀 眉間 へ切 付け れは かの 男若
長刀 を捨 逃行 所を 後よ り肩 先か けて 切つ 先は つれ に打 付け る所 に横 合よ
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一二 九
り六 十余 の大 男か け隔 りけ る内 に件 の相 手は 逃の ひけ る其 時堀 部安 兵衛 武林 に入 替り 爰を は我 にま かせ 給へ よと 長船 の祐 定 か永 正年 中に きた ひた る二 尺五 寸の 刀を 以て 面も ふら す戦 たり かの 男は 抜群 の器 量打 物の 達者 と見 えて 縦横 無尽 に打 てか ゝ るさ れ共 安兵 衛は 先年 高田 馬場
︵
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ウ︶ にて 大勢 に取 巻れ て類 なき 働を した る大 剛の 者な る上 既に 必死 と思 ひ定 め殊 更帯 た る太 刀は 備前 鍛冶 の出 来物 盤石 をも たや すく 切割 程の 最上 の剣 なれ は何 かは 以こ ろふ へき 彼大 男二 つに なつ て失 にけ り其 外 志あ る侍 共思 ひ〳 〵に 働け れと も寄 手は 兼て 義を 先と し勇 を宗 とし て必 死に 極た る者 共な り吉 良方 には 待も ふけ たる 事な れ は或 は手 負又 は追 散さ れ逃 隠る ゝの みに て身 をあ やぶ み命 をか へり み寄 手を 一人 も打 とめ さる こそ 云甲 斐な き事 共な り然 る 所に 隣屋 敷土 屋主 税よ り若 も狼 藉も の堀 を越 て来 るか 又は 失火 の有 もや︵
ઊ
オ︶ せん とて 提灯 を指 上弓 おし はり 打物 ひら め かし 大勢 の声 にて ひし めき けれ は必 定上 野介 方へ 加勢 の様 子に 見え けれ は小 野寺 十内 原惣 右衛 門片 岡源 五右 衛門 やね に揚 り 高声 に呼 はり ける は抑 是は 浅野 内匠 頭家 来主 人の 仇を 報ん かた め夜 打に 押寄 候相 構て 貴辺 の騒 動に 及ふ へか らす 本よ り失 火 の義 も用 心仕 事に 候我 々よ り其 元へ は何 の遺 恨も 無之 候間 毛頭 手向 申所 存無 之候 乍然 上野 介殿 へ助 太刀 なさ るゝ にお ゐて は 不及 是非 御相 手に 罷成 り候 はん と勢 ひ猛 にの ゝし りけ れは 主税 との けに もと や思 はれ けん 其後 は穏 便に 被扣︵
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ウ︶ けり 上野 介最 期并義士 立退 事 去程 に夜 打の 人々 一間 〳〵 へ切 入て 思ま ゝに 振舞 しか とも 其後 は敢 て遮 る者 もな かり けり 偖内 蔵助 逃行 侍の 中一 人搦 捕て い かに 御手 前命 おし くは 上野 介と のの 寝間 へ案 内せ よと いひ けれ は承 ると 申て 手燭 を提 て先 立て 行け るに 押入 のこ とく しつ ら ひ二 枚戸 に指 萱し て鎖 をお ろし たる 所あ り是 こそ 寝間 よと 教る にま かせ 磯貝 十郎 左衛 門戸 を踏 破り 内に 入て みれ は寝 床は 残 りし も枕 元に 刀は 有な から 主は みえ す大 石瀬 左衛 門布
︵
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オ︶ 団を 捜り てみ れは 少し 温り 有偖 は遠 くは 逃給 ふま しと 口々 に 呼は り彼 案内 者に 蝋燭 を出 させ 各手 燭を とも しつ れこ ゝか しこ 部屋 〳〵 縁の 下迄 残る 隈な くさ かし ける 事三 度に 及と も敵 は みえ す其 時何 れも 𪘂を なし あゝ 年来 の所 存空 しく して 打洩 す事 の口 惜さ よも はや 運命 是迄 なり いざ 腹切 んと いひ けれ は内 蔵 助申 ける はか く有 へき と思 へは こそ 勝負 は兼 て夜 明て 決す へし と定 めし 物を しか し切 腹せ ん事 はい つと ても やす かり なん 今︿資 料紹 介﹀ 翻刻
﹃武 家不 断枕
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一三
〇
一度 さか して 見ん とか さね て手 分を して 尋ね ける に納 戸の 内に 長持 のあ りけ る上 に白 小袖
︵
ઋ
ウ︶ を覆 ひ女 の姿 に見 えけ る 物あ り不 審さ よと て武 林唯 七十 文字 の鎗 をも つて 突け れは 長持 の向 へこ ろひ 落け り間 十次 郎走 り懸 り白 小袖 を引 はき みれ は 六十 余り にし て孤 付の 男な り必 定上 野介 との なる へし と押 へて 首を 取た りけ るさ れと も吉 良と のを みし りた る者 なし 内蔵 助 急き 立よ り額 に古 疵の 跡あ りや とみ れと も血 に染 てみ へわ かす 死骸 をあ らた めよ 腰に 古疵 あら は上 野介 との に疑 ひな し額 と 腰と の疵 は殿 中に て去 年家 君の 太刀 跡な りと 何れ も火 を近 付て 立寄 見れ は下 に白 小袖 上に 亀綾 の衣 裳に 桐の 紋あ りさ れは こ そ並 の人︵10 オ︶ には あら しと 帯を 解て 改め ける にい かに も内 蔵助 か申 如く 後に 太刀 疵あ り今 は疑 なき 上野 介よ と人 々歓 ふ 事不 斜さ りな から 生捕 のも のに 尋ね て案 堵有 へし とて 首を 見せ けれ は弥 上野 介と のに 紛れ なき よし 分明 に申 に付 やか て首 を 白小 袖に つゝ み帯 にて かゝ け後 日の 印に とて 鼻紙 袋を 取そ へ十 次郎 にも たせ 扨相 図の 笛を 吹立 れは 惣勢 寄合 蝋燭 を消 し処 々 の火 を湿 し兼 て認 め置 し口 上書 を玄 関に 残し 人数 を揃 て手 負を 改め 心静 に外 へ出 只今 当敵 上野 介と のを 打取 立退 候目 前に 主 を打 せ無 念思 ふ人 々は なき かな と出 合て 打留 ぬそ 臆し てみ ゆる もの
︵10 ウ︶ かな と声 〳〵 に恥 しめ 訇け れと も彼 等か いき ほ ひに 気を のま れて や小 屋中 には 鳴を 静て 居た りけ るそ れよ り大 石か 下衣 を以 て敵 の首 を守 護の ため 堅固 の士 五人 手明 にし て 四十 七人 の真 中に 取り 囲前 後二 手に 人数 を分 若路 次に て遮 るも のあ らは 可防 と四 方に 眼を くは つて 立退 ける 其勢 粲然 とし て 辺を 払て 見え にけ り横 雲空 にた なひ くこ ろ回 向院 門前 へい たり て若 追手 や来 らん かと 待け れと も跡 より つゝ く者 もな しさ あ らは 暫時 息を 休ん と無 縁寺 へ立 寄門 をた たき けれ とも 不通 に答 る者 もな けれ は是 非な く︵ 11オ
︶近 所の 酒屋 に見 せ棚 の戸 を 開く 処へ 駈込 湯を ひと つ給 り候 へと 望け る湯 はい また 沸し 不申 と答 ふ然 らは 餅つ かれ さふ らふ 間酒 ひと つ給 り候 へと いふ に 酒屋 十兵 衛を 始召 仕の 者共 人々 の紅 を絞 りた るこ とく 怪か らぬ 形勢 をみ てお とろ きお もひ こは そも 何事 やら むと 心元 なく お ほへ けれ はい とや すき 御事 にて は候 へ共 居酒 は御 法度 にて 御座 候故 進し 事難 成よ しを 申其 時片 岡源 五右 衛門 申け るは 天下 第 一の 御法 度を 破り 御城 下を 騒せ 申す 我々 にそ れ式 の事 を何 の御 法度 とい ふ事 やは ある 是酒 代な りと て□ より 大高 源五 鼻紙 を 内へ 投入 柄酌 天目 をも つて
︵11 ウ︶ 各立 寄あ ゝ生 涯の 本望 相達 し何 事か 是互 にし かん とと つと 笑て 引請 〳〵 飲に ける 其時 大
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一三 一
高源 五亭 主に 硯を 乞請 て畳 紙に 書付 けり 山を 砕く 力も おれ て松 の雪 右に 酒代 なり とて 鼻紙 を指 出し ける 中に 金子 二両 有之 上を 封し て書 付あ り元 禄十 五年 十二 月十 四日 浅野 内匠 頭家 来大 高源 五 打死 之死 骸取 置候 方へ の酒 代な りと 記し 置た りさ らは 泉岳 寺へ いそ くへ きと て立 出ぬ 曲輪 の内 は恐 れ有 とて 一ッ 目の 河岸 よ り六 間堀 にか ゝり 稲荷 橋よ り鉄 砲洲 へ出 黒田 伊勢 守屋 敷近 所に 年来
︵12 オ︶ 内匠 頭屋 敷へ 懇に 出入 町人 あり 内蔵 助を はし め 皆々 能相 しり て常 〳〵 頼母 敷志 しの 者な るゆ へ彼 者の 宅へ 立寄 可休 息と て表 の戸 をた ゝけ はあ つと 答て 出向 ひ人 々の 様子 を みて 偖は 今夜
□本 望遂 られ 只今 立退 せ給 ふよ なあ ゝ目 出度 候事 私式 も別 而悦 ひ奉 り候 いさ まつ 是御 通候 へと て一 間に しや う し俄 に粥 を焼 酒を 出し 心限 りに もて なし こゝ にて 暫く 休息 しと かふ する うち はや しの ゝめ も明 はな れか くて 人目 もい かゝ と て亭 主に 暇乞 して 又行 列を 備へ 立出 ける 右同 心の 中に て吉 田仲 左衛 門冨 森助 右衛 門両 人を は道 より
︵12 ウ︶ 直に 大目 付仙 石 伯耆 守と のへ 付届 の使 に遣 し又 足軽 寺沢 吉左 衛門 は始 終報 讐の 註進 とし て広 島大 学殿 の方 へ差 登せ けり 是よ り後 都合 四十 六 人と そ聞 えけ る 上野 介首 を具 廟所 四并
拾六 人被 預事 十二 月十 五日 明ヶ 六か 過大 石内 蔵助 指図 とし て中 途よ り吉 田忠 左衛 門冨 森助 右衛 門両 人大 目付 仙石 伯耆 守殿 付江
届の 使に 参 り取 次桑 名武 左衛 門を 以申 上□
□旨 趣は 私共 儀浅 野内 匠頭 家来 にて 御座 候兼 て御 存知 之通 去年 吉良 上野 介と の為 に内 匠頭 横 死仕 候依 之主 の仇 にて 候へ は今 晩彼 御館 夜江
打に 入遂 本︵ 13オ
︶望 を只 今泉 岳寺 引江
取候 高家 の歴 々に 対し 不肖 の身 とし て 挍鬱 憤を の條 近比 恐入 存候 へ共 君父 の仇 には 共に 天を 戴へ から さる の儀 難黙 止如 右の 仕合 たゝ ひと へに 継亡 主の 意趣 を申 迄 に御 座候 此上 はい かや う共 御下 知を 相待 罷在 候と 公儀 を憚 りた る体 にて 作法 神妙 に式 台の 下に 大小 をぬ き置 謹て 申上 る取 次 武左 衛門 委細 聞届 腰の 物は 其ま ゝに 被帯 候様 とニ
申せ は脇 指は かり 帯し ひか へ居 けり 暫時 有て 伯耆 守と の羽 織袴 にて 内玄 関 へ出 られ 両人 へ上 り候 様ニ
と申 さる れは 土足 のよ し断 申て 夜打 の意 趣を 直に 申達 相残 る者 四拾 四人 は芝 泉岳 寺へ 立退 罷在 候
︿資 料紹 介﹀ 翻刻
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一三 二
何︵ 13ウ
︶分 にも 被仰 付候 様奉 願候 と申 達す 伯耆 守と の委 細聞 届ら れ先 両人 休息 仕候 やう にと 土足 を洗 はせ 座敷 に請 し取 次 用人 なと 出合 馳走 せら る伯 耆守 登城 の支 度あ る内 に右 両人 に問 書を 被申 付け れは 則夜 打の 次第 を有 増に 申て 書せ られ 頓て 其 御書 を持 参に て伯 者守 殿は 早々 登城 あり 御老 中若 年寄 衆御 対談 の上 にて 先四 拾六 人の 輩を 細川 越中 守殿 松平 隠岐 守殿 毛利 甲 斐守 殿水 野監 物正 殿右 四ヶ 所に 御預 けに 可被 仰付 に相 窮り それ より 御徒 目付 六人 御小 人目 付拾 人泉 岳寺 へさ しつ かわ され け る偖 夜打 の人 々手 負を 扶け 肩に かけ 泉岳 寺へ 至り
︵14 オ︶ 和尚 へ申 入け るは 我々 は昨 日参 詣仕 たる 浅野 内匠 頭家 来共 にて 候 主の 仇吉 良上 野介 殿を 今暁 打取 候て 是迄 馳込 候御 寺へ おゐ て毛 頭狼 籍の ふる まひ も仕 るま しく 候上 野介 殿首 を内 匠頭 廟前 へ そな へ候 て後
□い かや うと も可 罷成 候ま つそ れ迄 は大 門を 閉置 れ候 へ勿 論大 目付 衆迄 途中 より 右の 段御 届申 上候 得は 曽て 御 気遣 之儀 無之 由申 遂り 亡君 の墓 所へ 通り 香炉 抹香 を乞 請磯 貝十 郎左 衛門 手桶 に水 を汲 来り 首を 洗ひ 偖石 塔の 二段 目に そな へ 皆々 廟所 を取 り巻 かし こま つて 両手 を地 につ き居 たり ける その 内に 内蔵 助紙 筆を 請追 善の 文を した め次 に懐 中よ り︵ 14ウ
︶ 守刀 を出 し白 刃に して 石塔 の上 壇江
柄を 向へ 置一 番に 内蔵 助自 分仮 名実 名を 名乗 焼香 いた し此 刀は 先年 君よ り拝 領し たる 刀 なれ は草 葉の 蔭に て御 手を おろ され 御本 望遂 られ 候へ と右 之刀 を取 上け 上野 介の 首の 上に 三度 当て 退は 相残 る面 々次 第〳 〵 に一 人宛 名乗 て焼 香い たす 時三 村次 郎右 衛門 は台 所人 なれ は祐 筆よ りは 下役 なり 然る に祐 筆不 破数 右衛 門事 ゆへ あつ て先 年 内匠 頭殿 勘気
□蒙 り浪 人し て居 たり しか 此度 大石 に同 志し て一 列に 加り けり 然れ 共勘 気の 身な れは 人な みに 焼香 を憚 り墓 所 より 遥に 隔り さし うつ ふ︵ 15オ
︶ひ てひ かへ ける 其時 内蔵 助是 を察 し廟 所に 向ひ て申 ける は不 破数 右衛 門事 一旦 御勘 当を 蒙 り候 へ共 旧恩 をわ すれ す此 度我 々一 所に 相加 り殉 死の 志し を決 し候 事神 妙に 存候 あわ れ此 上は 御勘 気を さし 赦さ れ焼 香仕 候 様に 被仰 付候 はゝ 私に おゐ て難 有可 奉存 由高 〳〵 と申 上暫 時あ つて いか に数 右衛 門只 今御 勘気 御ゆ るし なさ るゝ 間御 側近 々 寄て 焼香 致さ れよ とい へば 数右 衛門 涙を 流し 墓所 に向 ひて 一礼 しけ り偖 其次 に三 村次 郎右 衛門 焼香 いた しぬ 誠に 其作 法神 妙 なり けり 是を まの あた り見 ける 泉岳 寺の 出家 衆各 感涙 を流 され ける とな り偖 内蔵 助追 善の 文を 高声 に読 上る
︵15 ウ︶
或は 云此 文は 祐筆 中村 勘介 書た ると いへ り則 泉岳 寺に 納り たる を借 り請 てう つし 侍り ぬ
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﹃武 家不 断枕
﹄︵ 下︶
一三 三
元禄 十五
午壬
歳十 二月 十五 日大 石内 蔵助 良雄 始足 軽寺 澤吉 右衛 門迄 都合 四拾 七人 謹而 奉㆑
告㆓
亡君 尊霊 之㆒
趣去 年三 月十 四日 吉 良上 野介 殿刃 傷之 節障 有之 御本 望不 被遂 剰及
㆓卒 爾之 沙汰
㆒御 一人 生害 之段 家臣 僕下 千度 百度 雖㆑
嚙噬
臍更 無㆑
益至 極之 悲歎 徹㆓
骨髄
㆒畢 然御 公義 之上 如是 企尊 君之 非㆓
御心
㆒却 而御 怒之 程奉 恐入 候得
□苟 食㆓
貴禄
㆒臣 共不 可載 天之 義難 黙止 可㆑
奉㆑
継㆓
御意 趣 遺念
㆒時 節相 待候 事一 日三 秋之 思而 己因 四拾 七人 雨彳 雪立 不安 寝食 或病 身老 衰︵ 16オ
︶之 者共 決㆓
殉死
㆒候 共頼
㆓蟷 螂肱
㆒相
㆓招 嘲哢
㆒遺 尊霊 之虚 名可 申歟 幾度 廻思 慮候 処昨 夜半 各申 合上 野介 殿館 押江
懸則 怨讐 首提 奉㆑
備㆓
御廟
㆒候 間於
㆓苔 下㆒
晴御 欝憤 候 者臣
蟄等
懐啓 一時 可有 奉謝 報恩 候哀 丹心 有㆑
誠而 玄鑑 無㆑
誤照 尊魂 之迷 衢敬 白 右の 一紙 読終 て皆 一同 に哀 涙袖 をし ほる よそ ほひ 譬ふ るに もの なし 其後 内蔵 助よ り和 尚へ 使を 立て もは や焼 香相 済候 間大 門 を開 かせ られ 候へ と私 共儀 本懐 相達 申上 は毛 頭残 心無 之し かれ は廟 所に おゐ て切 腹仕 へし 高家 の御 首︵ 16ウ
︶に て候 得共 主 人の 怨敵 たる 故を 以不 得已 止霊 前へ そな へ多 年の 君恩 奉公 の志 を遂 申候 され は暦 々の 御首 を汚 し申 事其 恐不 少候 御出 家の 事 に候 間此 上は 宜様 御ニ
取計 ひ被 下候 へと 申て 則首 を送 りけ る時 に和 尚法 衣を 着し 墓所 へ来 りて 申さ れけ るは 誠に 各節 義の 志 感し 入尤 存ニ
候し かし なか らか 様ニ
寺内 へ被 入来 候上 は世 法難 黙止 候間 我等 存寄 有之 只今 寺社 奉行 へ出 頭候 拙僧 帰山 まて は 必生 害あ るへ から すと 約諾
□て 寮に よひ 入粥 を出 し酒 なと 進申 所へ 御徒 目付 六人 御小 人目 付十 人泉 岳寺 へ来 り和 尚へ 内通 し 内蔵 助を 呼出 し各 へ御 用之 儀有 之間 何れ も揃 申︵ 17オ
︶候 て仙 石伯 耆守 宅へ 被参 候様 とニ
申渡 され ける 内蔵 助謹 て御 請申 上 暫時 あり て我 〳〵 異体 にて 御目 付へ 参上 仕候 事頗 無礼 之至 奉存 候し かり とて 只今 礼服 に相 改候 事難 成候 いか ゝ可 仕哉 此時 節 に御 座候 へは 隙を うか
□ひ 申者 も可 有之 与被 存候 然れ は兵 杖を 不帯 自身 参候 事其 備な きか にて 候途 中の 警固 にて も可 被仰 付 か御 下知 を奉 乞之 由申 上る 時に 御徒 目付 より 被伝 聞候 は途 中警 固は 不被 仰付 候面 々一 連に 勝手 次第 町駕 籠に ても 歩行 にて も 可被 参候 衣服 の儀 承届 候其 体に てく るし から す勿 論鑓 長太 刀の 類は 手負 疲た れ人 のつ えに も可 相成 候ま ゝ武 道具 各携 へ可 被 申由
︵17 ウ︶ いひ 渡さ れ御 目付 衆は 先達 て帰 られ けり かく て四 十四 人の 輩装 束を つく ろひ 行列 を調 立出 る時 勇々 敷そ みえ し 着座 の節 は殊 外草 臥た る風 情に 見え ける か今 又打 立つ 其勢 ひか ひ〳 〵し く又 一働 も可 成体 にお ほへ けり 路次 に上 杉弾 正大 弼
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﹃武 家不 断枕
﹄︵ 下︶
一三 四
下屋 敷あ り此 人は 上野 介と の為 に実 子な れは 不意 に人 数出 向ひ 遮る こと もや 有ん と其 所に て何 も立 留り 前後 を待 合せ 心静 に 打過 ける 内蔵 助を はし め各 器量 骨柄 いつ れ優 劣あ りと も見 えす 誠に 今度 のふ るま ひか ゝる 希代 のこ とゝ も同 時に 生れ 主と な り臣 とな るか 上其 恩を 施せ は下 其忠 を励 すと 見る 人聞 人お しな へて 感心
︵18 オ︶ せぬ はな かり けり 既に 酉ノ 下刻 伯耆 守殿 屋 敷へ 着ぬ 一町 手前 より 先へ 使を 立て 私共 武具 を帯 し御 門前 迄参 上候 事恐 れ奉 存候 間御 屋敷 の外 にす て置 可申 哉と 伺ひ けれ は 伯耆 守殿 より 尤に 候間 外に 指置 候へ のよ し返 答有 ける ゆへ 路の 傍の 溝に 投入 たか ひに 今生 の暇 乞可 申と 四拾 四人 互に 今生 の 暇乞 来世 の参 会を 約諾 して 門内 にい りぬ 偖土 足を あら はせ 書院 の縁 通り に上 置伯 耆守 殿を 始御 徒目 付衆 列座 にて 被申 渡け る は各 儀四 人の 大名 に御 預け 被仰 付候 人数 指分 候通 十七 人は 細川 越中 守へ 十人 は松 平隠 岐守 へ十 人は 毛利 甲斐 守へ 九人 は水 野 監物 正へ 配︵ 18ウ
︶分 して 被相 渡と の事 なり 兼て 預り の大 名衆 へ内 意あ りし 事な れは 四ヶ 所の 衆よ り先 達て 留守 居人 数を 連 越し 亥の 上刻 玄関 にお ゐて 御目 付衆 細川 越中 守留 守居 を呼 出し 書付 を以 て十 七人 の輩 を被 相渡 ける 乗物 十七 挺門 内へ 入式 台 にて 一人 つゝ 請取 懐を 改玄 門前 にて 段々 乗物 に乗 せあ とに 刀筥 十七 持参 し大 小に 札を 付一 挺つ ゝ出 しぬ 乗物 一挺 に騎 馬の 侍 三人 歩行 侍三 人足 軽十 八人 つゝ 相添 先き 乗は 留守 居堀 内平 八跡 は家 老一 人押 へて 已上 二千 はか りの 人数 にて 静に 路を あゆ ま せ行 折柄 師走 の望 の月 空へ 帰た る夜 もの すこ く提 挑灯
︵19 オ︶ 揚挑 灯さ なか ら昼 にこ とな らす 四ヶ 所の 大名 いつ れも 心つ か ひの 行装 甲乙 あり とは 見え す各 屋敷 へ行 越し 給ふ 其中 に水 野監 物正 殿の 人数 勝て 美々 敷出 立路 次の 警固 厳重 に有 しと 也 御預 りの 輩請 取小 屋へ 入置 るゝ 次第 小屋 付の 人給 人四 人歩 行士 四人 下男 三人 御預 けの 輩屋 敷へ 参着 早速 行水 いた させ 手負 には 医師 を付 養生 させ られ 其ま ゝ小 袖三 ッ宛 帯下 帯夜 着蒲 団羽 二重 絹の 類色 楊 枝畳 紙等 也 始終 料理 二汁 五菜 昼餅 菓子 夜温 純蕎 切之 類 火は ちた はこ 慇ニ
出ル
よの つね の御 預と は違 候間 従︵ 19ウ
︶
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﹄︵ 下︶
一三 五
公義 御差 図無 之諸 事見 合次 第と の事 なり 預り の大 名対 面の 節何 れも 謹て 礼謝 しし はら く存 命の 内御 厄介 に可 相成 旨申 上て 退 く其 中に 松平 隠岐 守殿 は病 中に て対 面無 之と なり 四ヶ 所大 名の 門前 に落 首を 立た り 流す なら おき にか ひあ る大 名を 細川 水の せき とめ よか し 吉良 左兵 衛註 進并
家内 改ら るゝ 事 十二 月十 五日 の朝 吉良 左兵 衛よ り用 人粕 屋平 馬を 以て 御老 中土 屋相 模守 殿へ 相達 し候 趣は 今夜 八ッ 半時 浅野 内匠 頭家 来私 宅 へ切 込同 姓上 野介 を殺 害︵ 20オ
︶い たし 候ニ
付私 立合 手負 申候 狼藉 人の 内深 手負 候も の御 座候 得共 引ま とひ 立退 申候 ゆへ 死 骸は 残り 不申 候事 急に 御座 候ニ
付口 上に て訴 へ申 由な り取 次の 衆粕 屋平 馬に むか ひ貴 殿は 立合 不被 申や とた つね けれ はさ ん 候非 番に て罷 在候 故出 合不 申と こた ふ右 の口 上相 模守 殿聞 届ら れ頓 て御 目付 安部 式部 松田 五左 衛門 両人 に御 徒目 付六 人并
御 小人 目付 六人 相添 左兵 衛屋 敷へ 見分
届と して 指越 れ手 負死 人を 改ら れけ る 上野 介家 来死 人 一南 小屋 前
上野 介へ 上杉 より 付人
小林 平八 郎
三十 一歳
︵20 ウ︶ 一座 敷ニ 而 左兵 衛用 人
鳥井 利右 衛門
六十 歳
一居 間の 次
左兵 衛用 人
須藤 与右 衛門
年不 知
一台 所ニ 而 上野 介中 小性
清水 一学
二十 三歳
一台 所口
ニ而 上野 介中 小性
大須 賀治 右衛 門
三十 歳
一小 屋前
左兵 衛中 小性
左古 田源 五郎
四十 歳
一小 屋出 口
上野 介中 小性
新貝 弥七 郎
年不 知
一小 屋出 口
上野 介中 小性
小塚 源次 郎
二十 三歳
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﹄︵ 下︶
一三 六
一同 所
上野 介祐 筆
鈴木 元右 衛門
三十 五歳
一同 所
左兵 衛中 小性
斎藤 清左 衛門
年不 知
一台 所口
左兵 衛祐 筆
笠原 長太 郎
年不 知
一同 所
左兵 衛役 人
柳原 平右 衛門
二十
︵五
21オ
︶ 一小 玄関 前
小坊 主
鈴木 松竹
十七 歳
一同 所
小坊 主
牧野 春斎
十五
一台 所口
台所 下役 人
半右 衛門 一表 門番
足軽 壱人
一小 玄関
中間 壱人
死人 合拾 七人 右之 内十 一人 は刀 脇指 に血 付切 込有 り残 六人 は働 不知 上野 介家 来手 負之 者 一小 屋出 口
上野 介家 老
松原 多仲
四十 歳
一番 所ニ 而 左兵 衛取 次
斎藤 十郎 兵衛
二十 五歳
︵21 ウ︶ 一同 所
上野 介用 人
清水 冨右 衛門
四十 歳
一座 敷に て 上野 介用 人
宮石 所左 衛門
五十 歳
一同 所
左兵 衛中 小性
宮石 新兵 衛
三十 歳
一小 屋出 口
左兵 衛中 小性
山好 新八 郎
年不 知
一同 所
左兵 衛役 人
加藤 太左 衛門
三十 六歳
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﹄︵ 下︶
一三 七
一同 所
左兵 衛近 習
永松 九郎 兵衛
二十 三歳
一同 所
上野 介中 小性
杉山 三左 衛門
二十 五歳 深手 ニ而 十五 日之 朝ニ 入死 ル
一玄 関間
上野 介中 小性
天野 定之 丞
三十 四歳
一同 所
右同
堀田 勘左 衛門
二十 五歳
一小 屋出 口
右同
伊藤 喜左 衛門
二十 三歳
一同 所
右同
石川 彦左 衛門
年不
︵知
22オ
︶ 一同 所
右同
杉山 与五 右衛 門
年不 知
一同 所
右同
真田 伝八 郎
右同
一小 屋出 口
足軽 頭
大河 内六 郎右 衛門
右同
一台 所に て
足軽 弐人
森半 右衛 門 岩田 孫兵 衛
一中 間三 人
門下 番
八太 夫
駕者
兵左 衛門
馬屋 者
吉左 衛門 已上 弐拾 壱人 上野 家来 無疵 之者 一小 笠原 忠五 郎 粕屋 平馬
平澤 助太 夫 新見 伝蔵
高橋 次郎 右衛 門 表門 番足 軽壱 人 裏門 番足 軽十 人 合七 人中
小性
村山 甚 五右 衛門
徒士
石原 弥右 衛門
同
柳原 五郎 右衛 門同
古澤 吉右 衛門
以上 四人 は欠 落仕 候徒 士六 人足 軽︵ 22ウ
︶十 人中 間九 十二 人は 小屋 口へ 鎗を 付小 屋よ り外 へ出 し不 申候 一上 野介 家老 左古 田孫 兵衛 六十 七才 左兵 衛家 老斎 藤宮 内六 十四 歳右 両人 壁を 破り 逃出 向町 唐笠 屋三 右衛 門と 申者 方に かく れ 度由 頼申 付ニ
前の 自身 番所 にか くし 置夜 打静 りて 後又 右の 穴よ りは ひ入 申候 上野 介用 人岩 瀬舎 人三 十七 歳右 の両 人と 申合 候 様に 額に 疵有 之但 刀疵 鑓疵 とも 見へ 不申 剃刀 疵の やう に見 へ申 付御 改の 上右 無疵 の者 の中 に入 申候
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﹄︵ 下︶
一三 八
上野 介宅 へ見 舞申 一類 衆 荒川 丹波 守
上野 介従 弟違
東城 隼人
上野 介従 弟
酒井 主馬
︵23 オ︶
上野 介 従 弟
高木 宇右 衛門
同又 従弟
伊藤 志摩 守
同従 弟聟
津軽 采女
上野 介聟
夜打 之者 共上 野介 屋敷 へ捨 置候 品々 一弓 二張 内
一張 は半 弓 一張 は弦 切
一根 矢五 拾本 袋入 内
五本 芦野 常成 弐本 早 見満 芝と 書付 有之
一斧 二ッ
一か なて こ壱 本 一げ んの う二 挺
重廿 六貫 目 ツ ヽ
一排 矢二 丁 一竹 札廿 三枚
各名 字を 書付 有之
一太 刀鞘 壱本 一大 はし こ二 挺 一白 鞘壱 本
勝守 と 書付 有
一笛 壱笈 一槍 三筋 切折 有之 但隠 なし 鑓印 都鳥 いさ こと ゝは ん武 士の 故あ る世 とは しる やし らす や藤 原氏 江州 蒲生 の庶 流間 喜兵 衛行 年 六十 八才 書付 有之 一鎌 付細 引三 筋︵ 23ウ
︶ 一上 野介 首は 見え 不申 髑髏 に手 疵両 手の 内一 ヶ所 つゝ 左の 股一 ヶ所 右の 膝口 一ヶ 所 一上 野介 帯刀 無銘 長サ
二尺 三寸 柄口 に切 り込 あり 所々 血付 拵麁 相な る物 但し 指料 とは みえ 不申 候 一左 兵衛 手疵 は御 典薬 栗原 道有 療治
向疵 落手 一ヶ 所け さ一 ヶ所 深サ いつ れも 壱寸 程是 あり
右之 吟味 十二 月十 八日 の晩 方に 相済 申候 此間 何れ も死 骸片 付不 申目 付衆 より 指図 を以 十九 日の 夜上 下の 死骸 を葬 り申 候 上野 介首 送り 落并
首の 事 十二 月十 六日 泉岳 寺よ り使 僧を もつ て上 野介 首を 曲︵ 24オ
︶物 に入 鼻紙 袋に 取添 左兵 衛方 へ送 ける 請取 証文 曰ニ
覚 一首 壱ッ 鼻并
紙包 慥ニ
請取 申候 畢
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﹄︵ 下︶
一三 九
吉良 左兵 衛家 老 左右
間孫 兵衛 判 斎藤 宮内 判 午 十二 月十 六日 泉岳 御 寺 使僧 同十 八日 の朝 上野 介菩 提所 牛込 盤松 寺に て葬 礼取 行ひ 法名 を円 山常 公と そ申 ける 其夜 何者 かし たり けん 左兵 衛門 の扉 に大 文 字に 書付 ける
︵24 ウ︶ 吉良 ふな よ首 納豆 の歳 暮か な 少将 の首 をこ おけ に入 置て 寺よ り里 に贈 る初 もの 上野 介四 代の 祖吉 良若 狭守 天正 年中 十二 月十 四日 織田 信長 のた めに 害せ られ 大井 川の 辺に て首 を拾 ひ三 州の 何寺 とか やに 葬 ける に円 山常 公と 改名 すさ れ□ 先祖 生害 の月 日も 同け れは と人 々あ やし みお もひ ける 彼領 地よ り数 代奉 公せ し人 三州 の菩 提 寺に も参 詣し けれ はか の改 名を 覚へ けり 今度 江戸 へ下 り盤 松寺 に参 詣し ける に上 野介 をも 又円 山常 公と 法名 有し 故古 今時 を 異に し生 害の 時日 法名 を等 しふ する 事を 不思 儀に おも ひ盤 松寺 の住 持に しか 〳〵 のよ し︵ 25オ
︶を 語り けれ は横 手を 打て 後 に法 名を 改め ける とそ まこ とに 奇異 の事 共な り 夜打 の輩 切腹 義付
士の 子共 被所 遠流 事 新暦 開て
未癸
二月 四日 於殿 中御 老中 列座 の刻 東都 鴻儒 林大 学頭 を召 れ今 度内 匠頭 家来 共報 讐の 義ニ
古付
へに もか ゝる 例も 有事 にや 古例 を考 へ申 上よ と尋 ね下 され けれ は大 学頭 謹て 頭を かた ふけ 和漢 の例 を考 るに 本朝 には 神武 天皇 此か たか ゝる 先蹤 を 不承 唐に は如 是の 数あ また 史書 にの せて 候へ 共後 日の 裁断 様々 にし て其 儀不 同の よし 申上 る御 老中 若年 寄衆 其外 何も 寄合 取 り〳 〵︵ 25ウ
︶評 儀あ り彼 等忠 義を 励す 所節 義の おも きに よれ は無 余儀 志勿 論也 誠に 忠貞 の後 鑑争 か是 にす きん やし かり と
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﹄︵ 下︶
一四
〇
いへ とも 大勢 結徒 党帯 兵器 御城 下を さは かせ 申條 偏に 礼義 をみ たり 且は 公儀 を不 憚に 似り 罪す へき を罪 せす んは 弥道 たゝ し 是頗 違乱 の兆 なり 此時 をゆ るか せに すへ から す称
㆑義 用㆑
忠所 雖㆑
似㆑
重蔑
㆑上 乱礼 の科 は猶 以不 可為 軽□ 時な んそ 寛々 の沙 汰 あら んや 努々 愛憐 の義 有へ から すと いつ れも 此義 に同 し四 十六 人の 輩切 腹に 相極 り其 子共 は遠 島可 被仰 付旨 儀定 して やか て 上使 とし て大
目付
仙石 伯耆 守平 目付 長田 喜左 衛門
︵26 オ︶ 両人 御預 けの 大名 四ヶ 所へ 指つ かは され 被仰 渡候 趣は 浅野 内匠 頭儀 勅使 御馳 走被 仰付 候処 時節 柄殿 中を 不憚 卒忽 の仕 形不 届候 付ニ
切腹 被仰 付相 手吉 良上 野介 は奉
㆑重
㆑上 太刀 打不 仕候 段神 妙被 思召
□の 無之 構被 指置 候得 は主 人の 報讐 と申 たて 内匠 頭家 来四 十七 人致 徒党 帯弓 箭兵 杖上 野介 を打 取 候始 末不 恐公 儀狼 藉の 挙動 不届 候依 之切 腹申 付る 者也 二 未 月四 日 奉行
︵26 ウ︶ 細川 越中 守下 屋敷 にて 御預 けの 輩十 七人 に検 使衆 より 被仰 渡御 書付 の趣 惣し て切 腹人 へ真 剣を は不 相渡 御作 法に て有 之候 得 共各 儀は 格別 の事 にて 候ゆ へ相 口御 免被 成の 旨申 聞せ られ けれ は内 蔵助 謹て 難有 奉存 候併 私共 儀徒 党仕 候と 被仰 渡候 かや う に申 上候 事必 御請 にて は無 御座 候へ 共全 く徒 党申 たる にて は無 之ひ とへ に内 匠頭 為に 落㆑
恩戴 徳に 者共 にて 候へ は何 れも 主 人の 敵を 取亡 魂の 憤り を休 め申 度念 願に て面 々継
㆑志 申迄 にて 毛頭 徒党 仕た るに は無 御座 候間 以後 とて も左 様に 聞し 召置 被 下候 へと 申て 次の 間に 退き けり 暫あ りて 検使 衆よ り︵ 27オ
︶い つれ も支 度致 され 出申 すや うに と下 知あ り畏 て頓 て場 所へ 出 ける 大華 院の 白洲 を浅 黄の 幕に て囲 ひ畳 六枚 敷御 徒目 付は 左右 の椽 に並 居給 ふ先 一番 に内 蔵助 白小 袖麻 上下 にて 罷出 三方 に 相口 をの せて 出ス
内蔵 助お しは たぬ き辞 世の 歌に あら 楽し 思ひ は晴 る身 は捨 るう き世 の月 にか ゝる 雲な し 太刀 取に 一礼 して 申け るは 心静 に切 腹仕 度候 間私 より 詞を かけ 候迄 介錯 御待 可被 下と 申真 剣を おし いた ゝき 左の 脇に 突立 る と其 まゝ 首を うち 落す 勇士 の志 故首 落け れ共 腹は 一文 字に 切廻 して 則骸 は倒 れけ り偖 首を 三方 にの せ徒 士無 刀に て股 立を
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一四 一
︵27 ウ︶ 取り 御小 人目 付へ 相渡 す御 目付 衆実 検あ り残 りの 者共 は首 の落 候を さへ 見届 らる れは 重て 実検 に及 ふへ から すと の 給ふ 死骸 をは 袷木 綿の 蒲団 につ ゝみ 其上 を毛 氈に て包 切腹 仕る と早 速一 重は りの 屏風 を立 畳共 に場 所の 外へ 引取 右壱 人つ ゝ 蒲団 とも に敷 替場 所の 近所 に砂 を置 血の こほ れた る所 にふ り死 骸を 桶に 入乗 物に のせ 一挺 に徒 士両 人つ ゝ付 て白 はり の高 灯 ちん をも たせ 越中 守留 守居 一人 給人 二人 惣し て騎 馬六 人差 添泉 岳寺 へそ 送ら れけ り四 ヶ所 の大 名何 も格 式甲 乙な しと 聞え し 香奠 とし て泉 岳寺 へ︵ 28オ
︶ 金五 十両
細川 越中 守 銀五 拾枚
松平 隠岐 守 銀二 十枚
毛利 甲斐 守 同弐 拾枚
水野 監物 正 かく て四 拾六 人切 腹被 仰付 によ つて 彼輩 の子 共有 無の 事御 穿鑿 あり 其内 十四 人に 男子 有由 聞召 被届 則町 奉行 に仰 付ら れ在 々 所々 よし つれ 出る 前方 に出 家に なり 候者 は差 免さ れ且 又十 五歳 より 内の 幼者 には 十五 歳迄 は親 類共 介抱 いた し十 五歳 に満 候 はゝ 早速 申出 へき 由諸 親類 へい ひ渡 され 流罪 の沙 汰に 極り ける 義を 尽し たる 輩な れと も法 よニ
つて 切腹 被仰 付な り子 共は 子 細あ らし と世 こそ つて 思ひ しに 思ひ の外 なる 事な りと
︵28 ウ︶ しる しら す皆 涙を そ流 しけ る 一十 三歳 大石 吉千 代 一七 歳 大石 大三 郎
内蔵 助妻 女は 京極 甲斐 守家 老石 束源 五兵 衛娘 なり 良雄 京都 居住 の内 無状 の様 子聞 伝へ 立腹 して 娘を 取返 し但 馬国 豊岡 に差 置け る
一九 歳
源五 右衛 門子
片岡 六之 助
一七 歳
源後 右衛 門子
片岡 新六 一同 年
久太 夫子
間瀬 定八
一廿 五歳
忠左 衛門 子
吉田 伝内 一同 年
助右 衛門 子
冨森 長太 郎
一九 歳
五郎 右衛 門子
矢田 作十 郎 一六 歳
数右 衛門 子
不破 大五 郎
一同 年
甚右 衛門 子
木村 惣十 郎 一五 歳
甚右 衛門 子
木村 次郎 四郎
一八 歳
源五
大子
高源 四郎 一四 歳
和介
芦子
野猪 之介
一二 十歳
孫太 夫二 男
奥田 清十 郎 一十 歳
八十 右衛 門子
岡嶋 藤松
一二 十三 歳
喜兵 衛二 男
村松 政右 衛門
︵29 オ︶
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一四 二