• 検索結果がありません。

出版者 法政大学体育・スポーツ研究センター

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "出版者 法政大学体育・スポーツ研究センター"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

北京オリムピック陸上競技男子 100m走における競 技達成率

著者 渡部 近志

出版者 法政大学体育・スポーツ研究センター

雑誌名 法政大学体育・スポーツ研究センター紀要 = The

Research of Physical Education and Sports, Hosei University

巻 27

ページ 29‑31

発行年 2009‑03‑31

URL http://doi.org/10.15002/00007561

(2)

法政大学体育・スポーツ研究センター紀要27,29-31(2009)

北京オリムピック陸上競技男子100m走における競技達成率

Astudyofachievementratiosinthemen'slOOmdashatthe2008BeijingOlympic

渡部近志 ChikashiWatabe

1:はじめに 選から決勝までの競技記録及び競技達成率をまとめ表、図に

表したものである。

オリンピックは4年間隔で行われるスポーツの祭典であり 大試合である。大試合であるだけに選手の挑戦、自己実現へ の道を寄せつけずに否定したり、また一方では驚異的なエネ ルギーを与えたりもする。よって、オリンピックでは単に身 体的準備だけではなく、「心」の準備も欠かせないと言われ る。北京オリンピック陸上競技男子,00m決勝は、静寂さと 張り詰めた緊張感の中でスタートが切られた。そして9秒後 の「驚きと感動」は多くのオリンピックファン、スポーツフ ァンを魅了したのである。予測はされていたとは言えウサイ ン゛ボルト選手の競技力・パフォーマンスには驚異と可能性 を伺わせるほどにすばらしい競技、競技力であった。それは まさにオリンピックというエネルギーがボルト選手を後押し するかのようなスプリンティング、パフォーマンスであった。

オリンピックだからなしえたのではないかとも考えるのであ

る。

そこで本報告では限られたデーターではあるが、,00m決 勝に進出したボルト選手を含む8選手、さらに日本代表選 手の高平選手、朝原選手らの予選から決勝の各選手の競技達 成率(%)を求め、そこから改めてオリンピック,00mの競 技様相を振り返ることを目的として行った。

表1北京オリンピック男子100m決勝進出選手の競技記録と 競技達成率

選手名自己最高記録一次予選二次予選準決勝決勝 1.ボルト9秒7210秒209秒929秒859秒69WR

95,396 10秒24 97,0%

10秒35 959%

10秒35 966%

10秒16 959%

10秒15 98.596 10秒46 95,2%

10秒25 96.6%

98.0%

9秒99 994%

10秒06 98.7%

9秒99 100.1%

10秒02 97.296 10秒09 99.196 10秒05 99,190 10秒04 98.5%

98.796 9秒93 100.096 9秒95 99.896 9秒94 100.6%

9秒91 98.396 10秒01 99.9%

9秒97 99.9%

10秒03 986%

100.3Q0 9秒89 100.49t

§誠「

10029b

U秒§「

100.796 9秒95 97.9%

9秒97 100.3%

10秒01 99.5%

[0秒03 98696

2.トンプソン9秒93 3.デイックス

.….………~~~~~~~ ̄…9誠3…

4.マルテイナ10秒00 5,パウエル9秒74 6.フラター10秒00 7.バーンズ9秒96 8.パツトン9秒89

平均競技記録 平均競技達成率標準偏差

91 秒0 (1J■P0 nクニェ印吻mlM■1Ⅱ。(u〉 2⑭船05》0

”叩一郷

9秒95 005 99.50%

9秒92 01 99.709t

標準偏差 0.80.80.9

1020%

101.0%

100.0%

99.0%

98.0%

97.0%

96.0%

95.0%

94.0%

93.0%

92.0%

………i…; |蕊唖壷簿蒋一}・・’

一》………;駒

…酉

…別

一鴎騨騨蝿騨騨蕊写Ⅱ。ご皐群騨騨鴎瞬馳騨駒騨騨騨騨韓騨獅騨灘蝿騨蝿

駕騨鬮露欝鐡禰騨蕊鐵鰯露蕊》】鴬騨辮f…、・命・禽蒔盤

面、

2:方法

北京オリンピック陸上競技公式サイトより2)、男子100m 競走競技のスタートリスト及びリザルトを収集し、-次予選 スタートリストからは自己最高記録そして競技リザルトから は競技記録を収集し達成率を求めた。達成率の算出方法は、

村木')の示した方法によって求めた。つまり自己記録を'0o とした競技記録の割合(%)である。よって、’00%以上の 競技達成率が示されれば「自己新記録」であり、競技の様相 としては「好調さ」を示す指標となる。また'00%以下であ れば「コンディショニングの不具合」をI意測ができる。いず れにせよ競技達成率は競技様相を伺い知ることのできる指標 であるとも考えられる。

零糾臘iJfIWWざ迄ドデ’

図-次予選圏二次予選□準決勝 決勝I 図1男子100m決勝進出選手の競技達成率

陸上競技は競技力の評価として競技記録が大きな評価基準 になる。つまり、自己記録が良い選手ほど高位な競技達成、

パフォーマンスを果たす傾向が非常に高いと言った特性を示 す。よって、自己記録と競技達成との相関は高いと考えられ る。その意味では、北京オリンピック100m競走は、オリン ピック・イヤーの5月に9秒72の自己新記録、世界新記録を 樹立しているボルト選手、前世界記録保持者パウエル選手、

さらに追い風参考記録ながら9秒68を記録したアメリカのガ 3:結果及び考察

表1ならびに図1は、100m決勝進出8名の選手の-次子

29

(3)

法政大学体育・スポーツ研究センター紀要

は前回のアテネオリンピックの緊迫した競技様相とは異なり、

ボルト選手の競技達成に他の選手もひきつけられるようなパ フォーマンスを示し、自己記録を更新した選手が4選手とい った質の高い競技様相をつくりだしていた。しかし一方では、

前世界記録保持者のパウエル選手は不安定な競技様相は、準 決勝の競技達成率にも達せず(準決勝98.3%、決勝97.9%)

奇しくもアテネオリンピックと同順位で北京オリンピックは 終わってしまった。

トリン選手らの快走に優勝の行方、記録への期待感が持たれ た競技となった。しかし、ガトリン選手は全米選手権の 200m競走時に大腿部の肉離れのために、オリンピックには 出場したものの準備不足感は否めず決勝ラウンドには進めな かった。北京オリンピック予選、準決勝を勝ち抜いて100m 決勝に進出した8選手、その自己記録は10秒00~9秒72の範 囲で平均記録では9秒90、標準偏差0.1であった。

100m競技は2回の予選、1回の準決勝、そして決勝の4 回の競技によって優勝が争われる。よって、決勝進出までに はある程度の余力と競走戦術が求められる。それが競技達成 率として理解されるのではないかと考えるのである。つまり、

自己記録の高度な選手らは予選から全力を尽くして競走する といったものではなく、競技パフォーマンスに集中すること ができるのである。よって、余力を持って競技に参加できる のでる。その視点から100mの予選から決勝までの競技達成 率を見ていくと、自己記録に即した競走戦術、戦略的な競技 様相が各選手の間に見られる。

決勝に進出した8名の選手の平均競技記録、及び平均競技 達成率を見ていくと一次予選では10秒27、競技達成率96.4%、

二次予選10秒02、競技達成率98.8%、準決勝9秒95、競技達 成率99.5%、さらに決勝では9秒92、競技達成率99.7%であ った。このように予選から決勝に至るまでの競走の様相は、

決勝に向け次第に高度化されている競技様相が理解されると ころとなった。そして、個々の選手について競技記録と競技 達成率との関係をまとめると、さらに選手間の戦術的な競争 の様相が浮かび上がっていた。

-日本代表選手の競技達成率から見る競技の様相と課題一 表2に日本代表選手の塚原、朝原両選手の競技記録と競技 達成率をまとめ、図2はそれらをグラフに表した。

表2北京オリンピック男子100m曰本代表選手の競技記録と 競技達成率

選手名自己最高記録一次予選二次予選準決勝 10秒23

99.2%

10秒37

970%

10秒16

99.9%

10秒39 97.7%

10秒25

98.19t

塚原選手10秒15 朝原選手10秒06

101.09i 100.0%

99.0%

98.0%

97.0%

96,0%

95096

一ボルト選手の一次予選から決勝の競技達成率から見る競技 様相一

オリンピック・イヤーの5月に、9秒72の世界記録を樹立 しているボルト選手の好調さが伺われるほどの競技様相を示 していた。

-次予選の競技記録10秒20、競技達成率95.3%の競技様相 を示すその内容では「かなりの余裕感」をもって100m競技 のスタートが切られていることが理解される。二次予選では、

早くも競技記録は9秒92を記録し、決勝進出選手の中でトッ プの競技記録を示しているが、競技達成率では98.0%の水準 値であった。その意味ではこの二次予選段階でボルト選手の 北京オリンピックでの競技達成・パフォーマンスへの期待は 現実感が高まったと言える程の競技様相であった。さらに準 決勝においても競技記録をさらに伸ばし、9秒85の唯一の9 秒8台の記録する程に好調さをさらに印象つけられる結果と なっている。そうした競技様相を裏付けるように競技達成率 も98.7%の余裕感を漂わせるほどの競技内容であった。準決 勝という適度な緊張感も、ボルト選手にとっては決勝競技へ の調整段階であるような競技様相であることが感じるほどの 競技であることが見られている。そして決勝競技は圧倒的な 競技記録9秒69、競技達成率100.3%の世界新記録の樹・立に よってその栄冠を勝ち得た。北京オリンピックの100m競技

朝原選手 塚原選手

ロー次予選圏二次予選□準決勝

図2男子100m日本代表選手の競技達成率

塚原選手は一次予選の競技記録は10秒39、競技達成率 97.7%を示していた。達成率では決勝進出選手8選手の一次 予選の競技達成率の平均96.4%を上回る率を示していた。よ って順調な競技のスタートを切った感がみられていた。さら に二次予選では競技達成率99.2%、10秒23、さらに準決勝で は99.9%の10秒16を記録したが準決勝敗退となったが、競技 達成率から塚原選手の競技様相は競技展開にそって向上して いる点は評価されよう。また塚原選手の心身のコンディショ ニング、オリンピックに向けたピーキングにおいては充分に その成果がつくりだしたことがこの競技達成率からも推察で きる。今後の課題はやはり「自己記録の高度化」を強化され ることが重要な点であること理解される。

朝原選手については一次予選の競技達成率98.1%であるこ とから見ても、順調な仕上がり傾向であることが推察された が、二次予選では97.0%、10秒37の競技記録しか示せず二次 予選は敗退となったが、先にも示した一次予選の競技達成率 からもオリンピックに向けた心身の調整が順調にきているこ

30

(4)

第27号

とが予測される結果であった。

4:まとめ

4年に-人の100mオリンピックチャンピオン、ボルト選 手は、まさに驚異的な競技パフォーマンスとゴール手前の情 動的パフォーマンスに、多くの人々は感動、興奮を覚えてに 違いない。1984年ロスアンジェルス・オリンピックのカー ル・ルイス選手のパフォーマンスに心から感動し、その感動 をどのように日本のTV視聴者に伝えたら良いか迷った末に、

「強い、強い、9秒99」を連呼した思い出が再び蘇るほどに、

ボルト選手の競技パフォーマンス、競技力に一人TV画面の 前で酔いしれた。

人類最速の男のオリンピック競技様相は、決勝に至るまでの 戦術、戦略は見事なまでにコントロールされている様子が伺 われていた。その要因を作り出したのはオリンピック。イヤ ーの5月末、ニューヨークで行われた競技会での「世界新記 録7秒72」の世界新記録が裏づけになっていたことは十分に 予測されるが、いずれにしてもオリンピックという大試合を 制するには、「事前に高度な自己最高記録」をもって競技に 参加することが求められることが改めて理解された。と同時 に、これからの日本選手への課題も大きく更なる奮闘を期待 したいものである。四百メートル・リレーの競技成果はその 意味では日本短距離界の選手育成、強化の大きな手がかりに なると思われた。

5:参考文献及びサイト

1)村木征人著;スポーツ・トレーニング理論、ブックハ ウス・エイチデイ(1994)

2)http:Z/resultbeijin2008.c、/WRM/ENG/INF/AT/C51/

ATMOO21

31

参照

関連したドキュメント

 体育授業では,その球技特性からも,実践者である学生の反応が①「興味をもち,積極

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

技術士のCPD 活動の実績に関しては、これまでもAPEC

それは10月31日の渋谷に於けるハロウィンのことなのです。若者たちの仮装パレード

 「世界陸上は今までの競技 人生の中で最も印象に残る大 会になりました。でも、最大の目

本日は、三笠宮崇 たか 仁 ひと 親王殿下が、10月27日に薨 こう 去 きょ されまし

本学陸上競技部に所属する三段跳のM.Y選手は

者は買受人の所有権取得を争えるのではなかろうか︒執行停止の手続をとらなければ︑競売手続が進行して完結し︑