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いじめの加害・被害経験者の攻撃性の特徴

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-77 272

-いじめの加害・被害経験者の攻撃性の特徴

○満石 花歩1)、吉良 悠吾1,2)、尾形 明子1) 1 )広島大学教育学研究科、 2 )向洋こどもクリニック 問題 いじめの加害者は高い攻撃性を有しているが (村山 他,2015),いじめ後しばらく経っても同様に高い攻 撃性を示すのだろうか。攻撃性は成長に伴い安定して いくことが指摘されており (野田他,2016),いじめ が止み長期間時間がたっても,加害者の攻撃性は変わ らず高いままである可能性がある。いじめの加害者は いじめを経験していない者と比較して,いじめ後しば らく経った後に健康を害するリスク,危険行為・違法 行為に従事するリスクが高い (Wolke et al., 2013)。 これらは攻撃性との関連があるため (濱口他,2009) いじめ後も持続する高い攻撃性がこれらの問題を引き 起こす可能性がある。しかし加害者が長期的に攻撃性 を示すかは実証されていないため,この関係は不明で ある。 攻撃性は,要求を通すといった目的のために攻撃行 動に至るような攻撃性と,自身に敵意が向けられてい ると捉えやすいために怒りを感じやすく,反応的に攻 撃 行 動 に 至 る よ う な 攻 撃 性 の 二 つ に 分 類 さ れ る (Dodge & Coie, 1987)。いじめの加害者の中には,加

害だけを経験する者と (加害のみ経験者),被害も合 わせて経験する者 (両方経験者) が存在する。この加 害のみ経験者・両方経験者ともに,二種の攻撃性の両 方において,いじめを経験していない者より高い攻撃 性を示すが,両方経験者は特に高い反応的な攻撃性を 示すという特徴がある (Salmivalli & Nieminen, 2002)。つまり,いじめの加害を経験した者の中でも, いじめの被害も経験しているかどうかによって攻撃行 動の機能が異なっているため,その後の攻撃性の特徴 にも違いが生じることが予想される。 そこで本研究では,小・中・高等学校在学時点でい じめの加害経験のある大学生は,高い攻撃性を示し, 中でも加害のみ経験者と両方経験者では,攻撃性の特 徴が異なることを検討する。仮説としては,加害のみ 経験者・両方経験者ともに,いじめを経験していない 者と比較して高い攻撃性を示す。また,攻撃性の下位 因子について検討すると,加害のみ経験者は攻撃行動 を取りやすいが,両方経験者は攻撃行動を取りやすい ことに加えて,敵意的な認知や短気であるという特徴 がみられると考えられる。 方法 手続き 質問紙調査を行なった。質問紙の内容に過去 の対人トラブルについて尋ねる項目があるため回答が 憚られる場合には回答をしなくても良いことを教示 し,講義の時間に質問紙を配布した。周囲の参加者に 回答を見られることがないように,自宅での回答を求 めた。 参加者 大学生・大学院生280名 (男性 103名,女性 177名,平均年齢 20.41歳,SD = 1.23)であった。 質問紙の構成 ( a ) いじめの経験:いじめの被害・ 加害経験については岡安・高山 (2000) の質問項目を 参考にした。仲間はずれ・無視などの関係性攻撃,落 書き・ものを隠すなどの直接的攻撃,叩く・蹴るなど の身体的攻撃について尋ねた。加害・被害について上 記の三つの形態について 1 項目ずつ,計 6 項目で測定 した。各項目について小学校,中学校,高校在学時別 に経験があったかを, 5 件法 (「1 (全くなかった)」 〜「5 (よくあった)」) で回答を求めた。文部科学省 (2011) のいじめの定義に従い,被害経験について尋 ねる際には,苦痛を受けたかどうかを含めて尋ねた。 ( b ) 攻撃性:Buss-Perry攻撃性質問紙日本語版 (安

藤他,1999 ; Buss & Perry, 1992) を用いた。下位 因子は,「身体的攻撃」「言語性攻撃」「短気」「敵意」 であり,全24項目である。 倫理的配慮 広島大学大学院教育学研究科倫理審査委 員会の承認を得て実施された。 結果 加害・被害それぞれで,小学校・中学校・高校在学 時の全ての形態でのいじめ経験の回答を合計し,加害 総得点と被害総得点を算出した。この二つの変数を用 いてクラスター分析を行ない,四つのクラスターに分 類することが望ましいと判断した。各群の特徴から, いじめ未経験群,被害のみ経験群,加害のみ経験群, 両方経験群と命名した。各群で攻撃性得点に差がある かを検討するために,分散分析を行ったところ,攻撃 性総得点の主効果が有意であった (F (3, 269) = 9.20, p < .01)。多重比較の結果は,各群の攻撃性 得点と下位因子の得点とともにTable 1に示す。下位 因子について分散分析を行なったところ,身体的攻撃 (F (3, 271) = 2.97, p < .05),敵意 (F (3, 271) = 10.82, p < .01),短気 (F (3, 272) =5.73, p < .01) において主効果が有意であった。言語的攻 撃では,主効果は有意ではなかった (F (3, 271) = 2.00, p = n.s. )。 考察 高校までに加害のみを経験した大学生は,いじめ未

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-77 273 -経験者より高い攻撃性は示さなかった。攻撃行動に否 定的な結果が付随すると知ると行動は減少すると言わ れている (Blair, 2003)。彼らはその当時は同級生を 支配することや欲しいものを得る手段として攻撃行動 を行うが (Dodge, 1999),環境や対人関係の変化に伴 い,攻撃行動では欲しいものを得られず,それどころ か対人関係の悪化など否定的な結果につながると学習 したためと考えられる。また,教師などによる加害の 制止から (本間,2003),他者に向けた攻撃行動が倫 理的に許されないことを知ったり,叱られるなどのネ ガティブな結果が実際にいじめの加害に伴い,攻撃行 動が減少した可能性もある。 一方で,高校までに加害と被害の両方を経験した大 学生は攻撃性が高いことが明らかになった。さらに攻 撃性の行動的側面だけでなく,認知的側面である敵 意,情動的側面である短気においても最も高い攻撃性 を示した。両方経験者は,加害だけでなく被害も経験 しており,この実際に敵意を向けられる経験から,曖 昧な他者の行動について自分に敵意を向けられている と感じやすくなると考えられる (Dodge, 2006; Guy et al., 2017)。敵意を感じやすく,反応的に攻撃行 動に至ってしまうため,いじめを制止する介入だけで は長期的な効果が低く,大学生になっても高い攻撃性 を有していると考えられる。いじめをやめさせるだけ でなく,敵意的な認知や短気な情動も含めて攻撃性へ の介入を行うことで,怒りを感じやすいことや衝動的 に攻撃行動に至ることに対して抱える困難感を解消で きるだろう。高い攻撃性は反社会行動への欲求を高 め,反応的な攻撃性は抑うつを高めると言われている ため (濱口他,2009),今後は両方経験者の攻撃性と 抑うつとの関連について検討する必要する必要がある だろう。

参照

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