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「一式飾り」探訪記 : 第5回 伝統の中身とは?

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Academic year: 2021

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鳥取大学研究成果リポジトリ

Tottori University research result repository

タイトル

Title

「一式飾り」探訪記 : 第5回 伝統の中身とは?

著者

Auther(s)

Takahashi, Kenji

掲載誌・巻号・ページ

Citation

島根日日新聞 : 5 - 5

刊行日

Issue Date

2018-03-28

資源タイプ

Resource Type

論文 / Article

版区分

Resource Version

出版社版 / Publisher

権利

Rights

注があるものを除き、この著作物は日本国著作権法によ

り保護されています。 / This work is protected under

Japanese Copyright Law unless otherwise noted.

DOI

(2)

  こ れ ま で の 連 載 を お 読 み に な っ た 方 は 、 私 が 「 一 式 飾 り 」 を た だ 調 べ に 巡 っ て い る よ う な 印 象 を お 持 ち か も し れ な い 。 私 は 祭 り の 調 査 と 併 せ て 、 地 域 の 子 ど も た ち に 「 一 式 飾 り 」 を 伝 え よ う と 、 研 究 室 の 学 生 と 地 元 の 小 ・ 中 学 校 や 高 校 を 訪 ね て い る 。   そ の 際 、 い つ も 気 に な る こ と が あ る 。 子 ど も た ち が 一 様 に 「『 一 式 飾 り 』 は 伝 統 だ か ら 価 値 が あ る 」 と 話 す の で あ る 。 そ れ の 一 体 ど こ が 問 題 な の か と 疑 問 に 思 わ れ る か も し れ な い が 、 伝 統 と 呼 ば れ る も の は 何 で も 、 最 初 か ら 価 値 が あ る と 決 め つ け て い な い だ ろ う か 。   実 際 、 子 ど も た ち に 「 伝 統 の ど ん な と こ ろ に 価 値 が あ る の ? 」 と 、 少 し 意 地 悪 な 質 問 を す る と 、 皆 黙 り 込 ん で し ま う 。 こ れ は 単 に 子 ど も だ け の

 

問 題 で は な い 。「 一 式 飾 り 」 の 伝 統 の 中 身 を 問 わ れ て 、 き ち ん と 答 え ら れ る 大 人 が ど れ 月 、 島 根 の 「 平 田 一 式 飾 」 と 鳥 取 の 「 法 勝 寺 一 式 飾 り 」 が 大 阪 に あ る 国 立 民 族 学 博 物 館 の 「 大 見 世 物 展 」 に 揃 っ て 出 品 さ れ る と 聞 い て 、 私 は 学 生 た ち と 共 に 訪 ね た 。   と こ ろ が 会 場 で 目 に し た の は 、「 人 間 ポ ン プ 」 や 「 の ぞ き か ら く り 」 な ど 、 興 業 と し て 行 わ れ て い た 見 世 物 が 中 心 で 、「 一 式 飾 り 」 は 2 階 の 片 隅 に ひ っ そ り と 飾 ら れ て い た 。 そ の 姿 を 見 て 、 私 も 学 生 も が っ か り す る と 同 時 に 、「 一 式 飾 り 」 は 見 世 物 の 伝 統 な の か と 、 展 示 の コ ン セ プ ト に 対 す る 疑 問 が 湧 い て き た 。   後 日 、「 大 見 世 物 展 」を 見 て き た 平 田 と 法 勝 寺 の 人 た ち 双 方 に 感 想 を 聞 く と 、 私 た ち 同 様 、 違 和 感 を 覚 え た 方 が 少 な く な か っ た 。 地 域 の 祭 り で 目 に す る 作 品 と は 余 り に 違 っ て 見 え た と 、 展 示 作 品 の 制 作 者 自 身 が 話 さ れ て い た 。   江 戸 時 代 に 隆 盛 し た 多 種 多 様 な 見 世 物 か ら 、「 一 式 飾 り 」 が 大 き な 影 響 を 受 け て い る の は 確 か だ と 思 う が 、 プ ロ の 興 行 師 に よ る 見 世 物 と 、 地 域 の 人 た ち が 手 弁 当 で 作 る 「 一 式 飾 り 」 を 、 同 列 に 扱 え る の か 疑 問 で あ る 。   ま た 「 一 式 飾 り 」 を 、 江 戸 や 上 方 で 流 行 し た 見 世 物 が 地 方 に 広 ま っ た も の と 見 な す 、 都 市 中 心 の 見 方 に 対 し て も 、 異 議 を 申 し 立 て た い 気 が す る 。 山 陰 の 「 一 式 飾 り 」 は 上 方 文 化 の 単 な る コ ピ ー で は な い と 。   そ こ で 今 回 は 、 鳥 取 県 南 部 町 の 法 勝 寺 地 区 に 現 存 す る 『 造 物 趣 向 種 』( つ く り も の し ゅ こ う の た ね ) と い う 、 江 戸 時 代 後 期 に 大 阪 で 出 版 さ れ た 本 を 取 り 上 げ る 。 こ れ は 庶 民 の 間 で 流 行 し た 「 造 り 物 」 す な わ ち 「 一 式 飾 り 」 を 紹 介 し た 本 で あ り 、 写 真 の 嫁 入 り 道 具 一 式 を 見 立 て た 「 獅 子 」 の よ う な 作 品 例 が 多 数 掲 載 さ れ て い る 。 こ の 本 を 見 て 、 当 時 の 人 々 は さ ま ざ ま な 道 具 一 式 に よ る 「 見 立 て 」 を 学 び 、 実 際 に 作 品 を 作 っ て 楽 し ん だ と 考 え ら れ る 。   ぼ ろ ぼ ろ に な る ま で 使 い 込 ま れ た 『 造 物 趣 向 種 』 は 、 明 治 時 代 以 降 も 地 域 の 人 た ち が 本 を ヒ ン ト に 作 品 作 り に 興 じ て き た こ と を 物 語 っ て い る 。 「 一 式 飾 り 」 の 伝 統 の 中 身 と は 、 愛 す べ き 「 見 立 て 遊 び 」 で は な い だ ろ う か 。 だ け い る だ ろ う か 。 か く 言 う 私 も 、 こ の 問 い に 答 え る の は 容 易 で は な く 、 答 え を 思 案 し 続 け て い る 。   2 0 1 6 年 10

伝統の中身とは?

第5回

2018.03.28(水)

参照

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