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種々な水素発生電位下におけるSUS430ステンレス鋼の破面形態

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愛知工業大学研究報告 第25号B 平 成2年

種々な水素発生電位下における

SUS430

ステンレス鋼の破面形態

岩永弘之@沖猛雄キ

Fradure Surface Morphology o

f

SUS430 S

t

a

i

n

l

e

s

s

S

t

e

e

l

under v

a

r

i

o

u

s

Hydrogen Evolution P

o

t

e

n

t

i

a

l

s

Hiroyuki IWANAGA and Takeo OKI

Th巴morphology of fracture surface du巴to the hydrogen embrittlement indicates the clifferent fracturεsurfac巴bythe stat巴ofapplied str百 s,environments and materia!s. 1n the first

step to elucidate the mechanism of hydrog巴nembrittlem巴nt,the slow strain rate tension tests

were carn巴doutl1nder various hydrogen evolution pot巴ntialson the cathodic polarization curve

which was obtained in 3% NaCl solution

This study was aimed to compare and巴xamineth巴relationbetw巴巴nthe setting potential and the morphology of fracture surface司 Th巴mainresults obtained are summariz巴das follows.

(1) Th巴com111巴ncem巴ntpot巴ntialof cathode reaction in SUS430 has turned out to b己shifted until -O.5V(vs.S.C.E.) with increasing tensile stress also from the SEM observation. That is to say, the morphology of fracture surfac巴 inthis potential have analogy with those in

atmosphere

(2) Th巴hyclrog巴nembrittlement fracture surface of SUS430 due to the cathode reaction in 3%

N aCl solution indicates the transgranular fracture or Quasi-cle旦vagefractur巴atthe outside

region of specimen. 1n addition, the micro crack r巴sultfrom degradation of grain binding forc巴formedat the surface vicinity lay巴rof specimen. This tendency is more pronol1nced in the conc1itions of low町 民ttingpot巴ntialand low巴rstrain rate. Macroscopic rupture progress

toward the int巴rnalregion from the outsid巴ofspecim巴日

3

7

1.緒言 資源の有効利用および損失防止あるいは装置、構 造物の安全性確保の面から金属材料の腐食│問題に対 する関心が急激に高まりつつある。とりわけ、応)) 腐食割れ、水素ぜ, ¥化;苧

l

れは応力と電気化学的明象 との相互作用によって起る局音11的な破壊現象であふ ため、安全性の上から大きな問題とされている。し かしながら、この現象は材料、環境および応力の王 者の組み合わせによる複雑なものであり、その解明 と対策の樹立が急がれているものの、未だ、多くの 問題を残しているの 水素は金属材料の製造過程から使用中に至るまで の聞に諸々なる経路かり原子状水素として材料内部 に侵入し、欠陥部、結15ち粒界等』こ苔:積されることに よって分子状水素に再結合され、高圧力に達すると 微小な割れを形成して破l裂に至る水素ぜい化現象を 引き起す。 J応忘力が存存手在する秋状~fj態髭下に才お;い 腐食挙動の解明には腐食性水溶液中での分極挙動 と密接な関係がある。そして、種々な条件下ドおい て供試材の分極挙動を調べることが重要であるυ 特 に、孔食、応力腐食割れ、水素せ、い化割れの研究な どへの利用にも興味が持たれている。 機械工学科 *名古屋大学工学部、材料機能工学科 に至らない降伏点においても此応、力と水素との相互{作乍 用により短時問で破i壊衷に至る現象を呈すとる)。 般に は遅れ破壊としてよく知られている。ノド素ぜい化現 象に関しては材料倶)1因

T

および環境側因了に注目し て、種々な方法て、研究が行われて一おリ、水素ぜい化 現象および機構に関してはかなり明らかに心、コてき たが、不十分で不明念点も多く、定説となるものは なく、盛んに研究されていののが現状であるη 水素 ぜい化の研究のlつに走査型電子顕微鏡を用いた破 面観察がある。一般に破面の形態は作用応力の状態

(2)

38 岩永弘之・1中 猛 雄 、環境、材料によって異なることはよく知られてい る。我々は水素一ぜいイヒを含め、腐食は電気化学的現 象であリ、腐食挙動の解明には腐食性水溶液中で求 められるアノード分極曲線およびカソード分理担葬 上の電位が大きな役言語を成すものと考え、研究を進 めているn このように分極挙動を根底においた研究 報告官僅かである。 今回は水素ぜい化の機構を解明する一連の実験の 1っとして、 3%NaCl水溶液中で、求めた SUS430ステン レス鋼のカソ ド分極曲線上における種々な水素発 生霞{立を試験片のみに与え、水素が発生している状 態下で低ひずみ速度引張試験を行った。そして、こ の実験において得られた破断試料の SE~j を用いた破 面観察から、破面形態は種々な状態の水素発生を示 す設定電位によってどのように推移して行くのか、 また、低ひずみ速度引張試験による巨視的き裂の進 展方向は設定電位によりどのように変化して行くの かについて比較、検討することを目的とした。

2

.

供試材および実験方法 供試材としては、ステンレス鋼の中で最も水素の 影響を受けやすいと言われているフェライト系ステ ンレス鋼(SUS430)を用いたc破面観察に用いた試料 は、電位を3%NaCl水溶液中で、求めたカソ ド分極曲 線上から O.5ヲ 1.0,-1.5,-2.0V(vs. S岳C.E. )に設定 し、引張速度が0.5 および0.005mrn/min園の条件下に おける引張試験から得られたものである。破断面は 超音波洗浄を施した後、走査型電子顕微鏡(日本電 子製、 JSM-I00 )を用いて破面観察を行なった。低 倍率による全体写真から、ぜい化が見られる側に関 して倍率を350倍に上げて連続撮影し、破面形態の 分布図を作製した。さらに、詳細な破面形態、を知る ため、試料の各部分を高倍率で数多く撮影した。 3 結果および考察 3~L 設定電位による破面形態の推移 設定電位の違いによる破面形態の推移を SE~l 観察 によって行った。設定した電位が、

O

V

および

0

,25 V(vs.S.C.E. )のとき、試験片側面に形成された孔食 を起因としてき裂が発生し、破断に至っていた。 種々な水素発生電位下で低ひずみ速度引張試験を 行ない、得られた収縮率の変化および破断までに要 する時間の変化をFig.l.2 に示す。 この結果から大気中における収縮率は

3

1.鋭、破 断までに要する時間は、引張速度がO固5剛/mlEaの場 合で21.6min。、 0.005mrn/min.の場合で、1875min.であ 35 -! 30 8

千 人

kf

c o u

'

"

_-0--ω 白 川 吋 叫 CLUUL ゐ乱 Con!rolled potenlial (V.Y5. S.C.E.J Fig・ 1【 Changesof contraction under various hydrogen evolut工onpotentiaユsin'3'/0 NaCl solut工印1. 2 E E ) 1 0 口 口 古 川 釦 ﹂ コ v υ 伺 L o v ω E 0.5 0 Selling potenllal. (Y5.S.C.E.J 25 ( C ω L コ U 伺 ﹂ C.H.Speed 0.5mmlmln atmosphere 21.6mln O

-ー2.0 1.0 0.5

Settlng polenlial. (V5. S.C.E.J F工g. 2.Changes of time to fracturモundervarious hydrcgen evolution potentials in3%Nacl solut工on. るのに対し、電位を O.5'v(vs. S. C. E.)に設定したと き、収縮率は、引張速度が0.5mm/min.で30.8%、O. 005mm/min.で27.7% を示す。また、破断までに要す る時間は、引張速度が0.5mm/min.で20.0min.、0.00 5mm/min.で、約1700min.を示すことから、試験片は発 生する水素の影響を受けてなく、大気中における値

(3)

39 種々な水素発生電位下における SUS430ステンレス鍋の破由形態 に近い値を取る。 この条件下で得られた破断試料の破面観察結果を それぞれ、 Fig,3,4に示す。破面形態は大きほデイ ンプjレI型とこれらを結合する形の小さなデインプ

E型で占められる延性被面であった。大気中にお ける破扇形態と類似していた。 亡 命 E Z 釦 a 机 ﹄ O ﹄ 土 亡 @ じ

4盟 Schema七ic view of fracture日Jrface and 5日可 micrcgraphs observed工n region A,B

andC Fig C 釦 W Fと 一 u h w a M h O L U 勺 - ω E コ O 設定電位-l,OV(vs,S,C,E,)の条件下における低速 度引張試験から得られた試料の破面観察結果につい て、引張速度がO.5mm/min,と速い場合をFig.5に示 す。収縮率は27.8%で、大気中における値31.開と 大差なく、破断までに要する時間も19,2rni日。で、大 気中における21.6rnin.とほぼ同じである。 墜霊喜 Part of contraction 仁コ Di mple 1 ‘ Dimple I1 Settlng pOlential -O.5V(Y5.S.C.E.l C.H.Speed O.5mm/min Percentage of contraci!on 30.80ん Tlme to fracture 20.L.min c h v E Z b a 馴 ﹄ O ω 2 2 コ O 感語圏 Part oi coniraction 仁コ Dimplel' Dimplell Setting potenlial -l.OV (Y5. S.C.E.l C.H.Speed O.5mm/min Percentage ofcontract ion 27.8"'/~

Time to fraclure 19.2 min

3. Schemat工c view of fracture四Jrface and SEM micrographs observed in region A,B and C. Fig, ε 。 E -U L w a 凶 ﹄ ロ ω 主 腕 白 30

5. Schematic view of fracture surface and S白河mlcrもgraphs observed in reg工onA,B

町】dC. Fig・ 墜麹 Parlof contraction E

Dimpleい Dimplell Setting potenlial : -O.5V(V5.S.C.E.l C.H.Speed : 0_005mm/min Percenta.ge-oj coniraction : 27.6句。

(4)

猛 雄 設定した電位を ~1.5VCvs.S.C.E.)に下げ、引張速 度が0.5mm/min.と速い条件下において得られた試料 の破面観察結果をFig.7に示す。収縮率は22.2%と 小さな値になり、収縮しにくくなったことを示す。 また、破断までに要する時間も14.0min.となり、ぜ し、化したことを示す。 岩永弘之.1中 破面形態は、破断面の大部分がデインプルlおよ び Eで占められた延性破函であった。同一条件で引 張速度を0.005mm/min.と遅くした場合に得られた試 料の破面観察結果をFig.6に示す。収縮主事は大気中 における値より15.7%小さい値を取った。また、破 断までに要する時間は1050miローとなり、大気中と比 較してぜい化したことを示す。 40 z h ω F ζ -u e a m ﹄ 。 ω ℃ - u v コ O 破面は破断面タト周領域

J

こぜい化に起因する粒内破 壊とぜい化した材料において見られるへき開破壊お よび擬へき開破壊との混じり合った平らな領域が僅 かに存在する形態であった。さらに、その内側の領 域には、試験片の圧延方向に平行な微小割れの形成 が観察された。破断面中央部分は延性破壊特有の大 きなデインプルIと小さなディンプル Eとの混合延 性破面が広範囲に存在していた。 慶喜重 Part of contraction ~ : Transgranu!aい <:1白 vage fracture ~: Transgranular o!oCrack E

:

Dimpleい DimpleII Setting potential -1.5V (v5.S.C.E.) CHSpeed 0.5mm/min Percentage of contraclion 22.2・'/. Time to fracture 14.0min. Rupture direction

-C U E -u o a m E @ 2 2 コ O 窓麹 Part of contraction ~ Transgranutar+ Cleavage fracture ~ : Transgranular? Crack 亡コ Dimple 1φDimple I1 Setting potentiat 句1.0V (V5. S.C.E.) C.H.Speed : O.005mm/min Percentage of contraction 14.6・/. Time to fraciure 1050min‘

7.Schematic v工ewof fracture思 江 ' face and

SEM m工crographs observed in reg土onA,B

and C. F斗g. こめときの破面は、試験片外側部の領域に八き関 破壊および擬へき開破壊を含む粒内破壊が存在する 形態になり、その内側の領域には微小割れが材料の 圧延方向に対して平行に形成されることが観察され た。しかし、破断面中央部分はディンプルIおよび ディンプル

E

が広範囲に存在し、延性が強いことを 示す。引張速度がO.005mm/min固と遅い場合において 得られた試料の破面観察結果をFig.8に示す。収縮 率の値は14.5%と僅かになり、何れの方向にも収縮

6.Schematic view of fracture田ユrface and SEl可mエcrographs observedユn region A,B

and C固 Fig.

(5)

4

1

種々な水素発生電位下における SUS430ステンレス銅の破面形態 Rupture direction

-C ω C ﹄ -u ω a 泊 W F o e 刀

m

-コ O しなくなったことを示す。破断までに要する時間も

8

5

0

m

i

n

.

と短くなる。 破面は破断面外側部から粒内破壊とへき開破壊お よび擬へき開破壊との混合した領域、さらに、微小 割れの混在する領域が破断面の

2

/

3

を占める。微小 割れの形成は数多くなり、破断面中央部分の僅かな 領域のみにデインプルが存在する形態、を呈すること から、ぜい化の度合が大きくなったことを示す。 陸霊童 Part of cantraction

~ Transgran u tar • C teavage raci ;f ure

~ Transgranular.. Crack

Dimple 1 ~ Dimple Il Setling potenlial : -2.0V(vs.S.C.E.) C.H.5peed O.5mm/min Percentage 01 contraction 18.4'"'/0 Time to fracture : 12.2min. c e p h ﹄一 u E ω ﹄ O L W 主 2

コ 。

盤重量 Part 01 contraction _ TransgranularφCleavage fracture ~ Transgranular + Crack 仁コ DimpleII Setting polenlial -1.5V(vs.S.C.E.) C.H.Speed O.005mm/min Percentage of contraction Time to fracture 850min

Fig. 9. Schematic view of fracture surface and SEM micrographs observed in region A,B

E対 C. 破面形態は破断面タ卜側領域にへき開破壊および擬 へき開破壊を含む粒内破壊が存在するようになる。 さらに、試験片表面に近い領域には微小割れの形成 が観察された。ぜい化した領域は、一1.

5

V

(

VS.

S

.

C

.

E

. )の設定篭位で、引張速度が

0

.

5

m

m

/

m

i

n

.

の条件下に おいて得られた試料より増加している。しかし、破 断面中央部は延性破壊特有のディンプルIおよびデ インプル立で占められている。 14ム・1.

8.Schematic view of fracture日.lrface and SEM micrographs observed in reg工onA,B

a吐 C. Fig. 引張速度を

0

.

0

0

5

m

m

/

m

i

n

.

と遅くしたときに得られ た試料の破面観察結果を

F

i

g

.

1

0

に示す。 収縮率の健が

1

4

.

2

目、破断までに要する時聞が

8

0

O

m

i

n

.

となりヘ

-

1

.

5

V

(

v

s

.

S

.

C

.

E

.

)

の設定電位におけ る値とほぼ同じ値を示す。破面形態も1.

5

V

(

v

s

.

S

.

C

. E.)の設定電位の場合に類似している。

2

.

0

V

(

v

s

.

S

.

C

.

E

.

)

の設定電位において、引張速度 が

0

.

5

m

m

/

m

i

n

。と速い引張試験から得られた試料の観 察結果を

F

i

g

.

9

に示す。収縮率の値は

1

8

図説とより 小さくなり、破断までに要する時間も

1

2

.

2

m

i

n

.

と短 くなる。

(6)

3

-2

.

巨視的き裂進展方向の観察 設定電位が-O.5VCvs.S.C.E.)における破面観察結 果であるFig.3,4から、引張速度が異なっても破断 面は延性破壊特有の等軸ディンプルで占められ、大 気中破断と類似していること、破断面外側部に相当 する領域のSEM写真に伸長ディンプルが僅かに見ら れることから、この条件下における巨視的き裂の進 展方向は試験片中央部分から外側部分に向かってい ると判断した。 設定した電位を-l.OVCvs.S.C.E.)に下げ、引張速 度がO.5mm/min.と速い引張試験において得られた試 料の破面観察結果で、あるFig.5は、まだ、等軸デイ ンプルが破断面の大部分を占めていることを示す。 したがって、巨視的き裂の進展方向は試験片内部 から外側に向かっていると考えられる。 引張速度を遅くしてO.005mm/min.にするとFig.6 猛雄 岩永弘之・沖 掴圃 Partof conlraction ~ Transgranutar

Cleavage fracture 区ヨ Transgranular

Crack E

Dimple11

4

2

c -E -z a 酬 Z

2 2 コ O Setting potential ー2.0V (vs. S.C.E.) C.H.Speed 0.005mm/min. Percentage of contraction 1.4.2

'1. Time to fracture 800min に示すように試験片外側部分にぜい化部分が僅かに 形成されるが、等軸ディンプルの延性部分が広範囲 に存在している。 A部分の拡大SEM写真に存在する へき開破壊フアセット中のリバーパターンの方向が 矢印で示すように内部から外側に向いていると推定 されることから、巨視的き裂の進展方向は試験片中 央部から外側部分に向っていると考えられる。 設定した電位が-1.5VCvs.S.C.E.)で、引張速度が O.5mm/min.の引張試験から得られた試料の破面観察 結果であるFig.7からは試験片外側領域にへき開破 壊および擬へき開破壊を含む粒内破壊、さらに、微 小割れ等のぜい化部の形成が僅かに見られるが、試 験片中央部にはデインプルIおよびディンプル立が 存在する。この量は1.OVCvs. S. C. E.)に比して少な い。 A部分の拡大SEM写真において、その中に存在 するへき開破壊ファセット中のリバーパターンの方 向が矢印で示すように試験片外側から内部に向いて いると推定されることから、巨視的き裂は試験片外 側部分から内部に向って進展すると考えられる。 引張速度をO.005mm/min.にするとFig.8に示すよ うに粒内破壊とへき開破壊および擬へき開破壊との 混ざり合った領域、粒内破壊と微小割れとの混在す るぜい化した領域が増す。 A,B部の拡大SEM写真 に存在するへき開破壊ファセット中のリバーパター ンの方向は矢印で示すように試験片外側部分から内 部に向かっていることにより、巨視的き裂は試験片 外側から内部に向かつて進むと考えられる。 この傾向は、設定電位が-2.0VCvs.S.C.E.)、引張

Fig. 10. Schematic view of fracture surface and

SEM microgr司コhsobserved in region A,B

(7)

種々な水素発生電位下におけるSUS430ステγレス鋼の破面形態 43 速度が0.5rrun/min.と速い条件下の引張試験から得ら れた試料でも見られる。引張速度がO園005rrun/min.と 遅い条件下で得られた試料については、-l.5V(vs. S . C. E.)の設定電位おける試料とほぼ同様で、ある。 4.結言 本研究は3%NaC1水溶液中で、求めたSUS430銅におけ るカソード分極曲線上の種々な水素発生電位を試験 片のみに与え、低ひずみ速度引張試験を行ない、得 られた試料の破断面についてSEMより破面観察を行 った。得られた結果をまとめると次のようである。 (1)、SEMによる破面観察から、 -0.5V(vs.S.C.E.)の 設定電位下における破面形態は大気中における 破面形態と類似して、ディンプルIおよびディ ンプルEで占められ、収縮した部分が大きく現 われる。 (2)、SUS430鋼の水素ぜい化破面は、試験片外側領域 にへき開破壊および擬へき開破壊を含む粒内破 壊を呈する。さらに、微小割れの形成が見られ る。 (3)、発生する水素に起因するぜい化の程度は、ヲ

l

張 速度が0.5mm/min.と速い場合、発生する水素の 激しい-l.5V,一2.OV (vs. S. C. E.)の設定電位下で も僅かで、ある。しかし、引張速度を遅くしてO. 005mm/min.にすると、 l.OV(vs. S. C. E)の設定 電位で試験片外側部分にはへき開破壊および擬 へき開破壊を含む粒内破壊のぜい化領域がすで に存在する。さらに、微小割れが形成される。 この傾向は設定した電位が 1.5,-2.0V(vs.S.C園

E

.

)になるとより強くなる。 ( 4)、ぜい化に伴う巨視的き裂の進展方向は、設定電

f

立がl.5V (vs. S. C. E.)、引張速度が0.5rrun/min. の条件下で、すでに、試験片の外側部分から内 部へ向うようになる。引張速度がO.005rrun/min. になると、その傾向はより強くなる。巨視的き 裂が試験片外側部分から内部ヘ進展する傾向は 設定電位が 2.0V(vs.S.C.E.)で、引張速度がO. 005rrun/min.の条件下になるとよリ顕著になる。 参考文献 1) 大谷南海男、 “金属の塑性と腐食反応"、P.157 (1972)、産業図書 2) H. H. Uh1 ig,“Corrosion and Corrosion Contro 11", P.321, (1985), John Wi ley

&

Sons 3) 南雲道彦、宮本勝良、日本金属学会誌、 45、 1309、(1981) 4) 小寺淳啓司、内田仁、山田巌、材料、 35、1043 (1986) 5) 北川英夫、小寺沢良一、 “フラクトグラフイ" P園52、127、(1977)、培風館 6) N.F.Fiore and B.J.Berkowitz,“Advanced Techniques for Characterizing Hydrogen in Meta1s" 25,43, (1982) The M日ta11urgica1Society of AIME 7) L.Enge1 and H.K1ing巴l巴,“AnAt1as of Meta1 Damage" 105, (1981), Wolf巴ScienceBooks 8) 寺崎富久長、材料、 29、634、(1980) 9) 米沢俊一、山川宏二、吉沢四郎、材料、 33、191 (1984) 10)小寺津啓司、内田仁、山田巌、材料、 35、1043 (1986) 11)岩永弘之、沖猛雄、材料、 36、327、(1987) 12)岩永弘之、沖猛雄、材料、 37、223、(1988) 13) Haute,S. V.and Brabers,Werkstoffe und Korro sion, 25,663, (1974) 14)桑野三郎、 j中猛雄、材料、 29,406,(1980) 任 理 平 成 2年3月 20日)

Fig.  9.  Schematic view of fracture surface and  SEM micrographs observed in region A , B  E 対 C

参照

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