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テストを英語学習の動機に 都築 千絵

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Academic year: 2021

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  立 教 大 学 で 教 え 始 めた 2012 年 度 前期、全 学共通カリキュラム英語自由 科 目 で あ る TOEIC (Test  of  English  for  International  Communication)1 

(Reading)を担当した。複数いる担当 者の 1 人として、どのような授業だった かを振り返ってみたい。

授業目標

  この 科目の目標 は 統 一シラバスで

「TOEIC600 点を取るのに必要なリー ディング力を獲得することを目標とする。」

となっている。TOEIC は満点が 990 点 なので、600 点というのは 6 割強をめざ すことになる。土曜日の 1 時限にもかか わらず定員枠いっぱいの 25 名が登録し、

内訳は 2 年生 15 人、3 年生 8 人、4 年 生 2 人で 7 学部にわたっており、英語資 格テストに対する学生の関心の高さを感 じた。

 TOEIC はリスニングセクションとリー ディングセクションに分かれており、この 授業では科目名通り、リーディングセク ションの 3 部分である短文穴埋め問題、

長文穴埋め問題、読解問題を扱った。

具体的な目標として、TOEIC の形式に 慣れ、語彙・文法力を伸ばし、速く正 確に英文を読み、時間制約のある中で 迷わず正解を選ぶ力を伸ばすことを目指 した。また、学期中に、この授業をペー スメーカーとして学生自身の英語学習の 良い勉強習慣をつけ、学期後も続けてほ しいということを言い続けた。

正規科目としての資格テスト準備科目  大学で単位を出す正規の英語科目とし て資格テストの準備科目があることは、

今ではあまり珍しくはない。むしろ、テ ストに対する意識の高さを学生の英語力 向上に使わない手はない。語学学習は ある程度までいくと、自分で自分の力が 伸びていることを実感する場面は多くな いし、テストがあるから勉強するという のは、学生にとって今までずっとやって きたことなので目標スコアがあることは、

勉強をし続ける大きな力になる。

 授業初日の学生の自己紹介で、この科 目を履修した理由として、受験期に比べ て自分の英語のリーディング力が落ちて きている気がしているので何とかしたい、

そして将来に備えて TOEIC で少しでも 高い点を取りたい、という発言が多くあっ た。大学の授業である以上、小手先の 受験テクニックを教えるのではなく、本 当の英語力を身につけさせることに繋が る授業にしなくては、と心がけた。

学生間のレベル差

 1 年生の必修英語科目では、学生はレ ベルチェックテストに基づいてレベルご とのクラスに分かれているので、クラス 内の英語力の差は小さく抑えられており、

教える側はとても助かる。自由科目で ある TOEIC 1 (Reading) も前述のよう に 600 点を目指すと統一シラバスに記さ れており、TOEIC  2 (Reading) が目標 700 点と明記されているので、学生間の レベル差はあまり心配していなかった。

授業探訪 言語教育科目自由科目 〈TOEIC 1(Reading)〉

テストを英語学習の動機に

都築 千絵

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59  しかし、最初の授業での英語による

自己紹介で、英語力の差が大きいこと がわかった。また、TOEIC というテス トについての知識も、すでに何度も受け ている学生もいれば、どのような形式か も知らない学生もいた。最初の授業で 行った TOEIC の Reading セクションと 同形式で問題数を減らしたレベルチェッ クテストの結果も、学生間の英語力の大 きな差を明瞭に示していた。TOEIC  2 

(Reading)を履修すべき学生もいれば、

600 点にはほど遠い学生もいた。この学 生間の大きな英語力の差は、学期中を通 して、退屈している学生がいないか、あ るいは難しくてついてこれない学生がい ないかと常に気がかりなことになった。

授業での使用言語

 最初の数回は、英語で授業を行って いたが、学生からの質問が極端に少な いことや、文法用語など日本語を使用す る方が、理解が容易そうだったので、日 本語使用に切り替えた。アジアからの留 学生も 3 人いたが、日本語で構わないと いうことだった。教科書も日本の出版社 のものを使用したので日本語の説明があ り、学生間のレベル差のことを考えても 日本語での授業で良かった思われる。

教科書

 教科書は 2 冊使用した。1 冊は授業 で使用、もう 1 冊は授業の復習専用の 問題集で、宿題用として毎週回答を提出 させ、チェックしてから翌週コメントと解 説をつけて返却した。時間制限もなく辞 書を使うこともできるので正解率は高く、

真面目に取り組んだ学生には自信になっ たと思う。同じ問題を多数の学生が間違 えた場合や、通常満点の学生が間違っ た場合には、授業で取り上げた。

授業内容

 授業では、学生があらかじめ宿題とし て解いてきた教科書の問題の答えあわせ を行った。学生には、単に正解を言うだ けではなく、それを選んだ理由を言わせ ることを徹底した。クラス全体で答えを 確認する前に、ペアで答え合わせをさせ た。これは最初からクラス全体の前で自 分の答えを言わせると、まず自分の答え を言う前に隣の席の学生に確認してから でないと言えないという不思議な光景が 多く、逆に時間がかかるためであった。

また、授業中に時間を決めて問題を解く こともあり、その答えあわせも同様に行っ た。

語彙を補う知識

 学生は読みにくい固有名詞やわからな い単語がでてくると、それを乗り越えて 前に読み進めることに時間がかかる。

TOEIC では、自分が知っている単語だ けしか出てこないことはないと覚悟し、

わからない単語も文脈から想像力や自 分の常識を総動員して理解する練習もし た。ここで、ビジネス慣習や生活慣習な ど知識として知っておいてほしいことは、

読解問題ででてきたものから説明して いった。たとえば、家賃をクレジットカー ドか小切手で支払ってほしいという不動 産家さんからのレターが問題文であった 時には、小切手での支払いという仕組み を実際に昔使用していた自分の小切手を 見せて説明した。いろいろな知識をもっ ていると、読解の際に語彙不足を補うこ とに役立つので、世の中で起きているこ とに興味を持ち、知識を増やすようにと いう話もした。

選択肢を減らす

 語彙を増やすと同時に、すべての問題

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で知らない単語に怯まないことが大事だ と学生には意識づけた。TOEIC は、4 つの選択肢から 1 つの正解を選ぶ方式 だが、正解がわからなくても、絶対に正 解ではありえない選択肢をよけることで 正解に近づける。授業では、品詞を強く 意識させ、単語を知らなくてもその語形 から正解に近づけるような練習をした。

英文速読

 TOEIC の Reading セクションは、最 後の問題まで時間内に辿りつくには速読 がかかせない。そのためには、とにか く文の頭から意味を理解して決して戻っ て理解しないことを徹底した。また、日 本語と英語の速読の練習ができるサイト を授業中に紹介し、目の動きの説明をし た。練習まで授業中にする時間がなかっ たのは悔やまれた。

テスト

 前述の宿題として毎回の授業で提出す る回答以外に、TOEIC と同じ形式の復 習テストを学期中に 2 回行い、期末テス トは Reading セクション全部を範囲にし たテストを行った。復習テストでは、2 冊 の教科書から類似した問題もたくさん出 し、最初からレベル差がある学生でも、

しっかり学期中に勉強すれば高い点がと れるようにした。

授業を活性化させる取り組み

 答え合わせと正解にいたる課程の確認 と説明をしていると、ほとんどの学生は 熱心にメモを取っているが、質問が時々 出る以外はこちらから一方的に教えこん でいる感じがして、自分としては居心地 の悪い空間だった。英語を意味のあるア クティビティで使わせながら身につけさ せるという授業形態に慣れているため、

自分だけが長く話すことを避けたかっ た。言い換えると、テスト準備科目をど のようにアクティブラーニングに持ってい けるか、という課題であった。

 学期中、その答えとなるアクティビティ を 1 つ取り入れた。それは、学生にテ スト問題を自分達で作らせるということ だった。具体的には、読解問題に使わ れる文だけを学生に渡し、ペアでその 文に関して設問を 3 つ作り選択肢を用意 させた。同じ文を使っても、ペアによっ て設問と選択肢が違い、問題作成後お 互いの問題を実際に解いてみて、自分た ちが作った問題と他のペアが作った問 題と、どちらが難しかったかなどの比較 をした。すでにできた問題を解くよりも 深く問題文を理解する必要があったが、

「ひっかけ」用の選択肢を工夫するな ど、とても楽しそうにやっていた。これ は、Reading セクションの短文穴埋め問 題と長文穴埋め問題でもできるので、次 回教える際にはもっと取り入れてみようと 思う。

自立した学習者をめざして

 Reading で何が難しいかと学生に聞く と、知らない単語がたくさんでてきて意 味が分からない、と多くの学生が言う。

そこで、学期の始めに語彙を増やすため に自分がやっていることをまずはペアで 話させ、自分のパートナーのやり方をク ラスで共有し、お互いのやり方から学び 会う機会を作った。私からは、オンライ ンの英和・和英・英英辞書の使い方の 紹介と単語帳には必ずその単語が出てき た文を例文として残すこと、品詞も把握 し、使える形で覚えることなどを指導し た。この学期中に出てきた単語はすべて 理解し自分のものにすることを指示し、

学期の終わりに自分で始めたシステムを やり続けているかどうかのチェックをし た。

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61  また、学期も終わりに近づいた頃、英

語学習に役に立つサイトの紹介をした。

Rikkyo English  Online やクイズをし ながら語彙を増やせるサイトなどを利用 し、自分から学び自分の中で勉強のリズ ムを持ち習慣化させることの大切さを何 度も話した。加えて、勉強としてではな く楽しみとして英語を読む習慣もつけて ほしく、自分の英語のレベルで選択でき、

辞書を使わず読み進められる本も紹介し た。

まとめ

 履修生 25 名のうち 8 人が、5 月の連 休明けあたりから欠席が続きドロップア ウトしたのは残 念だったが、最後まで ついてこれた学生は、それぞれ英語学 習に関して少しは得るものがあったと思 う。反省することは多々あるが、学生間 のレベル差が大きいクラスで、英語力の 高い学生たちが遠慮してしまうようなこ となく、積極的にクラスを引っ張ってい けるような仕組みを作れなかったのは残 念だった。来年度も同じ科目を教えるこ とが決まっているので、この経験を生か し、ほかの担当者とも意見交換をしなが ら、学生が主体的にかかわれるようなア クティビティをもっと増やし、楽しみなが らリーディング力を高めていけるような授 業にしたいと思っている。

つづき ちえ

(本学教育講師)

参照

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