北海道道東地域周辺海域のガスハイドレート調査と海底堆積土の土質 特性
北見工業大学大学院 学生会員 小川 恵介 北見工業大学工学部 学生会員 ○三輪 昌輝 同 上 国際会員 山下 聡 同 上 国際会員 山崎新太郎 神戸大学大学院 国際会員 片岡沙都紀 北見工業大学工学部 南 尚嗣,八久保晶弘 同 上 坂上 寛敏,庄子 仁 1. はじめに ガスハイドレートは,将来のエネ ルギー資源として注目されており,資源化をターゲットとして各国で様々 なプロジェクトが進行している。我が国においても,南海トラフにおいて資源化プロジェクト MH21 が生産 試験の段階に入っている。北海道 道東地域周辺海域では,我が国が世界に先駆けてガスハイドレートの資源 化プロジェクトを立ち上げた当時,オホーツク海網走沖(以下 網走沖)の北見大和堆(図-1 参照)には明 瞭な BSR(Bottom Simulating Reflector:海底擬似反射面)が確認され ,ガスハイドレートの存在の可能性が指摘されていた 1)。またそれとは別に,産業技術総合 研究所が 2001 年に網走沖で実施した GH01 航海で採取 した音波探査記録にも 顕著な BSR が確認されている2)。 さらに,2011 年から 2013 年にかけて図-1 に示す範囲 で 5 回 の 調 査 ( TK113) ,UT124), OS2494), NT13-205), OS2635))を実施し,2012 年に実施した UT12 調査と 2013 年 に 実 施し た NT13-20 調 査 で は ,実 際 に 海底 表 層 からガスハイドレートの採取に成功している。 また,網走周辺の陸域では古くから 石油天然ガスの 微候地として知られており,1950 年代にそれらについ ての調査が行われている 6)。さらに,オホーツク海沿 岸では調査地点西方の北見大和堆 で掘られた坑井では 厚い新第三系があり,その中に油徴が認められている ので,この堆周辺あるいは延長部についての検討が必 要との報告もある 7)。三谷・松下 8)によると,この地 域は石油・天然ガス鉱床が成立するための諸条件のう ち,初成条件の上では本州油田・ガス田に匹敵する程の諸要素を持っているが,次成集積条件およびその後 の保存条件が,極端に悪かったため,鉱床として期待する程のものが残存できなかったとされている。仮に, 網走沖海底地盤での天然ガスの初成条件が陸域と同様に卓越しているとすれば,天然ガスがハイドレート化 することによって陸域と異なり卓越して集積・保存している可能性が 示唆される。 一方,他の北海道周辺海域では,奥尻島沖,日高沖,十勝沖などにおいて BSR の存在が確認されている。 この中で十勝沖太平洋(以下 十勝沖)では産業技術総合研究所が図-2 に示す点線の範囲で,2002 年に音波 探査(GH02)を実施している9)。図-3 は GH02 航海での調査測線と音波断面図の例を示したものである。公 開されている音波断面図を調べ たところ,調査側線上の○ で示した 30 地点において図中で示すような海底面 下が白く抜けている箇所(ガスチムニー)や白く抜けた上 方の海底面が隆起しているように見える場所(マ ウンド)が確認された。図中の青丸はガスチムニー,赤丸はガスチムニーとマウンドが確認されたことを示
Surveys of gas-hydrate and seabottom soil properties, in sea around eastern Hokkaido K.Ogawa, M.Miwa, S.Yamashita, S.Yamasaki, H.Minami, A.Hachikubo, S.Sakagami, H.Shoji (Kitami Institute of Technology), S.Kataoka (Kobe University)
図-1 網走沖での調査海域と天然ガス微候地 8)
地 盤 工 学 会 北 海 道 支 部 技 術 報 告 集 第 5 5 号 平成27 年1月 於 室 蘭市
している。この結果と網走沖での調査結果と対比すると, 十勝沖 においても特徴的な地形が認められる地点において表層型の ガス ハイドレートが存在していることが示唆される。 そこで,2014 年 11 月に十勝沖において,北海道大学水産学部 所有の練習船「おしょろ丸」を用い て,マルチビーム測深機と計 量魚群探知機による海底地形およびガスフレア観測,コアリング による海底堆積土の採取を行う調査(C008)を図-2 に示す範囲で 行った。以下では,今回行った 十勝沖での調査結果を網走沖での 調査結果と比較しながら,北海道道東地域周辺海域のガスハイド レートや海底堆積土の土質特性 について報告する。 2. 現地調査 調査には,北海道大学水産学部所有の 練習船「おしょろ丸」 を使用した。調査範囲は ,産業技術総合研究 所の音波探査断面においてマウンド地形やガスチムニー状地形が比較的集 積していた図 -3 に赤枠(42°21′ N, 144°00′ E, 42°00′ N, 144°10′ E) で囲 ま れる範 囲 ( 水深 500m~ 2000m) と し た 。 この 範 囲に お い て,マルチビーム測深機と計量魚群探知機による 海底地形の 調査とガスフレアの観測 を図-4 に示す 33 測線 (1 測線約 13.7km, 測線間隔約 1.2km)で行った。ここで,観測されたガスフレア画像の 一例を図-5,6 に示す。 コアリングは,マルチビーム 測深器と計量魚群探知機よって明瞭なガスフレアが観測された地点(後述図 -7,8 参照)で計 4 本行った。使用したコアラー は,天秤式重力コアラー(GC, 長さ 4,6m)である。コアラーは 2 重 管式 に な って お り, 内管 は 塩 化 ビニ ル 製( 内径 100mm)である。 こ の 調 査で採 取 し た コア の 緯度 経 度 , 図-2 十勝沖での調査海域 図-3 産総研による 2002 年調査測線と海底音波断面図(文献:9 に加筆)
水深,コア長を表 -1 に示す。 コ ア名 採 取緯度 採 取経度 水 深 ( m) コ ア長 (cm) GC1401 42°8.813' 144°2.362' 900 125 GC1403 42°8.814' 144°2.333' 897 51 GC1404 42°20.964' 144°4.367' 834 182 GC1405 42°5.631' 144°9.213' 1158 0 GC1405 で は 海 底 地 盤 が硬質 の た め 採取 長 が 0cm であったが, 写真 -1 に示 すように破損したコアキャッチャーに炭酸塩鉱物が採取され た。炭酸塩鉱物 は,堆積物中のメタンが微生物の働きで分解される際に生じる炭酸と堆積物 間隙水中のカルシウムなどから生成する鉱物 であり,この鉱物の存在は海底 地盤でのメタン湧出活動が活発なことを示している。 3. 船 上 試 験 と室 内 試験 船上に引き上げたコアは,内管を 1m ごとに切断した後, 縦に半割にして,堆積土の観察を行った。観察後,半割に したコアは 10 または 20cm 間隔で含水比測定のための試料 採取,5 または 10cm 間隔で小型コーン貫入試験と小型ベー ンせん断試験を行った。また,すべての船上試験の終了後 に 20cm 間隔で試料採取を行い,持ち帰った試料に対して 物理・化学試験を行った。 3.1 含 水 比 測 定用 の 試料 採 取 含 水 比 測 定 用 の 試 料 は , 先 端 を カ ッ ト し た シ リ ン ジ ( 5ml)を用 いて採取した。採取した試料は,バイアル瓶( 20ml)に入れ持ち帰 り含水比を測定した。 3.2 小型 コ ー ン貫 入 試験 コーン貫入試験には,写真 -2 に示すようなデジタルフォースゲー ジを改良試作した小型のデジタルコーン貫入試験器を用いた10)。コ ーンの先端角は 30°,コーン直径は 9mm,貫入深は 16.8mm である。 コーン貫入抵抗 qc(kN/m2)は次式より求めた。 図-5 計量魚探で観測されたガスフレア 図-6 マルチビームで観測されたガスフレア 表-1 C008 調査で採取した試料コアの一覧 写真-1 破損したコアラー先端部と 採取された炭酸塩鉱物 炭酸塩鉱物 写真-2 コーン貫入試験 図-4 調査測線
ここで,p は貫入抵抗(kN),A はコーン断面積(m2)である。 3.3 小型 ベ ー ンせ ん 断試 験 ベーンせん断試験は,直径 10mm,高さ 20mm のベーンブレード を小型のトルクドライバーに取り付けて試験を行った10)。写真-3 に 示すように,半割にしたコアの切断面にブレード先端を 30mm 貫入 してトルクドライバーを回転させ,このとき得られた最大トルク値 から次式よりベーンせん断強さτv(kN/m2)を求めた。 ここで,M は最大トルク(kN・m),D はベーン直径(m),H は ベーン高さ(m)である。 3.4 採取 試 料 での 室 内試 験 採取した試料については,含水比測定 の他に,土粒子の密度試験, 強 熱 減 量 試 験 , 粒 度 試 験 を 行 っ た 。 粒 度 試 験 で は , レ ー ザ ー 回 折式粒子径分布測定装置(島津製作所 SALD2300)を用いて,粘 土分,シルト分,砂分のそれぞれの含有量の割合 を算出した 。 さらに,写真-4 に示すステンレス製の容器(高さ 32mm,内径 23mm) を用い, 乾 燥 密度 ,湿 潤 密 度 ,間 隙 比を 求 めた。 4. 海 底 地 形 調査 結 果 図-7,8 は,マルチビーム測深機による測深データをもとに作 成した調査範囲の海底地形図である。図 -8 は図-7 の海底地形図 を 3D 表示したものである。また,計量魚群探知機とマルチビ ームで観測されたガスフレアの地点と,コアリングを行った地 点も図中にプロットしている。 図中ではコアリング地点を●, ガスフレアが観測された地点を×で示している。 図中の緑太線 は断層を示している11)。 調査海域において,南側の 広尾海脚部分(水深約 1000m)な ど約 20 地点でガスフレアが観測された。観測された他の地点も 海脚部分と同様に,海底面が盛り上がったようなマウンド地形 や,断層付近など,地形に特徴が見られる 地点であった 。ここ で,網走沖調査の結果と比較すると, 網走沖では約 200 地点の ガスフレアが確認されているため 5),十勝沖は海底下部か らガ スが湧出しにくい 環境にあ るのではないかと 考えられ る。 図-9 に 網 走 沖 調 査 ( NT13-20) で得られた音波探査断面図の一例を 示す。ここで,音波速度を 1,500m/s とすると,網走沖では,BSR 深 度 が海 底面 下約 100~150m という比較的浅い地点で出現し た。図-10 は,産業技術研究所の調査で得られた音波探査断面 図で,図-3 の青太線の測線のものである。十勝沖では,過去に 実施された坑井速度検層により 海底面下深度 710m での往復走 時が 0.9sec との報告11)があるので,音波速度を 1,578m/s として,
A
p
q
c
6
2
3 2 vD
H
D
M
写真-3 ベーンせん断試験 写真-4 密度測定に用いた容器 図-7 調査海域の海底地形図図-10 に示す BSR 深度を求めると約 550m となり,網走沖の 4 倍程度の深度である。 これは,十勝沖では地殻熱流量が低いため にガスハイドレートの安定領域の厚さが厚 く,BSR 下部からのフリーガスの供給がさ れにくいため, 海底からガスが湧出しにく い状態になっており,例えば海脚頂部 や断 層付近などガスが湧出する要因を持った 地 形でないと湧出しにくいと考えられる。 5. 船 上 試験 ・ 室 内試 験 結果 十勝沖調査で得られた試験結果と網走沖 調査で得られた試験結果を比較しながら考 察 を す る 。 こ こ で , 図 -11 に網走 沖調査で得られたデータをもとに 作成した海底地形図を示す。図中 ではコアリング地点を●,コア試 料中にガスハイドレートが含まれ ていた地点を▲,ガスフレアが観 測された地点を×で示している。 なおコアリングは図中の No.1 地 点で 3 本(PC01,02,03),No.2 の地 点で 2 本(PC04,05),No.3 の地点 で 3 本(PC06,07,GC08)行ってい る。No.1 と No.2 の地点は共にマ ウンド地形となっているが,No.2 の地点は No.1 の地点と比べて比 高は低くなっている。No.3 の地点 は谷地形となっている。 5.1 船 上 試験 結 果 図-12,13 に十勝沖調査と網走沖 調査での船上試験の結果を示す。 それぞれ,採取し た試料から求め た含水比と船上試験から求めたコ ーン貫入抵抗,ベーン せん断強さ を海底面からの深度に対してプロ ッ ト し た も の で あ る 。 ま た , 図 -14,15 は 含 水比 と コー ン 貫入 抵 抗 の関係を示したものである。 含水比は,網走沖調査では採取 地点によってばらつきがあるが, 十勝沖調査ではどの地点において も ば ら つ き が 少 な く 概 ね 50% と 低い値で推移している。コーン貫 入抵抗とベーンせん断強さは,十 図-9 網走沖の BSR5) 図-8 図-7 を 3D 表示したもの 図-10 十勝沖の BSR(文献:11 に加筆)
勝沖調査では, 網走沖と比較すると 含 水比が低いために,強度が網走沖より も比較的大きい値を示している 。図-14 に示す十勝沖調査での 結果では採取地 点が異なっていても同じような傾向の 結 果 が得 られ た。 一 方, 図 -15 に示す 網走沖調査の試験結果 では, マウンド 地形(No.1)で採取された試料と谷地 形(No.3)で採取された試料では,強 度は同程度であるが含水比に差がある など,採取地点の違いによって 海底堆 積土の特性に違いが見られた。 5.2 室 内 試験 結 果 図-16,18 は,海底面下深度 100cm 付近での粒径加積曲線である。十勝沖では GC1401 で最大粒径が約 0.5mm であるなど表層付近では比較的粒径が粗いことが分かる。網走沖と比較すると,GC1404 ではガスハイドレ ートが採取された地点の PC01,PC02 と似たような傾向を示しているが,GC1401 ではそれらよりも粒径が粗 い。図-17,19 は粘土分,シルト分,砂分の含有量を深度方向に対してプロットしたものである。それぞれの 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 00 50 100 150 200 0 100 200 300 0 10 20 30 40 海底面下深度 ( cm ) w (%) qc (kN/m 2 ) v (kN/m 2 ) NT13−20 :PC01(GH) :PC02(GH) :PC03 :PC04 :PC05 :PC06(GH) :PC07 :GC08 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 00 50 100 150 200 0 100 200 300 0 10 20 30 40 海底面下深度 ( cm ) w (%) qc (kN/m 2 ) v (kN/m 2 ) C008 :GC1401 :GC1403 :GC1404 図-13 網走沖調査での船上試験結果5) 図-12 十勝沖調査での船上試験結果 0 100 200 300 0 100 200 300 w (%) qc ( kN /m 2 ) C008 :GC1401 :GC1403 :GC1404 図-14 十勝沖調査での qcと w の関係 図-15 網走沖調査での qcと w の関係5) 0 100 200 300 0 100 200 300 w (%) qc ( kN /m 2 ) NT13−20 :PC02(GH) :PC03 :PC04 :PC05 :PC07 :GC08 :No.1 :No.2 :No.3 図-11 網走沖の海底地形図5)
結果を比較すると,十勝沖はそれ ぞれの地点で粘土分が少なく,砂分が多く含まれていることが分かる 。一 方,網走沖では採取地点の違いによってそれぞれの含有量に違いが見られる。 マウンド地形( No.1)の地点 では砂分が多く,谷地形( No.3)の地点では粘土分が多いという結果が得られた。しかし,海底面下深度 250cm 以下では,粒度分布に採取地点の相違による大きな違いは認められなか った。砂分が多く含まれていた 地点 ではガスフレアの活動が活発であったことや,これらの地点はいずれもマウンド地形であり,海底下部から のガスの噴出や再堆積による分級などの地形的な影響,炭酸塩鉱物の生成による影響などが要因となって砂 分が多くなるなどの特徴がみられたと考えられる。 図-20,21 は,土粒子密度,湿潤密度,乾燥密度,間隙比,飽和度をそれぞれ深度方向に対してプロットし たものである。粒度試験の結果から,それぞれ ,砂分が多い地点では 密度が大きく,粘土分が多くなるに従 って値は小さくなっている。間隙比も同様に,砂分が多い地点では小さく,粘土分が多い地点では大きい値 を示している。 これは粒度試験の結果より,堆積土の粒度が十勝沖 では網走沖より粗くなっており,それぞ れの海域で堆積 条件が異なっていることが要因であると考えられる。野田 ら12)は,広尾沖大陸斜面の堆積速 度を 18~50cm/kyr としており,嶋田ら13)はオホーツク海南西での堆積速度を 約 100cm/kyr と指摘している。 このことから,オホーツク海は十勝沖の平均堆積速度よりも堆積速度が速く ,網走沖では堆積土が比較的緩 く堆積し,また粘土分が多いため 間隙比が大きくなった。十勝沖では堆積速度が網走沖よりも遅いため, 網 走沖に比べて密に堆積し,砂分が多いため 間隙比が小さくなったということが推測される 。そしてこれらに 関連して,堆積環境の違いから 十勝沖と網走沖では船上試験での強度に違い が生じているとも言える。 図-22,23 は強熱減量試験の結果を深度方向に対してプロットしたものである。 十勝沖や網走沖での砂分が 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 00 20 40 60 80 0 20 40 60 80 0 20 40 60 80 100
Clay content (%) Silt content (%)
海底面下深度 ( cm ) NT13−20 :PC01(GH) :PC02(GH) :PC03 :PC04:PC05 :PC06(GH) :PC07 :GC08 Sand content (%) 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 00 20 40 60 80 0 20 40 60 80 0 20 40 60 80 100
Clay content (%) Silt content (%)
海底面下深度 ( cm ) C008 :GC1401 :GC1403 :GC1404 Sand content (%) 図-17 十勝沖調査での粒度試験結果 図-19 網走沖調査での粒度試験結果 図-16 十勝沖の海底面下深度 100cm 付近での粒径加積曲線 図-18 網走沖の海底面下深度 100cm 付近での粒径加積曲線 ()
多かった地点では約 5%の値で推移しているが,網走沖の粘土分の多い地点では約 12%という高い値で推移 している。これは堆積土中に含まれて いる珪藻などが影響をしているのではないかと推測される。 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 2.4 2.6 1.0 1.5 0.4 0.8 1.2 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 0 50 100 s (g/cm 3 ) t (g/cm3) d (g/cm3) 海底面下深度 ( cm ) NT13−20 :PC01(GH) :PC02(GH) :PC03 :PC04 :PC05 :PC06(GH) :PC07 :GC08 e sr(%) 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 2.4 2.6 1.0 1.5 0.4 0.8 1.2 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 0 50 100 s (g/cm3) t (g/cm 3 ) d (g/cm 3 ) 海底面下深度 ( cm ) C008 :GC1401 :GC1403 :GC1404 e sr(%) 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 00 5 10 15 20 海底面 下 深度 ( c m ) C008 Li(%) :GC1401 :GC1403 :GC1404 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 00 5 10 15 20 海底面 下 深度 ( c m ) NT13−20 :PC01(GH) :PC02(GH) :PC03 :PC04 :PC05 :PC06(GH) :PC07 :GC08 Li(%) 図-22 十勝沖調査での試験結果:Li 図-23 網走沖調査での試験結果: Li 図-20 十勝沖調査での試験結果: ρs,ρt,ρd,e,Sr 図-21 網走沖調査での試験結果: ρs,ρt,ρd,e,Sr
6. 結論 (1) 十勝沖 で 調査 を 行っ た 結果,海 底 か ら ガス が 湧出 す るガ ス フ レ アを 約 20 地 点 確認し ,そ の 付 近で コ アリ ングを行った結果,炭酸塩鉱物が採取された。これまでのオホーツク海網走沖での調査結果と比較する と,ガスハイドレートが集積していることを示す指標である,明瞭なガスフレアが観測されたことや炭 酸塩鉱物が海底から採取されたことから,この海域においても表層型のガスハイドレートが存在してい る可能性が示された 。 (2) 十勝沖は BSR 深度が深い ので ,網 走 沖と 比 較 する と ガス の 湧 出 箇所 が 少な く ,マウ ン ド 地 形や 断 層付 近 などガスが湧出する要因を持った地形でないと ガスが湧出しにくくなっている と考えられる。そのため, 表層型のガスハイドレートの 存在は網走沖よりも少ないが ,BSR 深度が深いために深層型のガスハイド レートも含めた 全体的な賦存量は網走沖よりも多いのではないかと推測される。 (3) 十勝沖では採取地点によって 強度や粒度分布などには 大きな違いは認められなかったが,網走沖では採 取地点の地形の違いによって強度特性が異なっており,粒度試験結果からはマウンド地形では砂分が多 く,谷地形では粘土分が多いなどの違いが見られた。船上試験の結果より,十勝沖では含水比が低いと 強度も大きい値を示しているが,網走沖では採取地点によって含水比が低い場合でも強度は 小さい値を 示しているなど特性に違いが見られた。また室内試験の結果より,十勝沖は網走沖より粒度が粗く,粒 度分布が示しているように砂分が多いという結果が得られた。これらより,それぞれの海域で堆積条件 や堆積環境が異なっており,それが要因となって堆積土の粒度分布,力学特性や物理・化学特性が異な っていたと言える。 謝辞:各調査において,乗船乗組員・研究者各位にご協力をいただいた。記して敬意を表します。なお,本 研究は日本学術振興会科学研究費(基盤研究(B) 25289142)の助成を受けたものである。また,北見工業大 学の支援も受けている。 【参考文献】 1) 佐 藤 幹 夫・前川 竜 男・奥 田 義久:天 然 ガ スハ イ ドレ ー トの メ タ ン 量と 資 源量 の 推定 ,地質学雑誌 ,Vol.102, No.11, pp.959-971, 1996. 2) 野 田 篤・池原 研・片山 肇:北 見 大 和 堆表 層 堆積 図 説明書 , 海洋地質図 , No.68(CD), 産 業 技 術 総合 研 究所 地 質調査総合センター , 2009. 3) 山下聡・松本良・南尚嗣・八久保晶弘・弘松峰男・戸丸仁・奥田義久・庄子仁・高橋信夫:オホーツク 海網走沖でのガスハイドレートを対象とした海洋調査 , 日本地球惑星科学連合 2012 年大会, 千葉, 2012. 4) 小川恵介・出羽寛信・山下聡・松本良・坂上寛敏・山崎新太郎・南尚嗣・八久保晶弘・片岡沙都紀・庄 子仁・高橋信夫:オホーツク海網走沖での表層ガスハイドレート調査と海底堆積土の土質特性 , 第 48 回 地盤工学研究発表会講演集 , pp.493-494, 2013. 5) 小川恵介・山下聡・庄子仁・坂上寛敏・山崎新 太郎・片岡沙都紀・ 三浦竜司・ 南尚嗣・八久保晶弘・高 橋信夫:オホーツク海網走沖での 海底地形およびガスハイドレート調査 , 第 49 回地盤工学研究発表会講 演集, pp.369-370, 2014. 6) 島 田 忠 雄 ・矢 崎 清貫 : 網走市 附 近 地 質調 査 報告 , 石 油技 術 協 会 誌 , Vol.21, No.6, pp.26-32, 1956. 7) 猪 間 明 俊:北海 道 にお け る石 油 開 発 の歴 史・現状 お よび 将 来( 特 別講 演 ) , 第 31 回 試 錐 研 究会 講 演資 料 集, pp.1-26, 1993. 8) 三 谷 勝 利・松下 勝 秀:美幌- 女 満 別 地域 天 然ガ ス 鉱床に つ い て -そ の 1 豊 岡地 区石 油 系 天 然ガ ス 鉱床 - , 地下資源調査所報告 , No.34, pp.1-18, 1965. 9) 産 業 技 術 総合 研 究所 : 高分解 能 音 波 探査 断 面デ ー タベー ス , https://gbank.gsj.jp/sbp_db/pages/cover.html 10) 山下聡 , 出羽寛信 , 八 久 保 晶 弘 , 南尚嗣 , 片岡沙都紀 , 川口貴之 , 坂上寛敏 , 高 橋 信 夫 , 庄子仁 : 表層型ガ スハイドレート賦存海底・湖底地盤から採取した堆積土の土質特性-間隙水溶存ガスの気泡化に伴う堆 積土の試料乱れ評価- , 地盤工学ジャーナル, Vol.7, No.4, pp.503-516, 2012.
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