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Culturally congruent careの概念分析

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総  説

日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 22, No. 1, 7-16, 2008

聖路加看護大学大学院博士後期課程(Doctoral Course, Department of Maternity Infant nursing and Midwifery, St. Luke’s College of Nursing) 2007年6月20日受付 2007年12月18日採用

Culturally congruent careの概念分析

Culturally congruent care: A concept analysis

藤 原 ゆかり(Yukari FUJIWARA)

抄  録 目 的

 culturally congruent careの概念を分析し,日本における外国人へのケアの基盤づくりの示唆を得るこ とを目的とした。

方 法

 Rodgers(2000)の概念分析のアプローチ法を用いた。データの収集方法は4つのデータベース CINHAL(1982-2006),MEDLINE(1966-2006),PsycINFO(1806-2006),医中誌Web(1983-2006)を使用 し,キーワーズを「culturally congruent care」あるいは「culture congruent care」,として文献検索を行っ た。総数は62件であったが,今回は国内で入手可能な22件,マニュアルサーチの文献9件を追加し,31 件を対象とした。 結 果  5つ属性,1)人々がケアの中心である,2)文化に対する多様な視点を包含する,3)違いを理解して受 容する,4)柔軟に対応できる,5)社会の変化に調和している,が,また4つの先行因子,1)社会的要因: 多文化・多民族社会,2)対象者の要因:意思が伝わらない苛立ち,3)対象者と看護者の要因:価値観の 衝突,4)看護者の要因:文化を持つ人間への注目の欠如,が抽出された。さらに4つの帰結,1)ケアに 対する満足の高まり,2)QOLの向上,3)専門職としての能力の向上,4)ストレス・トラブルの減少,と, 1つの関連概念(culturally competence care)が導き出された。分析の結果,本概念を「対象者と看護者 の文化的な相違を理解し受容した上で,ケアの中心である対象者の文化的背景を考慮して柔軟に調整で きる社会構造の変化にも調和したケア」と再定義した。

結 論

 culturally congruent care(文化を考慮したケア)は,ケアの対象をどのような視点で捉えるかを選択 することにより,対象のもつ文化的背景の解釈が異なっていた。今回は日本における外国人ケアへの 基盤となるような概念を分析することを目的としたが,対象をどのような視点から捉えて,「culture(文 化)」をどのように理解するかにより,culturally congruent careの内容は変化するといえる。外国人人口 が増加している日本において,より「個」を重視するケアが重要となり,culturally congruent careは看 護の発展に貢献する概念であるといえる。日本におけるculturally congruent careの提供について更なる 検討が必要である。

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The purpose of this study was to show how the concept of culturally congruent care can be used to guide provi-sion of transcultural nursing care for people from other cultures in Japan.

Method

Thirty-one articles were analyzed using Rodgers's (2000) concept analysis model. Relevant literature was identified from four databases: CINAHL (1982-2006), MEDLINE (1966-2006), PsycINFO (1806-2006), Ichushi-Web (1983-2006) using the keywords "culturally congruent care" and "culture congruent care". Of the 61 articles deemed relevant, it was possible to obtain only 22. An additional 9 articles were located by manual search. Accord-ingly, 31 articles were used in the analysis.

Findings

The findings are presented in terms of the Rodgers's model. Five attributes of the concept culturally congruent care were identified: 1) people are the center of care, 2) inclusion of various perspectives on culture, 3) capacity to understand differences, 4) dealing with people flexibly, and 5) harmonizing with changing society. Four antecedents were identified: 1) social factor: multi-cultural and multi-ethnic society; 2) receiver's factor: frustration at lack of reciprocal communication; 3) receiver's and healthcare provider's factor: conflict with sense of values; 4) healthcare provider's factor: lack of focus on humans as humans with their own cultures. Four consequences were identified: 1) greater care satisfaction, 2) improved quality of care, 3) enhanced skills as a professional, and 4) decreased stress and problems. Lastly, one related concept, culturally competent care, was found. Based on these findings, the concept of culturally congruent care, originally identified by Leininger, was defined as "care that harmonizes with a changing society, deals with people's backgrounds flexibly by focusing on people as the center of care, and occurs in a context where care receivers and healthcare providers understand their differences."

Conclusion

Culturally congruent care takes different forms in accordance with how people's cultural background is rec-ognized by healthcare providers. It is noted that the content of culturally congruent care is altered depending on how a culture is understood. The proposed model provides a guide for culturally congruent care in Japan where the number of people from other cultures is increasing. Thus, the model can contribute to the development of nursing education, practice and research in Japan. The concept of culturally congruent care needs to be discussed in order to provide a basis of developing such care in Japan.

Keywords: culturally congruent care, tanscultural nursing, culture, care, concept analysis

Ⅰ.は じ め に

 日本における外国人登録者数は年々増加傾向にある (法務省, 2006)。日本に生活の基盤をおく外国人が増 えているため,臨床で出会うことも日常のことになり つつある。このような現状の中,外国人の文化的背景 は多様化し,それに伴ってニーズも様々に変化してお り,医療者も対象者のニーズを満たすケアを見出すこ とが難しくなっている。多様なニーズはその人の持つ 文化的背景に由来する。それは,文化がその人のライ フスタイルの形成に影響を与え,さらに意思や行動を も決定する根底となるからである。つまり,その人の 文化を考慮してケアを提供することは,ニーズを満た し身体的にも精神的にも満足を促すといえる。  Leininger(2001)は,文化を考慮し文化的に矛盾の ないケアをculturally congruent care(文化を考慮した ケア)と表現し,彼女の理論のゴールと位置づけている。

culturally congruent careは対象者の文化的背景を根底 とした本来のニーズにあわせたケアである。つまりこ の考え方やculturally congruent careを提供する能力は, 多文化共生が進んでいる日本において,今後より重要 になってくるといえる。

 このような現状から,culturally congruent careの概 念を明らかにすることは,ケアの発展につながるとと もに,人口の増えている外国人へのケアの準備が必要 な日本において,外国人ケアの基盤づくりの支援にな るのではないかと考えた。以上の点から,本研究にお いてRodgers(2000)の概念分析のアプローチを基盤と したculturally congruent careの概念を分析し,日本に おける外国人へのケアの基盤づくりの示唆を得ること を目的とした。

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Culturally congruent careの概念分析

Ⅱ.研究方法

1.研究方法  概念分析の方法は,Rodgers(2000)の概念分析のア プローチ法を用いた。 2.データの収集方法  データとなる文献の収集は,4つのデータベース を 使 用 し た。CINHAL (1982-2006), MEDLINE (1966- 2006), PsycINFO (1806-2006), 医中誌Web (1983- 2006) において,キーワーズを「culturally congruent care」 あるいは「culture congruent care」,として文献検索 を行った。その結果CINHAL49件,MEDLINE30件, PsycINFO17件,医中誌Web0件であった。上記の検 索結果の文献の重複を取り除くと,総数は62件であっ た。今回は国内で入手可能な22件,マニュアルサー チの文献9件を追加し,31件を対象とした。なおLand-markとして,Leiningerの文献を含めた。 3.データの分析方法  対象となる文献を読み内容を明らかにした。そして, Rodgers(2000)の概念分析のアプローチ法を参考にし て,定義,属性,先行要件,帰結,関連概念をシート にまとめ,それぞれを抽出し分析した。

Ⅲ.結   果

1.定義   今 回 取 り 扱 っ た 文 献 で は,culturally congruent care(文化を考慮したケア)の定義よりもculturally congruent careはLeiningerの理論のゴールであること を説明している文献が多かった(Luna, 1989; Chmie-larczyk, 1991; Rosenbaum, 1990; Finn, 1994; Larson-Presswalla, 1994; Lundberg, 1999; Nahas & Amasheh, 1999; Geroge, 2000; Raines & Morgan, 2000; Zucha & Husted, 2000; Wittig, 2001; George, 2002; Hubbert, 2005)。今回,Leiningerが定義する「cultural congru-ent (nursing) careとは個人,集団,組織に対し満足 感や安寧のためのケア」(Leininger, 1992/稲岡ら, 1995; Leininger, 1996; 1997; 1999)という内容を引用し ている文献は2文献であった(Morgan, 1992; Jeffreys, 2002)。  本概念分析で得られた属性,先行因子,帰結の概念 モデルを図1に示す。(図1参照)                   ኻ⽎⠪ߩⷐ࿃㧦ᗧᕁ߇વࠊࠄߥ޿⧦┙ߜ 1㧕ᢥൻ⊛⢛᥊߇⠨ᘦߐࠇߥ޿ 2㧕୘೎ኻᔕߩᰳᅤ 3㧕ஜᐽ㓚ኂࠍ⿠ߎߒ߿ߔ޿ ኻ⽎⠪ߣ⋴⼔⠪ߩⷐ࿃㧦ଔ୯ⷰߩⴣ⓭ 1㧕ኻ⽎⠪ߣ⋴⼔⠪ߩᜬߟᢥൻߩ㆑޿ ߦࠃࠆⴣ⓭ 2㧕ࠤࠕߦኻߔࠆ⠨߃ᣇߩ㆑޿ ࠤࠕߦኻߔࠆḩ⿷ߩ㜞߹ࠅ QOL ߩะ਄ well-being ߣஜᐽߩ₪ᓧ ኾ㐷⡯ߣߒߡߩ⢻ജߩะ਄  ࠬ࠻࡟ࠬ࡮࠻࡜ࡉ࡞ߩᷫዋ ⋴⼔⠪ߩⷐ࿃㧦ᢥൻࠍ߽ߟੱ㑆߳ߩᵈ⋡ ߩᰳᅤ 1㧕㆑޿߳ߩ㑐ᔃਇ⿷ 2㧕ᄙ᭽ᕈࠍ߽ߟࠤࠕ߳ߩ⹺⼂ਇ⿷ 3㧕⋴⼔ᢎ⢒ߩਇචಽߐ ੱޘ߇ࠤࠕߩਛᔃߢ޽ࠆ ⢛᥊ࠍ⍮ࠆ ోߡߩੱޘ߇ኻ⽎ߢ޽ࠆ ᢥൻߦኻߔࠆᄙ᭽ߥⷞὐࠍ ൮฽ߔࠆ ㆑޿ࠍℂ⸃ߒߡฃኈߔࠆ ᨵエߦኻᔕߢ߈ࠆ ኻ⽎⠪ߦวࠊߖߡ⺞ᢛߒޔ ࠤࠕߩㆬᛯ⢇߇ᄙ᭽ߢ޽ࠆ ኻ⽎⠪ߩ⍮⼂ߣ ⋴⼔⠪ߩኾ㐷⍮⼂ࠍⲢวߔࠆ ␠ળߩᄌൻߦ⺞๺ߒߡ޿ࠆ CUTURALLY CONGURENT CARE

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属性は,1)人々がケアの中心である,2)文化に対する 多様な視点を包含する,3)違いを理解して受容する, 4)柔軟に対応できる,5)社会の変化に調和している  のカテゴリーが導き出された。 1)人々がケアの中心である  対象者がケアの中心であることについては,①背景 を知る,②全ての人々が対象である のサブカテゴ リーが抽出された。 ①背景を知る  対象者の背景に焦点をあて文化的背景への理解を 深めることが必要であると述べられていた(Luna, 1989; Rosenbaum, 1990; Chmielarczyk, 1991; Mor-gan, 1992; Fin, 1994; Larson-Presswalla, 1994; Mario, 1995; Wenger, 1995; Morgan, 1996; Berry, 1999; Cor-bett, 1999; Lundberg, 1999; Nahas & Amshen, 1999; George, 2000; Good, et.al, 2000; Zucha & Husted, 2000; Reeves, 2001; Wittig, 2001; George, 2002; Hilgenberg & Schlickau, 2002; Jeffreys, 2002; Sharts-Hopko & Ito, 2002; Hobbs & Farr, 2004; Wittig, 2004; Hubberts, 2005; Chang & Horrocks, 2006)。

②全ての人々が対象である

 多くの文献の中で,対象の持つ特徴を「unique char-acteristics」や「specific culture」と表現し,いわゆる 「minority group(マイノリティーな集団)」であると述 べられていた(Luna, 1989; Chmielarczyk, 1991; Rosen-baum, 1990; Wenger, 1995; Lundberg, 1999; Reeves, 2001; Wittig, 2004; Hubberts, 2005; Chang & Horrocks, 2006)。特有な特徴をもつ文化集団は,伝統に影響さ れた独自の価値観,信念,規範,生活様式などを強く 持っている場合が多いため,culturally congruent care がより必要な対象と説明されていた(Morgan, 1992; Fin, 1994; Morgan, 1996; Berry, 1999; Corbett, 1999; Nahas & Amashen, 1999)。それは必ずしも民族や人種 という分類ではなく,疾患や状況の特殊性からマイノ リティーと表現され,マジョリティーと呼ばれる集団 に所属する人々とは違った特徴をもつ人々を「group (集団)」とし,焦点があてられている傾向にあった。

しかしculturally congruent careは全ての人々に対する ケアであり,マイノリティーと表現される人々を含む 全ての人々を対象とするケアであることも強調されて いた。 の背景をどのように「文化」として捉えるかが異なっ ていた。例えば,疾患を持つ背景を文化と捉えた George(2002)は,精神疾患を持つ患者の背景につい て注目したり,Chang & Horrocks(2006)は精神疾患 患者をケアしている家族を対象としていた。また特 有な文化をもつ文化集団を対象としたり(Luna, 1989; Morgan, 1996; Wenger, 1995; Berry, 1999; Corbett, 1999; Lundberg, 1999; Nahas & Amashen, 1999; Zucha & Husted, 2000; Wittig, 2001),対象者が属している 環境に注目してシェルターに住むホームレスの人々 (Hubbert; 2005)や宗教団体に所属している人々(Mor-gan, 1992)を対象とする文献もあった。これは,対象 者のルーツの文化のみに注目するのではなく,疾患を 持つことや居住環境などを文化的背景としており,何 を「文化」として捉え,対象を理解するのかというこ とを示している。 3)違いを理解して受容する  看護者が自己の価値観の中で,対象者の文化的背景 やそれに関連したニーズを理解するのではなく,対 象者と看護者自身が持つ文化的背景の違いを理解 し,その違いを受容することがculturally congruent careの提供につながるとしている(Luna, 1989; Rosen-barm, 1990; Chmielarczyk, 1991; Morgan, 1992; Larson-Presswalla, 1994; Morgan, 1996; Lundberg, 1999; Nahas & Amashen, 1999; Good, et.al, 2000; Reeves, 2001)。  つまり自分のもつ偏見や差別的な価値観を知り,そ の視点をもたずに,その対象者や対象者のニーズを誤 解なく受け入れるということである。また対象者を受 容するということは対象者を尊重することでもあり, この姿勢こそが対象者の必要としているケアの提供に つながるといえるとも述べられていた(Morgan, 1992, 1996; Berry, 1999; Corbett, 1999; Nahas & Amashen, 1999; George, 2002)。 4)柔軟に対応できる  柔軟であることについては,①対象者に合わせて調 整し,ケアの選択肢が多様である,②ケアに対する対 象者の知識と看護者の専門知識を融合する,がサブカ テゴリーとして抽出された。

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Culturally congruent careの概念分析 ①対象者に合わせて調整し,ケアの選択肢が多様である  対象者に合わせてケアを柔軟に変化させて調整し, 多くのケア提供の選択肢を持つことが必要となる。そ のために,LeiningerのSunrise Modelのなかに描かれ ているケアの提供の3つの様式,a)文化ケアの保持も しくは維持,b)文化ケアの調整もしくは取引,c)文 化ケアの再パターンもしくは再構成 をガイドとし て,対象者に合わせどのようケアを展開するかにつ いて多くのケア提供の方法が記述されていた(Luna, 1989; Rosenbaum, 1990; Chmielarczyk, 1991; Fin, 1994; Larson-Presswalla, 1994; Berry, 1999; Lundberg, 1999; Nahas & Amashen, 1999; George, 2000; Reeves, 2001; Wittig, 2001; Hubbert, 2005)。つまり,ケアのパター ンは一様ではなく,さまざまな状況に対応できるよう にケアの選択肢を多くもつことが,culturally congru-ent careの提供につながるといえる。 ②対象者の知識と看護者の専門知識を融合する  対象者の文化におけるケア方法やその考え方,ある いはケアに対する意味などを知り,その上で看護の専 門知識と融合させる知識を基盤とし,成立するケアで あることが強調されていた(Luna, 1989; Chmielarczyk, 1991; Lundberg, 1991; Berry, 1999; George, 2001; Fin, 1994; Larson-Presswalla, 1994; Morgan, 1996; Corbett, 1999; Nahas & Amashen, 1999; Raines & Morgan, 2000; Reeves, 2001; Wittig, 2001; Hubbert, 2005)。

5)社会の変化に調和している

 ケア提供の前提として,国々を移動する人々が増加 し多文化・多民族社会になっていることから,ケアの 対象者のもつ背景も多様化している様相が述べられて いた(Fin, 1994; Mario, 1995; Morgan, 1996; Berry, 1999; Sharts-Hopko & Ito, 2002)。社会多元性やグローバラ イゼーションにも触れ,世界の人口移動の変化に伴っ て多様な背景をもつ人々と共生していることを強調 し,その中でculturally congruent careの考え方は,社 会変化に対応しているため必要なケアであると述べら れていた(Morgan, 1996; Berry, 1999; Raines & Morgan, 2000; Jeffreys, 2002)。

3.先行要件

 culturally congruent care(文化を考慮したケア)の先 行要件は4つの要因に分けられ,それぞれ社会的要因, 対象者の要因,対象者と看護者の要因,看護者の要因 という側面から導き出された。 社会的要因  社会要因では,1)多文化・多民族社会というカテゴ リーが得られ,さらに①人々の移動,②人々の持つ背 景の複雑化 というサブカテゴリーが導き出された。 1)多文化・多民族社会 ①人々の移動  先行して起こる状況としては,人々の物理的な移動 である。グローバル化が進み国境を超えての移動が激 しくなり,世界の人口動態に変化が生じている。そし てある文化集団が,異なる文化へ移動しているという 状況が起こっている現状が説明されていた(Fin, 1994; Mario, 1995; Wenger, 1995; Morgan, 1996; Berry, 1999; Lungberg, 1999; Rains & Morgan, 2000; Wittig, 2001; Jeffreys, 2002; Sharts-Hopko & Ito, 2002; Chang & Hor-rocks, 2006)。

②人々のもつ背景の複雑化

 人々の移動に伴って,多様な背景を持つ人々が共 に社会を形成していることが述べられていた(Larson-Presswalla, 1995; Wenger, 1995; Mario, 1995; Lundberg, 1999; Wittig, 2001; Jeffery, 2002; Wittig, 2004)。 対象者の要因  対象者の要因では1)意思が伝わらない苛立ちとい うカテゴリーが得られ,①文化的背景が考慮されない, ②個別対応の欠如,③健康障害を起こしやすい とい うサブカテゴリーが得られた。 1)意思が伝わらない苛立ち ①文化的背景が考慮されない  対象者は自己の文化を持っていることへの理解が得 られず,自分のもつ文化がケアに反映されないため ニーズが満たされない。そのため文化的に安寧な状 態ではない場合があることが指摘されていた(Luna, 1989; Rosenbaum, 1990; Chmielarczyk, 1991; Fin, 1994; Berry, 1999; Lundberg, 1999; Nahas & Amashen, 1999; Reeves, 2001; Wittig, 2001, 2004) ②個別対応の欠如  看護者が対象者のもつ文化的習慣や伝統などを知っ ていても,文化的衝突が起こる。それは対象となる 文化の知識があると,その文化をもつ「人々」に対し てのケアを一般化しようとし,対象者「個人」へのケ アという視点が欠如する傾向にある。ステレオタイ プな視点やスティグマから,ある特有な文化に所属 する対象者として認識されるために起こる問題であ ると強調されていた(Luna, 1989; Chmielarczyk, 1991;

(6)

③健康障害を起こしやすい  異文化から移動してきた人々,移民や難民,特有な 文化習慣を持つ人々などは,文化ケアに依存して健康 を害する場合もあるし,また異文化の中で医療へのア クセス方法や活用する方法を知らないことが多く,健 康障害を起こすリスクが高いことが挙げられていた (Rosenbaum, 1990; Chmielarczyk, 1991; Morgan, 1996;

Berry, 1999; Corbett, 1999; Nahas & Amasheh, 1999; Wittig, 2001; Zucha & Husted, 2000)。

対象者と看護者の要因  対象者と看護者の要因では,1)価値観の衝突という カテゴリーが得られ,①対象者と看護者の持つ文化の 違いによる衝突,②ケアに対する考え方の違い とい うサブカテゴリーが抽出された。 1)価値観の衝突 ①対象者と看護者の持つ文化の違いによる衝突  看護者が対象となる文化集団に対する知識がなかっ たり,かかわりを持った経験がないために,特殊な 慣習やそれを遂行する人々に対して不快感や嫌悪感 を抱く傾向があることが述べられていた(Luna, 1989; Chmielarczyk, 1991; Fin, 1994; Berry, 1999; Zoucha & Husted, 2000; Chang & Horrocks, 2006)。それは対象 者と看護者のもつ文化的背景の違いから解釈の違い が生じ,理解がうまくいかないということを指摘し て い た(Chmielarczyk, 1991; George; 2000; Zoucha & Husted, 2000)。 ②ケアに対する考え方の違い  対象者の宗教,文化的価値観,社会的構造の特徴, 健康観,ケアへの信念,文化的慣習などを基盤とした 民間的なケアと看護者の提供する専門的なケアに相違 のあることがケアの矛盾を生む(Morgan, 1992, 1996; George, 2002; Witting, 2004; Mario, 2005; Chang & Horrock, 2006)。看護者は「提供するケアが適切であ る」という看護者自身の価値観と専門的知識を持って ケアを提供するが,しかしそのケアが必ずしも独自の 文化をもつ対象者が求めているケアとは一致しないこ とがあると論じられていた(Morgan, 1992; Fin, 1994; Morgan, 1996; Berry, 1999; Nahas & Amashen, 1999; Raines & Morgan, 2000)。

欠如というカテゴリーが抽出され,①違いへの関心不 足,②多様性をもつケアへの認識不足,③看護教育の 不十分さというサブカテゴリーが導き出された。 1)文化を持つ人間への注目の欠如 ①違いへの関心不足  対象者を理解するために対象となる人々の特有の 文化的側面に対する関心をもつことが必要性であり (Rosenbaum, 1990; Larson-Presswalla, 1994; Wenger,

1995; Reeves, 2001),また対象者と看護者のもつ文 化を基盤としたケアへの価値観が必ずしも一致しな いことに「気づく」ということも重要であると述べら れていた(Rosenbaum, 1990; Morgan, 1992; Fin, 1994; Wenger, 1995; Morgan, 1996; Berry, 1999; Nahas & Amashen, 1999; Raines & Morgan, 2000)。

②多様性をもつケアへの認識不足

 対象者によってケアに対する認識が異なるため,同 じ疾患に対しても回復への考え方が違う。しかし,そ の中にも普遍的に大切な部分があることを知り,ケ ア提供に反映させる必要性について述べられていた (Chmielarczyk, 1991; Lundberg, 1999; Larson-Presswal-la, 1994; Geroge, 2000; Reeves, 2001; Hubbert, 2005)。 ケアは対象者にあわせて変化させるが,多様に変化す る側面と普遍的な側面があることを知り,その点を理 解し,多様化させることへの認識の必要性が強調され て い た(Chmielarczyk, 1991; Lundberg, 1999; Larson-Presswalla, 1994; Geroge, 2000; Reeves, 2001; Hubbert, 2005)。

③看護教育の不十分さ

 多文化・多民族社会に伴って,看護教育も看護者の 認識も単一民族に対する視点では社会の変化に対応し ていくのが難しいことが述べられていた(Mario, 1995; Raines & Morgan, 2000; Reeves, 2001; Jeffreys, 2002; Hilgenberg & Schlickau, 2002; Witting, 2004)。 ま た 教育へのculturally congruent careの考え方の導入に ついてはReeves (2001), Witting (2004), Hilgenberg & Schlickau (2002)がその必要性を強調していた。 4.帰結

 culturally congruent care(文化を考慮したケア)の 帰結には,4つのカテゴリーが導き出された。

1)ケアに対する満足の高まり

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Culturally congruent careの概念分析

が,同時にケアに対する満足が得られる。つまり精神 的な充実も得られ,身体的にも精神的にもバランス の取れた状態を得ることができることが述べられて いた(Fin, 1994; Larson-Presswalla, 1994; Wenger, 1995; Lumdberg, 1999; George, 2000; Zucha & Husted, 2000; Reeves, 2001; Wittig, 2001; Hobbs & Farr, 2004; Chang & Horrocks, 2006)。

2)QOLの向上

①well-beingと健康の獲得

 culturally congruent careによりwell-beingな状態と 健康が獲得できることが述べられていた(Fin, 1994; Morgan, 1996; Berry, 1999; Corbett, 1999; Nahas & Amashen, 1999; George, 2000; Raines & Morgan, 2000; Hilgenberg & Schlickau, 2002; Jeffreys, 2002; Hubbert, 2005)。それは単に疾患からの回復ではなく,どのよ うに疾患をうけとめるのか,あるいは障害がある場 合,どのように向き合うのかなどヘルスケアの方法を 選択することができることも包含され,つまりその 人が考えるレベルやプロセスをもとにしたwell-being の獲得について述べられていた(Rosenbarm, 1990; Lundberg, 1999)。またwell-beingの獲得とは,生活に おける可能性が広がってQOLの向上につながり,「そ の人らしい生活」を送ることができることを示してい た(Luna, 1989; Wenger, 1995; Zoucha & Husted, 2000; Reeves, 2001; Wittig, 2001; George, 2002; Hilgenberg & Schlickau, 2002; Jeffreys, 2002; Hobbs & Farr, 2004)。 3)専門職としての能力の向上

 対象者への興味が深まることは,対象にあわせてケ アを調整できる柔軟性や応用性が高まり,ニーズに 合わせたケアが提供できることにつながる。それは 結果的に専門職としての能力の向上になると述べられ ていた(Luna, 1989; Wittig, 2001; Chmielarczylk, 1991; Reeves, 2001; Hilgenberg & Schlickau, 2002; Jeffreys, 2002; Chang & Horrocks, 2006)。

4)ストレスやトラブルの減少

 理解不足によって生じる戸惑いや嫌悪感などに関連 したストレスやフラストレーション,誤解によるトラ ブルが減少することが述べられていた(Chmielarczyk, 1991; Mario, 1995; Zucha & Husted, 2000; George, 2000; George, 2002; Wittig, 2001; Witting, 2004)。

5.関連概念

 今回の文献においてcultural congruent care(文化 を考慮したケア)は,culturally competence (nursing) care(文化的に適性なケア)と関連し用いられていた。 cultural competence(文化的(適性)能力)には5つの要 素があり,cultural awareness(文化への気づき),cul-tural knowledge(文化的な知識),cultural skill(文化 的な技能),cultural encounters(文化に向き合うこと), cultural desires(文化的欲求)であり,ケア提供におい て,医療者がこの5つの文化的な側面を考慮すること がculturally competence health careの提供に結びつく と述べられていた(Campinha-Bacote, 2002; 1991)。ま たGiger & Davidhizar (1999)は,cultural competence を「個人やシステムにとってダイナミックで流動的で そして継続的なプロセスであり,文化的な伝統,信 念,態度,などの知識を基盤とした文化的に意味の あるケアを提供するための方略である」と述べてい る。つまりculturally competence careとは,ケア提供 をするプロセスに焦点をあてた看護者自身の準備に注 目した概念であるといえる。今回の文献においては, Wittig(2004)が,culturally competence careの定義を 引用し,Native Americanへのケア提供にあたり,看 護者がどんな知識やスキルが必要であるかというプロ セスを示すためにculturally competence careの概念を 用いていた。その他,Higenberg & Schickau (2002), Jeffreys (2002), Reeves (2001)もculturally competence care,あるいはcultural competence nursing careを用 いており,culturally congruent careを提供するための 準備として看護者自身の確認という使用であった。し かし今回取り扱った文献においては,cultural congru-ent careとculturally competence health careの 違 い に ついて明確に論じているものはなく,むしろcultural congruent careとculturally competence health careを 同等のものとして取り扱っていた。表現が類似してい る概念だからこそ,看護者が困惑しないような明確な 定義が必要であると考える。

Ⅴ.考   察

1.本概念の定義  本研究における概念分析の結果,culturally congru-ent care(文化を考慮したケア)の属性として「対象者 がケアの中心である」「文化に対する多様な視点を包 含する」「違いを理解して受容する」「柔軟に対応でき

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者の背景の「文化」を考慮するケアではあるが,文化 の特殊性のみに注目するケアではないことが強調され ていた。また注目すべきは文化そのものではなく「対 象者」であることも論じられていた。この結果をもと に本研究におけるculturally congruent careを定義する と,「対象者と看護者の文化的な相違を理解し受容し た上で,ケアの中心である対象者の文化的背景を考慮 して柔軟に調整できる社会構造の変化にも調和したケ ア」となる。 2.モデルケース  本概念の理解を深めるために,モデルケースを立案 し検証する。 日本語の理解が乏しい外国人Aさんは,産後のシャ ワー浴を行っていなかった。その上真夏であったが電 気毛布を使用して保温に努め,授乳以外のほとんど時 間をベットに臥床して過ごしていた。Aさんは発汗が 多く,同室者にも看護者にも不潔な印象を与えており, 外国人のためか,あるいは特殊な信念をもつ人という 烙印がつき,Aさんがなぜそのような状況にあるのか の本当の理由を聞かずにいた。そんな中,助産師Bは 子宮復古を促すこと,特に会陰部の清潔を保つこと, そして全身の保清のためにシャワー浴を行ったほうが よいと考えていた。そこで,Aさんに簡単な日本語で シャワーを浴びない理由を聞いてみた。するとAさん は,出身国では関節炎になることを予防するため産後 1ヶ月は水に触れることを禁止していることを話して くれた。また体が冷えることは体の回復に影響するた め,シャワーを浴びないこと,常に電気毛布が必要で あることも話してくれた。助産師Bは,日本では産後 はシャワーを浴びることが許可されていること,産後 のシャワー浴の必要性について説明した。そして代替 案として,水を浴びることができないのなら全身清拭 を行うこと,洗髪は洗髪台でもできることや水を使用 しない泡のものの使用,足浴などを提案した。また1 日1回,会陰部の創部の状況を確認させてもらうこと も話してみた。すると,Aさんは,洗髪は行わず毎日 全身清拭し発汗に対処していた。また子宮復古も良好 で会陰部の創部も順調に回復し,健康問題もなく退院 していった。このAさんのケースを受けて,産科病棟 では多言語のバースプランを用意して妊産褥婦の希望  このケースでは,Aさんと助産師間に価値観の衝突 が起こって文化をもつ対象者への注目が欠如していた。 しかし助産師Bによって,Aさんのもつ文化的背景に 焦点をあて日本の文化との違いを明らかにした上で受 容し,Aさんにあったケアを探すために選択肢をもっ てケアを提案しており,その結果AさんのQOLの向上 をもたらしている。またその後のケア提供の方法へも 効果をもたらしている。

3.Culturally congruent care(文化を考慮したケア) の基盤づくりへの発展  今回の文献では日本の文献を取り扱っていないが, 先行要件として得られた要因は,現在の日本の状況に もあてはまるといえる。特に外国人人口が増加してい る現状では,臨床において対象者の意思が伝わらない ことや価値観の衝突があることは先行研究でも明らか になっており,その中で外国人女性に対して助産師が 「お互いにストレスのたまる人々」や「気持ちのわから ない人々」と感じたり,「特殊なバックグラウンド」と いうスティグマをつけてしまうという結果もある(藤 原,2006)。  対象者の文化的背景を考慮してケアを提供すること は,専門職として必須のこととして明記されている。 International Confederation of Midwives (ICM)助産師 の国際倫理綱領に「文化的多様性を尊重すること」(社 団法人日本看護協会,2003)が,そしてInternational Council of Nurses (ICN)の看護師の倫理綱領には「人 権や価値観,習慣,精神信念が尊重されるような環 境の実現を促す」ということが記されている(社団法 人日本看護協会, 2006)。しかし,現状では異文化を もつ外国人に対してculturally congruent careの提供が 困難な状況にあるといえる。それは,外国人ケアに対 する研究の遅れや支援が不十分であることがこの困難 な状況に拍車をかけているからである。そのため今回 の本研究で明らかになった先行要件の状況を認識する ことが,この困難な状況を変える一助となるのではな いかと考える。その上で,culturally congruent careの 属性である5つのカテゴリーを意識しながらculturally congruent careの提供をし,臨床においてこの概念を 検証していくことが必要である。そのことがcultur-ally congruent careの概念の精錬につながり,日本の

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Culturally congruent careの概念分析

culturally congruent careの概念の確立へとつながるも のと期待する。

 またculture(文化)という表現は民族や人種の違い などに注目しがちではあるが,しかし対象者のもつ culture(文化)をどのように捉えるかによって研究の 幅が広がる。culturally congruent careは,歴史的に多 民族社会のアメリカで形成されたLeiningerの理論の ゴールという位置づけである。その多民族社会の中で うまれたculturally congruent careは,その多くがホス ト国とは違う文化をもつ人々への注目からのケアであ る。しかし日本における適用を考慮した場合,必ずし も移民や難民に焦点をあてるのでなく,日本に住む日 本人であっても多様な文化をもつという考え方から, culturally congruent careを探求することができる。そ のケアの探求は,「個」を尊重するケアへとつながり看 護ケアの向上に貢献するものといえる。

Ⅵ.結   論

 culturally congruent care(文化を考慮したケア)は, ケアの対象をどのような視点で捉えるかを選択するこ とにより,対象のもつ文化的背景の解釈が異なってい た。今回は日本における外国人ケアへの基盤となるよ うな概念を分析することを目的としたが,対象をど のような視点から捉えて,「culture(文化)」をどのよ うに理解するかにより,culturally congruent careの内 容は変化するといえる。外国人人口が増加している日 本において,より「個」を重視するケアが重要となり, culturally congruent careは看護の発展に貢献する概念 であるといえる。日本におけるculturally congruent careの提供について更なる検討が必要である。 謝 辞  本研究論文をまとめるにあたりご指導下さいました 聖路加看護大学堀内成子教授,田代順子教授に心より 感謝申し上げます。 引用文献

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参照

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