様式1
研 究 結 果 報 告 書
平成24年1月16日 財団法人 長野県学校科学教育奨励基金 理事長 田 幸 淳 男 様 学校名 長野県下伊那農業高等学校 学校長名 遠 山 善 治 印 1 研究テーマ 草花へのワイ化剤利用に関する研究 2 グループ名 園芸クリエイト科3年草花専攻 伊東李菜 今村亜衣佳 北沢志帆 3 指導者 教諭 矢澤和弘 講師 大野義彦 4 研究の動機及び目標 切り花に利用されるもの、鉢花に利用されるものなど、草花には用途により様々な種類 がある。その利用形態により品種改良が行われて今日にいたっている。その中で一般的に 利用されている花壇用草花を室内で栽培し楽しむことができるかどうか検討することに した。そこで、昨年の研究を参考にし、花壇苗の鉢物利用としてユリ・アサガオ・ペチュ ニア・ハボタンの4つの草花で実験区を設置し、どのワイ化剤とその濃度が室内装飾用と して一番適しているのかワイ化剤の種類・濃度を変えて調査することにした。 5 研究内容の概要 1)調査方法 実験場所:草花3号温室(ユリ・ペチュニア・ハボタン) 草花1号ハウスの間(アサガオ) 実験期間:4月22日~7月8日(ユリ) 4月22日~7月22日(ペチュニア) 4月22日~9月2日(アサガオ) 9月2日~(ハボタン) 供試草花:ユリ、アサガオ、ペチュニア、ハボタン ユリ(品種:すかしゆり混合 科名:ユリ科) アサガオ(品種:サンスマイル 科名:ヒルガオ科) ペチュニア(品種:バカラプラム 科名:ナス科ペチュニア属 ハボタン(品種:雪傘、紅傘 科名:アブラナ科アブラナ属)供試材料 播種用土:メトロミックス350(ユリ・ハボタン・アサガオ) ゴールデンピートバン BX(ペチュニア) 栽培用土:混合土、赤玉土(大粒)、プロミックス、腐葉土 資材:ポリポット(2.5 号、3 号、4 号)キク用 7 号鉢、プラスチック 6 号鉢、プラン ター 用具:ものさし、ノギス、スプレー ワイ化剤:B-9、ボンザイ、スミセブン B-9 成分:ダミノジッド[N-(ジメチルアミノ)-スクシンアミド酸]…80% 色素及び水溶性無機塩等…20% 性状:淡桃色水溶性粉末 ボンザイ成分:パクロブトラゾール…2.0% (2RS.3RS)-1-(4-クロロフェニ ル)-4-ジメチル-2-(IH-1.2.4-トリアゾール-1-イル)ペンタ-3-オ ール水、界面活性剤等…98.0 % 性状:類白色水和性粘稠懸濁液体 スミセブン 成分:ウニコナゾール P…0.025% [(E)-(S)-1-4-クロロフ ェニル)-4-ジメチル-2-(IH-1.2.4-トリアゾール-1-イル)ペン タ-1-エン-3-オール]水、界面活性剤等…99.975% [ポリ(オキシエチレン)=ルフェニルエーテル(PRTR・1種第309号) 1.0%]性状:無色透明水溶液体 2)実験区 ユリ 標準区 無処理区 試験区1 B-9(100倍) 試験区2 ボンザイ(100倍) 試験区3 スミセブン(50倍) アサガオ 標準区 無処理区 試験区1 B-9(400,600,800倍) 試験区2 ボンザイ(100,200,400倍) 試験区3 スミセブン(25,50,100倍) ペチュニア 標準区 無処理区 試験区1 B-9(200倍) 試験区2 ボンザイ(200倍) 試験区3 スミセブン(50倍) ハボタン 標準区 無処理区 試験区1 B-9(50,100倍) 試験区2 ボンザイ(50,100倍) 試験区3 スミセブン(50,100倍)
3)調査方法:ものさし、ノギスを用いて毎週金曜日に調査した。 4)調査項目:①草丈を調べる ②茎径を調べる ③開花数を調べる ④側枝数を 調べる(ペチュニアのみ) ⑤葉の直径(ハボタン) 5)一般管理の概要 ユリ 4月22日 球根を6号鉢に植え替え 5月 6日 ワイ化剤散布 5月 9日 くみあい尿素入りIB化成S1号 3粒ずつ置肥 5月27日 農薬散布 ランネート45DF(殺虫剤) ダコニール1000フロアブル(さび病) マイリノー(展着剤) 6月17日 農薬散布 サプロール乳剤・スプラサイド・マイノリー(展着剤) 7月22日 農薬散布 モスピラン水和剤2000倍(殺虫剤) ベンレート水和剤1000倍(殺菌剤) アサガオ 4月22日 1回目播種 5月 6日 2回目播種 5月11日 鉢上げ(3号ポリポット) くみあい尿素入りIB化成S1号 2粒ずつ置肥 5月21日 くみあい尿素入りIB化成S1号 2粒ずつ追肥 5月27日 ワイ化剤散布(4月22日播種のもの) 6月 3日 ワイ化剤散布(5月6日播種のもの) 調査開始 6月17日 農薬散布 サプロール乳剤・スプラサイド・マイリノー(展着剤) 6月24日 植え替え プランター 10鉢(前植えB-9のみ) キク用7号鉢 30鉢(後植え) 7月 1日 6月24日に植え替えできなかったものの植え替え 8月12日 くみあい尿素入りIB化成S1号 1株4粒ずつ追肥 9月 2日 調査終了 ペチュニア 4月22日 ゴールデンペートバンへ播種 5月20日 3号ポリポットの鉢上げ くみあい尿素入りIB化成S1号 2粒ずつ置肥 6月 3日 1回目ワイ化剤散布 6月10日 調査開始
6月17日 4号ポリポットに定植 くみあい尿素入りIB化成S1号 3粒ずつ追肥 農薬散布 サプロール乳剤・スピラサイド・マイノリー(展着剤) 6月22日 2回目ワイ化剤散布 7月22日 調査終了 ハボタン 9月 2日 播種 9月16日 1回目ワイ化剤散布 2.5号のポリポットに植え替えた くみあい尿素入りIB化成S1号 2粒ずつ置肥した 9月30日 2回目ワイ化剤散布 10月14日 4号ポリポットに植え替え くみあい尿素入りIB化成S1号 4粒ずつ追肥 12月 2日 調査終了 6)結果 ①ユリ 草丈の調査
図1 草 丈 の 経 時 的 変 化 ( ユ リ )
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10
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5/6
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7/8
調 査 日 ( 月 / 日 )草
丈
(
㎝
)
無処理区 B - 9 1 0 0 倍 ボンザイ100倍 スミセブン50倍 草丈はだいたい7㎝から58㎝までなだらかに成長し、6月17日以降はあまり成長し ていないことが分かる。全体的に無処理区と比べると、すべてのワイ化剤にワイ化の効果 が見られた。特にボンザイにワイ化剤の効果が見られた。なお、グラフ上に下降が見られ たのは測定ミスである。茎径の調査
図 2 茎径の経時的変化( ユリ )
0
2
4
6
8
10
12
5/6
5/13
5/20
5/27
6/3
6/10
6/17
6/24
7/1
7/8
調査日(月/日)茎
径
(
㎜
)
無処理区 Bー9 100倍 ボンザイ 100倍 スミセブン 50倍 茎径はどの区もほぼ同じ成長の仕方だった。調査開始時は差があったが、最終的に差は なくなった。グラフにあまり変化がないことから、ワイ化剤は茎径には影響しないことが わかった。 ②アサガオ 草丈の調査図3 草丈の経時的変化(あさがお)
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40
50
6/3 6/10 6/17 6/24 7/1 7/8 7/15 7/22 7/29 8/5 8/12 8/19 8/26 9/2調査日(月/日)
草 丈 ( ㎝ ) B - 9 4 0 0 倍 ボ ン ザ イ 1 0 0 倍 ス ミ セ ブ ン 1 0 0 倍 無処理区 初めは各区同じように成長し差が見られなかったが、25㎝から30㎝に達すると大き く成長し、ワイ化剤の効果に差が表れた。特に、ボンザイの100倍にはワイ化が見られ なかったが、最終的にB-9の400倍に一番効果が見られた。茎径の調査 図4 茎径の経時的変化(あさがお) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 6/3 6/10 6/17 6/24 7/1 7/8 7/15 7/22 7/29 8/5 8/12 8/19 8/26 9/2 調査日(月/日) 茎 径 ( ㎝ ) B-9 800倍 ボンザイ 200倍 スミセブン 100倍 無処理区 各区ともなだらかな曲線で同じように成長した。このことより、茎径にはワイ化剤の効 果が見られなかった。 ③ペチュニア 草丈の調査 図5 草丈の経時的変化(ペチュニア) 0 5 10 15 20 25 30 35 6月10日 6月17日 6月24日 7月1日 7月8日 7月15日 7月22日 調査日(月/日) 草 丈 ( ㎝ ) 無処理区 B-9 200倍 ボンザイ 200倍 スミセブン 50倍 各区平均2~3㎝ずつ成長している。すべてのワイ化剤にワイ化の効果が見られた。 特にボンザイの200倍にワイ化剤の効果が見られた。また、特にB-9の200倍とスミセ ブンの50倍は同様な経時的変化が見られた。
開花数の調査 図6 開花数の経時的変化(ペチュニア) 0 5 10 15 20 25 30 35 6 月 1 7 日 6 月 2 2 日 6 月 2 4 日 7 月 1 日 7 月 8 日 7 月 1 5 日 7 月 2 2 日 調 査 日 ( 月 / 日 ) 開 花 数 ( 数 ) 無処理区 B - 9 2 0 0 倍ボ ン ザ イ 2 0 0 倍ス ミ セ ブ ン 5 0 倍 各区とも同じような変化だったが、大きな差がないことから、花数にはワイ化剤は関係 しないことがわかった。 側枝数の調査
図7 側枝数の経時的変化(ペチュニア
0 1 2 3 4 5 6 7 6月24日 7月1日 7月8日 7月15日 7月22日調査日(月/日)
側
枝
数
(
本
)
無処理区 B-9 200倍 ボンザイ 200倍 スミセブン 50倍 初めは少し差が生じたが、最終的には同じような結果になった。側枝にはワイ化剤の 影響がないように思われる。④葉ボタン 草丈の調査1 図8 草丈の経時的変化(葉ボタン) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 9/16 9/23 9/30 10/7 10/14 10/21 10/28 11/4 11/11 11/18 11/25 12/2 調査日(月/日) 草 丈 ( ㎝ ) 無処理区 Bー9 50倍 ボンザイ 50倍 スミセブン50倍 各区成長の仕方に大きな違いが出ている。このグラフより全体的にワイ化剤の効果が見 られる。特に、B-9の50倍とボンザイの50倍は同様な経時的変化が見られ、どちらも 大きな効果が見られた。 草丈の調査2 図9 草丈の経時的変化(葉ボタン) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 9/16 9/23 9/30 10/7 10/14 10/21 10/28 11/4 11/11 11/18 11/25 12/2 調査日(月/日) 草 丈 ( ㎝ ) 無処理区 Bー9 100倍 ボンザイ 100倍 スミセブン100倍 スミセブン以外のグラフの途中に数値が下がる時があった。50倍と比べるとワイ化は 劣るが、どの区も効果が表れた。特にボンザイの100倍に一番効果がみられた。
7)考察 ①ユリ 草丈と茎数を調査したところ、草丈はワイ化剤の効果が認められた。今回の実験では定 植時に、3 種混合だったユリの品種の仕分けが不十分であったため、実験区設定に問題が 生じ、統一性に欠けてしまったので、品種ごとの結果は出せなかったが、ワイ化剤が効果 を示す基礎的なデータを得ることができた。茎径についてはワイ化剤の効果は認められな かった。 ②アサガオ どの区もワイ化剤の散布量が少なかったため、あまり大きな効果が見られなかった。 B-9の400倍に一番効果が見られたっが、散布量を増やせばより明確な結果が得られ たのではないかと考えられる。茎径や開花数には変化が見られず、ワイ化剤の効果は認め られなかった。 ③ペチュニア ワイ化剤の濃度と散布量が適量であったため、すべてのワイ化剤に効果が見られたと考 えられる。結果を見ると一番適しているのはボンザイの200倍であると考えられる。 ④ハボタン ワイ化剤の濃度と散布量が適量であったため大きな効果が見られ、さらに他の草花に比 べより明確な結果が出た。ワイ化剤の濃度は100倍より50倍の方が効果が見られたこ とからハボタンには50倍の濃度が適していると考えられる。 6 研究のまとめと今後の課題 ワイ化剤は、主に茎の生長を抑制する植物成長調整剤のことを言う。茎の頂端分裂組織 はオーキシンを生成するが、そのすぐ下の分裂組織はオーキシンの作用を高める植物ホル モンのジベレリンを生成し節間生長を促す。ワイ化剤はその部位生長を抑制する。このよ うに抗ジベレリンの作用を持つワイ化剤に処理されると植物体が刺激され葉が出やすく、 また花もつきやすくなるのではないかと考えられている。そこで今回は昨年の研究を参考 に植物体を変えて、鉢物として利用するための研究を行った。 今回はB―9、ボンザイ、スミセブンの3種類のワイ化剤の濃度を変えて実験を行った が、ユリは結果がうまく出なかった。その原因として、定植時に 3 種混合実験材料の実験 区設定に不備があったので、種類ごとに成長に差が出てしまい一応結果は出たものの、正 確な結果は出せなかった。 アサガオはワイ化剤の散布量が少なかったため、あまりワイ化剤の効果が見られなかっ た。しかし、B-9の400倍については一番効果が見られたため、散布量を増やせばよ り明確な結果が得られたのではないかと考えられる。また、界面活性剤の活用などにより 散布液が植物体に確実に付着する工夫が必要である。 ペチュニアはワイ化剤の濃度と散布量が適量であったため、ユリ・アサガオに比べると すべてのワイ化剤に効果が見られた。 ハボタンはワイ化剤の濃度と散布量が適量であったため、大きな効果が見られ、さらに
他の草花に比べより明確な結果が出た。ハボタンの実験結果から、鉢物に適した大きさ・ 形から見てB-9の50倍とボンザイの50倍が最も良いと思われる。しかし、他の実験 区も無処理区に比べれば草丈に効果が見られたことから、もう少しワイ化剤の濃度倍率を 高くすればもっとはっきりとした効果が出たのではないかと考えられる。 これらのことから研究に利用した草花は、ワイ化剤処理によって室内でも楽しむことが できると言える。そして、適するワイ化剤とその濃度は、草花の種類によって異なってく るということがわかった。 全体の感想として、もう少しワイ化剤の散布量を多くすれば良かったが、ハボタンは鉢 物利用に適した大きさ・形にすることができて良かったと思う。また、自分たちで栽培し て植物の生育過程を観察することができてよかった。さらに研究を深め、よりよい結果を 求めていきたい。 7 参考文献 ・平成22年度 園芸クリエイト科課題研究 研究集録 第19号 ・花壇苗におけるわい化剤の効果 http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070101/seika/nou-h09/33-3.htm ・バラエティー豊かなハボタンを作ってみよう http://www.jaokanishi.jp/jigyou/einou/09/07_1/
参考写真
写真1 ユリの発芽状況 写真2 ユリの最終調査時
写真3 ペチュニアの発芽状況 写真4 ペチュニアの実験区
写真5 アサガオの発芽状況 写真6 開花アサガオのスミセブン最終調査区
写真7 アサガオの実験区 写真8 ハボタンのたね
写真9 ハボタンの播種の様子 写真10 ハボタンの実験区