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遺伝学的検査と法規制

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遺伝学的検査と法規制

―04 年生命倫理法改正のための報告書に基づく国務院の提言【解説】―

小林 真紀 1. 現行の生命倫理法制の枠組み フランスでは、長きにわたる議論ののち、1994 年に 3 つの生命倫理関連法(いわゆる「生命倫理三法」)(以 下、1994 年法)が制定された;「情報、ファイルおよび自由に関する 1978 年 1 月 6 日の法律第 78 号を改正 し、保健分野における研究のための記名情報の取り扱いに関する1994 年 7 月 1 日の法律第 548 号(記名デー タ法)」1、「人体の尊重に関する1994 年 7 月 29 日の法律第 653 号」2 および「人体の構成要素および産物 の提供・利用、生殖への医学的介助ならびに出生前診断に関する1994 年 7 月 29 日の法律第 654 号」3 であ る。これらの法律の形式的な面の特徴としては、既存の法律に対する修正法として採択されたものであるとい う点が指摘できる。すなわち、3 つの法律の条文は、それぞれが、主として民法典、公衆衛生法典および刑法 典に新たに規定を挿入したり、既存の規定を修正あるいは廃止したりするという形式を有するということであ る。換言すれば、たとえば日本の臓器移植法のように、単独で一つの(「生命倫理法という」)法律が新規に作 られたわけではなく、個別の法典・法律の改正法として定められた点に特徴がある。但し、内容的には、個別 の分野ごとの立法ではなく、上述の各法典の主要な原則などを広く改正・修正するものであり、その対象範囲 は網羅的である。具体的には、生殖補助医療、臓器移植、遺伝学的検査、クローン技術などについて包括的に 規定をおいている。 この1994 年法は、5 年後(1999 年)の見直しが規定されていたが、同法がカバーする範囲が多岐にわた っていたことや、この間、胚研究をはじめとして対象分野における科学技術が目覚ましい進歩を遂げたことか ら、議論が錯綜し改正手続きは大幅に遅れることとなった。その結果、2004 年になってようやく改正法案が 採択されるに至り、その結果、制定されたのが「生命倫理に関する2004 年 8 月 6 日の法律第 2004-800 号」4 (以下、04 年法)である。94 年法と比較した場合に指摘しうる主たる改正点としては、当事者の同意原則の 強化、再生クローン(人クローン)の明示的な禁止、医学的なメリットのある行為(生体からの移植、胚の研 究など、とりわけ1994 年法起草段階では予測できなかった新たな問題)に対する規制の確立および生命倫理 の分野において全般的に介入しうる機関の設立などが挙げられる。とくに最後の点については、これまで、臓 器移植、生殖補助医療など限定された領域のみに関して個別に設置されていた機関が一つに統合され、生命倫 理分野全般に関与する権限を有する行政機関たる生物医学機構(Agence de la Biomédecine:ABM)が創設 された点は注目に値する。 次に、遺伝子関係に焦点を当てて、94 年法および 04 年法を比較することにしたい。94 年法を改正するに

1 Loi n°94-548 du 1er juillet 1994 relative au traitement de donées nominatives ayant pour fin la recherche dans le domaine de la

santé et modifiant la loi n°78-17 du 6 janvier 1978 relative à l’informatique, aux fichiers et aux libertés, JO, 2 juillet 1994, p.9559.

2 Loi n°94-653 du 29 juillet 1994 relative au respect du corps humain, JO, 30 juillet 1994, p.11056.

3 Loi n°94-654 du 29 juillet 1994 relative au don et à l’utilisation des éléments et produits du corps humain, à l’assistance médicale

à la procréation et au diagnostic prénatal, JO, 30 juillat 1994, p.11060.

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2 あたってとくに考慮された点は、遺伝学的検査の利用によって差別や優生学的思想が助長されることへの懸念、 これらの検査の利用が親子関係の鑑定に及ぼす影響、遺伝学的検査の目的の多様性や生殖補助医療との関わり を考慮する必要性などである。その結果、04 年法によって、いくつかの既存の民法典、刑法典および公衆衛 生法典の規定が修正されたり、新たに規定が挿入されたりすることになった。たとえば、民法典には、「何人 も遺伝形質によって差別されることはない」とする16-13 条が新たに設けられ、遺伝を理由とした差別の禁止 が原則として打ち立てられることになった。また、同法典16-10 条については、遺伝学的検査の実施に際し、 単なる事前の同意の獲得という要件から、本人の明示的な同意が、書面により事前になされ、かつ検査の目的 や性質について充分情報が提供されている場合のみ可とするという厳格な要件へと修正された。また、こうし てなされた同意の意思表示については、いつでも撤回できるとする規定も追加された。 他方、公衆衛生法典に関しても、94 年法で設けられた規定に修正が加えられた。中でも、遺伝学的検査を 行った結果、検査を受けた本人に重篤な遺伝子異常が発見された場合で、かつ予防や治療上の措置を取ること が可能である場合には、当該者は、自らの血縁者にその旨を伝える必要があることを知らせる義務を負う旨が 新たに規定されたことは注目すべき点であろう(公衆衛生法典L1131-1 条)。 さらに、これらの規定に違反した場合には、いずれも刑事罰をもって対処するという方針が貫かれている 点もフランスの生命倫理法制の特徴である。具体的には、「遺伝形質の検査または遺伝型に基づく識別による 人に対する侵害」という項目に収められている 226-25 条から 226-30 条の規定により、法で定められた以外 の目的で遺伝学的検査を行った場合や、同意が得られていない検査を実施した場合などが科罰の対象となりう る。 2. 04 年法の改正 04 年法は、その 40 条 1 項が「本法は発効後最大 5 年以内に国会によって全体的に再検討される」と定め ているように、施行から5 年後の見直しが予定されている。この点に関し、政府および国会においてすでにい くつかの手続が進んでいる。 政府からのイニシアティブとしては、まず、首相からの諮問を受けて、国務院(Conseil d’Etat)が 04 年

法改正の際の法的問題点について審議を開始し、2009 年に報告書「生命倫理法の改正(La révision des lois de

bioéthique)」5を公表している。また、04 年法改正のための国会での議論に先立って行われる生命倫理に関す

る全国会議(Etats généraux de la Bioéthique)に提案する課題について、とりわけ倫理的・哲学的側面から 整理することを首相から依頼された国家倫理諮問委員会(Comité consultatif national d’éthique : CCNE)も、

すでに2008 年に答申「生命倫理に関する全国会議における検討課題」6を出している。さらに、保健担当大臣

からの諮問により、04 年法の適用により、実際に研究や医療の現場で生じている問題について、ABMが「2004

年8 月 6 日の生命倫理法の適用に関する総括(Le bilan d’application de la loi de bioéthique du 6 août 2004)」

と題する報告書7を提出している。

5 Conseil d'Etat, La révision des lois de bioéthique, La documentation Française, 2009.

6 L’avis n°105 du CCNE, « Questionnements sur les Etats Généraux de la bioéthique » , http://www.ccne-ethique.fr/docs/avis_105_CCNE.pdf 7 Agence de la biomédecine, « Le bilan d’application de la loi de bioéthique du 6 août 2004 »,

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3 これらの報告書や答申はそれぞれに特徴があり、いずれも検討の価値があるが、本稿では、論点を遺伝子 関係に絞り、かつこれまでの立法作業においても最も強い影響を与えてきた国務院の報告書の内容を簡単に紹 介することにしたい。 09 年国務院報告書は、2008 年 2 月 11 日付書簡により、フィヨン首相(当時)からの依頼されたものであ る。先述のとおり、その目的は、生命倫理法の改正に先立って法的な視点から調査を行うことであり、とりわ け首相から検討が要請された点としては、生殖補助医療に関する規定(とくに優生思想との関係で、出生前お よび着床前診断について)、代理懐胎契約の無効の原則の再検討の必要性、臓器移植における補償のあり方、 民事裁判における親子鑑定、余剰胚を用いた研究に関する規定の適否、研究目的での胚の作成の是非、死後の 人体の地位に関する民法上の規定の必要性などが挙げられる。これらの検討課題に呼応する形で、公表された 報告書は、第1 章:胚研究、第 2 章:出生前診断および着床前診断、第 3 章:生殖補助医療、第 4 章:遺伝学 的検査、第5 章:臓器移植、第 6 章:終末期医療、最終章:発展途上国との関係という構成を取っている。以 下においては、「第4 章 遺伝学的検査」のうち、とくに医療との関係で議論されることの多い論点、すなわ ちインターネット上で著しい普及が見られる遺伝学的検査に関する問題、フランス法に特殊な血縁者への告知 の問題および遺伝学的検査の結果の学術利用の問題について国務院の提言の内容を簡単に紹介する。 3. 国務院の提言-「遺伝形質の検査:患者の意思の尊重および情報の伝達の強化」 遺伝学的検査に関して、とりわけ医療という側面から分析するならば、04 年法を改正するに当たり国務院 が考慮すべきであると指摘している点は次の3 つに集約される;第一に、インターネットを介した遺伝学的検 査へのアクセス、第二に遺伝学的検査を受けた患者の家族への告知義務、第三に他の目的で取得した人の生物 学的試料の遺伝学的な研究利用である。 3.1 インターネットを介した遺伝学的検査へのアクセス 近年インターネットを介して遺伝学的検査キットが多数販売されるようになり、フランスからのアクセス も増加しているが、国務院は、そのようなインターネット上の検査を利用することやその効果についてはいく つか懸念すべき問題があると主張している。とりわけ、医学的な監視のもとで検査が実施されていないこと、 検査の臨床上の有効性が確認されていないこと、通常遺伝学的検査は(一部の単一遺伝性疾患などを検知する 場合を除いて)疾病そのものの存在ではなく、一定の疾病に罹患するリスクの有無を確認するものであるにも かかわらず一般的には両者が区別されていないこと、この種の検査を受ける人の情報の保護を適切に保障する 枠組みがないこと、本人の知らない間に採取された試料が再利用される危険性があることなどを指摘している。 国務院はさらに、こうしたインターネットを介した遺伝学的検査の利用に適用されうる規定が現行法には ないことが問題であるとしている。確かに、刑法典にも医療、学術目的以外で遺伝学的検査を実施した場合や、 医療・学術目的であっても事前の同意がないまま同様の検査を行った場合には刑事罰が課されるとする規定 (刑法典 226-25 条)などがおかれているものの、これらの規定はインターネット上の検査の利用には適用さ れない。この点を踏まえ、国務院は現行法の改善への提言として、現在はほぼ野放し状態で自由に利用が可能 となっているインターネット上の遺伝学的検査についても、検査の科学的効果や臨床的有効性、結果の信頼度

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4 および予測可能性などを公表し、一般市民が検査そのものの質を判断することができるように、一定の判断基 準を示した指針を策定すべきであるとしている。 3.2 血縁者への情報の伝達 国務院は、遺伝学的検査に関する現行法に関して見直すべき問題に 2 点目として、検査を受けた患者への 告知およびその血縁者への情報の提供に関して課題が残されている点を指摘している。 本人およびその血縁者への告知については、公衆衛生法典L1131-1 条に規定がある。それによれば、検査 を実施する医師は、検査結果を医療カウンセリングの一環として患者に告知するものとされ、他方、患者は検 査結果が告知されることを拒否することもできる。また、この検査を受けた結果、重篤な遺伝的異常が発見さ れ、かつ当該疾患に対して予防的な措置や治療が可能である場合には、検査を受けた患者に血縁者への告知義 務が課される。その際、患者は、自らが関係する血縁者に情報を伝えるか、あるいは、ABM を介して伝達す るかを選択することができる。この手続は04 年法ですでに導入されているものであり、本来はすでに実施さ れていてしかるべきものであるにもかかわらず、現実には、04 年法が定める告知手続の実施のためのデクレ が未だに定められていないために、実現に至っていない。すなわち、厳密にいえば、現在でも検査を受けた患 者のうち上述の条件に該当する者には等しく血縁者への告知義務が課されているが、現実には、実施のための 細則が規定されていないために、本人は(たとえ結果を血縁者に伝えなくても)責任を問われない状態が続い ている。 国務院はこの点に着目し、手続を修正することで、医師、患者、その血縁者のそれぞれの法的義務・権利 を明確化すべきであると主張している。具体的には、まず、現行法では必ずしも明言されていない「遺伝学的 検査を受けた本人がまず血縁者に告知すべきである」とする原則を条文中に明文化して告知の責任の所在を明 確にする。その腕、本人による検査結果の伝達が困難な場合に限って医師を介した伝達も認める。但し、ここ で国務院は、検査を受けた患者から身元に関わる情報の秘匿に対して希望が出された場合にはその意思を尊重 することと、他方で、血縁者の知らない権利あるいは知る権利を保障するという双方の利益を調整する必要が あるとしている。さらに、情報の伝達を行うための医療的な支援体制を整備した上でもなお、患者がいずれの 方法でも情報伝達を拒む場合には、検査担当の医師に情報開示義務を課すことで問題を解決するのではなく、 当該患者が民事責任を負うべきかどうかを普通法上のルールにしたがって裁判官が判断するという方法を採 るべきであると提言している。 3.3 学術・研究目的での遺伝学的検査 最後に、国務院は、学術・研究目的で遺伝学的検査が実施される場合にとくに問題となるケースとして、 かつて別の目的で採取された人の試料を、のちに遺伝学的な目的で再利用する場合を取り上げて検討している。 ところで、現行法の枠組みでは、一般的な人の試料の利用についてはすでにいくつかの規定がおかれてい る。まず、人に対して研究を行う場合には「事前の同意」を得ることが要件とされている(とくに、生物医学 的研究を実施する際の説明および同意の要件として公衆衛生法典L1121-1 条参照)。他方、人からの採取物を、 当初の採取とは異なる目的で事後に利用する場合についても、原則として、本人の同意が必要であると定めら れている(公衆衛生法典L1211-2 条 1 項および 2 項)。但し、試料を採取した本人を後から発見することが不 可能である場合(とくに本人死亡後)および研究代表者からの諮問を受けた「患者の保護ための委員会(Comité

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de protection des personnes)」が、このような情報の伝達が必要ないと判断した場合には、例外的に本人の

同意は不要となる(同条2 項後段)。但し、国務院は報告書のなかで、これらの規定は、事後の試料の利用が 保存されている要素の「遺伝形質の検査」に関わる場合は適用されないという見解を示している。 また、遺伝学的検査そのものの実施については、民法 16-10 条の規定により、その実施が認められるのは 医療目的または学術研究目的に限られること、および検査に先だって十分な説明を受けた被検者が、事前に同 意の意思表示を文書で行っていることといった複数の要件が課されている(この規定は、公衆衛生法典 L1131-1 条も再録されている)。しかし、この要件は当初より遺伝学的検査を行うことが明らかにされている 場合に適用されるものであって、別目的で取られたものが後日遺伝学的検査に利用されるケースは対象外であ る。他方、「情報・ファイルおよび自由に関する1978 年 1 月 6 日の法律」により、研究に利用されるデータ については、利用前に採取物の提供者の明白な同意が必要とされる旨が定められている。但し、ここで言及さ れている研究には、事後の遺伝形質に関する研究は含まれないと解される。 このように、現行法には、一般的に人から採取された物を利用する場合については規定がおかれているも のの、別の目的で収集された採取物を、後に遺伝学的検査を用いた研究に利用する場合については適用な可能 な明文上の規定はないといえる。この点を確認した上で、国務院は、これらの一般規定から読み取ることがで きる「明白な同意」の原則は、事後の遺伝学的研究における採取物の利用の際にも維持されるべきであると指 摘している。それと同時に、遺伝学的検査に見られる特殊性に鑑み、新たにルールを策定する場合に考慮すべ き点を列挙している。すなわち、第一に、当該者を見つけることができない場合(たとえば、死亡)を除いて 例外なく提供者に拒否権を認めること、第二に、提供者の知らないところで本人の識別が可能となるような遺 伝情報の収集を阻止すること、第三に、研究結果が提供者に知らされる場合に適切な情報伝達のための手続を 定めることという3 点である。さらに国務院は、立法に際しては、2006 年 3 月 15 日にヨーロッパ評議会閣僚

委員会によって出された勧告8「ヒト由来の生物学的試料(matériel biologique humain)を用いる研究に関す

る勧告」も参照すべきであるとしている。これらの原則やヨーロッパ評議会の勧告をベースとして、国務院が 提案する新制度の枠組みは次のとおりである。 まず、新たな立法の対象は、提供者を識別しうるようなデータの取得を可能としない研究に限定される。 同意の獲得は原則であるが、採取物の遺伝学的な利用に顕著な特殊性を考慮して、次のように場合に応じた規 制の緩和を試みる。第一に、提供者を見つけることが可能な場合には、新たな研究を実施する前に当該者に情 報を与え、情報を伝達された当該者は、重篤な遺伝性疾患が診断された場合にそれについて知らされることを 望むかどうかについて意思を確認される。第二に、提供者を見つけることが不可能な場合(たとえば死亡の場 合)は、「患者の保護に関する委員会」による評価を受けるものとする。同委員会は、予定されている研究の 学術的利益、提供者に対する事前の情報提供およびその意思表示に関する規定が遵守されているかどうかを審 査し、当初の目的を修正して新たな研究に利用することの是非について判断する。第三に、人の生物学的試料 のサンプルを不可逆的な方法で匿名化することは禁止とする。その理由として国務院は、匿名化は、後日研究 の存在を知った提供者本人または血縁者が当該研究の結果を知ろうと自発的にやってきた場合にその研究結 果の診断的応用を妨げてしまう可能性があること、および匿名化により、研究者は、生物学的サンプルを得た 提供者の情報について再検討するという、研究にとっても有益な作業を行えなくなることなどを挙げている。 04 年法を改正するに当たり、とりわけ、医療および学術目的で利用される遺伝学的検査に関して国務院か

8 Recommandation du 15 mars 2006, Rec (2006)4 du Comité des Ministres aux Etats membres sur la recherche utilisant du matériel biologique

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6 ら提言されている内容は、94 年法や 04 年法が策定されたときに比べれば若干小幅な修正に留まるという印象 を受けるかもしれない。そもそも、今回の改正は、04 年法の規定の内容の特殊性から胚研究の分野の立法の 改正が議論の中心となることが予想され、遺伝学的検査に関わる規定の改正について、世論においても高い関 心が寄せられているとは必ずしも言い難い。しかし、国務院の報告書より約半年前に出された科学技術の選択 肢に関する評価局(Office parlementaire d'évaluation des choix scientifiques et technologiques : OPECST)

によるClaeys-Vialatte報告書9では、インターネットの普及により急速に利用が増えている“法の規制外”の遺 伝学的検査について、かなりのページを割いて詳細な分析がなされている。そこで指摘されているような遺伝 学的検査をめぐって現実に発生している(あるいは近い将来に発生することが予想される)問題の深刻さを考 慮に入れれば、現時点で関連する規定を見直すことにも十分な意義があるといえる。胚研究などの分野とあわ せて、遺伝学的検査の分野に関しても今後の改正の動向を注視し、最終的に採択された改正法の中身について は、制定過程での議論も含めてあらためて検討し直す必要があると思われる。

9 Rapport de l'office parlementaire d'évaluation des choix scientifiques et technologiques sur l'évaluation de l'application de la loi

n° 2004-800 du 6 août 2004 relative à la bioéthique (MM. Alain Claeys et Jean-Sébastien Vialatte),

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